ダークエロ短編集3 作:カード読み込み
湿度が、教室を満たしていた。
いや、正確には湿度などではない。
湿度という言葉が喚起する爽やかさなど微塵もない、
粘りつくようなまとわりつくような、
皮膚の表面を這い回る無数の舌のような生々しい気配。
窓の外では蝉がけたたましく鳴いているというのに、
耳に届くのは自分の心臓の鼓動だけ。
黒板の前に立つ教師の声も遠くの雑踏に紛れたノイズでしかない。
最前列、窓際の席。
八重樫雫は唇を引き結んで耐えていた。
武士の家系に生まれ明治から続くその血筋に恥じぬよう、
幼き頃より文武両道を叩き込まれた。
剣道では全国大会準優勝。
学業でも常にトップクラス。
その精悍な顔立ちと均整の取れた長身は同性からすら羨望の眼差しを向けられる。
学校では誰もが認める模範的な生徒。
そして彼女自身も、それを己の誇りとしていた。
今この瞬間までは。
「ん、ぅ…………っ……!」
声を、出すわけにはいかない。
隣の席の生徒に気づかれるわけにはいかない。
背筋を伸ばしたまま、雫は太腿をきつく擦り合わせた。
まるで、自分の内側から溢れ出ようとする何かを封じ込めるかのように。
発端は、つい先ほどのことだ。
日本史の授業中、教科書を捲ろうと右手を伸ばした瞬間。
突然だった。
熱い。
何か熱いものが何の前触れもなく、彼女の一番秘めやかな場所を撫で上げたのだ。
「────!?」
振り返ろうにも、背後には誰もいない。
隣を見ても、白崎香織は退屈そうに頬杖をついているだけだ。
教師は板書を続けている。
教室にはいつも通りの午後の倦怠感が漂っている。
なのに。
(なに……なんなの……これ……!?)
困惑が、一瞬で恐怖へと変わる。
熱を持った何かが、彼女のショーツの上からまるで意思を持った生き物のように、
その柔らかな襞をなぞり始めたのだ。
最初は遠慮がちに。
反応を窺うように。
それがしだいに大胆になり、
大胆さが確信へと変わるまでにそう時間はかからなかった。
見えない指があるいは触手のような何かが、ショーツの布地越しにゆっくりと弧を描く。
敏感な突起の上を、何度も、何度も。
その動きに合わせて、彼女の身体は意思とは裏腹に反応を示し始める。
(やめて……だめ……授業中なのに……だれか、みてるかもしれないのに……っ)
願いとは裏腹に、下肢に熱が集中していくのを感じる。
まるでその部分だけが自分のものではないように。
膝をぴったりと閉じ合わせても、もぞもぞと動く侵入者は止まらない。
布地が湿り気を帯び始める。
恐怖と羞恥と、そして名状しがたい別の感情が彼女の胸の内で渦を巻く。
弓道場で汗を流すときとは違う。
試合で相手と鍔迫り合いになるときとも違う。
己のコントロールを完全に逸脱した感覚が今、まさに彼女の身体を蹂躙しようとしていた。
そんな彼女の隣で。
「ん…………ぁ……」
小さく吐息を漏らしたのは白崎香織だった。
クラスの誰もが憧れる学園のアイドル。
教師の両親のもとで何不自由なく育てられた才媛。
その健康的な肌色とつややかな黒髪は、まるで美術品のように完璧だ。
そんな彼女が今教科書で顔を隠しながら、唇を震わせている。
(なによ……これ……あつい……すごく……)
突然、下半身に感じた異物感。
何かが入ってくる、というより、
自分の一番柔らかい部分を掴まれているような感覚。
子宮のあたりまで這い上がってくる鈍い熱。
(だれか……先生に言わなきゃ……保健室に……)
そう思いながらも、口を開けない。
開けば授業の妨害になる。
何より今の自分の声がどのように響くか想像するだけで恐ろしかった。
制服のスカートの中で、スーッと指を這わせる感触。
逃げようにも、その指は教室のどこにも存在しない。
ただ感覚だけが彼女を追い詰める。
ブラウスの下で形の良い胸が上下する。
荒くなる呼吸を抑えようと必死になるが、
内側から湧き上がる熱はそんな努力を嘲笑うかのように勢いを増すばかり。
ゆっくりと、しかし確実に。
彼女たちの日常という城壁は、
目に見えない攻城鎚によって崩されようとしていた。
背後の席では、
セミロングの髪を耳にかけた園部優花が青ざめた顔でうつむいていた。
鋭い目つきと勝ち気な性格が災いして誤解されることも多いが、
根は真面目な少女だ。
今はその目に浮かぶ恐怖を隠そうと必死に前の席の背中を見つめている。
スカートの下。
彼女の敏感な部分を、透明な指が這い回る。
逃れようと腰をわずかに浮かせた瞬間きゅっと締め付けるような感覚に襲われた。
「────ッ!!」
あまりの衝撃に、小さな悲鳴をかみ殺す。
先ほどから続く不可解な感覚は、彼女たちの思考を犯し始めていた。
授業中だ。
こんなところで、気を抜くわけにはいかない。
必死に平静を装いながらも、彼女の心臓は早鐘を打つ。
隣の席の友人が心配そうに彼女の顔を覗き込む気配に、優花は無理やり笑顔を作った。
だめだ、見つかる。
そう思うのにそれなのに、身体の奥底でうずく何かを否定できない。
下半身がじんわりと熱を持ち始め、太腿の内側を汗が伝う。
それは彼女たちだけではなかった。
雫の目の前で。
香織の隣で。
優花の背後で。
教卓を挟んだ向こう側で。
スカートを履いたすべての乙女たちが、見えない何かに絡め取られようとしていた。
「…………っ! ん……ふ…………!」
誰かが机に突っ伏す。
教科書を床に落とすものもいる。
教壇では教師が何かを喋っているが、言葉の意味はもう誰の耳にも届かない。
見えない侵入者は止まらない。
それは増殖するように、少女たちの内腿を窄まりを、柔らかな曲線を執拗に這い回る。
最初は一人、次にもう一人それが三人に四人にと連鎖していく。
教室という密室が、目に見えない熱に蒸され始めていた。
それは神話における受胎告知のように一方的で。
しかしそこには聖性など一片もない、淫らな福音だけがあった。
見えざる使徒は肉欲の使徒として彼女たちの下腹部に『おめでとう』と熱を注ぐのだ。
わかっているのか?
