※この作品はR-18です。

ブルアカえっち短編集   作:夜の機動戦士

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発情期を抑える薬を服用し忘れてムラムラの止まらない水着姿の尾刃カンナにウォーターパークの詰所へ連れ込まれ、休憩時間いっぱい「飢えを満たしてあげる」先生の話

蒸籠

 

 休日が台無しになってしまうのはシャーレに赴任して以来日常茶飯事だったが、そんな可哀そうな目に遭ってしまうのは自分だけではないらしいことに気づくまでには、それほどかからなかった。

 

「事情は分かったが……どうして私に直接連絡してくるんだ。話を通すなら順序というものがあるだろう」

『いやぁ、局長と私たちの仲じゃ~ん』

 

 当番でシャーレへやってきた尾刃カンナに連絡が入り、執務室のデスクではホログラム通信が展開されていた。ヴァルキューレ生活安全局の合歓垣フブキが映像越しに、ヴァルキューレのトップと親しげなコミュニケーションを交わしている。ヴァルキューレ生から見れば無謀とも言える気さくさで話しかけるフブキの姿に、つい緊張してしまう。

 

「――その日、予定が空く見込みの部下には全員休みを取らせている。了解した。当日は私が行くとしよう」

『ま……マジで? 本当に局長が来るの?』

「ああ。あの一件以来だが、これもいい気晴らし(・・・・)になるだろう」

『それなら、まぁ……』

 

 今でも『ヴァルキューレの狂犬』の二つ名は健在であるが、カンナ局長が生活安全局の平役と懇意にしているのは何とも不思議な光景だ。フブキもフブキで、半分は冗談交じりだったのかもしれないが、よくもまぁ、公安局の怖い局長へ直接連絡を取ろうなんて思うものだと、隣で通信の様子を眺めながら私は感じていた。

 

 キヴォトス最大級のウォーターパーク「エーギル」へヴァルキューレから三人が派遣されて数週間。いよいよ夏本番が訪れようとしている今日この頃、オープン初日の事件にも関わらずウォーターパークにはすぐ客足が戻り、順調に盛況を迎えているようで、追加の監視員が必要になったそうだ。しかしながら、オープンになっている求人への応募者が足りず、縁のあるヴァルキューレへ連絡が来た、という次第らしい。生活安全局に入ってきた連絡をほぼそのまま、フブキがカンナへ回してきた、ということになる。

 

「……失礼しました。そして、申し訳ありません。せっかく休日の予定を合わせてもらっていたのに」

 

 通信を終えたカンナが、温くなったコーヒーを一口啜った。

 

「仕事なら仕方ないよ。大変だね、カンナも」

「ライフセーバーなんて私には向かないことだとばかり思っていましたが――『またやってもいいか』という感情が芽生えたのは否定しません。トラブルはもう懲り懲りですが」

 

 淡々とそう言いながら、数秒躊躇して――カンナは自分の手帳に書きこまれていたスケジュールに赤線を引いていった。

 

「……はぁ」

「残念そうだね」

 

 珍しく落胆した溜息をつくカンナに言った。

 

「これでも、先生とのご予定を楽しみにしていたのです。羽を伸ばせる機会というのもそうそうあるものではありませんし。その……」

「うん。海に行く約束、してたもんね」

 

〝せっかく、二人の休日だったのに〟

 

 遠慮がちにカンナが呟いた言葉は、思ったよりも湿っていた。休みを取ることに対して以前よりも前向きになっていただけに、残念な思いは私も同じだった。

 

 連邦捜査部顧問と公安局長。互いに立場は違えども、夜遅くまで仕事で拘束される多忙な者同士。終電まで時間を気にしながら屋台や居酒屋で(もちろん未成年飲酒はさせず)、部下の前では口にできない話を聞きながら夜を過ごすことが、私とカンナの間では半ば当たり前となっていた。

 

「私は強面ですから」とカンナはよく零しているが、お気に入りのお店で焼き鳥を食べている時はそれなりに緩んだ顔も見せてくれる。共有する時間が少しずつ積もっていくにつれて、日頃心に纏う鎧の下にいる等身大の彼女に、あまり深入りしてはならないと知りつつも私は興味を抱き始めていた。

 

 おそらくそれは、カンナも同じだっただろう。

 

 週末ダイヤを失念して互いに終電を逃したある夜、「寮に外泊申請をします」と話し、シャーレ居住区の空室へ泊まろうとしたカンナの意図をきちんと聞き取らないまま、雰囲気に任せて私は彼女と肌を重ねてしまった。思えば私はタクシーに乗せてカンナを帰らせることができたはずだし、責任を口にする大人であればそうするべきだった。

