※この作品はR-18です。

遊戯王 奴隷ヒロイン争奪ゲーム   作:レルクス

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第15話 舞い、舞う、舞えば、舞った

 プロパティ・プリズン地下。

 

「い、いぐ、ぐっ、ああああっ!」

 

 壁に布で磔にされ、漢字の『土』と言えるレベルまで腕も足も横に広げたアスナが悶えている。

 

 膣には特殊な布製のディルドが奥深くまで突き刺さって回転しており、胸には真っ白なブラをつけているが、その内側に特殊な布で作られた突起物が蠢いて胸を刺激している。

 

 見た目は布だが、手触りはシリコンに等しく、人体には無害な物質で作られており、ブラのホックとディルドからはコードが伸びて、それは『機織機』に繋がっている。

 

「ふむ……これほど見たこともない素材の編み物は初めてかのう」

 

 腕は見えない。

 ただ、六本の義手を使い、高速で着物を編んでいる種多羅千手丸は、興味深そうだ。

 

「い、いく、ち、ちょっと止めて、あっ!」

 

 特に開発されている場所を責められて悶えるアスナだが、千手丸はどこ吹く風。

 

「仕方がなかろう? 妾が作った専用の機織機のみ、この『羽根』は加工を受け入れる。そして機織機の動力は、あのカードを入れて、それがおぬしの淫具を動かすことでのみ得られる。それしか方法がないゆえな」

 

 それしか方法がない。

 といった千手丸だが、表情を見るにまだ何かありそうではある。

 

「うっ、あっ、ああっ!」

「ただ、人数が多い故、速く済ませたいのならば、淫具を増やしてやろう」

「ま、待って……」

 

 千手丸の早業。

 彼女? が言い終わったころには、すでにアスナの両太ももに布が巻き付き、ピリピリと電流が流れはじめた。

 

「いいいいっ!」

 

 アスナが感じるのと同時に、機織機の動きが速くなる。

 千手丸がとりあえず納得するレベルの速度でもともと動いているが、それがもっと早くなった。

 ただし、機織機の性能があまりにも高すぎるためか、ほとんど音がしない。

 

「とりあえずこんなものか」

 

 作った着物を広げて確認する千手丸。

 

 それは赤い素材でできた、どこか……『コスプレ着物』といった印象を受ける。

 

 下半身の丈は短く、上半身は動くのに邪魔にならない程度に胸元を晒すようなもの。

 

「妾の趣味には合わぬが、まあよかろう」

 

 首から上しか肌が露出しない死覇装を身に包む千手丸からすれば、和服とはいえ、かなり趣向から外れている。

 が、千手丸がその仕事を仕損じることはない。

 そのほかの着物に必要な小物も用意した。

 

「で、できたのなら止めて、い、いぐうううっ!」

 

 ガクガクと体を震わせるアスナ。

 

 絶頂したのは明らかだが、千手丸は機織機を止めない。

 

 編んだ着物を丁寧に畳むと、機織機の上に置いた。

 

「編むのはこれでよい。ただ、まだこのカードがおぬしを読み取れておらぬ。見たところ後三十分。悶えるがいい」

 

 そういって、千手丸はアスナに背を向ける。

 

「ま、まって、あと三十分って、む、むり、ああああいぐううっ!」

 

 アスナの嬌声を一切聞き入れず、千手丸は出ていった。

 

「妾が編んだ衣を纏える栄誉。理解するものが少ないのは嘆かわしいものよ」

 

 ★

 

「なあ械遊君」

「どうした紅嵐」

 

 監獄最寄りのサービスエリア。

 

 基本的にカードショップでカードの調査をするために入る場合が多いが、他の売店も用意されており、オーナー同士で集まって喋るのに適している。

 

 そんなサービスエリアのフードコートにて。

 

 械遊と紅嵐は、適当に食べたり飲んだりしながらしゃべっていた。

 

 なお、紅嵐は売店で買ったおにぎり。

 械遊はえりなが作ったかつ丼で、丼型ジャーのため保温機能が高くかなり旨い。 

 

「最近、モールの方でいろいろおかしいことが起きてるんだよ」

「おかしいこと?」

「ああ。コアカードの提供と、プラチナランクの介入が多い。しかも、本来なら六大私有地にいるような連中が降りてきてる」

「あまりないのか?」

「ああ。てか、械遊君が関係してるんだけどな」

「ん?」

 

