〝先生〟
〝もうおしまいです〟
〝槌永ヒヨリは終わりました〟
* * * * *
「……!?」
ヒヨリから突然届いたモモトークに、私は「今行くからね!」とだけ打ち込み、慌てて執務室を飛び出した。シャワー室と洗濯機を借りたいと申し出があったのは十分ぐらい前だ。彼女の大袈裟なネガティブ思考は今に始まったことではないけれど、何があったのだろう。ゴッキーでも出たのかな、と思ったけれど、シャーレオフィスビルの高層階に出てきたことはない。
どうか深刻な事態でありませんように。そう願いながら、大浴場に繋がる部屋のロックを解除した。
「ヒヨリ、大丈――」
「あっ、先生」
血や硝煙の匂いは全くしなかった。キヴォトスにつきものの破壊は起こっていない。ドラム式洗濯機がゴウゴウ音を立てているだけで、穏やかなものだった。
ヒヨリが季節外れのビキニでいること以外は。
「あ、えっと……?」
「きっ、聞いてください……うぅ、辛い……」
「とりあえず、何があったのか、聞かせてもらえる? あと、寒くない?」
ヒヨリは真っ白な柔肌をぷるぷる震わせながら、私の言葉に目を潤ませてうなずいた。ずび、と鼻をすする音が笑いを誘ったが、咳払いをして誤魔化した。
「寒いです……辛いです……もうダメです……やっぱり私の人生には救いがなくて」
「うん、うん、分かったから。とりあえず落ち着いて、何があったのか教えてくれると助かるよ」
私は近くにあったふわふわのバスタオルを手に取り、彼女の肩にかけてやった。エアコンで気温は調整されているが、少しばかりそれも上げてやる。
ヒヨリはタオルをぎゅっと握りしめた。その隙間から、素肌が覗く。
白地にオレンジの花が咲く水着――私がこっそり買ってあげたビキニ――は彼女の儚い肌に映えている。サイズを厳密に知らずに買ったせいで、紐が食い込み、スイカのような巨乳を包めておらず、可愛らしいデザインが肉感的な体を強調している。
ただ、懸賞で当たったと思い込んでいる彼女は、それも自然に受け入れてしまっている。悲惨な食生活からは考えられないほど豊かに育った胸元が、少し身じろぐたびにふるふる揺れて、妙な緊張感が走る――いや、今はそれどころじゃない。
「その……今日、シャーレ当番だったじゃないですか。服を綺麗に洗えるチャンスだと思って、全部リュックに詰めてきたんです。シャワーも借りられますし」
「うん、それで?」
「とりあえず体だけ綺麗にしたくて、シャワーを借りました。髪はあとで大浴場を使わせてもらってそこで、と思って。それで私は気づきました。洗濯機に、着てた服もリュックの中の服も、全部一気に突っ込んじゃって……」
彼女の声がだんだん小さくなり、水色の髪を背景に、耳が赤らんでいく。私は嫌な予感がして、洗濯機の方をちらっと見た。ガラス窓の中で、ドラムが重たそうにぐるぐる回っている。
「えっと……じゃあ、今着てる水着は?」
「これは、リュックの底でぺったんこになってたんです。夏以来一度も着てなくて洗濯も必要なかったですし。裸のままじゃ先生も呼べないと思って、でもこれしかなくて。うぅ、シャーレで水着って凄く恥ずかしいですし、こんな情けないところを先生に見られてしまうなんて……つ、辛いです、苦しいです……」
(その割には、悲壮感がないね……)
サイドポニーテールの結び目には花の髪飾りがあしらわれ、オーバーサイズのサングラスもちゃっかりおでこにかけていて、本人のトーンとは裏腹にあまり深刻ではなさそうだ。
「大変だったね。でも大丈夫だよ。乾燥まで入れても、あと2時間もかからないぐらいだし」
「で、でも……その間、こんな恥ずかしい格好で独りぼっちなんて……辛いです……置いてかれちゃうみたいで……」
前髪の隙間から、淀んだ蒼い目が私に縋りつく。ヒヨリの甘え上手は天性の才能と言ってもいいだろう。こうなると、もう放っておけなくなってしまう。私はため息をつきつつ、苦笑いを浮かべた。
「分かったよ。乾燥が終わるまでここにいるから」