 

 そんな、ある意味中途半端な間柄でセックスしてしまったからだろう。当番でシャーレへ呼ぶたびに、ちょっとした用でヴァルキューレを訪れるたびに、距離が近付いた。業務が終わればそれとなくスキンシップを取るようになりながらも、男女の間柄であるとはお互い言葉にしなかった。いや、それを避けていた。

 

 先生と生徒でそういう仲になってしまうのがどういうことなのか、私も頭では分かっているし、犯罪を取り締まる立場のカンナが分かっていないはずがない。予定を合わせ、二人でどこかへ出かけることをデートと呼称するのを頑なに避けるのも、そういった後ろめたさから来ているのだろう。

 

「私もエーギルに行くね、当日は」

「えっ? しかし私は仕事で行くのであって、先生までいらっしゃる必要は……」

「ただの客として遊びに行くだけだよ。カンナにも会えるから」

「そんな、気を遣っていただかなくとも」

「どちらにしてもその日は休みだし、カンナの水着もまた見たいし」

「……やはり、そういう目的(・・・・・・)ですか」

 

 じとっと潜めた三白眼にじっと覗き込まれたが、それ以上は咎められなかった。

 

「『尋問』の末に吐かされるよりは、始めから正直に言っちゃったほうがいいでしょ」

「ふっ……それもそうですね」

 

 マグカップを傾けながら、カンナはニヒルな笑みを浮かべた。

 

 

 * * * * *

 

 予定されていた休日まで潰れてしまったらどうしよう、と思いつつ、普段より何割り増しかで業務に打ち込んで、どうにか「その日」を死守することはできた。

 

 訪れたことのある場所だから、勝手は分かる。日差しや熱気を避けたい人は屋内の温水プールがあるし、青空の下ではしゃぎたい人向けに、飛び込み台やウォータースライダーが用意されてもいる。道を歩く人々は思い思いの水着姿だ。あまり見ていては失礼になると分かりつつも、スレンダーな体型を包むフリル付きの可愛らしい水着の女性や、惜しげもなくグラマラスな肉体を強調する布面積の少ないビキニの女性に、目を惹かれずにはいられない。

 

 ――っと、いけない、いけない。

 

 ここにはカンナも来ているはず。こうして他の女性に目移りしている所を見られたら、どうなることやら。いや、どこかそういうことに超然とした面のある彼女が妬いてしまうようなことがあったら、それではそれでとてつもなく可愛いのではないだろうか。

 

 どう転んでも美味しいかもしれない、と思いつつ、利用客の合間を縫って早足に歩いていくライフセーバーの、パツンと張ったビキニパンツのお尻に、つい目が行ってしまった。そこへ、サンダルが地面を擦る音がじゃりっと、やけに大きく響く。

 

「止まってください」

「うおっ!?」

 

 ぼそり、と低く呟かれた声に思わず飛びのいた。屋内と屋外を繋ぐアーチ状の通路に素っ頓狂な悲鳴が反響し、前を歩いていた人たちの視線が一斉に突き刺さる。隣に立っていたのはカンナだった。

 

「失礼ですが、ご同行をお願いします」

「え、えっと!?」

「さぁ、キビキビ歩いて」

 

「うわぁ」「変質者かな」「こわ……」と、ボソボソ呟く声に責められながら、腕を引っ張られて進んでいく。ヴァルキューレのジャケットを羽織って上半身を隠していたが、カンナも水着のはずだ。普段はタイツに覆われる真っ白な脚が、通路の照明を浴びて眩しく輝いていた。

 

「ね、ねぇカンナ。私、何かまずいことしたかな」

「いいから、黙って歩いてください」

 

 長い前髪で半分塞がった顔から、薄青の鋭い目が私を貫いた。本人は無自覚だろうが、睨まれたようにも感じた。利用客からの憐れむ視線に寒々しさを覚えながら、私は黙ってカンナに連行されていく。いつもは下ろした髪がポニーテールに束ねられており、剥き出しになったうなじがほんのり汗ばんでいるのが見えた。

 

 一体どこまで行くのだろう、と思っていると、波打つ海岸を模した屋内プールの隅っこに立つプレハブ小屋が近付いてきた。「詰所」と書かれた小さなホワイトボードが、ドアノブからぶら下がっている。「入ってください」と促され、訳も分からないままに中へ入る。

 

 私を先に入れると、カンナは後ろ手に扉の鍵を閉めた。ドアが閉まると喧騒は嘘のように遠ざかったが、外ではしゃぐ声は微かに聞こえてくる。簡素な机と、コンセントに繋がれたノートパソコン、奥の方には一人で入るのがやっとという広さのシャワールームがあり、そこは更衣室も兼ねているようだった。

