アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
ご依頼は http://skeb.jp/@freege_affected か、 http://twpf.jp/freege_affected からどうぞ。pixivリクエスト https://www.pixiv.net/request/plans/7443 も通常に戻しました。 ※pixiv、ハーメルンとくるっぷに転載しています。
「高校卒業時に、任意で記念AVを撮る風習がある」世界観で、風習に便乗する桐生つかささんたちがわちゃわちゃするお話です。
私をビデオに撮って。
――いや、それはいけないよ
Let's make a videotape.
――No, I don't think that's a good idea.
なぜ?
――きみが普通の精神状態で言い出したとは思えないから。
Why not?
――Because I don't think it's a choice that you'd make in a normal frame of mind.
それで、あなたに“普通の精神状態”がわかるの?
And what would you know about a normal frame of mind?
(スティーヴン・ソダーバーグ『セックスと嘘とビデオテープ』)
※
「悪い、少し外さなきゃならんっ」
「え、社長……おい、つかさぁ~っ!?」
「10分で片付けてくる」
「おかまいなく~、おおまかな話なら社長さんからうかがってますので~♪」
「……ちとせさんがそうおっしゃるのなら」
桐生つかさは、都内に設置した自社サテライトオフィスに鷺沢文香、黒埼ちとせを呼んでいた。“打ち合わせ”と称していたがプライベートの相談だった。2人がラジオ収録のあとに立ち寄りやすい、という都合で社業のために借りているスペースをやむなく使っていた。
つかさはもう一人、20代半ば~後半の男を部屋に呼んでいた。そこで急に対応が必要になり、ちとせ、文香と男がそろって間もなく3人を部屋に置き去りにしていった。
「あの……黒埼さん」
「ちとせって呼んでっ♪」
「……ちとせは、うちの社長から、もう……あの話を?」
「つかさちゃんのこと“社長”って呼んでるの?」
「あっちが社長、こっちは社員だからね」
「社員さん……で、いらっしゃるのですか、つかささんの会社の」
「鷺沢さんは……用件、聞かされていないみたいだね」
「ええ、私が急に付きあわせたの」
「えっ」
つかさの部下である“彼”は2人のアイドルに見つめられて落ち着かなかった。
絵に描いたような文学少女である鷺沢文香を見ると、もし高校の図書委員をやっていたら彼女目当てでふだん読書と縁遠い生徒までやってきてぎこちなく図書室でたむろしていそうだ、と思った。黒埼ちとせのことは、豪奢なほどの金髪赤目で新古典主義あたりの絵画から抜け出してきたような姿だ、と思った。
いつも打ち合わせに使っている、よく言えば無難かつリーズナブルで、悪く言えば遊び心がなく安っぽいテーブルを挟んでいると、2人の姿は場違いも甚だしかった。彼女らに似合うテーブルは、もっとニスがしっとり光って時の積み重ねを感じさせるマホガニーかウォールナットかチークのアンティークである気がした。
「文香ちゃんは私と同い年だけど、もう卒業しているの。アドバイス期待できるかなぁって」
「撮っていませんよ、私は」
「あらら」
「私、バレンタインデーすら縁遠かったので……」
「これバレンタインぐらいメジャーなの? もしかして私ったら無知かなぁ、ルーマニアっ子で日本の女子高生のお約束には疎いかも」
「バレンタインデーと比べると、さすがに……女性から持ちかけるのがお約束、という意味で少し似ていますが、あれと違って商業主義から遠いので」
「じゃあ高校を卒業するときにAVを撮るのって、思い出づくりで好きな人とえっちする口実なの? 仮に私が文香さんと撮りたい、って言ったら出演してくれるの?」
「……ご冗談を。私は卒業しましたから……違和感があります」
「どのぐらい?」
「……スクール水着を着てランドセルを背負っているより、もっと」
「ちょっと含みのある比較ね」
彼女らの話題は、安っぽいテーブルに負けず劣らず彼女らの姿からかけ離れていた。
ちとせがつかさから聞いた“話”は、“高校卒業時に、任意で記念AVを撮る”という“風習”についての相談であった。ルーマニア育ちで風習に疎かったちとせが1学年先輩の文香を相談相手として巻きこんだのだった。
彼はいまさらながら、話が周囲に漏れていないかこっそりうかがった。遮音性は確かなはずだったが落ち着かなかった。つかさがこの相談にこの部屋を使うと聞いたとき“公私混同も甚だしいな”と呆れたが、ほかにこの相談をする適切なスペースが思いつかないのも確かだった。
「鷺沢さんも未経験となると、未経験者が雁首並べて相談するってことになるのか」
「……あなたも未経験ですか」
「ええ、まぁ。カメラの扱いに覚えがあるぐらいです、仕事の都合で」
言いつつ、彼は妙な気分になった。
ふつう、アイドルに向かってAVを撮影された経験があるとかないとか面と向かって聞いた時点で立派なハラスメントのはずだった。しかし文香もちとせも気にしていないようすだった。記念AVについては、年ごろの女性たちのあいだでは別枠らしかった。
「……私の同級生とも、話をしたことがありません……公言するものではなく、思い出として自分だけで見るものです」
「お兄さんは、つかさちゃんから撮影担当で呼ばれたの?」
「お兄さん、って……つかさのポートレイトの枚数や動画の長さで言ったら、俺が一番だと思う。あいつ幼稚園とか小学生のころから撮られたがりで」
「うわ、幼なじみっ!? 憧れる~!」
「ちとせさんと千夜さんは……違うのでしょうか」
「千夜ちゃんとは付きあい長いけど、私がお世話されっぱなしだからな~」
彼はつかさと同郷の親戚で、子どもの頃から映像関係の仕事に興味を持っていた。彼が少年だったころ“幼稚園とか小学生のころ”のつかさがすでにファッションに強い関心を寄せていて写真や動画を撮られたがったのを見て“つかさを撮ってやる代わりにカメラをいじらせてくれ”と親戚に持ちかけ、撮って撮って撮りまくった。つかさのダメ出しを一番たくさんもらってしまっているのも自分だ、と彼は自負していた。
