pipipipi!
「うるっせぇ!?」
イヤホンをつけたままの先輩は、スマホではなく、耳に直接流れ込んだアラーム音で目を覚ます。
「いや、うるさいのはどっちっスか、んー、車で寝ると体痛いっス」
「んぅ、あさ?」
続くように先輩の声で目を覚ます二人
「いや、早いっスね、6時じゃないっスか」
「こーひー、のみましょう」
「このまま高速降りたら...あ、近くに喫茶店あるっスね、そこまでお水で我慢っス」
そう言うと常温未開栓の水を手渡され、少年は開けようとする。
「ふっ、うー!んー!!」
「力無いな?開けてやるからよこせ」
パキリと小気味のいい音を立てると、先輩はそのまま一口飲んで少年に返してきた。
「ねおきは、ちから、はいんないんです。んく、んく、ぷは」
「んじゃ、先輩、運転するから変わってくださいっス。それとも先輩運転するっスか?」
「しねーよ、お前がピンピンしてるのにわざわざオレがする理由もねぇだろ。」
そういうと席を入れ替え、エンジンを起動し、運転を始める。
「眠い...です」
「あぁ、頭撫でてやるから、着くまで寝てな」
少年は先輩の肩に頭を預け、スヤスヤと眠り直す。
眠っている間に駐車し終えたようで、ゆさゆさと体をゆすられ、目を覚ます
「ん、おきます、おきますから」
少年が閉じていた眼を開き、揺らしていた手の先を見ると、お姉さんの姿があった。
「先輩が動けなくて困ってるっス、喫茶店にも着いたっスから、朝ごはん、食べるっスよ」
「んー!!!はい、まだちょっと眠いですけど、起きました、ご飯食べましょう!」
カランカランとドアを開ける音が鳴り響き、
「いらっしゃいませ、空いてる席におかけください。」
4人掛けの席に座ると、メニューを確認する
「えーっと、モーニング?コーヒーにトーストと卵!?何すかこれ!」
「モーニングって風習があるんですよ、コーヒー1杯にめちゃくちゃおまけが付くってやつです。
東海圏の一部地域でのものですけど...店主さんがそっちの人だったんですかね」
「トーストはタマゴサンド、小倉トースト、ピザトースト、バターといろいろあんな?」
「とりあえずモーニング頼んで、足りなかったら追加で頼んだほうが良いですね、とんでもない量出る店もありますし」
「すいませーん注文お願いします。んで?なんでそんな知ってるんだ?」
少年は少しバツの悪そうに顔を逸らした後、口を開く。
「多分、前に住んでた場所が、そこらへんで、記憶があるだけです、記憶があるだけで実感はないですけど」
店員さんがこちらへ駆け寄ってくると、注文を取り始める
「はい、ご注文伺いますね」
「えーっと、モーニングってのを3つ、コーヒーは、みんなブラックで」
「はい、付け合わせのパンはどういたしますか?」
「ボクは...小倉トーストで」
「ウチはタマゴサンドで」
「あぁ、オレはピザトーストで」
店員さんが注文のメモを取り終えると復唱を始める。
「コーヒーが3つに、パンが、小倉、タマゴ、ピザがおひとつずつ、以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
返事を聞くと店員さんは厨房の方へ戻っていった。
5分程が経つと店員さんがトレーにコーヒーと袋を載せてやってくる。
「お先に、コーヒーと、ポン菓子...豆菓子になります。うちの地元ではコーヒーの付け合わせにつまむんでよろしかったらどうぞ」
「ありがとうございます」
「あと、食後にアイスが付くのですが、味はどうしましょう」
「え?それも...おまけっスか?」
「はい、味はそちらに書いてあるバニラ、クッキー、抹茶、ラムレーズン、ストロベリーからお選びください」
「ん、オレはクッキーで」
「またっスか!?えーと、ウチはストロベリーで」
「じゃ、じゃあ僕もクッキーで」