お前たちは選ばれたのだ。
この教室に集うすべての乙女は白濁の福音をその身に受ける器として、
見えざる神によって選ばれたのだと。
窓ガラスに反射する自分たちの姿を見るがいい。
平穏を装う表情。
なのに瞳孔は開ききっている。
スカートの下は蜜の味。
それが彼女たちの淫らな受難の証明だ。
八重樫雫は耐え続ける。
剣道で鍛えた精神力で、絶え間なく子宮にまで届く熱に抗う。
冷え切った武士の魂が、それでも胎の奥の疼きには勝てない。
大丈夫だ。
まだ耐えられる。
耐えなければ。
お前は剣士だ。
武家の娘だ。
こんな目に見えない敵に敗れるわけにはいかない。
そう言い聞かせるそばから、太腿の付け根がかくんと震える。
(だめ……負ける……負けてしまう……!)
脳裏をよぎるのは、弓道場の凛とした空気でも白い道着の感触でもない。
代わりにあるのは、自宅の浴槽に沈む自分の裸体。
今まさに押し寄せる未知の感覚が、
普段は理性の奥底に沈めている情欲という名の泉を掘り起こす。
肩まで湯に浸かりながら、自分の中にそっと手を伸ばすときの背徳感。
その記憶がこれほど鮮明に蘇るのは、自分でも驚きだった。
負ける。
得体の知れない透明な敵の前で、彼女は屈しようとしている。
みっともなく膝を折り牝の顔を晒し、はしたなく腰を振る自分を想像する。
本当はもっと、愛する殿方を想いながらこんなことは卒業するはずだった。
そうやって夢見る殿方の顔は、南雲ハジメというクラスメート。
自ら課した鉄の戒律と今まさに崩れ去ろうとする羞恥心のせいで、告白すらできていない男。
その想い人への純潔が今ここで穢されようとしている。
白崎香織は、自分を抱きしめるように机にうつ伏せる。
バレーボールで鍛えた脚力も、自慢のスタイルも今この瞬間には何の役にも立たない。
ただ全身を駆け巡る痺れに耐えることだけを強いられる。
頭の中では両親の顔がちらつく。
教師の両親。
決して裕福ではないが、いつも凛としていた父。
優しく厳しかった母。
その両親が、「正しくあれ」と教えてくれた。
それなのに。
(ごめん……お父さん……お母さん……わたし、わたし……)
ぬるりと這い回る指の感触に、背筋が震える。
声を出したらおしまいだ。
そんな思いとは裏腹に、身体は正直だった。
今にもよがり泣いてしまいたい自分を必死に押さえつける。
ほんの少し触れられているだけなのに。
園部優花は、自分の太腿を掻きむしりそうになる。
小さく震える膝が時折カクンと跳ねる。
勝ち気な性格と、男勝りな言動。
ボーイッシュなそれらはすべて鎧だったと今更気づく。
内面は幼い頃から何も変わっていない。怖がりで寂しがりで、そのくせ強がりで。
「優花ちゃんは強いね」と言われるたびに、
ほっと胸を撫で下ろしていた自分がいた。
強いふりをしていれば弱い自分に誰も気づかない。
そう思って作り上げた偽りの自分が、今、音を立てて崩れ去ろうとしている。
見えない指は教室中を這い回り、一つの檻を作っていく。
誰も逃げ出せない、閉ざされた淫らな監獄。
彼女たちがこれから受けるのは辱めだけではない。
選ばれた者だけに許された幸福なのだと、やがて思い知るがいい。
教室の空気が粘り気を増す。
甘ったるい汗の匂い。
制服のスカートから立ち上るムッとするフェロモン。
そして極めつけは、女という女の中心から滴る蜜の芳香。
すべてが混ざり合い、教室内はビニールハウスのような密室と化す。
教壇の教師はまだ何か叫んでいる。
だがその声はもう、雌牛の群れに向けられた子守唄でしかない。
窓から差し込む午後の陽射しだけが、神々しくこの惨状を見下ろしていた。
カーテンが揺れるたびに影が動き、まるで犯され慣れた女たちがうごめいているようだ。
(終わりだ)
八重樫雫の脳裏に浮かんだのは、敗北の二文字。
武家の娘としての誇りも、
