むかしむかし。
ひとびとはあらそいあっていました。
たくさん"せんそう"をしました。
みずうみがかれ、ひびわれただいちではさくもつはとることができません。
だからもっているひとたちのところへ"うばう"しかありませんでした。
ひとびとは"びょうき"と"うえ"にくるしんでいました。
あかちゃんやちいさなこどもたちも、おなかだけがふくらみ、ほそいうでとあしがみえていました。
せんそうは"しれつ"をきわめます。
どうしてころしあっているかもわすれてたたかいつづけます。
そんなあるひ、てんからひかりがふりそそぎました。
ひとびとはそれを【かみさま】とよびました。
かみさまはひとびとからききました。
せんそうをとめてほしい
びょうきでこまっていると
おなかがすいてかなしいと
かみさまはいいました。
「では、争いを止めよう。病気を癒そう。食べ物を渡そう」
かみさまはあらそうひとびとをとめました。
かみさまはびょうきをすぐになおしました。
かみさまがてからたべものをだしてくれました。
ばんざい!ばんざい!ばんざい!!
ぼくたちがよろこぶとかみさまもえがおになりました。
おなかはもうすかない。
びょうきでしなない。
いさかいはおきない。
かみさまをたたえました。
かみさまのための"うた"をうたいました。
しかしあるひ。
かみさまのとなりにたっている"くろい"かみさまが怒りました。
「それは行ってはならぬ。あくまでも人々が決めるべきだ」
なにをいっているのかわかりません。
でもこのかみさまもとてもやさしいかたです。
「彼等は
かみさまはききませんでした。
くろいかみさまのことばはわからなかったけど、ふしぎとなにかをかんじました。
空に点々とするキラキラしたものには僕達と同じ人が居るらしい。
神様がかつて居た星もとても賑やかだったとか。
僕は黒い神様から学び、知りました。
僕等は星へ迎える技術があったけれど、其れが失われた事。
其れでも何時かは渡ることが出来ると言われた。
僕は学び続ける。
たとえ大きな争いが起ころうとも、僕はこの叡智を胸に抱いて、伝え歩こう。
未来のために。
海の上に浮かぶ凍てついた氷の大地。
其処に1つ大きな鉄塊が火を巻き上げて沈もうとする。
その上に2つ、人らしきものが立ち、対峙していた。
「……これで満足か?
男は問う。
対峙する男に対し、冷めた目付きを向けながら。
「俺はやるべき事をしたまでだ。〔ムラクモ〕」
「そうか……」
〔ムラクモ〕と呼ばれた男は手にした軍刀を抜き、その切っ先を向ける。
「…であれば1つ。何方かが生き残るのか」
柄を両手で握り締め、腰を低く構える。
「
【
「…!!」
【
何処からともなく無機質な声が響き渡る。
つま先、指先、頭頂部を機械的で甲殻的な物へと覆われていく。
身体全て装甲が噛み合い、組み合わさり、一つのカタチへと変化し、創り上がる。
他者から見ればその神々しく思えるその出で立ちは、正しく神と崇め奉られる代物であろう。
「……我は
ムラクモは声を高々に張り上げ、己の意志を伝える。
「なら俺は…」
「……その"戯言"を叩き潰すっ…!!」
男は怒りとも、憤りとも異なる物言いを発しながら、右手を前に突き出し、握り拳を作り、構える。
互いに譲れぬ想いを持ち、その視線を交わし、互いに
拳と刃が
一撃一撃が殺傷力を持つ剣撃を拳が弾き、打たれれば壊しかねない打撃を刀身で滑らせ、受け流す。
弾いた衝撃が氷の地面を割り、砕き、クレーター状に破砕させながら高速で移動。
音を置き去りにするほどの速力は頑強な氷を足一歩分削る勢いで踏み砕きながら行われ、その爆発的な推進力が上乗せされていく。
おおよそ人二人が起こせるとは思えない衝撃波が空気を揺らし、氷へヒビを入れる。
互いに互角であり、永遠に終わることのない戦いが繰り広げられる可能性が其処にあった。