 かつ丼を食べる手を止めて紅嵐を見る械遊だが、彼の直感にも反応はないようだ。

 

「械遊君がホワイト・シティの全権を奪ったことで、容姿が厳選された従業員が械遊君一人のものになった。それを受け入れられない奴は多い。それは前提な?」

「ああ。もちろんだ」

「で、プラチナランクはその特権で、コアカードの提供を行うことで従業員や担当社員に対してかなりいろいろなことが要求できる。その『提供』を行うことで、従業員を自分たちのものにしようってやつは多い」

「そうだな。確かに『プロパティ・プリズン』は特権は多いし、そんじょそこらのプラチナランクには手を出せない。が、プラチナの中でも上位層であれば、コアカードの『多数提供』で手を出そうと考えられる程度だな」

 

 プロパティ・プリズンには、コアカードの提供によって付与された『防御壁』がある。

 

 それによって、プラチナランクにはコアカードを提供することで従業員に対してある程度の要求ができる特権があるが、その防御壁によって『プラチナランク低層』は手を出せない。

 

 上位層にとっては、優れた『作品』がホワイト・シティから供給されることを条件に、お互いにここには手を出さないという無意識の協定があった。

 

 そう、『雑魚は追っ払い、上位はお互いに遠慮する』というのが、ホワイト・シティの防御壁のレベルである。

 

 これは言い換えれば、『手を出そうと思えば上位層は可能』であることを意味する。

 

「で、実際、コアカードの提供は上位層から行われたが、申請はされても、拒否されて通らなかった。ただ、提供されたコアカードは戻らず、モールの市場に流れてる。今は、その提供された分を回収しようと人を出してるってのが現状だ」

「要するに、どこもかしこも、ホワイト・シティの従業員を欲しがってコアカードを手放したということか。見(けん)に回れないのは欲深さの証拠だが……」

「いや、アイツらは通ると思ってるんだよ。なんせ械遊君自身がノーマルランクで、コアカードを提供して従業員の防御壁を強化することができないからな」

 

 ここまで聞いて、械遊は『通常の現象』を理解した。

 

「……ああ、なるほど。俺はCC側から要望があって、その対価に、俺が関与する社員の『高度な拒否権』を要求したが、誰も知らないから自爆してるのか」

「何がどうなればそんな対価を要求できる要望が来るんだか。プラチナ上位のコアカード提供による特権の行使は半端ないってのに……」

「それについては内緒だ」

 

 とはいえ、要求できた拒否権は相当なものだ。

 

 そもそも、最初にホワイト・シティに械遊が行ったとき、荻野宝吾は、その場で白服にコアカードを渡し、『械遊の担当社員である愛智が、即座にホワイト・シティの従業員になる』と確信していたほど。

 

 コアカードの提供というのはそれほど高度の権利を行使することができる。

 

 そんな環境に対して、生半可な防御は通用しない。

 

 とはいえ……械遊の体質に関連する会議に、『CCの会長』が出てきたそうなので、械遊の意見を通すことはCCの中でも最上位に位置すると考えていい。

 

 それゆえに、大勢がプラチナ上位がコアカードの無駄打ち……要するに『自爆』している。

 

「ただこれで、現状は見えた」

 

 紅嵐はタブレットを操作すると、こちらに見せてきた。

 

【相手の思惑】

 

①:械遊が宝吾に勝ち、ホワイト・シティを手に入れる。

②:プラチナ上位がノーマルランクの械遊から従業員を奪うためにコアカードを提供。

③:しかし、紅嵐とすでに組んでおり、紅嵐によって防御壁が強化されていた。

④:これで、プラチナ上位のコアカード提供による従業員強奪は無効に。

⑤;多くのプラチナ上位が我先にと提供していたため、モールにコアカードが多数流れ込んだ。

 

械遊の資産【数枚のコアカード】【防御壁がかなり強化された中規模私有地】【20人の厳選された従業員】

 

「簡単に言えば、今、プラチナ上位はこういった考えになってるんだよ」

「最後の資産の部分、本来なら【多数のスレイブヒロイン】と【ある程度特権がある中規模私有地】になるが、俺の特権で計算が狂ったのか」

「そういうこと」

 

 事実として械遊には『特権』があり、それによって従業員は守られている。

 しかし、そんなことは誰も知らないのだから、『一緒にいる噂がある星場紅嵐を利用した』と考えるのが自然だ。

 

