※この作品はR-18です。

アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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夜の機動戦士さま主催『R-18小説合同誌"Gimme Your Cherry -シアターアイドル筆おろし合同-"』への寄稿SSです。
絵担当
【挿絵表示】
はぬかるみさまです。
初出タイトル「prétendre」から改題しました。
非有償依頼SSだと、しゅがは本以来、ミリマス本だと朋花本以来でしょうか。
久しぶりすぎやろ。

(編集後記)
 筆下ろしはもともと性癖ではありませんでしたが、縁あってSkebなど有償依頼で20件以上書かせていただいたら、いつのまにか自分の好みが生まれた気がします。ところで内容のリクエストなしに自分の好みだけで書いた話はこの莉緒さんの話が初めてです。筆下ろしSSの素人童貞卒業です(違います)。何にせよ、えっちかわいい莉緒さんが伝われば幸いです。

(改題に伴い、下記のくだりを本文からキャプションに移します)
 現代英語pretendは「(ウソをホントであると)言い張る」「(ごっこ遊びとして)ふりをする」などを意味します。その由来である仏語prétendreは「(自分に関する権利が正当であると)主張する」「熱望する」などを意味し、現代英語と違って偽りを含意しません。
 prétendreする男、すなわちprétendantと書くと「女に求婚する男」を意味します。

※pixiv、ハーメルンとくるっぷに転載しています。


百瀬莉緒さんがPの童貞に加えてセカンド童貞もらっちゃうお話

だから、男の性的知識欲と性的満足とのドラマには、永久に「童貞のおわり」のくりかえしがあるだけで、性的技巧の上達など、末の問題にすぎないとはいえないだろうか。

 ――三島由紀夫『おわりの美学』「童貞のおわり」

 

 

 

 

「すっぴんのオンナを見るもんじゃないわよ~」

「一段と色っぽいなぁ、髪を上げてるせいか?」

「ありがと。でもあざといかもね~」

 765プロダクションのプロデューサーが目覚めると、あられもない姿の担当アイドル・百瀬莉緒と目が合った。

「こら、見るもんじゃないって言ってるでしょ~、うりうりーっ」

「むぐぐ、これは夢じゃないらしい」

 莉緒の指先で頬をぐりぐりされ、彼はたまらず身を起こした。

 二人寝にしては狭いベッド、見慣れないカーテンと窓と朝日、フェミニンなインテリアが視界に加わった。

「……莉緒の部屋だ」

 こめかみのあいだがぐらぐら重たく揺れた。きのう莉緒と酔い潰れる寸前まで飲んだことを思い出した。

「いらっしゃ~い、初めてだったわね?」

「うん……ありがとう」

「どういたしまして~」

 横目で寝起きらしき莉緒をうかがう。

 ふだん肩甲骨まで下ろしている髪を、いまは白いヘアターバンで上げて後頭部にまとめてヘアクリップで留めている。後れ毛が額や頬に一筋二筋かかっている。それより下の肌はあられもなく見せている。確かに『あざとい』と、彼は莉緒に共感した。

「だからぁ、じろじろ見ないでって……さすがに恥ずかしいわ」

「隠されると見たくなる……のはオトコのサガだよ」

「オトコってズルいわね、開き直れちゃう」

 莉緒が二人にかかっていたオフホワイトのタオルケットを彼から引き剥がして、自分の体に巻いて見せる。古い洋画の女優みたいだ、と彼が心中つぶやく。

 莉緒は女性アイドルの中でも背丈が高く手足もすらりと長く、薄いタオルケットが張りついてシルエットを形作るとボディラインがいっそう際立つ。かつて彼は莉緒へ包帯だけ(に見える)衣装をあてがった。そのときは隠さなければならないところを隠していた。いまの莉緒は胸元や太ももがチラチラ見えている。

 それだけで彼は、タオルケットに覆われている部分の莉緒の肌もすべて思い出せる。

 ほんの数時間前だった。ふっくらしたバストやヒップを触らせてもらうと、首やへそ周りに筋がピンと張りつめたり骨が薄っすら浮き沈みしていた。それらと、手に伝わる柔らかさとのコントラストが脳裏に焼きついている。莉緒の声がくぐもって抑えられていた。それで、むしろ彼女の匂いや火照りが色濃く残っている。抱擁されながら性器で交わって初体験を遂げた。3こすり半持たずに射精してしまった口惜しさまで蘇ってくる。

「きのう、もっとすごいところも見せてもらったんだけどな」

 昨夜の彼は、プロデューサーと担当アイドルとして莉緒と一献傾けるうちに莉緒が一人暮らしするマンションに招かれた。そのとき莉緒の一糸まとわぬ姿を見ていた。童貞を卒業していた。

「あれ~? プロデューサーくんってそんなこと言う人だったかしら~?」

「えっ」

 していたはずだった。

「そんな……オンナのこと知ってるぜぇ~……みたいなクチをきく人だったかしら~?」

「……俺が知ってるとしたら、それは莉緒が」

 雲行きが怪しくなってきた。

「そんなに私のことみっちり教えてあげたかしら~?」

 莉緒がくちびるを尖らせていた。昨夜、彼はそのくちびるにキスした。尖らせた形を見た記憶はなかった。

「……覚えてないわっ」

「えっ」

「飲みすぎちゃってて、覚えてないっ」

「はぁ?」

 彼にとって予想外の反応だった。

「やだ~、やだ~、プロデューサーくん童貞に戻って~!」

「えっ」

 酔っぱらった勢いで男女がセックスし翌朝に何も覚えていないというシチュエーションを、彼はドラマなどで見た経験があった。莉緒とのセックスのときそれがちらついたので、自分は死ぬまで覚えている、と固く決心して彼女の姿も声も匂いも柔らかさも味も銘記していた。

「プロデューサーくんの初めてが欲しい~!」

 莉緒が覚えていないパターンは想定外であった。

 

 

