※この作品はR-18です。

園田智代子さん(20)、Pにイカされっぱなしで危機感を持つ   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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園田智代子さん(20)、Pにイカされっぱなしで危機感を持つ(前編)

 ピエール・マルコリーニのパレ・ファンは、そわそわと甘く、じわじわとしょっぱい。

 甘くて、しょっぱい。

 

 それが、ヒミツの合図。

 

 

※

 

「ちょこ先輩っ、何かいいコトがあったんですか?」

「んー、そうだねぇ……」

 

 事務所の談話スペースは、私と果穂の二人きり。果穂は、私が手に持っている紙箱に目線を注いでいました。

 紙箱は、私がめいっぱいに開いた手のひらより少し広い底面積と、私がめいっぱいに立てた親指より少し短い高さをしています。飾り紐と、ざらざらとマットな感触の包装紙は、どっちも真っ白。フタの中心に小さく、カカオ豆一粒のマーク。

 紐をほどいてフタをあけると、私の手でもひょいってつまめそうな小さく薄いカレ(正方形)のチョコが、3×3に敷き詰められています。

 

「……んん? 果穂は、どうしてそう思ったの?」

「そのチョコレートですっ。なんだか、その……ふ、奮発してる感じがしますっ」

「おー、果穂はお目が高い! けっこういい値段するらしいよ」

「らしいよ?」

「もらい物なんだ。私が買ったんじゃないの」

 

 これ、9個入で、個包装じゃないから、分けにくいでしょ? と続けると、果穂は腑に落ちたようです。

 その理屈で納得してくれるなら、これを買ってきたのがプロデューサーさんだとは思わないだろうし、ましてこれの意味するところも知らないままでいてくれるでしょう。

 

「ええと……ぴ、ぴえーる・まるこりーに……? ですか?」

「そう。ピエール・マルコリーニ、ブリュッセル。ベルギーのチョコレートなの」

 事務所の冷蔵庫に、ピエール・マルコリーニのパレ・ファンが入れてあるのは、私とプロデューサーさんの間だけで通じる符牒です。

 意味は……『きょう、えっちシたい』……なんて意味、です。

 

「これは、パレ・ファンってチョコレートね。フランス語で、意味は……忘れちゃった。何種類か入ってるけど、どれもチョコレートとキャラメルが使われてるの。味は……香ばしくて、甘くて……ちょっとだけ、しょっぱいの」

「なるほど。味的にも、ちょこ先輩ならあんまり買いそうにないものですね」

「甘味に塩気は『じゃ道』だよねぇ」

 

 ピエール・マルコリーニのチョコレートは、かわいくてきれいでおいしくて、プチぜいたくぐらいのお値段がします。初めてプロデューサーさんが持ってきた時は、私なんか平凡な女子高生だったから、ちょっとひるんじゃいました。今だって、気軽に買うものではないです。

 でもプロデューサーさんは、私がコンビニでチョコを買うぐらいの勢いで、これを買ってきます。東京駅の駅ナカにお店があるから、本当に乗り換えか何かのついでで買ってきちゃったのかな、なんて思っちゃいます。

 

「でも、おいしいんだよ。『塩気が後を引く』っていうの、チョコでもあり得るんだ……って、コレ食べて、私、わからないでもないかなって思った」

 

 3×3の一番右上、『CARAMEL BEURRE SALE』と白抜きで印された一片のカレを、親指と人差し指と中指を使って片手でつまみ上げます。くちびるでくわえると、外のチョコはしっかりしているけど、チョコで覆われていた中のフレーバーは、私の体温で柔らかく崩れていきます。チョコレートとあわせて、バターや塩をほんのり利かせたキャラメルソースが、舌や歯に触れる前から、私の中に否応なく流れ込んできます。

 流れに押されるように、私は目蓋が勝手に閉じてって、心臓とその少し下のあたりが、そわそわシちゃいます。ほかのチョコでは、こんな感じにはならないです。

 プロデューサーさんが『えっちシたい』って思ってる味なんだ……って、体が覚えちゃったんでしょうか。

 

「……あ、あのっ、ちょこ先輩……」

「果穂も、食べる?」

「ちょ、ちょっとへんなこと、言っちゃうかも、ですけど……」

 

