アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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87件目(ハーメルンで言う20話)も拓海筆下ろしですが、独立したお話です。
「こんな色気のない格好じゃ、あんちゃん萎えちまうかもしれねーがなぁ?」
言葉と裏腹に、アイドル・向井拓海は自信満々にそのスタイルを見せつけていた。
向井拓海はなろうという志なくしてアイドルになった人間である。高校三年生のある日、街角でケンカをしているときになぜかアイドル事務所のプロデューサーに声をかけられ丸めこまれて契約書にサインさせられてしまった。彼女の親は「地元のヤンキーから“特攻隊長”と呼ばれている現状よりよいだろう」とでも思ったのか、拓海よりもプロデューサーにあっさり丸めこまれていた。
そんな経緯でスカウトされるだけあって、拓海の容姿は端的に言って優れている。目はガンをつけるときの癖がついてしまって「怖い」と言われることもあるが、女だてらに特攻隊長と称されただけあって迫力があり、それでいて顔立ちも左右・奥行きのバランスは取れている。
そして拓海から“あんちゃん”と呼ばれた男は、拓海の顔から下を見ないでいるようでチラチラと見てしまう。
「別に、その……そう、謙遜することは、ないと、思うぞ」
拓海がアイドルとしてのプロフィールに記している数値は、身長163センチ、体重53キロ、スリーサイズが95-58-87でバストが堂々たるHカップである。彼はそれらが実測値かどうか判断しかねている、むしろもう少しバストやヒップが大きいのでは? と疑い――彼の職業は、広い意味で言うと数値などのごまかしを見抜くプロであるのだが――そのスタイルが、黒い無地の半袖シャツと、裾が膝上20センチ以上はあるジーンズ生地のホットパンツにねじこまれている。バストもヒップもぱっつんぱっつんとしか言いようがなく、早く解放してくれと幻聴が聞こえそうである。
そんな格好の向井拓海が、実に無造作に彼の部屋の来客用座布団にあぐらをかいている。拓海から小さな丸テーブルを挟んで家主たる彼も座布団に座っているが、首の上も肩から下も、もぞもぞ、ぎくしゃくとしている。
「へぇ、そっちのお仕事でもリップサービスがいるのか、意外だわ」
「……あぁ、そうか」
「そうか、って」
「拓海も就職したんだったっけなぁ」
「おい……あー、まだ高校生だが、いちおうギャラはもらってる」
「最低賃金を割ってたら地元の労基署に通報しろよ、あーでもアイドルって業務請負か……?」
「まぁ……単車いじりに困らんぐらいは」
拓海は彼をあん(=兄)ちゃんと呼んでいるが、拓海から見て彼は叔父にあたる。拓海より一回り年上で中肉中背、メガネをかけても外しても謹厳実直そうな印象を与える顔立ちで、見た目にお似合いな労働基準監督官というかなり堅い職に就いている。といっても拓海と彼にはバイクいじりという共通の趣味があって――というより、彼が拓海にバイクいじりを教えこんで――拓海から見て親族のなかでいちばん打ち解けた仲である。“叔父さん”と呼ぶと「俺ももうそんな年……」と落ちこむのであんちゃんと呼んであげている。
「っていうか、いまぐらい仕事を忘れような、あんちゃん」
「お、おい、拓海、見えるって、それ仕事と関係ないだろ」
「んー?」
拓海は座ったまま、シャツがぐいぐい引っ張られすぎてかわいそうになるほど襟ぐりをぐいとずらして“色気のない”ライトグレーのスポーツブラを見え隠れさせる。アイドルだけあって視線をもてあそぶのはお手の物なのである。
彼は厚労省への入省後、数年間は地元の神奈川で勤務していたが、その後地方局に転勤して拓海と顔を合わせることが減っていた。そんな彼の勤務先の近くにこんど拓海が仕事で向かうことになり、拓海の親が「ハードワークで元気をなくしていないか様子を見に行け」と言い出していて、拓海は堂々と彼の借りているマンションの一室を訪れ泊まるつもりでいる。
なお彼は拓海の顔を見るなり「拓海ー! お前このあいだの仕事のときビキニでバイクまたがってただろ、ふざけんなお前は撮影のためで乗ってるふりだからいいかもしれんが若いのがマネしたらどうすんだ、転んだら肌や筋肉にもろに摩擦がきて危ねーだろ!」と説教を始めるが、拓海が神妙に説教を受けるまねをしているとロウソクの火がふっつり消えたようにあっさり止めて、「まぁいいよ、むさ苦しい部屋で良ければ」と拓海の宿泊を承知した。そして二人は夕食としてスーパーマーケットのお惣菜を買ってきて食べた。
拓海は「あんちゃんは本当にかなり疲れているんだろう」と思った。彼女の内心――「まさかあの格好で実際に走ってたなんて言えねぇ……」――は彼に気づかれていないようだった。
