※この作品はR-18です。

ブルアカえっち短編集   作:夜の機動戦士

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水着キキョウが凄かったので初投稿です。

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桐生キキョウに夏のビーチへ誘われ、海の家で熱いひとときを過ごす話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《先生、海に行かない?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<1>

 

 桐生キキョウからそんな誘いを受けてから五日後。

 

 カラッとした青空の下、潮の香りを乗せた暖かな風が、浜辺の砂をさらっていく。

 

 百花繚乱紛争調停委員会から(ほとんど強制的に)休みを取らされたキキョウ。それに合わせるように、私も連邦生徒会本部から「有給の消化」を促され、重たい腰を上げた。

 

 海に来たら、海水浴! ということもなければ、ビーチボールを投げ合ったり、貝殻を集めたり、波打ち際で追いかけっこしたり、なんてこともなく。オレンジ色のパラソルの下、私は折り畳み式の将棋盤越しに、冷たく静かなキキョウと向かい合っていた。

 

 着崩さないセーラー服からは想像もつかない大胆な水着だった。良く似合っていたし、開口一番そう言ってあげたかったが、素直に褒めた瞬間、「うるさい」と目で言われてしまう気がして、私はタイミングを失っていた。

 

 そのタイミングの逸失が、キキョウの真顔を作っている。

 

 彼女とは、後ろめたい関係だった。「どういう仲ですか」と問われると、互いに言葉を濁さずにはいられないような。距離は近い。それなのに、ラベルを貼るのを避けるような――そんなあやふやさが続いていた。

 

 キキョウは今日が楽しみだったはずだ。それでも、盤面を挟んだ今の彼女は、少し苛立っているように見えた。

 

 駒を指す手つきの鋭さ。

 守りを固めず、攻めが先に出た盤面。

 物音に視線を逸らす私を、目敏く目で射貫いてくる。

 

 それでいて――「どうしたの」と探られるのも嫌がっているみたいだった。だから、「私から誘わなくてごめんね」と宥めるわけにもいかず。

 

 ココナッツみたいな日焼け止めの匂いが、海風に甘苦さを纏わせていた。

 

「はい、先生の番」

「……うす」

 

 盤面を一瞥して、キキョウが私の目を覗き込んだ。磨き抜いた黒曜石のような瞳は、じっと……将棋の戦略よりもっと深い所にあるものを探していた。

 

 畳の部屋に、和綴じの本。糸を愛でるあやとりの手つき。そんなインドア派の桐生キキョウに、海辺の太陽は意外だった。ただ、日焼け止めのチューブはしっかり用意してあるし、直射日光を浴びないよう、白く透ける薄羽織で背中を隠している。

 

 その内側に広がる光景に、私はまた息を呑んだ。

 

 海辺の砂に反射した光が、青白い首筋を照らし出す。クラシックなセーラー服で覆われていた素肌は、その95%近くが露出しているだろうか。

 

 濃い藍色のビキニ。マットな質感の布地が、彼女の肌の儚い白さをいっそう際立たせていた。だがその布面積は何とも心もとない。隠すべき所以外はほとんど紐と言ってよかった。

 

 ブラウスに隠されていたバストは思いの外ボリュームがある。面に沿って膨らんだ三角形はあまりに小さく、膨らみの外周がはみ出ていた。

 

 デコルテで交差したストラップはビキニへ繋がり、脇腹から胸の下で交差するそれは、視線をその交点に引き寄せる。

 

 制服を着崩すこともなく、私服も大人しめなキキョウのことだ。何の意図もないなんてことは、あるはずもないだろう。視線を吸い寄せられるのに、素直にそうしたら咎められる。

 

 面倒な子だ。でも、この面倒くささが――

 

「――何」

「いや、何でも」

 

 目のやり場に困る、とは言えなかった。かといって、上半身から視線を逃がすと、もっと際どい下半身がそこにはある。尻尾の生えている生徒はローライズのビキニパンツを選びがちだと誰かが言っていたけれど――それにしたって鼠径部の露出が凄まじい。

 

 目を逸らした先で、さらに視線の逃げ場がなくなるとは思わなかった。盤面の行く末がもうここにある。そんな予感がした。

 

「……先生? 早く」

「あ、ごめん。すぐ指すね」

 

 腰に食い込んだ黒い紐がまだ目に焼き付いている。ただ、声をかけてもらえたのは幸いだった。頭を振って不埒な思いを振り払い、私は歩を前に進めた。

 

 ――ぱち。

 

 駒を一つ動かしただけで、すぐにキキョウの指がそれを迎え撃つように応じる。駒が盤面を蹴るような音がした。彼女の鋭い視線が私を貫き、促してくる。「ねぇ、まだ言ってくれないの」というじれったさが、薄ピンクの唇から紡がれそうだ。

 

「……はい、キキョウの番――」

「はい、先生」

「……」

 

 早い。考える隙も与えない思考速度だ。彼女の中では、もう見えているのかもしれない。この盤面がどう動き、どちらがどう展開して、いつ王手がかかるのか。

 

 砂浜からはしゃぐ声が遠く聞こえてくる。でも、私の視界にはもう盤面しかない。どの駒が罠で、どこが地雷か――それを考えている間にも、前方から無言の圧がかかる。

 

「ごめんキキョウ、ちょっと待ってね」

 

 視線を上げると、冷たく澄んだ黒目が私を見据える。引いていく波に一瞬目を移すと、彼女の視線がそれを追いかけてきた。首から下を見てしまわないよう、私は飛車に目を注ぐ。

 

 次の一手をどう打つか。じっと盤を見つめるうちに、目に焼きついた水着の黒も、潮風の音も、次第に遠のいていく。

 

 思考の深みに潜っていく感覚。

 何とか落ち着けた――はずだった。

 

「きゃあっ、ちょっと!」

「隙を見せるからだよっ」

「も~っ、お返しだーーっ!」

 

 パラソルのすぐ近くを、水鉄砲を撃ち合う女生徒たちが通り過ぎた。片方はカラフルなビキニを揺らし、もう片方は可愛らしいフリルを潮風にひらひらさせている。惜しげもなく肌を晒し、太陽の下で笑い合っていた。

 

 いい天気だ。

 青い空、眩しい砂、陽射しに照らされた跳ねる髪と肌。

 

「……先生?」

 

 冷たい声が耳を突き刺した。

 

