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あたたまりポイント
極地のようなあまりにも寒すぎる所では、病原体も生きていけず、人は風邪を引かないそうだ。だからきっと、吐いたそばから息が凍ってしまうような氷海にあって、私は震えていても、きっと風邪で寝込むことはないだろう。低体温症や凍傷の心配が先だ。
それなのに。
「あの、えっと、エイミ……?」
何度目を凝らしても同じだ。
和泉元エイミは、平然と生肌を晒している。
さすがに氷へ直接素肌を触れるのを避けるためにブーツは履いているし、マフラーだって首に巻いている。だけど、ピンクのダウンジャケットはファスナー全開で若干はだけているし、その下はアンダーシャツも着けず、布面積の少ない黒ビキニ水着だ。確かに彼女の水着を選んだのは私だけど、まさか氷海の調査に着てくるなんて、一体どこの誰が想像できるだろうか。
先行調査ということでトキとヒマリはまだこの場に来ていないが、二人とも今のエイミを見たら絶句するに違いない。
「いい天気だね。とっても涼しい」
「……今、何て?」
「涼しいよね」
「涼しい!?」
「最高だよ。除雪作業で動いてちょっと暑いけど、クーラーも扇風機もなくても屋外で過ごしやすいなんて」
「首にマフラーまで巻いて、防寒仕様なのかな、と思ったんだけど」
「マフラー? これはネッククーラーだよ。巻くと涼しくなるヤツ」
「えぇ……」
言葉を失う私に対し、口元を緩めてエイミはご満悦だ。彼女の暑がりっぷりは常軌を逸しているけれど、私の理解を遥かに超えている。
吐く息が白いのは、エイミも同じ。彼女の周りだけ謎の技術で暖かいなんてこともない。私と彼女が感じている気温も同じのはずなのに、凍える私との違いは一体どういうことだろうか。
「明日の調査では海に入れそうだね」
「……入るの?」
「当然だよ。せっかく水着も着てきたんだから」
スコップで雪を掬って、脇に除ける。そのたびに、たわわという言葉では足りない圧倒的なボリュームが、たぷん♡ どゆん♡ と重たく弾んでいる。はだけた制服姿と露出はさほど変わらないが、むっちりした体を包む布地の、なんと頼りないことだろう。黒ビキニは身に着けているというより、ずしっと存在感を放つバスケットボールみたいな半球の表面に、悲鳴をあげながらへばりついているといった具合だ。
「……おっと」
"だっっっぽん♡"
足元のペンギンに気づいてステップを踏んだ瞬間、直下型地震がエイミの胸元で起こった。顎の下まで両胸の肉が持ち上がり、重力に引かれれば今度は臍を隠す。思わず目を奪われて、慌ててあらぬ方向へ首を振ったが、エイミは目を細めていた。
「先生、どこ見てたの?」
「あぁ、いや、そのっ、ごめん。目のやり場に困っちゃって」
「私は困らないから、好きなだけ見たらいいよ」
顔色一つ変えず、エイミが言った。
私の狼狽にも彼女は目敏く気づいていて、露出をまるで隠そうとしない。編み込みを解いたピンクのポニーテールが、ふわっと空中に広がり、さらりと肩を流れる。
「……ふふ」
ビキニパンツの紐を解いたらどうなってしまうのか――。危うさを見せびらかすようにエイミの右手が内腿をなぞり、肉付きの良さに反してすっきり細い腰を登り、今にも零れそうな乳房を掴んだ。正確には、彼女の掌には収まるはずもなく、掴めていないのだが。
ああ、一体どこでこんなことを覚えてきたんだろう、この子は。頭を振って煩悩を払い、スコップを握った。
それにしても手が冷たい。さっきの小休止でペンギンが右手の分だけ持ち去ってどこかへ行ってしまったせいだ。海に飛び込んでいく彼らが遠目に見えた時点で、追いかけるのは諦めた。体を動かし続けていればきっと温まる。そうだ、一心不乱に打ち込んでいれば。
それでも、真っ白な雪原という冷え冷えする光景に、髪もにヘイローもジャケットもピンクという暖色がよく目立って、視界の端にちらちら入り込んでくる。その度に、だぷだぷ揺れる胸元や、制服姿では隠されていたギリギリの鼠径部を脳裏にありありと思い描かれてしまう。
頭の火照りとは裏腹に、手が一向に温まらない。吐息を当てて誤魔化していると、ザクザク足音を立ててエイミが近付いてきた。
「手が冷たいの?」
「うん。手袋を持っていかれちゃったからね」
「じゃあ、こうしたらいいんじゃない?」
右手が取られた。
素手で作業しているのに、エイミの手は温かい。
あぁ、これぐらいなら、と思っていたら――
"ずぼっ♡"
「!?!?」
「あ、ひんやりしてて、気持ちいい」
「なななっな、エイミさん!?」
私の手が埋まっていた。
黒ビキニの間、深々とした谷間に。
「ちょ、エイミ、ダメっ」
「先生、ステイ」
「でもっ」
「いいから。手が冷たい先生はここで暖を取って、ちょっと汗ばんできた私は先生の手で涼を取る。これは理想的な熱交換だよ」
手を引き抜こうとしたけれど、手首をエイミにガッチリ掴まれていて、私の貧弱な腕力ではぴくりとも動かない。何を考えているのか謎めいたいつもの表情で、エイミは私を見上げてくる。167cmの長身もあって、顔が近い。淡いルビーのような瞳にじっと覗き込まれて、この極寒の中で顔に火照りを覚える。
「さぁ先生。もうちょっと深く突っ込むといい。もっとあったかいよ」
「え、遠慮して――」
"ぐいっ"
"ずぶぶぶ……っ♡"
「うぉぉぉ……っ」
「今は効率最優先だよ」
とうとう手首まで飲み込まれてしまった。それにも関わらず、指先には胸骨の硬さが感じられない。何という深さだろう。ぐにゅぐにゅの途方もない柔らかさが皮膚に吸い付き、包み込んでくる。理性がけたたましく警鐘を鳴らし続けるが、かじかんでいた手がじんわりと体温にほぐされる心地よさに、意識が絆されてしまいそうだ。
「先生の手、温まってきたね」
「それは、そうなんだけど」
「ほら、言ったでしょ。私も涼めてるし、いいことづくめだよ」
「そう、なのかな……」
"……むにゅ♡"
魔が差して、手を動かしてしまった。
その刹那、エイミが口角を上げる。