「冷蔵庫の中身見られちゃう……! 下手したら裸より恥ずかしいかも」

「うわっ」

「うわって言う中身じゃないでしょ!」

「地中海あたりの謎野菜がいっぱい」

「謎じゃないわよ」

 彼はベッドから這い出し、顔を洗い歯を磨いた。男用のカミソリがないに気づいた。まだベッドで頬をふくらませている莉緒に、朝食の支度をしてもいいか、と聞いた。

「レモンはわかるよ、鍋に入れるんだろ」

「鍋以外でも食べるわよ」

 冷蔵庫などを見ると、炭水化物が冷凍ベーグルだけだった――「パンは? ごはんは?」「ベーグルって卵もバターも牛乳も使わないからヘルシーだし、冷凍だと長持ちするし」――黄身2つの目玉焼きを焼いて、謎ではない野菜をボウルに盛って――「お、牡蠣醤油だ、かけていいか?」「……ちょっとずつね、これけっこう濃いから」――昨夜ワインやドライフルーツを並べたテーブルの上にこんどは朝食を並べた。それから談笑と腹ごしらえをした。彼はくつろいだ気分になっていた――昨夜2人で飲みすぎてしまった原因は、次の朝こうしてゆっくりできそうな予定にもあって――現役アイドルとその担当プロデューサーが男女2人きりで一夜を過ごしたことをごまかすため、誰に口裏を合わせてもらうか考えていた。

「莉緒は少食だなぁ」

「そんなにお腹減ってなかったし。プロデューサーくんと違って~」

「人を食いしん坊みたいに言うよな」

「エネルギーが必要だったんでしょ?」

「エネルギーって?」

 彼は空になった食器を片付けようと立ち上がりかけるが、莉緒に押し留められスツールに腰を下ろす。莉緒が食器を重ねて運んでシンクですすぐ――「ほらほら、食休み、食休み、もうちょっとゆっくりしてて」――彼女の後ろ姿を見る。食事前に、白いベースカラーにオレンジのボーダーが入ったクロスホルターネックのチューブトップと、タイトなジーンズとに着替えていた。ウエストのもっともくびれたところからヒップのふくらみ始めたあたりまでの素肌が見えている。いつか彼女との仕事でサクランボの名産地に赴いて「ねえプロデューサーくん、見て見て♪ 私の舌、器用でしょ?」と舌で結んだサクランボの柄を見せられたことを思い出す。そのとき、クロスホルターネックのヒモが莉緒の乳房に食いこんで谷間に埋もれかけていた。

「まだ、もうちょっとゆっくりしてて~」

 莉緒はさっさと食器を食洗機に入れてしまったが、まだ彼に座っているよう言いつけた。

「私が『いい』って言うまで目を閉じてて。見ちゃダメよ~!」

「鶴の恩返しじゃあるまいし」

「あははっ、君は私のきれいなところ売って儲けるお仕事だもんね」

 莉緒の足音がキッチンから寝室に移ったことまで聞き取る。壁を隔てると物音があやふやになる。耳をそばだて――「まだ目を開けちゃダメよ~?」――ほどなく、かすかに床をこする足音と、チリチリという鈴のような音がゆっくり近づいてくる。

「莉緒ー、目を閉じたままだと二度寝してしまうよ」

「だいじょうぶよ、眠気なんて吹っ飛ぶから」

「何をする気なのやら」

 チリチリ、という音が数歩のところまで近づいてくる。鈴の音だ、と彼は確信する。スツールに腰掛けたまま背筋を伸ばして両手をヒザに置く。チリチリ、チリチリ。顔のそばまで近づいてくる。莉緒が息を吸って吐いてしているらしき気配と、甘い匂いとが、鼻をかすかにくすぐってくる。

「何をする気、って……もう言ったわ」

 彼が問いかける前に、とりあえずシワを伸ばしただけのスラックスごしの太ももを何かが――「莉緒の手以外だったらどうしよう」――触れて、撫でて、ベルトにかかる。

「ちょっと待て莉緒……っえ」

「君とするときの勝負下着ちゃんと用意してたのに、きのうは……そういう意味でもノーカンってことで」

「やっぱり覚えてるじゃないか~!」

 目を開ける。暗順応でぼやけた視界の向こうで、莉緒が黒いチョーカーにつけた銀の鈴を鳴らして笑っている。チリチリが何回か聞こえたあとにクリアな視界が戻ってくる。『勝負下着』をまとった莉緒の曲線美も見えてくる。

「本当に覚えてるかしら?」

 莉緒のインナーは、チョーカーと揃いの黒である。カップとクロッチとが小さいトライアングル型をしていて、莉緒の乳房のふもとや鼠径部のくぼみが隠しきれるかどうかというほどきわどい。レースなどの装飾をほとんど排したシンプルなデザインで、下着よりむしろビキニを思わせる。

 対してインナーをホールドするパーツが、莉緒の肌で細く黒く大いに存在を主張している。ブラのストラップやバックベルトが肩を通ったり、ショーツのウエストベルトが腰骨の周りを引き締めている――のみならず、莉緒のバストの下や横、太ももやウエストのくびれ近くにもヒモ状のパーツが結ばれて食いこんでいる――カップやクロッチがズレないようにという機能より、バストやヒップのふくらみをくくり出すほうに役立っている。ヒモが強調されてレイヤードビキニのようにも見える。

「また、ずいぶんと……」

「ずいぶんと?」

「攻めた趣味で……えふっ」

「目ぇ覚ましなさい~!」

 ヒモで露骨にふくらみを強調している。それが彼にとってセクシーであるとともにアグレッシブである。

 莉緒は、アイドルとしてセクシー路線でやりたいとつねづね主張している。しかしそのセクシーとは、長い手足や節制で引き締めたウエストなども含めた全体の曲線美を活かしたものである。その主義が、この『勝負下着』ではかなぐり捨てられている。

「そ~れ~と~も~、童貞くんには刺激が強すぎるかな~?」

「莉緒は脱ぐ前から刺激的だよ、じゅうぶん……」

「そっか、そっか~っ」

 莉緒が立ったまま寄りかかってくる。彼の頭髪や頬のあたりに乳房をむにゅむにゅ押しつける。いよいよ彼も動揺する。

「やぁん、チクチクしちゃうっ」

「当ててるせいだろ……」

「眠気覚ましになるでしょ」

 彼の心が再び揺らぐ――「童貞のふりをすればもう1回やらせてもらえるのか?」――起きぬけに莉緒が、昨夜のセックスを覚えていないと主張したとき、顔を洗ったり歯を磨いたり朝食の準備をしたりでうやむやにできた。できたと思っていた。

