これからは進の妻として一生尽くしていくと心に決めた。
そんな二人の新婚生活がはじまった。
母さんが僕の妻の佐和になった。
美しく、聡明な、尽くしてくれる理想の妻だ。
僕は考えた。
今は佐和は育休で仕事を休んでるけど……
このまま、退職させるかぁ……。
僕が養ってやろう。
夫に養われているという事になれば、もっと従順で可愛い妻になってくれるだろうし。
ぶっちゃけ、今の僕には催眠術があるから、金なんていくらでも集められる。
佐和を養うのも、僕の生活費を出すのも、僕の学費を出すのもワケない。
余裕だ。
それに佐和だって、愛の結晶をじっくりその手で育てたいだろうし。
まさにWin-Winってやつだろ。
ちょうど、佐和がキッチンでシチューを作ってる。
エプロンつけて、ワンピース姿で。
今、言おう。
「なぁ、佐和」
僕は話しかけた。
すると佐和は手を止めて
「……進さん、何でしょうか?」
振り向いて聞き返してくる。
夫の言葉だから、手を止めるのか。
……可愛い。
凛としてるのに、何て可愛いんだ。
愛しさがこみ上げてくる。
僕の嫁はやはりこの女しかいないよな。
そんなことを頭の片隅で考えながら
「佐和、育休終わったら、そのまま仕事を辞めてくれ。専業主婦になって僕の妻に専念してほしい」
と、言った。
すると
「え……?」
佐和は、混乱してるみたいだった。
……難しいかな? やっぱり?
まぁ、この場合
私が仕事を辞めたら収入断たれる。生活費どうすんの!?
これがあるから、そりゃいくら僕の頼みでも「はいそうですかやめます」とはならんだろうね。
仕方ない。
「頑固な桜の木」
不本意だけど、僕はキーワードを言って、佐和を催眠状態にした。
キーワードを聞いた途端、目が虚ろになる佐和。
そんな佐和に、調整を掛ける。
①僕が稼ぐから、仕事を辞めても食べていけるということ。
②どうやって稼ぐかは知らなくてもいいこと。
③自分の夫は自分を軽々と養えるすごい男だということ。
この3点をインプットさせて、催眠を解いた。
「ダメかな? ……僕は佐和にずっと家に居て欲しいんだ」
……今、佐和の頭の中では仕事を辞めないのは自分の我侭であるという認識になっている。
辛そうな顔をしていた。そりゃま、長年ずっと働いてきたわけだし。
仕事に賭ける何かはきっとたくさん、あっただろうね。
だいぶ、沈黙していた。
だけど……
「……分かりました。意味、無いですものね。私、仕事を辞めてあなたの妻に専念します」
とても辛そうに、そう吐き出した。
……ゾクゾクした。
僕、佐和を無職にしてやったぞ、僕に依存する従順な妻にしてやったぞ、と。
「そうか。受け入れてくれて嬉しいよ。佐和」
夫の務めとして、僕は腕を開いて抱擁の体勢をとる。慰めてやらなきゃ。
すると佐和は僕の腕の中に飛び込んで来た。
佐和は僕より背が少し高いので、彼女の豊満な胸が僕の顔に押し付けられる形になる。
僕の頭を抱きながら、佐和は言った。
「これからは私はあなたのために生きます……だから私と子供を、しっかり養って、幸せにしてくださいね。お願いします、あなた……」
「勿論さ。僕に任せてくれ。僕は君の夫なんだから……」
それを聞いて、佐和は
「嬉しい……」
そう、感極まったように言い、顔を僕に近づけてきた。
僕はその意図を察し、佐和と唇を合わせた。
そして舌を差し込み合い、深く深く口づけを躱す。
僕はキスの興奮のままに、佐和の尻を撫でまわし、胸を揉んだ。
そうすると、佐和の息遣いが荒くなるので、ますます僕は興奮をした。
「あなた……好き」
ハァハァと、上気した顔で、僕を見つめる佐和。
本当にたまらない女だ。
僕は耳元で囁いた。
「……ご飯食べたら、ベッド行こうか。……ここに、はやく二人目を仕込みたいし」
と、腹を撫でまわしながら。
そういうと、佐和は真っ赤になって
「はい……夫婦ですものね。わかりました」
そう言って、頷いた。
……まがりなりにも母親の地位にいたときはこうはならなかったのに。
母親を完全に降りて、僕の妻になったらここまで反応が変わるのか。
本当にゾクゾクしたし。
最高の気分だった。
キャリアウーマンから仕事を奪うっての、我ながら極悪だと思うのよ。
実に進君らしい。