 はっとして盤面に目を戻すと、キキョウが指を止めたまま、じっとこちらを見つめていた。彼女の猫耳が、片方だけ波打ち際に向けられている。

 

「ねぇ、まだなの」

「ご、ごめん、風が吹いてきたから、つい」

 

 「まだなの」には、複雑な層があった。

 キキョウは黙って、水筒からお茶を注いだ。

 とく、とく……と液面が高くなっていく。

 

「へへっ、捕まえたっ!」

「ちょ、やめてよ、エッチー!」

 

 フリルの女の子が、ビキニの紐を掴んでいた。ずるっ、と剥き出しになる肩から慌てて視線を逸らすが――遅かったようだ。

 

「……はぁ」

 

 小さく、でも聞こえるように溜息が聞こえた。

 

 キキョウはお茶を注ぎながら、視線を盤面に落とす。けれど、視線の焦点は定まっていなかった。彼女の内側で、いくつかの感情がぶつかり合っている気配があった。

 

 「ごめんなさい」のつもりで、罪悪感を駒に乗せて差し出す。おそるおそる顔を起こすと……彼女は細い眉をひそめ、瞳孔を収縮させていた。

 

「あのさ。どこ見てるの?」

「いやっ、何も」

「そうじゃないでしょ」

 

 パチン、と高く駒が鳴る。

 

 静かに添えられた指先。その爪先が、盤面に押し付けられて白くなる。

 

 ごめん、と口にしかけて、思いとどまった。「何に対しての謝罪なの」と追い打ちをかけられるのは目に見えている。「さっきの子たちに気を取られていた」と認めれば、もっと拗れる。――いや、もうとっくにそうなっている。

 

「……よその子の方が、よかった?」

「そうじゃないよ」

 

 口調は静かなのに、言葉の端で刃が煌めいていた。炎天下にいるはずなのに、その悲しげな声が、真冬の空気みたいに体温を削いでいく。

 

 視線を下げると、彼女の手元が僅かに震えているのに気付く。怒りのせいか、あるいは――いや、考えるのは止めよう。でも、とにかく……彼女の感情に寄り添いたかった。

 

「……ほんとに、もう」

 

 キキョウは苛立たしげにボブカットの髪を揺らし、立ち上がった。陽光を透かす羽織が潮風になびく。貴重品を入れたポーチを手に取ると、座ったままの私を彼女が見下ろした。

 

「ほら、あんたも来るの」

「……えっ?」

「いいから、早く来て」

 

 キキョウは私の手をひっつかみ、海の家に向かって足を速めた。焦げるような白砂が、彼女の怒りの代弁者のように足を焼いた。

 

 

 

 

 

<2>

 

 

 

 

 キキョウは早歩きで私の手を引き、荷物を預けていた海の家へ一直線。そのまま脇目も振らず、奥のシャワールームへ向かった。いくつかに分かれていたブースのうち、都合よく誰もいない区画へ引っ張りこまれる。

 

 シャッ、と勢いよくカーテンを閉めると、背を向けたままだった彼女は、ようやく振り向く。もう不機嫌を隠す気もなさそうだった。

 

「……はぁ」

 

 水滴がポタポタ落ちる音に、細い溜息が混じる。

 

「先生、今日は……誰とここに来たの?」

 

 湿り気を帯びた声が、小さく揺れている。

 

「キキョウとだけど……あぁ――」

「言わないで」

 

 曇った鏡のような瞳も、かすかに揺れていた。長い睫毛の奥に、何かをしまい込むように――彼女は、見せたくない感情を隠していた。 

 

「ごめんね」

「違う。謝ってほしいわけじゃない」

 

 キキョウはそう言って、口を噤んだ。叩きつけた感情の余波を持て余すように、髪を弄りだす。彼女のフラストレーションが伝播して、胸が締め付けられた。狭苦しいブースに、二つの熱が溜まっていく。

 

「情けないって、分かってる。でも……自分の小ささが、嫌になるの」

 

 震える声に、苛立ちが乗っている。濡れる瞳を隠すように、視線を逸らされる。キキョウは彼女自身に向けて、唇を噛んでいた。

 

「あの子たち、知り合い?」

「いや、知らない子だよ」

「――そう。うん、分かってるけど」

 

 キキョウが平坦に呟き、目を伏せた。あっという間に積もった蒸し暑さに、汗がこめかみを滑り落ちる。

 

「私がいるのに――いや、違う。そうじゃなくて。……はぁ」

 

 そう言うと、もどかしさを堪えきれないとばかりに、彼女はまた溜息を零した。

 

 にこやかなタイプではないけれど、キキョウは考えていることがそれとなく顔に出やすい。特に、怒りとか苛立ちとか、そういうネガティブな感情が。

 

 察して動いてあげるべきか。彼女が打ち明けるのを待つか。

 また一滴、シャワーヘッドから垂れたぬるい水が、タイルを濡らす。

 キキョウの処理しきれなかった感情が、寂しそうに排水溝へ流れていく。

 

 彼女に寄り添いたくても、傷つけてしまいたくもなくて。私の迷いを自身への責めだと思ったのか――キキョウが観念したように肩を落とした。

 

「……白状する。ねぇ、先生」

 

 するり――膝の裏に、毛の感触がした。薄羽織の中から、キキョウの尻尾が脚に巻き付いてくる。体温が重なりあって、蒸し暑さが募る。

 

「よそ見ばっかりしないでさ。――独り占めさせてよ」

 

 キキョウが体重をかけて、胸板に寄り掛かってきた。

 積もり積もった感情を、熱っぽく潤んだ瞳にぶつけられる。

 

「分かった。いいよ」

 

 私はその目を、真っ直ぐに見つめ返した。そこに映る自分を見ながら、大人の理性が、内側からめくりあげられる。

 

 彼女の不安を拭い去りたい――そして、彼女の熱をこの腕に感じたい衝動が、静かに、だが確かに湧き上がる。

 

 私は彼女の薄羽織を、キキョウからそっと剥ぎ取った。

 

[newpage]

<3>

 

 百花繚乱紛争調停委員会――その文字のとおり、調停者である彼女は、ふさわしくない場での情事にきっと葛藤や罪悪感があったのだろう。生徒と肌を重ねる重大な倫理違反を犯す私はそれ以上だ。

 