剣士としての誇りもこの得体の知れない凌辱の前では意味を為さない。
ただ牝として屈服し、犯されるだけの肉の器へと還元されていく。
それでもまだ、心の奥底ではもがいている。
小さな灯火のようなそれが消えないのは、南雲ハジメへの仄かな想いゆえか。
それともかつて彼女が稽古に明け暮れた道場の床の冷たさを覚えているからか。
だがそれも時間の問題だろう。
時間の問題だ。
雫が「いや」と言えば言うほど、彼女を陵辱する名もなき存在の嗜虐心は膨れ上がる。
侵入者はそんな彼女の逡巡すらも愉悦に変えていく。
これは淫らなる受難であり純潔の終焉であり絶望と快楽の坩堝なのだ。
そんな彼女たちの運命を嘲笑うかのように、蝉の声だけが窓の外から聞こえていた。
[#※]
湿り気を帯びた沈黙が、教室の空気を支配していた。
外の世界から聞こえる蝉の声だけが、時間の経過を物語っている。
その鳴き声は退屈な授業に風穴を開ける
夏の風物詩であるはずなのに今はただ、彼女たちを嬲るためのBGMでしかない。
八重樫雫は、もはや耐えることをやめていた。
いや、正確に言えば、耐えるという概念そのものが彼女の中で意味を失いつつある。
太腿の付け根から子宮へと続く隘路は、初めて見えない何かに貫かれたのだ。
しかも、それだけではなかった。
彼女が処女であることは確かなのに
膣内には処女膜を迂回するかたちで何かが侵入してきている。
まるでファンタジーのようだ。
だがそれは彼女にとって悪夢の証明に他ならない。
見えない男根はその凶悪な亀頭で子宮口をこじ開けようとはせず、
もっと器用でもっと残酷だった。
子宮口の周りの性感の集まるひだひだを、
あたかも無数の指でくすぐるように
または小さな舌で舐め回すように愛撫し始めたのだ。
処女であるがゆえに未使用の、
ひだの一枚一枚が未知の感覚に泡を食って震えている。
「ん、っ……ぅ……!」
これはもはや胎内への直接攻撃だ。
男根を受け入れるためにある器官が、
一度も侵入を許していないにもかかわらずそのすぐ手前で、
自分からよがることを強要されている。
(ぁ……ぅ、ぁ……なんで、なんでこんな……)
見えない侵入者は彼女が屈服する瞬間を、
まるでシャッターチャンスを待つカメラマンのようにじっくりと観察しているようだ。
白く滑らかな太腿は力なく小刻みに痙攣し、
膝小僧はかくんかくんと震えてぶつかり合う。
(もう……もう、こんなところ……見られたら……南雲くんに……)
脳裏に浮かぶ黒髪のクラスメイトの姿。
告白する勇気もなく、ただ憧れていた少年。
その彼に見られるくらいならいっそ……。
いや、この状況で彼に見つかったらどれほど興奮するだろうか。
そんな最低な想像が、一瞬でもよぎってしまう自分がいた。
そんな彼女の隣で。
白崎香織は、顔を伏せたまま必死にスカートの裾を握りしめていた。
健康的に引き締まった腹筋が、不随意の呼吸に合わせてひくひくと波打つ。
彼女のFカップの豊かな胸は重力に従って机の上で形を歪め、
その重みを増している。
乳首がブラウス越しに浮かび上がり
まるで柔らかな布地から小さな実が顔を覗かせているかのようだ。
「……ちが、う……これ……」
か細い声で否定しても身体はもう完全に淫らなシンフォニーに組み込まれている。
彼女の子宮口もまた同じように愛撫されていた。
違ったのは、彼女の子宮は雫よりもさらに熟しているという点だ。
見えない指が子宮口をなぞるたびに
「どうぞ」と招き入れるための粘液が分泌されてしまう。
自分の身体が、来るべき侵入者を歓迎している。
その事実が彼女の理性をずたずたに引き裂いていく。
(ぅ……うそ……お父さん……お母さん……助けて……)
彼女が心の中で叫ぶ両親は、ともに教師だ。
厳格で正義感の強い二人に今の自分の痴態を見られたら?