年を経て映像関連の会社に就職したあとも、副業のようにつかさの“ビジネス”を手伝っていた。つかさのビジネスが本格化して会社を立ち上げるとき引き抜かれるような形で転職し、いまに至る。
「つかさは、ちとせや鷺沢さんを強引に言いくるめたりしていないか?」
「強引に、って?」
「昔から強引なんだ。よく言えば人を動かす才能があるとも言えるが……“返ってくることがあるから、しとくもんだよな、人の手伝いって。なにごとも投資ってワケ”……とかなんとか」
「……おっしゃる姿が目に浮かぶようですね」
「あなたは、つかさ社長とえっちできたら役得じゃないの? というかつかさちゃんが記念撮影にかこつけてえっちしたいんじゃないの?」
「それだと……ちとせを巻きこんでいる意味が」
「それはね、きっと……私が誰かとえっちしてるのをあなたと一緒に見学して事前リサーチって魂胆でしょ、その見学料代わりに私にプロのカメラマンを貸してあげようって……アテが外れたみたいだけど」
ちとせがあまりに自信満々な声音で話すせいで、ちとせ自身が推測と言ったにもかかわらず彼はうっかり事実として飲みこみそうになった。
「ともかく、男優のつもりはないよ。俺はカメラマンって話で、もうそのぶんの報酬まで約束してるし」
「報酬ってなに? 聞いてもいい?」
「実は、白菊ほたるちゃんのサインを」
「ほたるさんのファンなのですか」
「そう! 前にサインもらってくるよう頼んだら『プライベートとビジネスを混同しすぎだバカ』って断られたんだ。今回はつかさのプライベートの頼みだから遠慮なく」
「ホントに男優はあなたじゃないの?」
「困るよ……つかさには黙っておいてほしいんだが、俺はこういう経験がないから、きっとしくじって……」
向かいに座る文香が急に目を見開いたのを彼は見た。
「……ごめん、その……撮影できるなかで一番信頼できるのがお前だったから頼ったんだが、お前……未経験だと思わなくて、アタシが無神経だったわ」
用事を済ませたつかさが、背後に戻ってきていた。
「別に、ほたるちゃんのサインもらえるならカメラマンは引き受けるつもりだが。クレジット載せるわけでもあるまいし」
「一般公開しないのにクレジットもへったくれもあるか」
3人を集めたつかさの勢いが急にしぼんで、その打ち合わせが実りなく解散となった。
彼は白菊ほたるのサインを手に入れ損なったことをこっそり嘆いた。
しかし運命の女神ならぬ名前を伏せた誰かが糸を引いていて、彼は後日そのサテライトオフィスの一室で白菊ほたる直筆サイン色紙を手渡された。
「名前はちょっと言えないんだけどさぁ……これと引き換えに、キミが記念撮影を手伝ってくれるって教えてもらって~☆」
「つかさの事前リサーチも手伝う必要がある、って話でしょう。一石二鳥で済ませるのでしょうけど」
そう語ったのは、つかさの同僚アイドルの大槻唯と八神マキノであった。どちらも、件の打ち合わせスペースに対してギャップを感じさせた。ちとせ、文香よりはわずかになじんでいた。
「いや、俺は撮影だけで……だって」
「聞いているわ、あなたが童貞ということも」
「名前を言えない誰かさんが、そこまで垂れこんだのかよ……」
彼はまったく無根拠に“誰かさん”をつかさでも文香でもなく、ちとせだと確信した。
「童貞すごくいいでしょ! 卒業AVで童貞も卒業っ☆ いいね~2倍エモいよ~! ゆいおねーさんが筆下ろしのめんどう見てあげたい~! いいよね?」
「私は、彼が……初めての相手が大槻唯より八神マキノのほうがいい、と希望するなら引き受けるつもりよ。その評価に応える自信があるわ」
すでにセックスを撮影するかどうかではなく、どういう順番で撮影するか、という話の流れにされていた。そのとき桐生つかさが彼の隣の椅子に座っていた。どんな表情をしていたのか想像するのさえためらわれた。
「……食いつきいいな、ずいぶん……そんなに、こいつが気に入ったか?」
唯の手から、あらためてほたるのサイン色紙を押しつけるように手渡された。これを書いて、とほたるに直に要求したのは唯かマキノだろうか、そこでペンを執ったほたるはサインの用途を知っていただろうか、詮もない想像が脳裏をぐるぐる回った。
「アタシは……むしろ最後に回してもらおうか」
「いいの? “Night Time Wander”で降りたときみたいにはいかないよ?」
「これは競争するもんじゃないだろ」
「……で、ほたるのそれを受け取ったということで、あなたも承知したとみなしてよろしいかしら」
「お、おう……いや、はい、承知です、ええ」
もはや彼は選択肢が2つしかなかった。
大槻唯からか、八神マキノからか。
「じゃあゆいからね! いいでしょ、いいよね?」
「よ、よろしく、お願いします」
「ほたるとぜんぜん違うタイプじゃないか、それでいいのかよ~、これだから男ってやつは」
「ほたるちゃんは子どもじゃないか」
「決まりね。うふふ、記念とは言え……唯やつかさと同じ男とセックスして、それに立ち会うなんて」
「……きみら立ち会うの?」
「当然でしょう」
選択の余地があっさり埋められた。
※
「俺ってカメラマン役で呼ばれたはずだよね?」
「童貞にハメ撮り頼むなんてムチャ言わないよ~」
「照明、音声、定点カメラの調整をしてくれたし、一眼レフのレクチャーもしてくれたし、じゅうぶんカメラマン役として働いてくれているわ」
「カメラの台数を多くすると編集がたいへんになるぞ」
「でも人生一度きりのシャッターチャンスだから! 動画のほうはシャッター切らないけど~」
唯のシーン撮影が、男が住むマンションの一室で昼から始まる。プライベートなので有給休暇を使って――「消化率に貢献してくれてありがとうな」「役員とか業務請負とかの立場から言われるとなんとも返しづらい」――いくら男の部屋でも白昼堂々、しかも3人で押しかければスキャンダルのハンターもむしろ油断するだろう、との思惑である。
「ゆいのシーンでは、監督兼主演女優を担当させてもらうよ~☆ うわぁ~大役っ!」
「それじゃあらためて、よろしく……」
「照れんな照れんな~☆ 緊張はしょうがないけど……ふふふーっ」
ふだん寝起きしているベッドに、アイドル・大槻唯と並んで座らされる。シーツを洗って布団も干したはずだが、なにか変だと思われていないかつい不安になる。
