アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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前話の「補習」にあたるえっち話です。
後日談(ヒロインは摩美々です)→https://syosetu.org/novel/325614/31.html
「うちの写真、目ぇ皿にして見ながら、そがんため息つかんでくれん? 失礼ちゃん!」
「魅力的だとは思ってるんだよ。ただ、もったいないなぁ、どこかで生かすには……って」
アイドル事務所・283プロダクションが休業日としている昼下がり。
アイドルユニット・L'Anticaを担当するプロデューサーは、事務所の執務机に乗せたパソコンやタブレットを操作したり、ボトルガムを噛みつつ席を立ってフロアを右往左往したりしていた。
L'Anticaのリーダー兼センター・月岡恋鐘は、少し離れたイスから彼の様子をしばらく眺めていた。声をかけないよう我慢していた。彼の机横のくず入れが明らかにライムミント臭くなってきたあたりで、ついに呆れ声をぶつけた。
プロデューサーが、恋鐘の声を聞き流しながらタブレットのモニタをピンチインする。液晶に写されていたのは、恋鐘が下着でポーズをとる写真で、するりとズームされる。下着は、モノクローム基調にフリルとレースをふんだんに使ったゴシックロリータをイメージさせつつ、恋鐘のバスト92の谷間と膨らみをきっちり見せるベビードールだった。
彼が人差し指でフリックすると、別の恋鐘の下着写真へ表示が切り替わる。こんどは、長い曲線で構成された蔓や花びらや枝など植物的なデザイン柄が、明るくて彩度の低いパステルカラーで恋鐘の肢体を飾っている。プロデューサーが写真にタグづけしたラベルには「アールヌーヴォーのモチーフ」というメモが添え書きされていた。
「ほら、休憩、きゅうけー!」
恋鐘は、プロデューサーが持っていたタブレットに手を伸ばして、スリープモードにしてしまった。ミュシャじみたアンダーウェアで微笑む恋鐘の姿が、モニタの中央へ沈むようにブラックアウトした。
※
プロデューサーが、恋鐘の下着写真を見ながら右往左往していたきっかけは、恋鐘がL'Anticaのメンバー・幽谷霧子に聞かせた愚痴だった。
『なんね霧子、こっちゃんじっと見て』
『あ……いや……胸が大きくてすごいなって……』
『こげなもん大きくても、困るばい。ヘンに見られるし、足元は見えにくいし、あと……』
『あと……?』
『このあいだ、お店でやらしか(=かわいい)下着見つけたんよ。で店員さんに聞いてみたら、合うサイズがなかったばい』
『それは、とっても困るね……』
聞いていないフリをしつつ立ち去ろうとしたプロデューサーを、恋鐘が呼び止めた。
『プロデューサーもタッパ大きか、だけん下着……はともかく、服ば困らん?』
『ええと、そうだな。私服もスーツで通せりゃいいのになぁ、ぐらいには』
『そうやろー、それと同じばい!』
『服と下着で、そこ同じなのか……?』
プロデューサーは、恋鐘と霧子から『街を歩いてて見せるモノじゃなかけど、下着は女の子にとって……自分をアゲるアクセサリーたい!』だの『おまじないの意味もあれば……単純に、可愛いもの、きれいなもの、着てみたいな、って……』だの、下着のファッション性について代わる代わる力説された。
その後、プロデューサーは、『こげなもん大きくても、困る』などの事情があって下着を店舗で選びにくい女性向けのサービスが、イメージキャラクターを募集していると聞きつけた。
そのサービスは、業界大手の某女性下着メーカーが、xR(代替現実)がらみのスタートアップと協業して展開を図っているものだった。ユーザーは、スマートフォンの専用アプリで自分を撮影すると、AIでショップ並みの精度のフィッティングをしてもらえるうえ、アプリでそのまま続けてお好みのデザインを選べば下着をオーダーメイドできてしまう、という内容だった。
プロデューサーは『現代風のピーチ・ジョンかな』程度の認識だったが、恋鐘はいたく感動していた。
『わぁ、こがん便利なのがあるん……っ!?』
プロデューサーは、手腕を発揮し見事にイメージキャラクターの仕事を勝ち取ってみせた。
なお彼がイメージキャラクターとして売り込んだのは、恋鐘・霧子と同じL'Anticaのメンバー・白瀬咲耶だった。
『なーんでうちじゃないのー! 確かに、咲耶も向いとるとは思う……けどねー?』