想像しただけで恐慌に陥りそうになる。
だというのに、その恐怖すらも快楽へと変換されていく。
前門の調教は、処女たちの内壁を徹底的に苛め抜く。
子宮口のすぐ手前で、
まるで自転車の空気入れのようにぬるぬると往復を繰り返す。
その度に内臓が掴まれるような甘やかな痙攣が生じる。
「ぅぐ……っふ……! ……ぁ、ひ……!」
処女たちの口から漏れるのはもはや、日本語としての意味を成さない。
ただ熱い吐息だけが虚空へと溶けていく。
膣内でのピストンは亀頭と子宮口が出会うその距離ゼロの地点で果てる。
決して一線を越えない。
それでいて、確実に相手を雌へと鍛え上げる。
壁という壁に己の形を刻みつけていく。
その頃、教壇では。
教師、御厨美沙子(みくりや・みさこ)が奇妙な姿勢で固まっていた。
年齢は三十代半ば独身。
謹厳実直を絵に描いたような、眼鏡の似合う女教師だ。
彼女の手はチョークを握ったまま黒板に向かって凍りついている。
(……ッ……! また……)
彼女は知っている。
この現象を、彼女は知っていた。
世界は変わってしまったのだ。
見えない何かが女を襲うという、
にわかには信じがたい現象は現実に起きている。
そして今、その見えない何かが彼女のタイトスカートの中に侵入し
最も秘匿されるべき場所を暴力的に貫いている。
ぐぷりっ……!
括約筋をこじ開けられた感覚に御厨はチョークを握り潰す。
ごぼごぼと蠢く音が腹の中から聞こえる。
まるで巨大な蛇が腸内を進むかのようだ。
味蕾など存在しない直腸の壁を、
まるで舌で愛撫するかのような微妙な振動が這いずり回る。
(だめ……私の……お尻の中……舐めないで……!)
心の中で絶叫しても声にはできない。
教室には教え子たちがいる。
教壇の上から彼女が見下ろす先では、
教え子たちが同じように見えない何かと戦っている。
教え子たちを守らねばと思うそばから
アナル性感を鍛えられて甘イキさせられる。
振動は絶え間なく、直腸壁を責め立てる。
そこには本来、性感帯などないはずだ。
なのに、粘膜を通して響くバイブレーションが膣壁を刺激し子宮まで震わせる。
身体の中心に据えられた震源地から、波紋のように快感が全身に広がっていく。
「ん、くっ……」
奥歯を噛みしめて耐える彼女の顔は羞恥に染まっている。
メガネの奥の瞳は潤み口元からは理性を溶かした唾液が滴りそうになる。
こんなところを誰かに見られたらどうしよう、という恐怖が快楽の強度を倍加させる。
謹厳実直な女教師のアナルを占有する見えない怪物は
熟練のマッサージ師のように腸壁を揉みほぐしていく。
かつて経験したことのない未知の快感に、彼女はひたすら耐えることしかできなかった。
こんな辱めを、恥ずかしいと思う心とは裏腹に身体はどんどん熱くなっていく。
負けられない。
私は教師なのだから。
しかし。
「あああ……っ! もうっ……!」
ついに、最初の一人が陥落した。
それは園部優花だった。
勝ち気な性格で、気の強さだけが取り柄だった少女。
彼女は自分でも気づいていなかったが
膣内に深く侵入した見えないバイブが子宮口を震わせていたのだ。
「やっ……あ゛あ゛ぁ……! お願い……これ以上……もう……!」
悲鳴にも似た懇願は、彼女自身の醜態を自覚させるだけだ。
耳を塞ぎたくなるような自分の声にさらに羞恥心はかき立てられる。
彼女の漏らした甘い悲鳴を皮切りに、
教室のあちこちで堰を切ったように牝鳴きが溢れ出す。
「ひぁっ……んぅ! も、やめてぇ……!」
「ぅぐっ……! くる、くるぅ……! いいの、きちゃう……!」
もはや隣の席の目など気にしていられない。
授業中の静寂は破られ教室内は阿鼻叫喚の様相を呈してきた。
無数の女たちが、見えない異物に蹂躙され嬌声を上げる。
その声は教室の外には聞こえない。
完全に外界から遮断された、淫らな音の実験場だ。
雫は残った最後の理性で唇を噛みしめていた。
唇が切れて血の味が広がる。
鉄の味が唯一の現実逃避の手段だ。
彼女たちのグループの中で最も精神力が強い彼女は
自分の心が決定的に折れるその瞬間を、死力を尽くして先延ばしにしている。
彼女は自分の下腹部を見つめた。
内側からお腹がぼんやりと光っているように見えるのは、きっと気のせいだ。
なんでもない。
これは全部、気のせいなんだ。
(違う……これは現実じゃない……)
その隣では、香織が小さく泣きじゃくり始めていた。
もはや見えない指は彼女の膣内を自由気ままに遊び回るだけではない。
子宮口をなぞる指の本数が増えたように感じる。
小さな無数の手が彼女の子宮を揉みしだいているかのような錯覚。
「ふ、ぇ……ううっ……たすけて……ハジメくん……」
大好きな男の子の名前を呼んだって助けは来ない。
むしろそんな時に他の男の名前を呼ばれることに、
名も知らぬ加害者の嗜虐心は煽られるだけだ。
見えないペニスは怒り狂ったように膣壁をこする。
過敏になった粘膜はそれだけで簡単に達してしまう。
「ふあ゛あ゛っ……!!」
意識が遠のくほどの絶頂。
強制的なアクメに身体を震わせる優等生。
彼女たちはもはや、
この『処女のまま子宮を調教される』という背徳的な現実から逃れられない。
お腹の奥底から込み上げてくる痺れと熱に抗うすべなど、
誰も教えてはくれなかったのだ。
羞恥に震える彼女たちの子宮には、現在進行形で快楽の歴史が刻まれている。
終わらない陵辱の中で彼女たちが知るのは、
自分という存在がただ雄を受け入れるための器でしかなかったという残酷な真理だ。
外では蝉が鳴いている。
無関係な世界の象徴のようにけたたましく。
教室だけが切り離されひっそりと沸騰していた。
間違いなく、私は終わった。
終わったのだ。
武家の娘として、剣士として、そして何より一人の女性として──
八重樫雫は、この瞬間、完全に終わったのである。
(ああ、なんてこと)
汗ばんだ机の天板に額を押し付けて、私は思う。
授業中だ。
日本史の授業中だ。
黒板には年号がびっしりと書き込まれているはずなのに、
私の目にはもう何も映っていない。
教壇で御厨先生が何かを喋っている気配がするけれど、その声もまた、
遠くの水面を叩く雨音のように虚しく響くだけ。
なぜなら──
(……っ、あっ、また……!)
