※この作品はR-18です。

アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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 おねショタは別れの美学!
 これは信じていいことなんだよ。何故って、ショタがお姉さんと触れ合って成長してもショタのままって信じられないじゃないか。俺はその矛盾が信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。


相葉夕美さん、ショタの家庭教師となって童貞を奪ってしまう(非Pドル、おねショタ)

「こんにちは~、相葉夕美です~♪」

「こっ、こんにちはっ!」

「おっ、小学生って聞いてたけど……もうちょっとしたら私に追いつきそうだね、背丈っ」

 

 夕美先生の第一印象はまぶしいほどほがらかだった。

 あのころの僕は、自分が夕美先生のことばかり考えてしまうのは当然だと思えるぐらい先生の内面もほがらかであってほしい、と勝手に願っていた。

 その願いは、ほとんど、いつも叶えられた。

 

 

 

「休みの日は野球の練習か~、えらいね~♪」

「先生は休みの日に何してるの」

「だいたい土いじり……まぁお花の世話なんだけど、あんまりお花の相手はできてないの」

「どういうこと?」

「ドクダミだのヒメジョオンだの抜いてたり、アオムシやナメクジをつまみ出してたりのが多いかなぁ」

 

 夕美先生は僕の家庭教師としてうちにやってくる話になっていた。母さんの友達と聞いていたから顔を合わせた瞬間その若いのに驚いた。大学に入ったばかりと言っていて僕と10歳も変わらなかった。母さんと仲がいいのは、公園とかによく出入りしている関係だ、とあとで聞いた。

 最初の授業で勉強のことほとんど放っておいて時間いっぱいお互いのことを話した。夕美先生が僕の使っている教科書をめくって「うわ~懐かし~♪」とか笑っていたのを見ながら僕はこっそりホッとしていた。

 僕は勉強が好きじゃない。そこまで苦手ではないけれど、家庭教師をつけられる話になって「そんなのいらないよ」と言えるほど得意でもない。

 

「わぁ、レギュラーなんだ」

「ま、まぁ」

「どこのポジションなの?」

「ショートだよ」

「しかも全国大会に出たの? すごいなぁ、私の中学とか高校とかの野球部は県大会がせいぜいだったよ」

「先生が野球かソフトかやってたの?」

「ううん、ただ、野球部とかサッカー部とかグラウンド使うとこはお隣さんみたいなもんで」

 

 僕の勉強を気にしてか母さんが夕美先生に家庭教師を頼んだ――「野球ばっかりでは心配だ、勉強でも慶応なり横浜(横浜高校)なり相模(東海大相模)なり桐蔭(桐蔭学園)なり入れるように」――聞いた父さんがあきれていた――「スポーツならともかく勉強で入るとこだったか?」――母さんは僕を“名門”に入れたいらしいけど関西育ちで大人になって神奈川に移ってきたせいか、どこが強いとか勉強できるとかそういうのにうとい。いまだに甲子園に出たことがある学校しかピンとこないらしい。

 そういう人間を“ミーハー”と言う、って父さんが教えてくれた。

 その父さんにあとで夕美先生の写真を見せてあげると「うわーかわいいっ、うらやましいっ」と大声を上げて母さんにつねられていた。

 そういう人間を“ミーハー”と言う、って母さんが教えてくれた。

 どっちが正しいのやら。

 

「私が通ってたとこはグラウンドが狭くって、それをいくつかの部活で分けあうとけっこう花壇とかにボールが飛んできちゃうんだよ。それで私たちがこらー! って怒ってねぇ」

「……夕美先生の『こらー!』ってぜんぜん怖くなさそう」

「飛んできた回数に応じて雑草抜きを手伝わせることにしたらさぁ」

「したら?」

「野球部の何人かが、どうしても飛んできちゃうだろうからって飛ばしてくる前から雑草抜きとか花壇のうね作りを手伝うってさ。トンボがけじゃないんだぞーっ」

 

 僕はその“野球部の何人か”が、申し訳無さより夕美先生とお近づきになりたい気持ちで手伝いを申し出たんだろう、とわかった。

 夕美先生は顔立ちがお人形さんみたいに整っていて、そのくせ目や口が大きく開いたり閉じたりとオーバーアクションぎみで、きれいなんだけどそれより“まぶしい”印象だった。初対面のときレンズが茶味がかったメガネをかけていたけど、それをかけていなかったらまぶしすぎてぼくが直視できなかったかもしれない(それが日差しや照り返しのきついときにかける度なしサングラスで、まじめそうな雰囲気を出すためだけにかけてきた……と、あとから先生に教えてもらった)。

 あるいは華やかといったほうがいいかもしれない。ずっとあとになって、先生がアイドルになるって言い出したとき、まったく冗談に思えなかったぐらいだ。

 

「きみたちは全国行くぐらいだし、キャッチボールで暴投とかティーやノックで変なとこ飛ばしたりとかそうそうしないよね?」

「……僕らが中学、高校になったら飛ばしちゃってるかもしれない」

「へぇ?」

 

 夕美先生は明るい茶髪をうなじやあごぐらいまで伸ばしていた。それも頬や首の動きに合わせてまるでロングヘアみたいにさらさら揺れた。肌は血色が良くて薄っすら日に焼けていて、お花の世話をしているというより蝶や鳥を追い回しているほうが似合いそうだった。

 

「背とかが伸びて体格が変わって、プレイの勝手も変わってきちゃうから」

「成長期かぁ」

「体格が違うとプレイのスピードがぜんぜん違って危ないから、学年上の先輩たちと一緒に練習ってのもできなくなるんだ」

 

 夕美先生の服装は、薄い緑色のえり付きシャツを羽織って、胸下ですそを結んでいた。シャツの下に少し沈んだ青のワンピースを着ていた。

 

「……あの何人かがキャッチボールで暴投するのは下手っぴか、肩強いんだぞ~って見せようとして調子に乗ったせいだと思うよ、まったくもう」

「あー、それは……ありそう……」

 

 夕美先生が両腕を上げてぷんぷん振った。たぶん暴投された側が“ばんざい”したようすを再現したのだと思う。するとおっぱいがゆさゆさ揺れる。どうしても目に入ってしまう。夕美先生の服は、あばら骨のあたりでシャツを引き絞って結んでいるので、おっぱいのふくらみが本当に目立つ。女の人のおっぱいをじろじろ見てはいけないことはわかっているけど、こんなに大きくゆさゆさするおっぱいをすぐそばで見せつけられたのが初めてでどうしても意識してしまう。

 いま思い出すだけでも、背筋やお腹の内側あたりがムズムズする。

 

「あ、いけない、こんな時間」

 

 夕美先生と話していると、時間がびっくりするほど早く過ぎてしまった。友達とゲームとかで白熱しているときみたいだった。野球に打ちこむようになってからしばらくご無沙汰だった。

 

「次はちゃんと勉強してもらうからね~」

「ずっとおしゃべりしてるほうが夕美先生も楽じゃない?」

「ダメだよちゃんとお金もらってるんだから」

 

 先生を玄関まで送った後、僕の部屋で夕美先生のために出したイスを片付けた。座面に先生の体温が残っていた。

 学校で習った“勃起”を初めて自覚したのがこのときだった。

 

 

 

 

「昔のテレビでさぁ……サバンナでは弱肉強食の世界~ってやってたの。毎週のようにトムソンガゼルがチーターに食べられちゃうの。血や肉や骨まで映ってて、いま思うとちょっとグロかったなぁ」

「そ、そうなんだ」

 

 夕美先生は僕にまじめに勉強を教えるつもりなのか、そうでないのか、よく僕を迷わせた。

 2回目からは並んで机に向かって算数やら社会やらを教えてくれるのだけど、僕は勉強より先生の一挙手一投足にばかり注意が向かってしまった。

 

「いまのテレビだと動物が出てるときも、ペットか保護猫、保護犬ばっかりな気がする」

 

