アイマスのアイドルが童貞をもらってくれるシリーズ 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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専門外でもやればデキるしー、興味出たらなんでも聞いて♪
――[ドラマチックシナジー]一ノ瀬志希
※
「志希、どこで俺の住所を知った」
「諜報っ♪ マキノちゃんと違って専門外だけど、やればできるっ……いやぁ暑いね、どうしたのーエアコンくーんっ」
「こら、いじるな、調子悪いんだっ」
あまりにも暑く、気象庁から事実上の外出中止勧告が出ているのに、この担当アイドルが俺の家に押しかけ――『あつぃいぃ……早く中に入れてくれないと志希ちゃん溶けちゃう……♪』『志希、一つ重大な知らせがある』『なぁに……?』『うちはいま、エアコンの調子が悪い』『えぇえぇっ……いや、ともかく入れて……』――いま脚立と工具箱を持ってきてエアコン室内機をいじろうとしている。
「志希ちゃんに任せたらパパッと復旧しちゃうよ! 電気屋さんすぐには来ないでしょ」
「1週間はかかる、とな……だからって志希に」
「なぁに専門外でもやればデキるもんだよ~、それとも志希ちゃんの腕前がご不安かな」
「……池袋さんと同じぐらい信頼しておりますとも、ええ」
「晶葉ちゃんにチクっちゃうぞ」
「晶葉なら変なことはすまいよ、いまは、さすがに」
俺は芸能事務所に勤めてアイドルのプロデューサーをしている。担当するうちの一人が、いま汗を垂らしつつ俺の家に押しかけエアコンをいじりはじめた一ノ瀬志希である。
「……はいはい、ここは知的好奇心より復旧優先でやるよ、あたしの命にも関わる」
「黒埼さんと溺れかけたときも、そのぐらいの分別を発揮してほしかったな」
志希は俺より一回り近く年下の18歳であり、この熾烈なアイドル戦国時代のうちでももっと競争の厳しい年齢層にいる。そこにエントリーするのにじゅうぶん以上の容姿を持っている。
大きくてネコのような目、長いまつ毛、小さいが筋の通った鼻、やや丸っこいが整った輪郭。ここまでは王道の美少女。口がやや大きくくちびるの真ん中の弓形が深くて、口を閉じて黙っていても緩めて笑っていても、うっすらクセモノじみた雰囲気をかもし出す。それがチャームポイントの一つで、デビューまもないころよくネコのマネをさせて先輩のお株を奪っていた。
「死んじゃったらどろ~んって化けて出ちゃうぞ~! 地球温暖化抑止に貢献しちゃうぞ~!」
「オカルトこそ完全に専門外のはずでは……」
それを意識してキャラを作っている……わけではなく、志希のキャラはアイドルとしても素としてもこのような調子である……俺も彼女がいきなりエアコンをいじりだして驚きはしたが、止めずに静観に回っている。
白衣が汗で濡れてあちこちぴったり貼りついて体のラインを浮き出させている。公称スリーサイズは83-57-82でなかなか立派だが、それは機械でいうカタログスペック、あくまで抽象的な情報である。
「エアコンくんやーい、機嫌を直してくれないと解体しちゃうぞ~」
「やめてくれ……まだ保証期間なんだ……あと変なところ触ったら感電とか……」
「そうだね、あたしの抵抗いまがっくり下がってるよ、500オームぐらいかな?」
いまそれが目の前にあり、かつて触れたこともあるとなればそちらの印象が勝る。
むにゅむにゅとしたバストはそっと触れさせられると溶けそうなほど柔かいが、ぎゅうっと勢いよく抱きつかれると底に筋肉のような弾力もある。ヒップはもっと内側からパツパツしていてこちらの手を力強く押し返す。それらを存分に引き立てるくびれたウエストもどちらかと言えばヒップに近い。
といっても俺から志希に触れたのではなく、彼女が水着や薄い衣装のときに不意打ちで抱きついてきたことがあるだけなのだが……彼女はアメリカ暮らしが長かったせいかスキンシップが濃厚で、よく気圧される。
「……完全におシャカ、ってではないね。ときどき動いて、勝手に止まる」
「完全に止まってたら、もう図書館かどこかに避難してるよ……俺は休みだけど、事務所が空いてるならそっちでも」
「キミがそんなことしたらワーカホリックだぁって呆れられちゃうよ~」
「ここで半死半生でいるよりよほど有意義だろうさ」
志希が両手のひらを上に向けて、首を横に振りながら鼻で笑った。うなじに近いところで結んだダークブラウンのハイポニーテールが揺れた。いつもは肩甲骨をすっかり隠すほどのウェーブヘアだが、この暑いときにそれは彼女自身も暑苦しいと感じたらしかった。
額には前髪が張り付き、うなじにも汗の雫が浮いている。甘ったるい桃のような匂いがぷんぷんする。
「あたしは、いまのでれぇーってなってるキミも、好きだけどねぇ♪」
「や、やめろ、俺は……ほら、もう汗だくで、男くさいだろ……」
いきなり脚立を下りて志希がこっちに飛びついてくる。匂いがぷんぷんどころか透明な手で目も鼻も口も覆われたように濃く感じる。バストもヒップもウエストもいきなり現実の感覚を占領してきて、記憶との境目が溶けかける。暑さとあいまってクラクラめまいがする。
「ふふ、いまのキミなら、襲ってもいいよ? あたしのこと」
「……エアコンがキンキンだったら危なかったな」
「どして?」
志希が白衣の合わせ目をひらりと緩めて誘ってくる。その向こうには、汗に濡れた肌や谷間を隠すに何ともささやかすぎるキャミソールとショートパンツ。いつか志希の自宅ガレージに彼女を起こしに行ったとき迎えられたときと同じ格好。
谷間をよせてあげてみちみちにして誘惑してくる。アイドルの仕事よりずっと露骨な媚態、むしろセックスへの誘い。
だが断れる。
「これでいい運動なんかしてしまったら、熱中症で死んでしまう」
志希が意外に聞き分けよくパッと離れてホッとする。
少しだけ惜しいが、志希と親しげにできるだけでも望外の喜びなんだ、と言い聞かせる。
「エアコンくーん、がんばれ! 志希ちゃんとプロデューサーの仲はキミにかかっている……ッ!」
俺と、いまや志希の生命線ともなっている冷蔵庫に行って、スポーツドリンクをコップ2人ぶんに注いだり凍らせた保冷剤をタオルに巻いて部屋に戻る。