「ねぇ」

 もし童貞のころの彼が百瀬莉緒から持ちかけられたら、すぐ頷いたであろう言い分だった。

 いまも体はそうしたがっている。視野を莉緒の柔肌とふくらみに占領され、呼吸のたびに莉緒の匂いを染みこまされ、ペニスに血が流れこむのを感じる。たっぷり眠って酔いも醒めて、童貞を卒業して緊張がほぐれている。昨夜よりうまくできそうである。

「体は乗り気のようだけど……気分はそうじゃない、って?」

「それは……んんっ、莉、緒っ」

 肩にぎゅうっと手をかけられたかと思うと、くちびるとくちびるが触れかける。頬が擦れあったり鼻息がかかったり、何もごまかせなくなるほど近い。コンビニでカミソリを買っておけば、と後悔する。

「お酒臭くないよね?」

「歯磨きの匂いならする」

「君と初めて会ったとき、私は酔っぱらってたっけ」

 頬と頬が離れ、こんどはヒザの上に重みを感じる。最初はぐいぐい、すぐにずっしり。彼のヒザに莉緒が乗りかかってきている。彼は慌てて手をヒザ上から引っこめる。莉緒のどこに触れて支えようか手がさまよう。2人ぶんの体重でスツールが指1本2本ほどずしりと沈む。

「支えててよ~? そしたら、君に抱かれたの、思い出せるかも」

 スラックスごしにペニスを撫でられて、彼の返事がしぼんでくしゃくしゃになる。ベルトを緩められファスナーを下ろされる。彼は『初めて』では自分で脱衣した――「脱がされて、いじられて、ってのも楽しいかもよ?」――下着越しに亀頭のアウトラインをなぞられる。何を言おうとしても呻きにとって代わられてしまう。彼の首筋へ噛みつくように、莉緒の吐息が広がる。

「君でも、ノド、ごくんってさせちゃうんだね」

「言わないでくれよ、意識しないでいたのに」

 ぷりぷりと振られて不安定になる莉緒の腰を、ヒザ上から退散してさまよっていた両手でつかむ。撫でまわしたいのをこらえる。

「こっちに意識を集中させてあげる」

 莉緒が左腕を彼の肩と首に回して引っかけながら、利き手の右で彼の下着のゴムをつねって離してぴたぴた音を立てる。

「ゴムのあと着いちゃってる~」

「しょうがないだろ……」

「いいわねオトコは……オンナだと……少なくともアイドルは『しょうがない』じゃ済まない」

 アイドルは肌を出す仕事の前、締めつけのきつい下着を避ける。莉緒が昨夜から今朝まで裸だった理由は、朝にも裸を見せつけるつもりだったのでは、と邪推してしまう。

「いじらせてみてよ、私に」

 莉緒がペニスを愛撫する手つきは、彼が覚えている昨夜より強引に始まり、しかし指が滑らかに動いてあっさり下着の合わせ目を開いてしまう。

「穿いたままおちんちんを出せちゃう作りってえっちよね~」

「そりゃ、出せないと、こま……んっ……」

 莉緒の指先がじかに亀頭粘膜をくすぐりはじめる。昨夜より酩酊も緊張も薄く――「もっとおっきくなってくれないかしら~♪」――さらに莉緒の手つきも昨夜より無遠慮である。呼吸1回ごとに熱がじわじわ高ぶって、竿がびくついてしまう。指先から直に伝わったように莉緒の腕も肩も首も小さく浮き沈みして、チョーカーの鈴がチリチリ響く。

「ふふ、ますますやる気になっちゃうわ」

 昨夜まで童貞であった彼ですら、莉緒の手慣れっぷりを悟らされる。莉緒がふだんもっとモテたいモテたいと嘆いている意味は悟れず考えさせられる――「モテないふりだったんだろうか?」――鈴口からにじむ先走りをぬめぬめ亀頭全体に塗り広げられ、カリ首から下は指をカギ型に曲げてぐりぐり強めに刺激される。きのう優しく勃起させてもらって膣内に迎えてもらったのも――「もしかして、前に、ほかの……」――銘記していた思い出までぐらつく。

「遠慮してるの……?」

「そう、かもな」

「あ、変なこと思い出しちゃった。プロデューサーくん、宣材撮影のときは私に遠慮しろって言って、初めての公演のときは遠慮するなって」

「そりゃあ、莉緒が……」

「私が?」

「……莉緒のようすが、違ってたから」

 手コキで乱されているのは、彼のペニスだけでなく、彼に焼きついた百瀬莉緒という記憶のあちこちでもある――想像をしのぐ初体験をさせてもらった。さらにもう一度莉緒とセックスできる、ただし最初を無かったことにすれば――莉緒の重みで座面に押しつけられていなければ、スツールから落ちかねないほど揺れる。

「ねぇ、もっと声聞きたいの」

「……オトコの喘ぎなんか、聞いても」

「私にいじられて漏らす声なら聞きたい」

 莉緒が彼のヒザの上でゆらゆら揺れる。左腕と左手とで彼の首と肩を我が物のように抱く。右手でペニスを刺激して彼に歯を食いしばらせる。くちびるで首筋を食む。耳の後ろまでキスしてくる――「止めてくれよ、そんなところ臭い」「私と寝た寝汗だ~♪」――チョーカーの鈴が鳴るたびにどこかしら気持ち良くさせられる。彼の下腹部までびくびくこわばる。

「喘ぎ声が恥ずかしいならさぁ」

「それは、そう……恥ずかしいんだが……」

「君がどうされたら気持ちいいか、言葉で私に教えて」

 知ってるくせに、と抗弁しかける。

「君とは初めてだからわかんなぁい……♪」

 出なかった抗弁を察したらしい莉緒が、あくまで初めてで押し通す、と言外に念を押してくる。腰と尻をもぞもぞずらしたり力ませたりする。昨夜の騎乗位がチラチラと脳裏にひらめく。