唯を見る。肩までうねる金色のウェーブヘアに、ちょっと目尻が切れ上がった瞳が小悪魔のように魅惑的である。しかしニヤニヤつり上がった口角と白い歯は大悪魔のように貪欲そうに彼へ迫る。
体はベースボールキャップにラフなジャケット、Tシャツとジーンズという少年のような格好に包んでいる。バストとヒップが内側からふくらまされパツパツになっている。シャツの胸に描かれた3つ星の模様がひしゃげて、彼にはとても苦しそうに見える。いまにもはち切れてしまうのでは、と余計な心配をしてしまう。
「よし、ちょっと近づいちゃうぞ~」
「わ、わっ……む……あ、当たってるって」
「これからえっちしようってのに、このぐらいのスキンシップでドキドキしちゃう~? ホントに童貞さんなんだね!」
座っているままの彼に、唯がしなだれかかったりベッドにヒザ立ちしながらまたがってくる。唯の吐息に、さっきまで彼女がなめしゃぶっていたオレンジ味のキャンディの匂いが混ざっている。胸どうしが密着する。背丈を比べれば彼が平均的な男性並み、唯が平均的な女性並み、それに相応して肩幅や胸郭の体積も彼のほうが一回り以上大きいはず。しかし唯のバストにすっかり押されてされるがままになっている。
対して彼のペニスが早くも力を帯びる。内からズボンをつっぱらせる。そのテントを唯が太もものあいだに隠すようにしながら指先でそっと撫でて笑う。
「ちょっとおっぱい下から持ってみてよ」
「こ……こうかな……うぉっ」
唯のプロフィール上は84-56-83で客観的に測っても大きい。実際、彼の片手では覆いきれない。重さと張りが彼の意識にさらなる衝撃を与える。少し触れただけならふわふわと柔らかいのに、下から支えるとゆさゆさと重く、みっちりと指を跳ね返してくる。シャツとブラジャーごしの感触で早くも圧倒される。
「女の子のおっぱい、初めて触ったけど……すごいんだね」
「あれ、そういうお店とか行かないの?」
「彼、この桐生つかさを肉眼とレンズでずっと追ってきたんでしょう? 目が肥えてしまったのでは」
「好き勝手言いやがって~っ」
「褒め言葉のつもりだったのだけど」
実際、彼が異性に興味を抱き始めたあとも、少女や女性の容姿に目を奪われた覚えがほとんどなかった。がんばって記憶をさかのぼってみても、先日の黒埼ちとせと鷺沢文香が限界だった。桐生つかさという生まれつき恵まれた容姿の少女がそれをあれこれ磨いている過程に付きあってきた彼にとって、学校の“美少女”や職場の“美人”程度では心を動かされなくなってしまったのだ……とマキノから勝手に断言されてしまう。
「誰か好きになって、告白したこととかある?」
「やめろ唯、聞いてるこっちが恥ずかしくなる」
「これからセックスするのでしょう? 恥ずかしさにも慣れたほうがいいわ」
「告白したことは……」
「そのときの気分を思い出して……唯のこと、好き、って言ってよ~☆」
彼は唯の髪の匂いに酔わされながら、小さく“唯が、好きだ”とささやく。小さくてマイクが拾えないが、マキノはくちびるの動きからそう読み取る。
「んっ、ふふっ、ぁはは……あーやばっ☆ “照れんな”って言ったゆいが照れちゃうっ」
唯が彼の首に手を回し、太ももでヒザをまたぎしながら体をくねくねさせる。マキノとつかさが笑ってしまうほどわざとらしい動きだったが、彼にとっては笑うどころではない。起伏の豊かなスタイル、レタッチいらずの滑らかでまぶしい肌、カメラでは捉えられない火照りと甘い体臭。理性を吹き散らされる。
「でもこういうの大事なんだよ、とっても。女の子が抱いてもらいたいときってこーゆーときだもん」
「セックスの比喩としての“抱いて”のときと、ただスキンシップがほしいときの“抱いて”が両方あって……男の人は前者のことばかり考えるけど」
「なんだか含蓄を感じる……マキノってアタシと同い年だよな?」
「なにかおかしいかしら」
くちびるを尖らせあうギャラリーを尻目に、唯が彼へささやく――「背中、触って……ホックがあるでしょ、ブラの」――彼は唯の肩と背骨の繊細さに意識を引っぱられる。若々しい生命力があふれて外へ発散させているような胸や太ももと、ひどく対照的で戸惑う。それでも彼女の誘いに応じて指を向かわせ、触れる。自分の指がイモムシのように太く不格好に感じられてしまう。
「そ……そぅ、ね、優しく……じれったい力加減だけど、まぁ、童貞さんだから、むしろいいっ」
「唯の肩、ほっそいなぁ」
「これでもかよわい女の子ですから~☆」
彼とて女の首や肩が細いことを知識と目で知っている。ただの男と違って、写真や動画で引き立てる技術も持っている。
一般的に言って、女は男より骨格が細い。さらに見た目により強く影響するのは筋肉で、つまり首筋(胸鎖乳突筋)と肩(僧帽筋)である。これらはふつう男が厚く、女が薄い。かつて日本人が見返り美人に可憐さや色気を感じ取ってきたのは、その首と肩をねじった姿勢で胸鎖乳突筋が引き絞られたり僧帽筋が薄く延ばされたりで強調されているから、という話さえある。
そうした知識が唯の肉体の魅力で霞んでいく。
「でも……えっちなことなら、ゆいはお姉さんなんだよ?」
「……こうしてるだけで、なにも考えられなくなりそう」
「じゃあ、そのぶん、感じて?」
ちゅ、と唯から頬に軽いキスをされ、首の角度をずらすよう促され、じぃっと瞳をのぞきこまれる。日本人離れした青い虹彩が濡れている。こんなレンズで世界を覗いていたとしたらすべてがキラキラ輝いて、なるほど唯のような快活な性格になるだろうと勝手に納得する。いま彼自身の姿がそこに反射していると、その姿さえキラキラ輝いて見える。
「やっぱ、ゆいは自分で脱いじゃうよ、ホックの外し方はマキノちゃん……マキノんに教えてもらってね~」
「あらあら、至れり尽くせりね」
唯があっさりと上半身の着衣を脱ぎ捨てる。バストがまろびでるだけでぷるんっと空気が震えたかのようで、その震えに彼とつかさが飲まれたふうに無言でくちびるをぱくぱくさせる。
「大きさだけじゃなくって、カタチもなかなかのもんでしょっ」
「お、お椀型ですね、きれいな……」
「ぷふっ、ナニいきなり丁寧語になってるの、鼻息荒くしてるくせに~」