「……91度……じゃない、33度」
「どうした?」
「超えると、一気にやばくなる。気温が」
「そりゃまたどうして……30度でもじゅうぶんやばいと感じるぞ」
「人間のホメオスタシスが体温を下げようとするとき、発汗による気化熱と血流による熱放散の2つを併用しているね」
志希が明らかに話の途中なのに黙った。エアコンのほうに視線を向けながら、志希が空中で手をひらひらさせて何かをつかもうとして空振った。
とりあえずタオルに巻いた保冷剤を持たせてやると、真っ赤になった頬に押し当てた。
「さんくす! ふぅ、ヒエヒエ……で、熱放散は深部体温から熱をもらった温かい血を手足の毛細血管に流して熱を外に捨てる。熱を捨てたあとの血液がまた深部に戻って熱をもらう」
「エアコンが冷媒を通して熱を外に捨ててるのと似ている?」
こんどはスポーツドリンク入りのコップを渡してやると、これも素直に勢いよく口をつけて飲む。
「っぷはぁっ……でもさ、体は冷媒の断熱圧縮とかできないんだ」
「俺も自分の体にヒートポンプを搭載したいですがな、可能なら」
「ってわけで、手足の体温はふつう33度以上にならない。外気が33度を超えると熱を捨てられない」
「つまり、熱中症一直線ってことか」
「つまり、と言うなら死ぬ」
「えっ」
アイドル・一ノ瀬志希がライバルのアイドルとはっきり異なるセールスポイントは、アメリカの大学で薬学の――生理学だったかもしれない――博士号を持っていることである。専門外の俺にはチンプンカンプンだ。ただ、検索でヒットした論文の著者名Shiki IchinoseにPh.Dがついていたことはわかった。学歴でマウントとられてしまったらどうしよう。
志希はだいぶ飛び級して18歳にしてこんな実績を持っている。彼女の父親はさらに著名な化学者でアメリカの大学に勤めていて、志希は父親の研究室にも一時期いたようだ。
そこで折り合いが悪くなったらしく、いきなり日本に帰国して、俺が立ち会っているアイドルの撮影現場にするっと紛れこんで俺に話しかけてきて強引にアイドルになった。
ちょっと突飛なことをされても俺には慣れっこだ。いきなりエアコンをいじりだしたのには驚かされているが、無理に止めるより彼女が止まるまで待つ、と割り切れる。
「落ちない体温を下げようと発汗して体内からますます水分と電解質が失われ血液が減り、血圧が低下し、脳に血流が不足し、酸欠で意識不明からの、あと低ナトリウム血症も……もういい?」
「理解できました、ドクター・一ノ瀬」
こんな経歴なので、志希はデビュー前から日本の化学界で有名人だ――『研究漬けに飽きて遊びたくなったらしい』『遅れてきた反抗期かと思っていたが、まさかアイドルになるとは、やはりひと味もふた味も違う』『池袋さんや大石さんとともに、若者の理工系離れ食い止めに貢献してほしい』――俺も界隈のお偉いさんからいろいろ話を聞いた。
それで理解させられている。志希は、アメリカの大学からいきなりいなくなったように、いつ俺たちの事務所から〝失踪〟してもおかしくない。
「変な顔だね。あ、違った……変なこと考えてる顔だね」
「いきなり罵倒されてびっくりした……気にしてるんだぞ、前によその事務所の子から顔が怖いって言われたし」
また志希が脚立を下りて、会話するにはじゅうぶんすぎるほど近づいてくる。例の甘ったるい匂いが鼻をくすぐる。俺の汗くさいのを彼女に嗅がれているだろう。居心地が悪い。
志希はアイドルができる容姿と飛び級ができる頭脳のほか、人並み外れた嗅覚を持っている。趣味が香水づくりだが、試行錯誤はほとんどせず、何の原料をどう混ぜたらどんな香水になるかノートの上だけで書いてシミュレーションして――『調香師がいくら嗅覚を磨いたって、いつもクンクンしてたら鼻が鈍る。クールタイム置かなきゃ。それじゃいつまでたっても調合できやしないもん、香りは覚えておくの』――思った通りに作れる。
本当に、なんで志希はアイドルをしているんだろう。
「くん、くん……ハスハス……」
「うぁっ!? 志希……やめろ、鼻が曲がるぞっ」
「言ったでしょ……いまのでれぇーってなってるキミも、好き……♪ やばくなっちゃうほど……」
志希が強く抱きついてくる。匂いも柔らかい体も再襲来してくる。それどころか至近距離から潤んだ視線を浴びせられる。もし握手会だったら、塩対応に慣れた志希のファンなど2-3人まとめてオーバーキルかもしれない。
「お、おい、やめろ……そうだ、図書館とか、どこか涼み処へ……ここにいたら、熱中症で心中だぞ」
「やぁだ……やだやだっ」
「志希っ」
振りほどこうとするが、離してくれない。俺の身長は志希より頭2つ近く高く、もちろん力ずくなら突き飛ばせる。
そうしないのは志希が痛い思いをしないように、というより、この甘ったるく柔らかく触れたくてたまらないが触れてはいけない女体を、少しでも長く味わいたいだけ。志希を押し倒さずに済んでいるのは、暑くてだるさが勝っているだけ。
エアコンがいきなり自棄のような風音を立てながら、いまさら冷気を吐きはじめる。
「……わかった、このエアコンくんが次に止まったら、キミから離れるし、出ていく……なぁにその目は」
「志希から〝出ていく〟とか言われると、失踪されたことを思い出してしまって」
「あたしが失踪してもキミなら捕まえられるでしょ」
「いつもは、志希が失踪に飽きたころに捕まってくれてるんじゃないか」
俺がエアコンが止まるのを待っていると、志希は不満そうに頬をふくらませる。やがて目を閉じる。潤んだ瞳から解放されたかと思ったら、腕が巻きついてきて、背伸びしながら体重をかけてきて、くちびるを押しつけられる。
一瞬だけ、ぷるぷるに柔らかくて、スポーツドリンクでほんのりべとついたくちびるを感じ取ってしまう。
「こんどはキミからシてっ」
エアコンがまだ止まってくれない。
「んじゅ、ぢゅぶっ……ぢゅれうぅ、ぢゅぷっ……んふ、ふっ……♪ 好きだね、キミも……!」
下手くそなキスでむさぼられたというのに、志希が白い歯をいっぱいに見せてにんまり笑っていた。
※
「シャワーは浴びちゃダメだよ、キミの匂い、ここまで濃くしてくれたんだからっ」