「……莉緒も」

「私も?」

「俺に、教えてくれるんなら」

「りょーかいっ♪」

 彼はこんどこそ莉緒の提案に乗った。莉緒の体を堪能するだけでなく快楽を与えられる――彼の昨夜ただ一つの未練がそこだった――可能性に釣られる。

「それじゃあさっそくっ」

 莉緒が両手を彼の首にぎゅうぎゅう絡めた。

「お姫さま抱っこでベッドまで運ぶの、やって♪」

『さっそく』と言いつつ、莉緒は彼の太ももにまたがったまま、バストを彼の胸板にむにゅむにゅ押しつけたまま、『勝負下着』がくしゃくしゃに乱れるまではしゃいで、なかなかベッドまで運ばせなかった。彼は焦らされるやら呆れさせられるやらで、ベッドインする前にさらにめちゃくちゃにされた。

 

 

「キスは、さ……素面だと初めてだったかしら」

「……ええと」

「私とは初めてでしょ~!」

「あうっ……はい、はい」

 ベッドに戻ってからキスしようとして、どっちがどっち側に顔を傾けてくちづけするかアイコンタクトしようとして、し損なって、頬と頬どうしをぶつけた。莉緒が頬ずりしながら――「プロデューサーくんってひげ伸びるの早いのね~」――と笑った。お返しに彼がえくぼにキスすると、莉緒もチュッとわざと音を立ててくる。

 軽いキスの応酬を続けるうち、彼の首の後ろに莉緒の両手が巻きつく。ぎゅうっとしがみついてくる。彼の胸板全体に莉緒のふくらみを押しつけられる。その圧力に彼の心身が無防備にさせられる。

「ねぇ……おっぱい、もっと触ってみたくないの?」

「……触りたい」

「素直になったわね」

 百瀬莉緒のプロフィール上のスタイルは、身長168センチ、スリーサイズが上から84、57、84――サバ読みなし、と彼は担当プロデューサーという立場ゆえ知っている――セクシーではありつつ、ある意味で男性にとって手ごろな――それを磨き上げる努力は手ごろで済まない、とも知っている――女体である。例えば、豊川風花や三浦あずさのほうがカップ数で上回るが、彼女らのバストは成人男性が指をめいっぱい広げても、少しあふれて、揉んだそばからこぼれて、もてあましてしまう――彼にとっては想像上の危惧であるが――大きさである。さらに彼の場合――「学生のころから肩こりが……」「あら、風花ちゃんも?」――余計な心配が湧いてきてしまう。

 対して莉緒のバストなら、指でも手のひらで覆ったときの柔らかさも、わしづかみにしたときの弾力もこの手で余すことなく味わえる。アンダーバスト側で、とくん、とくんと拍動する感触に手が震える。彼は昨夜それらで感動にも似た興奮に満たされたことを覚えている。にやにや笑って彼を見上げている莉緒の視線も思い出す。

「もう、私、ドキドキしちゃってるわ……君に、ちょっと触られただけで」

「ドキドキ具合なら俺も負けてないぞ」

「勝負じゃないでしょ~」

 そう言いつつ、いまベッドに寝て乳房を彼の手に預けている莉緒は、くっくっと挑戦的に笑って、また鈴をチリチリ鳴らす――「初めての人なのに、感じさせられちゃった……とか、言わせてみたい?」――昨夜よりも莉緒のおっぱいがぱつぱつに感じられる、きっと『勝負下着』の締めつけのせいで――「もうダメ、って言っちゃうまで、好きにしていいわ」というつぶやきが聞こえる。現実か幻聴か、境がぼやけて響く。

「んっ……ちょっと、ダメよ……っ、ちょっと、ね……ふふっ……♪」

 莉緒は彼のヒジか二の腕かというところに手のひらを押しつけチクリと爪を立てている。恥じらって首を振るとデコルテがぺこんとへこむ。鈴の音がチリンチリンと高くなる。彼が思わず手を震わせると、目を細めて甘い声を漏らす。照れくさそうにくちびるを舐めて、舌をちらつかせる。

 彼のペニスがいよいよ猛って息苦しくなる。血圧が変になっているのか、頭の近くまでどくどくと血管が騒ぐ。

「もうおっぱいは満足かしら、それとも緊張しちゃって……?」

「これどうやって脱がしたらいいのかな、って」

「焦らない、焦らない、一つずつ、すーって引いて、ほどいて……♪」

 そう言いつつ莉緒は、彼の指先が『勝負下着』を脱がせにかかると、いやん、いやんとわざとらしく肩をずらしたり腰をくねらせたりする。胸をぷるぷる震えさせたり、彼の手にゆさゆさ押しつけたり、勃起したままのペニスを太ももや腹で偶然のようにこすったりする。

 彼はますます高ぶってしまう。

「ひゃんっ、あ、んっ……敏感なところ、なの、よ……」

 カップに包まれたままの乳輪や乳首を指先で取り囲むと、莉緒が足をぴくっとひきつらせ、シーツをずるずるこすって不平のようにズルズル鳴らす。心なしか、そこがぷっくりふくらんでいる。彼の指先がそう告げる。どうにか乳輪を隠しているというブラが、彼の目から守るというより、彼の指先を誘いこむように浮き上がる。

「んっ、あ……そ、そこっ……んっ……っ……♪」

「下着越しだったら、直より強くしてしまってもいいかな」

「どうかしらね……こすこす、かりかり、ってされると、裏地しだいでは、もっと感じちゃうかも」

「ブラの裏地がそんな刺激的じゃあ……困っちゃうだろ」

「そうなって困らないときだけ着るものよ~」

 彼の指先がすっかり煽られて、莉緒の乳首をこねくりまわす。莉緒のなまめかしい息で皮膚をしっとりくすぐられる。指先に明らかな突起をつまむと、莉緒が二の腕や肩甲骨でシーツをこすりながら胸をせり出させる。早まっていく呼吸と、デコルテの陰影が昨夜の莉緒と重なる。鈴の音が、いまは昨夜とは違う、と忠告するように聞こえる。

「あ、ぁ、ん……っ……乳首、いじわるしちゃ、ダメ……♪」

「気持ちいいかどうか、教えてほしいんだが……」

「……教えられないわぁ、暴かれちゃいたいわぁ……んくっ、ふ、ぅううっ」

 彼は愛撫を続ける。迷うように鈍ったり、試すように尖ったり、試行錯誤を繰り返す。そのたびに莉緒が肌や息を波打たせたり、頬やくちびるをもぞもぞさせたり、ぴくぴく腰をうねらせる。ペニスに太ももか腹かどこかの柔肌がどしどし押しつけられ、催促されていると感じる。

