※この作品はR-18です。

「エリナリーゼさんと幸せになりたい!」   作:大隅

13 / 19
前半と後半の温度差にご注意ください。
シリアスに徹しきれなかったよ……orz


第10話「過去と現在の清算&乙女(?)なエリナリーゼさん」

side ヒロ

 

僕が転移してから半年近くが経ち、ようやくアスラ王国へ入りフィットア領――元、というべきでしょうか――にあと10日程で到着します。

そしてここ数日、夢を見るようになりました。

 

 

「誰にも望まれずに生まれたお前が幸せになる?

 ふざけんじゃねぇこの疫病神が!」

「アンタを生んだのは嫌がらせの為よ、それ以外に何があるって言うの?」

 

 

最初に夢の中に出てきたのはたぶん前世の両親だと思います。

たぶんというのは僕自身に彼らの記憶が殆どなく、特に母親の顔は見た事がない上に父親とも顔を合わせたのは片手の指に足りない程度でよく覚えていなかったからです。

そして僕は夢の中で散々要らない子供だのなんだのと罵倒され続け、いつの間にか二人の姿は消えていました。

……かつての両親に僕への愛情など欠片もない、ということだけは良く判りました。

 

 

「返して!

 私達の本当の子供を返してよ!」

「その身体から出ていけ!

 俺達の息子を返せ!」

 

 

次に出てきたのは今世の両親、そして罵倒でした。

転生した作品でたまにある、両親の本当の子供に上書きされたように見える別人格の僕を否定する罵倒。

正直、これは堪えました。

あの両親がそんな事を言うはずがないという信頼、前世の記憶を持つ転生者だという事実を知られたらあり得るかもしれない、という恐怖。

 

 

「ボクが虐められてたのを知ってたくせに!

 なのに何もしてくれなかった!」

 

 

最後に出てきたのはシルフィエットちゃんでした。

何かのきっかけがあって誰かと仲良くなってもその相手はすぐに離れていく、そんな前世の恐怖もあって助ける事で仲が良くなることを恐れ虐めを見て見ぬ振りをしてしまった女の子。

ルーデウス君に助けられ、彼がロアの街へ旅立った後に魔術の練習を一緒にした事がある女の子、そのシルフィエットちゃんから浴びせられる罵声。

そんな夢を見て魘されながら目覚める日が数日続きました。

 

 

「ヒロ、本当に大丈夫ですの?

 一日ならともかく、数日立て続けに魘されて飛び起きるなんて普通ではありませんわよ?」

「大丈夫……とは言い切れないですけど、なんで同じ夢を見ているかはなんとなく判るので……」

 

明け方近くに魘されて起きた僕をリーゼさんが心配そうな顔で見つめています。

夢を見る原因、それは恐らく前世に誰からも愛されなかったというコンプレックスと仲良くなった(と思った)小学生の友達からの掌返し、そして両親に前世の記憶がある事を黙っている事とシルフィエットちゃんを助けられるのに助けなかったという罪悪感からでしょう。

それらから目を背けたままではきっと後悔する、僕はそう思い両親やシルフィエットちゃんに再会出来たら全てを話す事に決めました。

 

「……やっぱり前世は前世、今は今で気持ちにケジメを付けないとダメですよね」

「本当に必要ですの?

 ご両親に限らず何も言わなければヒロが前世の記憶持ちだなんて誰にも判らない事ですわよ?」

 

そう、僕が何も言わなければ両親が僕が前世の記憶持ちである、という事実を知る事は有り得ません。

それでも僕はその事を言わなければならない、と思っています。

理由は夢で罵倒された内容、つまり本当に「僕が本来の二人の子供」を乗っ取ってしまったかもしれないから、そしてそれを判断して良いのは僕ではなく両親だから。

そして苦しいところを助けられるのに助けなかったシルフィエットちゃんへの謝罪、この二つが僕の新たな目標になりました。

 

「結局のところ僕の自己満足に過ぎないのかもしれませんけど、それでも両親には僕がこの世界に生まれた理由をきちんと伝えておきたいんです。

 信じてもらえるかも判りませんし、それで親子の縁が切られる事になる可能性だってありますけど。

 シルフィエットちゃんにしても夢と同じく罵倒されるかもしれないし、場合によっては魔術を撃たれるかもしれません。

 それでもやらないといけない、そう思うんです」

「本当に、良いんですのね?」

「はい。

 このままだと僕はリーゼさんと真正面から向き合えなくなってしまいそうですし」

 