「ほ、本当ですか……? うぅ、やっぱり先生は優しいです。……私みたいなのに付き合ってくれるなんて……あっ、えっと、ついでに飲み物とかも……えへへ」
「……そうだね」
シャーレ居住区のシャワールームは、洗濯乾燥機が置かれているほか、休憩スペースがある。ソファーと本棚が置いてあって、パソコンもあるからちょっとした調べものもできる。スーパー銭湯の休憩スペースのようなものだ。自販機でホットココアを買ってあげると、ヒヨリはほっと笑った。
私がソファーに腰を下ろすと、ヒヨリは肩の触れる距離に座った。湯上りの湿気を含んだ、濃厚な石鹸の匂いがする。
大事そうにココアを口に含み、こくりと飲み下すと、ヒヨリが口を開く。左の側頭部にまとめた髪が、首筋をくすぐった。
「乾燥が終わるまで、まだけっこうかかりますよね」
「そうだね。量が多いみたいだから」
「それなら……」
私の方へ身を向けて、ヒヨリの手がぷにっとしたお腹を登った。そして、女の子の手には到底収まりきらない重そうな肉房を、指をめいっぱい広げて掴む。
「その……〝コレ〟しますか? えへへ……♡」
「!!」
左右の乳房が持ち上げて寄せられ、既にIの字になっていた谷間がいっそう影を深める。神経の深くに刻まれた記憶が、中途半端な疼きを抱えていた股間を叩き、喉から脳天へ駆けあがってくる。
「お時間がかかりますし、二人っきりですし、それに……恥ずかしいですけど、この格好なら、すぐ始められますし」
たぷたぷ、ゆさゆさ。ヒヨリが豊乳を揺らしてパイズリのジェスチャーを見せびらかす。「前回もこうしてあげましたよね」と、左右の乳肉が互い違いに擦れて、谷間の圧力を見せつけてくる。警鐘を鳴らす理性とは裏腹に、私は喉を鳴らしていた。
(うぅ……ヒヨリのおっぱい……)
生徒を導く大人ならば、こんな時は優しく諭し、自分の性を切り売りするような真似は止めなければならない。だが今の私に、そんな資格はない。あれは事故だったのだと良心へ言い訳をしながらも、ヒヨリとずるずる関係を続けているのだから。
* * * * *
――――
その日は三徹目だった。シャーレの執務室でヒトとしての限界に挑む心地で私はキーボードを叩いていた。背筋が伸びず、首が安定しない。一向に進まないタスクを前に少しだけ仮眠を取ろうと妥協して、机に突っ伏した。
夢と現実の境目が曖昧な中、手が何かに触れた。とても柔らかくて、温かくて、幸せという概念を触れるようにしたらこんな感じなのだろうか。やさぐれかけていた心を優しく癒すそれの正体を考えようなんて思わなかった。
(何だろう……夢にしてはリアルだな……?)
気分が良くなってきて、私は両手でその「何か」をつかんで捏ね回し始めた。むにゅっ、むにゅっと指がどこまでも沈み込む感触がたまらない。思わず顔を埋めたくなる衝動に駆られる。
布に包まれているようだけど、この中にはいったい何があるのだろう。夢なら何でもありだし、何でもいいか……と半覚醒の頭で私は勝手に納得していた。
「んっ……あ、あの……先生……?」
その声にハッと目を開ける。ぼやけた視界が徐々に輪郭を取り戻す。そこには顔を真っ赤にしたヒヨリが立っていた。そして、私の手は彼女の膨らみを鷲掴みにしているではないか。
「ひ、ヒヨリ!? ごめん!」
「いっ、いえ……いいんです。えへ、へへへ……♡」
慌てて手を離そうとしたけれど、ヒヨリはがっしりと私の腕を掴み、自ら胸元に導いていく。荷物をパンパンに詰め込んだリュックを背負ったままだった。どうやら、当番業務を終えてから帰るところだったらしいことは分かった。
「うぅ……は、恥ずかしいです……。でも、こんなだらしない体でもお役に立つなら、ど、ど、どうぞ……!」
そう言うと、ヒヨリは押し付けた私の手首をますます沈めてきた。その肉のボリュームに思わず息が漏れる。なんという深さだろう。セーター越しの膨らみは私の掌では包み切れない。
生徒の胸に触れてしまった――それを頭が理解したのに、伸びきった指関節が縮んでいく。
――ぐにゅっ……♡