 

「ふぅ。ここなら大丈夫でしょう。詰所の中でもここは私しか使っていませんから」

「え、ええと、カンナ? 一体これは」

「はぁ。……先生」

 

 ビーチサンダルを履いた足とハーフパンツ丈の水着を一瞥し、裸に襟付きシャツを着ただけの上半身へ、カンナの視線が上ってくる。容疑者の尋問を始めるときのキツい雰囲気が、塩素の匂い漂う小屋を満たしていく。

 

「何ですか、その露出は」

「えっ!? ただの水着だけど……」

「肌をそんなに見せてしまうとは」

「いやいやいや、泳ぐときは水着になる――」

 

 しっ、と人差し指を立てて、声を潜めるように指示された。

 

「で、でも、前に来たときだって、私は普通に水着だったよね? 男性なら水着のときに上半身裸なのは普通でしょ?」

「見せ方が問題なのです、見せ方が」

 

 どういうことなの……と困惑する私に、妙な熱の入ったカンナの弁は続いた。

 

「上半身に何も身につけず堂々としているならば、却って気にならないものですが……そのように、衣服の隙間から素肌を見せられますと」

「そんなこと言われても……」

「先生の今のお姿は煽情的過ぎる(・・・・・・)のです。ムラムラする(・・・・・・)のですよ」

 

 声こそ潜めているが、カンナの語気が強まっていく。

 

「そ、それを言うならカンナの水着だって」

 

 どちらかと言えば実用性重視に見える競泳タイプの水着は、カンナの肉感的なカラダの魅力をこれでもかと強調してしまっている。青白い肌と馴染む白が基調の、内側が見えそうな透明感。普段はシャツで多少は誤魔化されている大ぶりな乳肉のシルエットを丸出しにする、ぴっちり密着した生地。一緒にデザインを選んだのは確かに私だったが……。

 

 急角度で切り上がっており、ちょっとでもズレたら大事な所が見えてしまいそうな股間。そこから視線を上へ逃がせばどっしり存在感を放つ豊満なバストに、下へ逃がせば、すらりと伸びたキメ細かな美白の脚線に目を囚われる。羽織ったジャケットの裾から見えていたが、腰の後ろも素肌が剥き出しだった。ひとしきり色っぽいシルエットのカラダを眺めてしまったが、カンナはそこに関しては大目に見てくれるようだ。

 

「水着はこれぐらい覚悟を決めて着るものであることは承知の上です。ですが、先生のそれは……危険すぎますっ」

「――カンナ」

 

 サンダルの足音と共に距離を詰めてきたカンナは、息を荒げている。肌の白さゆえに、赤らんだ頬がどうしても目立ってしまう。もしかして――

 

あの日(・・・)……?」

「服薬で抑えるはずのところ、生憎、ストックが切れていたのを失念しておりまして」

「そっか……苦しい?」

「苦しくはありませんが……はぁ……はぁ……。先生を目の前にしますと、昂りが急激に膨らむのが分かります」

 

 ペパーミントの爽やかなシャンプーの匂いが感じられる距離になると、むわっとした湿気のようなものが立ち上るのを感じた。換気扇は動いているようだが、やはり外がプールだからか、詰所の中はムシムシしている。

 

 ――解消してあげないと。

 

 獣の特徴を身に宿す生徒が大なり小なり抱える定期的な『発情期』を、カンナは迎えていた。切れ目の入った犬耳が、さっきから忙しなく揺らいでいる。

 

「一人で仕事をする分には堪えることもできたでしょうが、先生が、そんな風に体を見せびらかしてくるから、っ。フェロモンが、濃くて……!」

「そうは言ってもさ、私の裸だって見たことあるでしょ、カンナも」

「そうではありますが……! あぁ、先生、早く済ませましょう。休憩時間にそれほど余裕があるわけでもありませんので、さぁ」

 

 ぐいっ、と手首を掴んで引っ張られれば、私はカンナの力に抵抗できるはずもない。話が性急なのは彼女の精神に余裕がない証拠だった。突然の事態に私はまだ「その気」にはなれずにいたが、手を引かれるままにシャワールームへと入っていった。

 

 

 * * * * *

 

 

「ハァ……ハァ……んむ、ッ♡ はァ、じゅるっ♡ ン、ふっ、ふ……♡」

 

 カーテンで外との境界線を作るなり、カンナは唇を奪いにきた。私を壁際に押し付け、166センチという女性にしては高い身長からさらに少しだけ背伸びして、唾液を啜る品のないキスを繰り返す。

 