拳による連撃。
刃による斬撃。
何方も決して譲らない。
一瞬でも気を抜けば胴は膾斬りとなり、拳圧で身を爆ぜさせるであろう。
其れ程までにギリギリの均衡が取れていた。
が…。
「……!?」
少佐の足元の氷が割れ、ほんの数mm単位で身体が揺らぐ。
ムラクモは其れを見逃すはずはない。
「…呆気ない。勝負事はその様な"運"に恵まれなければ負けてしまうものだ…」
たった一秒にも満たないであろう中、上段に構えられた軍刀が目の前まで迫る。
割れた地面へ精一杯の踏み込みと同時に両腕を前へと出し、防御の構えを取る。
一瞬。
刃が両上腕を両断。
力無く両手が血を撒き散らしながら左右別方向へ飛んで落ちては転がっていく。
「…ガァッ…!?」
斬られたのは両腕のみではない。
左肩から臍の上まで袈裟斬りにされ、破裂したかの様に血飛沫が吹き荒れた。
「………さらばだ。我が
長く続くと思われた死闘があっさりと終わりを迎える。
熾烈を極めた戦いによって、地面は大きく割れ、下の海が見えぬほどに深く、暗い世界を見る。
ムラクモは地割れに巻き込まれないよう跳び退き、離れた場所に着地する。
宮本は息絶えて立ち尽くしながら割れて出来た氷河の中へ落下。
割れて出来た氷塊と共に海の底へ沈んでいった。
「………んっ、
ムラクモが何かに気が付くと、刀身を見る。
其れは剛腕の力によるものなのか、
「………次こそは俺を止めてみせろ。お前の"
恐らく聴こえることは無い。
だが其れでも、鎧が剥げ、長い髪が風で靡かせる中、ムラクモは悲しみを帯びた目で海の底を一瞥し、踵を返して何処かへと足を踏み出していく。
遥かな未来か…遠い昔か…。
其れ等が曖昧に感じられる世界の話。
降り積もる雪が大地を覆い、地平線に沈もうとする太陽の日差しと白く染め上げられた銀世界に一つ、大きな機械が多数の装輪を動かし、走らせている。
剥き出しのエンジンが唸る。
大小幾重にも重なり、曲がりくねったパイプから蒸気が吹くと煙を撒きながらその機械は目的地へと向かい続ける。
機械の周りには、木製の床に落下防止用の手すりが付いたウッドデッキに、多くの人々が座る客室、操縦を行う運転室。
この機械の名は【
かつては軍用の兵員輸送及び物資輸送に使われ、今は民生品放出され、大陸中を駆け回る移動手段に利用されている。
「後どれくらい?」
「うーん?3時間位かな?」
身を凍らせる外へ乗り出すものは居らず、内部の等級に別れた客席に各々座り、目的地到着までの間を思い思いに過ごしていく。
「ピロシキいかがかなぁ〜揚げたてだよ〜」
老若男女、肌の色や顔の輪郭の異なる人種が座る客席の狭い通路を縫うように歩き、老人が軽食を売る。
「飴はいかが?渇いた空気で喉がイガイガしたら薬草エキスの入ったのど飴がいいよ〜」
「飲み物あるよ〜。炭酸にホットチョコ、ミルクセーキをご用意してるよ〜」
「焼き立てのパンはいかがかな?今ならギーとコケモモのシロップ煮も付けるよ?」
老人の他にも、のど飴を売る老婆や幼さが目立つドリンク売りの少年、ガタイの良いパン職人の男性が車内販売をしている。
長旅になりやすい自走城の中で売られる其れ等は一ヶ月間契約で販売許可され、町と町の間を行き来している行商人の一種である彼等にとって、この夕飯時の軽食販売は稼ぎ時である。
そんな彼等が売り歩く中、席で目深く帽子を被り、寝息を立てる人物が一人。
厚手のロングコートを毛布代わりに掛け、クロスシートを一つ分使用し、横になって眠っている。
しかし寝ている者に物を売る素振りは全く無く、腹を空かせた客達が手にしている紙幣を数えては商品を手渡していく。
盛況に売れていく商品を見ては顔を綻ばし、今日はツイていると心の中で喜んだ。
ただし、
「…?なんだよ今の揺れ?」
乗客の一人が、奇妙なことに気付く。