「あ、ひぁあぅっ! 強く、されたら……声が……んやっ、あああっ!」

 ブラも外さないまま、乳首をつねり、乳輪ごとこねまわし、手を広げて乳房のふもとに指先を食いこまさせる。さっきより莉緒の鼓動と体温と匂いが強く迫ってくる。

「……莉緒の乳首ってさ、こんなにコリコリになるんだ」

「なぁに、いま気づいたの……? ふふ、あははっ……んっ、く、あ、あぁああ……っ」

 ブラをツンと押し上げるまでになった莉緒の乳首を指先で押し倒そうとする。彼の指にぷりぷり反発して、また莉緒が肩や背中を震わせて指がズレて押し倒しかねる。

「っん、ふ、あっ、あぅ、んんっ……私、興奮、しすぎ、かしら……♪」

 莉緒の笑いが照れたように横長になる。皮膚の内側でのたうちまわる興奮を彼は懸命になだめる。ペニスが先走りを漏らして莉緒の下半身をぬちゃぬちゃ汚しているらしいが、どうにか意識をそらす。

「思わせぶりにして俺を煽るのって……それで興奮してるのかな、莉緒は」

「君が何してくれるか楽しみで、ゾクゾクしちゃうのよ」

 彼は莉緒を感じさせたがっている。そうしながら、莉緒が彼の内心を汲んで感じているふりをしてくれている、と彼自身に言い聞かせている。そうしなければ興奮しすぎてあっさり終わってしまう。2回目でそれは口惜しすぎる。

「強引にしてくれちゃうの……いまなら、されちゃいたい、かも、ね……あっ、んぅっ……♪ くぅうっ……!」

「莉緒……声、あと顔も、すごく色っぽい……」

「君にしか披露できないわ……うれしい? それとも見せびらかしたい? あ、ぁあぅっ……!」

 莉緒の乳房から手をずらして、アンダーバストからウエストのあたりを撫でる。びくん、と莉緒が反応して、あばら骨のあいだが胸郭の汗でしっとりしている。呼吸でのふくらんだりしぼんだりが、乳房のときより神経に迫ってくる。莉緒の肺そのものに触れてしまったようにドキリとする。

「うわっ」

「どしたの」

「ほっそ……ウエスト細いっ」

「いま気づいたわけじゃないでしょ~!」

 莉緒が頬をふくらませながら足をジタバタして彼の尻をべしべし叩く。縦に薄っすら伸びた白線――腹筋の継ぎ目――が見え隠れする。

「そこ、くすぐったい、から……」

「がんばれば、俺の両手で……なんとか……指が届いたり……」

「さすがに、そこまで細くは……ん、ふぁ……っ♪」

 彼が両手を莉緒のウエストの左右に添える。指をめいっぱいに広げて、莉緒の肌に食いこませて、親指どうし小指どうしがくっつかないか試みる。いかに莉緒の体が引き締まっているとはいえ、一般的な男性の大きさである彼の手ではなかなか無謀である。

「っ、んんっ……これ以上は、へっこまないわよぉ……んきゅっ、うっ……! ぐいぐい、されちゃったら、ちょっと……」

「……『もうダメ』?」

「えぇえぇ……したいなら、いいけど……しょうがないわね……っ」

 莉緒のウエストが、予想外に彼の手を惹きつける。ここまでにしようか、と手の力を抜くともっと触りたくなる。彼の手を強くしなやかに押し返してくる手応えがくせになる。莉緒がくすぐったがってぴくぴく反応するようすが、逆に彼の気負い――莉緒を感じさせたい、とまだ思っている――をくすぐる。

「莉緒がレッスンとか、エクササイズとかがんばってるおかげで、引き締まってて、俺でも反応がわかりやすいなぁ」

「こ、これは、その……感じて、は……まぁ、うん……」

「ああ、ごめん。俺に触らせるためにがんばってるわけじゃないのに」

「物分かり良さそうなクチきくのはいいけど……手が、まだまだやる気、じゃない……?」

 莉緒が下腹部をこねられながら体をくねらせると、乳房がうらめしげに揺れる。寝転がっていてもブラでホールドされていて、ゆさゆさと彼の目を引く。昨夜、莉緒が騎乗位で童貞を奪ってくる寸前のときよりもゆさゆさしている。ブラのあるなしでずいぶん変わるものだ、それとも『勝負下着』だからか、と彼は一瞬だけ考える。

「したいんなら、さ……ぎゅ、ぎゅって」

「莉緒……?」

「もっと、力いっぱい……強く求められてる感じ、しちゃうから……♪」

 彼は莉緒をすっかり仰向けに転がして、太ももをヒザでまたいで馬乗りする。さらにウエストに手を添えて上からじりじりと体重をかける。莉緒が苦悶と快感が混ざった吐息をくちびるの端から漏らす――「そう、そう、もっと……」――笑ったくちびるの形がさらに彼を煽る。

「ひぁ、あ、ふゅ……っ! ぷろ、でゅ、っ……♪」

「……ゆるいのも好きかな」

 おねだりと逆に、爪先だけ添えてそろそろと脇腹を行き来する。そのほうが彼にとって莉緒の反応がわかりやすいと感じる。

「くすぐったい、わぁ……」

 物足りないのか、莉緒が胴をもぞもぞよじらせる。どこまで力を込めるか、妙なせめぎ合いがおかしくてくちびるの端が上がる。

 ウエストに這わせた指のうち、親指に力を込める。へこんだりふくらんだりする莉緒のヘソ近くに押し当てる。体幹の筋肉か、その向こうの内臓が――反射的にきのうペニスを搾り取られたことを連想する――うねっている感触を探る。

「はっ、ん……んんっ! んん……くすぐったいばっかりじゃ、ダメ……!」

 莉緒の腰がびくびくと小さく何度も跳ねる。シーツの衣擦れと鈴の音が一段とざわつく。黒い下着が食いこんだままの女性器周りも筋が浮き沈みして彼を誘う。

「それに、ねぇ……おちんちん、おっきくして、見せつけて……お預けされてるみたいで、じれちゃう……♪」

 彼のペニスは、莉緒に煽られてすっかり天井を向いている。先走りで竿まで濡れてしまっている。彼が少し足の位置を変えて、もっと莉緒の足を開かせれば、すぐに交われる――彼は正常位が未経験だが――再び、ぎゅうと手に力を込める。