「んぁ……♡」
鼻にかかった甘い声。
ヒヨリの淀んだ目に、妖しい歓喜が光った。
それからはヒヨリお得意の「どうせなら」「せっかくだから」であれよあれよと行為がエスカレートし――気が付けば一線を越えてしまった。ベッドで恍惚と天井を見上げるヒヨリの熱が、コンドームの口を縛った後もまだ股間に残っていた。
「…………」
生徒に手を出してしまった罪悪感と、流されてしまった情けなさに、それこそヒヨリのように「もうおしまいです……!」と言いたくなった。
だが、落胆を隠しきれない私に、彼女は何かのシンパシーでも感じたのだろうか。乱れた呼吸を整えながら、素肌の体温を擦りつけてくる。嘆いてばかりの彼女が見せる満ち足りた顔を見ていると、私はこう口にせずにはいられなかった。
「……せ、責任は、取るから……」
「い、いいんですか? 責任を取ってくれるってことは、えへ、えへへへ……♡」
それからしばらく、ヒヨリはニコニコ上機嫌だった。
――――
* * * * *
ヒヨリはいそいそとリュックを漁り、オレンジのキャップが目立つボトルを持って戻ってきた。ひたひた歩くたびに、胸元で直下型地震が起こっている。私の視線がそこに行っていたのに目敏く気づくと、ヒヨリは腕で乳肉をぎゅっと寄せ上げて、私の期待を煽った。
(今から、あそこで……)
かつての私が見たら、さぞかし失望することだろう。キヴォトスに来てからというもの、己の右手との腐れ縁が切れずにいた股間の愚息。彼は乳肉の味を覚えてしまった。ヒヨリのふかふかなおっぱいに包まれ、乳圧の中で果てる悦びを学んでしまった。
「あ、えと……し、失礼します」
ソファーに座る私の足元に、ヒヨリが跪いた。ビーチカーディガンも洗ってしまったのだろう。今のヒヨリの肌を覆う面積は、全身の5%にもすぎないはず。限りなく裸に近い露出に、私の雄には火が点きっぱなしだ。腰を引いてみても、スラックスの内側で硬くなっているのは隠せないし――どうせ今から暴かれてしまう。
「先生、息が荒いですけど……? も、もしかして、楽しみにしてくれてますか?」
「え、えっと……」
「私も、楽しみです。この重たい駄肉で先生が喜んでくれるのは嬉しいですし……最近は、おちんちんさんが可愛くて……えへへ♡」
止めなければ、と頭の中で声が響くが、ヒヨリが珍しく見せる明るい笑顔が、別の躊躇を招く。これが彼女に喜びをもたらすのなら、と。
ヒヨリが上目遣いで私を見上げながら、ボトルのキャップをカチッと開けた。透明なローションが彼女の掌に広がっていく。細い指先で軽く混ぜただけで、ねばっとした水音が洗濯機の音をすり抜けて耳に忍び込む。私は思わず唾を飲んだ。
ダメだ、冷静にならないと。こんなのダメだよって、止めさせないと。大人が生徒に流されてどうする。でも、ヒヨリも嬉しそうにしてるし……いやいや、そうじゃないでしょ!
頭の中で理性が最後の抵抗を試みるが、ローションに濡れた手が谷間の肉を掻き分けて「下拵え」する淫らな光景に、両目は釘付けだ。
物陰に跪かせ、シャツの隙間に突き入れて。
桃色の綺麗な乳首を目で味わいながら、全裸で。
寝そべったヒヨリに跨って乳オナホにしたこともあった。
そうやって極上の乳穴に獣欲をぶちまけた記憶が、海馬から掘り起こされる。
「……あ」
間の抜けたヒヨリの声に、我に返った。
「ど、どうしましょう。先生を脱がしてあげる前に手がベタベタになっちゃいました。あうぅ、辛い……」
「い……いや、大丈夫。こっちで脱ぐから」
ベルトに手がかかる。そのアクションは、ヒヨリの誘いへのイエスを表す。下着の中でカチカチになっているペニスを、挟んで、擦って、包んで――パイズリの快楽に浸からせてほしいという意思表示を、私は示してしまった。
ホックを外してファスナーを下ろそうとする私を、ヒヨリは食い入るように見詰めていた。下着のゴムが亀頭に引っかかるが、構わず引き下ろす。ペニスを目にした瞬間の反応が見たくて、つい、ヒヨリの顔に視線が行った。
――ぶるんっ!