動くエンジンの揺れや地面の凹凸による揺れとは異なる、腹の底から揺さぶられる縦方向の地響きを感じ取った。
「ちょっと地盤緩くなってるとか?」
「何だよそれ…怖いだろ…」
「……どんどん強くなってねぇ?」
段々と乗客達の中から不可思議な揺れを感じるようになると、不意に窓の外のデッキにて乗務員が物々しい様子で走る姿を見た。
「どうしたんだ?」
「エンジントラブルか?」
「止めろよ、こんな極寒の中に取り残されたら皆冷凍肉になっちまう」
勝手な想像を吐くなと言わんばかりに同乗している客の男の頭を殴りつけて戒める。
しかし、エンジントラブルよりも遥かに厄介な事が起ころうとするとは誰もが思わなかった。
「行け行け!!急げっ!!」
デッキから大きく軋ませる音が響く。
其れは自走城に必ず常駐し、レイダーやテロリスト等の犯罪者から防衛する警備員達が重い金属製の
「………なんかおかしくね?」
乗客の誰かが漏らした。
ただの揺れで重機関銃や装甲服を持った警備員が向かうとは到底思えない。
機械の故障で武装する意味はないからだ。
それを問いただそうと一人が立ち上がり、外の様子を探ろうとした瞬間。
遠くで空気の振動と巨大なナニカが、大地を飛び出し、跳ね上がった。
其れが鯨などの大海原に住む哺乳類が行うブリーチング行動に似ており、何を意味するのか、乗客達が理解する。
「……["サレオス"]だっ…!?」
誰かが呟いた。
「サレオス?」
「嘘だろ?
「幾らアウターリムに近いからってここはまだ内地だぞ!?」
言い争いに発展しかける中、また一度大きなブリーチング行動が行われる。
横に割れた口のような捕食器官は自走城を容易に丸呑み出来るだろう。
その堅牢な外殻は主力戦車の120mmAPFSDS弾ですら弾き、HEAT弾も殆ど損傷を負わせることは出来ない。
何よりも、凍てついた大地を悠々と潜り泳ぐタフネス溢れた多脚のヒレは、他の生物からかけ離れた存在と言っていいだろう。
「…に…にげ…」
「何処に逃げるんだよ…!!」
誰もが思う。
恐らく自走城の燃料を嗅ぎつけ、腹を満たすためにやって来たのだろうと。
そうなれば、いかなる場合であろうとも助かることは不可能だ。
外は、極寒。
出れたとしても捕食に巻き込まれる方が大きく、そのまま活造りの如く、身体を粉砕されて咀嚼されるのみ。
「嫌だあっ!?死ぬのはいやぁ!!?」
「畜生!!チクショオオオ!!」
「……Jesus…」
客室は大きな叫び声と阿鼻叫喚の中に包まれる。
死を拒む者。
泣き出す者。
神に祈る者。
生存には絶望的であり、せめても心安らかな死を思う者達でせしめいていく。
「………うるさい」
ただ一人。
寝息を立てていた男が目をいっぱいに閉じて渋らせた顔で起き上がる。
浅煎り珈琲色の髪の側面を剃り上げたツーブロックスタイル。
左側額から顎に一直線の縦傷を持った骨太ながらも細みのある顔立ちは年上の女には惚れられ、年下の女からは頼られる風貌がある。
そんな男は如何にも不機嫌を表したかのようにしかめっ面で客室全体を見回し、何事かと眺めていく。
「………原因はあれか…」
何処もかしこも涙いっぱいに溢しては泣き喚く姿に辟易しつつ、窓からその根源的存在を把握。
片手数えて無言で考え込んでから、男はため息を吐き、目を見開いて立ち上がる。
右眼の瞳とは異なる菫青石色の瞳はしっかりと自走城に迫ろうとするサレオスを捉えては客室から外のデッキへと出る。
大量の銃声が響かせ、装甲服の警備員が重機関銃を手に掃射するも、効いている様子は一切ない。
むしろイタズラに刺激させている風にも見えた。
「…ふぅ…流石に足失ってまで静観するのも手間だな」
まるで自分だけは助かりそうだと言わんばかりに頷きつつも目の前の厄介事を考えた結果、自走城後方の機関デッキへと向かった。