 夕美先生はだいたい僕の左側にイスを置いて座って、僕の勉強机が低いのか僕のノートのすぐ横にお行儀悪くヒジをついて、その上に例のおっぱいをむにゅっと載せていた。「おっぱいってそうしないと重いの?」と聞きそうになってあわてて口を抑えなきゃいけなかった。僕の四苦八苦しながら解いた算数の文章題の途中式を先生が見るとき、わざわざ僕の前に身を乗り出すようにして赤ペンを走らせた。髪や首筋が近いと甘ったるい匂いが不意打ちで襲ってきてもうさっぱり集中できなくなった。

 僕の注意散漫を察したのか、単に僕が机に向かうのに不向きなタイプと見たのか、じきに先生は外を歩きながら教えることが多くなった――「私も教室の中にいるより外を出歩くほうが好みでさ~」――ちょうど外が温かくなって、硬球を握りやすい季節だった。

 

「森とか公園とか、そこらへんの街路樹が植わってる土とかだって、土と水と光の奪いあいなんだよ、負けたら枯れちゃうの」

「ボール遊びの……いや、チームのレギュラー争いみたいなもの?」

「そうだね……似てるねぇ、どっちも枠、場所が限られてるから」

 

 近所を歩きながら夕美先生が話をしてくれた。僕はそれを聞きながらコルク柄のクリップボードを使ってノートに書き留めた。クリップボードは先生がプレゼントしてくれた――「スコアブックつけるのにも使えるでしょ?」――僕はそれを盾のように構えていた。

 夕美先生と一緒に出歩き始めたころ……チームメイトやクラスメイトに見られて冷やかされたらどうしよう、ましておっぱいや匂いにぼうっとさせられてるところなんて見られたら……気が気じゃなかった。大人と必要以上に仲良くしているというのは、僕らにとってどうしても甘ったれているように見えて、よくバカにされることだった。

 かと言って夕美先生と部屋で隣に座られて勉強に集中しろ、というのも無理だった。

 外ではクリップボードで顔を覆い隠すように構えて、これはお勉強ですよ、と自分にも周りにもポーズで言い聞かせていた。

 

「きみは低学年のころ、アサガオとかヘチマとか育てたことある?」

「ヘチマの写真撮って、観察日記つけたのは覚えてるよ」

「あれ支柱に蔓(つる)が絡んで伸びてたでしょ」

「うん」

「自然だと他の木の幹や枝に絡んで伸びていくの」

「ずるいなぁ」

「なんでずるいって思うの?」

 

 夕美先生は教えながら、よく道端にしゃがみこんで草木を指さしたり触ったりした。僕がそれに合わせて腰を落とすと、先生のヒジやヒザに押されて窮屈そうなおっぱいが目に入ってしまう。先生もしゃがむとお尻がズボンでぱつぱつになっている。何が何でも見ていないふりをしなければならなかった。

 

「だって……楽に上に伸びられるじゃない」

「上に伸びたら何かいいことがあるの?」

「そりゃ、光がよく当たる場所をとれる」

「光が当たると何かいいことあったっけ?」

「……光合成できる」

「そうそう、よく勉強できてるね♪」

 

 そのとき夕美先生は裸眼だった。夕美先生が笑った瞬間、まぶしすぎて、僕はクリップボードを覗きこむようにますます目を伏せた。

 

「蔓は茎より早く、速く伸ばせる。日当たりのいい高いところを速くとって葉っぱを広げちゃえば光合成がしやすい」

「そうなんだ」

「観察日記つけたの思い出して~。毎日わかりやすいほど早く伸びる植物ってなかなかないんだよ」

「はい」

「なんで早く伸びられるの?」

「だから、ほかの植物の茎とか幹とかに寄っかかれるから」

「観察日記つけたとき、蔓を触ったかな」

「触ったけど……」

「寄っかかれるから、蔓はやわでもいいんだ」

「やわな蔓のほうが、硬い茎より楽に作れる?」

「うん、そういうのけっこういる」

「先生も育てたことある?」

「いまお世話してるバラにも蔓を伸ばすのがいるよ。早く伸びてくれて庭造りに助かる」

 

 夕美先生が両腕を広げてゆっくり振ってアーチ型を示した。園芸では、蔓バラに細い金属のアーチ型を作ってあげてバラのゲートやトンネルのようなものを作ることがあるらしかった。僕は夕美先生が動かす腕のせいでゆさゆさ揺れるおっぱいを、やっぱり見ていないふりしなければならなかった。

 

「でも寄っかかられた側の草木は、光が当たらなくなって弱っちゃうね」

「そうだね……枯れちゃわないの?」

「もちろん枯れるよ」

「えっ」

 

 夕美先生は、なるべく僕が学校でしている勉強に合わせた話をしようとしているけれど、僕が調子良く相槌を打つと、先生の好きな植物の話に流れていくのがしょっちゅうだった――「あ、ごめん、マニアックな話ばっかり」――僕はそういう話そのものも面白いと思ったし、そういう話をしている先生の声を聞いているのが心地よかった(逆に、机に向かって勉強しているときの先生はちょっとおすましした声であんまり好きじゃなかった)。

 

「草じゃなくて木だけど、ガジュマルって木があってさ」

「沖縄のほうに生えてるんだっけ?」

「よく知ってるね! あれ自分が寄っかかって踏み台にした木を絞め殺しちゃうんだよ」

「……レギュラー争いよりエグくない?」

「蔓を伸ばさない草や木も、見た目よりエグいよ。周りの草が伸びるのを邪魔したりアオムシが寄ってこないように毒をばらまいてるの……うわ、ほらこのセイタカアワダチソウとか……」

 

 そのうち僕は、同じ年ごろの男子のなかでいちばん夕美先生みたいなお姉さんとうまくしゃべれている、と思ってこっそり得意になっていった。

 

 

 

 僕が夕美先生とちゃんと勉強もしていた証拠として、もう少し勉強のことを話させてほしい。僕がおっぱいのことばかり考えていたわけじゃないんだよ、って言い訳がましく聞こえると思うけれど。

 

「きみは木に登れる?」

「……危ないから登っちゃダメ、って言われる」

「残念だなぁ~、じゃ、ちょっと待ってて」

 

 あるとき夕美先生が公園の木によじ登りかけたので僕はあわてて止めた。ズボン姿だったけどアンダーウェアみたいにぴっちりしててお尻や足の形がすっかり見えて、僕はどきりとさせられた――いつか夕美先生が社会科を教えているとき「大根足って、この時代のころ褒め言葉だったんだって。大昔の大根は白くてほっそりしてて……」とか言いながらズボンごしに見せつけられたのを思い出して、あんまりにもあっけらかんと見せられて目もそらせなかった――木からしぶしぶ下りてきた先生は、なぜか公園の売店まで歩いていってジュースを2つ買ってきた。

 

「そこに自販機があったじゃない」

「これがお話に必要なのよ。きみはリンゴとオレンジどっちがいい?」

 

 先生は僕が選ばなかったオレンジジュースの紙コップにストローを突っこんでちゅうちゅう吸い上げた。白いストローからオレンジジュースが透けて、先生のくちびるのあいだに吸いこまれていくのを見ていた。

 

「葉っぱが光合成をするとデンプンができる、って理科の授業でやったんだっけ」

「うん、アルミ箔で葉っぱを遮ったり遮らなかったりして、ヨウ素ってのに漬けて……」

「光合成って水が必要、ってのも学校でやった?」

「そ、そうだっけ」

「私たちの背丈より高いところにある葉っぱまで、どうやって水を持っていくの? そうしないと上の葉っぱが光合成できなくてムダになっちゃう」

「……まさか、ストローみたいに、吸ってる?」

 

 先生がくわえていたストローを離して、白い歯を見せて笑った。僕は意味もわからずどきりとした。

 

「きみ、いまちょっとストローくわえてくれない?」

 

 僕は言われるがまま、リンゴジュースの水面が揺れるコップにストローをさしてくわえた。

 