「……興味あるの?」
「うっ……」
「重くて邪魔だけど、先生の興味を惹けるなら効率的かな。いいよ、好きに触って」
「そう言われると……」
「素直になった方が理に適ってるよ。ほら、ほら」
私がまごついていると、エイミが体を擦りつけてきた。
"もにゅ……ぐにゅっ♡"
こちらが指を曲げ伸ばししなくても、真っ白な乳脂肪の塊が掌や指先どころか、手首までもみくちゃにしてくる。温もりの溜まった柔肉がもぐもぐと私の右手を咀嚼して、得も言われぬ幸福感が肘から肩へ上ってくる。その反応を見て、エイミがぽつりと呟く。
「……作戦成功かな」
ぽつねんとした無表情に、不敵な笑みが浮かんだ。
”たぽっ♡ たぽっ♡”
膝を曲げ伸ばしして上下に揺らしたり。
体を捩じって左右に揺らしたり。
"ふにゅん♡ むにゅん♡"
地震の中で、私の手が揉まれている。
もっちゃりした感触がじんわりと広がり、極上の柔らかさと温もりが全身に伝わっていく。
"むにゅうっ……♡"
"ずりゅっ……♡"
「え、エイミ。もう十分だから、そろそろ」
「そう? まだまだ温まってていいのに」
"むぎゅうぅぅっ♡"
両腕でギュッと膨らみを寄せると、掌がギチギチに締め付けられた。そのまま上下に揺さぶられると、パイズリを思わせる挙動に腰の奥が疼きだしてしまう。知らずにやっていてもタチが悪いし、知っててやっているのならなおさらだ。
「先生にとっては寒いんだから、しっかりぽかぽかにしないと、効率悪くなっちゃうよ」
"ぐにぃっ♡ だぷんっ♡"
"ぐりゅっ♡ ぐりゅっ♡"
エイミが繰り返し、おっぱいを押し付けてくる。
甘い感触を脳に刷り込んでくる。
快楽物質が私の脳を追い詰めてくる。
ほんのりと頬が赤らんでいるのが見えた瞬間、私はいるかどうかも分からない神に祈る心地だった。
そうやって、大きすぎる乳肉に掌を揉まれ続けていると――
"だぷっ♡ だぷっ♡"
"――ずるんっ♡♡"
「あ」
張り詰めていたビキニトップが、ずるんと捲れ上がった。
"ぷるんっ……♡ たぷ♡"
引っ張られて持ち上がった乳白色の餅が弾む。
エイミの色とでもいうべき甘そうな色の乳頭。
その乳首が、黒い生地の裏から滑り落ちた。
「見えちゃった」
エイミは上半身のヌードを晒しても全く頓着しない様子だ。むしろ乳首の存在を見せつけるみたいに、相も変わらず体温のこもったほかほかミルクタンクを揺らして擦りつけてくる。
――もうダメだ、我慢できない!
その瞬間、ほんの僅かなスキができた。
辛うじて手を突き出し、エイミと距離を取る。
「もう、十分温まったから」
「あ……」
「ありがとう。そろそろ日が暮れるし、戻ろう。さぁ、服装を直して」
「……はぁい」
なけなしの理性で振り絞った真剣なトーンを感じ取ったのだろう。エイミはちょっぴり残念そうにしていたが、パツパツの生地を手繰り寄せ、水着を着直した。あっという間すぎて、背を向ける暇すらなかった。
依然として目のやりどころには困るが、エイミの服装は整った。だけど、直前まで丸出しだった生おっぱいがいざ水着に隠されてしまうと、「この奥にはあのピンク色が……」なんて、頭のどこかで勝手に考えてしまう。
嘘みたいに温かくなった右手で己の頬を叩き、荷物を担ぐ。安全確保のために、銃を携えたエイミが前に立つ。前線基地として使うことになるロッジへ足を向ける道中、なるべく視線を逸らし続けていたけれど――。
さらさら揺れるポニーテールの奥に見えるうなじ。中途半端にはだけたダウンジャケットから覗く肩。そのジャケットの裾で隠せずに揺れるお尻。ふくらはぎの曲線が綺麗な脚。
大胆過ぎる水着姿のエイミは、どこもかしこも目の毒だった。
* * * * *
ほかほか。
すべすべ。
ふわふわ。
たぷたぷ。
ふにふに。
エイミのおっぱい。
エイミのおっぱい。
エイミのおっぱい。
ロッジに戻る前に立ち寄った食堂でカレーを掻きこむ。スプーンをどれだけ握り締めても、右手から
結局、食べ終えるまでカレーの味はよく分からなかった。口の中に残ったのは、スパイスの刺すような辛みだけ。エイミは何を考えているやら、それを読み取ることはできなかった。だが、彼女が少し浮かれ気味なのは、何となく分かった。それとも、そういう風に見えるのは、私をからかっているからかもしれない。
明日になったら、トキとヒマリも調査隊に合流する。予定されていた前日作業は大方終わっていたとはいえ、外の天気が急変して吹雪いたりしたら、雪かきもまたやり直しかもしれない。
早く寝よう。ロッジのお風呂では温水が出たおかげで、ある程度は温まり直すこともできた。
……それはよかったのだが、いざ寝室に入って寝る支度を整えようとすると、やたらと空気が冷たいことに気づく。お風呂でじっくり体を温めたはずなのに、体が冷えるのも妙に早い。もしかして、いやまさかそんなことが。エアコンの電源がいつの間にか切れていて、リモコンで暖房を入れようにも反応がない。
「……ん?」
≪このロッジは夜間になると節電のためエアコンによる暖房が機能しなくなります≫
「なんだって!?」
リモコンの裏面に書かれていた注意書きに、今さら私は気づいた。そして悟った。ここのレンタル料が妙に安かったわけだ。オール電化のロッジで妙に先進的だと思ったが、自前で酷寒の夜を乗り切れる宿泊客向けの、格安料金プランだったのだと合点した。
氷海地域で暖房なしに夜を乗り切るなんて、いったいどうすれば。いや、こう考えている時間ももったいない。まだ体に風呂上りの熱が残っている内に、寝てしまおう。エイミもこの時間ならもう眠っているだろうし。
「……さぶ……」
すぐに寝室に入って毛布にくるまり、布団を肩まで引っ張り上げてみたけれど……一向に温まってきた気がしない。それどころか、手足の先がどんどん冷えていって、ちょっとでも温めようと手を擦っても心許ない。こんなことになるなら、風呂から上がって一目散にベッドの中に駆け込むべきだった。
後悔しても遅い。シャーレで徹夜している時はあんなに疎ましく思っていた睡魔が、今はただただ恋しい。眠れと念じればすぐに眠れるのであれば、人間はどれほど睡眠時間を適切に管理できることだろうか。