自走城には取り付けられた銃座や迫撃砲、無反動砲等の盗賊向けに用意された武器があるものの。
流石にカテゴリーGと呼ばれる超巨大生命体に関しては無力に等しく、硬い外殻では勝つ見込みは一切なく、ただ爆ぜて少しばかり焦げ跡を作るのみで終わってしまう。
こればかりは、元兵士の肩書を持つ警備員達でも首筋に残る不安感が募らせるのだった。
「た、隊長…!?」
「喚くな!!目だろうが口だろうが構わねぇ!!撃って撃って撃ちまくれ!!」
たとえ銃身が焼け付こうとも撃つことは止める事は出来ない。
12.7mmの弾頭が飛翔し、サレオスの複眼の一つに当たるものの、あまりにも弾力に富んでいるためか弾かれ、彼方へと消えていく。
もう無理だと誰もが思う。
口にせずとも、ヘルムで覆われて顔が見えずとも、その雰囲気は確実に敗北の状況を表し、もはや何にも希望は持つことは出来なくなっていた。
「………もう…おしまいだ…」
手にした大口径の自動小銃も撃鉄が空撃ちする音を響かせるのみ。
全てを諦め、何もかも投げ出さんとする警備員達。
その中で唯一。
「……負けるかクソッタレ!!」
40mm擲弾発射器で目玉付近を狙い続ける壮年の男がいる。
20年以上兵士を務め、再就職先である自走城の警備を15年務め上げてきた歴戦の警備員である。
彼は装甲服のパワーアシストを全力で展開し、擲弾を連射できる機関砲を構え、撃ち続けていた。
「この馬鹿野郎!!テメェなんぞに食われる位なら腹わたぶっ飛ばして吐き出されてでも生き残ってやるぞガマグチ野郎がーーー!!!」
彼には家族が居る。
街の学校では優秀を極める娘に気立ての良い妻が居る。
彼女達のためにも生き残り、戦い続けねばならない。
其れが仕事をする父親の心意気であった。
「うぉぉぉお!!……っ!?クソッ…!」
しかし撃ち続けたことにより、装填された
「……ちくしょう」
擲弾による爆発でもサレオスの外殻は砕けることはなく、ただそのまま此方を喰らわんと口を開けてこようとする。
もはや、誰もが何もする気が無くなっていた。
死に怯え、地獄へと墜ちるかも知れない恐怖がこの場を包み込み、何もかも自暴自棄になりそうでたまらない。
徐々に横へと割れていく口が見えてくる。
何百何千もの喰らってきた存在はびっしりと並ぶ鋭い牙が所狭しと生え、中心である消化器官を通る部分は掘削ドリルの如く回転し、どの様な頑強な物質も粉々に砕け散らす見た目をしている。
「……ごめんな。誕生日…祝ってやれん」
その呟きと共に、一瞬だけだが初めて自分の血を分けた娘を抱き締めたことを思い出す。
まだまだ小さく、予定の一月前に産まれた為に不安はあったけれど、元気に成長してくれた。
そんな普遍的な幸せを噛み締め、これから起こるだろう捕食行動を耐えようと。
「……おっさん。ちょいと失礼」
誰かが声をかけた。
「よっと…!!」
その誰かは、デッキの床を陥没させ、その反発力で跳躍。
自走城よりもサレオスよりも高く跳び上がった身体は凍てつく空気の中を一瞬だけ滞空する。
「……方向よし」
男の脚が変化する。
金属同士が擦れ、合致し、嵌まった音を響かせると、其れは金属製のロングブーツを思わせる物が出来上がっていた。
男は自身の身体を限界まで捻り、回転。
引力の導かれるままに足の方から地表へと引っ張られていく。
所謂自由落下というものだが、そのスピードは徐々に上がり、落下速度が200kmを超えると徐々に火花が飛び、風の流れがおびただしく増え始める。
「…【九頭:右竜流星】…!」
到達まで数秒と掛からず、サレオスの頭頂部へ回転した脚が接触。
サレオスはその巨体を前のめりに停止させられた。
回転力が増し、ドリルとなった男は硬い外殻を削る。
摩擦抵抗によって大量の火花を散らし、マグマを思わせる程に真っ赤な色に染め上がる。
徐々に削れていく外殻。