 そのため、プラチナ上位が手を出そうとしても無効になるほど『械遊が星場紅嵐にコアカードを渡して防御壁を強化した』と考えるのが自然である。

 

 特権の存在をひとまず考えず、彼らは彼らの常識で物事を考える。

 

 その結果、『こういう計算になる』のだ。

 

 ちなみに紅嵐の認識として、械遊と紅嵐が組んでいる云々と、それを前提とした『常識的な流れ』に関しては理解していたが、当然ながら彼はコアカードを械遊から受け取っていないので、『どういうこっちゃ?』となっていたのである。

 

「……ただ、誰もかれもがそう推測するものなのか?」

 

 械遊が首をかしげるのは、『誰もかれもが、物事の順序を考えるのが得意というわけではない』という、悲しい現実のことだ。

 

 誰かが必ず暴走し、そして自爆する。そういうものである。

 

「プラチナ上位くらいしか手を出さないし、そもそもそういった連中はどこかのギルドに所属してる。コアカードはホイホイ提供されているように見えて貴重なんだよ。だから、ギルドの運営権を持ってる連中が、所属するオーナーたちのコアカード提供を制限してる」

「完全に制限しているわけではないだろう」

「それはそうだが、プロパティ・プリズンにいる従業員から奪える……とアイツらが想定できる枚数、動かす権限はない」

「……そうか」

 

 一応……本当に一応だが、暴走を抑制するルールは作っているようだ。

 

「で、アイツらの動きはこれからどうなる?」

「事実として、数枚しかコアカードを持っていないと思われる械遊君に対して、ハンターディスクは『使おうとすら思わない』はずだ。よって狙うのは従業員。こっちは『リクエストディスク』で奪える」

「ハンターディスクは六大私有地に拠点を持ってるやつにしか使えないが、リクエストディスクは、要望をCCに承認してもらう必要がある代わりに、相手のランクに関係なく使えるんだったな」

「そうだ。で、リクエストディスクはかなり緩いから、械遊君レベルの特権があっても、従業員を奪うっていう要望は通るんだよ」

「まあ、『絶対に奪えない』という設定は『一方的な理不尽』だから通らないだろうし、そこまでは元から期待してなかったけどな」

 

 低確率であっても自分の主張を通せる可能性があるからこそ、『欲望』は掻き立てられる。

 

 しかもデュエルを介在するとなれば、緩くなるのだろう。

 

 高度な拒否権と言っても、デュエルを介在しない、特に『自分よりも社員スコアが多い社員からの命令の厳守』から守るためのものだ。

 

「……てことは、リクエストディスクで従業員を奪うために、アイツらは俺に接触してくる。が、そのリクエストディスクは製造コストが高いから、本当に『上』の連中しか狙ってこないと」

「そうなると思うぜ?」

「……そうなると、本当に上位……しかも、今はコアカードがモールに流れてて、上位勢がその回収に引っ張り出されることも考えられるな。獄夜叉は今回の被害の大本だから、情報が速くなるフレアタウンはコアカードを他よりも出していると考えられるし……」

 

 械遊はこめかみを指でグリグリと弄って……。

 

「これ、リクエストディスクを使える『上』しか来ない上に、『フレアタウンはその余裕がない』ってことにならないか?」

「さすがの直感だな。俺もアレコレ情報を集めてそこにたどり着けるけど、この会話だけでそこまで……」

 

 そこまで紅嵐が話した時、彼のデュエルディスクに着信音がなった。

 

「ん? メールか……あ。ごめん械遊君。ちょっと急用ができた」

「そうか。じゃあ、また」

「おう!」

 

 紅嵐は立ち上がると、そのまま近くに止めていたDホイールに乗ってサービスエリアから出ていった。

 

 ★

 

「……思ってたより緊張感が漂ってるな」

「当然かと。コアカードが一気にモールに流れ込むことはほぼありませんから」

 

 械遊と愛智はショッピングモールの中を歩いていた。

 

 普段は人が多いショッピングモールも、プラチナの上位が大勢来ているとなると、とばっちりを受けたらたまらないためか、閑散としている。

 

 オーナーが運営する様々なテナントが並ぶストリートも、今日は臨時休業ばかり。

 

 そして……カードショップの近くに行けば、なおさらその緊張感は強くなる。

 