恋鐘のプロフィールでは、身長が165センチ、スリーサイズが上から93-60-91だった。対して咲耶は身長が175センチ、スリーサイズが91-58-87。いずれもサバ読みなしである。
『恋鐘も下着探しにお悩みだろうけど、広告代理店の人に……ばっちりクール系な外見の咲耶を、下着の力でキュートな印象にまとめられたら、ギャップで下着の魅力やオーダーメイドの対応力が際立って見えます! ……って言ったら、通った。咲耶って、キュート系もキライじゃないって聞いてたし』
『けどね……あの、その……』
恋鐘も、プロデューサーの売り込みや、それを採用した広告代理店に一理あるとわかっていた。
それでも、プロデューサーにひとこと言いたかった。
『プロデューサーがそのお仕事とるために……そのアプリの、べーた版? 使って、使い心地を調べるん協力したの、うちやんっ』
『うん。恋鐘も、好きなデザインをたくさん選んで、フィットする下着を作ってもらえて、しかも経費で落ちる、役得役得ー! って喜んでたっけな』
プロデューサーが、休日出勤して――『目ぇ皿にして』――タブレットで見ていた恋鐘の下着写真は、アプリのβ版で恋鐘が手に入れた下着にはしゃいで、下着モデルの真似をしていたようすを、サービスの理解を深めるついでにプロデューサーが撮影してやったものだった。
「せっかく、恋鐘があんなに楽しそうに協力してくれたんだから、ほかの企画に生かさないと、もったいないって思って」
「そいは有り難かよ、うれしかよ。ばってん、プロデューサーがきょう休出してまでやるコトなん?」
「この写真のデータ、万が一にも外に出すわけに行かないから、事務所の中じゃないと」
「ふつうのお仕事の時間にやればよかよ。みんなには、うちが説明しとくから」
「ははっ、ムラムラきて仕事どころじゃなくなるかも」
プロデューサーは、タブレットをスリープにされたあとも、パソコンで調べ物をしたり、ガムを噛みながら右往左往したりしていたが、恋鐘が頬を膨らませながら睨むと、ついにイスに座って恋鐘に頭を下げた。
「ごめんな、恋鐘。心配かけて」
「なして、そがん根を詰めて、キツかなか?」
プロデューサーが『なーんでうちじゃないのー!』を負い目に思っていて、別の仕事で取り返そうとしているのなら、それはそれで恋鐘にとって心外だった。
「……まぁ、広告代理店さんは、もっとすごいんだぞ」
「そいは、ばぁ~りワルか手本やろ!」
恋鐘は、プロデューサーの肩に手をかけて顔を覗き込む。さっきまでプロデューサーが噛んでいたボトルガムのせいか、ライムミントの香りがうるさいほど迫ってきた。
「あの……うちにあのお仕事とってこれんかったん、気にしとるん?」
「気にしてない、と言ったら嘘になるな」
「まるきり、そがしこでも……なら、ね」
恋鐘は、プロデューサーが根を詰めている原因の半分は、その負い目だと推測した。
「……うちとえっちなコト、シたから?」
残りの半分は、プロデューサーと恋鐘が結んだ肉体関係のせい、と当たりをつけた。
『プロデューサーがね、L'Anticaの……うちも含めて、みんなアイドルとして、これからもちゃんと面倒みて……そーしてくれるんなら、うちがプロデューサーの童貞卒業、引き受けてあげよっかなーって思ったんよ』
『……恋鐘が?』
『ねぇ、プロデューサーは、そーしてくれる?』
『俺は……別に、恋鐘とセックスできなくったって、ちゃんとプロデュースはするから』
『ちゃんとしてくれるんなら、うちは、プロデューサーのこと好きなままでいられるんよ』
下着オーダーメイドサービスの案件がまとまる前、恋鐘はプロデューサーとセックスに及んでいた。
より詳しく言うなら、恋鐘はプロデューサーの童貞卒業を面倒みる、と称して筆下ろしし、その事後に『……うちが面倒みんと、つまんえっち覚えてしまうかも知れんけん』と彼にダメだしして、セックスの補習を宣告していた。
恋鐘は、プロデューサーがまた彼女と補習セックスしたいがために『ちゃんと面倒みて』見えるように励んでいるのなら良い、と思った。プロデューサーやアイドルとしてまずい肉体関係を結んでしまった罪悪感から逃れようと仕事に打ち込んでいるのなら悪い、と思った。
「ね、プロデューサー。おちんちん、おっきかよー」
恋鐘は、プロデューサーがイスで着座中でもわかるほど、ペニスでスラックスをつっぱらせていることに気づいて、少し安心した。
「ごめん、つい」
「んふふ、『ムラムラきて仕事どころじゃなくなる』はホントなんか~。そいとも、こいが例の疲れマラなん?」
プロデューサーの笑みが、恋鐘に覗き込まれて固まった。
そのまま、まばたき何回かぶん見つめ合った。
「……恋鐘」
「んー?」