 葛藤を二人で分かち合うように、唇を重ねる。

 キキョウは私の腕をそっと掴み、爪先立ちになった。

 肌に伝わる体温は、緊張と期待に震えていた。

 トロピカルな日焼け止めの匂いが、倫理の抵抗をゆっくり溶かしていく。

 

「ン……♡ っふ……♡」

 

 シャワーとは粘度の異なる水音が、窮屈な空間に籠る。

 

 少し背を屈めると、彼女の唇が私の唇に触れ、柔らかな感触が広がる。花の蜜を吸うように、啄み合う。湿った呼吸が、テンポを合わせていく。

 

 重なり合う体温に、肌が汗ばんでいく。舌先で軽くノックして合図を送ると、キキョウは一瞬ためらうように瞳を揺らした。だが、ゆっくり瞬きすると、私を招き入れてくれる。

 

 ――くちゅ、くちゅ……

 

 唾液が混ざり合う。ほのかな甘みが広がる。重なり合う体温が、胸の奥をじりじりと焦がしていく。

 

「はぁ……♡ ン♡ んむ……♡」

 

 二人の境界が溶け合っていく。キキョウのザラついた舌が口内を探るたびに、彼女の昂りが高まり、私の鼓動を速めていく。息継ぎの合間に熱く濡れた吐息が聞こえ、衝動が静かに、だが確実に火照って膨らんでいく。

 

 もっと早くこうしてあげたら、彼女が不機嫌になることもなかっただろう。そんな後悔を唾液に溶かしこみ、舌先に乗せて送り込む。唇が離れた一瞬、キッと睨まれたが――架かった銀糸が途切れる前に、同じことをされた。

 

 舌で睦み合う間、体は熱を持っていく一方だ。私の顎先から垂れた汗が、キキョウのデコルテに落ちる。そのたった一滴にも彼女は敏感に反応し、尻尾で私の背中を熱っぽく撫でてくる。ブースの湿気が彼女の髪を濡らし、数本の毛が頬に張り付いていた。

 

「はぁ……♡ はぁ……♡」

 

 猫がにおいを擦りつけるように、キキョウは私にしがみつき、くねくね身を捩る。膨らみを私の胸板で潰し、執着心を訴えかけてくる。ジメジメした窮屈さの中、脚の根元が硬い熱を持ち始めた。

 

「先生、これ……どう?」

「どれ?」

 

 キスの合間に問いかけられ、私が問い返す。キキョウは不満そうに眉根を寄せた。

 

「水着。かなり思い切ったのに、どうして何も言ってくれないの?」

「……感想を口にしたり、じろじろ見たら、怒りそうだと思って」

「そうね。きっとそうする。……面倒くさいって思った?」

 

 キキョウは自嘲するように口元を歪めたが、その眼差しは笑っていた。

 

「そうだね。でも……いい?」

 

 曖昧な私の問いかけに、キキョウは顔を赤らめて小さく頷いた。

 

「ビックリしたよ。キキョウがこんな大胆に肌を見せるなんて」

「…………っ♡」

 

 剥き出しの背中を撫でる。汗を帯びてしっとりした肌へ指を滑らせると、キキョウはぶるっと身を震わせた。唇から漏れる吐息が、個室の湿気に溶けていく。

 

 私の手はさらに下へ。くびれた腰を通り、平らなお腹に触れる。ペットのように可愛がられて、キキョウは、心地よさそうに鼻を鳴らす。

 

 華奢な胴が手の下で熱くなっていき、彼女の期待に思いを馳せる。シャンプーの香りに混じるほのかな汗の匂いを吸い込むと、脚の付け根がムズムズして堪らなかった。

 

「ここまで布面積が小さいと、着るのにも勇気がいるでしょ?」

「はぁ……っ♡」

 

 しなやかな太腿へ掌を這わせながら、尋ねる。搾ったら水滴がぽたぽた垂れそうな、じっとりした吐息が返ってきた。内腿を軽く誘っていると、膝がきゅっと閉じ、きつい眼差しが緩んでいく。

 

 目蓋が下りると、百鬼夜行の生徒特有の「目弾き」が目立つ。その赤が、肩を上下させるキキョウの艶めかしさを強調し、思わず私の手にも力が入った。

 

「気を引こうとしてくれたの?」

「……バカみたい。自意識過剰でしょ」

 

 ぶっきらぼうに返事をしながらも、キキョウの尻尾はくすぐったそうに踊っている。堂々としているように見えたけれど、本当は恥ずかしかったに違いない。そのギャップに、愛おしさが溢れ出しそうになる。

 

「で、どうなの? あんなのより、私の方がいいでしょ?」

「っ……そうだね」

「ふふ。息が荒いよ、先生」

 

 彼女の狙いどおりだった。湧き水のようだった劣情が、どろっと濃密になっていく。少しずらせば乳頭がはみ出す胸元の頼りなさ。雌穴への導線が丸見えの鼠径部。骨盤に引っかけただけの紐。そのどれもが、道徳的な抵抗を押し潰すほど、私を煮やしていた。

 

「はっ、んん……♡」

 

 高級な絹を思わせる生肌を撫で続けていると、キキョウの目つきが蕩けていく。猫耳をぴくぴく震わせ、切なげな吐息を耳元に浴びせてくる。その湿り気に、抑えきれない熱が胸の奥で膨らんでいく。抑圧した掠れ声に、官能を与えたくてたまらなくなる。

 

 性的な部位しか隠せていないこの水着姿。もしも彼女が羽織を脱いで、ビーチを歩いていたら。真っ白な肌を晒し、人々の視線を集めていたら。私の方こそ、彼女以上のジェラシーを爆発させてしまうかもしれない。

 

「ずらしていい?」

 

 悩ましく息を乱す彼女の裸が見たい。

 尋ねておきながら、私はもう水着に指をかけていた。

 

「……勝手に、すれば、っ」

 

 ずり上がるビキニトップを、キキョウは羞恥に耐えながるように黙って見送る。ぷるっと乳房が弾み、かろうじて隠れていた美乳が露になる。確認も取らずに掌で持ち上げたが、彼女は甘い息を漏らしただけだった。

 

「……っ♡ ん……♡」

「キキョウ、声は抑えてね」

「うっ、うるさい……」

 

 唇をぎゅっと結んで、キキョウが私を睨んだ。その鋭い目つきが愛おしい。キツい言葉も、ただ恥じらいを誤魔化そうとしているだけなのだから。

 