まただ。
また、あの見えない指が、私の中で動き出した。
ポニーテールを結んだ黒髪が、首筋に張り付く。
暑い。
粘りつくような暑さだ。
梅雨の合間の這うような熱気ではない。
これはもっと湿って、もっと重たくて、
もっと執拗な──女の肌から滲み出す湿度なのだ。
教室中が、湿度に埋め尽くされている。
男子生徒たちは気づいていない。
猫のように眠りこける者、小声でお喋りをする者、携帯を隠れていじる者。
誰も気づいていない。
自分たちのすぐ後ろ、すぐ横、すぐ前の席で、
女子たちが名状しがたい快楽の沼に沈みつつあるという事実に。
(だめ……だめよ……八重樫雫……しっかりなさい……)
自分自身に檄を飛ばす。
武家の娘だ。
明治から続く剣道家の家系に生まれたのだ。
たかが快楽ごときに、屈するような私ではない。
そう、たかが快楽。
快楽。
快楽快楽快楽快楽。
──快楽?
これが?
(こ……こんなものが、快楽だと言うの?)
違う。
これは快楽などではない。
攻撃だ。
私の身体を、私の意思を、私の誇りを──破壊するための、見えない攻撃だ。
子宮の奥、一番深い場所に異物がめり込んでいる感触。
処女膜を迂回するように侵入してきた「それ」は、今や私の最も聖なる領域を蹂躙している。
子宮口。
まだ誰にも触れられたことのない、小さな小さな入口。
そこを──なぞるように、なめるように、優しく指でくすぐるように。
(あっ……あぁっ……♡)
唇を噛みしめても、吐息が漏れる。
太腿の内側が痙攣する。
膝がかくんと震えて、机の脚を蹴ってしまった。
「……?」
前の席の男子が振り返る。
私は慌てて姿勢を正す。
なんでもない。
なんでもないのだ。
ただ少しだけ体調が優れなくて、それだけ。
なんでもないなんてことない!
私の中に見えない指があって、
それが私の子宮口をねっとりとなぞり上げていて、
私は今にも声を上げて泣き出しそうなのだ!
(くっ……うぅっ……♡)
机の下で拳を握りしめる。
爪が掌に食い込む痛みだけが、唯一の現実だ。
いや、違う。
痛みだけではない。
痛みが快楽に変わっていく感覚。
爪が食い込む痛みが、乳首を抓られたような甘い痺れに変換されていくような。
そんな馬鹿な。
私はマゾヒストではない。
ティオのように被虐に悦びを感じる変態ではないのだ。
これは──屈辱だ。
屈辱だからこそ、頭がおかしくなりそうなほどに興奮する。
ああ、なんて愚かなのだろう。
八重樫雫。
あなたは本当に、愚かな女だ。
***
隣の席で、白崎香織が小さく震えていた。
クラスの中心的存在。
成績優秀、スポーツ万能、誰からも慕われる学園のアイドル。
その彼女が今、教科書で顔を隠しながら、小さな小さな嗚咽を漏らしている。
(香織……)
親友の肩に触れようとして、やめる。
触れたら分かってしまう。
私と同じように、彼女の指先も冷たくなっているだろう。
私と同じように、彼女の太腿も湿っているだろう。
私と同じように、彼女の子宮も──見えない指に弄ばれているのだろう。
「……ぅ……んっ……♡」
香織の喉から漏れた声は、あまりにも艶かしかった。
健康的な肌色が上気して、つややかな黒髪が汗で額に張り付いている。
豊かな胸が、荒い呼吸に合わせて上下している。
ブラウスのボタンが限界まで歪んでいる。
あの鎖骨の角度からして、下着のラインが透けているはずだ。
可愛らしいレースの編み込みが見えているはずだ。
(見えない指は……香織の中にも……?)
疑い深い私。
他人の不幸を覗き見る私。
いや、これは不幸なのではなくて、もう──
「ひっ♡」
香織が小さく叫んだ。
そして同時に、私の中でも──
(あ♡ あ♡ あ♡♡♡)
何かが爆ぜた。
子宮の奥で花火が上がったような。
いや、もっと生々しい。
熟れた果実が弾けて、甘い汁が溢れ出すような。
見えない指が、香織のと私の子宮口を同時に摘み上げたような──
(共鳴、している……?)