「ここできみが息を吸うと、ストローの中の空気がきみの体の……肺の中に……吸われていく」

「んんっ」

「すると、きみとじかに触れていないはずのリンゴジュースまで、まるで引っぱられたように吸われていく」

「んんぐっ!?」

 

 うなづこうとした瞬間、リンゴジュースがのどに突っこんできて僕はむせた。夕美先生に背中をさすってもらった。収まったと思いきや、僕の手首におっぱいがむにゅっと触れてるのに気づいて、またむせた。引き離そうとしても離れなかった。

 

「げほっ、ごほっ……ごめ、ん、先生、服に……」

「だいじょうぶ? 水がね、まるで引っぱられたみたいに上に行くために蒸散が……まぁこれはちょっと難しいから宿題にしようかな……そういえば、凝集力張力説だけだと導管水の気泡が――」

 

 夕美先生の話は、教科書の範囲をしょっちゅう飛び出した。僕が夕美先生の受け売りを学校で披露すると先生が感心したり怪しんだりするほどだった。夕美先生はこれについて僕の父さん母さんにうまく言っていた――「甲子園とかプロとか意識して野球やってる子なら、勉強も中学高校ぐらい背伸びしたほうがやる気出ると思って」――僕は夕美先生が教えに来てくれるのを心待ちにするようになっていた。

 

 

 

 道端に緑色が目立つ季節になって、家庭教師の時間以外でも夕美先生の顔を見た。僕の練習試合をこっそり見に来ていた。

 夕美先生は白くてつばの大きな帽子に、例の薄いサングラス、結んだシャツとワンピース姿だった。観戦している保護者たちから離れて、スポーツ公園野球場の一塁側に立つひし形金網フェンスの向こうで、一人で黙って立ち見していた。離れていても、先生がまぶしすぎて、みんなが気にしていた。僕が初めて会ったときと同じように、僕や相手のチームメイトも、コーチも、果ては保護者たちもチラチラと先生を見ていた。先生は声一つ出さないままなのに。

 

「あれ……誰かの知り合いかなぁ」

 

 僕は素知らぬ顔でチームメイトにつぶやいて聞かせた。ここで僕が夕美先生と親しげに話しはじめたら大事件だ。野球どころじゃなくなる。タイミングが良かったのか悪かったのか、僕の父さん母さんは来ない日だった。もし来ていたら何かしら会話していて僕が先生のつながりを根掘り葉掘り聞かれる羽目になっていた。

 夕美先生は僕の内心を察してか、僕には周りのチームメイトと同じぐらいだけ視線を向けていた。何を面白がったかわからないけど、ときどきにっこり笑っていた。

 練習試合が明らかに白熱してきた。ベンチでは、声を出せと言われる前からやけっぱちのようにみんなが声を出していた。

 僕はヒットを打った。一塁に出たら金網越しの夕美先生がもっと近くなっていた。見ないようにがまんするため「リーリーリー」とたいして離塁していないのに叫ばなきゃならなかった。

 

「……中で見ていきますか?」

 

 そのとき相手チームの大人の誰かが、夕美先生を誰かの父兄だと思いこんで声をかけたらしかった。

 

「おかまいなく~、むかし弟が野球やってたなぁ~って懐かしくなって、ぼ~っと見ていただけですので」

 

 僕に勉強を教えているときより明らかにのほほんとした態度をしれっと見せていて、びっくりしてのどが詰まって「リーリーリー」の声が途切れた。夕美先生に弟がいるかどうか、という話を聞いた覚えがない。もしいるとしたら姉弟でどんなふうな会話をしているのだろう、などと想像してしまった。

 それからもしばらく夕美先生が僕たちの野球を見ていた。薄い長袖を着ていて、腕や胸を金網にくっつけるようにして見ていた。服越しに先生の肌についたであろう金網の模様を僕はどうしても思い浮かべてしまった。

 

 

 

 

 夏休みに入る直前、夕美先生が母さんと話して、僕の自由研究を手伝うため遠くにフィールドワークすることが決まった――「おかまいなく~、おしゃべりで時間つぶしちゃったぶんをカバーしなきゃなぁ~って思って……それに行くのは、私にも楽しみなところですよ」――“楽しみなところ”とは県南M市にある相模湾に面したK森で、“遠く”と言っても僕の家から電車とバスを乗り継いで2時間弱だった。

 先生が母さんに話を持ちかける前、僕の部屋で夕美先生と指切りをした。「きみがやる気なら説得しやすいし」――指切りなんて子供っぽい、と思ったけど――「しっかりやる、って約束してくれないと……」「くれないと?」「ケガとかしちゃうかも。そしたらもう私もきみの先生はできなくなるかな」――神妙な面持ちのふりをしていたけど――本当は先生の手に触れたい気持ちが上回って、した。指切りのおまけに夕美先生から手をぎゅっと握られて、しばらく動けなかった。夕美先生はもうこれ以上ダメってほど近くにいたのに、まぶしさと甘い匂いがいきなり倍になった気がした。

 

「ふふ、そういう顔されると、好きになっちゃうかも、めちゃくちゃにしちゃうぐらい」

 

 僕はとっくにめちゃくちゃだ、と言いかけて黙っていた。ちょっとでも体を動かそうとすると、足がしびれたのに似た感じが全身あちこちからしみ出してきた。病院に行かなきゃならないか、と心配になった。

 

 フィールドワークは僕と夕美先生だけで行くことになっていた。僕は母さんに作ってもらったお弁当を持たされた。夕美先生はどうしてるかと思ったら、道中の駅ビルにあるパン屋さんで「ちょっと待っててね」とサンドイッチを買っていた。「お弁当まで自分で、となると早起きになりすぎてね~」とこっちが尋ねてもいない言い訳をしていた。先生の年齢だと、自分でお金を出して買い食いするなんて日常的なことなんだ、と気づいた。僕は自分に呆れた。いままで何度も一緒に歩いて回ってたのに。

 無性に悔しくなって、僕はわざと大人料金の切符を買った。差額は小遣いを上乗せしてカバーした。けっこう痛かった。夕美先生はそれを見て「駅ちゃんと合ってるね、よーし」とだけ言った。

 

 いい天気だったけどじっとり汗がにじんだ。でもK森に入ると鬱蒼としていて涼しかった。木々の間を木板で作った通路(ボードウォークというらしい)が伸びていた。

 フィールドワークは、夕美先生に手伝ってもらいながら動植物のレポートを書いて自由研究とする――「違う、そっちじゃない、私たちはこっち」――先生は関係者のツテかなにかがあるのか、「一般入場禁止」のところもこっそり見せてくれるとささやいてきた。他の人にはダメ、というところに先生と二人で、となるとにわかにやる気が湧いてきた。入り口で関係者らしきおばさんが「お姉ちゃんに連れてきてもらったんだ~」みたいな顔で僕を見ていたのも気にならなくなった。

 

「……入場禁止なんてあるんだ」

「こういう森に来るぐらい森を好きな人が、森をめちゃくちゃにしてしまうのはよくあることなんだよね~」

「だいじょうぶなの?」

「一般入場できるエリアは地元の小学生でも来るから、きみだと低レベルな気がしてね~」

 

 夕美先生の顔は、そういうと僕がやる気を出すでしょう、と書いてあった。まんまと乗せられている気がしたけど、得意な気分のほうが強かった。

 

「ただ、自由研究のときも、私のことは隠してね?」

「えっ」

「ないしょだよ……うまくごまかしてね?」

「わかったよ」

 

 湿った地面――地面と言っても木の根や草に覆い尽くされそうだった――「足元に気をつけて。私の足跡をついて歩くんだよ」――夕美先生の歩幅は僕にとって少し広かった。夕美先生のほかは人の気配がついにすっかり感じられなくなって、葉擦れや虫、鳥の鳴き声ばかりがうるさいばかりだった。