「志希も……」
「やぁん、汗くさいでしょう……ん、ふっ……♪ そんなことしたら……あたしもハスハスしちゃうぞ~っ」
腕を絡めあったまま、酔っ払ったような千鳥足でベッドまで進んでばったり倒れこむ。自室の狭さに初めて感謝する。
志希の白衣を脱がせて、腋に鼻先を突っこむ。匂いが少しねっとりしている。志希が意地悪のように乳房を押しつけて邪魔して息苦しくなる。
望むところだ。
「ひ、ぅ、んぁ……お、おっぱい……好き、かな……?」
「……好きだな」
重力に逆らってキャミソールを突っ張らせるバストに、顔を押しつけかえす。谷間からこぼれたと思しき、もっとねっとりした匂いを感じる。
「志希、お前この格好でここまで来たのか」
「っん、ふ、あっ、あぅ……だって暑かったし……」
バストのふくらみをまさぐる。薄いキャミソールの生地ごしにこりこりと変わった感触を探しあてる。志希以外の女体に縁遠かった俺でもわかる。
「公然わいせつだろ、犯罪だよ、もう」
「夏はけっこうみんな下着とか透けてるし……白衣だって羽織ってたよ~」
人差し指を曲げてぷっくりした乳首を引っかいた。志希からノド奥から苦しげにこもった声が聞こえるが、俺にいじらせるがままにしてくれる。子どもが新しいオモチャで遊ぶときのように、挟んだり、つついたり。
「ん、はぅっ……乳首、ばっかり、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
まず初めての女体への緊張と好奇心が、次にアイドル・一ノ瀬志希にセクハラを許されている優越感が、やがて暑さで減退していたはずの性欲も湧き上がってくる。
これまで勉強や部活や仕事に打ち込むばかりだった。女性との付き合いはほんの少しで、手を握ったりするのがせいぜい。セックスなんて猥談とアダルトビデオなどでしか知らない。匂いも柔らかさも感触も――前だったら志希が不意打ちで抱きついてきて、鼻先をかすめるように味わってきただけだったそれらを――味わえる。
「あっ……!」
つい、乳房をがっつりとつかんでしまう。指と手のひらに圧迫されて形を変え、親指、小指、手首側にむにゅりとはみ出す。やっぱり柔らかい。けれど指先が食いこむほどもむと強く反発してくる。志希の吐息が俺の首筋あたりにふぅふぅとそよいでくすぐったい。ずいぶんささやかな反撃だ。
「んっ……こーゆーの、慣れてるの、プロデューサーは……」
「まさか」
志希でも見当違いをするのだろうか。童貞の俺から乳房を無造作にもまれて、〝こーゆーの、慣れてるの〟とは。
「志希、脱がすぞ」
「直接は……ちょっと、怖い、かも」
「……味も知りたいから」
「しょうがない、なぁ」
キャミソールをまくりあげる。思った通りのノーブラだが、思った以上に赤い乳首に目と言葉を奪われる。発情色じみて鮮やかで、思わずくちびるでむしゃぶりつく。
「んくっ……!? いきなり、かぁ……もー、赤ちゃんみたい……♪」
志希が頭をなでながらからかってくるが、屈辱より新鮮さばかりだ。これまでふらりと姿を消したり妙な液体を飲ましてきたり、ずいぶんやりたい放題だった――もちろん、そうされても担当アイドルとして抱えておきたいほど魅力的だった――志希に、なんと包容力を感じている。
子どもどころか赤ん坊まで退行して無心に乳首を吸おうとする。あんなに甘い匂いがするのに味は汗らしくしょっぱくてよだれがあふれて志希を汚してしまう。いっぽうで志希の媚態をもっと引き出したくて、放りだしてしまっている反対の乳首をつまんだり、転がしたり、つねったり、試行錯誤に没頭する。水と油のような性欲と安らぎが入り混じった妙な感覚。きっとほかでは味わえないだろう。
一ノ瀬志希の乳房。これが数十万単位の人間から性欲を向けられることになったのは俺のせいだ。それを商売にしている。していながら、いまは私物のように独り占めしている。
「ん、ふっ……♪ そんなにちゅうちゅう吸って……あたしも、変な気分になっちゃう、かも……?」
志希がさらに愛撫を催促してくる。乳房を彼女からも俺の顔に押しつけてきて、うっかりするとまたも鼻、口が塞がれて息苦しくなる。なのに振りほどくのが惜しい。額か目交あたりに感じ取れるのは志希の心拍だろうか。温かくて柔らかいこれに包まれているのがうれしくて離れがたい。無理に呼吸しようとして、べとべとにしてしまった皮膚に妙に吸いついて、じゅるじゅる、べちゃべちゃ行儀悪く音を立ててしまう。
「くひっ、ひんっ! こらぁ、歯ぁ立てっ……ん、んんっ……♪」
歯を立ててしまおうか、と思うぐらい志希の乳首も乳輪も固くなっている。そう言えば男のペニスのように血が流れてきて張り詰めるのだったっけ。
「……良かった、歯型はついてない」
「つけてみたかった?」
志希がバストをさらしたまま問いかけてくる。志希の傷跡として残してしまったらどうだろう。これから志希が俺から離れて世界のどこをほっつき歩いていようと消えない刻印。これからほかの男に抱かれたとして必ず目についてしまうスティグマ。
自分の知らないところでこれから起きるかもしれないそれに無性に腹が立つ。おかしな話だ。俺は志希に傷をつけず済んだと安心したばかりじゃないか。
「いたた……プロデューサー、それは、ちょっと……」
「すまんな、そっか、柔らかいところは優しくしなきゃな」
「……じゃあ、こりこりになっちゃってるところは?」
志希が笑っている。くちびるを奪ってきたときとまったく違う、大きめの口が横長に引っぱられて、目の細め方がゆったりしていて、照れ隠しか媚びめいて見える笑顔だ。
「きゃんっ……!? あ、ふ、ふぁ……ま、またぁ……♪」
アンダーバスト側から両手で迫り、志希の両乳を交互に、こんどは平等にかわいがってやる。
両手で寄せるようにして胸全体をもむ。乳腺まで反応しているのか、乳房までほんのりとボリュームアップしている気がする。
志希はにやにや笑っていたが、やがて勝手に枕に頭をうずめて声を殺す。すぅはぁと呼吸音ばかり聞こえてくる。時折びくりと肩を跳ねあげるが、依然として俺の手に乳房を委ねてくれている。
すでに俺のペニスが痛いほど勃起している。このまま志希を愛撫しているだけで射精してしまうかもしれない。服が死ぬほど窮屈だが、いま志希の体から手を離したくない。