「……おやおや、今回の騒動を起こした中心人物ではありませんか」

「!」

 

 フードコートに到達した時、械遊と愛智に話しかけてくる男がいた。

 

 群青色のスーツを身に纏った男で、首には水玉模様のネックレスを付けている。

 

「……アンタは?」

「失礼。私は九重亮真(ここのえりょうま)と言います。『清水教(きよみずきょう)九重殿』を任されているものです」

「……清水教?」

「六大私有地の一つ、アクアタウンは清水教によって成り立つ場です。その中でも役職が与えられるものは、それぞれの施設を任されるのです」

「……いったいどんな教義なんだ?」

「清水教の根本となる教えは一つ。『正しいことを成せ』……それだけです。世の中には正しいことがたくさんありますが、それは悪意によって通りません。しかし、それでは世界は正しい姿にはならない。我々はそんな世の中で、正しいことを成すために行動しています」

「正しい事……ねぇ」

 

 械遊は訝し気な表情になった。

 

「で、その清水教の幹部かな? が一体何の用で?」

「我々の提案はただ一つ。現在、プロパティ・プリズンと呼ばれるあの私有地にいる従業員と、そちらにいる鈴原愛智の『保護』です」

「保護?」

「ホワイトサービス社。そして獄夜叉の所有物扱いされ、非人道的な扱いをされていたのはご存じでしょう。そこから解放されたとはいえ……また狙われる。いえ、現在もどこかで奪うことを考える者は多いでしょう。そんな存在から守る必要があります」

「……」

「ノーマルランクであるあなたに、その力はありません。星場紅嵐という情報屋と組んでいることは知っていますが、プラチナランク一人で守り切れるものではない。清水教が保護することが正しい事なのです」

 

 そこまで亮真のセリフを聞いて……械遊は溜息をついた。

 

「話にならん」

「はっ?」

「アクアタウンがどんな場所なのか、清水教がどんなものなのか。それを聞くために黙ってたが、別にそれさえ聞ければどうでもいい。俺は誰とも交渉はしないし、誰のプレゼンも聞くつもりはない。俺から奪いたければ、俺に勝つことだ」

「なっ、ば、馬鹿な……」

「構えろよ。どうせ、リクエストディスクを持ってきてるんだろ?」

「……いいでしょう」

 

 亮真はデュエルディスクを構える。

 

「……正しい事をしなければならない。それがあなたにはわからないとは……どうやら、六車械遊。あなたもフレアタウンの俗物と同じ穴のムジナのようです」

「何とでも言え」

 

 お互いにカードを5枚ドロー。

 

「「デュエル!」」

 

 械遊 LP4000

 亮真 LP4000

 

「さて、私の先攻。『ホワイト・ワールド・ルーラー』で防御を構えて……お灸を据える必要がありますね。私は手札から、『蛇贄(へびにえ)・小林竜胆』を召喚」

 

 蛇贄・小林竜胆 ATK0 ☆1

 

 フィールドに出てきたのは、裸に剥かれて縄で両手首を縛られ、吊られている竜胆。

 

 口には猿轡が噛まされており、声はくぐもっている。

 

「召喚成功時、効果発動。このカードを永続罠扱いで魔法罠ゾーンに置き、デッキから『スネーク』魔法カードを手札に加える。私が手札に加えるのは『スネーク・レイン』です。手札1枚をコストに発動! デッキから爬虫類族モンスターを4体。私は『エーリアン・バイト』1体と『エーリアン・サーヴァント』3体を墓地に送る」

 

 一気に墓地を肥やす。

 

「そして、『エーリアン・バイト』の効果。自分フィールドに『蛇贄』カードが表側で存在する場合、墓地から特殊召喚できる。私はエーリアン・バイトを特殊召喚!」

 

 エーリアン・バイト ATK100 ☆1

 

「エーリアン・バイトの特殊召喚に成功した場合、デッキから任意の魔法カードを手札に加えることができる私は『トライワイトゾーン』を手札に加えて発動。墓地から、レベル2以下の通常モンスターを3体。『エーリアン・サーヴァント』を3体。特殊召喚!」

 

 エーリアン・サーヴァント ATK300 ☆1

 エーリアン・サーヴァント ATK300 ☆1

 エーリアン・サーヴァント ATK300 ☆1

 