「関係なくないかもしれない、って言ったら、どう思う?」
「思わせぶりなこと聞かせるなよ、こちとら尋問やら聴取やらは仕事で慣れてるんだぞ」
「おぉ~くろうとは怖い怖い」
拓海の格好は、だらしないとはいえ常識の範囲内である。その日は夕方~夜の時間帯でも残暑が厳しい季節で、夕食も入浴も済ませて外出する予定がなくそのまま寝ても良い状況である。
独り暮らしの彼の部屋に――姪とはいえ――うら若き女性アイドルが止まって“良い”かどうかを考えなければ。
「でも、いまはアタシが尋問する側なんだよなぁ、お疲れのところだろうが付きあってもらう」
「はぁ、ご心配の通り俺はクタクタですとも、医者の不養生みたいなもんだな」
「ああ、あと別のネタもあってさ」
拓海は自分のヒップで彼から死角にしていたところから、DVDケースを1枚、2枚、3枚……と指でつまんで彼とのあいだにあるテーブルの天板に並べる。
「いまどきディスクかよ……と思って、パッケージ見たらけっこう発売年が前でよ、あんちゃんのこれぁ年季が入ってるお気に入りなのか~って」
彼はくちびるをぱくぱくと開閉しながら絶句した。
DVDは、拓海が彼の入浴中に部屋から勝手に発掘した巨乳JKの援交モノ――「エンコーってフレーズからもう年季を感じるよなぁ、もう死語だろ……」――アダルトビデオであった。
※
「まぁあんちゃんが何をオカズにしてるかは、これでもうわかってるから、問題はその先だ」
彼にとっては、拓海の態度のほうがよほど大きな問題である。“何をオカズに”という中にアイドル・向井拓海の写真集などが含まれていることを拓海が知っている、と悟る――拓海が来訪すると聞かされたとき、巨乳JKの援交モノAVと同じ場所にあわてて隠したから――自分がオナニーに使われているとお察しで、それを拓海がこんなにあっさり受け止めていることに驚く。ヤンキー時代の拓海が性的対象と見られることを嫌がって相手をボコボコに殴ってしまったことが何度かある、と彼は聞かされたことがある。
それを別としても、未成年の素人売春という脱法行為――それが演技かつフィクションであるとしても――を見て楽しんでいるというのは、公務員、特に司法警察員の立場からして具合が悪い。
「拓海は……あの、その」
「あ、なんかあるのか?」
「その……できれば、これは見なかったことに……」
「“叔父さん”は臨検でそんなこと言われて見なかったことにするのか?」
「おい」
「おらー臨検だぞー! ウソの陳述はいけねーよなぁ?」
拓海はわざとらしくDVDのパッケージをしげしげと眺めてはあれこれ批評し始める――「爆乳って言うけどさすがにアタシのほうが上だな」「拓海と比べたらかわいそうだろ……」「ロリ巨乳って言うが、タッパがないとなかなか巨乳になれないぜ」「……妙に詳しいな」「なんせおっぱいの土台は肩幅っていうか胴体だからな、そこに幅がないと裾野が広がらなくて……おお、興味津々だなぁあんちゃん?」――くちびるをぱくぱくするだけだった彼の口舌が、いつのまにかつるつる滑るほどスムーズになってしまう。
「あぁ、あんちゃんがアタシでオナニーしてるのわかってるぞー」
「こ、これは、たまたまいっしょにしまっちまっただけで」
「アイドルになる前の、アタシのこれがでかくなったあたりから見てないふりするようにしてたのは気づいてたぞー」
「ぉ、あ、ぅ」
「……こんな言われ方でもごまかせないぐらいお疲れかぁ、たいへんなんだなぁ、労基署って」
拓海はシャツをすっかり脱いで上半身の着衣をスポーツブラだけにしてしまう――「人の部屋に上がりこんで下着姿を見せつけるんじゃねーよ」「こんなんタンクトップと変わらん、グラビアのビキニより危なくないだろ」――彼は自分が予想以上に興奮して、それこそ心臓がどきどきと落ち着かない状況に追いやられていることに驚く。そうなる前は、拓海がまさか誘惑じみたことをするなんてありえないし万が一されたとしても疲れ切っている自分は勃たないだろう、と高をくくっていたが、拓海にそれを覆されている。
「アタシが聞きたいのはあんちゃんの好みのオカズじゃなくて……いや、それも気になるっちゃ気になるが」
拓海らしくない、奥歯に物が挟まった言い方と思う。あるいはネコがとらえたセミなどの虫をもてあそんでいるような印象を受ける。拓海の目がネコのようにつり上がっているせいでそんな連想をしてしまうだけだ、と言い聞かせる。
「もしアタシがいてムラムラして寝付きが悪くなるってんならお疲れのあんちゃんに悪いから、スッキリさせておかねーとなぁ、って」
「……まぁ、抜きゃあ収まるから、拓海はちょっと上着でも来て外して――」
「――これで抜くのかぁ?」
拓海はまたDVDパッケージの一つをしげしげと眺める。
「これ女優が……2人、3人、4人? の男優を相手にしてるのかぁ、5Pか」
「ええと、まぁ、そうだな」