リーゼさんから念押しされましたがこればかりは譲る訳にはいかないんです。

前世で誰にも愛されず他者からの存在意義が治験にしかなく、僕と言う個人が誰からも必要とされなかった一生、ずっと一人きりだった僕が今世で本当の意味で他者と交わり前に進むために必要だと思った事だから。

両親の愛情を感じつつ心の奥底でどこか信頼し切れなかった僕、仲良くなった友人がすぐに離れていく事を恐れ人付き合いを深める事をしなかった僕。

そんな僕の過去を知ってなお今(・)の(・)僕(・)を受け入れてくれる人がいる、それをリーゼさんが教えてくれたからこそなんです。

 

「それに万が一最悪の事態になっても僕にはリーゼさんがいますから。

 だから大丈夫です、父さんと母さんが無事だったら勇気を出して僕の事をきちんと伝えないと」

「ヒロがそう決めたのならもう反対はしませんわ。

 でもこれだけは忘れないでくださいまし、わたくしはヒロに何が有ろうと一緒にいるという事を」

 

リーゼさんはそう言うと僕を抱きしめ、あやすように背中を軽く叩いてくれました。

たったそれだけで僕の心が先ほどまでの葛藤が嘘のように落ち着いていくのを感じます。

胸の内に広がる安堵感に包まれながら僕は再び眠りにつき、この日から夢を見て魘される事はなくなりました。

 

 

 

sideエリナリーゼ

 

ここ数日ヒロが魘されては飛び起きる事を繰り返していた理由がやっと判りましたわ。

前世のトラウマとコンプレックスが合わさって今のヒロの心に影響を与えている、それを克服しないと本当の意味で前に進めない。

ヒロは正直生真面目過ぎる部分があると思わざるを得ません。

それでも本人の中で将来の為にきちんとケジメを付けるというのはとても大切な事なのでしょう。

 

「……ヒロ、あなたに辛いことがあったならいつでもわたくしを頼って良いんですのよ?」

 

再び眠りに落ちたヒロを見つつ、わたくしはそう呟きました。

 

 

……それにしても。

ヒロが時折見せる”男”の表情はわたくしの心にこう、具体的には下半身が疼いてヒロを求めたくなってしまうくらいにはクるものがありますわ。

初めて見たのは最初に出会ってわたくしの呪いをなんとか出来るかもしれない、と言った時でしたわね。

最初の時はまだ深い関係になっていませんでしたからそれほどでもありませんでしたが、チンピラ3人に絡まれた時にわたくしの事を”俺の女”と言い切った時は耐えきれませんでしたけれど。

 

「たまにはヒロがして欲しい事ではなくてわたくしから誘うのも良いですわね……。

 そういえばえーっと、こすぷれ衣装通販?でしたっけ、あれで衣装を買うとか言っていた気もしますがもう買っているとは聞いていませんわ。

 あれってわたくしにも使えるギフトなのかしら?」

 

少し前に得たギフト【コスプレ衣装通販】を最初以外に使っているところを見た事がなかったので試しにわたくしも、と【コスプレ通販】と唱えてみましたの。

 

「……使えましたわね」

 

目の前に開いた光る窓に映し出されているのは「制服(学校)」「制服(職業)」「スポーツ」「アニメ&ゲーム」「下着」「他」の表示、そして「現在のチャージ額:¥0-」「買取査定」ですわね。

たしかヒロは日用品や衣料品を査定に出しても買取してもらえなかった……と言っていましたわ。

となると他に何か買取してもらえそうなものは何か考えませんと。

 

「魔力結晶化」

 

わたくしが思いついたのは魔力結晶でした。

早速魔力結晶化を行い――数日前に出したばかりなので大分小さかったのですけれど――出現した魔力結晶を買取査定に触れさせましたわ。

 

「……吸い込まれましたわね、本当にどういう仕組みなのかしら?」

 

魔力結晶が吸い込まれたと思ったら「買取査定」が「査定中」に変わりましたわね。

と言う事は魔力結晶であれば買取査定対象になり得る、と考えて良さそうですわ。

そんなことを考えながら見ていると。

 