「ふうっ……ふうっ……♡ ふ~っ……♡」

 

 掌から僅かに溢れる、嬉しいサイズの美乳を捏ね回す。ホットミルクを注いだ水風船。そんな幸せな柔らかさだった。

 

 体を許してくれるというだけで、キキョウの意思は明らかだ。手の甲で口元を隠し、甘い声を吐息に溶かそうとする。その様はいじらしく、意地悪したくなってしまう。汗ばむ乳肉の先端へ、指先を忍ばせた。

 

 ――くにっ♡ こり……♡

 

「ひ♡ っ、ァ♡」

 

 小さめの乳輪は既に硬く、乳頭は言わずもがなだった。いつからこうだったのだろうか。問いかけてみたかったけれど、このまま喘がせたい思いが勝つ。

 

「く、ふーっ♡ ふっ、んっ♡」

 

 乳頭を優しく引っ掻く。指の腹を何度も往復させ、時折根元を爪弾く。カチカチに尖った乳首を甘くしごくと、彼女の肩がびくっと跳ね、吐息が一瞬止まった後、堪えきれない声が喉から漏れ出てくる。

 

 瞳を潤ませ、嬌声を必死に押し殺し、キキョウはしきりに内股を擦り合わせている。彼女の震える唇や小さく漏れる声に、私の理性が焦げていく。

 

 狭い空間で、生肌が擦れ合う。蒸し暑さと興奮に噴き出す汗は、どちらのものかも分からないまま肌をヌルヌルにしていく。このサウナのような湿気は、蛇口を捻れば瞬く間に解消されるだろう。でも、私もキキョウも、そうしなかった。

 

 口付けを交わしながら乳房を弄んでいると、尻尾が背中から離れた。そして、私の右手に巻き付いてくる。ぐいっ、ぐいっと下に引っ張って、次のステップを催促する。

 

「……先生」

 

 浅い呼吸で、もどかしそうにキキョウが急かす。抑圧的な彼女の理性を、情欲が上回りつつあるのだ。瞳は情欲に潤み、唇を閉じられていない。首元がほんのり桜色に上気していた。

 

「下もしてほしいの?」

「――いいから、さっさとして……!」

 

 口ごたえするようで、キキョウは愛撫をねだっている。現に、胸から離れ、臍の下へ滑り込む手を、彼女は固唾を呑んで見守っている。もどかしそうに目を潤ませる彼女を見ていると、欲求不満を満たしてあげたくなる。

 

 下腹部を押し付けられて、ぐぐぐっ……と肉竿が持ち上がる。亀頭が太く膨れ、水着の裏地に擦れて膝が揺れた。早く挿れたい。この硬い欲望を雌穴に納めたい――逸る気持ちを指先に乗せて、ビキニパンツの内側へ侵入した。

 

 ――ぬちゅっ♡

 

「あゥ……♡」

 

 鼠径部の様子から想像したとおり、陰毛はしっかり処理されていた。手触りは滑らかだ。隙間が開いた瞬間、ローライズの内側からむわっとメスの発情臭が立ち上り、ドロドロの愛液が中指を濡らす。

 

「くは♡ は、っひ♡ ふぅぅぅっ……♡」

 

 陰唇をくちゅくちゅ擦ると、キキョウは嬉しそうに喉を反らした。ますます呼吸が乱れていく。懸命に喉を閉じているせいか、声をあげられなくて苦しそうだ。それでも次の刺激を待ちきれないのか、私の指へ腰を擦り付けてくる。

 

 ――ずぷ♡

 

「~~~っ♡」

 

 入口に中指を押し当てると、そのままずるっと呑み込まれた。しとどに濡れた粘膜が吸い付き、奥へ引き込もうとしてくる。

 

 息を乱すキキョウははしたなく腰を揺らし、もっと強い刺激を欲しがっている。それを分かった上でわざとのろのろ出し入れすると、恨みがましい目が私を睨んだ。

 

「あんた……!」

「激しくしたら、痛いかもしれないでしょ?」

「それは、そうだけどッ」

 

 ――ぬち♡ ぬちゅ♡ ちゅぽ……♡

 

 私は指の動きをさらに緩やかにし、入口だけをねっとりとしごいた。キキョウの反応を、一つ一つ味わうように。じれったそうな息遣いに、焦燥感が透けて見える。

 

「は……んっ♡ ねぇ、ちょっと……♡」

 

 キキョウはくねくね身を捩っては鼻を鳴らす。肩を上下させて浅く息を吐き、私の手に巻きつけた尻尾に力が入る。少しだけ挿入を深めて、膣天井に探りを入れた。

 

「……っ♡ そこ……♡」

 

 指を「く」の字に曲げてくすぐると、少しだけ感触の違うスポットがある。そこを指先で甘く掻いてやると、喉の奥から押し殺した声が漏れた。掠れた声は懇願するような響きを帯びている。イきたくなっているのだろうか。あまりの愛らしさに、悪い笑みが零れた。

 

 しばらくそうしてイイ所を愛でていたが、私は手を止め、彼女の期待にブレーキをかけた。指を入口付近で遊ばせ、奥へは決して進まない。頬を上気させながらキキョウはまた私を睨もうとした。だが、その目つきは緩み、力が入っていない。

 

「先生……勿体ぶらないで……」

「焦らされるのは嫌?」

「見れば、分かるでしょ……!」

 

 言葉には棘があるけれど、さっきから二本の尻尾がしきりに甘えてくる。無意識なのか、意思表示なのか。どちらにしても、気持ちよくなりたがっている。そう思うと、私の理性が焼ききれそうだった。このままでは、こっちまで焦れてしまう。

 

 ――ぬぷっ♡

 

「くぁ♡ あっ、は……♡」

 

 中指をゆっくり奥へ滑らせると、彼女の内側が歓迎するようにぎゅっと締め付けてきた。手首を前後させて抜き差しすると、ブースに淫らな水音が響き、キキョウの腰がカクカク揺れる。

 

 ――つぷっ♡ つぷっ♡ つぷっ♡ つぷっ♡

 

「っ♡♡ っう♡ あぅっ♡ ふぅ♡ うぅぅぅっ……♡」

 

 ビキニパンツに潜った右腕を、キキョウが掴んだ。尻尾と共に、ぎゅうっと握り締めてくる。太ももが小刻みに痙攣し始め、彼女の顎が持ち上がっていく。

 