「はい、食後にお持ちしますので、召し上がるときにお呼びください」
アイスの確認をしていると、若い女の子がこちらにやってくる。
「店長、いつまで話してるんですか。今持ってきましたけど、お客さん少ないからって話してないで、厨房手伝ってほしかったです」
「あ、ごめんね?タマゴサンドがこちらの方、ピザに、小倉。ではごゆっくりどうぞ」
後からパンを持ってきた店員と共に女性の店長は下がっていった。
「朝からよくそんな餡子であまあまな感じのパン食べられるな?というか合うのか?」
「そうですか?コーヒーと合いますよ?アンパンありますし変な組み合わせでもないですし」
「じゃあじゃあ!うち、それ食べたいっス、一切れあげるっスから食べさせて欲しいっス!」
「じゃあ小倉は後にしてタマゴ食べます、あ、コショウいっぱい入ってる」
「卵にコショウ振って、マヨネーズと一緒につぶして混ぜた王道のタマゴサンドっスね。はむ」
「はむ、ピリピリして美味しいです」
先輩が4切れ中の3切れ目のタマゴサンドをひょいっと持っていく
「ハブんなよ、オレのもやるから食わせろ。あむ」
「んじゃ最後の一切れはウチが、あーん。これがおまけのクオリティっスか?やばいっス」
「まぁ、本場じゃモーニングのおまけ商戦ですからね、あれでどう経営が成り立ってるのかわかんないです。コーヒーおいしい、けどミルク貰えばよかった...」
「はは、おこちゃま舌っスね、んじゃ、ピザパン、くれるんすよね?」
「一口目はオレだぞ?あむ、チーズで見えなかったけど、ピーマンとハムと、ピザソースにバジルとかにんにく入ってるな、意外とガッツリしてる」
「あー、そんな詳細に言われると余計食べたくなるっス!あむ、トマトの酸味が飛んでて甘くておいしいっスね!」
「ボクにもください!あむ、あわわ、チージュが切れにゃい!あむ」
チーズを噛み切れずにあわあわする少年を見て和む二人。
「ふぅ、笑ってないで助けてくださいよ」
「いや、口にしてるもんを助けるってなんだよ、キスか?」
「…」
確かに変なことを言ったな?と少年は首を傾げる
「それもそうですね、ごめんなさい。じゃあ最後は小倉トーストです、粒あんで別皿にマーガリンもあって、まさに10人が10人想像する小倉トーストです。
あむ、パンはサクサクしてて、でも中は餡子の水分でしっとりしてます。味も甘いけど、マーガリンの塩気が効いてて美味しいです」
少年の顔がほころぶのを見て、お姉さんがパンを受け取る。
「あむ、うわ、トースターで焼いたアンパンとも違うっス、食パンの上に載ってるのが違うんスかね?」
「ん、あむ。餡子の水気とか、水分じゃね?コンビニのアンパンとかはパンの生地に、口の水分持ってかれるし。
こっちは、餡子の水分がパンに吸われて、まだ残ってるし、というかマーガリン合うな」
とゆっくりとパンに舌鼓を打つ三人。
「ふぅ、ウチはお昼とかに余裕残すなら最後にアイスで終わりっスね」
「あぁ、そうすんならそれでいい」
「じゃあ、呼びましょう、すいませーん」
少年が手を上に挙げ、フリフリと手を振る。
「食後のアイスお願いしまーす!」
「はーい、ただいまお持ちします!」
アイスを食べ、次の観光の予定を話し合うのだった。
まさかやりそびれてた喫茶店回をここでやることになるとは…。
どうせ書くならモーニング書きたいとな、じゃあとモーニング文化圏出身の店主が生まれました。
というか当たり前だけど、等身大の食事シーンの方が書きやすいな!?
補足:少年、憑依タグをつけていますし、実際最初は憑依で進んでましたが、「前世を持ってる憑依した人物」の記憶がある感じの人格は普通の少年です。
常識、女性観とかは一般的な世界だけど、体は性器反転世界の男の子って感じです。
次回29話もよろしくお願いします。読んでいただけると励みになります。