――ダメだ。何か体を温める手段を……。
そうだ。確か、携帯用のガスコンロが置いてあったはず。水道管が凍り付いていなければ、白湯を飲んで暖を取れるはずだ。最悪、意を決して少しだけ外に出て、雪を鍋に入れて溶かせば――よし、水は出た。
「……ふぅ~」
フリーズドライの具がお湯にほどけていく光景が、頭に思い浮かぶ。唇をあてがい、口の中を潤す。喉を通って胃袋まで熱が行き渡る。マグカップに入れた、文字通り何も入れていないただのお湯がこれだけ美味しく感じるとは。
とはいえ、指先や足の先は凍り付くようだ。もう一杯沸かすべきだろうか。お湯が沸くのを待つ間に冷えてしまうかもしれない。私がカップの残りを飲み干すと、ひたひたと近づく足音が聞こえた。
「……先生?」
「エイミ……って、その恰好」
「うん。寮では寝る時は何も着ないんだけど、今夜は先生がいるから」
エイミは水着姿のままだった。なんでも、下着でいるよりも通気性がよくて、本人曰く効率がいいらしい。この薄着ぶりにはもう突っ込みを入れるだけこっちが寒くなるだけだ。
「どうしたの? もう夜も結構いい時間だけど」
「あぁ、寒くて眠れなかったんだ。夜間に暖房がつかないなんて、信じられないことだけど」
「私も眠れなくて、ちょっと困ってたんだ。……ねぇ先生。このロッジ、他より温かい所があるから、そこで寝たらどう?」
「本当に? それはありがたいね」
「うん。案内するよ」
既に足元から寒さが上ってきていた。私は自分の体を抱き締めながら、震えを我慢してエイミについていった。スリッパの足音が、廊下の向こうへ吸い込まれ、そのまま凍っていく。程なくしてエイミはドアを握り「ここだよ」と私に目配せした。
「……他の部屋と、特に変わらないような――おわっ!?」
突如として、体が浮き上がった。
一体何が起こったのか、状況が分かる前に――
"どすんっ!"
私はダブルベッドに沈められていた。
「え、エイミっ!?」
「さあ、上着は脱いじゃおう。外からの熱が伝わらないから」
何が起こったのかを悟る前に、寝間着の上に着ていたコートが剥ぎ取られた。刺すような冷気を脳が予感したが、それを上書きするように、背中が熱に包まれる。
「ちょ、エイミっ、これは」
「捕まえたよ、先生」
私はどうやら、背後から抱きしめられているらしい。細腕からの怪力で、全く身動きが取れない。
「これで抱き枕を確保できた」
「抱き、まくら……?」
「うん。寮で使ってたのを、持ってくるの忘れてて、困ってたんだ」
抱き枕が無いと眠れない。エイミはそう呟いて、両脚を絡みつけてくる。掛け布団が被さってくると、私より先にシャワーを浴びていた彼女の、風呂上り特有のシャンプーが急激に濃密になった。
「あの、エイミ? もしかして温かい所って」
「うん、
「…………」
少し頭を働かせれば容易に分かることだった。氷海での作業中にされたことが、凍える頭からすっかり抜け落ちていたのに気付き、私は頭を抱えたくなった。もっとも、頭を抱えるための手は、背中から腕を回してきたエイミに握られてしまっているけれど。
「手足が冷たいね、先生。冷え性?」
「……これだけ寒ければ、誰だってこうなるよ」
「でも、安心して。こうして一緒に寝てれば、先生もぽかぽかになるから」
「いや、でも、これはまずいって」
「私は抱き枕があって安眠できる。先生も凍えずにすやすや眠れる。いいことづくめのベストソリューションだよ」
土踏まずに足の甲を擦りつけてくる。
手の甲越しに指が絡みついてくる。
うなじに触れたのは頬だろうか。
すべすべして滑らかな質感が触れ合い、素肌がじんわり温まる。体に当たる所を意識しだすと、背中に押し付けられた強烈な重みが存在感を強調しだす。寝間着の布地越しでも伝わってくる温もりと、柔らかな質感。
「あの、エイミさん? 背中にすっごいのが当たってるんだけど」
「当てないとあったまらないでしょ?」
あっけらかんとエイミは言ってのけた。ますます密着して、背中で大質量の肉がぐにゅっと潰れる。
こんな凶悪な肉体にぴったりと密着されて、何も感じずになんていられるはずもない。ただでさえ、昼間目にしたセミヌードが脳裏に焼き付いているというのに。
コタツの中みたいに快適な温かさに、理性が緩んでいく。首筋に吹きかかる吐息は甘く湿り、私の獣欲を促しているみたいだった。
「よいしょ」
「っ!?」
「これで寝る体勢になった。途中で逃げないでね、先生」
「これじゃ逃げられないし、逃げる気もないよ……」
手が解放されたと思ったら、お腹に腕が巻き付いてきて、固定されてしまった。足首を引っかける形で両脚もガッチリ極まっている。その上で丸太よろしく後ろから抱きかかえられていれば、逃げる努力は徒労に終わるだけだ。
このままエイミがすぐに寝息を立ててくれますように。これ以上何もされないと分かれば、疼く下半身に何も起こらずに済む。あるいは、温度のことだけを考えれば快適この上ないのだから、私が先に眠ってしまえばよい。羊でも数えるとしよう。
……ところが。
「……ふ~」
耳に息がかかる。
ぷにぷにの頬が首に当たる。
解けたさらさらの髪が頬をくすぐる。
「は~……」
両手がお腹をすりすり撫で回す。
甘えるように脚がじゃれついてくる。
「……んん」
少し身を捩る度に乳肉が潰れる。
……こんな具合に、冷静になろうとする理性がガリガリ削り取られていく。手に感じていたあの柔らかくて幸せな重みがフラッシュバックして、布団に籠る濃密な匂いにクラクラする。大人の道徳心を嘲笑うかのように、ズボンの中はガチガチだった。
それでも、エイミの呼吸がだんだん一定になってきた。そろそろ夢の世界へ旅立ってくれただろうか、と安心したのも束の間。
「……っ!!」
背筋が震えた。
エイミの指が、太腿をなぞり始めたのだ。しかもただ撫でるだけではなく、弾力を確かめるように揉んでいる。腕でぐっと抱き寄せられて、女体の瑞々しさが否応なく伝わってくる。
――あぁ、まずいまずいまずい……!