違う。
共鳴などではない。
これは──連鎖だ。
見えない侵食の連鎖。
私が感じる快楽が香織に伝わり、
香織が感じる快楽が私に伝わり、
その二つが合わさって増幅されて──
(そんなことって……あるわけ……♡)
あるのだ。
今、この瞬間、起きているのだ。
香織の胸がふるりと揺れた。
たわわに実ったメロンのような大きさが、ふにふにと形を変える。
あの柔らかさは、触れたことがない私でも分かる。
分かってしまうのだ。
今、見えない指が、香織の乳首をカリカリ♥と引っ掻いているのが。
布地越しに、爪先でつつくように、カリカリと。
(あ♡ いや♡ そこ♡ 優しく♡♡)
私の乳首ではないのに。
私の胸ではないのに。
なぜか分かってしまう。
香織の乳首に与えられた刺激が、そのまま私の乳首にも伝わっているかのように。
形を変えて、揺れて、先端を硬く尖らせていくのが分かる。
(ちが……これは私の胸じゃ……♡)
私の胸だ。
重み。
剣道で鍛えた大胸筋の上に乗った、豊かな乳房の重み。
完璧な楕円形を描く柔らかい肉の塊。
ピンク色の乳首が、控えめな大きさの乳輪に囲まれて、硬く立ち上がっていく。
ブラウス越しに、その存在を主張し始める。
(見ないで……見ないでください……南雲くん♡)
誰に向かって呟くのか。
南雲ハジメ。
私が密かに想いを寄せる、鈍感で優しい少年。
彼にだけは、見られたくない。
この醜態を。
この痴態を。
この──雌の顔を。
(なのに♡ なのに♡♡)
乳首が硬く尖っていく。
カリカリ♥と引っ掻かれる刺激が、子宮に直結している。
子宮口をなぞる指と、乳首を弄る指。
二つの快楽が合流して、私の中で奔流となって押し寄せる。
(だめ♡ だめ♡ だめぇぇ♡♡♡)
唇を噛みしめる。
血の味がする。
鉄の味がする。
それは剣道の試合で負けた時に口にした味と同じで、
でも──まったく違う意味で、私を絶望させる味だ。
***
「あ……っ♡ あ゛あ゛ぁ……! ♡」
悲鳴にも似た声が、教室の後ろから聞こえた。
振り返る余裕もない。
でも分かる。
園部優花だ。
勝ち気で、鋭い目つきで、誤解されやすいけれど根は真面目な彼女。
その彼女が──遂に限界を超えたのだ。
「やっ……あ゛っ……! ♡ お願い……これ以上……もう……! ♡♡」
懇願だ。
プライドの高い彼女が、見えない侵食者に懇願している。
その声は甘く、湿っていて、どんな 官能小説よりも生々しい。
(優花……♡)
私の中で、共鳴が起こる。
優花が感じる快楽が、私の中に流れ込んでくる。
彼女の絶望が、私の絶望を増幅させる。
彼女の屈辱が、私の屈辱に重なって──
(あ♡ あ♡ あぁぁぁ♡♡♡)
三重奏だ。
香織の快楽。
優花の快楽。
そして私の快楽。
三つの波が重なって、私の中で巨大な津波となって押し寄せる。
(負ける♡ 負けてしまう♡♡)
剣士としての誇り。
武家の娘としての矜持。
凛とした女性としての自負。
それらすべてが、見えない波にさらわれていく。
残るのは──
(私は♡ 雌♡ なのか♡♡)
問い。
いや、確信に近い問い。
答えは求めていない。
ただそう認めざるを得ない事実だけが、私の前に突きつけられている。
見えない指が、子宮口を優しく撫で上げる。
同時に、見えない爪が、乳首をカリカリ♥と引っ掻く。
乳肉が揺れる。
カチカチに硬くなった乳首が、ブラウスの布地を突き破らんばかりに主張する。
(いや♡ 見ないで♡ 南雲くん♡ 見ないで♡♡)
誰も見ていない。
南雲くんはいない。
いるのは、同じように見えない侵食に耐える女子たちだけ。
でも、もし。
もし彼がいたら。
もし彼が、私のこの顔を見たら。
(見られたい♡ の♡か♡♡)
否。
否定的。
否定したい。
でも否定できない。
見えない指が、さらに奥へと潛り込む。
子宮口を──直接、押した。
「────♡♡♡♡」
声にならない絶叫。
私の背中が弓なりに反り上がる。
机がガタンと揺れる。
前の席の男子がまた振り返る。
なんでもない、なんでもない、なんでもない。
なんでもないわけがない!
私は今、子宮を直接押されて、声も出せない絶頂に達しようとしているのだから!