「はぅ、ほぁっ、ぅ……♪ 息が、できなく、なっちゃう、かも……」

「それは、困るな」

「……もっと困らせて」

 莉緒の頬が紅潮している。目が潤んでいる。汗ばんでつるつる滑りそうな肌を親指で押す。ぐいぐい強く反発される。反発の強さが莉緒の望みの強さだ、と錯覚させられる。

「っ、ぅ、あ……いぃ、気分、よ……こわい、ぐらい……っ♪」

 声が切なそうに短く乱れている。よじって見せてくる。クロッチがにちにち舌なめずりするようにもぞついて見える。

「あそこ、濡れてきちゃった……まだ触ってもらってないのに」

「そっちだと、ここまでぐいぐいって触れないんだが、どうしよう」

「君の手を味わうなら、ウエストのほうがいいかもね……それとも、君が私の性感帯、見つけちゃったかもっ」

「……いままで誰もいじらなかっ――ぁいたっ!」

「他の人の話をしないの~!」

「すまないね、初めてで勝手がわからなくて」

「デートといっしょよ~っ!」

 莉緒が怒った素振りをすると、触っているウエストがさらにびくびくする。彼はつい微笑んでしまう。笑いの余韻が消える前に愛撫を再開する。莉緒が艶っぽく鼻を鳴らす。

 莉緒がすでに誰かと経験済みであることを、いつの間にか受け入れている。昨夜しっかりリードされたときそのまま「そういえばそうだろう」と、つるりと滑って腑に落ちている。ウエストをぐりぐりさせる手に力が入る。いままでの誰かに対する嫉妬と優越感にかられて勢いづく。

「んひゅ、かは、ぁ、あ……そ、そうっ、強く、ぐいぐいって、して……ぃ、いいわっ、ぷろ、でゅ……んっ……♪」

「アザとか残っちゃったらどうしよう」

「……見せつけちゃう?」

「ゴムのあとよりまずい」

「あははっ、それは、確かに……あ……ん、んぉ……♪」

 せめぎ合いとともに愛撫がエスカレートする。彼はますます前かがみになって体重をかける。莉緒が押し返すように腰を跳ねさせヒップをこわばらせる。クロッチの染みがじわじわ広がって見える。騒がしいはずの鈴の音が遠く薄れていく。

「いいわ、すごくっ……待ち遠しい……入れられる気分になっちゃう……ナカまで、ぐりぐり、されて……♪」

 彼はもう入れたくてたまらないがぎりぎり踏みとどまっている。『もうダメ』と言わせたタイミングで入れたいのである。莉緒の表情と身振りもそう言わされるのを期待しているようである。

「ぁ、んんっ、あくっ……あ、ああ、あふ、んっ……そんなに、私と、したいんだぁ……っ♪」

「いま気づいたわけじゃないだろ……!」

 しかし莉緒も彼も汗だくになって、まるですでに膣とペニスで交わっているように熱くなっている。ピストンのように短いリズムで腰が揺れる。

「あんまりこうしてると……これだけで、出しちゃうかもしれない……!」

「何を……?」

「……精液」

「冗談……には、聞こえないわね、それ、見せつけられながらじゃ……」

 しばらくされるがままだった莉緒が、ぬらりと手をもたげて彼の勃起ペニスを撫でる。彼は思わず悶える。裏筋をくすぐられ、尻や太ももまで引き攣れさせてしまう。

「オトコの人も、感じると足までびくびくするのねぇ」

「あ、うっ、あ、くぁ、あっ! で、出るってっ」

「私にぴゅっぴゅってかけてみる? だってきのう……あっ」

 莉緒が不自然に黙らなければ、彼は気づかず流していたかもしれなかった――きのう、莉緒は「初めての射精はこっちがいいでしょ~♪ ナマはダメだけど、でも……いいえ、私がいいの、こっちがっ」と彼にのしかかって、膣肉で勃起ペニスをぎしぎし締めて(ゴムごしに)射精させていた――それを思い起こす余裕はほとんどなかったはずだった。

「……俺も、莉緒のナカがいいな」

「ナマは、ダメ、だって……あ、これは言葉のアヤじゃなくて」

「そうだな、俺もナマじゃダメだ、すぐ終わっちゃいそうで」

「あれそういう道具じゃないわよ~! んっ、あっ……♪」

 ショーツの結び目を一つほどかれるごとに、莉緒の声と吐息がくぐもっていった。

 

 

「プロデューサーくんとこうしてるの、ウソじゃないよね」

「これがウソだったら、俺これから生きてく自信なくすよ」

「うわぁ、なんだかシリアスな気分になるわ」

「重大なんだよ、初めてなんだからっ」

 そう言いつつも、プロデューサーは童貞ではありえないほどスムーズにゴムを着け、莉緒を押し倒して足を開かせ、勃起ペニスを膣口に添えて挿入を果たす。

「……ぉ、お、っ、しま、っ……!」

「あは、はははっ……プロデューサーくーん……♪」

「わ、笑うと、莉緒の、きゅって……んぎゅっ!」

「プロデューサーくんが笑わせるから~!」

 莉緒がのしかかられながら、手足を彼の背中と腰に絡めて引き寄せるように近づく。むせ返りそうなほど熱く甘く濃密な莉緒の気配の中で、鈴の音だけ涼しげに浮いている。

「……おめでと」

「これで……卒業って認めてもらえるのかな」

「……童貞のふりするぐらい、いいじゃない~! 私なんてねぇ……結婚式ではみんなの前でヴァージンロード歩いたり白無垢着たりするのよ?」

「そういえば莉緒に着てもらったっけ、純白の……ぁっわわっ!」

「いま仕事の話をするんじゃな~いっ!」

 黒のチョーカーとブラを着けたままの莉緒を抱きしめながら、ブライダルソングを歌っていた莉緒を思い出すのはひどく背徳的で、童貞気分に染まっていた彼にはひとたまりもなかった。

