精豪ぐだおくんがマシュを守るために自分を邪魔する他のマスターたちからサーヴァントを寝取って更に最強になっていくお話 作:LLLSTAR
ノーム・ムノーと騎士王
このカルデアには、実に無能な男がいる。
名をムノー・ノームというその男は、マシュのマスター権限と自身の栄誉を求める我欲の強い魔術師であった。
そこそこに高名な魔術師の家に生まれた彼は、一般的な魔術師がそうであるように道徳心に欠けた、周囲を見下す人間へと成長を遂げた。
このカルデアに来て、自分が数多くの犠牲者を出した爆発事故の数少ない生き残りであることを知った彼は、その悪辣な性格に拍車をかけたようだ。
既に彼の頭の中では自分が人理を修復し、英雄となった未来が完成されている。
その空想を現実のものとするために職員を抱き込み、財力を活かして多くの英霊を召喚する彼の姿を見て、他の魔術師たちもこぞって英霊召喚を繰り返した。
……要するに、このムノーという男は現在のカルデアの内部対立構造を作ってしまった張本人なのだ。
まあ、自分以外の人間を見下し、顧みない魔術師たちが集まっている以上、彼がやらずとも他の誰かが原因となっただろう。
しかし、真っ先に行動した彼がある程度のイニシアチブを掴んだことは確かで、カルデア内ではムノー派と呼ばれる勢力がかなりの力を持っている。
何を隠そう、彼は無能だが財力も権力もあり、そして運も持っている男なのだ。
マスターとなった魔術師たちが自分たちの運命をかけて英霊召喚に臨む中、彼は実に珍しいサーヴァントを二体も引き当てた。
本来は相応の縁を結ばなければ召喚できないはずの英霊たちも、魔術師たちが狂ったように召喚に臨んだことで奇跡的にカルデアへと呼び寄せられたようだ。
まず最初にムノーが召喚したのは、アルトリア・ペンドラゴン……ただし聖剣使いではなく、聖槍を武器として振るう
文句なし強力な英霊を引き当てたムノーはこの時点で随分と調子に乗っていたが、そんな彼に更なる幸福が訪れる。
なんと、アルトリアと同等かそれ以上に希少なサーヴァントである、源頼光の召喚に成功したのだ。
この幸運に、ムノーは狂気乱舞した。
ステータスから見てもこの二人が相当に強力なサーヴァントであることは間違いないし、自分以外に彼女たちを召喚したマスターがいないことからも希少性の高さがピカイチであることも間違いない。
他にも数多くのサーヴァントを召喚したムノーであったが、(メタ的に言えば限定鯖と呼ばれる)二人の強力かつ希少な女英霊を召喚できたという事実は、彼を更に増長させた。
……だが、世の中はそう甘くはない。そして、彼は運も財力も権力もあるが、無能だった。
こうして数え切れないほどのサーヴァントたちを召喚した彼は、育成素材の枯渇という現実に直面する。
霊基を育成するための種火も、再臨やスキルを育てるための素材も、それら全てで必要になるQPも……何もかもが足りない。
こればっかりはどれだけの財力があろうともどうしようもないという現実を知ったムノーは、他の魔術師たちも同じ状況に陥っていることを知ると共に今後の方針を定めた。
彼が定めた育成方針、それは……引き当てた英霊たちの内、強力かつ希少なサーヴァントであるアルトリアか頼光のどちらかを集中的に育成するというもの。
あまり強くなさそうな(これもメタ的にいえば低レアの)英霊たちも素材にして、一体の強いサーヴァントを育てようと考えたのである。
これに関しては人それぞれの評価があるとは思うが……数多くの英霊たちを召喚しておいて、実際に育てるのは一人だけという判断が正しいかと聞かれると、多くの人間が首を傾げるだろう。
だがまあ、ムノーは止まらない。こうして方針を定めた彼は、次にアルトリアと頼光の内、どちらを優先して育成すべきかを考えていく。
さて、ここで問題だ。このムノーという男が自分の育成するサーヴァントを決める時、何を優先事項とするだろうか?