彼はお椀型と口走ったが、強い張りと乳輪近くが尖り気味になっている稜線に視線を惹かれて、“ロケットおっぱい”というようなポルノ写真集かアダルトビデオの煽り文句でしか使い道ののない比喩を口走りそうになっていた。
記念AVを撮影している、と思い出す。
「せっかくだから撮りま……撮ろう、唯のおっぱい」
「やんっ!? 恥ずかしいっ」
「グラビアでさんざん撮られてるだろ」
「だって~、乳首のあたりぷくーってなっちゃってるよ……」
唯が手ブラでバストを隠してイヤイヤと首を振る。そのしぐさだけ実年齢よりむしろ幼く見える。
「ちょっとお話してぎゅって抱き合っただけでその気になっちゃったみたいで、ゆい、チョロいオンナみたいじゃん」
「きょう最初からするつもりでここまで押しかけてきたんだろ」
「ノーカンだよ、そこカメラに映ってないし」
「そういう問題かよ……」
「もっと、こう……初々しいみたいな、微笑ましいみたいな……きゃっ!?」
彼が唯とつかさのやり取りをどうしようか手をこまねいていると、唐突にそれが断ち切られる。
「ま、マキノんっそこ触っちゃ……っ☆」
「すぐセックスの準備ができそうね……唯、じれてたの?」
「じ、じれてなんか……ひゃんっ☆ あ、あっ……はぁっ!」
「あなたがセックスをじらされているとき、私があなた以上に待たされているってこと、わかるわね」
「ぁ、んんくっ……この~っ! マキノんのスケベ! 欲求不満!」
「いっそ私を先にしてもらおうかしら」
「や、やだっ! ぁ、ああっ、う、く……ゆいが最初なのっ、はじめてなの~!」
明るくセクシーな唯と、クールでミステリアスなマキノと、タイプの異なる美少女が彼のベッドで組んず解れつしている。といっても唯に抵抗する気が薄いらしく、バストばかりか下半身のジーンズと下着までマキノにもぞもぞ脱がされる。唯の声と肌がますます熱っぽくほころんでいく。童貞の彼は目で追うのがせいいっぱいなほど鮮やかな手際である。
「く、ぅ……このままじゃ、マキノんと女の子どうしの卒業セックスになっちゃう……☆」
「彼もいい感じに反応してくれているわね」
「え、あ、はい」
「唯が乱れるのを見て、あなたも興奮しているのね」
「ええぇ~見てるだけで~? お兄さんもえっちだな~……☆」
「誰が唯のお兄さんだ、誰が」
それを目の当たりにして、彼は唯と抱きあっていたときから比べても、ますます強く勃起している。
「あれれ、“お兄さん”って呼んであげたらもっと興奮してる? キミのこと、お兄さんって呼んだほうがいい?」
「唯がお姉さんじゃなかったのかよ」
「もしかしてつかさちゃんが小さいころに“お兄ちゃ~ん、撮って~♥”とかおねだりされてた?」
「……つかさが幼稚園ぐらいはそんな感じだったような――」
「――うわーっ! あーっ! 黙れ黙れアンタらっ! ヤるんならさっさとヤれよーっ!」
「まぁまぁ、思い出づくりにふさわしい一コマよ」
「マキノもじれてるんじゃなかったのかよ」
「お兄さんの話を聞いてみたくなったわ」
「アンタまでお兄さん呼ばわりかよ!?」
しかし、彼はなにも言葉をあげられない――ぷにゅう、むにゅうっ――彼のヒザ上に舞い戻ってきた唯に、例の巨乳を押しつけられている。それも谷間で顔をすっかり覆われるように。
「お兄さんは、ゆいお姉さんのおっぱいとか、おまんことか、見たり感じたりして、おちんちん固くしちゃったんだよね……☆」
「む、むぐ、ふ、ぅぁっ」
「ホントはおちんちん固くしちゃダメなんだぞ~、女の子はイヤらしい気持ちのこもった視線に敏感で……」
「んぐ、ぁ、あ……すまないっ、イヤな気分にさせてしまったら……むぐうっ!?」
「んも~、お兄さんのばかぁ☆」
唯は彼をチクチクと言葉で責め立てながら、むにゅむにゅとバストを押しつけ、頭を撫でて、マキノにむき出しにされた秘所をへこへこと彼の着衣にこすりつけている。つっぱられた彼のテントにうっすら着いたシミは、どちらの先走りかあいまいに映る。
「茶番じゃないか」
「人のセックスを笑うな、って昔の映画でも言うわよ」
彼が鼻と口をバストでみっちり覆われるあまり、唯の背中をタップして解放してもらう――「ち、窒息するかと思った……」「そんなおおげさな~」「バストサイズの大きな女性は……例えば赤ちゃんに授乳するとき窒息させないよう気をつけなければならないと、聞くわ」「はははっ、唯も将来気をつけなきゃな」――数小節にも満たない笑い声の三重奏のあいだに、唯の手でズボンをくつろげられパンツをずらされ、勃起ペニスを引きずり出される。
「マキノ~ん、そこにゴムあるから出して☆」
「もう用意してるわ、かぶせるだけよ」
「わぁ、すごいテキパキしてる~! 次からはお兄さんが用意しておくんだよ~」
「ほら、つかさも……唯が着けるところ、ちゃんとお手本として見ておくのよ」
「わ、わーったよ……むうぅうっ……」
唯が彼に覆いかぶさったまま、これからつながりますよ、と誇示するようにぱっくりと両ヒザとももを開きつつ――「唯ったらよくあんな姿勢でスムーズにできるな、アンダーバストにも目がついてるみたいだ」「ふつうはちゃんと目視しながら着けるのよ、いい加減な着け方だと危ないし」――彼のペニスにゴムをぴっちりかぶせる。
「念のため聞いておきたいんだけど」
「唯……?」
「お兄さんの初めてが、本当にゆいでいいんだよね?」
唯はいまにも騎乗位で挿入できる体勢でありながら、すでに彼の選択肢をすべて奪っていると知りながら、あえてはっきり声に出す。
彼以外に質問しているように。
しかしマキノとつかさは黙っている。彼の回答を待っているように。
「唯……唯が、いいっ、あらためてお願いする、このとおり」
彼が唯を見上げながら絞りだす。唯が笑って、再び彼の頭を軽く撫でる。
「……さすがに、ちょっと妬けちゃうわね?」
「はは、まさか」
「んふふ、そうこなくっちゃあ……ん……硬……☆」
唯の秘所が亀頭に押し広げられてゆくようすが、自棄のようなスピードの連写で切り刻まれている。マキノかつかさのどちらかが思い出したように一眼レフを構えたらしい。録画中で音を出さない定点カメラと違って、しっかり撮影されていると意識させらてくる。羞恥が彼に燃え上がって、すぐ唯の膣肉にもまれてますますあおられる。
「すご、ぉ……んん、ふっ、んんっ……!」
「ゆ、唯の、なか、で……あ、っぅく」
「ん、ふ……まだ根本まで入りきってないよ~……ま、浅いところでも気持ちいいけどね、お兄さんのおちんちんっ☆」