 先生の足跡をたどって下を眺めていると、細い葉っぱが行儀よく連なっている草がわさわさ生えているのが気になってきた。夕美先生と歩いた町中や公園では見た覚えがない――「ああそれ、アスカイノデだよ。気になる?」「なんか、恐竜図鑑でトリケラトプスが食べてたみたいな」「そうだねぇ、シダ類だから数億年前から地球にいるね~、ヘチマや私たち人間よりずっと先輩」――僕はメモを取るために立ち止まった。

 例のクリップボードのクリップに小さな輪っか形の金具があった。僕はそこに長いひもを通してボードを首からぶら下げていた。「森を歩くには両手が空いてないとね」と夕美先生に言われてそうしていた。夕美先生が僕に植物の触り心地や匂いをメモするよう促した――「図鑑にあんまり書かれてないから」――青臭いのはフィトンチッドというらしい。土の匂いが、小網代の森は登って下ってするだけで違っている――「あ、それは触るとかぶれちゃうかも、手袋はめて」「触ってから言わないでよ!?」――なんだか自分の五感が敏感になっていく気がした。

 夕美先生がふと足を止めた。見ると、草の葉で100円玉ぐらいの大きさの甲虫がじっとしているのが目に入って、思わず「うわぁ」と声を上げてしまった。てらてら光る緑色の甲羅みたいな形で、表面に細く金と赤の模様が入っていて、虫かごを持ってこなかったことを後悔した――「採集はさすがに私のツテでもダメだよ、写真だけで……それに、それは」「それは?」「チョウとかと違って、死んだ後は色がよどんじゃう。アカスジキンカメムシは」「カメムシなの?」「うん」「……臭いの?」「そりゃあ」――三つ葉かパクチーをもっと強烈にした匂いがした。カメムシの中では生やさしいほうらしかった。

 

 K森のフィールドワークはなかなかハードだった。土が崩れたところも夕美先生が「気をつけてね」と言いながら進んだ――「10年か15年ぐらいに一度、こうやって崩れる。倒れた木が腐って、そこで暮らしやすい草や虫たちが増える」「誰かが枯れたら、誰かの栄養になるみたいな?」「あと、崩れた土が水に流されて海側に運ばれて干潟になる。そこでも栄養になる。その繰り返し」「15年前なんて、僕は……」「私だって幼稚園児だよ」――夕美先生は僕が足を止めたとき以外、草木や花にほとんど反応しなかった。聞くと、知ってる草花にいちいち反応してたら森や山を歩けない、とのことだった。

 

 さらに進むと、ヤブがトンネルのような形になって道(というか、森を歩く前の僕だったら道とは思わなかったような、どうにか歩けるかどうかって地形)を覆っているところがあった。僕や夕美先生がちょっと首をかがめれば通れるぐらいの高さと広さだった。

 

「そこ立って、記念写真を撮ってあげる」

「先生は?」

「自撮りじゃトンネルがほとんど撮れないよ。それに私が案内してるの、ないしょだし」

「……誰にも見せないよ」

「しょうがないなぁ♪」

 

 夕美先生は僕と一緒に窮屈なヤブのトンネルに収まって、ほとんどギュウギュウ詰めになりながら自撮りした。夕美先生の匂いや腕の柔らかさが服越しにもびりびり感じられて、僕はどうしても変な顔になってしまった。夕美先生が笑いながら3枚も4枚も撮ってくれた。

 

「トトロのトンネルってあだ名があるんだってさ」

「これ、ササだよね? なんでまっすぐ伸びてないの?」

 

 話しながら、僕はズボンの中でおちんちんが勃起してしまっているのが映ってしまってないか気が気じゃなかった。

 

「上にフジやクズがかぶさってるから。で、このフジやクズをほうっておくとほかの木がダメになるからいずれ伐っちゃう。そしたらこのササは邪魔がなくなってまっすぐ伸びる」

「トンネル、なくなっちゃうんだね」

「期間限定フォトスポットみたいなものかな~」

 

 写真を見ると、勃起はまったく映っていなかった。首からぶら下げたクリップボードにうまく隠れていた。

 でも僕の変な顔は隠れていなかった。

 

「あとで私のスマホにも送ってよ~?」

 

 でも先生には僕が勃起していたことはバレていた、と知るのはトンネルをくぐってしばらく経ってからだった。

 

「う、うわああっ――」

「――つかまって、私に! うん……だいじょうぶだよ、あれは……」

 

 休憩してお昼を食べて、さらに進んで――「ちゃんとメモ取れてる? 写真は?」「だいじょうぶ……だと、思う」「まぁ、レポートは取れたデータでどうにかまとめるしかないんだけどね」――もうちょっとしたら一般入場禁止エリアとやらが終わるあたりで、いきなり大きくてブンブン騒がしいハチが飛んできた。

 言われるがまま夕美先生につかまってすぐ、僕はそのハチがクマンバチだと気づいた。黒くてうるさくてずんぐりしているからわかりやすい。夕美先生と近所を歩いているときにも出くわして――「だいじょうぶだよ、クマンバチは危なくないから」――あわて過ぎだ、と気づいた僕が離れようとした。

 離れられなかった。

 

「んぎゅっ!?」

「……でも、こっちはだいじょうぶじゃないかなぁ……♪」

 

 夕美先生が僕を捕まえてて、手足やお腹のあたりをわさわさ撫でている。顔が熱くて胸が苦しい。クマンバチのブンブン言う音がますますうるさくなる。森と土の匂いが、夕美先生の甘ったるい気配に押しのけられる。

 

「大きなハチは――あれはクマンバチっぽかったからともかく、スズメバチとか――刺されてすごく危ないときもあるから、むしろ怖がっていいよ」

「あ、あっ!? ゆみ、せん……ん、んんっー……!」

「でも女の人の体をいきなり触っちゃダメなんだぞ~」

「だ、だって、先生が……んきゅっ、く、ふ……!?」

「さっきもおちんちん固くしながら……触り方も教える必要があるね?」

 

 夕美先生の手がズボンとパンツごしのおちんちんに伸びてくる。ダメだ、こんなの、これはきっと、何かとってもエッチで恥ずかしいことのはず。

 

「こっちもないしょ、だよ?」

 

 でも離れられない。おちんちんがしびれたみたいにじんじんして、しんどいけど、ますます固くなっていって、だんだんもっとしてほしい気がしてくる。

 

「あ、ぅ、あぁああぁっ……」

「そうそう、おとなしくしてね? おちんちんの触られ方にもマナーがあるんだよ~」

「くひぃっ……!! ハッ、はァッ……」

「ふふ、きみはかわいいから、ヌギヌギしやすいように……あっ♪」

「それは――んっ、っ……そ、そぇ、ダメ、だ、めぇ……!」

「あっ、こら~! 次からはお風呂でちゃんと洗っておくんだぞ~!」

 

 外でおちんちんを出すなんて、どうしてもトイレが見つからないときの立ち小便ぐらいで、当然ほかの誰かに見せたことなんかない。それを夕美先生があっさり出させてしまう。しかも皮のところをぐいぐいと剥いて(僕は父さんやほかの大人のおちんちんを見て、その皮が剥けるということは知っていたけど、自分のそれを剥かれるのは初めてだった)夕美先生のよだれを塗りつけられぐじゅぐじゅって音がするほどいじられている。

 おちんちんがしびれるのと、夕美先生の甘い匂いと声と、ぎゅうって押し当てられたおっぱいと、クマンバチと森と土とまでが僕の体でもみくちゃになる。

 

「お風呂でちゃんと剥いて洗ってる?」

「ご、ごめ……ぁ、らって……むいたのも、はじめて、で……」

「そっかぁ……んふ、んちゅっ……きれいきれいにしなきゃダメなんだよ~?」

「ぁ、あッ、は、ぅ、ぁあぅ……っ!」

 