他の英霊たちとの兼ね合い? そのサーヴァント自身の能力? これから攻略する特異点で出現する敵との相性?
正解は……単純に、純粋に、
出世欲をはじめとした欲望にあふれる男であるムノーは、当然ながら性欲も相応に持っていた。
彼が狂ったように
さて、ここでもう一度問題を出そう。
そんなムノーが自分のお気に入りとするのは、次の二名の内どちらだろうか?
片方は獅子を思わせる武骨な鎧に身を包み、顔すらも見せずにいる巨大な馬に跨った物静かな騎士。
もう片方はおっとりとした和美人であり、その魅力的な女体のラインを惜しげもなく晒すぴっちりとしたタイツのような衣装を纏った女武士。
マスターとサーヴァントとしての一線を引いて接するアルトリアと、どこか危険な愛情を向けてきて距離を詰めてくる頼光の二人を見比べたムノーが下した判断など、誰にだって想像がつくだろう。
ムノーは頼光をお気に入りのサーヴァントに選んだ。そして、彼女を優先して育てることを決めた。
強力な英霊であるが故に大量の種火や経験値を必要とする彼女たちの内、どちらかを優先して育成するというのは間違った判断ではないのだろうが……頼光が彼に深くも危険な愛を向けるように、ムノーもまた頼光という女の魅力に溺れていく。
気が付けば、彼女以外の英霊たちに見向きもしなくなったムノーは、今日も大のお気に入りである頼光をはじめとしたサーヴァントを引き連れ、戦闘訓練を行っていた。
戦闘訓練といっても難易度は大したことはなく、弱い敵を倒してムノー自身が気持ち良くなるためだけのお遊びのようなものである。
しかし、そんなお遊びの中でも彼自身の無能さと思慮の浅さが見え隠れしていた。
「お疲れ~、頼光ママ~! やっぱりママはすごく強いな~! こんなママが一緒に戦ってくれて、本当に心強いよ~!」
「母は大したことなどしていませんよ、マスターの的確な指示があってのことです」
「ありがとう、ママ! 今日も疲れたし、訓練を切り上げてマイルームに戻ろうよ! 頑張ってくれたママのために、魔力供給頑張るからさ!」
「あらあら……! マスターからそんなに求められては、母は滾ってしまいます……♥」
いい歳の人間であるはずのムノーが、子供のようにべたべたと頼光に甘える。
狂戦士としての歪んだ思考と持ち前の母性愛によってそんな彼の振る舞いに恍惚とした笑みを浮かべながら応えた頼光がムノーに連れられてシミュレーションルームを後にする中、チームを組んでいた他のサーヴァントたちと共に取り残されたアルトリアは、深いため息を吐いた。
「ふぅ……」
周囲からの憐れみの視線から逃れるように、部屋の隅に移動したアルトリアが床へと視線を落とす。
他のサーヴァントたちが次々と部屋を出ていく中、最後まで残った彼女は言いようのない苦しみに兜の下で苦悶の表情を浮かべていた。
(この程度の敵を相手にまるで歯が立たないとは……霊基が育っていないとはいえ、騎士王の名前が泣くような醜態だな……)
先の戦いにおいて、霊基が全く育っていないアルトリアはただの雑魚エネミーにもまるで歯が立たなかった。
敵を倒すどころか逆にやられかけたところを育成が進んでいる頼光に助けられ、他のサーヴァント同様に彼女の活躍をただ見守っていただけだ。
仮にも王であり、勇猛な騎士として称えられていたアルトリアにとって、その状況はただただ屈辱でしかなかった。
あの騎士王が頼光ならば片手間で倒せるような弱い敵に敗北しかけ、毎回のように助けてもらっている姿を晒している……ムノーと契約したサーヴァントや彼の戦いを見守る取り巻きたちに自身の醜態を見られる度に、アルトリアの心は羞恥と悔しさに染まっていく。