「積極的だね、カンナ」

「先生っ、先生が、裸体をチラ見せするのが、いけないのです……♡」

「……うん。大丈夫だからね」

「ふぅぅ、はぁあ♡ んむ、ちゅるっ、ハァ……♡」

 

 後頭部を撫でながら、カンナの舌を迎え入れる。結ったポニーテールに引っ張られてツヤツヤした髪の筋が、指先をくすぐっていく。

 

 いつの間にか私のシャツもカンナのジャケットもタイルの上に落ちており、蒸し暑さの中で汗ばんだ体同士をくっつけ合う。普段うかつに体へ触れようものなら「セクハラです」とキツいお咎めを受けるところだが、本人が乗り気の時は意外と気前よくカンナは触らせてくれる。警察組織の長を務めるだけあって倫理観の抵抗は相当なものだが、一度「する」と決めてしまえば、カンナも意外と好き者だ。

 

 ――模範であるべき大人と公安局長が、密室での逢瀬、か。

 見詰めようとした現実を首で振り払う。

 

 もう既成事実があるのだから。

 カンナを鎮めてあげるためだから。

 

 そんな言い訳を頭の中で列挙しながら、壁に肘をつくカンナに手を伸ばした。

 

「お……やっぱり」

 

 水着の内側へ手を差し入れ、臍の下を撫でる。しゃくっとした陰毛の感触がない。脱毛クリームで処理したのだろうか。ツルツルだ。

 

「ちゃんとお手入れしてるんだ」

「……っ♡」

「それはそうだよね。あんなに股間が際どいんだもの」

「き、着ると決めたのを、少し、後悔、し――ん˝ッ♡」

 

“ぬち……♡”

 

 指の腹で割れ目をなぞり上げると、そこはもう汗ではないもので湿っていた。大陰唇を指で開き、陰毛に吸われることもなく漏れてくる蜜を掬い取り、包皮に守られた陰核へ塗り付ける。背後から鼠径部へ突っ込んだ手が、ムチムチした太腿に挟み込まれた。

 

 カンナと交わるときは、たいてい後ろからだ。初めて同衾したときこそ正常位だったけれど、どうやらセックス中の顔を見られるのに彼女はかなり抵抗があるようで、こうしている間も私には背を向けている。だが、投薬無しでの発情期はかなり性欲を高めてしまうらしく、水着の中で下腹部を撫で回されているだけなのに、カンナは腰を揺らしている。その腰が妙に骨ばっているのに気付いた。

 

「カンナ、ちゃんとご飯食べてる? 無理なダイエットとか、してない?」

「え? い、いえ。食事は、以前より変わりありませんが……」

「腰、こんなに細かったかな、って」

 

 ネイビーグレーのシャツをいつもパツパツにさせているバストは、白い生地がビッチリ張り付いて大きく丸く球形に突き出しているし、むっちりした太腿の源たるお尻の肉の豊かさも、まだ火の入り切っていないペニスを水着越しに挟まんばかりだ。それなのにウエスト周りは、両手で包んだら親指と小指がくっついてしまいそうなぐらいに細い。

 

「特段何かしたわけではありませんが、薄着になりがちな夏場には好都合でしょう」

「そっか。あんまり無理し過ぎないようにね。体は大事にしないと」

「ふふ……そっくりそのまま、先生へお返ししますよ」

 

 フン、と鼻で笑いながら軽口を叩くカンナだが、言葉の合間にじっとり濡れた息を吐き続けている。ふにふにした下腹部と割れ目を撫で回す指先はもうヌルヌルで、いきなり二本指を挿入しても滑らかに飲み込まれた。

 

“ずぷ……にちゅ……♡”

 

“ちゅく、ちゅくっ、ちゅくっ♡”

 

「っア……♡ ふ、っくぅ……♡」

 

 薄い壁一枚隔てた先は、利用客の遊び騒ぐ屋内プールだ。スピーカー越しのBGMもうっすらと聞こえてくる。シャワールームは狭くて蒸し暑くて、立っているだけでも汗が滲んでくる。歯を食いしばって声を押し殺す様は、カンナがするには健気で、嗜虐心を煽る。性欲の種火は大きくなっていき、ムズムズする疼きにペニスが硬く膨らんでいく。

 

「カンナ。声を我慢しなくたっていいんだよ」

「そ……っ♡ そうも、いかない、でしょうっ♡ フーッ♡ フーッ……♡」

「だってさ、ほら」

 

“ちゅこ、ちゅこ、ちゅこ♡”

 

“にゅぷ、にゅぷ、にゅぷ♡”

 

 蜜穴に指を出し入れする水音が、シャワールームの中で反響している。掌まで滴る愛液がぱたぱたとタイルに垂れていく音すらも聞こえるようだった。

 