「休憩するわ。2時間」
「うんにゃ。まっとゆっくい、3時間は欲しかよっ」
プロデューサーは、パソコンやタブレットを置き去りにしたまま、恋鐘の手を仮眠室まで引いた。
※
キスを前にして、プロデューサーと恋鐘は仮眠室のベッドに並んで腰掛けていた。
プロデューサーは恋鐘よりも大柄で、彼が腰を下ろしているところのベッドシーツや本体を、それなりの重みで凹ませていた。恋鐘は彼の右腿からこぶし一つぶん開けたところに座っていた。ベッドの凹み具合の違いで、自分の重心がかすかにプロデューサー側へ傾くのを感じていた。
二人の間には、プロデューサーの右手と恋鐘の左手が折り重なっていた。お互いの利き手どうしだった。
「コーヒー、あんまり飲まんくなったね」
「……匂いが、な」
「前はマウスウォッシュで済ませてたんに」
「いつ恋鐘先生の抜き打ちテストが入るか、わからないから」
恋鐘は、プロデューサーの筆下ろしのとき以来、彼とセックスはしていなかった。けれど、僅かなスキマ時間をぬってキスの練習相手になってあげていた――黙って背伸びして、くちびるを軽く突き出してやった。
それがプロデューサーには抜き打ちテストと見えたらしい。
「プロデューサーったらファーストキスより先にクンニするオトコだけん……キスからみっちり教えんと、と思って」
「その節は悪うございましたね、恋鐘先生」
そう言いつつ、恋鐘はプロデューサーのキスがさほどまずいとは思っていない。
プロデューサーのテクニックは、恋鐘からすれば未熟だった。が、かなりのコーヒー党だった彼が、恋鐘とのキスに備えるためにコーヒー量を減らしてしまった……という態度に、彼女の心はどうしてもくすぐられる。
「ん、んんっ……ふ……っ♥」
互いの鼻先や額がくっつきそうな距離に顔を近づける。恋鐘の鼻腔に、例のうるさいライムミントが乗り込んでくる。
ふと恋鐘に、プロデューサーはコーヒーを減らした代わりにガムの量が増えたのかも、という考えが浮かぶ。考えは飛躍する。ガムをあんなにクチャクチャさせていたのは、もしかしてカフェインの禁断症状を紛らわす意味も混じっていたかも。
「プロデューサーぁ……鼻息、当たって、こちょばゆかよ」
「……あぁ」
「顔離せ、とは……ゆーとらんよ?」
直に皮膚や粘膜どうしが触れ合っていなくても、すぐに触れ合える近さで内緒話するのがいい。特に雰囲気作りにちょうどいい。恋鐘はプロデューサーに最初の“補習”でそう教えてやっていた。『オトコはだいたいそういうん焦れったがるけど、オンナは二人っきりって気分に浸れて、それが大事……』――そう聞かされたプロデューサーは、素直に恋鐘の指導へ従っていた。
「ん、ふふ……そー、ね……っ♥」
ふだん頼りにしている年上の男性を、自分のセックスに染めていく。
恋鐘は、誰にも触れられていないはずの背筋までくすぐったかった。うれしい気がした。照れくさい気もした。
「……チュー、したい?」
「うん」
「まぁだ、もちっと焦らして……」
くちびるが触れるか触れないか、バードキスとも呼べない接触。
それでいて二人の興奮は順調に煽られていく。粘膜や皮膚がつながっていないぶん、吐息や呟きで愛撫しあっていた。
「……好いとっちゃん、プロデューサー♥」
「こ、がねっ……」
「キスする前に、ね。ほかの子には言うてやらんとダメよ。うちは言ってくれんでも知っとるけどー?」
恋鐘とプロデューサーが、互いの鼻筋を少し斜めにずらす。
鼻先どうしがぶつからなくなって、ついにキス。
「ん、ぁ、ふ……♥」
内緒話の続きのように、音を立てないままのキス。上くちびる・下くちびる・口角……最初からくちびるのすべては重ね合わせない。
足の裏や脇腹の影に隠れて目立たないが、くちびるは人体の中でもかなりくすぐったがりの部位にあたる。『軽くシ合うの、利いとらん? うちも、よ……』――先に重なっていた指と手どうしが、先走ってきゅうと絡み合う。
「……ちゅっ……んちゅ、んっ……!」
お互いのくちびるを、両端まで2~3周したぐらいで、プロデューサーが仕掛ける。
舌とくちびるを軽く触れ合わせたり尖らせたりしつつ、ちゅ、ちゅっ……と音を立てて、聴覚を刺激する。
なかなかドキドキさせる趣向――と、恋鐘は言葉の代わりに、残っていた右手でプロデューサーの手の甲を撫でてやる。
「ん、ふ……ぁ、んっ……」
プロデューサーが舌先を自分のくちびるから伸ばして、恋鐘のくちびるに先で触れる。上下のくちびるの境目を撫でる。ちょんちょんと扉をノックして、一緒にいかが? とでも言いたげに誘う。
「んむ、んんっ……べろも、ちょっとライムミントね、いまのプロデューサー」