ムノーは理解していないきらいがあるが、サーヴァントたちも使い魔ではあると同時に誇り高き英霊だ。
マスターに従う存在である彼ら彼女らにもプライドがある。その部分を尊重し、互いのことを理解し合うことでマスターとサーヴァントは絆を深めていくのだが、ムノーがアルトリアにしていることはそれとは真逆の行いだ。
アルトリアの誇りを踏みにじり、彼女との相互理解を拒絶して、見向きもせずに乱雑に扱っている。
これでは彼女との絆が育まれるはずもなく、むしろアルトリアの心はムノーから離れつつあった。
(いけない。マスターにはマスターなりのお考えや事情があるはず。それを疑うなど、契約者としてあってはならないことです)
しかし、誇り高き騎士であり、更に成熟した大人としての一面も持つランサーの彼女はムノーに対して悪感情を抱き切れずにいる。
サーヴァントとして、自分を召喚した者に忠誠を誓おうとする彼女の献身は素晴らしいものではあるが、今のところそれが報われる様子はない。
例えば彼女が反逆の騎士ことモードレッドのような性格をしていたら、状況が変わった可能性はある。
ただ、アルトリアはマスターの傍に仕える者として、自己主張をしないよう振る舞っていた。
それが良いか悪いかは人それぞれの考えにもよるだろうが、少なくともムノーのような男にははっきりと意見を伝えないとこういった状況になるということなのだろう。
優れた実力を持ちながら
だが、それも仕方のないことだと自分に言い聞かせ、去っていったムノーたちを追って自身も帰投しようとした彼女の前に、一人の青年が姿を現す。
「こんにちは、ちょっといいかな?」
「あなたは……?」
柔和な笑みを浮かべながら声をかけてきた東洋人の青年……藤丸立香の顔を見つめたアルトリアが少し驚いた声を出す。
兜を着けているのでその表情は彼には見えていないのだろう。立香は笑みを浮かべたまま、彼女と話をし始めた。
「ランサーのアルトリア・ペンドラゴン……だよね? マスターはムノーさんであってる……よね?」
「ええ、その通りです。それで、私に何か用が?」
立香の質問に対してアルトリアが肯定の返事をすれば、彼はこんな頼みごとを口にしてみせた。
「本当に申し訳ないんだけどさ……これからやる俺の戦闘訓練に付き合ってくれないかな?」
「戦闘訓練? 何故、私に?」
「いや、たまたまここにいたからっていうのが理由なんだけどさ、前衛を担当してくれるサーヴァントがいてくれると助かるんだよ。俺、キャスターのサーヴァントしか仲間にできてなくって……」
そう言いながら立香がアルトリアから視線を外し、背後を見やる。
アルトリアもまた彼の視線の先へと顔を向ければ、そこには
こちらを軽く見ながら手を上げる彼の姿を目にしたアルトリアは、なるほどと立香の言い分に納得する。
同時に、カルデア内でサーヴァントを貸し合うサポートシステムがあることに思い至った彼女へと、立香がこう続けた。
「どうかな? ムノーさんに承諾を得ずに力を借りるのは悪いかもしれないけど、アルトリアが力を貸してくれればカルデアから報酬の
「……まあ、そうですね。事後承諾でも、マスターなら何も言わないでしょう」
修練場や宝物庫への参加ならまだしも、これはただの戦闘訓練だ。
アルトリアが立香に手を貸したところで彼がサーヴァントの育成素材やQPを手にするわけではないし、主への背信行為にはならないだろう。
「いいでしょう、藤丸立香。あなたの訓練に付き合ってあげます」
「本当!? ありがとう、アルトリア! 嬉しいよ!」
「……ですが、私の戦闘能力に関しては期待しないでください。霊基が育っていませんので」
「そうなの? でも、あの騎士王が一緒に戦ってくれると思うと心強いよ。頼りにさせてもらうね、アルトリア」