「くひっ、ひ、ふ……っ! はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」
迷っていられず開き直って攻めに出る。志希の両乳首を指先でつまんでねじる。けっこう乱暴にやってしまって、志希が仰け反って悲鳴を漏らす。
「すまん、強かったか」
「……ちょっと刺激的、だねぇ……♪」
真っ赤な頬が、引きつった笑いで丸々と盛り上がって熟れたリンゴかトマトのように見える。口元が大きくつり上がって好奇心がありありと見える。
志希も興奮している、とちらりとでも思えてしまえば、俺の躊躇がするりと落ちてどこかに着せせてしまう。
「もうちょっとこのぐらいで……」
「ぇふ、ぇう、あ、うっ……!」
目の前の女体に早く射精したい、という欲望を抑えつつ、志希の好みを必死で確かめる。彼女を気遣ってのもの、とはしょうじき言い難い。
いつも飄々としている彼女から興奮と嬌声を感じる。しかも俺のぎこちない手のせいで。この女を内側まで俺の手で染められるかもしれない。そういう邪念が乳房に触れている単純な喜びに絡みついてどんどん伸びていく。
「あっ……や、ぁ、ちょっと、それ、キちゃう、かも……っ」
「キちゃう、って」
自分の性感帯を責めてくださいと言わんばかりの志希の反応に、考える間もなく手が反応してしまう。志希がくちびるに力を入れてまた声を殺す。それでもちょっとした吐息や目遣いだけで俺は動いてしまう。操り人形めいた状態だがとても心地良い。志希に受け入れられている、とますます強く実感できる。
「……指でおっぱいいじられてるだけで、イケちゃう、かな……んんんっ……♪」
生まれたばかりのヒヨコは初めて見た存在を母鳥だと思ってしまうらしいが、それに負けないぐらい俺も志希の女体を刷りこまれている気がする。こんなに受け入れてくれて、気持ち良さそうに感じてくれて、どうしても何よりも好きになってしまう。
「あんまり俺を調子づかせないでくれよ、俺はこういうの不慣れなんだから」
「……不慣れ?」
「あ、うん、言い直す。したことないんだ」
「そっか」
安心しきって、びっくりするぐらいあっさり童貞だと告白できてしまった。志希は一回うなずいただけで、わかったから再び手を動かしてくれ、とおっぱいを押しつけてくる。そんなにおっぱいを見せつけられると辛抱堪らず、片方を手でいじくりながら、また乳首に吸いつく。
「ふ、ひゃんっ……ふふふ、イケない子だ……んっ、んっうぁ……はぅ、んぅっ……」
指先でつねったり、くちびるや舌先で転がしたりするほど、志希の腰がもぞもぞと悶える。嗜虐心をくすぐられる。口を窄めてわざと下品な音を立てて吸う。さすがに頬を指先でぷにぷにつつかれてたしなめられる。
それでも続ける。出るはずもない母乳を搾りたくなる。そう言えば志希は経験があるのだろうか。妊娠・出産をしたような経歴の空白は俺が知る限りないようだが、この顔とスタイルだ。経験済みがむしろ自然だ。志希と1回セックスできるだけで大枚を払う男の人数をずいぶん増やしてしまった俺が言うのもなんだが……。
「あ、あぅ、んんっ! えう、んんっ……!」
志希の嬌声が切羽詰まってきた気がする。性感が高まっているのか、高まっていると俺に思わせるふりなのか、どちらでも同じぐらい俺を勢いづけてくれる。やりすぎて俺自身が息苦しくなって志希のおっぱいから口を離す。
よだれやら汗やら唾液やらでべっとり濡れ光っている。これでは、仕事中の俺に街中でいきなり声をかけてきた怪しい女子高生だったのも、俺に手を焼かせつつ面白いように売れてくれるアイドルだったのもウソのようだ。
「……休憩、ってようすじゃ、ない、ね……?」
「ああ、続けるさ」
腕を組むように下から乳房を持ちあげ、さらに背中を反らして俺に突き出しつつ志希が笑う。お望みどおりに、と乳首、乳輪を指で取り囲んでつまんで激しくしごく。
「ぇへっ……ま、まだぁ……つづけ……んんっ……♪」
志希の腰が小刻みに震えはじめる。内側から小さく始まった痙攣が乳房にまで波及する。快感のあまり力が入ってしまって、デコルテやウエストで皮膚がぺこぺこ波打って、首筋や肋骨が浮き沈みしている。
乳首を挟んだ指をぐりぐりと左右同時に、あるいはそれぞれ逆向きにねじる。志希が眉間に深い皺を寄せ涙をこぼす。耐えるような、酔っているような表情に魅入られる。
「あ……ふあ、あっ、あ、だ、めぇっ、来るっ」
志希がひときわ高く喘いで全身を硬直させる。股間は見えないが腰をふらふら浮かせて、痛いんじゃないかと心配するほどぎゅうぎゅう強く乳房を押しつけてくる。乳肉が俺の指を飲みこもうとするかのようだ。志希の肌は熱波の中に逆戻りしたように火照って汗だくで、ぜぇぜぇと息を荒くしている。
「あはは、すご……初めてさんに……ぅうぅう」
「そういうことも、あるさ」
「何さ、知ったふうに」
「いま知ったんだから」
くったり弛緩して照れ笑いする志希は少女のようだったが、そのくせ肌は桜色に紅潮したままで、乳首はとても腫れぼったく卑猥な色艶になっていた。
※
「あっく……!?」
「んじゅ、ぢゅぶっ、ぢゅるるぅ……これはちょっと強い……? いいよ、黙っててもわかる……んふ、ふー……っ」
攻守交代、とばかりに俺は志希にボトムスと下着を脱がされ、ペニスを引っぱり出される。あえなくベッドに座りこむ。すでに勃起して傘が開いたキノコのようなカリ首を指でとらえられ、先走りで濡れている亀頭をぺろりと一なめ、さらにくちびるを押しつけられキスのように吸いつかれる。
「志希……」
「ぢゅ、るる、るるるぅ……にゃはは、なんかたのし……プロデューサーったら、ビンカンなんだね……」
自分にとって見慣れた、しかし決して見せびらかすものではない勃起ペニスと、自分にとって見慣れてしかもファンたちに金を取って見せびらかしている志希の顔が触れ合っている。性欲と征服欲をくすぐってばかりの対比は志希の計算だろうか。
アイドルとこんな行為をしてしまっている、という背徳感がふくらみすぎて頭がしびれてくる。
「すぅうぅぅ……これ、嗅いで、味わってるだけで変になっちゃうよ……♪」