「恋鐘は好きじゃないかな、この味」
「うーん……まぁ、よかよ。プロデューサー本来の持ち味は、あとで、ね……♥」
舌先どうしでつつき合う。くちびるどうしよりも自由に動かせる舌先では、お互いますますくすぐったくなる。頬に押し付け合う鼻息も荒くなってしまう。
「れぅ……ぅ、ふ……ぅぅ――ん、く……っへぷっ……」
よだれの匂いが立ち始める。吸ったり噛んだりしてないのに、くちびるが腫れ上がりそうなほど熱くなっている。
さらに深みへ。
「ん、く、ん、んっう……はぁ、はぁ……んう……っ」
恋鐘がびくん、と背中を震わせ、キスの焦点がぼやける。
「……んふふ、うち、感じちゃっとーよー……プロデューサーも、要領がだいぶ身についてきたみたいね……♥」
「もっと、深くしたい……恋鐘と、キス、ディープなやつ……」
「やぁん、うち、プロデューサーに食べられちゃう……っ」
プロデューサーが恋鐘の“補習”を修了して、こんど別の女性といい仲になったら、自分の教えたキスで愛してあげるのか。恋鐘はそんな想像で、まだ見ぬプロデューサーの彼女を寝取ってしまったような、後ろめたさとも自惚れとも言える感慨に襲われてぞくぞくした。
「んっ、ふぁ、あ……ちゅく、ちゅ……ん、ん……!」
唾液も体温も混ぜ合わせてすすり合う。
「えぅ、あぅ……んんっ! はぁむ、ふむ……んぐ、ぢゅる、んんっ……」
舌を絡ませ合う。お互いの深みにねじ込み合う。
早く開けてくれと前歯をこすって急かす。
「んきゅっ……れぅ、んくっ、ふぁ、あ……っ」
口蓋。舌根。くちびるの裏。
びくり、と痙攣が奔って、恋鐘はプロデューサーの手へ、爪を立ててしまう。
「んくっ、ぷ、ふぁ……んもー……うちが、べろ入れようとしてるときは、プロデューサーは入れちゃだめよ……?」
たしなめてから、仕切り直し。
「んぢゅ、く、う、ぁふ、んんくっ……んぷ、ちゅっ、ぢゅぅうぅ……!」
深いところまでこすり合わせながら、ついにじゅるじゅると口内を吸い合う。オーラルセックスといっていい密着と摩擦と高揚。
恋鐘は『食べられちゃう』などと言いながら、プロデューサーの舌攻めを真っ向から受けて立つ。接吻と鍔迫り合いの間ぐらいの勢い。
「はふ、ん、ふ……ん、んっう……んっ……ふは、ぁ……こが、ね……」
「……んふふ、面白かなってきたね……♥」
ライムミントの気配が消えても、もうしばらく二人はくちびるでの応酬を続けた。
※
「あれ……恋鐘、それって、俺は見せてもらったことあったかな」
恋鐘がしゅるしゅるとトップスをはだけてみせると、オーソドックスな赤薔薇レースのブラがプロデューサーの目線を引き寄せる。燃えるような明るい赤というより、しっとりと落ち着いた紅が、トリアセテート生地に浮かび上がっている。恋鐘の豊かなバストをフルカップで瀟洒に飾っているようでいて、レース模様のあわいに帯びた透け感から、素肌の柔らかさが誘ってくる。
プロデューサーと恋鐘は、仕事にかこつけて下着モデルごっこを何着ぶんもやったが、いま恋鐘が仮眠室でチラリと誘惑させているブラは、プロデューサーの記憶にないものだった。
「いくらオシャレな下着でも、仕事んときと同じのは、ねぇ」
どうやら、恋鐘が意図的に見せていなかったものらしい。
「それにしても、ちゃあんと下着のデザインも覚えとったんね。えらい、えらいっ。これ、探すのなかなか苦労したんよ~」
「……マジメにチェックしてたつもりだったんだが。恋鐘からはそう見えなかったかも知れんけど」
「プロデューサーったら、うちがどんなの着てても、おっきくしてるから、区別がついてないんじゃないかと心配だったばいっ」
そんなでもないだろう……とプロデューサーは否定するも、すぐ恋鐘が口を尖らせながら注意する。
「……前よりも、反応がひどかなっとらん?」
「ひどい、とは心外だな」
プロデューサーが、温泉のロケでたまたま恋鐘から体を押し付けられたのを思い出してオナニーしてしまう……ことを恋鐘は知りつつ、彼へ体を許した。そんなことをしておいて、思い出すなとは矛盾だろう――プロデューサーは言葉にしなかったが、彼の顔色から恋鐘は抗弁を読み取ったらしい。
「これ以上シたら、お仕事に支障がでちゃうかもしれんばい……やめとく?」
「……無理だよ」
「プロデューサー、もううちが居ないとやっていけないかもしれんね~」
恋鐘は半分の呆れを吐きながら、完全にトップスを脱ぎ捨てる。
プロデューサーは、脱ぎかけ姿を前にしているときより、少しだけ動揺がおさまる。三恵で人気ありそうなデザインのブラだな、とモノローグが浮かぶぐらいかすかな余裕が出てくる。『お仕事』の下着モデルごっこを思い出せたからかもしれない。