 いつになく歯切れの悪い声に目を開けると、果穂は上目遣いで私を見上げていました。見慣れない表情です。果穂のほうが、私より10センチぐらい背が高いから。

 

「ちょこ先輩が、それ、食べるのを見てたら……どきって、しちゃいました」

「あ……うんっ、この形ってね、女の人がつまんで食べるとき、一番きれいに見えるデザインなんだってっ」

 

 果穂の視線に、私は、ものすごい罪悪感を覚えてしまいます。

 果穂にチョコの箱を押し付け、苦し紛れのトリビアを言い捨てて……それがせいいっぱいで、私は談話スペースから逃げ去りました。

 

 

※

 

「……プロデューサーさんは、悪い大人ですよね」

 私がそうつぶやいた後、バックミラーごしにプロデューサーさんの顔を見ると、彼は口の端をわずかに上げていました。

 

 私たちのプロデューサーさんは、業界では知る人ぞ知る若手~中堅世代のホープ……だそうです。

 そう目される理由は、私・園田智代子を含めたアイドルのプロデュースで、注目を集めるほどの結果を残しているから……というと、半分しか言い表せていません。

 理由のもう半分は、成功のさせ方です。

 プロデューサーさんは、トレンドを読んで、仕事をもぎ取って回し、歌や衣装の発注をかけて折衝して、私たちの相談に乗ってくれて、スケジュール管理をして……プロデューサーに加えて、マネージャーとディレクターを兼任しているようなものです。こういうやり方は、一気通貫で狙いがつけやすく、当たれば大きくなりやすいらしいのです。

 

 けれど、プロデューサー職にこういうやり方をさせる芸能プロダクションは、ハッキリいって少数派です。

 とにかくハードワークになりがちだし、多人数のアイドルを扱いにくく「たくさん集めて、誰かが当たったらその子に注力」「誰かが脱落したら別の子で穴埋め」とか、プロダクションとしてのリスク分散に不向きです。

 なので、こういうやり方をするのは、私たちの283プロみたいな新興・小規模――新興、といっても283の天井社長は海千山千、と聞いていますが――ばかりで、そのほとんどは結果が実るまで持ちこたえられず、潰れます。

 そんな中で、私たちのプロデューサーさんは稀有な成功例です。

 特に芸能プロダクション「以外」の業界人は、芸能プロダクションが大手ばっかりの寡占になると、自分たちの対芸能プロダクション交渉がやりにくくなるので、283プロみたいな勢力図を引っ掻き回してくれるところに、何かと下駄を履かせてくれます。

 プロデューサーさんの評価は、そういうところが含まれ……業界の話は、このあたりにしておきましょうか。

 

「そりゃあ俺は、空の明るいうちから、担当アイドルとホテルでしけ込もうって男ですから。ねぇ智代子さん」

「なんでしゃちほこばってるんですか」

 とにかく、他の人がどう評価しようと、私から見たら、プロデューサーさんは悪い大人です。

 

 

 私が高校生だった頃は、平日は朝から夕方まで学校だったし、私が千葉の実家から通ってた事情もあって、えっちは今より控えめでした。今は、お昼にするほうが多いです。

 

 誰とも顔を合わずチェックインできるホテルの、部屋の扉を閉めて、ご丁寧にカギまでかけて、プロデューサーさんはそれからジャケットも脱がず私を抱きしめてきます。プロデューサーさんは遠くから見るとスラッとしたシルエットなんですが、こうやって抱きしめられると、私より階段2段ぐらい高い身長とか、その上背に相応な幅のごつごつした肩とかで、私は全部包み込まれて、そのまま持ち運ばれちゃいそうな錯覚がします。

 その錯覚はいつも感じるんですが、慣れません。それどころか、重ねるたびに錯覚がリアルへ限りなく近づいていくようです。

「服、シワになっちゃいますよ……?」

「智代子……」

 

 んくっ、れちゅろっ、ちゅ……んくぅっ。

 くちびるを押し付けられて、その間から前歯を舌先でノックされます。最初はパレ・ファンのフレーバーと同じぐらいとろとろと甘くて、じわじわとしょっぱいです。でも、パレ・ファンは私がよだれを口の中に催すと、味わいは薄れていくんですけど、プロデューサーさんの味は、逆に強くなります。