エイミの手が上ってくる。太腿どころか、脚の付け根まで指がくすぐりだす。
萎えろ萎えろ、今すぐ萎えろ。
そう念じるのも空しく――
"むぎゅっ♡"
「あっ……!」
「……あっ♡」
エイミの指は、とうとう『そこ』に辿り着いてしまった。ズボンの上からでも分かるぐらい隆起し、私の体温をかき集めて熱くなった存在に触れて、エイミの手がピクッと跳ねる。
「先生、これは何?」
「いや、違うんだコレは、生理現象で、たまにこうなることがあって」
「それぐらい知ってるよ」
「ご……ごめん」
「こんなに膨らむんだ。手足はひんやりしてるのに、ここは凄く熱いんだね」
ズボン越しに、妖しい膨らみをエイミの手が撫でていく。指先が竿の輪郭をつつっとなぞる。硬さを確かめるようにぐっと握られると、ますます血流が加速してしまう。掌に包まれたまま"びくっ♡"と陰茎が震えてしまい、くすりと笑う声が耳朶を掠めた。
「先生、こんなに硬くしてたら眠れないね」
「い、いや、大丈夫」
「亢進した性欲は入眠を妨げるよ。欲求不満を抱えたままだと、睡眠の質も下がる。翌日の効率が低下して、調査任務にも支障が出る。それは合理的じゃないよね?」
「……それは、そうだけど」
「それにね……」
吐息が耳にかかった。
「先生がこんなにしてたら、私も眠れないよ♡」
ズボンのゴムの内側に、エイミの手が忍び込んできた。
"ぎゅ……♡"
温かく湿った掌が、陰茎を包む。昼間からトロ火で煮込まれ続けていた劣情がビンと竿を張り詰めさせている。軽く上下に撫でられただけで、甘い電流が背骨を駆け上がってきた。
「こうするんだよね」
「あ……う……」
"すり、すり……♡"
"ぎゅ、むぎゅっ♡"
「びくびく震えてる。男の人も、生殖器は敏感なんだね」
「や、やめ……エイミ……」
「大丈夫。丁重に扱うから。ふふ……」
背後からエイミがほくそ笑む。耳元にぴったりと唇を寄せられる。呼吸のたびに背筋がぞわぞわした。
「うーん、背後からだと見えないけど……あっ、先っぽは皮が剥けてるんだ。ここが亀頭かな」
"すっ、すっ"
"こす、こす"
「……っ! ぉ……」
「ふむふむ……先端の方が敏感なんだね。茎を擦ったら、どうなんだろう」
"しゅっ、しゅっ、しゅっ♡"
"ぎゅむ、ぎゅむ、ぎゅむ♡"
「っ、あぁ……!」
「この縫い目みたいな所は……あっ。ここが弱いんだ……♡」
「あっ、だめっ、エイミ」
「でも、生殖器は硬くなってるよ。ふふ、ここなんだ、先生の弱点」
あっという間にエイミはペニスのスイートスポットを探り当ててしまった。神経の密集した、敏感な裏筋の縫い目。
"くり、くり、くりっ♡"
"かり……♡ かり……♡”
「こういうの、どうかな?」
「あっ、うっ、んぁぁ……っ」
「先生、こんな声出しちゃうんだ。続けるよ」
「あぁぁっ、あっ……」
効率重視のエイミなら絶対にこうするだろう、という予測は案の定的中した。弱点が分かったとなると、そこばかり責めてくる。私があげる情けない声にくすりと笑いながら、縫い目を指で甘くくすぐってくる。力加減が絶妙で、「もっと強くしてほしい」と思わず媚びてしまいたくなるもどかしさだ。反射的に腰が浮くと、腹をぐっと抱き寄せられて、また嬲られる。
「どうしたの? 逃げちゃダメ。効率が下がっちゃうでしょ?」
「や、やめ……ああぁぁっ」
「あっ、太い部分も扱いてあげないとね」
「えっ――っお˝……っ、あ˝、だめ、エイミ……」
「でも、生殖器は硬く膨らんでるよ。
"くり、くり……♡"
"しゅっ、しゅっ♡"
"こり、こり、こりっ……♡"
中指と親指だろうか。エイミの指が筒を形成して、上下にスライドし始めた。自分の右手で何千回と繰り返してきた律動も、女の子の柔らかい手でされると、腰砕けになりそうな快感をもたらす。生徒の手でこんなになって――という背徳感が溶けて、その全てが高揚感に変換されていく。
「このヌルヌルはカウパー氏腺液かな。尿道を潤して、精液の通り道を作る。合理的な仕組みだね」
"ぬち……♡ ぬちっ……♡"
"ぬりゅ♡ にゅこ♡ にゅこっ♡"
捻りを加えた手コキの合間に、先走りを指で掬い取り、エイミはそれを裏筋に塗り付けてくる。円を描くようにして擦り上げ、先っぽに意識が持っていかれると、今度は根元から握ってリズミカルに扱き、甘い刺激を交互に与えてくる。
私が音を上げてしまうまでは、そう長くかからなかった。エイミの手コキは自分でするよりも優しい手つきだが、そのことが逆に、我慢する気力を奪い去っていく。根元まで込み上げてきたとき、意を決して口を開いた。
「エイミ、す、ストップ。もう止めて……」
「止めちゃうの? どうして?」
「このまま出したら、下着が汚れちゃうから。これ以上替えは持ってきてないんだ。効率的によくない」
「……ふうん」
エイミの手が止まった。よかった。効率を持ち出して正解だった。生徒の手で呆気なく果てるなんて情けない姿は晒さずに済んだ。このままティッシュを手に取って、エイミの目を盗んでさっさと処理しよう、なんて考えていると、お腹に回っていた腕が離れた。
* * * * *
「先生、こっち向いて」
「え、何?」
「いいから」
言われるがまま、寝返りを打った。
瞬間、視界が乳白色に塗り潰される。
「うぶっ!?」
"むぎゅうぅ~~~っ♡"
顔に思い切り何かが押し付けられた。これが何かなんて分かりきっている。覚えのあるほかほかのもちもちが、顔全体をすっぽり覆い隠している。鼻と口が塞がって、息ができない。
「服を汚さなければ問題ないよね?」
「もがっ、ん~~~~~っ!!」
「いいよね?」
――これじゃ喋れないってば!