「さらに、蛇贄・小林竜胆の更なる効果。1ターンに1度、自分フィールドに爬虫類族モンスターが3体以上存在する場合、デッキから任意のモンスターカードを手札に加えることができる」

 

 亮真が宣言すると、フィールドにいる四の蛇が、一気に竜胆に向かって飛びついていく。

 

「んっ、ぐうううっ、うっ、あああっ!」

 

 竜胆の体に巻き付き、締め上げ、歯ではなく触手が並んだ口で乳首や股間にかみついていく。

 

「ぐっ、うっ……っ!」

 

 四の蛇の尻尾。

 

 それが全て、竜胆の膣にぐじゅぐじゅと音を立てて入っていく。

 

「あああああっ!」

 

 明らかに一本一本が、それぞれ20センチは侵入している。

 

 そのすべてが暴力的な動きで膣を蹂躙し、竜胆は首を振るが逃げることはできない。

 

「フフフッ、はははははっ! 私はデッキから、『絶望神アンチホープ』を手札に加える」

「!」

「私はフィールドの4体の蛇を墓地に送り、現れろ。『絶望神アンチホープ』!」

 

 絶望神アンチホープ ATK5000 ☆12

 

 出現したのは、黒い巨大な体躯を誇る最高ステータスのモンスター。

 

「私はさらに、アンチホープでオーバーレイネットワークを再構築!」

「何?」

「エクシーズ召喚! 現れろランク12『絶望神祖アンチホープ・ラクセズ』!」

 

 絶望神祖アンチホープ・ラクセズ ATK5000 ★12

 

 出現したのは、禍々しい金色の装飾が加えられたアンチホープ。

 

(ラクセズ……『ZEXAL』の逆読みか)

 

 出現とともに巻き起こる風に耐えつつ、械遊は観察する。

 

「このモンスターは、もともとのカード名が『絶望神アンチホープ』のモンスター1体を素材にエクシーズ召喚が可能。そして、魔法カード『絶望神の蛇演奏』を発動。墓地から、レベル1のモンスターを任意の数このカードの素材にし、加えた枚数分、自分の魔法罠ゾーンにある『蛇贄』永続罠カードに、『絶望神カウンター』を置く!」

 

 4匹の蛇がアンチホープ・ラクセズの素材になる。

 

 蛇贄・小林竜胆 絶望神カウンター 0→4

 

 カウンターが乗ると同時に、再度、四の蛇が出現し、竜胆の体に絡みついていく。

 

「ふぐっ、ぐうううっ!」

「私はカードを2枚セットし、ターンエンド。さあ、あなたのターンです」

「俺のターン。ドロー」

 

 カードをドローする械遊。

 

「あなたのデッキが【ガジェット】であるという情報はすでに持っています。そして……アンチホープ・ラクセズが存在する限り、相手は、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク、儀式……これらに該当するモンスターを全て特殊召喚できず、ペンデュラム召喚もできない!」

「封じるのはエクシーズだけじゃないのか」

「何を時代遅れなことを。まあいい。これであなたのデッキは死んだも同然! アンチホープ・ラクセズは相手の効果を受け付けない耐性がある。これを突破できるのならやってみなさい」

「なら、やってやるさ」

 

 械遊はカードを使い始める。

 

「エクストラデッキから『ホワイト・ワールド・ルーラー』を使ってと……手札から『ブリキンギョ』を召喚して、『ゴールド・ガジェット』『シルバー・ガジェット』『グリーン・ガジェット』を特殊召喚。デッキからレッドを手札に」

 

 ブリキンギョ     ATK 800 ☆4

 ゴールド・ガジェット ATK1700 ☆4

 シルバー・ガジェット ATK1500 ☆4

 グリーン・ガジェット ATK1400 ☆4

 

「いくらガジェットを並べたところで――」

「手札の『月鏡の盾』をブリキンギョに装備」

「――意味は、はっ? えっ?」

「これで、ブリキンギョがアンチホープ・ラクセズに突っ込めば、ブリキンギョの攻撃力は5100になるが……戦闘破壊に耐性はあるかな?」

 

 亮真は黙っているので、どうやら戦闘破壊耐性はないようだ。

 

「バトルフェイズ。いけブリキンギョ!」

 

 ブリキンギョが勢いよくアンチホープ・ラクセズに突っ込んでいく。

 

 ブリキンギョ ATK800→5100

 