「ン、んっ♡ はっ、はっ、はっ……♡」

 

 声を出してはいけない状況下で、カンナはますます昂っているようだ。根元まで突き入れた指が、うねる膣壁にしゃぶられている。淫らな腰つきが、指の愛撫に呼応するようにへこへこと前後へ揺れている。膣壁のザラつきをねちっこく撫でていると、カンナが何か言いたげに振り向いた。

 

「せ、先生……はやく……♡」

「欲しい?」

「時間が、ないのです、っ♡ すぐにでも、発散、しないと、っ♡ おねがい、しますっ♡」

「……分かった。いいよ」

「あ˝おッッ♡♡」

 

 わざと膣壁を抉りながら指を引き抜いた。シロップみたいに濃い愛液が指先にねばっとまとわりつき、膣穴と糸で繋がっている。

 

 壁に肘をつき、収監者が身体検査を受けるような姿勢で、カンナは腰を震わせていた。水着のクロッチ部分をずらし、尻の谷間でズリズリ擦りつけていたペニスを剥き出しにしてから、下の口にあてがう。

 

 

 ――飢えを、満たしてあげないと。

 

 

 罪悪感を誤魔化そうとして、そんな建前を内心で呟いた。

 

“にゅぷ、くぷっ……♡”

 

「……ッ♡♡ は、ぁ……♡」

 

 亀頭の先端が花弁を開いた瞬間、切れ目の入った犬耳がピンと立った。そのまま後ろから怒張を沈めていく。

 

「ん、っぐうぅぅ……♡ は、ぁっ、あぁァ……♡」

 

 愛液に満たされたメス穴はすんなり肉竿を頬張り、ずぶずぶと飲み込んでいく。じわじわ挿入が深まっていくと、カンナの膝が笑い出した。

 

“ぐりゅっ……ずぷん♡”

 

「お˝、っ……ア˝♡♡」

 

“みぢぃ……♡”

 

 充血して膨らんだGスポットをカリ首で押し潰しながら、最奥まで突き入れた。カンナの背筋が反り返り、ポニーテールが宙を舞う。ぎゅううっ♡ と強まる締め付け。どうやら、挿入しただけでさっそく軽くイキしてしまったようだ。

 

 時間に余裕がないのなら、快感の密度を高めて何度も絶頂させる。そんなことを脳内で思い描いた。前戯もしてもらわず挿入したものだから私にも余裕が全くないが、早漏になってしまうのは今日に限れば好都合だ。

 

「動くよ」

 

 そう耳打ちして、腰を引いた。ペニスが抜けそうな所まで引くと、めくれ上がった膣肉が貪欲に吸い付いてくる。また挿入すると、今度は逆に腰が逃げていく。奥まで捩じ込んだ瞬間、濡れ肉がペニスを絞るようにうねり、吐息に混じった甘い声があがった。

 

“ぱちゅっ、ぱちゅ♡”

 

“くちゅっ、ぬぷ、くぽっ♡”

 

 腰を前後させ始めると、淫らな肉の音が立ち始める。肉竿に絡みつく愛液は一往復ごとに空気と混ざり、白く濁っていく。その中には、膣奥から分泌されてくる本気汁も混ざっているに違いない。膣ヒダが亀頭を舐め回し、カリ首が肉環に何度も引っかかる。

 

「はっ……♡ い、っ、ぎ♡ あ˝ぁ、せ……せんせい、そんな♡ いきなり、っ♡」

「早く、済ませたほうが、いいでしょっ」

「そっ……そんなに、されたら、声が……♡ っは♡ うぐ、ぅ、ん˝♡」

「……我慢してるカンナも、色っぽいね」

「お、んぉッ♡ ふ、ぐ、ぅふ♡ ン~~~~、っ……♡」

 

 カンナの尻が突き出される。「犯してほしい」と言わんばかりだ。抜けていくペニスに縋りつく膣壁は、奥まで突き入れてポルチオをごりっと圧迫すると、大喜びで締め付けてくる。

 

“ぱちゅっ♡ ぱちゅっ♡ ぱちゅっ♡ ぱちゅっ♡”

 

 たん、たんと腰を打ち付けるたびに、シミ一つない綺麗な尻肉がたぽたぽと波打って揺れる。下腹部にその弾力を感じながら、私はカンナの腋に手を突っ込み、水着の中へ押し入った。とても掌には収めきれない豊乳の柔らかさに、手首まですっぽり包まれる。閉じ込められた火照りは熱く、下乳や谷間は汗に濡れて、ローションをまぶしたようになっていた。

 