【魔力結晶の買取査定が完了しました。

 買取による円チャージ額は5万円、魔力チャージ値は100となります】

 

5万円、という金額がどの程度のものなのかは良く判りません。

それに加えて魔力チャージ値という表示が新しく出て来ましたわ。

 

「これで少なくとも何かしらの買い物は出来る、と考えて良さそうですわね。

 まずは判りやすい下着を見てみましょうか」

 

とりあえず表示されている中で一番判りやすい「下着」に触れてみましたわ。

すると「下着」の下にまた新しい表示が出て来ました、「日常用」「勝負用」「エロ」の3つ……なんですのこれは!?

順番に見ていくと……日常用は普段使いの為の下着ですわね、こちらでも似たような下着類はありますわ。

次に勝負用……これは意中の殿方との逢瀬で着用するもの、ああ、だから勝負用となっているのですね。

最後にエロ……あちらの世界の女性は本当にこんな下着を使用するんですの!?

 

下着なのに透けて見えるだの脱がしやすい紐だの着たままヤれるパックリ穴開きだのいやらし過ぎですわ!

こ、これが違う世界の、ヒロの前世の文化……わたくしとしたことが、正直あまりの卑猥さに圧倒されそうになりましたわ。

ええ、確かにわたくしは100年以上男達に抱かれ続けおよそされていない事はないというくらいいろんな事をされて、させられて来ました。

でも自ら誘うような、こんな下着は正直着たことがありません、こちらの世界にここまで卑猥な下着類なんてなかったのですから当然かもしれませんけれど。

……ひ、一つくらい買って試しても良いですわよね?

 

 

「か、買ってしまいましたわ……」

 

わたくしの手にあるのは「オープンクロッチ&オープンバスト」と銘打たれた上下の黒い下着セット、お値段は上下セットで5000円でしたの。

因みに魔力チャージの使い方は購入する時に判りました、買う下着を選んで購入に触れたら新しい表示が出てきたのですわ。

 

【魔力値を消費して以下の機能を付与出来ます。 自動調整:購入後の初回着用時に自動的にサイズ調整を行い身体にフィットさせることが出来ます。魔力値消費50】

 

……そういえば下着のサイズをどうするのか考えていませんでしたわ。

しかし自動調整と言う事はこれは魔力付与の一種という事でしょうか?

もしそうならこの【コスプレ通販】で購入する時は大きさをまったく気にしなくていい、という事になりますわね。

にしても本気でコレは下着と呼んで良いのか判断に困りますわ。

本来なら股間を覆う部分に大きな縦の切れ込みが入っていて着用しても大事な場所が隠せるようになっていないのがはっきり判りますもの。

 

ブラもカップ部分に大きな縦の切れ込みが入っていて着用しても乳首が丸見えになるのが一目瞭然ですわ。

これを着用したままヒロに迫ったらあの子はどう反応するのでしょう?

わたくしのスケベな姿に欲情したヒロに押し倒されてしまうのでしょうか、それともあられもない姿のわたくしに呆れて蔑みの目で見られてしまうのでしょうか。

どちらにしてもわたくしの悦びになりそうな気がしてしまうのですけれど。

 

「と、とりあえずこれはしまっておきましょう。

 あ、その前に試着だけしておきませんと」

 

ヒロを起こさないようそっとベッドから降りたわたくしは来ていたシャツとパンティを脱ぎ捨て、【コスプレ通販】で購入したばかりの下着上下を着用しましたわ。

すると少し大きめだと思ったブラとパンティが縮んでわたくしのサイズにピッタリになりましたわ、自動調整は便利ですわね。

にしても。

 

「……こ、股間がスース―して落ち着きませんわぁ。

 乳首も丸見えで上に何か着たら擦れて感じてしまいそう♡」

 

ええ、本気でこれはヤる為だけの下着ですわ、男の反応とプレイを楽しむために存在するようなものですわね。

落ち着いたらこれを着てヒロに迫りますわよ、エリナリーゼ・ドラゴンロード!




原作での下着関係文化が良く判らないので現代日本程は多種多様な下着類がなかった、という前提になっております。
……エリナリーゼさん乙女化加速中?

面白い!と感じて下さったら是非お気に入りや評価、感想を頂けますようお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。