「せっ、せんせ……♡ いく、いく……っ♡♡♡」

 

 その言葉を合図に、私は指の動きを少しだけ速めた。乱れた呼吸が浅く鋭くなり、快感に耐えきれずキキョウが首を振る。彼女の内壁が収縮し始め、熱い愛液が私の指を濡らし続ける。

 

 やがて――

 

――ぐちゅっ♡ ずぷぅっ♡

 

「ンッ♡♡♡ くっは、ぁ……♡♡♡」

 

 キキョウの身体が一瞬硬直し、背中が弓なりに反った。すんでの所で、叫ぶのだけはこらえられたようだ。指を食いちぎらんばかりに締め付け、太腿が私の腕を挟み込む。溢れ出した蜜が私の指を伝い、床の水溜まりを広げていく。

 

「っう……あ……♡♡」

 

 力なく、キキョウが壁に寄り掛かる。頬も耳も真っ赤に染まり、彼女はエクスタシーの余韻に顔を蕩かしている。

 

 彼女の呼吸が落ち着きを取り戻し始めた頃、私は指をゆっくり引き抜いた。膣口から抜き取っただけでまた軽く達してしまったのか、汗の滴が浮いた肩がぴくりと震える。水飴のような愛液が糸を引く。私の指は、キキョウの興奮でベタベタだった。

 

「大丈夫?」

「ぁ……ん♡」

 

 頬を撫でてあげるつもりで、うっかり愛液まみれの指を差し出してしまった。だが驚くべきことに、キキョウはそれをぱくりと咥えこみ、ちゅうちゅう吸い付いてくる。思わず私は言葉を失い、されるがままになっていた。

 

 ――ちゅ♡ ちゅっ……♡

 

 熱に浮かされたようにまぶたが緩んでいる。ザラザラの舌が指先の粘液を丁寧に舐め取っていく。無防備に求めてくる彼女が、たまらなく愛おしかった。

 

 今だったら怒られないだろう。ボブカットの黒髪をそっと撫でると、キキョウはうっとりと目を閉じ、猫耳をぴくぴく震わせた。指を引き抜くと、ディープキスをした後みたいに銀色の橋がかかり、ぷつりと切れる。

 

「…………」

 

 キキョウは何も言わない。けれど、彼女の尻尾が私の内腿を探っている。二本の尻尾の片方は、水着越しに「彼女の欲しいもの」を撫で回していた。

 

 欲しがられていると思うと、もう我慢ならなかった。水着を乱暴に引き下ろし、怒張がビタンと下腹部を叩く。血管がミミズのように浮き上がり、太い幹が鼓動に合わせてビクビク揺れている。

 

 先走りが亀頭を濡らしていて、青臭さがぷうんと立ち上り、狭苦しいブースに満ちていく。その匂いを嗅いで、ぼんやりしていたキキョウの目に光が戻る。赤らんだ頬がいっそう濃く染まった。

 

 ――ごくり。

 

 彼女は生唾を呑み込み、亀頭に釘付けになっている。

 私に見られていることも忘れていたが、ハッとして、何度か瞬きする。

 

「……欲しい?」

「――――っ」

 

 欲しい。

 

 掠れる吐息の奥に、そう聞こえた。

 

 まだ快感に揺られているのかもしれない。キキョウの返答は力なかったが、彼女はゆっくりと背を向け、壁に肘をついた。動物の交尾みたいに、体を明け渡される。挿入を乞う体勢を取られて、どく……と鈴口に我慢汁が浮いた。

 

 シミ一つない綺麗な背中に、汗の玉が浮いている。彼女の期待が向かう先を示すように、その雫が肌を滑り落ちていった。

 

「後ろからがいいの?」

「顔、見られたくない……」

「分かった。じゃあ、入れるね」

 

 股布をずらすと、充血したサーモンピンクの粘膜が、すぐに姿を現した。怒張の先端をあてがい、軸がずれないようにキキョウの細い腰を掴む。彼女の体温が掌に伝わり、催した劣情がさらに膨らんでいく。

 

「っ♡♡ い゛……♡♡」

 

 ――ぬるっ♡ ずるるっ♡♡

 

 少し押しただけで、奥まで引きずり込まれた。キキョウの背筋がピンと伸び、足がガクガク震えだす。下腹部を押し込んで膣奥まで到達すると、蜜壺がうねって、きつく締まり上がった。

 

「あゥ♡ っふ、っぐぅぅぅぅ♡♡♡」

 

 苦悶と悦びの入り混じった声で、キキョウが唸った。見下ろすと、踵が浮き上がっている。根元まで咥えこんだまま、びくんびくんと膣襞も痙攣していた。深く挿入しただけで、達してしまったのかもしれない。

 

 でも、彼女が絶頂から下りてくるのをもう待てなくて、一気に腰を引く。

 

 ――ずちゅっ……♡ ぐちゅっ……♡

 

 腰をゆっくりと引き、キキョウの内側をじっくりと味わうように再び押し込む。充血した膣壁が私の怒張を優しく包み込み、熱い粘膜が吸い付いてくる。

 

「っう……♡ っはぁ……ふとい、っ……♡」

 

 苦しそうに息を吐くキキョウ。だが、嫌がるどころか、その肉体はむしろ弾力豊かな尻を押し付け、奥まで貫かれたがっている。誘われるまま尻肉を潰して深々と挿入すると、直に繋がり合う一体感が、多幸感をもたらす。

 

 往復するうちに蜜壺はどんどん陰茎に馴染む。さらさらと揺れる黒髪からはシャンプーの匂いが濃く立ち上る。くびれた腰を掴むと、ナカがぎゅっと狭くなった。彼女を独り占めしたい衝動と、この瞬間が永遠に続けばいいという願いが、胸を熱くした。

 

 ――ずぷっ♡ じゅぷっ♡ ぬる~っ♡ どす……♡

 

「はっ、あ……♡ ぅ、あッ、あ゛ぁぁ……♡」

 

 キキョウは懸命に喘ぎ声を押し殺し、壁に肘をついたまま身体を震わせる。彼女の尻尾が私の腰に絡みつき、まるで「もっと」と訴えているかのように締め付けてきた。うねる蜜壺に求められるまま、私も突き入れる。

 

 キキョウが後背位を求めた理由に、私はいくつか思い当たる節があった。顔を見られたくないのは、彼女の性格を考えれば納得がいく。

 