「ば、馬鹿な……こんな簡単に」

 

 アンチホープ・ラクセズが爆散する。

 

 使い手がアレだが、一応は神。

 倒されれば、爆風が発生する。

 

「ぐっ、くそっ!」

 

 亮真 LP4000→3900

 

「チッ、私はアンチホープ・ラクセズが相手によってフィールドを離れた場合、効果発動! 墓地のアンチホープを、召喚条件を無視し、特殊召喚する!」

 

 絶望神アンチホープ ATK5000 ☆12

 

「さらに罠カード、『絶望神の蛇宴会』を発動。墓地からアンチホープが特殊召喚された場合、自分フィールドの『絶望神カウンター』1つにつき1枚ドロー。さらに、ライフを5000ポイント回復する!」

 

 亮真のカード発動と共に、竜胆に絡みついている蛇たちがさらに蠢く。

 

「ふぐっ、ぐぅ! あがあああっ!」

 

 四の蛇が頭から膣に侵入し、膣の中で暴れまわり、舐る。

 

 亮真 LP3900→8900

 

「フフフッ、この程度の後続確保は当然で――」

「速攻魔法、『ガジェット・マーカー』を発動。自分フィールドのガジェットモンスター1体を含む素材で、リンク召喚を行える」

「そんなカードを……」

「召喚条件は、ガジェット2体以上、フィールドのグリーンと……手札のレッドとイエローを、リンクマーカーにセット!」

「何!?」

「リンク召喚! リンク3『シグナル・ガジェット』!」

 

 シグナル・ガジェット ATK2300 LINK3

 

 出現したのは、プラチナ・ガジェットに似た体格だが、緑、黄、赤の三色で構成されたモンスター。

 

「こいつをリンク召喚する場合、グリーン、イエロー、レッドなら、手札からでも素材にできる。リンク召喚成功時、効果発動。リンク素材にした3色ガジェット1体につき、1枚ドローだ。俺はカードを3枚ドローする」

「この局面で3枚ドロー? 随分卑劣な……」

「さっき4枚ドローしたばっかりだろうに。速攻魔法、『ガジェット・ネットワーク』を発動。ガジェット1体を含む、エクシーズ召喚を行う」

「ぐっ……」

「俺はブリキンギョ。ゴールド、シルバーの3体でオーバーレイ。エクシーズ召喚! ランク4『SH・閃光アスナ』!」

 

 SH・閃光アスナ ATK2500 ★4

 

「それがあなたのスレイブヒロインですか。だが、その程度の攻撃力では、到底及ばない!」

「チェーン1に月鏡の盾、チェーン2にアスナの効果。エクシーズ素材を一つ使い、相手フィールドの魔法、罠を破壊する。これにチェーンはできない! 残ったセットカードを破壊する!」

「ぐっ……」

「ライフを500払って、月鏡の盾はデッキボトムに置く」

 

 械遊 LP4000→3500

 

「チッ、ですが、それが限度でしょう!」

「さらに速攻魔法、『RUM-フェニックス・フォース』を発動! 自分フィールドのエクシーズモンスター1体を素材に、テキストにパイロ・フェニックスが記載されたランクが1つ高いモンスターをエクシーズ召喚する」

「ぱ、パイロ・フェニックス、一体何を言って……」

「フェニックス・エクシーズ・チェンジ! ランク5『SH・不死鳥素(フェニリウム)アスナ』!」

 

 SH・不死鳥素アスナ ATK2900 ★5

 

 出現したのは、胸元と足の大部分を晒した赤い着物を身に纏うアスナ。

 

「す、スレイブヒロインが進化だと?」

「アスナが、『SH・閃光アスナ』を素材にエクシーズ召喚された場合、効果発動! デッキから、パイロ・フェニックスの名前がテキストに記された永続魔法か永続罠を表側で置くことができる。俺は永続魔法、『転生炎獣の超素材(サラマングレイト・マテリアル)』を置く」

「い、一体何が」

「アスナの更なる効果! お互いのターン中。自分フィールドのモンスター全てを炎属性扱いとして、リンク召喚できる!」

「このバトルフェイズ中に、どれだけエクストラデッキから出すつもりだ!」

「俺の気が済むまでだ! 召喚条件は、炎属性2体以上。俺はアスナとシグナル・ガジェットを、リンクマーカーにセット!」

 