口淫を再開する前にわざわざ深く息を吸いこむ。俺のペニスなんて生ぐさいだろうに――志希が押しかけてくると知らなかったので、シャワーすら浴びていないのに――敏感な嗅覚をいじめてだいじょうぶだろうか。
「うっぅぐ、お……!?」
案じた矢先に志希にくちびるを寄せられ、またキスのごとく吸引される。舌先を尖らせ舐めてくる。亀頭も竿も裏筋も、それから睾丸にまでずるずる舌を這わせてくる。俺はただ座りこんだまま尻に力を入れて必死で射精をこらえるばかりだ。
「んぷ、ちゅう、んぷ、ぱぁ……ずいぶん、びくびくしてるね~」
「志希のが気持ち良すぎて、すぐ出てしまいそうで……」
「何が?」
「……精液……」
「なぁに恥ずかしがってるのさ、どちらかと言えば健康的でしょ」
軽口を叩いたばかりの舌がべっとり貼りついて裏筋を上下する。唾液をにちゅにちゅ塗りたくる。表面だけじゃなく内側まで染み通ってしまうかと思うほど執拗にされる。
「精液か……イカだの、栗の花だの、って言われてるけど……どうかなぁ~?」
「……志希、それ……ぁ……!」
「おしゃぶりもいいけど、おっぱいがさっきのお返し、したいってさっ」
フェラチオが唐突に終わり、惜しむ間もなくむっちりした乳房が左右から迫って俺のペニスを挟む。ついさっきさんざん手で堪能してきた柔らかく温かい弾力が、手よりずっと敏感なペニスに襲いかかる。
「う、ぉ、ぅう……志希、それ……っ!」
「パイズリって言うんでしたっけ~♪」
パイズリ。いやらしさの塊である単語だ。志希はよくふざけたり誤解を招きやすい物言いをするがこんな下品な言い方など初めて聞かされる。みっちりペニスを包まれ、まるで全身を包まれているかのように動けない。
「ふむふむ、先っぽの傘のほうがよわよわなんだね~?」
「……察しはついてただろ、とっくに」
「いじってあげるにも、心の準備が必要でさぁ」
志希が左右から乳房を寄せて俺の亀頭を完全に埋没させる。乳房の上半分が圧力で張り詰めて濡れながら急な曲線を描く。そこで左右から交互に、時に同時に押しつけてくる。柔らかい圧力の中にこりこりとした勃起乳首の引っかくのにも似た感触が混じって、くすぐったくもある。
「へへ、どんなもんでしょ?」
「っ……気持ち良すぎる……!」
志希が乳房越しに俺を見あげてきて、俺は妙に律儀な気持ちになって感想を絞り出す。その間も乳房がペニスを執拗にもみしだいてくる。本当に手でやられたことをペニスにやり返しているつもりか。
志希の乳房が汗と唾液とガマン汁でぬるぬる滑りやすくなり、パイズリがどんどんエスカレートする。谷間の中から亀頭がすぽんと飛び出し、ずるりと沈むのを繰り返す。一方的にやられているのに乳房を犯しているふうな優越感も湧き上がる。
「さぁって、どこに精液を出してもらっちゃおっかなぁ」
志希がパイズリ拘束を緩め、ペニスを軽く挟んだ乳房をぽよぽよと揺らす。ペニスが快楽のあまりびくびく動いて暴れてしまうと、またあっさり志希に引っ捕らえられてしまう。乳房とペニスの隙間からぬちゅぬちゅ粘っこい音がして、細かい泡が立ってどちらの表面も白く汚れている。そこに志希がさらに唾液を垂らして潤滑剤にする。狙っていたらしく、射精衝動にあえぐ鈴口にちょうど唾液の糸が落ちて、たったそれだけで身震いさせられる。
「直接はちょっと刺激的すぎるかな……」
「……俺は理科の実験のアンモニアかよ」
「そうだね、このくっさいの主成分は圧倒的にアンモニアのはずが……どうしてこんなにくせになっちゃうのやら」
強く抱きつかれながら胸を押しつけられ、軽口を叩く余裕があっさり吹き払われる。最大限に張り詰めたところに、〝よわよわ〟の亀頭へ集中攻撃。志希の乳房がゆっくりみっちり上下に揺れてカリ首をしごく。痛みのように強烈で思わず天井を見あげ、あっというまに射精が始まる。ペニスどころか睾丸までしびれながら濃密な精液がどぶどぶ放りだしてしまう。
「おぉおぉ……んっふふ、貴重なサンプルを採取しちゃったぞ~っ♪」
精液をあごの下、首筋にぶっつけられたり、鎖骨や谷間に引っかけられながら志希が笑う。ずりゅずりゅと追い打ちパイズリでさらに俺を悶えさせる。かと思えば乳房から精液がどろり垂れ落ちると手ですくって指先で粘りを確かめるように糸を引かせる。
「すーっ……ん、ふ……うわっは」
志希はいつのまにか小学生のように目を丸くして精液を観察している。手のひらに精液を集めて伸ばしてみたり、鼻先をゆっくり近づけて匂いを嗅ぐ。
「いい匂いですかね、志希さんや」
「こんなくさぁいの、あたしのおまんこにどぷどぷ注がれたら、赤ちゃんできちゃうんだねぇ」
もう一度鼻先を近づけると、くちびるを釣りあげつつ眉根を寄せたふにゃふにゃな表情を浮かべる。フレーメン反応じゃあるまいし。
「いや、ほんとこれ……なんだか時間が経つとますますくさくなってきたぁっ……!」
「……アンモニアならそうかもな」
パイズリでこちらを為すすべもなく絶頂に追いやった姿から、いかにもおそるおそる精液をいじるいまとの落差がものすごい。それを見ていると、胸責めをしていたあたりの嗜虐心がじんわり復活してくる。そうだ、この変人で天才で美少女アイドルである志希に、俺は精液を浴びせたのだ。しかも相手から請われて。
気分に引っぱられてか、精液の名残がこびりついたままのペニスに血流が戻って来る。
「そんなに刺激的かな」
「そりゃあ……あ、えと、その」
志希がびくんと震える。勃起復活に気づいてくれたようだ。
「そろそろ直接味わってみてもいいんじゃないか?」
ベッドに座りこんだ志希の目の前に、立ってペニスを突きつける。おそるおそる口を開けてくれる。その無防備なくちびると半開きの歯列を見下ろすと、俺はきのうまで考えもしなかった欲望に駆り立てられる。
志希の頭を両手でつかみ、ノド奥めがけて乱暴に突き入れる。
「んぉ、ごぼ……ゥ、ぅ……!」
志希が小さくえずいて竿に歯が当たるが、すぐ抵抗が止む。むしろ舌を絡ませてくる。志希の頭を引っつかんだまま口腔の温度とぬかるみを楽しむ。イラマチオだ。知識こそ持っていたが、まさか自分がやるとは思わなかった。