唯が彼の肩をしっかりとつかみながら、滴り落ちるようにゆっくり腰を沈める。
「っ……っっうぅー……こ、これで、入ってるかな、ぜんぶ……あははっ、お兄さん、卒業おめでとっ☆」
「ぅ、お……唯も、卒業おめでとう……」
「まだ卒業式には早いよ~」
「ああ、ダブるかもしれないな」
「うわっつかさちゃんひどっ!?」
「ひゃっおっ!? 唯の、ナカ、しまっ……あっ……!」
3こすり半したかどうかという早さで、彼は人生で始めて女性に搾り取られる射精を迎える。唯の膣肉からさらに強くぬちゅぬちゅと締めつけられヒダでこすられ悶絶する。
「よしよし、ぴゅっぴゅって射精できたね、えらいぞ~☆」
「いや、えらくないだろ、生理現象だろ」
「唯、1回射精したのならゴム取り替えないと」
「え~、もうしばらくこのままがいいっ~、ねぇねぇお兄さん、ぎゅってして☆」
「お、おう……その、ええと」
「早いの気にしてる?」
「……正直、言うと」
「じゃあ、別のところでがんばって、唯を満足させてほしいなぁ~っ」
彼は唯に、乳首をしゃぶらされながら延々と“お姉さん”にするように甘えさせられた。唯は気に入った男相手なら、イカされるよりマウントをとっているほうが満足できるらしかった。カメラとギャラリーに見せつけるのを楽しんでいるようでもあった。
「……ずいぶんお楽しみだったな、唯」
「前に言ったとおり、みんなで同じぐらいはしゃいでやりたいんだよね、ゆいは☆」
「唯にギャルをインプットされたときを思い出してしまったわ」
マキノ、つかさの収録はさすがに日を改めることとなった。
※
「主導権をどうしたいのかと問われると、私が握れていたほうがいいけれど……こんどは、リードしてくれるあなたを見たくなったわ」
「リードか……できるかな、俺に」
「ふふ、できるだけリードしやすいようにお相手するわ」
「リードって言うのかな、それ」
マキノのシーン撮影も、男が住むマンションの一室で昼から始まる。男がふだん寝起きし、先日は唯に童貞を捧げたベッドで、こんどはマキノがくつろいでいる。薄紫の地に黒細のボーダー柄を入れたノースリーブのブラウスと、明るいベージュのタイトスカートを合わせている。怜悧な美貌を銀縁アンダーリムがさらに引き立てている。それにしても、本当にこのマキノがことし卒業する女子高生なのだろうか……実は自分と同年代のキャリアウーマンだったり……と彼は一瞬だけ疑ってしまう。
「まずはあなたのお好きなところからどうぞ、あなたの好みを探らせてもらうわ」
「マキノのくせにそこ事前リサーチなしか」
「セクハラになりそうだし」
「いま言われるとなんか釈然としにくいものがある」
「あ、お兄さんっ! マキノんハグするなら横か後ろに回ってっ、色っぽく撮ってあげちゃうから☆」
「……そうだな、これは記念撮影と同時にAVなんだ、主演女優が映えるようにしたい」
「あらあら」
彼はレンズを――カメラだけでなく、唯とつかさの目玉も――意識して、マキノの肩に横から腕を回す。唯より少し背が高く、肩がゆったりと広がってふっくらした二の腕の白い肌がまぶしい。うなじを隠す紫がかった黒いウェーブヘアから桃のような甘ったるい匂いが迫ってくる。クールな姿とのギャップに彼のノドや首までゾクゾクさせられる。
「こういう優しげに触れられるの、少女趣味をくすぐられて、きらいじゃない、けれど」
「けれど?」
「あなたが唯にそうしていたのが記憶にチラつく」
「え、なに、ゆい興ざめなことしちゃってた?」
「もっと強引に求めて……服は……シワになっちゃってもいいわ」
「マキノ、アンタ着替え用意してるのかよ」
「洗濯して乾いてアイロンがけが済むまで彼のシャツを借りるわ」
「うわ~マキノんあざとい~っ!」
「風邪引くなよ……」
唯とつかさが入れる茶々などどこ吹く風で、彼のペニスがすでに勃起しはじめてボトムスにテントを張りつつある。そこにびりり、と刺激が走る。マキノの指先がすらりと伸びてきて亀頭の先の先を、つつくような撫でるような加減で触れる。
「ほら、あなたも」
「マキノさん……少しずつ、強くしていくから」
「ご随意に、ね」
彼はマキノの肩に回した腕に力を込める。マキノの格好と物腰のせいか、ビジネス街を闊歩する妙齢の美女とセックスに臨んでいる気分が湧いてくる。女体の匂いや体温の印象も違う。唯のそれらが活発にあふれ出てきて、マキノのそれらは抑えてなおにじみ出てくる。マキノの肌も肉も彼の“リード”をせがんでいる、と印象が妄想に飛躍する。
「あ、んっ……もっと、強く……だいじょうぶよ、ねぇ……遠慮、しないで」
「……なんだか情けないな、童貞は卒業したはずなのに」
「緊張しているの?」
マキノのバストサイズは唯よりもさらに少し大きい。それをきっちり寄せて上げているのか、彼が強く迫らせた指先をみっちりと押し返す。Vネックのブラウスでわずかに谷間が息づいて、ますます匂いが濃くなっていく。
「あと、その……」
「そうそう、セックス中もおしゃべりもなるべくしてほしいわね、黙ってると……男の人は、怖いから」
「……唯ちゃんを選んだとき、マキノちゃんに恥をかかせた気がして」
「それは気にしないこと。明らかに唯がやる気まんまんだったし……私は興味半分、あとは……ふふ」
「……思わせぶりに言うね」
「情報提供の見返りを渡さないと」
「誰に、なにを」
「内緒よ」
彼が両手をマキノの谷間に近寄らせて、ブラウスのボタンを外していく。見えたブラが白い少女趣味のレースに、しかし乳輪がちらりと見えてしまいそうなほど大胆なカップで彼はまたギャップに揺さぶられる。マキノの息遣いに合わせてか、胸の素肌がゆらり、ゆらりとかすかに浮き沈みする。
「……ちとせったら、やっぱり興味津々だったんじゃないか」
「ちとせちゃん?」
「記念撮影なんて知りません~みたいな顔してて、この件の成り行きを聞きたがってるんだろ」
「いまからでも混ぜちゃえば?」
「問題は……千夜を納得させられる気がしないんだよ……ちとせが千夜に黙っているわけがないし、事後報告で済ませていいマターじゃないし」
つかさと唯のおしゃべりを聞き流しながら、彼はマキノのブラのワイヤーを撫でる――「似合ってるよ、かわいいけど、色気もある」「二兎を追っているみたいに見えてしまって?」「マキノさんなら両取りがお似合いだよ」「実は貪欲なの、見透かされてしまったかしら」――教えてもらいながらホックを外す。