押さえつけられていた竿がバネのように跳ね、べちんと臍の下を叩いた。
「うひゃ……♡」
少女に勃起を見せつける悪趣味な悦びが、ぞくぞくと込み上げる。長い睫毛を瞬かせて、ヒヨリが裏筋に目を注ぐ。初めて見た時こそグロテスクな性器に怯えるそぶりを見せたが、今ではもう慣れたものだ。好奇心いっぱいの熱視線に、ますます海綿体が膨れ上がった。
「げ、元気いっぱいです……♡ 興奮しないと、こうはならないんですよね?」
「うん、そうだね」
「うっ……嬉しいです。取柄なんて何もない私ですが、[[rb:コレ > ・・]]なら、できますので……」
ヒヨリが両手で胸を寄せ、ぐちゅぐちゅとローションを掻き混ぜる。今からその泉に招待してもらえる。心が痛むどころか、鈴口からカウパーを滲ませる始末だ。ヒヨリも先走りが膨らむのに気づき、私を見上げて口元を緩めた。赤らむ頬には、期待の熱が浮き上がっている。
「それじゃ、始めますね」
「うん、お……お願い」
「うぅ、おっきぃ……♡」
(結局、流されちゃったな。でも……)
ソファーの前に跪いたヒヨリが、半歩前に進んだ。私の膝の間に割り込み、石鹸の香りが色濃くなった。ビキニは着けたまま、下から掴まれた乳肉が割り開かれる。ねちゃ……とローションが糸を引き、濡れた生肌がてらてら光っていた。
いよいよだ。待ち侘びたペニスが血管を浮き上がらせる。挟まれた瞬間に暴発してしまいそうなぐらい、睾丸の中身が煮えたぎっていた。
「失礼します……♡」
――にゅぷ……ずるんッ♡
ヒヨリの白い乳房がビキニの下から割り開かれ、私の内腿にずっしりと沈み込む。ローションに濡れた柔肌が腿に触れ、熱い体温が膝の間に割り込む。石鹸の甘い香りに混じる濃厚な雌の匂いに、意識が溺れそうだった。
「真っ赤に腫れてます……うぅ、辛いですよね、苦しいですよね……♡」
そう呟くヒヨリは、子どもをあやすように乳肉でペニスを抱き締める。下半身がすっぽり包まれる抱擁感が、蜜のような甘さで脳を浸した。
ローションが乳肉の狭間で潰れる。ぐちゅっ、ぐちゅっと粘ついた音が、乾燥モードに入った洗濯機の音を上書きする。私の剛直は彼女の谷間に招かれた瞬間、ドクドク先走りを漏らし、淫靡な糸を垂らした。
「わっ、私にはこれぐらいしか、できませんけど……精いっぱい、ご奉仕します……♡」
ヒヨリの淀んだ瞳は、情欲に潤んでいた。にもかかわらず、私を見上げて浮かべる笑みはピュアな性根を表している。その純粋さと、目の前で揺れる豊満な肉塊の対比に、喉の奥から熱い息が漏れた。
柔らかい乳肉が竿を包み、ローションでぬるっと擦り上げる。強い乳圧が根元を締め付け、先端までずるりと飲み込む。私はソファーの背に沈み込み、股間から弾ける快感に全身を震わせていた。
「は~っ……あ、すご……」
「せ、先生のおちんちんさんも、凄いです。ビクビクして、どんどん硬くなって……♡」
たぽたぽ揺れる乳肉が竿を締め、ローションが腿に飛び散る。反射的に腰が引けそうになるが、ヒヨリが体重を預けてきて逃れられない。ぬちゃぬちゃという音が耳朶をくすぐり、脳髄を溶かしていく。
「ん♡ ん……っ♡ どうですか?」
「う、っ……気持ちいいよ。柔らかくて、あったかい……」
「えへ、よかったです。もっと、気持ちよくなって、ください、ね……♡」
ヒヨリが体重をかけて前に進む。谷間が深まり、先端が乳肉に隠されてしまう。柔肌の狭間に沈んだ剛直は、熱い膣内を思わせる圧迫に包まれ、傘裏の敏感なポイントがずりゅずりゅ擦り上げられる。
上下に揺れる胸の間から、亀頭が息継ぎをするように顔を出しては溺れる。胸元にヒヨリの息がかかり、上目遣いで見詰める顔の近さに、興奮とはまた別種の高鳴りが心臓を急かした。
「……先生♡」
――ちゅっ。
首を伸ばし、ヒヨリがそっと唇を重ねてきた。舌を入れてこないんだ、と思った瞬間、ディープキスを期待していた自分に気づく。
「あっ、えと……か、顔が近かったので、つい。す、すみません、うぅ……♡」
ヒヨリは目を泳がせ、視線を自分の胸元に落とした。イタズラに照れて、なかったことにしたいのか、乳肉を捏ね回す速度が上がった。ローションが泡立ち、先走りやヒヨリの汗と混じり合って、熱く白濁する。
重い乳肉が叩きつけられ、たぱんたぱんと打擲音が響く。熱い疼きが下腹部を締め付ける。ヌルヌルの亀頭を執拗に責め立てられ、限界が迫ってくる。グツグツに煮立った精液を吐き出そうと睾丸がせり上がる。
私は荒々しく息を吐き、「その時」を少しでも先延ばしにしようと歯を食い縛る。だけど、どう足掻いても逃れられない。雄の最大の弱点は、雌乳が作りだす悦楽の牢獄に囚われているのだ。
(や、ヤバい、出る……!)