「こりゃすごいわ、セックスを見せるプロって感じだ、アタシだったら手足がこんがらがりそう」
「はぁ」
拓海の口ぶりから、彼は5P未満での拓海の性経験を妄想してしまう。
「アタシも、セックスじゃないけどオンナのカラダを見せる側だし、ぼやーっとだけど苦労が察せられる……そうだ! どうせこれ使って抜くんならアタシにも見せてくれよ」
「冗談きついぜ拓海ーっ」
実際、拓海は優れた容姿に応じた――質・量ともに同年代平均を上回るがAV女優には及ばない程度の――セックスを経験している。アイドルになる前はそれなりに、アイドルになってからはプロデューサーとセックスフレンドのような関係になっている。職業倫理や貞操観念的にどうかと思いつつも、プロデューサーが気持ちよくしてくれるのに流され気味である。性感を開発されるのは恥ずかしいが、少なくともケンカより興奮するし満たされるし病院送りの心配が少ない、と拓海は自分に言い訳している。実のところヤンキーだった拓海にとってプロデューサーによる優しく甘くとろかされるセックスは新鮮で安楽で拒みがたかった。それに従って性技も上達していた。
しかし拓海は上達した性技を半ば持て余していた。プロデューサー以外と枕営業でセックスすることもあったが、拓海を好む業界人は誰も彼も――セックスを拒む拓海をレイプしたりいやいや奉仕させたりして屈服させるシチュエーションを求めるので――せっかく上達した性技もむなしかった。
「よし、冗談がいやなら腹を割って話そうぜ」
「人の言葉尻を」
「読み上げるぞー……えーと、“オトコなんてチンポいじってればすぐ言うこと聞くから”と円交でx百万稼いだと豪語するGカップ女子校生のお手並み拝見……不良だけど“童貞なら誰でもヤらせてくれる”と評判の女後輩のデカパイにうっかり見とれていたら“センパイのくせにだらしないなぁ~”といじめられながら腟内出しまで許してもらえる……なるほど、年下で、おっぱいがでかくて、股がユルいオンナがお好みなのか」
「すまんなんでもするから読むの止めて、止めてください」
「ふ~ん……?」
すると拓海はDVDを手放して、二の腕や前腕を使ってスポーツブラに包まれたHカップをぎゅうと寄せる――「こっち見ろよ、もっと近くで」――ただでさえ深い谷間がますます色濃く、しかも近づいてうら若き女の肌の体臭が彼の鼻どころか目や口まで襲ってくるような濃度で迫って――「疲れたオトコにはおっぱいなんだよ、しかも巨乳好きなんだろ?」――乳房を顔に密着させられる。
「ふごっ、お、ぁふっ!?」
「せっかくだからこっちオカズに使えよ、アタシそういや手土産もなんも持ってきてないし……おわっ」
「た、拓海っ……!」
「現役アイドルのおっぱい大サービスだぞー、感想を言えー!」
「で、でかすぎて窒息するかと思った」
「おい」
「やわらかいから……こう、フィットして、呼吸できる隙間をすっかり塞がれる」
「じゃあほら、優しくおっぱいしてやるから、仕切り直しっ」
彼はなおもためらったが、拓海がテーブルをちょいと迂回して彼の隣まですり寄ってきて、手を伸ばせば届く距離になるとどれだけ視線をそらしても拓海の乳房を意識してしまう。無理にそらそうとして、ホットパンツの布地を拷問しているようなボリューム豊かなヒップと太ももが目に入ってしまう。特に太ももの肉付きは乳房よりもぱつぱつと弾力に飛んでいる。その弾力のいくらかがバイクにまたがっていたせいか、と思うといよいよ彼の興奮がエスカレートして血圧が上がって視界に星がチラチラ飛ぶ。
「ほら胸を貸してやるよ、寝付きが良くなるぞ、たぶん」
「……それじゃ、お言葉に甘えて」
「ナマチチのほうがいいか~?」
「いや、むしろこっちで興奮する……」
「……あ、そう……まぁ、これ着けたままのがぱつぱつしてるだろうが……」
疲れている彼を元気づける、という名目がどちらにも受け入れられる落としどころ、と目で察しあう。柔らかい巨乳がほんのりへこむぐらいに彼の顔を触れさせる。
「いままでこんなでかいおっぱい触ったことなんかないだろー」
「……うん」
「トップの数字だけなら事務所にも上がいるが、まぁほら、土台、肩幅も含めたボリュームなら……まぁ、その、トップクラスってあれよ」
「すごいな……」
彼の動揺が収まっていく一方、拓海は胸だけでなく腹の底や腰や頭や後ろ髪まで体のあちこちがそわそわと落ち着かない。彼のまつげや鼻息が触れてくすぐったいせい、と言い聞かせる。もう一度ぎゅうと強く抱きしめたくなるのを自重するのでせいいっぱいになる。
興奮でぱんぱんになりつつある拓海の心境をよそに、彼のそれはいよいよ拓海の甘い体臭と温かく柔らかい肌と……それ以降は認識までがどろどろに緩み始めて、とにかく心地良いとだけわかる。拓海の汗が一筋、鎖骨から谷間に垂れ落ちていくのを感じる。それと同じぐらい意識がおのずから沈んでいく。彼がここまで屈託なく抱かれた経験は数十年ぶりであった。