 おちんちんをぎゅうって握られると、夕美先生の手があったかくて柔かいのに全部持っていかれる。かと思えばすぐにほかの、夕美先生の匂いとか声とか、自分の心臓がうるさいのとか、入れかわり立ちかわりでわけがわからなくなる。

 

「……きみ、やっぱり初めてなんだぁ……♪」

「う、ぅう……せんせ、ぇ、これ、ダメ、だって……」

「うん、他の人には言っちゃダメだぞ?」

「はぅぅぅっ、んぅぅぅっ……!」

「私も照れちゃうなぁ。おそろいだねっ♪」

 

 それから僕が腰を抜かして座りこんだあとも、夕美先生は何かを待つように延々とおちんちんをいじってくる。

 

「知ってる? きみのここがもっと気持ちよくなると、白いおしっこみたいなのが出ちゃうの」

「し、しらな……ひゅっ!?」

「それを、例えば……私みたいな女の人のおまんこに入れちゃうと、赤ちゃんができちゃうんだ……そういえば」

「ぇ……あっ、あっ、あっ……」

「ここアカテガニの産卵が有名なんだよね。見たい?」

「さ、産卵と、射精は、ちが……あふっ!? んひぃぃ……!」

「知らなくないじゃないーっ♪ そうだよ、産卵と射精は違うよー?」

 

 夕美先生は、僕がおちんちんをいじられてもっと気持ちよくなれば射精できるだろう、といってしつこくおちんちんを撫でたり、どんどんエスカレートしてくちびるを押しつけたり舐めたりしてくる。僕は汗だくになってもだえる。気持ちいいのを通り越して、出てくれないと本当におかしくなって泣いちゃう、早く出てくれ、と思っても出ないまま。

 夕美先生がなかなか射精しない僕のおちんちんをいじりつづけて手持ち無沙汰になってきたのか、きまり悪いのを隠そうとしてか、おちんちんいじるあいまに変なことをしゃべりかけてくる――「アカテガニの産卵は……私もう疲れたから、見たいならこんど自分で来れたときに見てよ。だってあれ日が沈んで20分とか30分とか経ってからって決まってるの。時間が遅すぎるよ。私カニはそんな好きじゃないし」――違う、変なのは夕美先生がおちんちんをいじってるほうで、夕美先生がしゃべってる内容はむしろお勉強で――「まぁアカテガニの産卵風景って感動してくれる人が多くて、それを見れた人が帰りにK森の世話をする財団の会員になって……つまりお金を寄付して……それで手間賃払ってお世話する人手を集め……」――夕美先生におちんちんをいじられてるところを、万が一ほかの人に見られたら――「私が世話している花壇の花も、K森も……世話するめんどうくささとの……ひいおじいちゃんひいおばあちゃんぐらいのころはM市にもっと……K森のお手入れが地元の土地の、つまり商売に……だからめんどうくさ……お世話したけど、いまは……少なく……」――夕美先生はなんで僕のおちんちんをいじって、そんな嬉しそうに――「あとアカテガニの……人が来るようになったけど……片道2時間もかからなくて日帰りで……あんまりお金を落とさないわ、逆にバーベキューや花火やってゴミ落として……たまったもんじゃ……」――おちんちんがもう限界で、体が全部チカチカして、夕美先生の話も途切れ途切れになっていく――「特に地主さんとか土地に税金かけられて……この森の土地を土地屋さんに売って、土地屋さんがここゴルフ場にしたら儲かるって……市だってゴルフ場ができたら入るお金が多くなって土地埋め立ててホテルとか……なぁに森の緑よりゴルフ場の緑が好きな人だってけっこういる……署名なんてタダで出るものなんも……」――おちんちんいじる夕美先生のことしか考えられない――「でもさっきの財団……守るためにお金を払っても良い、って人が……4000人か5000人だったっけ……すると無視できない。大人がお金を出す、もらう、ってなると楽しい遊びだけじゃ……きょう私がキミとここに来てるのだって、家庭教師代もらってるから、うん、こうやって自由研究に役立ちそうなことも教えなきゃ……」――急に夕美先生の手がおちんちんから離れた。

 

「もう……おじゃま虫だなぁーっ、メスかなぁ? オスだったらスルーしてくれるだろうし」

 

 クマンバチのブンブンうるさいのが耳に戻ってきた。どれぐらいおちんちんをいじられてたかわからなかったけど、まだそこにいて、何かしら夕美先生の邪魔をしたらしい。

 

「……森について、こういうお金とか手間暇とかの話を自由研究に入れておくとね、ただ“自然がきれいでした、守りたいと思いました”ってお子ちゃまからワンランクアップできるよ!」

 

 僕は夕美先生に支えてもらってよたよたしながらその場を離れた。森を海岸側に下って干潟にたどり着いたころ、もう空がオレンジ色になっていた。

 

 僕は1-2時間ほど帰りが遅れる事情を電話ごしに母さんに説明した。僕の携帯は写真や動画撮影でバッテリーがかつかつになっていて、夕美先生の携帯を借りることになった。夕美先生が母さんに電話をかけて途中で僕に代わった。先生の手と顔の熱が残っているようなスマホの画面を耳で感じて、危うく取り落としそうになった。

 僕に遅刻の理由(遅れた本当の原因が言えなかったので、でっちあげだった)を言わせた先生は「ごめんね、私に付き合ってウソつかせて」と言った。こんなにほがらかで嬉しそうな謝罪があっていいのか、と驚いた。

 

 おちんちんをいじられながら聞かされた話は、自由研究に書こうとするとおちんちんがムズムズしてしまってどうしても書けなかった……こんなことまで書いたら、大人が僕のかわりに自由研究をやったんだ、と思われる……と言い訳してほとんどカットした。

 

「おちんちんいじられるの、気持ちよかった?」

「ど、どきどきして、寿命が縮むかと思って……」

「そうだよー、心臓どきどき一拍ごとに私たちの寿命は縮んでるんだよー……またしてほしい?」

「……え、えと」

「してほしくないかなぁ……うぅうぅ……」

「そ、そんなことは……!」

 

 そのときの僕は、おちんちんが気持ちよかったというより、夕美先生に嫌われたくないからそう言ってたはずだ。

 

「じゃあこんどから、勉強がんばったときのごほうびにしてあげる♪」

 

 でも授業のたび、何度も“ごほうび”としてもらううちに、おちんちんがムズムズするほうに取って代わられていった。気持ちいいのに、なぜかどうしても泣きたくなった。泣いてしまうと、夕美先生がぎゅって抱きしめてくれた。

 

 

 

「実はさぁ……もうすぐ、家庭教師を辞めるんだ、私」

 

 そう聞かされたのは秋のある日だった。夕美先生と初めて会ったときより涼しくて、花がしおれたり葉っぱが色褪せていたりする季節だった。

 僕はあわてた。まさか、ないしょのことがバレて――

 

「ああ、だいじょうぶ……ないしょのままだよ、ただ……アイドルに、なることにしたの」

 

 ――夕美先生が神妙な口ぶりだったり、あいかわらず本当に華やかだったりで、“アイドル”っていう非現実的な言葉でもまったく冗談に思えなかった。

 

「といっても駆け出しで、オーディションとかいろいろ……きみの野球の……強い学校に入るためのセレクションとか、チームのレギュラー争いとか、そういうのにちょっと似てるかもね」

 

 どうしてアイドルになることにしたのか、もう少し詳しく教えてくれた。ボランティアで公園の花壇のお世話をしていたら“プロデューサー”という(先生よりも)年上の男の人に声をかけられ――「お花のお世話をしながらおしゃべりしてたら案外楽しくて、いつになったらしびれを切らすかな~と思っているうちに……何時間も付き合ってくれたからさぁ、暇じゃないだろうに……」――それで自分の方も話ぐらいは聞くことにして、調べてみたらけっこう評判のいいアイドル事務所で――「君のお母さんのおかげさまで、ほかにバイトしなくてもいいぐらいお金にも余裕ができてきたし、これも経験かなぁって♪」――僕のほうがずっと長い時間を夕美先生と過ごしてきたのに、と思ってしまう。