 ぐにゅっ、むにゅっ、ぐりゅ、んちゅ、ちゅうぅっ。

 好きな人とキスをすると、少女漫画のヒロインは、頬を赤く染めたり胸をどきどきさせて興奮する様子を見せます。それは、おいしいものを食べるとか、ステージを盛り上げられてるときに感じる興奮に似ています。

 

 でも、プロデューサーさんとのキスは、興奮と言っても、まず私の両耳の内側とか、うなじあたりからビリビリとキいてきます。ほかの興奮は肌や吐息から気持ちよく発散していくんですけど、プロデューサーさんとのそれは、私の内側にどんどん垂れ落ちて溜まっていって、息苦しささえわいてきます。

「や、ぁ……ひゃむっ、あっ、んあっ……れる、ひう……ぷふぁ、あっ……」

「ぁ、はぁ……はは、ごめんな。つい、我慢できなくって。でも、智代子の言う通りだ。服、脱いだほうがいいな」

 息苦しさは、プロデューサーさんの激しいキスのせいかな? ……たぶん、それだけじゃありません。もうプロデューサーさんは私のくちびるを開放してくれてるのに、私は2つの肺の真ん中あたりが窮屈なままです。

「智代子。シャワーは、先に入るか?」

「……いらないですよ。どうせ、チェックアウト前に入りますし」

「そうか」

 もし私が、友達のあの日のオーディションについて行かなかったら、プロデューサーさんは、絶対に知り合いになれなかった種類の人なんです。

 なのに今のわたしは、もしあの日にプロデューサーさんと出会っていなかったら……っていう私が、想像できなくなっちゃってます。

 

 ちゅっ、ちゅぅっ……んゅるっ、んっ、れぅん、へぅ、ふぅぅ……っ。

「ひ、ぅ、ぁ……ふぇ、ぁ、あふぁ……っ」

 今度はお互い裸になって、ベッドに並んで座って、舌どうしのふれあいがメインのキス。

 それからプロデューサーさんは、私の背中や肩に、左腕を回してきます。肩甲骨や二の腕に、プロデューサーさんの手が触れると、ちょっと硬くなってる指の腹と、ちょっとふっくらしている手のひらの違いまでわかります。

「もっと、こっちに来て。俺に体重預けていいから」

 お互いシャワーを浴びていないので、私からすると、プロデューサーの首とか胸板とか腋の下あたりの匂いを、まともに味わうことになります。プロデューサーさんがいつもつけてるデオドラントの清涼感は、素肌の上では嘘のように儚くて、その下に横たわるのがプロデューサーさんの本当の匂い。肌触りならぬ粘膜触りは、唾液よりいくらか親しみやすいけれど、体重をあずけると、ずぶずぶと柔らかく私を飲み込んで、二度と離してくれなさそうな匂い。

「プロデューサーさんの、腕って……」

「俺の、腕?」

「……寄りかかったら、自分が自分じゃなくなっちゃいそうな気がするんです。いつも」

 きっと、セックスだけのつながりだったら……いや、ふつうの彼氏彼女ぐらいの関係だったら、こんな空想的なことを口走らなかったはずです。いくらプロデューサーさんの体が大きく、私が小さくっても。

 

「ははは、俺も伊達に豪腕とか呼ばれてないみたいだ。でも」

「でも?」

 私がベッドにくっつけてる太腿やお尻から、プロデューサーさんの腕にくっつけてる背中へ、自重が移っていくと、私の血も汗も涙も、イケないモノも含めた体液全部が流れていって、飲み干されちゃうんじゃないか……そんな夢想が頭を行ったり来たりします。行ったり来たりのたびに、飲まれちゃったらどうしようって不安と、早く飲み干して欲しいって不安が表裏でひらひらしてます。

「……智代子は、初めて会った時より、ずっと素敵になってる。俺の想像よりも、素敵になってる」

 プロデューサーさん、回す腕は頼もしくて、言ってるセリフはかっこいいんですが。

「ん、ふぁあぅ……!? ……ぅ……お、おっぱい……触りながら、そんな、こと……っ」

 私のおっぱいを、ふもとからてっぺんまで、指先でするするくすぐるのから始まります。

「この触り方、智代子はお気に召さないかな」

「そう、いう、問題、じゃ……ぁ、あぅ、んふ、ぅう……っ」

 それからプロデューサーさんは、手のひらと手首を、私のアンダーバストに添えます。私が肩や背中を反らし気味にして応じると、添えられた手が、ゆさ、ゆさって、私を下から支えたり離したりします。