「……オトコを甘えさせる、ってのは初めてだが……うん、なるほどな」
「あ、そうなのか……“疲れたオトコにはおっぱいなんだよ”とか言ってるから、慣れてるのかと」
「慣れてたほうがよかったか?」
「……良すぎてもう考えられん……」
「ご堪能のようで……じゃあ、こっちもめんどうみてやるか」
「んひゃうっ!?」
拓海はスポーツブラごと巨乳で彼の顔を受け止めながら、ぐいと腕を伸ばして彼の股間をまさぐる。彼は上下スウェット姿のすぐに寝られるような、拓海と大差ない格好だった。
テントを張りかけた股間が拓海にぐいぐいと弄り回され、ようすをうかがうようにじわじわと勃起していく。
「んー、半立ちぐらいか? なかなか大きそうだな」
「ちょ、拓海、こら、あっ」
「お疲れのあんちゃんをスッキリさせるって話だったから、抜くまでやって終わりだろう」
「そこまでしてもらうわけには……!」
「おっぱいぱふぱふ~って甘えさせるだけですっきり疲れも精液も抜けるのか? そりゃすごいぞ」
「知るかそんなの、試したことないし……あひゃうっ!」
「うわ、かわいい声のくせにチンポはたくましくなっていくなぁ……これが早苗サンとかの言うギャップ萌え? ってあれか」
「えぅ、うううーっ……!」
「くっそ……あんまり焦らすなよ、アタシまでその気になってきちゃうじゃないか~!」
彼は拓海の“その気”をブラフだと必死で言い聞かせる。
拓海らヤンキーの世界において腕っぷしと同じぐらいハッタリが重要である。なめられなければ負けないのである。少なくとも彼は拓海からそう聞いている。
「く、ぐぅ、あ、あっ……も、う、あっ」
「くすぐったいぞー!」
ブラフでなかったとしたら、彼はもう自分の欲望に負けてしまう。
小さいころから知っている拓海がグラビアアイドル級のスタイルに育って、彼女をオナニーのオカズにしている――あまつさえ、多くの男を手玉に取る役のAV女優と重ね合わせて――いや、セックスではないにしても拓海はすでに数多くの男を手玉に取って“単車いじりに困らん”ギャラを稼いでいる――彼の五感がすべて拓海の肉体にとらえられてぐるぐる回る。
「くっそ……そう聞き分けが悪いと、むしろわからせたくなってくるじゃねぇか……!」
ついに拓海からのしかかられ押さえつけられてしまう。拓海を引き剥がそうと思えばできるが、肉体がどうしてもさせてくれない。顔を上げて拓海の顔を見ると、ネコ科のケダモノのように目とくちびるをゆがめて迫ってくる。それでいて、表情も声音も、きのうまでに彼が見た拓海のそれらすべてよりずっと色っぽい。
「なぁヤろうぜ、ゴムもあるし」
「なんで持って……」
「っていうかあんちゃんが持ってろよ」
「え、あ、その」
「ああ、童貞だから用意してないのか?」
「ど、ど、童貞じゃ……!」
拓海が待ってました、と顔に書いてあるような会心の笑みで「あー残念だなー、アタシの性癖は童貞を初めてを優しく奪ってあげることなんだけどなー」と言い終わる前に、彼は発作的に「童貞です、やらせてください」と頭を下げていた。
「はは、童貞! ……あんちゃんがお疲れなのって、童貞をこじらせたせいか?」
「え、ええいっ……AVを掘り出されてさらされたのに比べれば!」
「いーよ、拓海お姉さんに任せとけ!」
「えっ」
「この向井拓海が、あんちゃんの童貞卒業のめんどうをみてやるって言ってるんだよー!」
「……うわ、しょうじき期待してたけど、いざ言ってもらうとちょっと不安になってきた」
「おい!?」
再び拓海が彼を押し倒して、こんどはじっとりとささやく。
「あんちゃんにお姉さんぶれるチャンスなんて二度と来ないかもしれねーからなぁ、逃しはしないぞ?」
もしかして、年上の男に対してお姉さんぶるのが拓海の性癖なのか、と彼は他人事のように考えた。
※
「よーし、そうと決まればもう一回風呂に入るぞー」
「えっ」
「見ておきたくないか、アタシのカラダを」
「見たいけど……」
「始めたら……もうカラダの全体はじっくり見られないぞ、くっついてるわけだし。だから先に見ろよ。それに、オンナと二人きりでハダカって状況に慣れたほうがいい」
彼の借りているマンションの部屋にあるユニットバスは、二人同時に洗い場に立とうとすると無理があるほど狭かった。
拓海は彼を湯のぬるくなった浴槽に押しこんだ。
「そういやさっきあんちゃんは、そのアタシの残り湯に入ったんだっけ」
「ぶふっ!? 意識させるなぁ!?」
「なんだよー、意識してろよー! そっからやり直したほうが良いか~?」
数時間と経たぬ前に二人とも入浴を済ませていて、洗い場で髪や体を洗う拓海の素振りはなんとも茶番じみている。さきほどの“おっぱいぱふぱふ”でかいた汗など薄っすらも薄っすらで、カラスの行水より短くてもあっさりすっきり流れてしまうに違いない。