「は……♡ んん……♡ ん、っ……♡」

「凄く重いね。ずっしりしてる……」

 

 搾ったらたっぷりミルクを出してくれそうな乳房を、鷲掴みにして揉みしだく。指の隙間からとろんとろんと零れていく乳肉を愛でていると、カンナの呼吸がますます浅くなっていく。体を委ね、愛撫を許してくれる彼女に内心で礼を言いながら、膨らみの頂点へ指を登らせる。滑らかで柔らかな肌の質感とは明らかに異なるものがそこにはあった。出っ張りを隠すためのフィルムには、触れば分かる起伏がある。

 

「ニップレス、貼ってるんだ」

「あ、たりまえ、です。ただでさえっ、前面が白いの、ですからっ♡」

「そうだね。カンナのは大きい(・・・)し、ちゃんと隠しておかないと、浮いちゃうよね」

「や……♡ あっ、い、いけませんっ♡ 剥がしては……♡」

 

 言葉尻こそ拒絶だが、カンナの体は期待に打ち震えていた。もはや声を抑える意味もないぐらいにねちょねちょ目立ち始めた水音も、男根に甘えて吸い付く膣肉も、彼女の昂りを表しているのは明白だ。薄皮一枚越しに指先で乳輪に円を描く。そうやって刺激しながら、スナップを効かせて腰を打ち付ける。

 

「くふ、っ♡ おぉ、ん♡ ぁぐ♡ ううっ、うーーっ♡♡」

 

 どっしりおっぱいが、ぶるん♡ ぶるん♡ と水着の中で暴れ回る。ニップレスの内側でコリコリ硬いものが外に出たがっているのも、指を通して伝わってきた。汗で滑り、四方八方から迫りくる乳圧の中、シールの縁になんとか爪を引っかけた。手首を返して剥ぎ取り、指を伸ばす。

 

“くにゅっ♡”

 

“きゅむっ♡”

 

「あ˝ゥ~~~~っ♡♡」

 

 摘まめるサイズの大粒乳首を摘まんであげると、ぎちぎちぎちっ、と膣肉が締まり上がった。ポニーテールを振り乱して、カンナが全身を硬直させる。ぷっくり膨れた乳首の弾力は、グミか、はたまた蒟蒻か。直接指先で押し潰し、ぐにぐに扱いてやると、狭くなった膣がドロドロの蜜を吐くのが分かった。

 

「う、おほ、っ♡ っ˝~~~♡♡ せ、せんせい、それ、されると、ッッ♡」

「ふふ。こうされるとカンナは堪らないよね」

「あッ♡ あ♡ こ、声、がっ……♡」

 

 腰を引き、また打ち付ける。男の興奮を凝縮した肉竿は膣壁をゾリゾリ擦りながら前進と後退を繰り返し、断続的なオーガズムに襲われているであろうメス壺を蹂躙する。大粒の乳首は感度が高いし、口では何と言おうがカラダは正直に反応してしまう。そう。「ヴァルキューレの狂犬」の二つ名で恐れられる尾刃カンナは、セックスが弱い(・・・・・・・)のだ。背後から突き上げながら、ギュッ♡ と両乳首を捻ってやると――

 

「あ˝、い˝っ、ぐ♡ ぅぐぅうぅう♡♡」

 

 いとも簡単に果ててしまう。結合部の下には淫水が水溜まりを作っており、水着の生地から染み出したイキ潮がぽたぽたと垂れていく。

 

“きゅっ♡ こり、こり、こりっ♡”

 

“かりかりかりっ♡ かりかりっ♡ くりゅっ♡”

 

「はっ♡ ぃうぅ、ま、まって、くださいっ♡ 今、イッ、て……っ♡ っっ♡ ~~~ッ♡♡」

「ごめんねカンナ。ちょっと、止まらないよ」

 

 カンナは必死に嬌声を上げまいと耐えているが、パンパン弾け合う肌の音や、ぐちゅぐちゅ混ざり合う粘液の音、そして声の混じった荒い吐息。それらがこの薄そうな壁の向こうまで聞こえていないという保証なんてどこにもない。

 

“ぐちゅっ♡ ぐちゅ♡ ぐちゅ♡”

 

“ばっちゅ♡ ばっちゅ♡ ばっちゅ♡”

 

 交尾の音が幾重にも反響する淫らなシャワールームの中、声を抑える意味なんてないように思えた。それよりも、限られた時間でカンナの飢えを満たしてあげたい。私も満たされたい。モヤモヤした射精感が形を取り始め、腰に力が入った。

 

「カンナ、こっち向いてっ」

「え、あむ……♡ ぉふ♡ ン~~~~♡♡」

 