 

「んぁ、ぁ、あっ……」

「……また、おっきくなった?」

「そんな、こ、と……っ」

 おっぱいのボリュームは、前からちょっと自信を持っていて、プロデューサーさんにいじめられるうちに膨らみがますますたっぷりして、今やアイドル・園田智代子の立派な武器です。

 重さが奪われると、所有感も奪われちゃう気がします。何度も何度も、ゆさ、ゆさってされると、おっぱいがプロデューサーさんのモノにされちゃった気分がじわじわ広がります。片手だけでいいようにされっぱなしなんですもん……それを、喜んじゃってますもん。

「智代子は、触られたくない?」

「んぅ、う……ぜんぜん、好きじゃないです……く、ぁぅん……っ!」

 それから、かりかり、くにくにって。お胸の先っぽに、プロデューサーさんの指先を絡まされちゃいます。

 乳首は、触って、触って……って、勝手にせがんで、大きくなってます。恥ずかしくてたまらないんですけど、逃げ場がありません。

 

「俺は、好きだ。智代子のおっぱい、触ってるの」

「だから、わ、私は……好き、じゃ――ぁ、ぁあああっ、ああっ」

「好きじゃないのに触らせてくれるなんて、ありがたいことだよ、智代子」

 こりこり、くりくり、すりすり。

 たぶん、本当はささやかな刺激。自分でいじるのと、力加減は大差ないはずです。

「ぁ、あ、あっあ」

 でも私は、くちびるとノドを震わせて、イヤらしい声と吐息を垂れ流しちゃいます。いつも気になるウエストは、ひくひくと動揺して、太腿ももじもじしちゃってます。アイドルになってなかったら、自分がどう見られてるか、興奮状態では気が回らなかったでしょう。

 でもアイドルは、テンションが上がってるときこそ、どう見られてるか意識しなければならないんです。職業病でしょうか。

 もし、私以外のアイドルの子も、プロデューサーさんの手を回されたら、こんな気分に……?

 

「上の空になってる、智代子」

「んぁ、ぁあ!? だ、め、ぇ、つ、よ――っ!」

 目は半分くらい閉じてたはずなのに、目蓋も眼球も通り越して頭を見透かされた心地です。身震いが背中まで回り込んできて、プロデューサーさんの腕にがっしりと受け止められます。

「ぁぅっ、ふぅーっ……ら、らんぼうに、しない、で……うぅ、ぅぁううぅ……」

 ねじられたり、つねられたり、しごかれたりすると、目を閉じていても、私にプロデューサーさんの指先が刻まれてるさまが勝手に映ります。目をそらしたってムダなんです。

「……どうかな。俺は、悪い大人だから」

 それどころか、へんな首の振りかたすると、プロデューサーさんの熱っぽい吐息が漂っているのを、鼻呼吸で拾い上げてたり……プロデューサーさんの、おヘソの下の、男の……そこの気配まで気づいちゃったりします。

 私のおかげで、興奮してるんです。プロデューサーさんが。

 

「ちゅっ、んちゅっ……んぢゅっ、ぐちゅぱっ、ぅあっ……ぢゅぅうぅ、んぢゅ……っ!」

 キス。キス、もう一回、不意打ち。さっきより、激しく……っ。

 体、かき回されて、プロデューサーさんが、ずっと濃く深く、私の、中に、感じます。

「んぶ、ぷ、ふぁ、あっ……! 反応……変わったな。おっぱいだけじゃ、そろそろ、慣れっこだったか……」

 私が返事の言葉をひねり出す前に、プロデューサーさんのもう片方の手が、私の太腿に添えられます。私の皮膚が凹むか凹まないかのわずかな加減なのに、太腿と太腿の間がきゅうって緊張します。

 これまでプロデューサーさんに何をされてきたのか、どうしようもなく思い出されたせいです。

「ぁ、あっ、ぇ、あっ」

 とろ……って、あそこが……おまんこの入り口、ぎりぎり内側あたりに、えっちなお汁の気配。おもらしが近いような焦りと恥ずかしさ。好きな人であっても、見られちゃったら、消え去りたくなる、そんな粗相。