手コキやフェラやセックスは気持ちいいだろうと想像できる。パイズリは想像以上に気持ちいいとさっき思い知らされた。しかしイラマチオはどうだ。無理やり突っこんでそんなに気持ちいいだろうか。相手がむせたり歯を立ててしまう可能性が高まってしまう。フェラチオの下位互換ではないか。理屈の上ではそうだった。
「志希……ごめん、中に、出すつもりだ」
「ん゙……く、ぉ……」
志希のノド奥まで突っこむと、彼女が目を丸くしながら咳きこむ。俺の太ももをつかんでペニスを抜こうとする。一瞬だけそれに応じるよう引き抜かせ、勢いをつけてまたノド奥に押しこむ。
「ん゙ぎゅっ……!」
ノドの奥がうごめいて強い力でペニスを追い出しにかかる。フェラやパイズリと違う本当に反射的な抵抗を感じながら、それに逆らって叩きのめすのが楽しい。
志希が俺の太ももに爪を立てる。しょうがないので腰を引いてやるが、代わりに志希の口蓋を亀頭でこする。志希の背中と尻がびくびく震えるのが見えて心地いい。
溜飲が下がってきたのですっかり引き抜いてやる。
「く、はぁっ、ぁっ……げほっ……!」
「髪を結んでくれてたの、このためかと思って」
「ふぁ、は……冗談、でしょ……ぉ……」
志希がぜぇぜぇと息をつく。半開きのままのくちびるから唾液が幾筋も垂れ落ちる。すっかり口腔レイプとも言うべきイラマチオの事後のようだが、目だけが爛々と輝いてペニスに視線を注いでいる。
「……ああ、中に出すって言ったけど」
「それも、冗談……?」
「……冗談のほうがいいかな」
志希が呼吸を整えてくると、彼女への気遣いが薄れて、イラマチオとはこういうことなのか、という感慨にあらためて浸れる。女の口をオナホールとして扱う。しかも文字通り〝顔を売っている〟アイドルの……志希は弁舌も歌唱力も評価を得ているから、舌とノドも忘れちゃいけない……ただのオナホールとする。これほど支配欲をくすぐる行為があるだろうか。
「……キミの、せーえき……無理やり出されるかも、って思っただけで……目と鼻の奥まで、がつんってしびれて……」
「危なかったな、窒息してたかも」
「……こう、サクッとしてくれるほうが、だいじょうぶかな」
だいじょうぶ。何がだいじょうぶなんだろうか。
「なるべく早く中に出すほうがいいか」
「アジャストできるの、童貞さんが」
「志希の口が気持ちいいから」
志希のお望みはイラマチオからの口内射精らしい。俺はそれにあっさり応じようとする自分に一瞬だけ驚く。確かに志希の体をもてあそんだりセックスしたいと思っていたが、こんな痛めつけるマネをしようとするなんて。
一瞬だけだった。してはいけないことをする背徳感が興奮を高めるなんてとうに実感していた。
「あ、が……おぐぅっ……!」
ペニスを突っこめるだけ奥へ突っこむ。
志希の肩と背中が大きく震え、瞳が白目を剥きかける。彼女の顔は俺の下腹部で無惨にひしゃげかけ、直接ぶつかっていない目と額も苦悶と快楽が入り混じった奇妙な表情を浮かべている。止めどなく涙があふれだし、鼻水をすすりながら必死に酸素を求めているらしい。
だが俺は容赦しない。
「……ぉ、ぁあ……ゔ……ッ……」
ノド奥に何度か押しこむと、亀頭を強く締めつける輪っかのような粘膜があることに気づく。そこを突けば早く射精できそうだったが、突くたびに志希から悲痛なえずきを浴びせられる。なのに志希の腕が俺の腰に絡みついてホールドしてくる。イラマチオの続きを催促しているとしか思えない。
「ほっぉおお゙おお゙……もお゙ぉ゙……お゙えええ゙え゙っ……!」
ひたすらそこを突く。さらに続けると志希の四肢が電気ショックを受けたかのようにびくびく震えだす。志希の瞳が病的に揺れて上まぶたで見え隠れする。
やがて志希がいきなり背中を弓なりにそらせる。ペニスが抜ける前にどうにか頭骨とポニーテールをつかんで戻し、ひときわ強く叩きつける。ノド奥がさらに激しい収縮で応えてきてついに射精する。さっき出したばかりなのに大量の精液がほとばしり、志希をむせさせる。ノドへ押しこみ直し、残らず飲ませようとする。
「……ぉおお゙……ぉぉぉ……」
不意に足元でびちゃびちゃ弾ける水音と気配を感じる。志希が失禁か、それとも潮吹きのような何かを漏らしているらしい。まさかイラマチオで絶頂したのだろうか。彼女の目を見ようとするとすっかり白目を剥いていてよくわからない。
しばらくすると志希がぐったりと力なく崩れ落ちる。俺がとりあえず横向きの回復体位にしてやると、息苦しげな喘鳴はおさまるが、依然として全身がかすかな痙攣を続けている。
「ゃ、ば……へんな……ぃ……かた……しちゃ……」
まぶたが力を失って閉じられ、くちびるが力なく開いたまま泡混じりの涎をこぼしっぱなしになっている。四肢は汗だくのまま中途半端な角度に曲げられて震えている。失禁の跡がシーツに大きな染みを作り、生ぐさい精液の匂いに張り合うように尿がにおっている。俺が初めて見る女性器はひくひくとこちらを誘っていて、陰唇周りや会陰、果ては膣内までべっとりと白濁している。こちらには射精などしていないはずだが。
「ご、ごめ……もれちゃ……」
「汚してけよ、どうせこの部屋で熱帯夜を過ごすなんて無理だ」
俺はようやく、志希に何か飲み物を持ってきてやることに思い至った。
※
「あたしを妊娠させてでもしたい、っていうなら、最後までしてもいいよ、セックス」
スポーツドリンクのお代わりを飲ませると、志希はイラマチオ後の朦朧が夢幻だったかのように活力を取り戻し、射精2発の余韻が残る俺をベッドに押し倒してしまう。
「志希を……妊娠……?」
「するよ、あたしだって生理きてるもんっ。検査したことないから、妊孕性の証明はできないけど」
イラマチオ後に勃起のおさまったペニスに、志希の恥丘や太ももがずりずりこすれる。あまり感じすぎてか、長時間正座して足がしびれたときのようにじんじん響く。〝最後までしてもいいよ〟というが、ここで勃起できるだろうか。
志希がまた恥丘をこすりつけてくる。まったく陰毛の気配がないパイパンだ。産毛すらないんだろうか。
ペニスを押し倒してどっしりのしかかってくる。女性器があるところでぷっくりふくれて見える肉の粒がクリトリスだろうか。それが亀頭にこすれるとお互いむず痒そうに身をよじる。俺がぐったりしているまま志希が自分で腰をへこへこ上下させたりヘソあたりをずりずり押しつけてくる。