 振り向いたカンナに唇を重ねる。声が我慢できそうになければ、塞いでしまえばいい。舌を絡ませて、くぐもった嬌声を喉奥へ嚥下する。根元から精液が上ってくる。

 

“ごちゅっ♡ ごちゅ♡ ぐりゅっ♡ どちゅ♡”

 

 一心不乱に膣奥をすり潰す。ニップレスでは封じ込められないぐらい膨らんだピン勃ち乳首を、ぐりぐり捻り回す。首から下げたホイッスルが暴れて、カラカラと小さな音を立てていた。

 

「ンん~~っ♡ ぢゅるっ、れろ、あむ、んぎ、ぅ♡♡」

「カンナ。そろそろ、私もイくからね。ナカでいい?」

「……! ン˝フー♡♡ フーッ♡♡」

 

 息継ぎの合間にそう言って、私はまたカンナの唇を奪った。返事を言えないようにしてしまったが、コクコクと頷いたらしいのは分かった。膣内射精を予告されて、トロトロの蜜肉が吸い付きを強めてくる。言葉ではなく、体の反応で、カンナも期待していた。

 

「ン˝♡ オ˝♡ おゥ♡ む゛ぅうぅ~~♡ んンん♡♡ あッ、おォ゛ぉ♡♡」

 

 焦らしも我慢もしない、と決めた瞬間、限界は訪れた。積極的にカンナの舌を貪りながら、最後の一突きを子宮口に叩き込むと、溜めに溜めた精液が勢いよく噴き出してきた。

 

“びゅぶ♡ ぶりゅ♡ びゅうぅぅぅ♡♡”

 

「んぉ♡ ふおぉぉ♡ お˝~~~~~♡♡」

 

 両手に余る乳肉を握り締め、バックハグしながらの射精。尿道を押し広げながら放たれる大量の精子が、痙攣する肉穴に飲み込まれては溶け出していく。子宮口へ鈴口を押し当てて、一滴残らず注ぎ込んだ。その間もカンナは絶頂していたようだ。膣ヒダが痙攣し、私のペニスから最後の一滴までザーメンを搾り取ってくる。

 

“どぷ♡ どく、どくっ♡ どぽ……っ♡”

 

 生ハメ射精の熱や感触は全てカンナに伝わっているはずだ。拍動にシンクロするように、喉の奥からくぐもった声が漏れてくる。本物の犬みたいにへっへっと荒い息を吐きながら、膣肉を蠕動させて、カンナは私の放ったオス汁を下の口で飲み干していく。

 

“ごぴゅ……ぴゅるる……っ♡”

 

「オ˝……ぉ……♡♡」

 

 引き締まった強面がとろんと緩み、カンナは瞳を潤ませてオーガズムに浸っていた。息苦しさに私は唇を離そうとしたが、伸びてきた首にキスの続きをねだられる。それに応えて、余韻を共有する。

 

「ン˝♡ んふぉ♡ あっ、熱……っ♡♡」

 

“ぐぢゅ……ぐぢゅ……♡”

 

 ようやく吐き出し終えた精液を、膣ヒダの一枚一枚に塗り込んでいく。お腹の奥深くでディープキスを交わすと、カンナは腰をカクつかせ、舌先を甘イキに震わせた。男女のカクテルを作るシェイカーにされて、震える媚肉はなおも絡みついてくる。

 

“ぬぽ……♡ ごぽっ♡”

 

「あ˝♡♡ うッ♡♡♡」

 

 ゆっくり腰を引き抜き、ずらしたクロッチから覗く無毛の蜜穴に視線を注ぐ。愛液で引き伸ばされて水溶き片栗粉みたいになった白濁液が、ヒクつく花弁の奥から零れ落ちてくる。内股どころか、膝の辺りまで粘液にまみれて、薄暗いシャワールームの中で妖しくテカテカと光っていた。

 

 

 * * * * *

 

 

「ん……ふ……♡」

 

 視線をずらした先の、カンナの唇。まだ深イキの余韻が残っているのか、目蓋が半開きで、目にも力がない。しかし、緩んだ唇を合わせると、満足そうに舌を絡めてきた。絡ませては舐め回し、擦りつけ、貪り合う。蒸し暑さと青臭い性臭で満たされた狭いシャワールームで、セックスを終えたオスとメスが、獣のように荒い息を溶かし合う。

 

「っ、ふぁ……♡」

 

 呼吸が整う頃になって、ようやくカンナが唇を離した。ギザ歯の隙間から、ぬらつく舌が伸び、唾液の橋が名残惜しそうに途切れていく。

 