「………」
屈託なく笑いながら信頼を寄せてくれる立香の態度に、罪悪感とも喜びともいえる感情を抱いてしまうアルトリア。
この青年の前では先の訓練で見せてしまった醜態は晒さないようにしようと考えながら、彼女は立香の指揮の下、彼の戦闘訓練に付き合うのであった。
「本当にありがとう、アルトリア! いい訓練になったよ! アルトリアは頼りになるね!」
「いえ、あの程度の敵、苦戦しないのが当然です。あなたの指示も良かったですよ、藤丸立香」
「ははっ! 騎士王から褒めてもらえるだなんて、光栄だなぁ……! あ、これ、飲み物。良ければどうぞ」
「ありがたく頂戴しましょう。感謝します」
一時間後、戦闘訓練を終えたアルトリアは少し前の鬱屈とした気分が嘘であるかのような晴れやかな気分になっていた。
理由は単純明快で、文字通り、いい戦闘訓練ができたからだ。
サーヴァントを一騎しか所有していない立香の訓練は、ムノーが遊びで行うそれよりも圧倒的に難度が低いものだった。
敵も弱く、数も少ない、本当に簡単なシミュレーションではあったが、霊基が全く育っていないアルトリアにとって、それは実にちょうどいい難易度だったようだ。
LVは1であろうとも、彼女は騎士王。秘めている実力は相当なものを持っている。
そんな彼女がキャスターのクー・フーリンの援護を受けながら前衛を張れば、有象無象の雑魚エネミーなど全く相手にならなかった。
「やっぱり前衛を担当してくれるサーヴァントがいると安定感が違うな~。その分、指揮も難しくなるんだけどさ」
「あなたの指揮能力は悪くない。戦力が揃えば、十分立派なマスターとして戦いに臨めるでしょう」
「本当!? そこまで言われると逆に恐縮しちゃうなぁ……」
アルトリアはお世辞で立香を褒めているわけではない。実際、彼の指揮は見事なものだったと思う。
相手が弱かったという部分もありそうではあるが、前衛の自分と後衛のクー・フーリンを上手く連携させるように動かせていたなと考えた彼女は、久しく忘れていた充実感を覚えていた。
「……感謝します、藤丸立香。なかなかに実りある訓練となりました」
「あはは、お礼を言うのは俺の方だって! 助けてくれてありがとう、アルトリア!」
思わず口から出た感謝の言葉は、ムノーの下では味わえなかった満足感を得られたことに対するアルトリアの素直な気持ちだった。
訓練で苦戦し、自分とは逆に活躍する頼光の姿を見せつけられ続けて自信を喪失しかかっていた彼女は、立香との関わりの中で気持ちを立て直せたようだ。
そんなふうに穏やかな笑みを浮かべているアルトリアの顔をじっと見つめた立香は、声色に少しだけ真剣さをにじませながら口を開く。
「あ~あ、アルトリアが俺のサーヴァントだったらよかったのになぁ……強くて頼りになるし、こんなに綺麗なんだもん。ムノーさんが羨ましいよ」
「っっ……!? きゅ、急に何を言うのです、藤丸立香。驚いてしまったではありませんか――うっ!?」
おどけているようで真剣さが隠せていない立香の言葉に、驚きを露にするアルトリア。
今度は兜を身につけていないせいでその表情は彼の前に曝け出されており、ほんのりと赤く染まった頬が彼女の照れを物語っている。
強い、頼りになる、そして……綺麗。
聖剣を手放し、女性としての自覚を深めた彼女だからこそ受け入れてしまうストレートなその褒め言葉に焦っていた彼女は、突如として視界が歪んだことで立ち眩みを起こしてしまった。
「アルトリア、大丈夫!?」
「え、ええ、問題ありません。少しよろけただけです」
そうやってよろめいたお陰で先の恥ずべき反応をごまかすことはできたが、立香を不安がらせてもいた。