手綱を緩め、水門を開く。白濁液を放出する瞬間を思い描き、腰が浮き上がった瞬間――刺激が止まった。
「っ、え……?」
「あ……す、すみません。ちょっと、重くて手が疲れちゃって……」
ヒヨリがおっぱいから手を離し、しょんぼりした顔で呟く。乳圧が緩み、谷間から顔を出した亀頭を生ぬるい空気がくすぐる。私は愕然と彼女を見つめた。
「いっ、今、いいところで――あぁいや、ごめんね、ヒヨリのペースでいいからね」
「いえ、こっちこそ、不器用で、うぅ……すぐ再開します……」
謝るヒヨリは目を潤ませていた。この寸止めは故意ではないのだ。私を焦らそうと意地悪しているのではない。単に純粋な不器用さが、私の射精を寸止めしただけなのだ。熱い脈動が治まらず、睾丸が疼きを訴える。私はソファーを握り潰しそうになりつつ、掠れた声で呟いた。
「だ、大丈夫だから、ね。ゆっくりで……」
「は……はい。すみません、すみません……」
ヒヨリが呼吸を整え、ローションと体液でぐちゃぐちゃの乳肉を再び掴んだ。優しく竿を挟み、上下に揺らし始める。だがそのペースは緩慢だ。
緩やかな動きが、熱い蜜を竿に絡ませる。爆発寸前のペニスには酷な優しさだ。私は息を詰め、快楽の波が押し寄せるのを待ち焦がれる。締め付けが強まり、裏筋が濡れた柔肉に舐め回される。
ぐぐっと腰が持ち上がり、フィニッシュに向けて弓が引き絞られていく――が、足りない。優しすぎる速度は絶頂に足りそうで足りず、甘い拷問のように私を焦らした。
「ふッ、ン……ぐ、うぅ……」
「あ、えっ……い、痛いですか?」
「そ、そうじゃないんだ。違うんだけど……大丈夫。焦らなくていいからね」
笑顔を作ってみせたが、きっとぎこちなかっただろう。ゆっくりの愛撫でも既に絶頂感は限界まで膨れ上がっており、あとほんの一押しが足りない状態だ。
もう少し。
数秒だけでいいから、ゴシゴシ激しくしてもらえたら。
イけそうでイけない陰茎はもどかしさにのたうち回る。
いっそのこと、乳房を両手で鷲掴みにし、乳肉を潰しながら腰を振りたくってしまおうか。
いや、そうしたらきっとヒヨリは「先生を満足させられなかった、もう終わりです……」となってしまうだろう。
擦り減り切った理性で回らない頭を回し、私は白旗を上げることにした。
「お、お願い、ヒヨリ。ちょっとだけ、頑張れないかな……?」
「え?」
「もう、で、出そうなんだけど、ゆっくりすぎると、焦れちゃって苦しい……」
情けない自白だったが、もう脳が沸騰してしまいそうだ。私が吐息混じりに言うと、ヒヨリは目をぱちくりさせて「あ」と声を漏らした。
「すっ、すみません! 苦しいのはイヤですよね! がっ、頑張りますっ♡」
乳肉を左右から押し潰し、ヒヨリがパイズリピストンを加速させた。
乳圧がズルズルと滑ってペニスを嬲る。
待ち兼ねた重い快感がズンと腰を打ち、溜め込まれた白濁液が尿道を駆けあがってくる。
「あ……出る! 出る、出るっ出る……うぅぅぅ……!」
熱い奔流が股間を支配し、私はソファーを掴んで背を反らせた。
――ぼびゅうぅぅぅっ♡♡ びゅぐぐぐ♡ びゅっ♡ びゅぅ~~~♡♡♡
睾丸を引っこ抜かれるような激しい吐精。火山が噴火する勢いで放たれる白濁液は、しかしながら乳肉の中に閉じ込められ、一滴たりとも出てこられない。私は腰を突き上げ、びゅくびゅくとイキ汁を放つことしかできない。
「わ……ぁ♡ すごいです♡ 熱くて、火傷しちゃいそうです……♡ も、もっと出して、いっぱい楽になってくださいっ♡」
絶頂の最中にある陰茎へ、ヒヨリが追い打ちをかけてきた。吐き出された精液を新たな潤滑油にして、ズリズリと竿をしごき、睾丸の中身を根こそぎ搾り取ってくる。脳神経が焼ききれそうなほどの快楽が走り、私は唸り声をあげて悶えた。