「……うまく、おっぱい触れたら」
「触れたら?」
「アレで、いい子いい子シてあげてもよかよ、んふふ~♥」
恋鐘が腰で両手を組んで、ブラと素肌だけの上半身をぬらりと突き出す。デコルテまわりは筋や鎖骨が細く浮き彫りになっていて華奢なのに、透けた赤薔薇レースに包まれたおっぱいは、つるつると丸く、むっちりと柔らかく、どっしりと重そうだった。
「よくこんな細っこい肩や首で、このおっきなおっぱいが支えられるよなぁ」
プロデューサーは愛撫を肩から始めた。ただ『よくこんな――』という賛辞を愛撫に含めるなら、耳から始めたことになる。賛辞はほとんどが感心でちょっぴり呆れが入っていた。
「ん、ふぁ、あふっ……苦労、しとるんよ、こー見えて……」
恋鐘がくすぐったそうに身を捩ると、プロデューサーの指先が撫でた彼女のデコルテが、さらに深くなって、くぼみまわりに影の濃淡が刷かれる。首まわりは皮膚が薄く、それでいて皮下に走る血管が太い。プロデューサーは、自分の手より恋鐘の体温がずっと熱いように感じた。
「……触るよ」
「下から持ち上げるみたいに、でも――」
「――でも、指は立てない、手のひらを使って包み込むように、だっけか。恋鐘先生」
「んっ。そのおおきか手はそのためにあるばい!」
プロデューサーは、自分の手がそんなに大きいかな、と疑問に思いつつ、恋鐘のアンダーバストに手のひらを添える。確かに、さっき恋鐘の手と自分の手を重ねていたとき、恋鐘の手は小さい、と思った。けれど自分の手とこの恋鐘のおっぱいとを比べるとどうだろうか。
恋鐘は、プロデューサーから見て肩が『細っこい』と見えても、身長が160センチ台半ば。バストの土台となる胸や肩から平均的女性よりしっかりしていて、そのうえトップ93センチである。ブラジャーのサイズを探すのに、大きな苦労をするのも然り。
「ん……そー、手ぇ……うちのおっぱい、じっくり味わうようにな……」
手のひらどころか、プロデューサーが指先から手首まで総動員して、ようやくなんとか安定させられる。
「なんだか、な。恋鐘」
「んー?」
「恋鐘が吸って吐いてってするの、レース越しでも感じられる」
「そそ、加減はそがん感じよ。こん感じられんと、おっぱい触っててもただの水風船と変わらんて」
プロデューサーはうなずきつつ、そんなに違うか、とも思う。
でも、恋鐘のおっぱいが恋しくなったとき、風船に人肌のぬるま湯を流し込んで触るか、と考えると――トチ狂ってたらやるかもしれないが――やったあと悲惨な虚しさに襲われるところまで想像できた。
「自分がどがん感じ取るか伝わるって……ドキドキ、するんよ。ちょこっと器用にいじられるより、ずっと。オトコもそうじゃなか?」
「わかる気がする……」
「じゃあ、実践あるのみばい……っ♥」
プロデューサーの手のひらや親指の付け根が、恋鐘の乳房とブラの半分ぐらいを支えつつ、胸の外側、腋の近くに指先を歩ませる。
「んっ、ふ、ぁ……っ」
指先ではなく、指の腹を使うよう注意しながらの刺激。
「んふふ、指圧のこころは母ごころー、押せば命の泉わくー♪」
「……なんだそりゃ」
「知らん? まぁ、うちも知らんけど。むかしじっちゃんばっちゃんが言ってたんよー」
ゆっくりと、下から上に。親指が腋の下、残りの指が下乳を持ち上げるような形で、むにゅ、むにゅと、体温がじっとり交換できそうな緩やかな密着感。
「そー……お母ちゃんが子供にやってるあげとる感じ、リラックス、りらっくすー……」
「なんか、マッサージ師さんみたいな気分になるなぁ」
「そいがちょうどよかよ。ただでさえ、きわどかとこ触れせちゃって緊張ぎみなんに、荒っぽか手付きされちゃ、えっちどころじゃなくなるけん、例えば……」
言いつつ、恋鐘はプロデューサーの下腹部あたりをツンツンと手でいたずらした。触られてもいないペニスが反応する。
「……わかる? んー♥」
「う、うん、わかる」
「まぁ……そろそろ、まちっとくすぐったくされても……」
「……そうだなぁ」
腋下から指2~3本ぶん離れて、おっぱいが膨らみ始めるのと、6本目か7本目あたりの肋骨がすぐ触れそうなあたり。恋鐘がくすぐったそうにデコルテを反応させる。プロデューサーの中指神経が、彼女の胸筋の端らしきあたりに浮く反応を掬った。
「あっ、ふふ、ふふ……はー、はぁぁ、はー……」
性感が舞い来たら、びくりと反応するのは筋肉。脂肪ではない。『だけん、筋のあるとこ触ってたほうが、わかりやすかよ』――恋鐘の指導を心の中でたどり、そのまわりをするすると軽くマッサージする。指先で小さな円を描く。