「落ち着いた?」

「え、えぇ……お陰様で。ありがとうございます。お手数を、おかけしました」

 

 情事の火照りに青白い頬はまだ紅潮したままだったが、理性の光が眼差しに宿り始めた。肩を揺らしていた呼吸が落ち着き始め、クールで厳しい、それでいて秘めた正義の炎を宿す尾刃カンナ局長が、平静を取り戻していく。――その股下はセックスの混合液にまみれたままだったが。

 

「どうにか、休憩時間内に間に合ったようです。おあつらえ向きにシャワーもありますし、洗い流してから出ましょう」

「……えっと」

「どうされましたか?」

 

 勤務中という状況ゆえなのか、妙に切り替えの早いカンナに戸惑いを覚えた。

 

「落ち着くのが早いな、って」

「治まってしまえばこんなものです。さあ、水を出しますよ」

「わ、ぷぁ!」

 

 壁の蛇口が捻られ、顔面に冷水が浴びせられた。カンナはちゃっかり髪が濡れないように水流を逃れ、びしょ濡れになった私を見て口角を上げている。

 

「あぁ、そういえば、先生はまだプールに入られていませんでしたね」

「もう、カンナっ」

 

 抗議の声を小さくあげてはみたが、まだ興奮の冷めきっていない私の視線は、ついカンナの艶めかしい水着姿に注がれてしまう。きっと拒まれるのだろうな、と思いつつ手を伸ばすが、

 

「失礼、間もなく業務に戻りますので」

 

 と、手首を掴んで止められてしまう。こうなってしまえば、私がカンナに敵う道理はどこにもない。

 

「も、もうちょっとだけ……ダメ?」

「えぇ、ダメです。ここは公共の場ですから」

「う」

 

 さっきまでの痴態を棚に上げて何を、と思わなくもなかったが、カンナが全面的に正しい。きっと彼女も私の言わんとするところは分かっていて、どこか悪戯っぽくギザ歯を見せて笑っているのだ。ホイッスルをどかして競泳水着の中へ水を流し、ずらしたニップレスを直すのが生地の表面へ浮き上がっている。内腿のぬめりを手で擦り落とすのも、まるで私の性欲を煽るために見せつけているみたいだ。

 

「…………」

 

 よほど私が恨めしそうな顔をしていたのだろう。水着の下を洗い流していたカンナは、唇の端を吊り上げて意地悪く笑った。

 

「先生、本日、これからのご予定は?」

「うーん、特に考えてはいなかったけど」

「もし、閉園時間までお待ちいただけるのであれば――」

 

 カンナがシャワーの蛇口を締めた。私の体にも水をかけて汗を洗い流してくれてはいたが、もう少し丁寧に洗いたければお任せします、ということらしい。首筋に手を回し、束ねた髪を解いて、またゴムでまとめ直す。ムダ毛の一つも生えていない腋を晒して、首から下げたホイッスルが大きな双丘の谷間でゆらゆらと視線を誘う。

 

「一旦は治まりましたが、おそらく数時間後にはまた波が来るはずです。仕事がなければ一人で処理するところですが」

 

 その言葉の続きを発する前に、カンナは軽く咳払いをした。

 

「先生さえよろしければ、もう一戦、お相手願えますでしょうか」

「……堅い誘い方だなぁ」

「えぇ、こうした物言いしかできないものですから」

 

 そう口にすると、カンナは眉を下げて苦笑した。ムードもへったくれもないが、間違いなくそれはセックスの誘いだった。後でもう一回したい、と、ぶっきらぼうな声色で。厳格な公安局長にも女としての欲があって、それを満たしたいと言っているのだ。そんな魅力的な誘いを断れる男がどこにいるというのか。結局、仕事終わりまではあちこちを見て回って時間を潰し、閉園後に改めて合流する、ということになった。

 

「では先生。先に戻ります。少し時間を置いてから出てきてください」

 

 タオルで体を拭き、ジャケットを羽織ったカンナが、ひたひたと隣を通り過ぎていく。「おっと」と口にすると、すれ違いざまに私のシャツの襟を掴んだ。「失礼」と一声かけると、顔が近付いてくる。返事をする間もなく、ちゅっ、と下唇を吸われた。

 

「ご協力、感謝いたします。――また後ほど」

 

 ほのかな体温の余韻を残すと、カンナはニヤリと笑って、詰所のシャワールームを颯爽と後にした。側頭部の耳がほんのり赤らんでいるように見えたのは、気のせいではなかったかもしれない。

 

 唇を舐めると、ほんの僅かに甘い蜜の味がした。

 

 

 終わり

 




評価・感想など頂けると嬉しいです。滅多にもらえないので
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