「んっ……よくできました」
「お褒めいただき、どうも」
釣り鐘型のマキノの乳房が彼の網膜に、意識に焼きつく。うっすら紅潮してきた肌の稜線の先に、豊かな乳房と比べてきゅっと小さく見える乳輪が据わっている。しかし肌と比べると浮き上がって見えるほど色濃く、乳首も小指の先ぐらいにぴんとたっている。男へのセックスアピールと、いじられて快楽を味わうための機能を誇示している。
「ん、ぁ、はぁ……そこ、おねが……あはぁっ……はぁっはぁっ……いいわ、もっと、いじめて……」
「けっきょく、マキノさんにリードしてもらってるなぁ」
「ご不満?」
「まさか」
彼の指先に押し倒され、ねじられ、マキノの乳首がかえって張りつめる。どちらともなく、ゆるんだくちびるから蕩けたため息があふれる。
「私からも仕掛けさせてもらうわ」
マキノの手が彼のベルトをなぞる。するする引き抜いてスラックスをくつろげ、下着越しにペニスを撫でる。ベッドに横並びに座って、お互い手を伸ばして愛撫を交わす。
「う、ぐ……っ!? マキノ、さんっ……」
「あなたも、声、聞かせて……聞きたいの、私が」
「男の人ってあんまり声を聞かせてくれないよねー。女の子の声は聞きたがるくせに」
「アタシに言われてもなぁ」
マキノの手がたっぷりもったいをつけて、彼の太ももや下腹部をゆったりと撫でる。なだめるような手つきだが、期待感が高められるばかり。お返しにマキノの乳首をつまむ。こりこりとした感触にかえってあおられる。
マキノがなにかをこらえるように眉をひそめる。悩ましい吐息をもらす。
「ねぇ」
「マキノ、さん」
くちびるの赤と、歯の白が鮮やかに映る。さすがアイドル、と彼は感心しつつ、デンタルケアの宣伝には艶っぽすぎるか、と職業病がよぎる。
「くちびる、乾いてないかしら?」
急にマキノが体を寄せてくる。首筋に彼女の腕が絡んでくる。
「求めてみて、まるで恋人みたいに」
2人のあいだで、熱っぽい粘膜と体液が交わる。
「わ、ぁ……き、きすっ☆ オトナのっ」
「なんだよ、唯ったらお姉さんらしくないな」
マキノが舌を突き出して彼の歯列をつつき、口蓋にまで押し入ってくる。彼の後頭部にまで手を回して、我が物顔で舌をしゃぶり唾液をすする。
「じゅる、るじゅ、ぼっ、んくっ、ふぁ……うふ、あはは、メガネ、くもっちゃいそう」
「それ、できれば外さないままでいてほしい」
「好きなの?」
「マキノさんによく似合っているから」
「困っちゃうわね」
「着けたままだと壊れちゃうかな」
彼がマキノからくちびるを奪われ、甘噛みされる。彼女のエナメル質のほんのわずかなざらつきまで味わう。いつのまにこんなに口内が敏感になったんだろうか、と彼自身でも疑う。
「レンズがくもっちゃうぐらい、したいの」
聞かされつつ、ちょいちょいと指先でおもちゃのようにペニスをつつかれる。それだけで彼は紡ごうとした言葉を快楽でめちゃくちゃにされてしまう。
追い打ちのように、マキノからくちびるをついばまれる。舌どうしをこすりつけ、よだれがはしたなく垂れ落ちる。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……!」
リードされっぱなしではたまらない、と彼がマキノに触れていた手をじりじり下げていく。タイトスカートから伸びる両の内ももを探り当て、指先でちらちらとくすぐる。
ふっくらした肉付きに、ぎゅう、と強く挟まれる。
「っはぁ……あ、はふ……そっち、も……?」
「……まだ入れるには早いかな」
「入れる、って……ふふ、ぁは……きゅって、させないでよ、あそこ……」
初めてマキノの照れ笑いを見て、彼はにわかに勢いづく。
「ぅ、ぅぅ……あ、ン……ぁ……ぃ、いい、わ……っ」
「じれったい、って思っても許してくれ。女の子のあそこ手で触るの初めてなんだ」
「あーやっちゃった、ゆい、手マン童貞もらうの忘れてた」
「手マン童貞ってなんだよ」
「男の人の指は特別でしょ~?」
「え」
経験人数1人の彼でも感じ取れるほど、マキノのスカートの奥が濡れている。
「あなた……ぁはっ……ん、ぁ……指とね、くちびるは……いやって言うほど、使って、ね」
「特別ってのはね、つかさちゃん、指とくちびるって敏感で反応が露骨だし、女の子をくちゅくちゅ気持ちよくできちゃうし」
「お、おう」
「なぁに、異論ならどーぞ」
「……別にぃ」
「おちんちんはセクシーな相手を前にしたらいつでもおっ勃つ場所だしぃ」
「そんなこと考えてねぇって!?」
さわさわと下着越しにマキノの秘所をくすぐる。彼女の背筋や内ももがぴくりと波打って、荒くなった呼吸で肋骨やヘソ周りの形づくる凹凸も揺らいで、骨や内臓まで快感が届いているとさえ思える。
「マキノさんの好み、俺にもわかるかな」
「んん、難しいかもしれないわ」
「……胸を借りるつもりでさせてもらうよ」
「いま、欲しいの、あなたの指が、どんなさわり方でも」
人差し指と中指の腹を使ってぐりぐりと面で押す。下着越しにわずかにぽってりと浮き上がっている突起を感じ取る。
「ぉ、くふっ……ぉ……く、クリ、は……くっ、ふぅぅう……っ!」
「デリケートだね」
「ぁは、は……いま知ったみたいな言い方して……」
「体で覚えたのは、たったいま、マキノさんのあそこだし」
「もう……あざといこと……ふ、ふふっ、ぁ、ァ、ァ……ぁ……っ!」
マキノの愛液と膣肉が、彼の指先をにゅるにゅると迎え撃つ。すでに挿入してしまったかのようにペニスが震える。思い出して、もう片方の手をどうにか動かして、脱ぎかけスラックスのポケットからコンドームをよたよたと引きずり出す。
「自分で着けられる……?」
「まぁ、予習してきたから……動画だけど」
マキノはスカートも脱がずベッドに横たわり、太ももを広げ膣穴が丸見えになるように陰唇を拡げる。
「ねぇ、あなた……私にすっかり入れたら、キスして」
「俺の体重かかって重くないかな」
「キスもしたいし、重さも感じたくって」
ゴムを装備したペニスをマキノの膣口に向ける。唯との交わりと違って、彼は初めて自分が女体に入っていくところを直視する。ゴムつきペニスは伝わる触覚こそいつもどおりだが、形も慣れ親しんだ彼自身の勃起ペニスなのだが、それを包むゴムの膜がてかてか妙に照り映えていてそこだけ別人のようである。