「お客様、お加減は?」
「こがんえっちなマッサージ師さんば、おるかいっ」
「やらしい気分が出てきたか」
「……んんーっ」
甘く痺れる刺激が、恋鐘の胸全体に広がっているらしい。
プロデューサーが感じる恋鐘の肌やブラも、心なしかしっとり感を増してきた。
「はっ、あぁーっ……ぷろでゅ……ん……っ♥」
プロデューサーと恋鐘は、まだベッドに並んで腰掛けていた。
彼の胸愛撫が彼女の膨らみを行き来すると、余波が彼女の下腹部まで届いているのか、スカートに包まれたままの太腿や腰あたりがもじもじしている。プロデューサーはなるべく胸に集中しようとするのだが、恋鐘のもじもじがベッドシーツにずるずる波及していて、彼の感覚までぎりぎり届いてしまう。
「ああっ……ふ、うっ……んあっ、や、あっ♥」
「ん、ぅ……っ!」
プロデューサーが手のひらをずらすと、ブラ越しおっぱいでしこり立っていた恋鐘の乳首を感知してしまう。童貞卒業――恋鐘は認めていないが――のときに吸わせてもらった彼女の乳首は、ブラごしに突起を主張するなんて考えられないほど控えめだったのに。
「……そろそろ、アレでいい子いい子しがいのあるおっぱいに、されちゃったかもね……♥」
プロデューサーがつとめて抑えていた指先が、期待で力んで、恋鐘の曲線をかすかに歪ませた。
※
「あぁ、いい匂いだなぁ……恋鐘……」
プロデューサーは、恋鐘に膝枕してもらいながら仰向けになっていた。
恋鐘はブラを外していて、プロデューサーの鼻筋や頬には、豊かなおっぱいが軽く触れている。
「……汗臭くない? アンダーバストって、そういうの気になるんよ」
「恋鐘の汗は、いい匂いしかしたことがないから……」
「はぁ、さいで。まったく、プロデューサーったら」
恋鐘がぷっくりと興奮をあらわにしつつある乳首をプロデューサーのくちびるに寄せてやる。プロデューサーは、キスのときが嘘のようにあっさりぱっくりと両くちびるで挟んですがりつく。
胸愛撫を覚えてきたプロデューサーに、恋鐘先生からのご褒美。
「んふぁ……わぁ、ホントに、まるで赤ちゃんたい……! 夢中で、おっぱい、ちゅうちゅうって……」
恋鐘は苦笑をもらしつつ、手を伸ばしてプロデューサーへ指を這わせる。
期待と緊張に震える彼の腹直筋をくすぐったあと、天井を突く勃起ペニスの根本を軽く指先でタップ。
「んふ……プロデューサー、いい子、いい子♪ うちのおっぱい気持ちよかシてくれて、ありがとね……♥」
恋鐘の言った“アレ”は授乳手コキを指していた。
「しこ、しこ。しこ、しこ……んんっ♥」
恋鐘の声と指先が、プロデューサーの勃起ペニスの根本をしごく。
ペニスは、根本は固く亀頭は柔らかい。固いところから柔らかいところへ。恋鐘がプロデューサーに教えた胸愛撫と符合していた。
「剥き剥きしちゃって、よかー?」
「う、うん……っ」
プロデューサーのペニスは仮性包茎で、恋鐘がペニスの根本や中腹から皮を引っ張ると、既に先走りまみれとなった鈴口や裏筋やカリ首が露出する。恋鐘はオモチャで遊ぶように、皮を戻したり剥いたりを何度か繰り返した。
「おぉー。どんどんぬるぬるが出てくるばい。そがいに、シてほしかったん?」
「うん、うん、恋鐘に、シて、ほし……」
「ホントー? 咲耶でもよかったなんてコトなかー?」
「恋鐘が、恋鐘が、ぁ……」
恋鐘は密かに、咲耶だったらもっとうまく授乳手コキをしてやれるかもしれない、と心中でぼやいた。
プロデューサーは恋鐘より長身で、胴も身長なりに長い。いま恋鐘は、プロデューサーに膝枕して乳首をくちびるで吸わせている。恋鐘の胸とプロデューサーの顔が接していて、恋鐘からはプロデューサーのペニスがなかなか遠く、手をせいいっぱい伸ばしてやっと届く程度で、ふだんほど手コキがはかどらない。
これが恋鐘より手足の長い咲耶なら、ちゃんと手が届いて、もっと手コキがはかどったのではないか。
「えい、しこしこ、しこしこ……♥ や、あ、あんっ♥ うちの、ちくびぃ、クチで、ころころしたらぁ……!」
「む、ぐ……ふぁ、あぅ……!」
それならそれで、と恋鐘は淫らな声音と言葉をどんどん繰り出す。
性感帯を直に刺激されなくても、それ以上に相手を興奮させることができる……それを、いま一度この生徒の体に教えてやろうと、甘い響きを重ねる。
「プロデューサー……? ねぇ、プロデューサーがじっくり盛り上げてくれたけん、うちのちくび、敏感になって……しゃぶったり、噛んだりしたら、ダメなんよ……?」
いまの恋鐘の『ダメ』は、指導の『ダメ』よりずっと甘い。