 それともう一つ。以前、尻尾の付け根を事故で触った時、飛び上がらんばかりに驚いた顔が、私の脳裏に浮かんでいた。

 

「キキョウ」

「えっ……あ♡ あっ♡」

 

 とんとん……とんとん……。

 下腹部をぶつけて、キキョウのお尻を揺らす。

 

「ね、それ……ひっ♡」

 

 肩が大きく跳ねて、真っ白な背中が力みだす。蜜壺の奥が大きくうねった。

 

「もしかして、こうされるのが好き?」

「やっ……♡ ねぇ、だめっ、声出ちゃ――あ゛ぅ♡♡」

 

 猫の特徴を備える獣人。そんな彼女には、これが「効く」ようだ。尻尾の付け根が敏感で、そこを刺激されるのが、本能レベルで好きなのだ。彼女が喜んでいるのは、痙攣する内股と、分泌される本気汁で熱くぬかるんでいく雌穴が、雄弁に語っていた。

 

 ――どちゅっ♡ どちゅ♡ どちゅっ♡

 

「お゛……ッ♡♡ あ゛♡ んっ、ぎ………♡♡」

 

 ピストンを深め、キキョウのお尻に体重をぶつける。尻尾がぴーんと持ち上がり、猫の毛がぞわっと逆立った。抑えた「いく」が吐息の中に聞こえて――蜜道が捻じれ上がる。

 

「っは……っ♡ はう、あぁぁぁ……♡」

 

 全身に緊張が走り、背中に浮かんだ汗が弾けた。膝をがくがく揺らすと、キキョウは壁についた肘へ体重を預けた。首筋がピンクに染まり、膣肉が弛緩してトロけていく。彼女の表情は窺えなかったが、官能に溺れているであろうことは、容易に想像できた。

 

 このまま、もっと悦ばせてやろう。腰を引き、次のピストンへ助走をつけた瞬間――ザーッという音が背後から聞こえてきた。

 

「っ!」

「!?」

 

 二人して息を呑む。隣接するブース、恐らく向かいに誰かが入ったようだ。騒がしい水音がシャワールームに反響し、カーテンの向こうでぺたぺたと濡れた足音もする。

 

 シャワーに遅れて換気扇も回りだして、静寂が塗り潰されていく。蒸し暑いシャワールームに満ちた甘く生々しい匂いが、換気扇の風に乗って吸い上げられていくのが分かった。

 

(……どうする?)

 

 キキョウが振り向き、私と顔を見合わせた。キキョウも息を詰めたように静かになる。緊張が一気に高まり、心臓の音がカーテンの外に漏れてしまいそうだった。

 

「うわ~、パンツの中まで砂だらけなんだけど」

「いいじゃん別に、洗えば落ちるんだしさぁ」

 

 話し声。

 さっき砂浜で聞いた二人だろうか。

 

「お日様ヤバくない? 日焼け止め絶対貫通したっしょ」

「いいんじゃない? いっそのこと黒ギャルとか」

「絶対やだ!!」

 

 賑やかな二人だ。海遊びを満喫しているのだろう。

 それに引き換え、私たちときたら。一人用のスペースに二人で押し入り、汗だくでまぐわっている。

 

 カーテンをめくられたら終わりだ。外から声をかけられたらどうすればいい。頭の中でその瞬間が繰り返され、喉が締め付けられるように息が詰まる。キキョウの瞳にも、明らかな動揺が走っていた。

 

 だがその緊張は、私の興奮をさらに沸騰させた。キキョウも同じらしい。膣がぎゅうっときつくなり、吸い付きが激しくなってきた。腰を引こうにも引かせてくれない。

 

 彼女の内側が私の怒張を刺激し、裏筋を舐め上げるように締め付けてくる。じっとしているしかないのに、その静寂の中で彼女の熱が私を飲み込んでいく。彼女の顔には緊迫感が走っていたが、その瞳の奥には、情事の興奮が滲んでいるのが分かった。

 

「……ねぇ、一ヶ所だけカーテン閉まってる所ない?」

「そだね。……でも、その割には静かじゃない?」

「開けてみる?」

 

 好奇心に満ちた声が反響する。

 

「バカッ、いくらなんでも非常識だよ。お化けでもいたらどうするのっ」

「いるわけないじゃん、お化けなんて。開けてもどうせ何もないって」

 

 ぺた……ぺた……と足音が近づいてくる。

 私の背後で止まった。重い沈黙がのしかかる。

 見つかったら終わり。カーテンが開いたら――

 

「おわっ! ヤバい、ビーチに財布置いてきちゃった!」

「は!? ロッカー使ってないの!?」

「戻ろう! 行くよ!」

 

 ドタドタと小走りで、足音が遠ざかっていく。

 扉の閉まる音がして、再び静寂が訪れる。

 カーテンが、微かに揺れていた。

 

「…………」

 

 二人して、止めていた呼吸を再開した。

 

[newpage]

 

 緊迫からの解放と同時にキキョウの体が弛緩した。カーテンの外を覗こうと私が身を引き、結合が解かれる。

 

「……もう誰もいないよ」

「はぁ……危ないところだっ――」

 

 ビキニがはだけ、乳房が露出した胸。

 裸体の艶めかしさを強調する紐水着。

 水でも汗でもないものでベタベタに濡れた股。

 つい先程まで、怒張を舐め回していた蜜肉が、臍の奥にある。

 

「あ……ちょ、先生っ、あ゛ッ♡♡♡」

 

 ――ぬぷ、ずぬるっ♡♡

 

 脚を抱え、正面から腰を突き入れる。突然交尾を取り上げられた肉穴はあっさり私を受け入れ、待ち侘びたようにきつく締め付けてくる。

 

「ば、バカっ、何考えて、あっ、や♡ 深いっ♡」

 

 キキョウの顔には明らかな困惑が浮かんでいたが、その声は抗議というにはあまりにも甘く蕩けていた。今の一突きでまた軽くイッてしまったらしく、私を睨もうとして睨めずにいる。

 

「大丈夫、動かし方を変えるから」

「そういう問題じゃないっ♡ あぁっ、やだっ♡ 顔、見ないでっ♡」

 

 腰の動きを緩やかにして、彼女の反応を窺う。

 膣天井に亀頭を押し付け、挿入を深めて小刻みに揺する。

 顔の緊張が緩み、抗議が途切れる瞬間を、私は見逃さなかった。

 