マキノの秘所を見据える。紫がかった薄いピンクで、豊かなバストやヒップと比べてひっそり控えめに息づいている。生殖の責任から逃れつつ快楽を貪ろうとする自分が後ろめたくなる。
「……見惚れるようなものじゃないでしょ」
「俺、マキノさんの見てるだけでイッてしまいそう」
「それは、いや」
秘所を広げてくれているマキノの指に彼自身の指を絡める。背中を押してくれてありがとう、と目だけで伝えると、マキノがくちびるを軽く尖らせながら目を細める。
ひくひくとうごめく膣口に狙いを定める。四肢と腰に力を入れなおして、ゆっくりと挿入する。
「ァん……ふっ……ぁ……あなた、さい、こう……っ……!」
「うっ、あ、あ……ナカ、が……!」
ペニスをじりじりと推し進める。唯に負けず劣らずの締めつけに、脂汗を浮かせながら射精をこらえる。上体を傾けてマキノの顔に近づく。彼女の顔のすぐ横に両手をつくと、早くもくちびるをほころばせて誘ってくる。
「ぢゅちゅ、んっ……ふぁ、あ……ふふ、動きたいの……?」
「動けないんだ、すごくて……本当にすぐ終わっちゃいそうで」
「ふふ、それもかわいいわよ」
「ずっと……まぁ、できるだけ、マキノさんとこうしてたい」
「じれったくならない?」
「だって、こんなにあったかくて、やわらかくて、うれしい……頭を撫でられると照れくさいけど」
「あら、ごめんなさい。唯の気持ちがわかってしまって、つい」
「AVとして見るともっとパンパンッてカラミのほうが絵になっていいけどね! ね!」
「別に、他人に見せるわけじゃないし」
彼がおずおずと腰を使い始めると、やがてマキノのクールな物腰がほころんで、はしゃぐような嬌声や泣くような痙攣をこぼすようになる。
「ん、ひんぅっ……はぷっ、んぢゅ、ちゅうぅっ……! っぷ、ふぁ、あ……いいわっ、すごく……して、してっ、あなたの、気の済むまで……!」
上半身でも密着したまま細かいピストン運動を繰り返して、終わるのが惜しくなると止めて、また再開して、2人の肌で汗がこすれあってべちゃべちゃと鳴った。
「これ、マキノんのスカートやばいんじゃないかなぁ」
「覚悟の上だろ、マキノのことだし」
つかさの胸焼けが限界寸前になるころ、彼がうめきとともに肩と腰を震わせ、交わりの限界を告げた。射精でぴくぴく痙攣する彼の腰へ、マキノのふくらはぎがねぎらうように軽く絡みついていた。
「得難い経験だったわ、ありがとう」
カメラを止めたあと、裸ワイシャツ姿のマキノからささやかれた彼は、カタコトの“どういたしまして”をやっと絞り出した。
「あいつ、性も根も尽き果てた、って感じだなぁ」
つかさのシーン撮影は後日に延ばされた。
※
「社長のとこの制服ってちょっと変わってるね~。上着やベスト、カーディガンがグレーってならよく見るけどブラウスがグレーって」
「社長って呼ぶな、アタシ唯を雇った覚えねーから」
つかさのシーン撮影も、男が住むマンションの一室で昼から始まる。
「ベッドに腰掛けた制服姿の女子高生を撮影してるってだけで、犯罪めいた後ろめたさを感じる」
「私たちは共犯者ね」
「アタシは……卒業記念だしJKらしさ出しておこうと思っただけだよ」
「私にはその発想がなかったわね、唯は?」
「うんうん、ゆいもなかった☆」
彼がレンズごしにつかさを眺める。被写体として申し分ない美貌にあらためて感嘆する。それをカメラに余すことなく収めようとすると自分の実力不足を痛感させられもする。
「まーだ童貞臭さが抜けてない顔してるぞ」
「いいじゃんっ☆ 卒業して調子に乗るよりずっと」
「初心忘れるべからず、とも言うわよ」
「とにかく……アタシとしてはね、トリなら役に不足はないさ」
「おおっ! つかさちゃんの、アタシがオマエの最後のオンナだ宣言っ☆」
「言ってろ……ったく」
「ところで、2人の馴れ初めって聞いてもいいかしら」
「親戚だからな? 子どものころから盆正月に顔を合わせてる」
「社長のちっちゃいころの話聞きたい~! お兄さんアルバムとかない? 見せて見せてっ」
「こら、やめろ」
唯とマキノにやいのやいの囃し立てられ、つかさがカメラに顔を向けたまま苦笑いする。
つかさは、先の2人がうまくやってるのを見てしまいプレッシャーを感じている。緊張をほぐそうと2人が軽口を叩いてくれているのもわかる。
「ただの親戚、ただの部下ではないのでしょう? ここまで付きあわせるのだから……」
「……信頼はしてる、ってとこだよ」
「ふぅん、へぇ~?」
ルビーカウンテスの3人がかしましくしている光景に立ち会っていると、彼はクランクアップが惜しくなってくる。自分が卒業するわけでもないのに、と強いて自嘲してごまかす。
「もう始めてもいいよな? 唯とマキノに茶々入れられてたら、お前もテンションが下がっちまうだろ」
「……つかさから見て、俺ってまだ童貞みたいかな」
「悪いとは言ってないぞ」
「うわぁ社長いい笑顔してる~☆」
「ただ、彼が私のときよりぎこちないのも確か……私、なにかまずいことをしたかしら」
「しらじらしいなぁ~マキノん! 本命が社長だったってことでしょ~☆」
「お前らの言い方だとかえって嘘くさいぞーっ」
唯とマキノから相変わらず言われたい放題を聞かされるが、不思議なほど聞き流せる。心のこもった――と、少なくとも彼は確信していた――セックスをさせてもらって間もない相手だと、ちょっと腹を立てるのも難しい。
「そういやお前、このベッドで寝起きしてるんだよな」
「……狭いのは許せ、シングルだろ」
「彼女とか連れこむかもって考えがなかったのかなぁって」
「予定がなかったもんで」
つかさの手振りで彼もベッドに上がる。
「正直に言うわ、アタシは初めてだよ」
「いったい俺なんて顔すればいいんだろう」
「正解とか、成功とか、求めてないから」
ちゅ、とあいさつのようなキス。
「やっぱり童貞が欲しかったんじゃないの?」
「けれど自分も相手も初めてではさすがに厳しい、との判断ね。合理的だわ」
「好きな男がほかの女とえっちしてるの2人ぶんも見せられてメンタルめちゃくちゃじゃない?」
「……アンタら、いい加減黙ってくれないか」
「ああ、もういいのね」
「やりすぎだよ」
「はぁ~い」
彼がつかさの肩に触れる。こんどは彼からのキス。
「ん……おしゃべりしすぎてたな、乾いちゃってら」