 理屈ではわかってるんだ、子供と大人の時間じゃ重みが違う。少なくとも、大人にとっては。

 

「それにきみったら、私と一緒だと勉強どころじゃなさそうだし」

「それは先生のせいだろ~!」

「あははっ、いけない先生だね私ったら」

 

 僕は夕美先生と一緒にいるとおちんちんがムズムズした。そのムズムズにはけっこう波があって、夕美先生が僕の机の隣で澄まし顔で勉強を教えてくれているときがいちばん、ほかのときの倍ぐらいひどかった。

 

「あとね~」

「まだあるの……?」

「私はキミが大好きだけど……いいえ、大好きだから」

「……え」

「このままだと、そろそろキミをめちゃくちゃにしちゃうと思う、どうしようもないほど」

 

 ぽつり、と指切りのときもそんな感じに言われたのを思い出す――「……好きになっちゃうかも、めちゃくちゃにしちゃうぐらい……」――違ってるけど同じようなものだろう。

 夕美先生は“ごほうび”で僕のおちんちんをいじるとき、いつも「がまんしてね♥」と一方的に言ってくる。“ごほうび”じゃなかったのかよ、と思いつつ、とても気持ちよくて、同じぐらいしんどくて、言われるがままにがまんする。でも、そんな言い方をしても僕が先生を好きなままだろうって考えてるのが透けて見えて……実際その通りで……そういうところが大人みたいに上から目線だ。そういうところはきらいだ。

 好きで、きらいで、やっぱりめちゃくちゃだ。

 

「最後に、きみがしてほしいこと……言ってみて?」

「……してくれるの?」

「どうかなぁ~」

 

 夕美先生の顔が、僕の部屋に差しこむ夕焼けで赤く見えた。その日、僕の父さん母さんは出かけていて帰りが夜になるはずだった。

 

「服、脱いで、裸で……」

「うふふ、そういえば私の裸を見せてあげたことなかったね~……って、きみも脱ぐの?」

「……僕だけ着てたら、なんかおかしいじゃない?」

 

 がんばって笑ってみせた。ちょっと強がっていた。笑いづらい理由をがんばって言葉にするなら……いつからか、夕美先生にぎゅってしてもらう最中に、自分と先生が服を着たままであることが泣きたくなるぐらいよそよそしく感じられて、というのが……そりゃ、裸が見たいって気持ちもあったけど。

 

 

 

「なぁに~、じろじろ見られると恥ずかしいよ~♪」

「……楽しんでるでしょ、夕美先生」

「えへへっ」

「笑ってごまかしたな~!」

 

 夕美先生が服を脱いで、布どうしや肌がこすれてスルスル鳴る音でもう僕はどきどきしている。鼓膜が心臓に叩かれているように騒がしい。そんな僕を見て夕美先生がくすくす笑う。ブラジャーを外した裸のおっぱいがふるふる揺れる。ぼくの片手じゃめいっぱい広げても覆えなさそうなぐらいおっきい。おっぱいのふくらみの途中を薄っすらした日焼け跡が横切っている。夕美先生は僕が思っていたよりもっと色白だったんだ、と初めて気づく。

 

「ふふ、どうだっ♥」

「すご……ロケットみたいだね」

「そのたとえちょっと男の子すぎない……?」

「い、いいでしょ、別に」

 

 夕美先生のおっぱいが本当にロケットに似ている、と思った……というわけではなく、前にこっそりコンビニで盗み見たエッチな雑誌に「ロケットおっぱい」って煽り文句が書かれていたのをたまたま思い出した、という感じだった。夕美先生のおっぱいは服越しに見ていたときからどーんという感じに盛り上がっていたけれど、さっきは先生がぐいって胸を張っていてますますこんもりしていて、思わずロケットとつぶやいてしまった。

 

「触ってみる?」

「……いいの?」

「赤ちゃんみたいにおしゃぶりしてもいいよ、ちゅーちゅーって」

「もうっ」

 

 夕美先生に乗せられて僕はおっぱいに顔を近づける。むわって甘い匂いに気圧されるけどお腹の底に力を入れてもっと近づく。おちんちんが痛いぐらい固くなっているのも感じる。乳首は先生のくちびると同じぐらい濃い赤でぷっくり盛り上がっている。僕ならともかく赤ちゃんの口には大きい気がする。

 

「ぁ、きゃんっ……!? もうっ、吸うって、声ぐらいかけてよーっ」

「あ、ご、ごめん、なさい……って、先生も僕のいきなり触ってきたことが」

「あはは、口はもう一人前かー」

「うはぁ!? ぁ、あっ」

「しゃぶるのはいいけど、歯は……強くは、立てないでね♥」

 

 ベッドに並んで寝転んで、僕は夕美先生のおっぱいに顔を埋める。夕美先生は僕のおちんちんに手を伸ばして刺激してくる。僕のおちんちんをいじるたびにとても嬉しそうな声音で、もっとさわってあげる、とささやいてくる。かと思えば――「むー、ちゃんと恥垢を落とさなきゃダメだよー」「ちこう?」「おちんちんについてる白い汚れ」「き、きれいにしてるでしょ!?」「そうだね、ごめ~ん♥」――いきなりおっぱいを強く深く押しつけられて窒息するかと思ったかと思えば、急に引き離されて体をずらしておちんちんに顔を寄せられる。

 

「おちんちんをしゃぶってあげるのはね、フェラチオって言うんだよ~」

「……おっぱいをしゃぶるのは?」

「え……あぁ、なんて言うんだろう……?」

「先生にもわからないことがあるんだね」

「そりゃあねぇ」

 

 夕美先生の吐息をおちんちんの敏感なところで感じて、思わず太ももやお尻を緊張させてしまう。夕美先生が笑いながら、ちゅっておちんちんの先っぽにキスしてきて、その1秒だけで頭も体も真っ白にチカチカする。

 

「白いおしっこ、出ないねぇ」

「……出ないままだったらどうしよ」

「何か困るの?」

「え……いや、出るもんなんでしょ」

「私は出なくてもいいけどね」

 

 僕はぜんぜんよくない。おちんちんをいじられて気持ちよく苦しくおかしくさせられるのが射精で一区切りつくのなら、もっと夕美先生を恨みがましく思わないで済む気がする。

 

「だって出たら終わっちゃうんだもん、私が続けたくても」

 

 フェラチオにしても、手でこしょこしょ、ずりずり、ぬるぬるいじられるのにしても、夕美先生におちんちんをいじられてると、本当にぞくぞくしびれてどうしようもなくなる。僕が変な声を出さないよう必死でがまんしていると、夕美先生はニコニコしながら何度も問いかけてくる――「痛い? ごめんね~、もっと優しくしてあげようか♥」――優しくされてもますますおかしくなる。おかしいのがおちんちんどころかタマの根元まで溜まっていって、それが一気に膨らんで弾けると本当に破裂したみたいになって怖くなる――「射精できなくても、イケちゃうんだぁ……♥」――体が言うことをきかなくなる。全身全霊で夕美先生にめちゃくちゃにされてるのを感じる。“イケちゃう”たびに涙がにじむのを止められなくて――「つらい? ここまでにしとく?」――めまいがするほど首を横に振る。どうして止めてほしくないんだろう。

 

「よーし、じゃあ次は……おっぱいでおちんちんと仲良くしちゃおっか♥」

 

 僕は夕美先生の提案が“パイズリ”という、とそのときは知らなかった。ただ、それがますます僕をおかしくすることは察していた。

 

「は、ひっ、あう、んっ……えう、んんっ……!?」

「えいっ♥ あははっ、全部包めちゃったっ、私のおっぱいけっこうおっきいからね~♥」

 