 シグナル・ガジェットが3つのマーカーになってアローヘッドに飛び込み、アスナは背中から翼を出現させて、飛び込んでいく。

 

「転生リンク召喚! リンク4『転生炎獣パイロ・フェニックス』!」

 

 転生炎獣パイロ・フェニックス ATK2800 LINK4

 

「ぐっ……出てきましたか」

「アスナはリンク素材になるとき、カード名をパイロ・フェニックスとして扱う。転生効果発動! 相手フィールドのカードを、すべて破壊する!」

「ぐっ、くそおおおおっ!」

 

 アンチホープも、竜胆も、炎の不死鳥が全て焼き尽くす。

 

「まだバトルフェイズ中だ。パイロ・フェニックスで、ダイレクトアタック!」

 

 パイロ・フェニックスの右腕に炎が出現し、放出。

 それは亮真にまっすぐ向かい、彼を焼いた。

 

「ぐっ……」

 

 亮真 LP8900→6100

 

「ふっ、フフフッ、バトルフェイズ中の連続召喚。驚かせてくれましたが、ここまでのようですね」

「アスナを素材に転生リンク召喚したパイロ・フェニックスは、追加効果を得る」

「何?」

「自身を素材に、エクストラデッキから、パイロ・フェニックス1体をリンク召喚できる!」

「馬鹿な!」

「パイロ・フェニックス1体を、リンクマーカーにセット! 転生リンク召喚! 転生炎獣パイロ・フェニックス!」

 

 転生炎獣パイロ・フェニックス ATK2800 LINK4

 

「ば、馬鹿な……」

「全破壊効果に名称ターン1はないから使えるが、まあここはいいか。ダイレクトアタック」

「ぐおおおおおおっ!」

 

 亮真 LP6100→3300

 

「ぐっ、はぁ、はぁ」

「俺は、アスナによって付与された、パイロ・フェニックスの効果発動!」

「な、ば、馬鹿な! そのパイロ・フェニックスは、自身1体だけを素材としたはず!」

「俺のフィールドの永続魔法『転生炎獣の超素材(サラマングレイト・マテリアル)』により、俺の転生リンク召喚したパイロ・フェニックスは、墓地に存在する、テキストにパイロ・フェニックスが記されたエクシーズモンスターを、全て素材扱いにできる!」

「な……ということは……」

「現れろ。3体目! 転生炎獣パイロ・フェニックス!」

 

 転生炎獣パイロ・フェニックス ATK2800 LINK4

 

「ダイレクトアタックだ」

「うおおおおおおっ!」

 

 亮真 LP3300→500

 

「がっ、かはっ、で、ですが、もうエクストラデッキにパイロ・フェニックスは……」

「アスナによって付与された、パイロ・フェニックスの効果発動!」

「何!?」

「アスナの効果は、墓地のパイロ・フェニックス1枚をエクストラデッキに戻すことをコストに、発動することも出来る。4回目だ! 転生炎獣パイロ・フェニックス!」

 

 転生炎獣パイロ・フェニックス ATK2800 LINK4

 

「これで終わりだ。やれ、パイロ・フェニックス!」

「こんなことがあってたまるかあああああああああああああああああっ!」

 

 亮真 LP500→0

 

 真っ黒に燃え尽きた(死んではいない)亮真をしり目に、械遊は小林竜胆のコアカードをデッキの格納部に入れた。

 

「……械遊様」

「なんだ?」

「その、『転生炎獣パイロ・フェニックス』のこだわりは、一体何なのですか?」

「内緒」

 

 端的に告げると、械遊はその場を後にする。

 

 愛智は溜息をつきながらも、械遊についていった。

 

 ★

 

 その、およそ三十分後。

 

「くそっ! 六車械遊。私を虚仮(コケ)にするとは……この屈辱は絶対に晴らす!」

 

 治療カプセルにはいった亮真は元気そうにしていた。

 

 ハイヤーに乗って不機嫌そうな表情だが……まあ、あんな滅茶苦茶なデュエルをされたら、文句の十や二十、出てくるだろう。

 

「……ふう、ん? すみません。そこで止めてください」

 

 亮真はとある私有地の前でハイヤーを止めてもらう。

 

「誰だ! ……り、亮真様! 失礼しました」

 

 出入り口にいたのは、青いスーツを着ている男。

 言動を考えると、亮真の部下か……少なくとも清水教の関係者だろう。

 