"ぐにゅっ♡ ぽゆんっ♡"
"もにゅっ♡ もにゅ♡"
"むぎゅっ……ぎゅうぅ……♡"
「ほかほかであったかいでしょ。これなら先生の顔も寒くなったりしないよね」
私がもがいている間に、エイミは足を器用に使って、私の下半身を丸裸にしてしまった。ぬいぐるみのように抱き締められながら、豊満という枠に収まりきらないボディに取り込まれる。上下も左右も分からなくなって、頭の中が微かに甘い匂いのするおっぱいの匂いで満たされていく。
いよいよ窒息してしまう寸前で私を解放して、そのままエイミの体がずるずると布団に潜り込んでいく。
「ちょっと暑いけど、布団を剥がしたら先生が寒くなっちゃうもんね」
「え、エイミ、何をするの?」
「へぇ、これが男の人の生殖器か。結構グロテスクだね」
そのまま見下ろしてはおっぱいに邪魔されてしまうのか、わざわざ谷間に手を突っ込んで塊を脇に除けて、エイミがしげしげと私の股を覗き込んでいた。
「胸に出しちゃう分には、後で拭けばいいもんね」
「えっ、まさか」
"ずにゅうっ♡"
「ぉ˝……!」
それは、捕食と形容するのが相応しかった。
横向きのままエイミが体をずり下げると、もっちりほかほかの乳肉に、成すすべなく私の愚息が飲み込まれる。手を挟み込み、もみくちゃにしていた、あの幸福の塊が、私の弱点を幽閉してしまった。上下に挟まれる形になり、上からはずっしりした重量感が襲い、下には無限に柔らかいクッションが敷かれている。
「隠れちゃったね、先生の生殖器」
「ぅ……ぁ、あっ、やばっ……」
エイミが少し体を揺するだけで、四方八方から肉竿を擦られる。瑞々しい肌がぴったりと吸い付いてくる。既に亀頭をべったり濡らしていた先走りでどんどん滑りがよくなって、粘っこい水音が立ち始めた。
下半身全体を包み込むような体積が怖くなり、助けを求めるようにエイミの細い肩を掴んだ。だけどそれは、更に深く腰を突き入れてしまうことに他ならない。根元までずっぽり頬張られて、逃げるように腰を引いて、また吸い込まれて――ピストン運動が始まっていく。
"ずっちゅ……ずっちゅ……♡"
"たぱっ♡ たぱっ♡ たぽん♡"
「ふふっ。あったかいでしょ、先生」
「う、ううっ、あったか……熱っ……」
餅のようにしっとりしていて、マシュマロのようにふわふわ。擦れば擦るほど快感が乗算されていく。自分の意思と関係なく下半身が勝手に動き、エイミの胸がたぷんたぷんと波打つ。突き入れて、引き抜いて、また突き入れて。その繰り返しに一定のリズムが生まれて、掛け布団の中が蒸し暑くなっていく。
「……先生のおっぱいも」
「えっ……ア!」
"ちゅぴ……ちゅ♡"
寝間着の上を捲り上げるや否や、エイミが私の胸に吸い付いてきた。しっとりした唇とぬめった舌が、何のために存在しているのかも分からない男の乳首を弄ぶ。微弱な電流が、乳肉に咀嚼されるペニスに走って、睾丸の中身が煮立っていく。
「ん……んっ、れる……。乳首気持ちいいんだね。おっぱいの中で、生殖器がびくびくしてる」
「ぁ、エイミ、だめっ、そんな、あっ」
「先生が『だめ』って言うのは、気持ちいいとき。もう分かっちゃったよ」
「ううっ、胸でそんな、潰しちゃだめ……」
「ほら、気持ちいいんだ。もっとしてあげるね」
母親に甘える赤ん坊みたいに、ちゅっちゅっと音を立ててエイミが私の胸に鼻先を埋める。
"だぽっ♡ もちゅっ♡ ずちゅ♡"
"ずりゅっ♡ ずりゅっ♡ ずりゅっ♡"
乳首に吸い付いたまま、エイミが胸をこね回してきた。だっぱん、だっぱんと水風船を叩きつけるような音がする。その中では、先走りと汗に濡れたペニスがぐちゅぐちゅに掻きまわされている。両手で肉塊を寄せ上げつつ根元から搾り上げてくる乳圧は凄まじく、後戻りできない射精感が膨れ上がる。
「あぁっ……うぅ、でる……」
「うん。いいよ。好きなだけ出しちゃおう。こぼれないように包んでてあげるから」
喉からみっともない喘ぎ声が溢れて、ひとりでに体がピンと硬直した。突き込めるだけ突き込んだ先で、熱い塊が解き放たれる。
"どぷっ、ごぴゅ♡ ずびゅるるるるっ♡"
"びゅっ♡ びゅうぅぅ~~♡♡"
尿道を熱い塊が駆け上っていく。精巣から汲み上げられたザーメンが鈴口をこじ開けて発射され、エイミの乳内に、じわりじわりと熱を広げていく。射精の最中もエイミはぐにゅぐにゅ胸を揉みしだき、噴出のリズムを操って私を搾り取ってきた。
「……っっ! あぁぁぁっ……」
下半身がぶるぶる痙攣して、真っ白な快感に脳味噌が溶けていく。包容力の塊たる長く深い爆乳に情けなくヘコへコ腰を振り、勢いのままに劣情を吐き出す。
獣の呻き声をあげながら、夢中で、ありったけひり出し、ほかほかのおっぱいをドロドロに染めていく。その愉悦に、何も考えられなかった。
「……っはぁ、はぁっ」
"こぷっ……♡ どく、どくっ、とく……♡ "
"ぐっぢゅ、むぢゅ、ぬりゅ……♡"