「もっとでかい風呂がある部屋を借りてればよかった」
「もしそんないい部屋を借りられるぐらいあんちゃんが稼げるようになったら、アタシがあんちゃんのカラダをぬるぬる洗ってやろうか~?」
「そら気持ちよさそうな提案だが、俺ぁ昔で言うノンキャリだぞ? いつになるのやら」
「のんきゃり?」
「国民の皆さまに安月給でご奉仕する公僕というこってさ」
「謙遜するなよ~。芸能界ってけっこうブラックくさいからな、何かあったら頼りにしてるぜ」
「なにかある前に相談しろよ、労基署ってそういうところだよ」
そんな色気のない会話をして気を散らさなければ、彼は拓海のカラダを“ゆっくり見られ”なさそうだった。
「しっかし、われながら高校生にもなってまだ育つとは思わなかったなぁ」
拓海が自分の乳房のふもとを手で、手慣れた作業のように洗っている。泡すら着けずぬるま湯を軽くまぶしているだけである。それはさっきスポーツブラごしにことさらめいてむぎゅむぎゅ寄せてあげた誘惑と真逆だったが、彼に与える誘惑は同じぐらい強い。
「あとで触らせてやるけどさ、重いんだぞ、驚くなよ?」
「拓海とハダカの付き合いしてる時点で驚きだよ」
「ハダカの付き合い! いいな! ダチ……っていうのとは違うが、心を許せる感じがするぜ」
「拓海ったらそういう男……っていうか、男の子みたいな言い方まだするんだな」
拓海が「脱がさないでやりがたる男がいるが、ダメだぞ? 落ち着かないし服がしわになったり汚れたりするし、あと男のほうもちゃんと脱げ、服によっちゃ金具とか引っかかって肌が傷ついたり……」とさっそく楽しそうに“お姉さん”ぶっているが、彼の頭に残るのは半分がせいぜい。
それほど誘惑が強い。
スポーツブラの保持から解き放たれた公称トップ95センチHカップは、童貞の彼から見てももう少し大きいだろう、と判断できる。拓海が後ろ髪を手ぐしですいて肩や二の腕やひじをごそごそ動かすたびにぶるんぶるんと乳房が揺れる。乳輪は薄桃色で肌との境目がぼやぼやしているが、巨乳に負けず劣らずの面積を誇っていて、しかも乳首とともにすでにほんのりと盛り上がっている。
彼から、さっき乳房に包まれた安らかな気分が幻のように遠のく。さきほど自分の部屋であの乳房に顔を埋めていたのが疑わしく思われてくる。これからこの乳房の持ち主となっている姪・向井拓海とセックスするというのに。
拓海のアンダーバストやくびれたウエストも、そこだけに注目すればみっちり詰まって若々しい生命力を感じる“胴”だが、それを“土台”にしてくっついているHカップ――Iカップに届いているのでは、と彼は近視の目をこする――が大きすぎる。バイクやクルマなど乗り物のカスタムであったら走る前から止めるレベルで、見ているだけでくらくらする。とにかく量感が違う。
対してさらに視線を下げると、トップヘビーをしっかりと支える腰やヒップ、太ももが目に入って、彼は妙に安心する。
「ああ、ケツも見たいか? って見てるか、もう」
「おお、うん、すごいな……」
「魂の抜けたみたいな感想だな……まぁいいけどよ」
「あのホットパンツが破れないか心配になってきた」
「あんまりそういうこと言うんじゃないぞ」
「あぁ、そうなのか」
「かなり前だが“バイクにまたがったとき安定感がありそうだな”って言われたときぁ轢き殺してやろうかと思ったわ」
「バイク乗りが、冗談でも言うんじゃないそんなこと」
「それは確かに……」
そう彼は口にしてみたが、もはや冗談かどうか判断する余裕を失っている。拓海の下半身は上半身に負けないボリュームだったが、揺れ方が胸のゆさゆさに対しぷりぷりとコシがあってまるで洒落のようだった。体積のうちかなりの割合を脂肪が占める巨乳に対し、巨尻は脂肪の奥にある筋肉や骨がどっしりと構えている、そう見た目だけで確信できる。筋肉や骨だけでなく、腟粘膜や子宮まで想像が及ぶ。彼の股間のあたりが早くもむず痒くなってくる。
「あーそうだ、あんちゃんって仮性なのな」
「かせい?」
「ほーけー」
「うぐっ……」
「チンポが期待して勝手に一皮むけようとしてるぞー、えろいよなーこりゃ」
「く……そんな、こと……」
「アタシからえろいって言われてうれしくないかぁ」
「……うれしい」
「素直でよろしい!」
「あ、こら拓海っ、あふれるっ」
「行ける行ける、詰めれば行ける!」
気をよくしたのか、拓海が肌を紅潮させながら無造作に洗い場から浴槽に押し入って、二人ぶんになった体積でざばぁとお湯があふれてしまう。
「よし、おちんちんちゃんと洗えてるかお姉さんがチェックしてやるぞー」
「おうぅっ……おあ、あっ!?」