――びゅく……とぷ、とぷ……♡
長い射精が終わり、尿道の残りもぎゅうっと押し出された。粘着質な音を立てて開かれた谷間にはとろろのような精液が幾筋も伸び、ヒヨリの真っ白な肌を汚していた。その真っ白な肌も、肉竿と擦れていたところが、焼き印のように紅く染まっている。
「ぅ、あ……ヒヨリ……」
「えへへ……お顔がとろとろの先生、可愛いです……♡」
下から背伸びしたヒヨリが、射精を褒めるように唇を重ねてくる。全身の毛穴から火照りが押し出され、首筋を汗が伝った。彼女の柔らかな唇が触れるたび、射精の余韻が甘く疼き、頭がぼうっとする。私は掠れた息を吐きながら、彼女の潤んだ瞳を見つめた。
「お……お疲れ様でした、先生」
ヒヨリが谷間に溜まった白濁を指で掬い、長い前髪の間で目を細めた。ローションと混じった粘液が、彼女の白い肌をてらてらと光らせ、塩素のような青臭さの混じった淫靡な香りが鼻腔をくすぐった。私は力なく頷き、ソファーに身を沈める。するとヒヨリが、私によじ登ってきた。
「えっと、わ、私、頑張りましたよね?」
「うん……すごく良かった。ありがとう……」
「それなら、その……まだ、元気が残っているようですし」
彼女がもじもじと呟き、私の腿に跨ってくる。ビキニのクロッチをそっとずらすと、陰毛から雫が垂れ落ちた。熱い吐息が彼女の唇から漏れ、むっちりした太腿が小刻みに震えている。
「ヒヨリ?」
「うぅ……お疲れのところ、すみませんが、ダメですか……? せっかくなので、頑張ったご褒美が欲しいです……♡」
ヒヨリが恥ずかしそうに目を伏せ、私の胸に手を置く。震える指先で私の肩に触れ、健気にしがみついてくる。
前髪で隠れていない右目が潤み、濡れた唇から漏れた吐息は、湯気が立ちそうなほどに熱かった。妖艶なしぐさに、射精後の脱力感が一瞬で吹き飛ぶ。疼きを帯びた――と思ったら、ペニスに芯が入るのはあっという間だった。
「いいよ。そのまま、ゆっくり腰を下ろしてごらん」
「っ♡ や、やったぁ……♡ 先生はやっぱり、優しいです……♡ 今日は、大丈夫な日なんで、このまま失礼しますね。ん……♡」
彼女が小さく笑い、腰を下ろしてくる。熱く濡れた膣口が、私の剛直に触れた瞬間、ぬるりと滑る感触が下腹部を貫いた。
――ずぷぷ、ずるぅ……♡
「は、ひ……♡ あぁッ、おちんちんさん熱いっ……♡♡」
ヒヨリがゆっくりと私を飲み込んでいく。肉厚な肉壺は、頬張った竿を欲深に締め付け、熱い蜜を塗り付けてくる。私は息を詰め、彼女の柔らかな体温に全身が包まれる感覚に震えた。
「うぅ……重くてすみません。いろんな所に、お肉がいっぱいついてるので……」
「重くなんてないよ、心配しないで」
「でも……ア……♡」
互いの下腹部がぴったりくっついた。対面座位で深々と挿入を果たし、しがみつくヒヨリの腕が力んだ。私の胸に顔を埋め、ぎゅっと抱きついてくる。情熱的な吐息が首筋をくすぐる。私は両手を彼女の腰に伸ばしていた。
「あぅぅ、せ、先生、お腹は、ちょっと……」
「ヒヨリの体、抱き心地が最高なんだよね。ふんわり柔らかくて」
「そ、そんな……恥ずかしいです……♡」
お世辞ではない。確かに肉付きは良いし、本人が気にするようにお腹はぷにっとしている。でも、ウエストの曲線は綺麗だし、どこを触ってもふにふに柔らかくて、手が気持ちいい。
胸に負けず劣らず大きなお尻を撫でていると、ヒヨリは腰を浮かせた。その刹那、粘膜同士が擦れ合って、互いに声をあげる。
「あの、今日は私が……」
「うん、いいよ」
「はい。動き、ますね……♡」
ヒヨリが不器用に腰を揺らし始める。ぎこちない動きだが、少し擦れるだけで肉厚な膣襞がギュッと締まり、甘い痺れをもたらす。
「あ、はァ……♡ んッ♡ ん~っ……♡」