長い長い射精が終わっても、ブレーキが壊れたみたいに腰が止まらない。ぬるぬるぷにぷにの幸せな感触をもっと味わいたくて、まるでおかわりをねだる赤ん坊みたいに、射精を終えたばかりのペニスが貪欲に硬度を取り戻す。
エイミはそんな私を見て目を細め、乳首を舌先で転がしていた。ぎゅっと胸を寄せると圧迫が強くなり、高まった乳圧に尿道の残り汁が漏れた。ようやく腰が動きを止めても、ペニスはまだ断続的にびくびく痙攣している。
「暑くなってきちゃった。一回、抜くね」
"ずぽおっ……♡♡"
もちもちの牢獄から解放されたペニスからはほかほかと湯気が立ち、粘液まみれで淫靡な光沢を放っていた。密着して擦れていたせいだろう。幾筋もかかったザーメンブリッジの奥では、谷間に赤い痕が刻まれていた。あまりにも倒錯的なコントラストだ。湿気と同時に、むせ返るような精臭が立ち上る。
「先生、おっぱい気持ちよかった? 満足できた?」
「あ……エイミ、うん、満――あっ……」
「先生の体で確認した方が効率的だね」
エイミは亀頭の先端にぴとぴと指を当てて、粘つく精液の残滓を弄んでいた。
「……ふうん。こういう味なんだ」
白い雫を掬った指を口に含んで、ほんのり色欲に染まった頬がもごもごと蠢く。ねっとりした唾液が指と舌の谷間に溜まっていき、水飴のように糸が引いていく。見せつけるように指を舐めしゃぶるエイミは目を潤ませ、見ているだけで冷めかけの頭が火照りを取り戻す。そんな私を煽るように、エイミは自分の手が汚れるのも構わず、竿を扱き始めた。
"にぢっ……♡ にぢっ……♡"
"ごしゅ♡ ごしゅっ♡ ごしゅ♡"
「んっ、ぁ……」
「少し柔らかくなったと思ったら、もう元通りだね」
「うぅ……っ」
「ふふっ。先生は、本当にここが弱いんだ。弱点なんだ♡」
吐き出した精液でべたべたに汚れた谷間を見下ろしながら、手コキの快感に私はただ腰を震わせる。インターバルをまるで挟んでいないのに、もう次弾が装填されていくのを感じた。
エイミは優越感を乗せた微笑を浮かべていたが、布団の中に隠していた左手を私の目の前に差し出してきた。
「ねぇ。交尾しようよ」
「っ……!!」
細い指先の間に、糸が引いていた。
* * * * *
「こっそり弄ってたんだけど、私も、発情しちゃって」
「えっ、エイミ、それは」
「このままじゃ私も眠れないよ。先生に鎮めてもらわないと」
"ぬるっ……♡"
熱くなったぬかるみに右手が触れた。
ぴくっ、とエイミが身を震わせた。
滴る愛液が指先を濡らす。
「先生も私も、亢進した性欲を鎮めないと睡眠どころじゃない。最も効率よく解消するなら、交尾が一番だよ」
「っ、エイミ……」
濡れそぼった粘膜が、誘うように指へ吸い付いてくる。指先をそっと動かしていると、熱を持ってぷっくり膨れた穴の入口に当たった。考えるよりも先に手が動き、エイミの内部へ指を沈めていた。
「ふッ……ん……♡」
「うわ、凄いことになってる……」
"ぬちゅ……♡ くちゅっ、くち……♡"
中指で膣襞をなぞり、鉤状に曲げた指でそっと肉壁を舐めた。じゅくじゅくの果肉が絡みつき、指の付け根がきゅっと締め付けられる。いつも落ち着きを崩さないエイミが、息を乱し始めた。
「こんなにどろどろにして……」
「っ……先生のせいだよ。私であんなに発情して。先生に、責任を取って鎮めてもらわないと」
「責任……」
葛藤する私に、エイミはなおも理詰めで私を誘う。
ここは完全な密室だから。
今夜だったら二人きりだから。
二人きりなら秘密は漏れないから。
私の性欲の責任はエイミにあるから。
早く鎮めないと寝不足になるから。
明日に支障が出たら皆の不利益だから。
それらは全て、間違いとは言えない合理的なものだった。でもそれ以上に、火照った体を擦りつける彼女が「もう我慢できない」とばかりに眉を下げて切なげに息を吐いているものだから――
たぎる獣欲がみなぎり、ペニスがびくびくと反り返った。
「ふふ……先生の生殖器は、やる気みたいだね」
「……ごめん」
「謝ることじゃないよ。じゃ……交尾しよう」
指を引き抜くと、エイミは膝立ちになって跨ってきた。掛け布団が剥がれ落ちて、生肌が露になる。
熱っぽく潤んだ瞳と目を合わせている間にも、彼女の割れ目は勃起に擦りつけられていた。くちゃくちゃ響く水音が耳朶から理性を侵食していく。エイミが腰を浮かせると亀頭に熱いものが押し付けられ、それが裂け目の中心であることが分かった。
「あ、待ってエイミ、ゴム……」
「任務の効率のために、薬を飲んでるから。そういうわけで……」
「う、ぁッ……!」
"ぬっちゅぅ……♡"
"ずぶ♡ ずぶぶっ♡"
ゆっくりとエイミが腰を落としていく。
手を引かれるように、所々に白い斑点をつけた怒張が、裂け目の中に埋まっていく。
「あ……ん♡ 交尾、しちゃった……。先生と、ナマで交尾……♡」
「うぅ……エイミの中、熱っ……」
「先生こそ、すごく熱い」