拓海は自分がペースを握って、ますます興奮しているようすである。もともと彼女は叔父とセックスする腹を決めたとき――「労基署や労働局に枕営業がバレるのはまずいだろ……」――と、自分の現在の性体験から彼の目をそらすため、過去の男のダメな例を挙げながら進めていくことも決めていた。しかし“お姉さん”のようなそのロールプレイが、彼女自身の予想を超えてとても楽しく、すっかりはしゃいでいる。
「よーしチンポ見せな! 腰砕けになるなよ?」
「はぁっ、ぁう! あっ!」
彼は浴槽のふちに腰掛けさせられ、半勃起のペニスを拓海に握られる。びくりと反応してしまうと、拓海はあらわになった胸の谷間で彼の亀頭を飲みこもうとする。
「こ、こら! しょっぱなから飛ばされたら……」
「ええと……うん、これはリハーサルだ! 試験走行だ!」
「そんな理屈があるかー!」
理屈も何も、拓海の手コキとパイズリが始まってしまえば文字通り吹っ飛んでしまう。触り始めは拓海も優しく加減してきたが、――「む、ぐ……ふぁ、あぅ……!」「いいコーレスだなぁ、あんちゃん……?」――彼の反応にあてられてか、じりじりとエスカレートしていく。
ぐいっ、と拓海の巨乳がさらに寄せられ、ぱふっ、と音がするほどにペニスがやわらかな質感に包まれる。それだけで彼はほとんど射精寸前まで押し上げられる。それから胸をたぷんたぷんと浮き沈みさせる。彼女の体が、だいぶかさの減ってしまった浴槽の湯やふちにぶつかってぱつぱつ、きゅっきゅっ、ちゃぷちゃぷと姦しい。目や皮膚だけでなく耳でもバストやヒップのボリュームを彼にわからせてくる。
「それ、それっ、どうだーっ」
「は、ぁ……あ゛うっ、おッ、ぱ、パイズリが、すごいの、わかった、から……あ、ああ……っ!?」
「よし、ここで一発出しておくか」
「だ、だめだ、拓海、それは……」
「おー! やっぱ童貞喪失の射精はまんこがいいってか!」
「あ、いや、風呂場で精液なんて漏らしたら、変に固まってあとが……」
「……へぇ、そう」
「ぁ、あぉ、はぁ、おおおっ……!? い、いま、止める流れだったろー!」
「風呂つまらせるぐらい出してみろー」
「や、やめ、あっ、ぉおおおぅ!?」
「それか出すのをがまんするリハーサルだ! ケツの穴をしめて気張れー」
彼の動揺をどこまで知っていたのか、拓海は彼が本当に射精してしまう直前で一方的にパイズリを打ち切り「よーし準備運動も済んだな! 本番もしまっていくぞー」とわずかに照れの混じった顔で笑ってみせた。
※
「まぁ、その、なんだ、あんちゃん、さっきはすまんかった」
「のぼせるかと思ったぞ……」
「キスより先にパイズリはないよなー、男からやれって言われたら殴ってるところだった」
「そっちなのかよ!? 確かにそっちもどうかと思うが……」
風呂に入る前よりむしろ汗だくになってしまってから、ベッドで拓海と彼が向かい合う。本番はキスから、ここでも拓海がお姉さんぶりを発揮する――「あんちゃんってさぁ……智絵里とか乃々みたいなキスが好きそうだよな」「そりゃどんな……?」「こう……ちゅっ、ちゅって感じの、少女漫画でぼやぼやってついてるみたいな……図星だろー! 照れんな照れんなー?」「拓海お前まさか年下の女の子にもこんなこと教えてやしないだろうな」「どうしてそっちに流れが行くんだよ!?」「俺が言うのもなんだが、芸能界に未成年者へのわいせつってありがちで……」――ときどき脱線しつつ――「いいから目を閉じろ、キス、するぞ……?」「拓海が少女漫画の男役みたいだな」「いいから目を閉じろ! あんまりくっちゃべってるとくちびるが乾く……」――キスからみっちりとセックスを教えてやる。
「んぢゅっ、ちゅ……はぷっ、んはぁ、あんっ……ちゅるぢゅ、んふ、ちゅ……」
キスのレッスンはくちびるを重ねやすい首の傾げかたから始まって、ほっぺたから徐々にくちびるへ近づいて音を立ててついばみあうようになって、やがて舌をねとねとこすり合わせるまで進んでいく。拓海がキスのペースを握りつつ、彼の手をとって巨乳を押しつけたり、太ももで彼の足のどこかをみしみし挟んで刺激したりしてからかう。
「ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ! ふふ、キスに集中できてねーんじゃないのかー?」
「う、ぐ……た、拓海には、集中、してるわ!」
「……物は言いようだなぁ」
彼のくちびるはさんざん吸われたり舐め回されたりされて腫れぼったくなる。それを拓海が指先でぐにぐにと押しつぶしたりして遊びながらニヤニヤ笑う。そうする拓海のくちびるも彼と同じぐらい腫れぼったくなっている。キスを再開して、唾液をたっぷりと流しこんでくる。彼女は彼にそれを飲ませたがる。彼ののどがこくりとなると、ひどく嬉しそうに彼の口内をかき乱しはじめる。お互いのよだれが混ざりあってどろどろの口元のままディープキス。
「んあっ、くふぅっ……にちゅ、ぬちゅ、ふふっ……こくっ、んぅっ……!」