「ね……だめ……♡ 前からは、やだ……♡」

 

 彼女の声は震え、顔を背けようとするが、私の視線から逃れられず、頬が羞恥で真っ赤に染まる。だが、本気で拒絶しているわけではないらしい。腰をくねらせ、膣肉を吸い付かせてくるのだから。

 

 私は奥まで挿入したまま、肌の弾ける音が立たないよう腰を揺すった。怒張が彼女の膣壁を擦り、熱い愛液が溢れ出す。彼女の締め付けが強くなり、私の怒張をさらに奥へと引き込む。

 

「ねぇ、ホントに、怒るよっ……♡ あんまり、調子に、のらな……っ♡♡」

 

 ――ゆさっ♡ ゆさ♡ ぬるるっ♡ ぬる♡

 

「あ……♡ はっ♡ んぁ、あぅ……♡」

 

 ――とちゅっ♡ とちゅ♡ とちゅ♡

 

 彼女の一番深い所に、亀頭をぐりぐり押し付ける。

 子宮口に何度も口付け、溢れ出す先走りを飲ませた。

 

「あっ♡ あ゛……あ、奥、っ……♡♡」

 

 抗議の声が、大人しくなっていく。次第に甘い吐息に変わり、私のピストンを迎えるように、腰がヘコつきだしていく。

 

「キキョウ、もう少し、声抑えて」

「あぁ、もう……先生のバカ、っ……♡♡」

 

 蕩けたトーンで私を罵るキキョウ。でも彼女の本音は、腕に絡みつく尻尾が物語っていた。音を立てないように腰を揺すると、吐息の乱れが、困惑から快楽のそれへと変わっていく。小刻みな出し入れのたびに、結合部からぽたぽた蜜が垂れ落ちた。

 

 蒸れた空気の中、ケダモノのような荒い呼吸で交わり合う。換気扇が止まったら、たちまちこの閉鎖空間は汗と性臭で満たされてしまうだろう。

 

「はっ♡ はっ♡ ね、先生、はげし、っ♡」

「可愛いよ、キキョウ。乱れた顔も魅力的だ」

「っっ……♡ あぁ、もう、勝手にしてっ……♡♡」

 

 私の肩を掴んでいた手が、背中に回ってきた。耳元に、荒れた吐息が直に叩きつけられる。万力みたいに膣が締まり上がり、もう逃がさないとばかりに尻尾が腰に巻き付いてくる。

 

 ――ぐちゅ♡ ぐちゅっ♡ ずちゅ♡ ばちゅ♡

 

「んっ、あ゛っ♡ だ、ダメっ、声、我慢できないっ♡」

 嬌声を必死でこらえていたキキョウは、明らかに外へ聞こえてしまう音量でそう零し、私の肩に顔を埋めた。次の瞬間、甘い痛みが走る。

 

「ふッ♡ ぐ♡ んっぐぅぅぅ……♡」

 

 彼女の歯が、私の肌に食い込んでいた。それでも、力まないよう我慢しているのだろう。嬌声を必死に押し殺そうとするその仕草が、逆に彼女の昂りを物語っていた。

 

 腰の動きを速め、雌穴の最奥を責める。彼女の身体が震え始める。片脚は私が抱え、もう片脚もかくかく震えている。私は彼女を抱き寄せ、その体重を預かった。

 

 限界が近づき、尻を掴んで引き寄せる。キキョウは私を放してくれそうにない。私も、彼女を放したくなかった。

 

「キキョウ、そろそろ……っ」

「あ……ねぇ、ナカ、っ♡ このまま……♡♡」

 

 そこまで口にするのが限界だったのだろう。嬌声が喉から飛び出る前に、キキョウは唇を重ねてきた。

 

 渾身の力で腰を打ち付ける。肌の弾ける音が反響したが、もう関係なかった。キキョウの下腹部に情熱をぶつけ、怒張を押し付けて子宮を押し潰す。その瞬間、灼熱がせり上がってきた。

 

 ――どくん♡ ぶびゅっ♡ びゅるるるるっ♡ どく♡ びゅばっ♡ どぷ♡

 

「ン゛♡ い゛っ、ぐ♡ っっ♡ お゛ぅ~~~~~~~♡♡♡」

 

 宙でもがくように、キキョウの爪が私の背中を掻きむしる。私の腕の中で白い喉を晒して、絶頂に身を震わせる。

 

 怒涛の射精が膣奥へ注ぎ込まれ、脈動一回ごとに華奢な胴が跳ねる。汗に溶けてそのまま一つになってしまうような一体感の中――私は一滴残らず、キキョウの膣に濁流を注ぎ込んでいた。

 

「ん……んぅ……♡ は~♡ はふ、んふ……♡」

 

 身を駆け巡るオーガズムに溺れるキキョウが、必死にキスを求めてくる。密着した乳房越しに、速い鼓動が伝わってくる。彼女がどれだけ興奮していたのか、そのテンポが物語っていた。

 

「ぷは……♡ はぁ、はぁ……♡」

 

 唇に、長い銀糸が架かった。交尾の熱にゆっくりとたわみ、ぷつりと途切れる。 回り続ける換気扇の音に、二人分の荒い息が吸い上げられていく。こんなに息を乱していては、カーテンの外までもう漏れてしまっていただろう。

 

「お……お腹、あつい……♡」

 

 艶めかしく蕩けた声。夢見心地なキキョウは、恍惚と顔を緩めている。膣内を満たす精液の熱を味わうように、膣襞がしゃぶりついてくる。

 

「……よかった?」

「うん……すごく……♡」

 

 ペニスの脈動がようやく収まったところで、キキョウが尻尾を緩めた。それを合図に、ゆっくりと腰を引く。白く泡立った本気汁と、私のぶちまけた劣情。

 

 ――ぬぽ……♡

 

 幾筋も糸を引きながら怒張が抜け出し、射精の余韻に胴を震わせる。私の太さにぽっかり開いた穴がひくひく蠢き、名残惜しそうに閉じていく。穴の縁から零れ落ちた体液のカクテルが、タイルに広がった愛液の水溜まりを白く濁らせていった。

 

 しばらく抱き合い、情事の熱をクールダウンさせる。こんなに蒸し暑いシャワールームでは、なかなか火照りが冷めないが、まだこの心地よさに浸っていたかった。

 