一切の隔たりの無い、粘膜同士の擦れ合い。エイミは根元までペニスを飲み込むと、うっとりと息を吐いた。「ここまで入っている」と臍の下を撫で、私の形を確かめるように腰を揺すり、蕩ける粘膜を吸い付かせてくる。
「先生。手が冷えちゃうよ。ここで温めて」
「う、うん……」
エイミが私の手を取り、たわわな胸に導いていく。大きくずっしりした乳脂肪は掌の中で自由自在に形を変えて、肌がしっとりと指に吸い付いてくる。その感触を愉しみつつ、谷間に張り付いたままの精液を掬って乳首に塗り付けると、エイミがぎゅっと目を閉じて、官能的な息を吐いた。
"くちゅ……くちゅっ……♡"
"ずぷっ♡ ずぷっ♡ ずぷ♡"
やがてお互いの性器が馴染みだしたところで、どちらともなく腰が動いた。エイミの体が上下に跳ねて、重量感たっぷりのおっぱいがだぷん♡ だぷん♡ と部屋の空気を掻き混ぜる。
様子を見るようにゆっくりだった動きに、少しずつ幅と勢いが生まれていく。じゅぶっじゅぶっと下の口でペニスをしゃぶりつつ、エイミは上の口から切なげな声を漏らした。
「ん……先生の、イイ所に当たってる。今までので、一番……」
「今まで?」
「うん。最大効率を求めて、色々入れたけど、これ……っ♡」
何か別の生物でも飼っているかのように、複雑にうねった蜜壺の肉が絡みついてくる。充血した粘膜同士が擦れ合うと甘い疼きが生まれ、体内を焦がしていく。それはきっとエイミも同じなのだろう。白い肌は首筋まで桜色に上気して、口呼吸で湿った息を漏らしている。
"ぱちゅっ♡ ぱちゅっ♡ ぱちゅっ♡ ぱちゅ♡"
「っは……ん、あっ……交尾、気持ちいい……」
「エイミのおっぱい、重……」
「そのまま支えてもらってた方が、効率、いいし、んっ……♡」
"たんっ♡ たんっ♡ たんっ♡ たんっ♡"
揺れる腰と、波打つ尻肉と、ずしっずしっと手首にかかる重み。指が深々と乳肉にめり込む。とろんと指の間から零れそうなそれをたぷっと掬い上げて離すと、ピストンのリズムとシンクロして、ぱちん♡ ぱんっ♡ と弾ける音が立つ。めいっぱい指を沈めて揉んであげると、エイミは満足げに口角を上げた。浮かべた笑みが性感に歪む瞬間を拝みたくて、葡萄の粒みたいなぽってりした乳首を指で捏ねてしまう。
布団を剥がれた部屋の空気は刺すように冷たく、結合の熱を持ってしても、次第に肩や腕から体温が奪われていき始めた。寒気に鳥肌が立ち、体温を求めて咄嗟にエイミの肩に手を回す。
「どうしたの?」
「ちょっと……寒くて……」
「ん……じゃあ、こうしようか」
背筋を起こして腰を振っていたエイミが、折り重なるように倒れ込んできた。布団の中で抱き合っていたときのように、素肌が擦れ合う。蛇が絡み合うように、腕も脚も、胸も腹もくっつけ合う。柔らかな皮下脂肪が肌の隙間を埋めてくれるが、胸骨の辺りがぎゅうぎゅうに窮屈だ。
「どう、あったかい?」
「うん……ぽかぽかだ」
冷気から逃げるように、エイミを抱き締める。
エイミも喜びを露にして、背中に腕を回してきた。
"ぐっちゅ♡ ぐっちゅ♡ ぐっちゅ♡ ぐっちゅ♡"
"ぱん♡ ぱん♡ ぱん♡ ぱん♡ ぱん♡"
密着した姿勢のまま、エイミが腰を動かし始めた。正常位で男がそうするみたいに、尻を持ち上げては叩きつけてくる。下腹部に走る衝撃と、巻き起こる性感の渦に、声が漏れた。
「っふ、うン……♡ ぁ、っ……♡」
「う……エイミのナカ、きつい……」
「うん。先生とこんなに抱き合って、ドキドキしてるから。伝わる?」
「分からない……エイミのおっぱい、大きすぎて」
「もう……」
残念ながら彼女の鼓動は伝わってこなかったが、その代わり、濡れそぼる蜜壺と、うねりを激しくする膣壁が、その興奮度合いを語ってくれた。体は正直だ。
もっともそれはお互い様で、吐き出した精臭混じりなエイミの香りを嗅いでいると、締め上げられながらペニスがどんどん硬くなる。びくん、と膣内でペニスが持ち上がると、それに呼応するようにエイミが締め付けてきた。
「ね、先生。深い所、押し込んできてほしい」
「……その方が、効率がいい?」
「うん。もう少しで、イけそう……♡」
「分かった。じゃあ」
背中に回していた手を、おっぱいに負けず劣らず豊満なお尻に這わせた。そのまま、体ごと持ち上げるつもりで腰を突き上げる。
"ごぢゅっっ♡♡"
「……っ、ぐ……♡」
エイミの喘ぎに苦悶が混じった。これ以上奥に行けない所まで深く挿入すると、子宮口にゴリッと当たった。そのまま、二度、三度、四度と、スプリングの反動も使って、二人分の体を持ち上げては落とす。奥深くを圧迫されたエイミは肩をぴくつかせて息を詰まらせたが、呼吸を整えると締め付けを強めてきた。そして私の背中に回していた手を腰へと滑らせ、淫靡な手付きで撫で回してくる。
「ぁ……ぅん……♡ はっ……はっ……♡」