「志希……ぅ、あっ」
志希のそれは、さっきまでの前戯と比べてとてもぎこちない。パイズリと違って圧迫が散漫だし、指先やくちびるや舌のような繊細さもない。イラマチオのように征服欲もそそらない。気持ちいいというよりくすぐったい。セックスというよりじゃれあってるみたいだ。
「まだ火照ってるよね……さっきみたいに、カチカチになれるかもよ?」
だというのに、ペニスが少しずつ充血し芯を通してくる。素股と呼ぶのもはばかられるいい加減さがかえって気楽に受け止められる。緊張して勃たない、なんて失敗談がありえる童貞にちょうどいいのかもしれない。
「あんまりおとなしいと、押しつぶしちゃうぞーっ」
「志希じゃ軽すぎるよ」
志希がぐっと重心を前にかけ、上体を倒してくる。汗ばんだ胸板と乳房が触れる。パイズリ射精のせいかこすられ具合がべとべとになっている。腰にこすりつけられていたパイパンから、陰唇や膣口らしき意味深な感触が伝わってくる。まだへたっているペニスが脈打つ。
「したね、ぴくって」
「……隠してるつもりはないさ」
至近距離からにんまり笑いかけられどきりとする。志希の笑みはいつも楽しげだったりあからさまに良からぬいたずらを企んでいたりするふうだが、いまは触ったらべっとりくっついてしまいそうなほど淫靡に見える。
そろそろ敏感なところが粘っこくなってきた。
「初めては……どーしよっかなぁ」
「何の話だ」
「そりゃあもう、ぽじしょん! ……なんて言うの、日本語だと」
「……体位か」
知らんぷりなのか本当に知らなかったのか、言ってやると志希がケラケラ笑う。笑いに合わせてびくつくウエストをペニスで感じる。
「上からするのは……あまぞんなんとか!」
「騎乗位か……」
「キミが上になってくれるなら……みっしょなりー!」
「正常位か?」
志希が腰をゆっくり浮かせる。ペニスが思ったより力強く上向きになっていて、志希が会心のドヤ顔を見せつけてくる。つい苦笑いしてお茶を濁す。
「……その二択でお願いするしだいです~。しない、って選択肢があるなら三択だけど」
「志希も……したいって、思ってくれてるか」
「バカだなぁ、したいに決まってるじゃない」
「ちなみにバックは」
「やー、顔見てしたいのっ」
腹筋を使って体を起こす。そのまま志希を押し倒し返す。覆いかぶさる。志希に太ももを閉じさせ、最高潮には少し足りないペニスを太ももズリで叱咤する。膣口の粘膜と愛液が流れ出てくるのを感じる。
志希の太ももを開かせると、彼女が心得てか自分の陰唇をぴらぴらさせて、ふざけ混じりながら誘導してくれる。
「プロデューサーは、志希ちゃんを道具みたいに使うのがお好きかな?」
「どうだか、フェラやパイズリでやられる側も気持ち良かったし」
「じゃあ、こんどするときもやってあげるよ、気が向いたら」
こんどのセックスがあるところまでは確定らしい。現金なもので、童貞喪失の武者震いがほんのり楽になる。ペニスをあてがう。膣粘膜もこちらに負けず劣らず熱くぬめっている。
「志希、行くぞ」
「あ……ゔっ……く……」
信じられないぐらい腟内がきつい。笑っていた志希の表情がさっと緊張に染まる。
「志希、お前まさか」
「……キミだけじゃないってことさっ」
志希が声を不自然に跳ねさせながら笑う。こんな強がりを見るのは初めてで、確信させられる。
「血の匂いはしないはず、あたしが好きじゃないから、そうした……でも……きつい、なぁっ」
本当に腟内がきつい。となれば志希は俺の数倍はある苦痛を感じているだろう。さっきまでの熱っぽくさらさらした汗ではなく、じっとりした脂汗を額に浮かべている。呼吸も浅く早い。
童貞卒業の感慨が吹っ飛ぶ。
「抜かないで……中で、動かして、出してっ」
「……痛いだろ、志希」
「さっきより、マシだよ……?」
志希が両手足で俺にしがみついてくる。膣肉もきりきりとペニスを締めつけてきて、パイズリとイラマチオがなかったらきっと3こすり半もたず射精していた気がする。
「ん゙……ふ、ふふっ、すご……♪」
「志希、動いて……いいか……?」
「動かなきゃダメだよ……ずっとこうしてるつもりかな……それも……んんんっ……」
しばらくすると、志希の膣肉の抵抗がほんの少しやんわりしてくる。俺のペニスに志希の女性器が合わせてくれているようで、何から何までしてもらったようで情けないが興奮する。呼吸音に紛れそうなほど静かに抜き差しを始める。
「にゃ、あ、ぅっ……あた、ひっ……ん、んぎゅっ、っううっ……♪」
快楽と苦痛の混じった志希の嬌声を聞いていると、彼女を2倍征服している錯覚に陥る。もっと鳴かせたい。誰も聞いたことがない彼女の淫らな姿と叫びを知りたい。
「志希、志希っ」
彼女の手足と背中が俺に絡みつき、膣肉までぐいぐいと積極的に動きだす。自制しつつも腰を使い、ようやくピストン運動らしき勢いになる。調子に乗って奥まで届かせると、志希の腰がびくんと跳ね上がり、ペニスから逃れようとするかのごとく反る。
「あ……」
「まだ……もっと、もっとっ!」
張り詰めっぱなしのペニスに対して、志希の膣内が収縮と弛緩を繰り返す。ペニスが膣内で揉みくちゃにされ、否応なく快楽が高まる。志希もいくらか快楽を感じ取っているようで、息は荒く甘ったるい。時に甲高く泣くような喘ぎを漏らす。
彼女の快楽を高めたくて、探り探りピストンを続ける。やがて志希の膣内の反応に変化の兆し。小刻みに震えながら、いきなりぎゅっときつく吸いつく。俺の下腹部や太ももを彼女の愛液が濡らしたのがわかる。
「やぁんっ、もっと、シて……うぅぅっ、んぅぅっ♪」
請われるがままに腰を振る。やがて志希は腰を浮かせ、自ら迎えに来るように突き出してくる。俺が腰を引くと彼女も後を追ってくる。応じて奥まで突くと、彼女の膣襞がひときわ強い力で俺のペニスを食いしばる。
「いっ、っうぅーっ! あ、ァア、あ゙……っ♪」
それが女の絶頂なのか俺にはわからない。志希が真っ赤な頬で目を白黒させつつ、はぁっはぁっと小刻みな呼吸と痙攣を続ける。ひときわ強く抱きつかれて、図らずもかちんと前歯がぶつかるような乱暴なキス。
五感すべてに志希が刻まれる。