「ぁ、や、め……ぷろでゅーさー、さん、ぅう……っ」

 なのに、私自身を半分以上プロデューサーさんへ預けてしまってる私は、されるがままなんです。私の手は空いているはずなのに、動かなくって、隠すことさえできません。

「ふーっ……ん、ふー、ぁあっ、あぅぅ……」

 その間も、おっぱいはいじられて、ときどきくちびるを吸われちゃって、だんだん嬌声を噛み殺すことさえできなくなります。

 

「下、触ってもいいか?」

 手が止まります。私が息を整えながら、こわごわ目を開けると、私を見下ろしてくるプロデューサーさんの視線は、細く鋭くなってます。この瞬間を写真にとって、他のアイドルの子に見せたら、ちょっと引きつった作り笑顔かな? なんて思ってくれるでしょうね。

 そんなんじゃ、ありません。

「手、ですか……? それとも……」

「そうだな、舐めたい……よくわかったな」

「顔に、書いてありましたんで……ヘンなトコ、舐めたいって」

 目が細くなってたのは、口元がつり上がってるからです。舌なめずりの予兆です。キスだけじゃ満足してくれないんです。満足できないんです。

 

「そこ、籠もってますよ、プロデューサーさん……」

 プロデューサーさんは、ベッドに私を仰向けにします。髪は結んだままです。

 夏葉ちゃんとか、こういうときどうしてるんだろうな、なんてふと考えます。結んでないと、ロングヘアは背中の下敷きになって、傷んじゃわないのかな。

 プロデューサーさんは、さっきまで腕を回していた私のアンダーバストへ、鼻先を差し入れてきます。おっぱいがおっきくなってから、蒸れたりかぶれたりが気になるところです。

「でも、智代子が感じられる」

「……私が、感じられる?」

「いい匂いがする。あったかい。あと、おっぱいが柔らかいところと、肋骨が硬いところと……あとは、心臓?」

「心臓、って」

 骨とか心臓とか言われると、私のおっぱいをつついてるプロデューサーさんの鼻先が、そのまま皮膚の内側に入り込んできたり、鼻息がそよそよと吹き抜けていく心地がします。

 いつもこんな感じです。私とプロデューサーさんの境目が、あいまいになっていきます。

 

「ン、ふっ……ンンっ、ン、むぅっ……」

 ニュル、ニュル……なんて、プロデューサーさんの舌が、キスのときよりイヤらしい感触を押し付けてきます。ねっとりして、温度が高くなった気がします。

「んぢゅ、ぢゅうっ」

「き、キス、あと、付いちゃ……っ!?」

 くちびるか、歯か、とにかくきゅうきゅうと力を込めて、私の皮膚に何かを吸いついたり食い込ませたり。こんなとこにキスマークをつけられたら、お仕事のとき、見つかっちゃうのに、私のウエストはされるがままです。

「ぁ、はぁ、はぁあ、あっ……!」

 自分の手で届かない痒いところを、ちょうどいい加減で掻いてもらってるような感じです。あとで「しちゃ駄目だったのに……」ってなるのが今の時点でわかりきってるのに、受け入れてしまうんです。

 

 そこから、プロデューサーさんの顔は、私のおヘソあたりへ。さすがにそこへキスマークをつける無茶はしないようです。

「ぁああ、智代子、智代子ぉ」

「な、なんですか、も、もー……っ」

 その代わりか、プロデューサーさんは頬っぺたをくっつけて、ずりずり、ぎゅむぎゅむって頬ずりしてきます。髪の毛は、長いところはサワサワと柔らかく、短いところはチクチクしてて、剃ってから少し経ったヒゲはかすかにザラザラしてます。

「あ、ごめん。気持ち悪かったか? なんだか、すごく母性本能を感じて……」

「ぼ、母性って」

 プロデューサーさんは、ごくまれに、ちょっぴり……いや、けっこう子供っぽい振る舞いを見せます。海辺や噴水を見ると水をパシャパシャさせてはしゃぎます。ミニカーのオモチャをもらった瞬間にそれでブンブン遊びます。カバンに駄菓子を忍ばせてます。