口数の少ないエイミらしく喘ぎ声は大人しいが、息遣いに余裕がなくなってきた。ぴったりくっついたまま深くまで突き上げる私に対抗して、エイミも体重を乗せて、ぐりぐり腰を押し付けてくる。万力で締め上げるような圧力がかかって、視界が一瞬真っ白になる。
"どちゅ♡ ぶぢゅっ♡ ばちゅっ♡ ばちゅ♡"
"ずぢゅ♡ どちゅん♡ ぐちょ♡ ぬちゅっ♡"
抱き合ったまま互いの下腹部をぶつけ合う。押し潰すようなピストンを敢行するエイミに、肉厚の花弁を捲り上げながら奥を突き上げ返す。エイミの熱くトロけた膣は一突きごとに悦んでうねり、細かなヒダが裏筋に絡みついてくる。
「ね……先生。一緒、一緒だよ。それが一番、効率ッ、いいから……♡」
「うん、分かった……」
息が合ってくるのが分かった。腰の奥からせり上がる熱のまま、尻肉を鷲掴みにした。熱が弾ける瞬間、エイミの腰を引き寄せながら、緊張を解いた。
"びゅく♡ どぷっ♡ どぷ……っ♡♡"
"ぼびゅるるるっ♡ どぷっっ♡"
「ッ……♡ あ、いく……っ♡ 先生……っ♡」
痙攣する雌穴の最奥に亀頭をぐりぐり押し付け、流し込むように射精した。体の芯を焼かれて身をよじるエイミが、全身をぶるぶる震わせてオーガズムに達する。抱き着いてくる女体はますます火照り、こちらも汗ばんでしまいそうなぐらいだった。
「っふ……ふぅ……ふぅ……」
「はぁ……はぁ……」
射精の勢いが落ち着いてもなお、しばらく動けずにいた。頬を紅潮させたエイミも、息を整えながら、エクスタシーの余韻に浸っている。
「もう寒くない?」
「……おかげ様で」
「じゃあ……体を拭いたら、一緒に寝ようね」
こめかみから垂れる汗を、エイミの親指が掬い取った。
* * * * *
寒い。寒い。寒い。
何か温かいものは……。
あぁ、あるじゃないか。
何だかよく分からないけど、とても温かいものが私の前に存在している。手を回して、体にぴったりとくっつける。しっとりしていて、素肌に馴染む。すべすべの滑らかな手触りが心地よい。胸に当たるこのふわふわしたものは何だろう。何だか分からないが、温かいから何だっていい。背中から襲い来る寒さから逃げるように、腕の中に熱を閉じ込める。
「…………んぁ」
暗闇から意識が這い出てきた。夢と現実の境目だろうか。いい匂いがして、温かくて、とても手触りの良いものに掌が触れている。これが何かを確かめるために、なでなでしてしまう。うーん、触っているだけで気分がよくなってくる。一体これは――
「……ふ……ん……♡」
気持ちよさそうな鼻声が聞こえた。朝一番に聞くにしては随分刺激的な艶っぽい声色だ。誰かの体だ。まだ夢を見ているのだろうか。夢の中ならもう少し触っていてもいいか。今の声がもう少し聞きたいし。
ここは背中かな。
腰が綺麗にくびれている。
結構細いな……。
おっ。
お尻は大きい。
太腿もむちむちだ。
肌の弾力が凄い。
美味しそうだ……。
「う……んぅ……♡」
うおっ、でっか……!
おっぱいがデカすぎる。
ずっしりほかほかだ。
乳首も大粒で、ぷにぷにだ。
あ……硬くなってきた。
それにしても温かい……。
「ううっ、ダメ……♡」
「…………!!」
温かい何かが動いた。
驚いた拍子に目を開ける。
「はぁ……はぁ……♡」
そこにいたのは、耳まで真っ赤になったエイミ。
布団の隙間から覗く体はフルヌード。
「…………はっ」
思い出した。
昨晩どこで誰と何をしていたのか。
ここはエイミの寝床だ。
「先生、触り過ぎ……」
エイミの瞳は涙をこぼしそうなぐらいに潤み、欲情した熱い息を吐いている。
「も、もしかして……」
「寝ぼけてたのか知らないけど、ずっと、私の全身を撫で回してて……」
「あっ、ごめん……」
私の目の前にエイミが手を翳した。
指の股にねっとり透明な橋がかかっている。
甘酸っぱいメスの香りが鼻腔に染みた。
「おかげで、発情が治まらない。一人で処理しようとしても、先生がずっと触ってくるから……」
「いや、そのつもりは――」
「責任取って、先生。こんなに硬くなった熱い生殖器も、ずっとお腹に押し付けてたんだよ」
「ぅあ……」
朝勃ちのペニスがぎゅうと握り締められた。掛け布団を持ち上げて、エイミが覆いかぶさってくる。
「ねぇ、早く。交尾しよう。先生の生殖器でお腹いっぱいにしたい。もう我慢できないよ」
「わ、待って! トキとヒマリと合流しないと」
「問答無用。話を聞いてる時間が非効率――あっ、ああぁっ♡♡」
"ぬるんっ♡"
"じゅぶぶっ……♡"
「はぁ……やっと交尾できた……♡」
「お、起き抜けから、これは……」
はちきれそうになっていた怒張が、熱くなった粘膜に包まれる。ぬめりを帯びた襞が蠢いて吸い付き、奥へ奥へ引き込まれる。
「私が動くけど、先生も、はぁ……動いてね。早く解消できた方が、合理的、っん♡ あぁっ、きもちいい……♡」
有無を言わせない様子のエイミが、私をぬいぐるみのように抱き締める。
うっとりした声と共に、肌の弾ける音が立ち始めて――
その日、私とエイミは盛大に遅刻した。
終わり