風呂場のドタバタで収まっていた勃起がとうに復活している。そこを拓海の太ももにまともにぐいぐいこすりつけられて、彼はキスのあいだからうめき声を漏らす。
「よーし、キスがうまくできたあんちゃんに、お姉さんから本番前のごほうびをやろう!」
「んぅぅぅっ……あーっ、あっ、はへっ、え……あぅううっ!?」
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……ふふ、こっちでも味わいたいと思ってたんだが、キスより前にするわけにも行かないし……」
拓海が彼の肩をどしっと押してキスに一区切りしたかと思うと、こんどは先走りでてらてら光る亀頭にくちびるを寄せる。フェラチオで、亀頭とカリ首の中間ぐらいまでをずるんと飲みこみ、ちゅうっと音を立てて吸う。
「ぁ――ふぁ、ぉ、あ、め、ぐ、ぅう、う――っ!」
「ぢゅぽっ、んぢゅっ、んくっ……まぁ、あんだけ風呂場でいじってたらなぁ、味が薄くなってら」
「なんでちょっとがっかりしたふうなんだよ……ぉおおっ!?」
「仮性はぎりぎりまで勃起させなきゃなぁ、ゴムの中で皮が戻っちまう」
拓海の舌やくちびるや口腔粘膜がずるずる迫ってこすって弄んできて、彼は裏筋を中心にどろどろ溶けて落とされるような快感に酔いしれる。
「や、やめ、拓海……口に、出して、しま、あ……!」
パイズリのときと違って、もはや拓海の愛撫から指一本ぶんも逃げられない。拓海は当然のように頬をすぼめて口腔でピストンをさせながら追い詰める。あっと思う間もなく限界を超える。彼が呻く、なすすべもなく射精する――拓海がフェラチオをやめない――彼の精子を口で受け止めながら、まだびゅっびゅっと震える竿を責め立てる。
「んあっ、くふぅっ……にちゅ、ぬちゅ、ふふっ……こくっ、んぅっ……ぷはぁっ……」
「たく、み……!」
見せつけるようにノドをそらしてこくり、こくりと飲んでみせる。
「……うーん、まずいっ!」
「だろうなぁ」
そう言いつつ拓海は再びペニスに顔をすり寄せてくる。彼のものは出したばかりのどろどろでも天井を向いたままである。
「はぷっ。んぢゅ、ちゅちゅ、ちゅうぅっ! んぢゅるっ……ちゅうぅぅぅっ!」
「む、ぐ……ふぁ、あぅ……!?」
「んぐっ、ぢゅっ、ぷふ、んぐ……っ! 精液ついたままゴムつけたら、抜き差しのときズレちまうからなぁ……キレイにしといてやるよ」
拓海のお掃除フェラが彼の想像を超えて心地良く、絶頂の余韻で力が抜けきってしまった彼はされるがままになる。ペニスが敏感なままで幹の部分にちゅっとキスをされただけで、その瞬間に声を漏らしてしまう。
キスで一区切りをつけたつもりなのか、拓海がいつのまにかコンドームをつまんで外装のフィルムをむく。
「女の子にゴムをつけてもらうなんて情けない……って、顔に書いてあるぞ」
「誰が……! いや、その、あの」
「童貞なんだからしっかり覚えておけって。それとも口にくわえてつけてほしいか? できるかなぁ仮性で」
「わ、わかったから、その……お願い、します……」
快楽ですっかり従順になった彼に気をよくしたか、拓海が手コキやパイズリやフェラチオのときより優しげな手付きでコンドームを彼に装着してやる。いよいよ挿入の段階だ、と目配せで確かめあう。
「じゃあ本番の卒業試験ってことで、あんちゃんから入れてくれよ」
「お、おう……いく、ぞ……!」
「クルマの免許だと、教官が助手席からじろじろ見てるんだろ? で、しくじると横からブレーキ踏まれる」
「緊張させること言いやがって……俺がしくじったら拓海はどうしてくれるんだよ」
「……さぁ」
拓海が笑いながらベッドに横たわって両足を開き、彼を受け入れる体勢を取って見せる。拓海の割れ目はすでに愛液でてらてらと滑っている。膣口が触れられる前から半開きに割れてピンクの肉襞をひくつかせている。彼が亀頭をぐっと押しつけると、何度か入れ損じて恥丘をぷにぷにとつつく格好になる。
「はは、逃げやしないし、まだ夜は残ってるだろう? むしろじっくり味わって噛み締めて卒業してくれよ」
「……それもそうだな」
次に挿入に挑むと、緊張がほぐれていたおかげか、先端があっさりにゅぷっと呑みこまれる。ペニスを拓海のナカに納めていく過程が、筆舌に尽くしがたい快感と達成感を彼にもたらす。拓海の膣内はコンドーム越しでもはっきりわかるほど熱く潤んでいて、柔らかなひだが彼のものを舐めまわしてくる。
「おー! ついにあんちゃんも童貞卒業か……」
「あ、あっ……は、ァ……く、うぁ、や、ばっ、もう……!」
「……ふふっ」
ひとたまりもなく吐精してしまう。前戯で一度射精済みであることが信じがたいほど勢いが強く、びゅくくっと何度も何度も精液を撃ちこむ。
「あ、あ……拓海、その、これは」
「じゃ、これはお祝いということで」
拓海からの祝福のキスは、お掃除フェラの残り香がうっすら残っていて、彼にこのセックスが現実であるといっそう強くわからせた。