「ちょ、ちょっと、引きましたよ」

「……それは失礼」

 引きました、なんて言いつつ、私はプロデューサーさんの後頭部を抱きかかえて、腰をずらして、もっと頬ずりをねだるような体勢になってしまいます。

「ぁあ、智代子」

「なんです……?」

「もう少し、このままでいいか?」

 さっき、プロデューサーさんは、私の心臓がわかるって、言いましたね。今、顔を近づけてるとこ、どこかわかります? たぶん……そこ、子宮に一番近いところです。わかりますよね。おヘソ、あるんですもん。

「いいよな……?」

「……しょうがありませんね」

 思い出し笑いみたいに、おまんことその奥が勝手に震えちゃいます。いや、本当に思い出してるんです。今まで、えっちしてきたこと。おちんちんをねじ込まれてなくったって再現できるほど覚えてるんです。予感してるんです。確信してるんです。

 

 また、ぬるぬるって、お漏らししちゃいます。身じろぎしちゃいます。私のそういうところ、きっと、全部、筒抜けです。

「んぁ、あっ……ちくちく、しますぅ……っ」

 焦れてきます。甘ったるい声で、先をねだっちゃいます。はしたないって思われても……いいや、プロデューサーさんだし、なんて。アイドルがシちゃいけない思考。

「ひぁ、あ……あえっ、ん、は……ぁ……っ!」

 プロデューサーさんの両手が、私の腿かお尻あたりをさすります。さっきまでの、何かを塗りつけるような仕草じゃなくて、合図みたいな、事務的な感じの……。

「するよ、智代子」

 くっつけてた両膝を開いちゃって、もう私は無防備です。

「あ、あ、あ、あ……や、ぁ……っ」

「もうちょっと、濡らしたほうがいいかな」

「りゃ、えっ……んんっ、ン……アアぁ……っ!」

 さんざん流し込まれ、刻まれたはずのプロデューサーさんのくちびるや舌は、いちばん気遣わしげに迫ってきて、いちばん残酷に私の大事なところを弄びます。私は、もう「だめ」の2音さえままならないんです。

「ぁ、あは、ぁ、も、ぉ……わ、わら、ひ……っ♥」

 アイドルの職業病も、どこへやら。何をどうされてるのか。

 たぶん、クリトリスと、おまんこの外側、すっかりぬるぬるしてるところに、プロデューサーさんからよだれを上塗りされて、肺より下がぜんぶ燃えたようによじれちゃいます。でもプロデューサーさんのあの手でがっしり押さえつけられてます。

 もう頭がパチパチしてて、確信を持てないですけど、そんな感じです。

 

「ら、ぁあっ、ソコ、しちゃ、あ、あっああ♥ あああーっ……♥」

「……もっと、濡れてくれそうだね、智代子……っ」

 気持ちいいのは、怖いです。プロデューサーさんが相手じゃなかったら……プロデューサーさん相手であってさえ、喜んで求めてくれるのでなかったら、とても耐えられません。

「んはぅアッ……! んかはっ、ああっ、ふぁああ……っ♥」

 よく聞く「死んじゃう、死んじゃう」ってのは、比喩じゃないんです。体液どころか、自分のすべてが溶けて液体になっちゃって、それをすすられ飲み干されていく感覚です。舌の一なめ、鼻の吸って吐いての1セット、くちびるの一こすりで、私が目減りしていきます。

 私が目減りしたぶん、からっぽになったところが、何かで埋めてもらいたがってシクシク泣きます。ねだります。ほしい、ほしいって。眼の前にいる、プロデューサーさんの気配を代わりに吸い込みます。

 キスのときみたいに流し込まれるんじゃなく、私が自ら求めるように仕向けられていくんです。そういうのも、私じゃなくなる感を増幅させてます。

「智代子、智代子……っ」

「はあ、んっぐ、あ、ひァ、ああっ……!」

 プロデューサーさんから、「智代子」って一回呼ばれるたびに、食べられちゃう、食べられちゃってカレみたいに溶かされ、味わわれて……そんな中を転げ回ってます。私、おかしくなります。なっちゃいますよね。

「ふっ、くぅ、ぁあッ、もう、だめ、ぷろ、でゅーさーぁ……あっ、んくっ、んむ、ふぅう――っ♥」

 舐められてるだけなのに、噛み殺そうとして噛み殺しきれない声、漏らしちゃって。どうしようもない恥ずかしさとともに、イッちゃいました……。

 