「す、きぃ、ぷろでゅ……だし、て……」
パイズリやイラマチオのときのようなほとばしる勢いは減じた。それでいて流れ出るような、まるで夢精のように自然に射精が始まっていた。
ペニスがびくびくと脈動し、志希の腟内にどくどくと精液を注ぎこむ。彼女の熱く狭い膣肉がそれを搾り取るようにぎゅうぎゅうと締めつけてきて新たな波が押し寄せる。
「あっ……はぁっ……ふぇ、っへへ、だしてる、ねぇ……♪」
志希は俺の腰に巻きつけた脚をますますぎゅっと締めつけ、さらに結合を深める。精液と愛液が混じって勢い余ってぐじゅぐじゅあふれる。
しばらくそのまま動かず、言葉も思いつかない。感慨と、呼吸を落ち着かせるのに精一杯となる。
「んっ……ふぅ……これがあたしの初めて、だよっ」
余裕を取り戻すのは志希が早かった。いたずらっ子のようにケラケラ笑いつつ俺を見あげてくる。膣内が射精直後もまだきゅっきゅっと収縮を繰り返し、ペニスに余韻を刻む。自分の童貞を捨てて志希の処女をもらった、という心地に浸る。やっている最中は嵐のような性欲と独占欲に突き動かされたが、こうやって一区切りつくと頭が浮いてるように照れくさい。
さすがにいつまでもこのままつながっていては、と思ったころ、志希が身じろぎする。くいくい腰を使う。まだペニスを締めつけてきて離さない。何かを探るような緩急をつけた動き。
「志希……?」
「おやおや、お代わりご所望ですかな。これがウワサの、抜かずの3発」
ねだっているのは志希だろう、と言いたくなるがぐっと飲みこむ。俺のペニスは志希の膣肉の具合を相当気に入ってしまっている。〝お代わり〟できるなら望むところだ。
「んぅ……」
入れたまま、志希に覆いかぶさる。よだれか汗でべとべとしたくちびるをこすりつける。舌を絡め合わせる。なぜかこれは童貞卒業までしてはいけないと思いこんでいた。志希の口腔はすっかり甘ったるい唾液の味だけだが、吐息に生ぐさい精液の名残を感じる。上からも下からも受け入れてもらった、と充実感が倍にふくらむ。
志希も満更ではないようで、俺の舌を迎え入れてくれる。腰使いがどことなく、ねちねち大胆になりつつある。射精前の高ぶりを思い出す。精液と愛液が泡立っているらしく、ぐじゅぐじゅとした音と感触が接合部からさっきよりはっきり感じ取れる。
「んぅ……んぅ、う、ぅうんっ!」
キスしながら、自分の胸板と志希の乳房とのあいだにどうにか手を滑り入れさせる。こりこりとした志希の乳首の片方を捉えてくすぐる。キスで閉じられていた志希の目が、驚いたようにうっすら見開かれる。
「んちゅ、れりゅっ……このまま、おっぱいもしちゃう……?」
志希が挑戦的な微笑を投げる。返事代わりに片方の乳首を転がしたり潰したりしつつ、もう片手を空けて乳房全体をもみこむ。志希は顔では苦笑いを浮かべているが、横に広げられた口元から漏れる吐息が甘ったるい。膣肉もみちみちと密着して締まってくる。
パイズリやイラマチオをしているときは、どちらかというと志希のほうに主導権があった。いまは完全に逆転して俺が一方的に攻める形になっている。さっきまで童貞だった俺が手探りで、なんておかしな話だ。
「はひ……ふふ、お、おちんちん、また……♪」
乳首を両手で同時につまみくりくりいじりながら、キスも続けて腰を振りだす。精液をまとった膣肉がうごめいてなめ回すように刺激してくる。ペニスがすっかり敏感になっていて動かすとこちらも変な声が出てしまう。気恥ずかしくて乳首への刺激に集中する。
「くひっ、ひんっ! はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」
志希の嬌声が聞こえる。うれしくもあり、うらやましくもあり。さらに乳首をいじめながら膣道をおそるおそる抜き差しする。刺激が多いおかげか、ゆっくりしているほうが志希の好みなのか、嬌声がだんだん切羽詰まってくる。まだまだ精液がほしい、とばかりに吸いついてくる。
「志希……まだいけるか?」
「ふ、ふぁっ、あ……あはっ、はっ、かっこいいね、ぷろでゅ……んんっ……♪」
自分とのセックスで女がよがってくれている。しかも志希が相手だ。達成感と愛おしさが混ざって興奮しつつ目が潤む。ペニスがますます固く熱くなり、それに合わせて抜き差しも速く力強くしてしまう。乳首への責めは休めていない。志希の両脚ががっちり俺の腰に回されていて、もう抜き差しと乳首責めに専念できる。
「いっ、っうぅーっ……あ、ァア、あ゙……っ♪」
快楽がたまりにたまったらしきある瞬間、志希がのけ反って震える。こちらの腰が抜けそうなほど激しく膣肉でペニスを吸われる。生暖かくさらさらした液体が俺の腹や胸板にぶち当たって垂れていくのがわかる。潮吹き絶頂だろうか。
つられてこちらの堰も壊れる。射精が始まってペニスがびくびく跳ねて志希の腟内で精液をほとばしらせる。ペニスと腟が一緒くたに躍動している中、さっきよりも奥に精液を注ぎこもう、とペニスを突き入れる。
「ま……まらっ、っぅう……せーえき、もっと……感じ……っ……」
それから志希にいくつ膣内射精したのか、ついぞ思い出せない。
※
「あたしんちに避難しなよ、もちろんエアコンさんも健在だよ」
気づけば俺の部屋のエアコンが止まっていた。汗を流したあとも暑さをしのぐため、志希と2人で水に近いぬるま湯にだらだら浸かっていた。
「ニューヨークでたまにあるからさ、いきなり壊れるの。そしたら友達の部屋に避難するお約束……」
「ずいぶん昔にあっちのドラマで見た覚えがある」
「ニューヨークってねぇ、高緯度のくせに夏たまに100度超えるの」
「……セ氏換算だと40度だよな」
「そのくせ冬は凍死するほど冷える。エアコンさんにはハードな労働環境かな」
俺は志希の提案にうなずきかけた。
「ところで、なんで志希は俺の家のエアコンの調子が悪いと知って……?」
「いま、おうちのいろんなモノに“スマート”なんとかってついてるけど、ああいうの……たいていザルなんだよ」
「お前、まさかマッチポンプで」
「なぁに、専門外でもやればデキるもんだよ~」
提案に乗るか決める前に、志希としばらく子どものようにばちゃばちゃ水をかけあった。
(おしまい)