「……構いません。それで、ここは確か、獄夜叉の私有地の一つでしたか」

 

 そう言いながらも、亮真は私有地の中に入っていく。

 

「ええ、その通りです」

 

 部下であろう男は亮真についていきながら頷く。

 

「ですが、すでに『九重殿』によって制圧が完了しています。プラチナ上位がモールに入り込んでいることもありますが、戦力が揃っていない様子でした」

「なるほど」

「あ、亮真様。こちらへ」

 

 部下が案内したのは、一つの建物だ。

 出入り口を抜けるとその先は広いロビーとなっており……頑丈な手錠で拘束された従業員たちが並んでいる。

 

 そして、一つの大きな『拘束台』が存在し、一人の少女が裸に剥かれ、鉄の枷で固定されている。

 

 周囲に存在する機器を考えれば、電流拷問だろうか。

 

「こちらは?」

「この私有地のメイン部分です。彼女たちは、ここで使われていた人たちですよ」

「そうですか」

 

 亮真は従業員たちのところに行く。

 

「……あ、あの、あなたは……」

「私は九重亮真。簡単に言えば……ここを制圧した男たちのまとめ役のようなものです」

 

 笑みを浮かべて言う亮真。

 

「た、助けていただき、ありがとうございます」

「いえいえ、清水教は、このアリの巣の中で、『正しいことを成す』という教えの元で行動する者たちですからね。拷問ショーを行う獄夜叉の私有地の襲撃は、むしろ当然のこと」

「この恩は忘れません」

「フフッ」

 

 亮真が微笑んでいると、遠くから男が走ってくる。

 

「亮真様! 鍵の束を発見しました!」

 

 その手にはリングを持っており、多数の鍵がジャラジャラとついている。

 

「ふむ、どうやら君たちが付いている枷の鍵のようですね」

「亮真様。どうぞ」

「ええ」

 

 笑顔で受け取る亮真。

 

「わ、私たち。助かるんですね」

「ええ、その通り。我々が『保護』しますよ」

 

 そう言いつつ……亮真は鍵を一つとると、拘束台のモニターにつきさして、その傍のレバーを大きく動かした。

 

 

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!

 

 

「ぎゃああああああああああ! あがああああああああああああああっ!」

 

 高圧電流によって絶叫する少女。

 

「ふむ、なるほど、獄夜叉の拷問器具は出力もすごい」

「……え、り、亮真様?」

「どうかしましたか?」

「わ、私たちを、助けてくれるんですよね」

「ええ、そうですよ。我々があなたたちを保護します」

「こ、ここにあった物は……」

「ああ、それですが……」

 

 亮真は笑顔のままで言う。

 

「『全ての作られたアイテムは、有効活用するためにあるのであって、破棄されるべきではない』……これは正しい事です。拷問器具にとっての有効活用とは、拷問するに値する外見を持つ存在に限界を超えた刺激を与え、見世物とし、それに興味を持つ者たちの欲望を満たすこと」

「どめでええええええええええええ! しぬ、しんじゃう! あがああああああああああああああっ!」

「うるさいですね」

 

 亮真はレバーを戻して、電流を止めた。

 

「そ、そんな、そんなの、ここにいた人たちと同じじゃない!」

「違います。行動の根本に正義があるかどうか。これが重要なのです。彼らにはなく、我々にはある。よって、我々は正しい。さて、説明はこの程度で良いでしょう」

 

 

 バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂッ!

 

 

「ひぎいいいいいいいいいいいいいっ!」

 

 再び絶叫する少女。

 

「さて、獄夜叉の拷問器具は毎度質が高い。この器具も、治療液込みで、肉体を再利用できる程度の出力に抑えられているはず」

「では……」

「ええ、こうして拘束された状態で出会ったのです。こうして電流を流し続ければどうなるか。試してみるのも良いでしょう。『出会いを大切にすること』と、『実験の必要性を蔑ろにしない』ことは、正しい事ですから」

「わかりました」

 

 笑みを浮かべる亮真。

 

「さて……六車械遊。奴に渡ったコアカードにはウイルスが仕込んである。次にデュエルする時が楽しみですね」

 

 そう呟きつつ、亮真は悲鳴の鳴りやまぬ施設を歩いていく。

 

 ★

 

「ほい、ウイルス削除っと。いやー、我ながら、直感って反則だな」

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