「んやぅっ!? きもち、いっ……ち、ちくび、おか、し……あ……っ♥ だ、めぇ……!」
恋鐘の嬌声が波打つのに合わせるように、プロデューサーの亀頭がぷるぷると震えた。
「も、もー……プロデューサーがそがんするなら、うちも、もう手加減せんよ……?」
身を乗り出すように体を傾け、恋鐘の指先がプロデューサーのカリ首をとらえる。
先走りに濡れた亀頭を、鈴口からカリ首までちゅこちゅことしごく。
「んんっぐっ!? ぷふ、うううっ……!」
「んふふ、一転攻勢ばい~♪ ……んんっ?」
ペニスの反応で、恋鐘は嬉々として手コキの追撃を加えようとするが、胸になんとなく違和感を覚えた。
「……ぁ、ふあ、はぁ、あ……っ」
「プロデューサー?」
恋鐘はプロデューサーの表情をうかがおうとしたが、プロデューサーが膝枕されたままなので、巨乳に隠れて見えにくい。
「んんっぐっ――はぷっ、う、ううっ……!」
「あ、んんっ……息、ひっかけるのも、くすぐったくって、でも……まぁ、気分ワルかぁなかよ……♥」
また、恋鐘の胸……アンダーバストに違和感。
「む、ん、……っ、……っ!」
「プロデューサー……」
恋鐘が手を引っ込めて、自分の乳房を抱えながら上半身をひねってみると、プロデューサーがぜぇぜぇと喘いでいる。
「プロデューサー……窒息、しかけとらん?」
「ぁ……は、ぁ……ふぁ、あ……」
「プロデューサー、おーい」
試しに恋鐘が、おっぱいをわざとプロデューサーの顔に密着させると、しばらくしてからプロデューサーの手がバタバタとベッドシーツをタップしはじめた。
恋鐘は呆れながら膝枕を打ち切った。
プロデューサーが息を整えるまで、恋鐘は黙って待っていた。
「こ……恋鐘の……おっぱい……おっきくて、さ……」
「うん」
「……隙間なく塞がれるんだ」
「そいは、なるほど。大問題ね……なんで、止めなかったん? 苦しかね」
「それは、それでありかと思って」
「呆れたわぁ。こがん、プロデューサーが初めてよ」
プロデューサーは、酸欠の余韻で苦しげに歪めていた目を急に丸くした。
「初めて……そうかなのか?」
「だいたい、授乳手コキなんてうちにねだってきたん、プロデューサーが初めてやし……えっちも日々勉強ばいっ」
プロデューサーは、まず恋鐘のボヤキが本当だと思ってうれしくなった。
次にリップサービスの可能性を考えたが、それはそれで恋鐘の優しさ(?)がうれしかった。
「……まったく、プロデューサーはしょうがなか……窒息しても、うちのせいにゃせんでよー?」
恋鐘はぼやきながら授乳手コキを再開した。
プロデューサーの苦しみそのもののような藻掻きをおっぱいに浴びながら、手コキできりきり精液を絞ってやる。
「こがん、プロデューサーにしかシてやらんから、とくと味わいなさいっ」
男へ、苦しみと快さを同時に与える体験は、恋鐘にとって初めてだった。
恋鐘は腹の底がきゅうきゅうと高ぶるのを感じ――『これ、クセになっちゃダメなモノでは……』と思いつつ――それに浸ってしまう自分を、いささか危うく思った。
左手で手コキするなら右乳首を含ませてやればいいのでは、と気づいたのはそのすぐあとだった。
※
恋鐘はプロデューサーにコンドームを着けさせ、セックスを促した――『おちんちん萎えてゴム着けられなくなるなんてこと、なかね?』――プロデューサーはコンドームを2枚重ねにしようとして、恋鐘に止められた。
「ストップ」
「こっちのほうが、長持ちするから」
「おちんちんへの刺激は和らぐけど、重ねると破れやすかよ」
「そうなのか?」
「ゴムどうしが滑って、ゴムへの摩擦が増えるらしいわ。0.01ミリなんて、プロデューサーがさっき触っとったうちん首が皮より薄かよ。ていねいに扱わんと」
「……知らなかった」
「オカモトとかサガミとかは、重ねるなって注意書き箱さん書いてくれとるよ、ちゃんと読んだん?」
プロデューサーは意気消沈した。
勃起を復活させるため、恋鐘は指導を続けながら手コキをしてやる羽目になった。
「さっきまで赤ちゃんのマネしてたとは思えなかよ、まったく」
プロデューサーが恋鐘を仰向けに寝かせ、脚を開かせる。
スカートは恋鐘が脱いでくれていた。瀟洒だった赤薔薇レースの下着は、愛液を吸って暗く沈んでいた。恋鐘の腰に下着の紐が蝶結びになっていた。プロデューサーがそれを引いてやると、恋鐘は挿入待ち開脚のまま、秘所を守っていた最後の布を剥がされた。
濡れて熱く息づく恋鐘の入り口に、プロデューサーが本調子の勃起をつきつける。
最初から挿入をうかがうのではなく、あえてぽってり張り出した恋鐘の恥丘に勃起竿を乗せる。切っ先は恋鐘のへそ裏まで届くぐらいだろうか?