(あ♡ いく♡ いってしまう♡ 八重樫雫♡ クラス委員長♡
剣道三段♡ 真面目で凛とした♡ 誰もが憧れる♡ 完璧な♡♡)
(──雌として♡♡♡♡)
最後の言葉が、脳内で弾けた。
同時に、私の身体も弾けた。
子宮口が痙攣する。
見えない指に吸い付くように、激烈に収縮する。
爆乳がふるんと揺れる。
ポニーテールが振り乱される。
汗と、涙と、そして別の液体が同時に噴き出す。
(い♡ い♡ いっちゃう♡♡ んっ♡ あっ♡ あああああ♡♡♡♡♡♡)
教室内で、二度目の崩落。
私の隣で、香織もまた崩れ落ちた。
「ふっ……ぇ……♡ たすけ……ハジメくん……♡」
彼女の口から出たのは、恋人の名前を呼ぶ甘い嘆きだった。
後ろで、優花が崩落した後で、小さな身体を震わせている。
三つの絶頂が共鳴し、増幅し、そして──
教室中に、粘りつくような湿度が充満した。
蝉の声が、遠くで聞こえる。
無関係な世界の象徴のようにけたたましく。
教室だけが切り離され、ひっそりと沸騰していた。
私は机に突っ伏したまま、震えていた。
蜜乳が、荒い呼吸に合わせて上下する。
ポニーテールが解けかけて、汗ばんだ首筋に張り付いている。
太腿の内側には、冷たい机の天板とは対照的な熱量が充満している。
(あぁ……♡)
思考が融ける。
剣士の誇りも、
武家の娘の矜持も、
女性としての自負も──すべてが甘い汁になって流れ出してしまった。
残るのは、ただ雌としての渇望だけ。
見えない指が、まだ動いている。
まだ私の中で、子宮口を優しく撫で上げている。
(終わらない♡ の♡♡)
終わらないのだ。
この湿地獄は、終わらない。
見えない侵食は、終わらない。
私は顔を上げた。
潤んだ目で、教壇を見る。
御厨先生が、チョークを握りしめたまま固まっている。
タイトスカートの下で、彼女の脚もまた震えているのが分かる。
(先生も……♡)
ああ、なんてこと。
こんなことってあるのだろうか。
女子も、教師も、年齢も、立場も関係なく──
すべての女が、見えない指に弄ばれている。
(私たちは♡ どうなってしまうの♡♡)
答えは出ない。
出ないけれど、分かっている。
私たちはもう、元には戻れない。
元の、女子たちには戻れない。
見えない指は、私たちを変えてしまった。
子宮の形を、乳首の感度を、そして──心の形まで。
(南雲くん♡)
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
想いを寄せる少年に向かって、私は何度も謝る。
ごめんなさい、私、もう。
あなたに捧げるはずだった純潔を、見えない指に汚されてしまった。
あなたに見せるはずだった痴態を、見えない誰かに晒されてしまった。
あなたに尽くすはずだった身体を、見えない侵食者に作り変えられてしまった。
(それでも♡♡)
ああ、それでも。
私は今、間違いなく。
今まで味わったことのない最高の絶頂を知ってしまったのだ。
(いや♡♡♡)
否定したい。
否定しなければ。
でも身体は正直だ。
子宮は見えない指を求めて蠢いている。
乳首は刺激を求めて硬く尖っている。
太腿の内側には、忘れようのない痕跡が残っている。
私は──終わったのだ。
剣士として、武家の娘として、凛とした女性としての八重樫雫は。
そして──新しい雌として生まれ変わったのだ。
見えない指に翻弄される、ただの牝として。
教室の湿度は、まだまだ上がり続けている。
蝉の声が、遠くで聞こえる。
私は机に突っ伏したまま、震え続けた。
胸が、ふにふにと形を変える。
見えない指が、乳首をカリカリ♥と引っ掻くたびに。
私の口からは、止めどなく──甘い吐息が漏れ続けていた。
[#※]
霞む視界の中で、白崎香織は己の身体がもはや自分のものではないことを悟った。
思考は溶け、理性は蒸発し、後に残ったのは肉としての自分だけ。
黒板の文字など目に入らない。
教師の声などBGMにもならない。
ただひたすらに、胸の奥──
いや、胸そのものに集中する鋭敏な感覚だけが、世界の全てだった。
見えないナニかが、私の胸を揉んでいく。
事実として、そこに手は存在しない。
誰も私のブラウスに触れていない。
なのに、 感じるのだ。
片手では到底包みきれないほど大きな胸が、
見えない指に沿って形を変えられていく感触を。
まるで粘土細工でも楽しむかのように、
その存在は酷く気まぐれで、そして執拗だった。
「んっ……♡ ふぅっ……♡」
表面をさするように優しく撫で回したと思えば、次の瞬間には強引に鷲掴みにされる。
ふにゃりと指に吸い付くような乳肉の柔らかさが、逆に見えない力によって歪められる。
指が食い込む。
深く、容赦なく。
ブラウスの上からだというのに、その爪痕の鋭さが皮膚を通して伝わってくるようだ。
その度に、私の口からは艶やかな声が漏れ出してしまう。
(だめ……! 声、出しちゃ……♡)