 キキョウもそれは同じようで、目をとろんとさせてまだ気持ちよさそうだ。何度か軽いキスを交わしていると、やがて彼女が我に返り始める。その途端、眼光が鋭さを取り戻した。

 

「……なんで続けたの」

「えっと……」

「バレたら、どうするつもりだったの」

 

 私を詰問するトーンは、やや後ろめたそうだった。彼女だって、発覚しそうになるスリルに愛液を溢れさせていたのだ。

 

「ごめん。キキョウに夢中になってて、我慢できなくて……」

「……!」

 

 〝ごめん〟の後を考える前に私がそう口にすると、キキョウは大きく目を見開いた。

 

「……ふぅん」

 

 白さを取り戻しかけた肌が、また赤く染まった。キキョウは黙って、髪を弄り始める。長い睫毛がしきりに瞬き、二本の尻尾が波を打つ。

 

 ちら、ちらと何度か視線を外しては、意味ありげに合わせてくる。何か言いたそうにしていたが、整理がついたとばかりに、ようやく小さく息をついた。口元が綻んでいた。

 

「いいよ。許してあげる」

 

 キキョウは私の肩に鼻を埋め、ぺろぺろと噛み痕を舐め始めた。

 

「痛かった?」

「いや、大丈夫だよ」

「……なら、よかった。ふふ、マーキングしちゃったね」

 

 満足気な彼女の舌が傷口をなぞるたび、痛みと温もりが溶け合い、私の心に静かな波を立てる。彼女の愛がそこに宿っているようで、胸の奥がじんわりと熱くなった

 

 もう少しこうされていたい、と思ったが、やがて顔が離れていく。名残惜しさを覚えていると、まだ熱を帯びた視線が私の下腹部に注がれた。

 

「こっちも……」

 

 柔らかな声で呟いて、キキョウが私の前にひざまずく。練乳とシロップをぶちまけたような、ヌラヌラのペニスに手が添えられた。

 

 ――ちゅっ♡

 

「っ! え、キキョウ」

「じっとしてて」

 

 上目遣いでじっと私を見つめ、彼女は柔らかな微笑を浮かべた。視線を外すことなく、舌を伸ばして粘液を舐め取っていく。慈しむ舌遣いはくすぐったくて、思わず声が出てしまう。

 

「べっ、ベトベトだけど」

「いいの。隅々まで、綺麗にしてあげるから」

 

 ――ちゅ♡ ちゅっ♡ れろ……♡

 

 キスの雨が降る。傘裏の溝や、裏筋の皺まで、ザラついた舌が丁寧に掃除してくれる。吐精の直後で脱力しかかっていたペニスに、芯が入っていく。快感そのものよりも、もっと穏やかな悦びが、海綿体を膨らませていた。

 

「ふふ。どうしたの、またおっきくして」

「いや、その……なんだか嬉しくて」

「……ふぅん、嬉しいんだ」

 

 私の言葉を反芻すると、一瞬だけ照れ臭そうな流し目を見せて――キキョウが髪を掻き上げた。

 

「あっ……!」

 

 ――ちゅる♡ ちゅぽっ♡ ちゅうっ……♡

 

 大きく口を開け、嫌な顔一つせず、キキョウがペニスを咥えこんだ。頬を窄めて吸い付き、尿道の中身が啜り取られる。所在なく下げていた私の左手をぎゅっと握ると、舌で裏筋をくすぐりながら、ペニスが抜き取られる。

 

「続けてほしい?」

 

 彼女が囁く。その間も、指が竿に絡みつき、根元からゆっくりとしごきあげる。裏筋をくすぐられて、思わず腰が跳ねてしまった。

 

「……ぜ、ぜひ」

「分かった。出ちゃう時は、ちゃんと教えてね」

 

 目を細めて優しく笑うと、キキョウはゆっくりとフェラチオを再開した。息継ぎするように口を離すと、何度もキスしてくれる。咥えこむと、歯が当たらないよう丁寧に、粘膜で亀頭をくるんでくれる。

 

 そんな甘く蕩ける愛撫を、キキョウはじっくり続け――私は彼女の口内で、天にも昇るような瞬間を迎えさせてもらった。

 

 

 

<4>

 

* * * * *

 

 噛み痕に絆創膏を当ててもらい、背中に一つだけ残った引っかき傷も消毒してもらい。そうしてパラソルの下で再開された対局は、私の投了であっさり幕を閉じた。

 

 沈みゆく夕日が、影を長く伸ばしている。思えばこの勝負は、最初からキキョウの掌の上だったのだろう。技術的にも、精神的にも。

 

「……参りました」

「まぁ、割と長持ちしたんじゃない? お疲れ様」

 

 駒を手際よく片付けながら、キキョウは淡々と言った。でもその声のトーンは、西日のように柔らかくなっていた。

 

 沈みゆく太陽が、一日の熱を引き取って、水平線の向こうに消えていく。さっきまでのぎこちなさが、砂の上にほどけていく。

 

「先生」

 

 そう呼ばれて、顔を向ける。キキョウの肩を、羽織っていた薄羽織がそっと滑り落ちていく。黄昏の光を浴びる肌が、静かに輝いていた。

 

「せっかく海に来たんだし、波打ち際ぐらいには行かない?」

「……うん、行こうか」

 

 ビーチサンダルを履き直す私の前を、キキョウが歩き出す。差し伸べられた手を取って立ち上がると、さっきと同じように、二人の女生徒たちが視界を横切った。

 

 気を抜いた一瞬、またもやフリルに視線を誘われた。「ごめん」を舌の根元にセットして、恐る恐るキキョウの顔を窺う。でも彼女は何も言わず、ただこちらを見つめ返すだけだった。

 

「どうしたの?」

「いや、ちょっと、よそ見を……」

「――ああ」

 

 キキョウは遠くの空に目を投げかけ、自分と向き合うようにしばし黙り込む。彼女の背後で、二本の尻尾が静かに波打っていた。潮がひとつ引いたあと、彼女の指がそっと、私の掌に絡んできた。

 

「別にいい」

「えっ?」

「それより、ほら。寒くなる前に、少し遊んでいこう?」

 

 パラソルの外に踏み出す。キキョウの方が、一歩先だ。紺色に染まっていく空が、静かに私たちの夏を見届けていた。

 掌の温もりだけが、まだ昼の名残を留めていた。

 

 

 

 終わり




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