「入れるよ、恋鐘」
「あいあい、ご準備よろしかようで」
腰を構え直し、ペニスの切っ先を膣内に沈めていく。
「う、ぉ……っ! こが、ね……」
「ん、ふ……ホント、世話が焼けるね……♥」
恋鐘は、プロデューサーに脚を開かされていて、足裏は空中を撫でている。腰の使いようがない。
だが、豊満なヒップをずりずりするほど膣を引き締めると、その瞬間にプロデューサーは呻きを漏らした。
「うちが腰ば使えん体位だからって、油断した?」
恋鐘のヒップサイズは91センチ。ぷりぷりと柔らかい脂肪を、強靭で柔軟な――レッスンで磨き抜かれ、ライブではダンスでしっかりと体にステップを刻ませる――大殿筋がみっちりと下支えしている。大殿筋は腰、下腹、太腿や膣まわりの筋肉、粘膜も骨とも綿密に連携して、プロデューサーのペニスを手加減なしにしごく。
「……んっ、う、あっ、ううぅ……!」
「あんねぇ、たぶん……プロデューサーの好きに腰使わせてくれるオンナばかりじゃなかよー。そがんお相手でも、ちゃあんとうちで覚えたの、シてあげんとー♥」
「恋鐘で覚えた……って、俺、恋鐘とこのあいだシたの、ほとんど騎乗位じゃ……」
恋鐘が腟内をきゅうきゅうと引き締めると、プロデューサーの抗弁はあっさり萎縮した。
ペニスだけが相変わらず頑張っていた。
「は、ァ……く、うぁああ、はぁー、はぁあ……っ」
プロデューサーは恋鐘の顔のすぐ横に両手をついて、ゆっくりと上半身を傾け、恋鐘に寄せる。
「きつか~?」
「……そうだな、でも」
「でも?」
「恋鐘は、近くて静かなの、好きそうだから」
恋鐘は、プロデューサーがあまり下に体重をかけないよう気をつけている体勢なのに、あえて彼の胴に手足を絡ませ、自分のほうへ引き寄せた。
「恋鐘、俺が重くないか……?」
「いまは、手加減せんでええって」
「恋鐘、こっちで気持ちよくさせたことないから……」
「またそがんこと言うーっ」
恋鐘のような極上の女を、自分の男性器で貫いて、彼女を腟内イキまで追い込んで、腹の底からメスとして蕩けさせる……という願望は、恋鐘の指導――『オンナはイカなきゃえっちで満足できない、って発想が童貞丸出したい! そがんオトコの勘違いで、女はイッたフリしたげるはめに……』――を受けたプロデューサーであっても、逃れがたいらしい。
「……まぁ、プロデューサーがシたければ、付き合ってもよかよ」
恋鐘がおっぱいを、むにゅりとひずむほどプロデューサーの胸板へ押し付ける。
「これがホントの、胸を貸す……なんてっ」
プロデューサーはおっぱいを押し付けられて露骨に動揺したが、しばらく恋鐘を抱きしめたまま動かなかった。
「……恋鐘」
「なーに?」
恋鐘もあえて動かなかった。
相変わらず、体重をかけないよう気をつけてもらってて、のしかかられている割には楽だった。ペニスを奥に突っ込まれすぎたままは、ちょっと息苦しかった。
「……好き、だ、恋鐘」
「うちも、好いとーよっ♥」
プロデューサーがささやいてくれたのは、けっこうときめいた。
「……うち、好いとー人には、ときどき……イジワルしたり、甘えたくなったりするかな……」
あまり単純なやり口でときめいてしまったのが、無性に悔しくなって、恋鐘は報復のように、至近距離から言葉でプロデューサーを揺さぶってみる。
「プロデューサーは……?」
膣粘膜がにゅるにゅるとうごめき、勃起ペニスがびくりと武者震いする。
「いじわるシたく、なる」
「んふふ」
プロデューサーが腰を揺らして膣奥をえぐると、恋鐘はびくんと背中を反らせた。くちゃ、にちゃ、と結合部から漏れる水音は、歓喜にも不平にも聞こえる。
「ん、ぁ、あっ……プロデューサー……っ♥」
プロデューサーが腰を駆り立ててペニスを抜き差しする。粘膜のくちゃくちゃ、にちゃにちゃが騒がしくなる。肌や肉がぶつかり合う音は、パンパンと形容するには少し湿っぽかった。
「……んぁ、んふ……ぅ♥ ちゅ、ぢゅ……んんっ……!」
ときどき腰の動きを休めても、攻めの動きは途切れさせない。
くちびるを貪る。プロデューサーは上から恋鐘の口腔をこじ開け、舌を押し入らせよだれを飲ませる。
恋鐘はそれを受け入れている。手足を絡めて、プロデューサーに受容を伝える。
「ぁ、ふぁ……恋鐘、俺、は……」
恋鐘は目を閉じていた。
プロデューサーが顔に貼り付けているであろう多幸感は、瞼の裏にじゅうぶん描ける。
それで目を閉じたまま、ほかの感覚へ浸ってしまう。
「ぅあ、あっあ……! だめ、はげ、し……っ! ぅんん……あぁああ……っ♥」
プロデューサーの汗と吐息の匂いは、恋鐘の記憶から例のライムミントをすっかり押し流してくれた。
「っ、おぉ……! く、ぐっ……あぁ……は、あぁ……っ!」
プロデューサーにずっしりと体重をかけられて、恋鐘は彼がもはや余裕を失くしたと悟った。
「ぷろでゅ、さ、さ……や、ぁん……!」
ハァハァと曇る声と、汗ばんでぺちゃぺちゃと響く肌ずれを混ぜ合わせながら、二人の意識まで混濁してしまったら、と妄想した。
「ぁ、はぁ、あぁ……ひゃば……んぅう……ん、んっ……♥」
激しく交わって、果てまで連れ立っていくあいだのキスは、少しだけ血の味がした。
※
「……50点」
「何点満点で?」
「100点満点中、50点。追試ばい!」
「……そ、そうか」
恋鐘は、プロデューサーのぜんぜん悔しくなさそうなようすを一瞬だけ怪しんだ。
「ふーん。まさか、またえっちな補習してもらえる思うとる?」
「うっ」
「わが、しょうがなか教え子ばいっ」
恋鐘はプロデューサーを叱る代わりに、プロデューサーに撮ってもらった下着モデルごっこの写真データをコピーし、『プロデューサーに手伝ってもらった参考資料ばい!』と書き添えて咲耶へ送りつけた。
(おしまい)