 こんなコト、ありえないとは思ってるんですけど、ね。

 でも、私がアイドルになるコトだって、プロデューサーさんが居なかったら、ありえなかったんです。

 だから、プロデューサーさんと一緒だと、そんなありえないコトも、本当になっちゃうんじゃないか、なっちゃってもいいんじゃないかって……。

 

「ぷろでゅ……わ、わらひ、いった、ばかり――ひ、ぁぁっ! んぐ、ぅあ、ぁあぁァあ、あぁーっ……!」

 プロデューサーさんに仰向けに転がされたまま、気がついたときには、あそこのナカをぐりぐりって押し広げられてます。ナカに入れたまま、私の両脚を抱えあげてムリヤリ折りたたんで、ぎゅう、ぎゅうって上からのしかかられます。

「すごい声、出してるな、智代子……ッ」

「かはぁ、あ、ぉ、ぁあ……あ、ぉぁ……っ」

 当然、胸とかお腹とか、圧迫感で苦しくってたまらないです。

 でも、やめないでほしい。

 苦しさのおかげで、私がちゃんとここにいて、プロデューサーさんに求められてるんだ、って実感できます。

 

「ぁ、か、ぁ……ぷ、ろ……さー、さんっ……っ!」

 手足も何もいっしょくたにしてのしかかられてるから、私は唯一、自分でプロデューサーさんへ縋れるおまんこのナカを、ぎゅうって締めます。力いっぱい。あっ、おっ、なんて、誰にも聞かせられないような、おまんこえぐられた時以外に出さないような響きが、反動で出ちゃいます。

「あ、ぐぅ、やぁあぁ! あ、ひっ――ひぁ、あ、へぅ、あえぇ……っ♥」

「うォ……!? 智代子、中が、き、つ……っ!」

 プロデューサーさんからも、苦しげな声や荒い息がぽたぽた降って伝わってきます。それが私の肌に染み込むと、おまんこえぐられてる、ぎゅーって締め付けて締め付けられてって感覚とは別の、ぶるぶるぶるって波立つ感じが起きます。

 ぱん、ぱんっ! って激しく打ち合わせたり、深く突っ込まれて、にゅちっ、にゅちって摩擦されたりします。

 どこが気持ちいいとか、そういうのを知覚する余裕はありません。プロデューサーさんもそれをわかっているのか、あちこち場所を変え、強さや弱さや角度を変え、私が刺激に慣れてしまわないことだけ気をつけてる感じです。

「ひ、やぁ、ゃあぁ、だ、め――あっああ、んっ゛ぅあっ♥ ぁ、あ゛ぁあ゛あぁーっ♥」

 ガラガラのひどい声になっちゃって、自分が可愛くなくなっちゃって、泣きたくなります。そうすると、プロデューサーさんは、おちんちん突っ込んだまま上半身もっと倒して、私の耳元あたりに顔を寄せてきます。動きはなくなったけど、すっごく奥の深いところに、思いっきり体重かけられて、このままぺしゃんこにされそうです。クンニされてたときの、自分が消え失せる感覚が……ぶわあって蘇って、もうなにがなにやら。

「智代子」

 近いなぁ、ってのだけわかります。匂いと、響きと、あったかいの。

「は、ぁ――ぷぁ、ふ、んぐうっ、ぢゅう……♥」

 キス、なんてもんじゃない、私を顔から食べちゃいそうな、おくちれいぷです。じゅる、じゅる、ぐい、ぐいっ。ああ、これで、かわいくないこえ、きかせなくて、すむんだ。

 ……オカシク、なっちゃう。

「智代子、好きだ、好きだ……――俺の、智代子……っ!」

 ぐぷ、じゅぷっ、じゅぷ、ぐぽっ。

 ぜんぶ、プロデューサーさんの、ペース。あんしんシちゃイケないのに、あんしんシちゃう。

「あぅ、ぅう゛っ♥ ひゃぅあ、ひもち、ぃい――んぎゅっ♥ んぐっ、ぢゅっ、ぷふ、んぐ……っ♥」

 今度は、恥ずかしさも感じられずに、プロデューサーさんでいっぱいにされたまま、気絶するまで、ずっとイッちゃいました……。

 

 

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