サレオスの巨体が押され、退かれながら抵抗しようと多脚で地面に踏ん張ろうと力が籠もる。
だが、男の回転力は更に上がる。
薄っすらと背に光が帯び、脚部の装甲からバーニアが展開。
更なる推進力が加わるとその身は流星のごとく蒼く光り輝いた。
「……ジャストブレイク…!!」
回転力が遂に外殻を貫く。
瞬きすら遅く見えるほどに超高速の蹴りによって頭頂部から胴体まで貫き、出た先の地面を削って着地。
サレオスは脳天を跡形もなくミキシングされたことにより、そのまま絶命、事切れて地面へと倒れふせった。
後に、助かった者達がこう述べる。
「お星様がぶつかって頭がパァンって弾けた」
数時間後。
『皆様、アビスに到着いたしました。お降りの際は足元をご注意し、安全安心の旅をお楽しみ下さい』
周りを見渡すと、すっかり真夜中と言えるほどに暗い夜闇に包まれている。
自走城のタラップを降り、乗っていた乗客の唖然とした顔を眺めては何も言わずに歩き出していく。
「雪凄いな。流石に豪雪地帯とは聞いてるが…」
軽く足が埋まるほどの雪の量を見ては靴を変えて正解だったと考える。
2時間に一度は雪をかくと噂されていた事を思い出し、その雪の量がこの一帯を水源地であることを物語る。
「さてさて。早く宿に入って寝よ。明日も朝から大忙しだ」
向かうべき場所である宿は事前に予約をとっている。
寒さに強くとも身を震わせるほどに感じられる状況では早々向かう方がいい。
若干足を取られながらも歩を進め、ガスランプが灯る街の中へと入っていく。
街の中はホットパイプと呼ばれる路面凍結を防止する管が通っている。
解けた雪や氷が下の下水を通り、精製プラントで濾過、蒸発させた蒸留水が水道水として利用されている。
ある程度暖が取れるものの、実態はごみ処理施設の熱排出の副産物らしく、あまり排出口にいるとダイオキシン類による煙を吸うこととなる。
それでしか生きられない路上生活者や貧困に喘ぐ者達を尻目に予約していた宿へ到着。
中へと入り、ロビーに立つ壮年男性へ伝えた。
「すまないが…〔ミヤモト〕って名前は無いな…」
「嘘だろ?いやいや…もっと台帳確認してって」
「残念だが確認しても無い。どんなに調べてもな」
予約をしていたはずが、其処には男の名が記載されておらず、部屋も全て埋まっている様子が伺えた。
「最近馬鹿が1人辞めてな?其れが伝えてなかったかも知れない。そうなるとウチのミスとは言い難いな…」
宿側の失態でないと言わんばかりに肩をすくめて答える。
「……大部屋も空いてないと?」
「生憎な?路線工事とエアポートの工事で各地から沢山労働者が来てて目一杯なんだよ。誠に申し訳ないがね」
ロビー係の上辺だけの言葉にはミヤモトも渋茶を飲んだ様な顔になりながら、致し方なしと判断して外へと出ようとする。
「ちなみに、他の宿も満杯だぞ?この辺の宿屋とは連絡は取り合ってるからな」
その事を聞き、一瞬だけ立ち止まって踵を返そうかと思ったもこの、悔しさが残る故にそのままドアを叩きつけて出ていった。
「…全く。上から見やがってクソゥ…」
ロビー係の言う通り、宿場通りであるはずの宿屋は全てが満室満席状態。
泊まる宿で困り果てるとは思ってもおらず、このままでは凍死する可能性もある。
どうするべきかと唸り声を上げては悩みをし続ける中。
「ねぇ?貴方この街に来るの初めて?」
声をかけられ、振り向いてみる。
声の主はミヤモトより背が低く、年若い女性がいた。
「あっ…ああ。まだ来たばかりで…」
「ふぅん。それは大変そうね…」
ミヤモトの顔から爪先までを吟味するかのように一瞥してから口端を上げ、笑みを作り。
「もし良ければ
という訳で諸事情等により、マハアートマタを完結させ、新しくリブート版として投稿しました。
今後此方の方を更新しつつ、新たな物語として頑張っていきたいと思います。
では、また次も宜しくお願いします