優しい笑みから一変、申し訳なさそうな表情を浮かべた彼はアルトリアへと頭を下げながら言う。
「ごめん。二連続で戦闘をしたら、そりゃあ疲れてるよね。今日は終わりにするから、部屋でゆっくり休んでよ。力を貸してくれて本当にありがとう」
「気にしないでください。どうやら、私は自分が思っている以上に鈍っているようです。この程度で疲弊するだなんて……」
「召喚されて間もないんだし、仕方ないよ。FPの申請は俺がやっておくから、悪いけどムノーさんへの報告だけ頼んでもいいかな?」
「ええ、わかりました。では、これで失礼します」
水を飲むために外していた兜を再び装着したアルトリアが訓練場を去っていく。
彼女に渡した水筒を手にしながら、その中身の大半がなくなっていることを確認した立香は、僅かに笑みを浮かべるのであった。
(なにか、変だ……体の調子が、おかしい……)
立香と別れ、自室に戻ろうとしていたアルトリアは、自分の体に起きた異変をはっきりと感じ取っていた。
頭がぼうっとし、体がかあっと熱くなり……まるで風を引いたような、されどそれとは違う雰囲気が彼女の体を包み込んでいる。
鎧に覆われた大きな胸、その内側にある心臓の鼓動がいやに大きく響いているような感覚を覚えながら、おぼつかない足取りで歩みを進めていたアルトリアは、荒い呼吸を繰り返しながら思う。
(魔力が、欲しい……マスターに魔力供給を頼むべき、か……?)
本来、カルデアに召喚された英霊たちは現世に留まるために必要な魔力をカルデア側に電力を変換して生み出してもらっている。
なので、基本的に性交をはじめとした魔力供給を行う必要などないのだが……カルデアに在籍しているマスターたちの大半は、見目麗しい彼女たちを抱くためにこの建前を用いてセックスを行っていた。
現にムノーが先の訓練の終わり際に頼光との魔力供給=セックスを行うことをほのめかしていたように、このカルデアではむしろ非効率的と言われている体液を介しての魔力供給が多々行われている。
無論、十人以上の契約サーヴァントたちに対して、マスターは一人であるために一度に全員を抱くことなどできない。
マスターたちは体力に余裕がある時に各々が気に入った女英霊を夜伽の相手として呼び寄せ、お楽しみに興じるというわけだ。
ムノーもきっと、頼光を相手に魔力供給を名目に性交をしているはず。
立香の手助けをして得たFPを手土産にすれば、自分もその中に加われるかもしれないと考えたアルトリアは、ごくりと生唾を飲み込むと共にムノーのマイルームの扉を叩き、彼に声をかけた。
「マスター、アルトリアです。少しよろしいでしょうか?」
暫し、無音。その後で扉のロックが解除されたことを確認したアルトリアがムノーの私室へと足を踏み入れれば、その中には予想通りの光景が広がっていた。
「んん……っ♥ いかがです、マスター? 母の蜜壺の中は、心地良いですか……?」
「ああ……! 最高だよ、頼光ママ! ずっとこうしていたいくらいだ……!!」
比較的シンプルな、されど他のマスターたちの白い殺風景な部屋とは違う、ややノスタルジックかつ豪華に改造されたムノーのマイルーム。
その中でも目を引くレースに周囲を囲われたベッドの上で、彼は頼光と交わっていた。
具足の大半を脱ぎ捨て、されど自身がただの女ではなく英霊という特別な存在であることを示す程度には身に着け、普段は紫のボディスーツに覆われている爆乳と巨尻を惜しげもなく晒し、揺らしながらベッドに寝転がるムノーの上に跨る頼光は、雌の表情を見せながら彼に奉仕している。
ムノーはそんな頼光の姿を眺めながら、夢見心地といった表情を浮かべていたのだが……アルトリアの方を向くと、彼女へと声をかけた。
「で? なんの用だ? 俺は今、見ての通り忙しいんだ。何かあるならさっさと報告しろ」