 夕美先生のロケットおっぱいは谷間も深くて、破裂しそうなぐらい膨らんでいる僕のおちんちんもすっぽり覆ってしまう。それから優しく僕の腰をぎゅって抱え込んできて、おちんちんの根元をおっぱいでしっかりつかまえられたまま、むにゅ、むにゅって押し込まれたり引き抜かれたりする。ぬるぬるぐちょぐちょっという音が僕のほうからも聞こえる。

 

「ンああぁああ……っ!? あ、ぅ、あぁああぁっ……」

「先生のおっぱい、気持ちいい?」

「くひっ、ひんっ! はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」

 

 夕美先生のおっぱいはマシュマロみたいで、ふわふわとろとろ……いや、むぎゅむぎゅってこすられると手やくちびるのときよりずっときつい……おっぱいにもみくちゃにされながらおちんちんをマッサージされる。僕は体をそらし声にならない叫びを撒き散らす。先生は楽しそうに僕に話しかけてくる。視界が白飛びして目や頭まで焼けてそう。

 

「ねぇ、知ってる? きみのおちんちんがふっくらしてくるのは……きみの血がこっちに流れこんでぱんぱんになってるからなんだよ~」

「し、しらな、なぃ、って……あそこっもう、だ、え……ひっ、い……ふぁっ、ぁああっ……!」

「だから、私、きみのがとっても熱く感じるの♥」

 

 夕美先生はパイズリのあいまに、僕の乳首に吸いついてくる。さっきのお返しだろうか。先っぽに軽く歯を立てられると、それだけで僕は先生に食べられちゃってると思う。おっぱいのなかでおちんちんがひくついて、おっぱいとこすれあってむぎゅってなるのを感じるたびに頭がバチバチする。夕美先生がそんな僕を笑って見てる。僕を追い詰める。

 

「もう、もうむぃ、むりぃぃいっ……なにか出ちゃう、出したい、出させて……おかじぐ……なる……っ!!」

「ダメぇ♥」

 

 夕美先生がすうっと体を引いて、僕のタマの裏かお尻の穴の手前あたりをぎゅうぎゅう押してくる。するとどうしても出そうなのが、いきなりどうしても出せなくなる。

 

「出しちゃったら、終わりだから……まだ終わりは、いやっ♥」

「ぜぇっは、ぅ、うぅうぅ……あっ、あっ、はひっ、はっ……!」

「……そうだ! こんどはきみが、私のあそこを、おまんこいじって♥」

 

 夕美先生は僕の息が整うまで背中を撫でてくれたあと、ベッドに体育座りして、僕が頭を突っこめるぎりぎりぐらいの幅で太ももを開いてみせる。さすがに大人の女の人であそこに毛が見えるけど、ずっと前に風呂場で見た母さんのと比べるとずっと毛が薄くてあそこの形がよく見える。短い毛がさらさら生えて濡れてぺったりしていたのが終わると、その下にあそこがふっくらしていて小さなおっぱいみたいな輪郭……だけど薄っすら紫がかったピンクの割れ目がひくひくしているのも見える……「もっと近くで見てみなよっ」……甘くてしょっぱい匂いだけで頭ががんがんさせられる。

 

「夕美先生……」

「ひゃんっ♥ もうっ、くすぐったいよー」

「あ、ごめっ」

「おまんこの近くでしゃべられたら……そっとしゃべってね?」

 

 夕美先生のあそこの割れ目がきゅうきゅう引き攣れたように見える。笑っているふうに見えなくもないけど、ほがらかとはさすがに言えない。

 

「僕も……夕美先生のあそこ、舐めたほうが……」

「おまんこだよーっ」

「……お、おまんこ、舐めて、いい……?」

「ふふっ、いいよっ! そういうのは、クンニリングス、って言うんだよー」

「かぶれちゃわない……? んぎゅっ!?」

「そんな冗談を言う口は、このまま絞め落としちゃうぞーっ!」

 

 夕美先生が言う“クンニリングス”は、パイズリと比べるとだいぶ真面目に聞こえる言葉だけれど、先生は同じぐらいうきうきしているふうだった。

 気を取り直して、僕はおまんこにゆっくり口を近づけて、舌の先を少しだけ触れさせる。それだけで夕美先生の匂いが僕の頭の中までいっぱいになった気がして、もっとめちゃめちゃにされちゃう気がする。

 息を殺しながらそっとくちびるをくっつける。

 

「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……♥」

 

 おまんこの至近距離でしゃべったらくすぐったがられるので、僕は先生にどうしたら良いか言葉では尋ねられない。代わりに舌やくちびるで聞こうとする。太ももがぴくぴくなるのを感じるとそっちにほっぺたをくっつけたりもする。

 

「あっ、ゃ、あ、んんっ……ひぁ……! そ、そうだよ、敏感だから、優しく……」

 

 もし夕美先生がフェラチオをこんな具合でやったとしたら、僕はじれったくて嫌になる……という加減がクンニリングスにはちょうどいいらしい。僕がおそるおそる続けていると、夕美先生が両手を僕の頭にそっと載せて撫でてくれる。子供扱いされたようで、僕は舌を突き出しておまんこを思いっきり舐めてしまう。

 

「は……ん、ふぁあぅ……!? なぁに、慣れてきちゃったの……♥」

 

 夕美先生が苦しそう……なのに嫌がったり怒ったりしているようではないような気がする。さらに舐めるとだんだん甘いのよりしょっぱいのが強くなる。僕もよだれがあふれてきて夕美先生のおまんこをぐじゅぐじゅにする。

 

「あっ、ゃ、あ、んんっ……ひぁ……!」

 

 舐めたり、鼻先をこすりつけたり、くちびるで挟んだりしていると、夕美先生が僕の顔を挟むようにぐいぐい太ももで締めつけてくる。どこまですればいいんだろう、と思ってはいるけど止め時を見失っている。僕のおちんちんをいじっていたときの夕美先生もそうだったのかな、と考える。

 

「あ、ははっ……あっ……♥ きみが、いっしょうけんめい、してくれて……私、イッちゃうかも……♥」

 

 夕美先生のつぶやきは、僕が初めて聞くほどか細い声になっている。夕美先生が“イッちゃ”ったら白いおしっこみたいなものが出るのだろうか。それは赤ちゃんを作るのに必要なんだろうか。いままで誰も教えてくれなかった話だった。

 いま出してもらっても、夕美先生が僕の頭を抱えるようにぎゅうと縮こまっていて、太もものあいだが暗くて見えないだろう。

 

「んっ、うっ、あ、あっ……! あぁっ、はぁぁぁぁ……! き、きもひ、ぃ、イク、いっちゃ……んっ……!」

 

 夕美先生のおまんこと太ももが一緒になってびくびくして、僕の鼻と口におまんこがきゅうっと押し付けられて息ができなくなる。苦しい……けれど、おちんちんいじられてたときよりは余裕がある。首のどこかに爪をぎりぎり立てられているけど、それが頭を撫でられているときより気分よく味わえる。

 太もものぴくぴくが収まった頃合いで顔をあげる。

 

「……ふ、ぅふ、あは……うまくできるじゃん、もしかして、初めてじゃなかったり?」

 

 くちびるに残っていた夕美先生の汁をぺろっと舐めたら――「それはデリカシーがないぞーっ!」――ほっぺたをつねられて怒られた。

 

 

 

「きみがすっかり慣れちゃったようだし、もうやっちゃおー♥」

「な、何を」

「えっちの本番」

「本番……!?」

 

 クンニリングスの勢いも冷めやらぬうちに、夕美先生が僕をベッドに押し倒しておちんちんを挟むようにまたがる。

 

「まだ出せないから、なくてもいいよね?」

「何が、なくても……って」

「知らないなら、あとで教えてあげる」

 

 おちんちんもおまんこも熱くてぬるぬるしてる。おちんちんのすぐそばで動く夕美先生のお腹や太ももやお尻も、柔かいのにみっちりしてる。そのまま見ていると、夕美先生がおまんこの割れ目を開いて、腰をへこへこさせて僕のおちんちんにこすりつける。