キスが終わったあと、もう一度、拓海の胸に顔を埋めようとした。正常位で抜かずに顔を近づけようとして首や背骨がぎしぎしきしんだが、拓海の巨乳が盛り上がっていたおかげでそれらしき体勢になった。
「童貞卒業してもおっぱい好きは変わらねえなぁ」
「うん、あぁ」
「……そのまま寝るなよ?」
「……む、んぐ、ぅ」
「あんまりそうしてると本当に窒息するぞ?」
拓海はしばらく彼を胸に抱き寄せてやったが、やがてじれったくなったのか、かかとで彼の腰をどしどしと叩いてペニスを引き抜かせる。
「ありがとう、拓海……ぃ、いいっ!? あ、ちょっ!」
「卒業が終わったら打ち上げってことで……おお、まだ大きいなんてあんちゃん元気じゃないか!」
「これは、あれだ……よく言う、あれ、疲れマラってので」
「さっきまで童貞だった男が何をおっしゃる」
拓海が彼を押し倒し馬乗りになる。胸を押しつけながら手でペニスを刺激して半立ちからの再起を促す。硬さが戻ってきたかと思えばすぐコンドームを再び拓海の手で着けてしまう。
「もう一人前の男だから、がんがん行かせてもらおうか」
「お、お手柔らかに……あうぅぅぅっ……!」
「ふぅ、は、ぁ、あっ……! あぁ、あー……たまんないなぁ……!」
騎乗位で挿入し、濡れたままの秘所でずぶずぶとペニスを吞みこんでいく。根元まで挿入しきると、拓海が恍惚とした表情になり、彼と手を重ね合ってぎゅっぎゅと握りこむ。
つながったまま彼に覆い被さり、軽いキスを織り交ぜつつ腰をゆさゆさとくねらせる。膣肉でさらにペニスをしごく。何度も浮き沈みを繰り返すうちに、背を弓なりにのけぞらせながら、ああぁあぅと嬌声を漏らすようになる。
ペニスで女に快楽を与えるなど初めてなのに、彼女の膣内をすっかり覚えてしまったかのように自然に彼も腰を動かす。ぱちゅんぱちゅんと濡れた肌同士がぶつかる音が派手に飛び散る。
「えぅ、うううーっ……! ふ、ふん……調子がでてきたじゃないか……」
拓海が腰を浮かせてペニスを半分ほど抜くと、彼の胸板に両手をついて前傾姿勢になって激しく腰を使う――ずっちゅ! ぐちゅっ、じゅぷっ! ぱんっぱんっ!――結合部からは愛液が泡立って、彼女の動きに合わせておっぱいもぶるんぶるんと揺れまくる。彼が下から手を伸ばして揉みしだくのも構わず、拓海が彼の上で踊るように腰を動かす。髪まで振り乱して快楽に耽る。彼のほうも、だんだんと騎乗位での交わりに慣れてきて、拓海がもっと乱れてほしい一心で腰を突き上げる。
ついにふたりとも快楽で頭をいっぱいにして我を忘れてセックスに没頭する。不意に、彼の頭の中の何が快楽の汁をぷしゅっ、と噴き出したような感覚が走って、それが合図になったかのように拓海もひときわ強くびくんびくんと痙攣しはじめる。
「んっ、ふぁぁっ……ふ、はは、そ、そこっ……んっ、んくっ……!」
射精の快楽にめまいさえ覚えながらも彼が二度三度と最後の限界まで膣奥を突く。
拓海は満足気に頬を緩めて彼の胸板をぴしぴし叩く。数えられるほどの瞬きのあと、絶頂の余韻を残したままお互いの鼻の頭をちょんと触れ合わせてくちびるだけの長いキスをする。
「……あ」
「どうした」
「俺、キスも初めてだった」
「言うのが遅いな!?」
セックス後の汗を流す入浴でも、拓海は彼と一緒に入ると断固として主張した。彼はすぐに折れた。
「あー、昔はあんちゃんに風呂に入れてもらってたのに、いまじゃアタシがキスも童貞ももらってあげる側かー」
「……いや、入れてやったことないだろ……ないよな? 俺以外に入れてくれるの何人もいただろ」
「入れてもらったったら入れてもらったんだよー!」
彼のベッドは事後の残り香がなかなか消えてくれず、ついに拓海用だった来客用の布団に二人で押し合いへし合い無理をして寝た。
※
翌朝、彼の部屋の玄関先。
「じゃあ行ってくるわ! それにしても良かった、きょう叔父さんが休みで」
「午前半休ってだけだよ。というか、今朝させてもらったよ。昨夜、急に家庭の都合があって……とか言っちまったわ」
「アイドルのステージだと、そうやって仕事を代わってもらったら、すっかり仕事とられることもあるんだよなぁ」
言葉に困った彼が何かを言う前に、不意打ちで拓海がそのくちびるを奪った。
「夜がんばったんだから休んどけよ~?」
押しつけられたくちびると、かちんと軽く当たった前歯の余韻が消える少し前に、拓海は玄関のドアを開けてぱたぱた去っていった。
彼が自分も仕事に向かう身支度をしているころ、拓海がこんどは不意打ちでメッセージを送ってきた。
『次までこれで我慢しろ』
胸の谷間を強調した拓海の自撮り写真が、メッセージに続いて彼のスマートフォンに映った。
「次っていつのつもりだよ……」
写真の中の拓海が、にやにやとくちびるを吊り上げて白い歯を見せていた。
(おしまい)