「も、申し訳ありません。先ほど、藤丸立香の戦闘訓練に協力したので、その報告と入手したFPをお渡ししようと思いまして……」
「なんだ、それだけかよ。そんなどうでもいいこと、明日でも良かったじゃないか」
「……申し訳ありません、マスター」
謝罪の意を示すため、兜を外して頭を下げるアルトリア。
そんな彼女を一瞥したムノーは、舌打ちを鳴らすと不機嫌そうに言う。
「報告はそれだけか? だったらFPを置いてとっとと出ていけ。物騒な鎧を着た奴が傍にいると、折角ママと一緒なのに全然安らげないだろうが」
しっしっ、と虫でも払うようにアルトリアを追い払うムノー。
頼光も申し訳なさそうな表情を浮かべて彼女のことを見つめており、自分が二人にとって邪魔者でしかないことを理解したアルトリアは黙って部屋を出ていく。
扉が閉まる寸前、嬉々として腰を振り始めたムノーの猿のような叫びと頼光の嬌声を聞いた瞬間……アルトリアの惨めさと内側で燃える炎が、最大限に膨れ上がった。
マスターであるムノーに見向きもされなかった虚しさと、もしかしたら彼からの寵愛を受けられるかもしれないという期待を裏切られたことへのショックを同時に味わいながら、アルトリアは夢遊病者のように廊下を歩き始める。
体の内側で燃える炎は、全身の疼きは、アルトリア自身ではどうしようもないほどに高まっている。
ムノーとの魔力供給でそれを解消しようとしていた彼女であったが、その願いは無残にも打ち砕かれた。
このまま部屋に戻り、惨めに自分で自分を慰めるという方法もある。
だが、今日まで辛酸を舐め続けてきたアルトリアにとって、これ以上の屈辱を味わうことだけはどうしても避けたいことだった。
誰でもいい。誰でもいいから、この疼きと熱をどうにかしてほしい。
そう思いながらカルデアを歩き続けたアルトリアの足は、何かに導かれるようにして立香の部屋へと向かっていた。
(これが裏切りだということはわかっている。だが、もう――っ!!)
自分が望んでいることが、それをマスターではない人間に求めることが、ムノーへの背信であることは理解していた。
それでももう……アルトリアには自分を止めることができない。僅かに理性を、罪悪感を残しながら、彼女は室内の立香を呼ぶべくインターホンに手を伸ばす。
『はい、藤丸ですけど……?』
「……藤丸立香、私です。アルトリアです。少し、よろしいでしょうか?」
ここで彼に断られたら、もうどうしようもないとアルトリアは思った。
敵だらけのカルデアの中で、他人のサーヴァントの唐突な来訪を訝しんだ彼が自分を拒む可能性は十分にある。
だから、アルトリアは期待を燃え上がらせながらもどこか冷めた感覚を抱いていたのだが……立香は部屋のロックを解除すると、自ら扉を開け、彼女を迎え入れてみせた。
「どうかしたの、アルトリア? FPが受け取れなかったとか?」
自分に問いかける立香に何も答えないまま、アルトリアは彼のマイルームへと足を踏み入れる。
ムノーのそれとは違う、最低限の設備しかない殺風景な部屋の中にあるベッドを目にした彼女は、小さく息を吸ってから静かに口を開いた。
「藤丸立香……急にこんなことを言われて驚くとは思います。ですが、あなたにしか頼めないのです。どうか、何も言わずに――」
そう言いながら兜を外す。熱を帯びて潤んだ瞳と、どこか期待の色に染まった顔が露わになる。
続けて、白銀に輝く鎧を消し、その下にある青いレオタードのようなインナーすらも消し去った彼女は、頼光にも負けないくらいに大きな胸と尻を、女としての魅力が詰まった裸体を立香に見せつけながら、懇願した。
「――私に、魔力供給をしていただけないでしょうか?」