 

「は……ん、ふぁあぅ……!?」

「おっきくなってるおちんちんを、ぐしょぐしょに濡れたおまんこに入れるんだよ~、それが本番えっちっ」

 

 夕美先生がそのまま腰を落としてくる。僕のおちんちんがウソのようにずるりと夕美先生の中に飲みこまれ、悲鳴を上げそうになるほどずりずりこすられる。

 

「ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」

「はぁ~い、童貞卒業おめでと~♥ きみはきょうで私からも卒業だし、ちょうどいいねっ」

 

 おまんこでおちんちんにむしゃぶりつかれる刺激に、もう夕美先生が来てくれるのはきょうが最後って現実がぶつかりあって、僕はまた泣いてしまう。

 

「や、やだっ、せんせ……まだ、ぼく、ッ……ああっ!?」

「……大人のふりをしてるとね、聞き分けを良くしてなきゃいけなくなるの」

「んひゅ、かは、ぁ、あッ、ダメっ……っっうぅー……ぅ……!」

 

 夕美先生は僕を押し潰すようにベッドに倒れて、僕の口をふさぐ。くちびるだ。初めてのキス。そのまま下のおまんこがおちんちんをがっちりと捕まえて、上のお口では舌が別の生き物みたいに僕に入ってくる。

 夕美先生のよだれが甘酸っぱい。それだけ感じるのがせいいっぱい。

 

「はうぅ、んぷっ……ちゅっ、ちゅう……んっ、ちゅぶ……ぷふ、あは……♥」

「う、うっ……うううっ、ぐっ…… う、ふううっ……!」

「もー、泣かないのーっ、泣いてたら顔を覚えていられないでしょう?」

「ぁ、ああっ、う、く、ぐぐ、ふぅううっ……!」

「泣き止まないなら……まぁ、いいや」

 

 夕美先生が再び上体を起こして、舌なめずりしながら――それはデリカシーがないんじゃなかったの?――おまんこをぎゅうって締めつけて、おっぱいがゆさゆさするほど腰をずんずんさせる。

 

「おちんちんに覚えててもらうからっ♥」

「お、ねが……ゃ、めぇ……えああっ……っ!」

 

 僕のおちんちんがぱちんと弾けて、もうダメになっちゃったんじゃないかって怖くなって、それも感じられなくなる。チカチカするのが強すぎる。

 

「……ありゃりゃ、出しちゃった?」

「ぁ……あっ、あっ……!」

「ふふん、赤ちゃんできちゃったらどうするつもりだったのかな~?」

「んぐぅうっ、ううゔっ!?」

「これで終わりなら……いま教えておかないとねぇ? ねぇ♥」

 

 これが射精なんだ、って噛みしめる暇もなく、夕美先生がおまんこをぎしぎし締めつけてきてたまらない。夕美先生が何かささやいてきたり、くちびるをとがらせたり頬を膨らませたり、ときどき例のほがらかな笑顔を見せたり、とにかく何かしゃべっている。でも僕に答える余裕がない。ただびゅっ、びゅっとしゃくりあげるばかり。

 

「よーし、じゃあこんどはきみが上になって入れてみよー♥」

「あ、あっ、あ、だ、めぇっ、せんせ、ぇ……!」

「がんばれっ、ファイトっ♥ まだおちんちんができるって言ってるよーっ」

 

 夕美先生の両足に腰を抱えこまれる。おちんちんが白くてどろどろの液体にまみれてて、これが精液なんだ、と初めて気づく。そうしながら僕が上からおまんこの中におちんちんを入れる。入れさせられてる。おまんこはこんどは全体を優しく包みこんでくれる。でもさっきと同じぐらい頭の中もどろどろになる――「よーし、うまく入ったね! えらいえらいっ♥ じゃあ腰をしっかり入れて……」――腰を振ったら出すどころじゃないと思って、そうしていたら夕美先生が大きく口を開き舌を突き出して体を反らす。おちんちんが爆発したかと思うほど気持ちいい。

 

「ふ、ふぁっ、あ……あはっ、はっ……最後だと思うと、私も気持ちよくなれちゃうなぁ……!」

「んひゅ、かは、ぁ、あッ、は、ぅ、ぁ……せんせ、ぇ、また、ぁ……!」

「ゲームセットがいつ来るかわかるからこそ、思い切りよく本気が出せる……みたいな? ふふっ、うふふっ、あははっ」

 

 夕美先生が下にいるのにゆさゆさ腰を振ってときどき声を甘くさせる。もうどんな感じでおちんちんぎゅうぎゅうされるかわからないけどとにかく気持ち良すぎてすべて溶けてしまう。おちんちんがこすられて内側の深いところがきゅうっと締まる。もうこれ以上ないほど奥に当たった、と夕美先生の顔と声で教えてもらえる。

 

「ん、ふふっ……そこ、ぐりぐり、って、できる……?」

 

「せん……先生、僕、は……っ……!」

「ここだよ、ここが……私の、気持ちよくなっちゃうところっ♥」

 

 僕はおちんちんも手足も頭も何もかもめちゃめちゃになりながら、必死になって“ここ”をぐりぐりした。しばらくして、夕美先生がおへそのあたりをぺこぺこさせながらおまんこをぎゅうってきつく震わせ、僕の太ももあたりにじわぁっておしっこみたいな流れが触れるのを感じた。僕は想像もしなかったほど誇らしくなって何か叫んでた。

 それからこんどは夕美先生が、赤ちゃんのハイハイするみたいな姿勢でヒジとヒザをついて――「こんどはきみだけで、おまんこに入れられるかな?」――僕は夕美先生のおっきなお尻をぷにぷに押し付けられいじわるされながら、やっとの思いでおちんちんを入れた。それから仕返しのようにめちゃくちゃにぐりぐりして、あと入れたまま後ろから夕美先生のおっぱいをぎゅうぎゅうつかんで乱暴なほど強くもんでいた。

 夕美先生がケダモノみたいな、ぜんぜんほがらかじゃない声で何度も叫んでた。

 

 

 

 放心状態で、父さんから電話がかかってきたのに気づくのが遅れた。お寿司を買ってくるから、よければ夕美先生も食べていったら、という話だった。

 夕美先生はテキパキと汗を流したあと、前もって用意していたらしき服に着替えた――「きみも顔ぐらい洗ったほうが良いよ」「先生……」「かっこよかったよ。でも、次の女の人には、もっとかっこよくしてあげてね」――父さん母さんが帰ってくると、僕とえっちしたのがウソのように握り寿司をおいしそうにパクパク食べていた。僕は必死で笑うふりをしながら卵焼きと細巻きをモソモソ食べるのがせいいっぱいだった。

 

 そこまでが、僕が先生と過ごした思い出だ。

 

 

 

 

 冬、硬球を握るのがしんどい季節のある朝、僕が寝ぼけたまま顔を洗っていると母さんのすっとんきょうな声で呼ばれた――「夕美先生がテレビに出てるっ、アイドルになってるって!」――先生、僕にはアイドルなんてお試しみたいに言ってたのに、アイドル版のセレクションやレギュラー争い――「アイドルだったらオーディションでしょうが」――を勝ち抜いてここまでやってきたんだろう。

 

 夕美先生がくれたクリップボードは、まだ僕の部屋にある。学校や新しい家庭教師の授業では使う機会がない。野球で使うときはぼちぼちあるけど、どうしても夕美先生とのことを思い出してしまう――「あんたも負けてられないわね」――うるさいなぁ。

 

 母さんをてきとうにいなしつつ、モニターに映る夕美先生の姿を見た。きれいだけど、実物に比べればまぶしくない。サングラスをかけていたときの感じに似ていた。

 それでもクリップボードより強烈に先生のことを思い出させてくる。

 

 夕美先生にとってはゲームセットになったかもしれないけど、もし僕も、これからがんばったら……もしかしたら……。

 

 

(おしまい)

 

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