「あ、ひゃ、で、出る……んぎゅっ、ぁぅうっ!」

「出しちゃったんだ……♪ でも、まだ固いじゃない? がんばって♪」

「それ、ぇあ、あっ、う、あっ」

「でも、ダメなんだぞ~! ゴムは出したら取り替えないと~っ」

 莉緒は言葉で叱りつけながら、手足や首を絡ませ彼を入れさせたままにしている。さらに腟内が報復のようにぎゅうぎゅうペニスを締めて彼を悶えさせる。いっぽう彼も目覚めてからずっと興奮させられたせいか、射精しても勃起が続いている。

「こ、この……だったら、俺も言わせてもらうがな……!」

「えぇえ~っ、その前置き、言ったあと後悔するってお約束じゃない」

「……落ちこんだんだぞ……」

「なんで?」

「きのう莉緒としたの……思い出せない、とか言われて……落ちこんだんだぞ~!」

 彼が両手の指をめいっぱい広げて、また莉緒のウエストに食いこませて、こんどこそ指どうしをくっつけさせようという勢いで力を込める。

「あうっ、ふぁあっ、ぉ、ほ……♪ い、入れながら、ぎゅって、ダメ、ダメになっちゃう……っ……!」

「俺は……本当に、きのうが、初めてで……ぁうっ、う、き、キツっ」

 膣奥を肌の内側と外側から圧迫され、莉緒が悲鳴のような嬌声を上げる。2人とも腰を動かす余裕が失せているのに、ぐじゅ、ぐじゅと水音がこぼれて、荒い吐息のあいだにちらつく。

「ぉ、おく、ぅ……深い、とこまで、されたら、こわい、こわく、なっちゃう……♪」

「そうなるって、さっきからわかってただろ……」

「うんっ、うんっ、そ……ぉっ! こ、こらっ、しゃべってるときはホントにダメっ、ひっ、舌かんじゃうからっ」

「……莉緒、こうするたびにびくびくってして……しすぎで、気持ち良くなってくれてるのかどうか、わからないな」

「ぜんぶ……さいこう、よ……♪ んふぁっ、あ、ほ、ホントだって、これもっ、ぉ……♪」

 莉緒の腟内どころか、粘膜も皮膚も肉も骨もどこもかしこもむしゃぶりついて射精を促しているように感じられる。すっかり乱れてしまった髪さえ、莉緒の快楽を物語るように見える。

「……案外こっちのほうがいい、ってことはないかな」

「何さ、思わせぶりに……きゃっ♪」

 彼が指の矛先を、莉緒の乳房のてっぺんへ移す。わざとらしい喘ぎ声に耳をくすぐられる。乳頭がカップからツンと浮きあがって見える。そこをカギ型に曲げた人差し指でかりかりといじめる。かすかな笑い声のあいだに熱い吐息がまざる。

「ぁ、は……ダメ、ぇ……♪」

 彼の指がブラのストラップにかかって、ついに莉緒の乳房を露出させる。肌がしっとりしとやかな印象なのに、くちびるぐらい色づいてぽってりふくらんだ乳首が欲情した気配をむんむんと漂わせている。莉緒の膣がきゅうきゅう狭くなる。彼は歯を食いしばって射精衝動に抗いつつ、指先で乳輪も乳首もしごいて撫でまわす。

「はぅ、ほぁっ、はぁっ……入れたまま、なのに、ずいぶんおっぱいにご執心ね……赤ちゃんみたい、よ」

「あー……いよいよ童貞卒業したって実感した」

「え、なんで?」

「もし俺が童貞だったら、そんな煽りしないだろう」

「人のあそこにおちんちん入れながら、俺が童貞だったら~とか訳わかんないこと言わないでよ」

「莉緒が言い出したんだろ……」

 莉緒の胸に手のひらいっぱいを押しつけて揉みしだくと、莉緒に手首をつかまれる。さすがに痛かったか、と彼は思うが、手を退けようとすると莉緒に止められる。

「こうしてたら、妊娠しちゃいそうな気がするわぁ」

「ゴム着けてるだろ」

「着けてたってさ、別に……んぅ、ふっ……やぁん、しゃべってるときは……あっ、あっ♪」

 彼は指先で乳首責めを再開する。莉緒に手首をますます強く握られ、せがまれているような拒まれているような、相反する解釈が入り交じる。ただ莉緒の嬌声と体温とに惹かれて親指と人差し指で乳首をこすりたてる。くりくりひねる。指のあいだで挟んで転がす。膣からの締めつけがゆるんだり不意にずりゅっとしてきたり不規則に変わる。

「私の、おっぱい……そんなに、しつこく、こりこり、して……ダメなんだぞ~♪」

「……なんで?」

「赤ちゃんに吸わせてあげるとき気持ち良くなっちゃったらどうするの」

「……なるのかな」

「なる人もいるらしいわ」

「らしい、って」

「試してみる?」

 彼のペニスがたまらず反応して、莉緒の膣奥をこする。そのまま何かにはまったように亀頭をみちみち圧迫される。

「っ……っうぅー……ぅ……!」

「ひふっ、きゅ、ぅ……っ! な、何しんどそうな顔してるのよっ、こんなに、奥までされてるの、私……ぁ……!」

 莉緒への乳首責めとともに、ペニスをゆっくり押しこんでいく。迂闊に動こうものなら落ちて終わってしまう綱渡りのように、慎重に、莉緒の膣を深く味わいながら進める。彼の脳天までびりびり法悦が染み渡る。気持ち良すぎて重く感じるほどになる。