水音と嬌声がとろけあう。若い柔肉がペニスを締め上げ、一往復ごとに無数の肉びらがカリ首や傘裏までくまなく舐め回す。奥まで挿入して、ザラついた膣壁に裏筋を擦られて、尻肉を掴む手に力が入った。
「ふ……深く入れるの、まだちょっと、怖いんですよね……」
「無理はしなくていいからね」
「分かってます、けど。えへへ、先生と一緒なら、怖くないので……♡」
健気な言葉が鼓動の輪郭を強めた。尻を撫でていた手が頭に回る。頬を掌で包んであげると、ヒヨリは目を細めて甘えてきた。彼女の昂りを表すように、膣奥がきゅっきゅっとリズミカルに締まる。
「はぁ~……おちんちんさん、奥まで届い――ふぐ♡♡ お゛……♡」
腰を押し付けてきた拍子に亀頭が最奥を抉り、ヒヨリが濁った声をあげた。僅かに奥を撫でられただけで、びくんと大袈裟に肩を跳ねさせている。私はそっとお尻を掴み、下腹部を押し付けた。
「うお、お゛~~~♡♡ んぁ、奥、おぉ、押されると、お♡♡」
「辛い? 苦しい?」
肉厚な尻に指を沈め、逃げようとするヒヨリの腰をそっと押さえつける。彼女の柔らかな体が私の胸に密着し、熱い吐息が首筋を濡らした。膣奥を抉った剛直が、窄まった肉壁に締め上げられ、熱い蜜が絡みつく。彼女の震える反応に全身が疼いた。
「き、気持ちよすぎて、奥は辛いですけど……♡」
ヒヨリが私の肩に顔を埋め、掠れた声で「もっと」と呟いた。彼女の膣内が敏感に反応し、中で背伸びした亀頭が最奥を押すたびに膣壁が捻じれ、きゅっと締めつけてくる。彼女の太腿が小刻みに震え始める。私は彼女の尻を掴んだまま、腰を軽く突き上げた。
「ん゛っ♡ お、おぅ、っ♡ あ゛♡ あッ♡ あ♡」
深い所で繋がりあい、互いに下腹部を押し付け合う。汗ばんだ肌が擦れ合って、ぬるぬる滑る。ヒヨリの胸元は私の吐き出した劣情で汚れたままで、ローションと体液の混合物で私もヒヨリもお腹がドロドロだ。
「せ、先生♡ 人生って、悪いことばかりじゃ、ない、ですよね」
「どうしたの、急に」
「だって、こうして、先生と繋がってると、すごく、幸せで……♡ うっ、うぅ、いいんでしょうか、いいんでしょうかっ……♡」
「……ヒヨリ」
ヒヨリが目を潤ませ、私の首に腕を回す。彼女の声が甘く震え、頬がさらに紅潮していく。彼女もかなりの昂りを覚えているようで、吐息を喘ぎ声に濁らせながら、ヘコヘコと腰を押し付けてくる。
膣奥を抉るたびに彼女の尻が浮き上がり、肉襞が剛直を執拗に擦り上げる。私は彼女の腰を支え、動きを少し強めた。熱い圧迫が下腹部を締め付け、射精欲求が再び限界へと押し上げられていく。
「先生……♡」
しがみつくヒヨリが、唇を重ねてきた。今度は、緩く閉じられた唇から、たっぷり唾液を帯びた舌が遠慮がちに差し出される。答えない理由はなかった。
「ん♡ んフ♡ ぉっふ♡ ふぉ……♡♡」
舌を絡め合いながら奥を捏ねると、ヒヨリはぶるぶる身を震わせて蜜壺を痙攣させた。絶頂してしまったのだろうか。膣奥にドロッとした厚ぼったい蜜が湧き出して、蕩けたメス肉がさらに狭くなった。
いつの間にか、洗濯機が静かになっていた。代わりに部屋を満たすのは、ヒヨリの嬌声と、二人の荒い息。喉から紡がれる動物の鳴き声みたいな音を、肌の弾ける音と水音が飾り立てていく。
「はふ♡ んぅぅぅ♡ ん゛♡♡」
ヒヨリは私の胸にしがみつき、尻を持ち上げては落とす。たぷたぷと乳肉が私の胸に当たり、熱い蜜が結合部から溢れて太腿に滴る。硬くなって乳輪から顔を出した陥没乳首を軽くくすぐってあげたら、それだけでヒヨリは仰け反ってまた乱れる。
ヒヨリにとってのご褒美は、私にとっても同じかもしれない。抱き心地の良い体と密着しながら貪り合うのは、渇いた雄の獣欲を満たしてくれる。
「あうぅぅ、せ、せんせい……も、ダメ、ですっ♡♡」