「コーヒー淹れてやろうか?」
「冗談を、よりにもよってコーヒーかよ」
「好きだろ?」
「好きだけどさぁ」
乾いてほんのりしょっぱかった粘膜が、すぐに甘酸っぱく濡れていく。
「アタシ、ガラにもなく緊張してら」
「正解も成功もいらないって聞いたばっかりだが」
「ほら、肉体的に不慣れだから……精神的には連中のおかげでお腹いっぱいだが」
彼から背中に手を回され、つかさがぴくりと肩をすくめる。すぐにぐいっと寄りかかってみせる。
「あーびっくりした、背中から触るのがお前のスタイルかー?」
「キザかな」
「ソレおっきくしながらじゃあ……」
着衣越しにも見て取れる。つかさが指をついと伸ばして触れかける。その場所に血液が集まって、膨れて、硬くなっている。
「うわ、硬いな。折れたりしないか心配になってきた」
「入るとききついとかの心配ではなく?」
「それは……なんとかなるだろっ」
「なるわけないでしょ社長っ、ちゃんと濡らしてほぐすんだよ!」
「言っておくけれど、ダンスとか運動とかやっていても痛いものは痛いわ」
たまらず口を挟む経験者たちを、押しとどめたりなだめたりする。
「んぅ、んっん……ぅぷ、あ、んふぁ……っ」
2人としゃべっている場合じゃない、いいから黙って見ていてくれ……と、ついにキスで主張する。
「……強引にされるのも悪くないな、たまには」
「つかさからそんな言葉を聞くなんて」
「言うな、アタシだってふつうのテンションじゃないんだ」
押し倒す。押し倒される。脱がそうとする――「あーこら、シワになっちまうじゃないか」「つかさ……」――ほんのりぎこちない笑みとともに、自分から肌を露わにしていく。
「……きれいだ」
「そりゃどうも……そう言ってもらったのは何回目かな?」
「気持ちとしては、いま初めてだ」
「なんだそりゃ……いいよ、そういうことで」
つかさが彼の着衣を脱がしにかかる――「こんな部屋着みたいなので抱こうとしやがって」「礼服かオフィスカジュアルでも着たほうが良かったか?」「ああ言えばこう言うだな~っ」――首や肩のごつごつした凹凸を撫でる。
「いつのまにか男らしそうな雰囲気かもし出してんなぁ、ジム通いでも始めたか?」
「準備期間があったし、おかげさまで」
会話の延長線上のように自然に肌へ触れあう。
「……アタシには、言わなくていいぞ」
「なにを?」
「好き、って」
「愛してる、ぐらいにしたほうがいいか」
「ごめんいまちょっと鳥肌立った、悪い意味で」
お互いの表情より身動ぎがはっきり伝わるほど身を寄せあう。
「ん、ぁ……まだ、くすぐったいって……でも、もっと」
「かわいいな、つかさ」
「んふっ、そっちはずいぶん久しぶりに聞けたなぁ」
立ち会って撮っているだけの唯とマキノさえ切なくさせる吐息が、2人のあいだのほんのわずかな空気でゆらゆら混じる。
「……濡れてきちまったかも、こんな遊びみたいなんで」
「とっくにおっ勃ててる俺からすると、なんとも」
「なぁ」
「つかさ?」
「アタシに着けさせてみないか、ゴム」
ぴりぴりゴムの包装を破る音が、耳元のささやきのように意識に染み入ってくる。
「認めたくないけど、役に立ってるわ」
「なにが役に立ってるって」
「……前の撮影」
「いいお友達を持ったようでなによりだ」
「いいにも限度がある、って気もするが」
あお向けに横たわって、脚を広げて、自分から迎え入れる。
つかさの明け透けな態度もここまで来たか、と彼から短いため息が漏れたのを察する。
「……ぁっ」
「力、抜いてくれ、つかさ」
「はは、すっかり大人みたいな顔して」
「つかさが俺を大人扱いするなんて、入社契約のとき以来かもな」
ヒザを曲げて、彼の腰や下腹部をぐりぐり押し返す。
「……もうちょっとあっただろ、さすがに」
「悪い、横道にそれた」
「もしかして、アタシを笑わせて力を抜かせようとしたつもりか」
こんどは彼の手で太ももを開かされる。
「……手を」
「つかさ?」
「手、握ってくれよ」
握手のように握るか、一本ずつ指を絡めるか、食い違って少し手間取る。
「いま、改めて決心したのさ、だから……っ……ん……!」
覚悟していても押し隠せない痛みに、歯を食いしばる。
「っ……っっうぅ……っく、ぅ……」
「つかさ」
「しょうじき、痛い、めちゃくちゃ」
痛みに逆らうように上体を起こす。彼の首にすがって爪を立てて、くちびるに噛みつく。
「……ずるいよな、男って」
固定カメラの死角側にあたる彼の頬に、彼女自身の頬を寄せる。これではいくら顔を隠しても、泣いている、とバレてしまう。
「つかさ……」
「言わないでくれ」
肩に、力いっぱい爪を立てる。いっそ彼も痛みで泣いてくれ、とねだる。
「……好きだ」
「それも言うなってば」
なんでこんなに痛い目に合わされているのにこの男を許してしまうのだろう、と自分に呆れる。
「動いて、くれ……ぁ、くっ……痛いけど、動いて……っ……!」
呆れながら、わがままをぶつける。
家族や友達、ユーザーやファンやステークホルダーの“ため”が混じっていない、彼女自身のためだけの要求を高く細い声で鳴らす。
限界を超える。
「……いいからっ」
時間の感覚がハレーションのように白くにじんで、不意につかさは我に返った。
「がんばったわね」
「うんっ、社長ちょーがんばったっ」
「……あっ」
「それは気にするな」
「するってのっ」
彼のシーツにべっとりにじんだ血じみに気づいて、頭を抱えた。
※
彼からデータを受け取って、3人で編集作業に勤しんでいるある日。
「ねぇねぇつかさちゃん、お兄さんとは?」
「“とは”ってなんだ、質問はハッキリしな」
「ん~、言わぬが花っ」
「……信頼はしてる、ってとこだよ、もっといい男になってくれたら……」
「ホントかホントか~?」
「もっとデータが必要ね。私、追加シーンを撮影してもらおうかしら」
「こら~!」
完成が3人の卒業に間に合うかどうか、まだ定かではない。
「文香ちゃん……私……つかさちゃんに、写真の1枚すら見せてもらえてない……」
「……部外者だからでは」
「私がいなかったらこの件は進まなかったじゃないっ」
「その理屈ですと、ほたるさんにも権利が発生してしまうのでは」
「したっていいじゃない~っ」
「ご自分でも撮影されたらいかがでしょう、任意ですから」
「私は……人のが見たい」
「……そういうところでは」
(おしまい)