「こんな、ぁ……奥まで、おちんちん、して、ぇ……赤ちゃん、できちゃいそう……♪」

「……ちゃんと着けてたか不安になってきた」

「着けてたわよ。ちょろいわね、プロデューサーくん」

 言いつつ、莉緒が彼の手首を握ったまま自分に引き寄せるようぐいぐい引っぱる。昨夜、莉緒が騎乗位で彼に挿入させて、上から彼の手を握ったときと、不思議と記憶が重なる。

「んふふっ」

「また変なこと思いついたんだろ」

「変なことじゃないわよ! ただ……ちょろいプロデューサーくんは、私が……予行演習させてあげなきゃなぁ、って」

「なんの予行演習を?」

「……君の大好きなお嫁さんとするときの……きゃっ、言わせないでよ、も~……あっ、かりかり、かりかりダメ……ぉっおく、ぐりぐりも、ダメ、ぇ……♪」

 彼はもう煽られるがままになって、腰を動かして膣奥に亀頭をこすりつける。莉緒がシーツを肩や尻でこすってずりずりもだえる。膣奥をぐいぐい感じながら乳首を撫でまわす。

「そ、そぇ、ダメ、だ、めぇ……ど、どっちも、なんて……い、イッちゃうっ♪」

「あー……ごめん、もうイキそう……」

「ふぇ、え……もう、しょうがないわねっ、お姉さんのナカが気持ち良すぎて、童貞卒業したばかりじゃ刺激的すぎて……ぉおほっおぁ! な、ちょ、まだ、ぉ、く……」

 莉緒の、ふだんグラビアショットで人を魅了するよう磨き上げられたボディラインが、細かく痙攣している。

「ンああぁああ……っ! あ、ぅ、あぁああぁっ……ね、お、おく、そんな……イク、イクんでしょ、ぷろ、でゅ……いっ、っっうぅ……っ……!」

 数呼吸のあいだ痙攣が続き、収まると波打つように大きく息づく。ゴム越しなのにペニスを直に搾られている錯覚に陥り、もっと搾られたいとペニスを奥へ迫らせる。

「ハッ、ハッ、はっ、ハッ、はぁっ……! いくうっ……っく、いく、いっぐう……!」

 そのまま乳首をひねり上げる。上体を限界まで弓なりにのけぞらせた莉緒が、悲鳴のような嬌声を上げる。秘所からびゅっ、ぷしゃっとさらさらした体液がほとばしり、彼の腹筋を濡らして滴り落ちる。

「ぁ、あぁ……俺も、い、く……!」

 実は彼はかなり早めに『イキそう』と申告していて――昨夜、莉緒が「イッちゃいそう♪」と煽られてつられて絶頂射精したのを、たまたまやり返した格好になった――それでもここに限界を迎える。睾丸の中までどくん、どくんっと煮立つような感覚に襲われる。やり過ごそうと待っても、もう遅かった。びくっ、びくっ、びくっと三度跳ねた。

「……あぁあ」

「ぅ、うぅう……プロデューサーくんの、ウソつきぃ……」

「あの、その……二回目で、なんだか感覚が違って……」

 気づけば、莉緒が彼の手首を離して、自分の手で顔を覆っていた。肌は白と紅が入り混じって、黒いチョーカーに横切られた首筋が特に濃く赤く、見ていると『もうダメ』と聞こえる。

「イキそう、って聞かせたら……私がイッちゃうって思ってたでしょ~! うぅうぅ……」

 ここまで煽情的な恥じらいを彼は初めて目のあたりにして、射精後にもかかわらず心が莉緒を求めるままだった。

「男にイキそう、って聞かされたらイッちゃう、なんて……えっちなお嫁さんだなぁ……ぉあっ! きゅ、きゅって」

「おちんちん入れたまま、変なこと言わないの~っ!」

「だって……さっき、莉緒が」

「さっき、って……うわ、やめなさい、忘れなさいっ」

「あれ俺のためにヴァージンロード歩いてあげる、って意味に聞こえたんだけど……」

 莉緒の膣がまたきゅっきゅっと締まる。顔を隠す手が半分ズレて、くちびるがキスのように尖ったり、白い歯を見せるように緩んだりする。

「……そうとってくれちゃうんだ」

「それ以外に、何と……?」

「もう、してあげられないね」

「えっ」

「手加減、してあげられないね~♪」

 莉緒の手足が、達成感に浸っていた彼の体に巻きついて、叱咤するように爪を立てたりかかとをぐりぐり押しつけたりする。

「わっあぎゃっ……! さ、さすがに抜かずの三度目は……あ、ああっ!」

「イッたら終わり、イカせたら終わり……って思いこむのは童貞の悪いくせよ~?」

「あ、うっ、あ、くぁ、あっ!」

「でも、童貞らしい君も好き……死ぬまで童貞のふりさせたろーかーっ♪ なーんてっ」

 その後、二人は煽ったり煽られたりしながら、思考がどろどろに、肌がべたべたに、ノドががらがらに、体中がくたくたになるまでセックスを続けた。ゆっくりできるはずの時間もすっかり使い切った。彼が四肢に鞭打って身を起こしかけると――「水は……タオル、どこだっけ」「童貞らしくないなぁ……えっち終わっちゃったぁって感じがしちゃうなぁ……」「……引き出しとか開けたらダメか」「お構いなく……お気遣いもありがた~くもらうわ……♪」――莉緒にまた指先で頬をぐりぐりされた。

 

 

「事務所で童貞みたいな態度とっちゃイケないわよ」

「態度を変えたら、莉緒に卒業させてもらったことバレるだろ……」

 後日、プロデューサーは事務所で、莉緒の同僚アイドル・馬場このみからふざけ半分の色仕掛けをされていた。彼はされるがままになっていた。このみには、莉緒の部屋で彼が一昼夜も過ごしたことについて、口裏を合わせてもらった。その報いを――「一段といいオトコになったように見えたから……ふふっ、冗談よ、冗談だってば~」――受けたらしかった。

「童貞みたいな君を見ちゃうとキュンとなって、いいことしたくてたまらなくなって私が困っちゃう……って言ったら?」

「……困るのは莉緒だけだから、まぁ、がまんしてくれ」

「だけ、ですって? まるで私以外のオンナも知ってるみたい! 私以外のオンナも、キュンってなっちゃうかもよ」

「俺だってしょうじきグラビアとか見てると、がまんするのたいへんで……」

「そこはちゃんと仕事の目で見てくれないと困るーっ」

 莉緒はしばらくくちびるを尖らせていたが、不意にハンドバッグから小さな何かを、彼の目から手で隠しながら取り出した。

「……あっ」

 チリン、チリンと、鈴を鳴らした。

「こうしたらグラビア見てても気にならなくなるでしょう?」

「ますます仕事にならなくなるだろ~!」

 彼は死ぬまで童貞のふりをしているかもしれない。

 

(了)

 

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