ヒヨリが首を振って喘ぎ、潤んだ瞳で私を見つめる。その表情に、理性の最後の欠片が溶け去った。私は彼女の腰を引き寄せ、膣奥をさらに抉るように突き上げた。
――どちゅ♡ どちゅっ♡ ごりっ♡♡
「ん゛ひぃぃぃぃ♡♡ あ゛おッ♡ お゛~~~~~~~♡♡」
彼女の肉壺がぎゅうっと締まり、子宮口が鈴口とディープキスを交わす。ピストンを強めた途端、込み上げる射精感。私は歯を食いしばり、ケダモノの衝動のままにヒヨリを貪った。彼女の柔らかな体をきつく抱き締め、汗と蜜にまみれた肌を密着させる。
「ヒヨリ……そろそろ、イく、からね……!」
「ア゛……♡ せ、せんせ……わたし、もッ……♡♡」
一心不乱にヒヨリも尻を振り下ろし、獣欲が弾け合う。膣壁が竿を締め上げ、熱い蜜が溢れて太腿に滴る。互いの鼓動が重なり合い、汗ばんだ肌が溶け合っていくような一体感の中――私は最奥へ亀頭を押し付けた。
「ん゛ぁぁっ♡♡♡ イ゛ぐぅぅぅぅ……♡」
――どびゅぅっ! どくっ♡ ぶびゅるるるるるっ♡♡
獣のような嬌声に突き動かされるように、精を放つ。熱い白濁がヒヨリの膣内に迸り、狭い肉壺を満たしていく。
「ん゛お゛ぉぉっ……♡♡ あ゛、あっづぃ……♡」
ヒヨリが濁った叫びをあげ、背を反らした。膣壁が痙攣し、二度目の大量射精を促して来る。ペニスが白濁液を押し出しているのか、蜜壺に吸い上げられているのか、分からなかった。とにかく、私は彼女を抱き締めたまま、熱い奔流に喘ぐばかりだった。
――どぷ……どぷっ……♡ ぴゅる……♡
「んほ、ぉぉ……♡ おぅ……♡」
「はぁ……はぁ……」
「し……しんじゃうかと、おもいました……はぁ、ン……♡」
ヒヨリが私の唇を求め、熱い舌がぬるりと絡み合う。甘い唾液が口内に広がり、絶頂の余韻を慰め合う。
肉欲まみれのキスは次第に落ち着き、スキンシップのそれになる頃には、火照りきった頭に理性が戻ってきた。ヒヨリが私の胸に顔を寄せ、掠れた息を整える。結合部から熱いカクテルが溢れ、太腿を伝ってソファーに滴った。
「ソファー、掃除しないとね……」
「ふぁい、そ、そうですね……♡」
私は彼女の背を撫で、汗と体温が混じり合う甘い余韻に浸った。彼女の柔らかな体が私の腕の中で小さく震え、荒い吐息が耳に届く。潤んだ瞳と紅潮した頰が、湯気立つ部屋に映えていた。
「えへへ……汗、いっぱいかいちゃいましたね…♡」
ヒヨリが私の首に腕を回し、甘えるように呟く。彼女の体から漂う石鹸と汗の香りが、鼻腔を満たした。私は彼女の額に軽く唇を寄せ、頷いた。
「そうだね……お互いドロドロだし」
「それなら……お、お風呂、どうですか?」
「一緒に入るってこと?」
ヒヨリが上目遣いで私を見上げ、照れ臭そうにはにかんだ。その顔は満ち足りていて、どこか誇らしげだ。仕事がまだ残っていたが、もうそれどころではない。
「いいよ。一緒に入ろうか」
「やったぁ……♡ えへへ、先生と一緒なら……幸せです……♡」
さっきモモトークで言っていたことなんて、ヒヨリはもう忘れているだろう。彼女が私の胸に顔を埋め、小さく笑う。もう一度ぎゅっとハグしてあげてから、私はソファーから立ち上がった。
ソファーにタオルを敷いて水分を吸わせていると、一緒に立ち上がったヒヨリがぼんやりしている。
「…………」
肌に残る体温を噛み締めるように、ヒヨリは目を閉じて、うっとりと自分の体を抱き締めている。
「あ、夜遅くなりそうですし、どうせなら、お、お泊まりも……」
槌永ヒヨリは、どこまでもちゃっかりしていた。
終わり
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「辛いですよね、苦しいですよね(焦らし)」→「楽にしてあげますね♡」
というコンボの存在に気づき、ヒヨリのエロはけっこうアリだな、と思いました。