唇をきつく結んでも、喉の奥からくぐもった吐息が勝手に溢れる。
だって、すごいのです。
その見えない手つきの妙というか、業というか。
決して愛撫などではない。
ただの物色だ。
店頭で果物の熟れ具合を確かめる主婦のような、無遠慮で実利的な触り方。
あるいは、手の中の肉の反応を楽しんでいるだけの、悪趣味な子供の手つき。
なのに。
(硬くなってる…… 私の…… 先端が……♡)
豊かな果実の頂点にある、淡いピンク色の蕾。
そこだけが、見えない刺激に呼応して恐ろしいほど硬く屹立していた。
布地が擦れるたびに、ビクンと背筋が震える。
ブラジャーのカップの中で、乳首だけが独立した生き物のように主張を始めている。
擦れる。
擦られる。
ねじられる。
甘い痺れが、背骨を伝って子宮へと直結する。
「くふっ……♡ あっ……♡ そこっ……♡」
隣の席から、雫の息を呑む音が聞こえた。
彼女も同じ思いなのだろう。
剣道で鍛えたド迫力の肉塊が、
今は見えない手によって同時に鷲掴みにされているはずだ。
私が感じる感触の向こう側に、彼女の肌の弾力が重なって感じられる。
「共鳴」だ。
私のFカップが弄ばれる刺激が、彼女のGカップへと流れ込み、
彼女のGカップが受ける圧力が、私のFカップへと押し寄せてくる。
重ね合わせられた快楽のパラボラアンテナ。
受信感度は規格外だ。
後ろの席では、優花が机に歯を食いしばりつけているのが気配で分かる。
彼女のDカップだって無事では済むまい。
敏感な彼女の乳房は、私たちのそれよりもさらに過敏に反応しているはずだ。
見えない手は、飽くことなく私の胸を弄び続ける。
持ち上げる。
重みを量るように。
揺らす。
波打たせるように。
寄せて、挟む。
谷間の熱を確かめるように。
そして、極めつけは──
乳首への攻撃だ。
親指と人差し指で、布地越しに硬くなった突起を摘まれる。
「────っっ♡♡♡♡」
声にならない絶叫。
脳髄を直接撫で回されたような快感。
左右同時に、上下にころころと転がされる。
爪先がカリッと引っ掻くたびに、白濁した閃電が視界を走る。
(おっきい…… 手が…… おっきすぎる……♡)
見えないけれど、分かってしまう。
その手の大きさが。
私の巨乳ですら片手で余りあるほどの、巨大な手。
いや、これは手というより「所有印」だ。
私という個を丸ごと包み込んで、好きなように捏ね回す、絶対的な支配の器官。
(誰なの…… これ、しているの……♡)
想像するまでもない。
この教室で、私たちをこんな目に遭わせている得体の知れない何か。
見えないからこそ、恐怖は際限なく膨らむ。
見えないからこそ、快楽はどこまでも深く沈み込む。
「あ♡ いや♡ 乳首♡ 乳首だけは♡♡」
懇願が口をついて出る。
自分の声ではないようだ。
もっと艶っぽく、もっと卑屈な、牝の声。
でも止まらない。
摘ままれた乳首が、引っ張られる。
ぷにぷにとした乳肉が、その引き攣れる力に引いていく。
まるで搾られるのだ。
乳房という魔女の壺から、快楽という毒蜜を絞り出されるように。
(イカせる…… の……? こんなところで…… おっぱいだけで……♡)
信じられない。
でも事実だ。
胸を揉まれているだけで、下半身が洪水を起こしている。
子宮がきゅうきゅうと収縮して、何かを求めて蠢いている。
見えない指の動きに合わせて、私の身体は忠実に反応してしまう。
ねっとりとした空気が、教室の空気を更に重くする。
甘ったるい匂いが漂い始めている。
私の匂い。雫の匂い。優花の匂い。
同級生の女子たちの匂い。
そして教壇の御厨先生の匂い。
全ての女が、
同じタイミングで、
同じ部分を弄られ、
同じ匂いを放ち始めている。
見えない手は、更に加速する。
揉む。
捏ねる。
弾く。
摘まむ。
引く。
決定的なリズムが生まれる。
それはメトロノームのように正確で、
かつてないほどに暴力的なピストンのリズム。
私の胸は、もうそのリズムに完全に同調してしまっていた。
(あ♡ あ♡ あ♡ あ♡♡♡)
声が漏れる。
止められない。
もう、止めることなんて考えられない。
ただこの見えない手に、胸の全てを委ねてしまいたい。
私のおっぱいは、もはや私のためのものではなくて。
この見えない誰かのために、この形を変えられ、この硬さにされているのだと。
肉が震える。
脂肪が波打つ。
乳首が限界まで固くしこり、痛いほどに主張する。
(いく♡ いっちゃう♡ おっぱいっ♡ おっぱいだけでぇぇ♡♡♡)
白崎香織、十八歳。
成績優秀、スポーツ万能、誰からも慕われる学園のアイドル。
そんな肩書きが、見えない手の前ではあまりにも軽い。
彼女は今、ただの「おっぱい」として絶頂しようとしているのだから。
(あ゛あ゛ぁぁぁ♡♡♡♡♡♡♡♡)
胸の中で何かが弾けた。
乳首から子宮へ、
子宮から脳髄へ、
焼けた鉄の棒を押し込まれたような衝撃が走る。
意識が白く染まる。
目の前がチカチカと明滅する。
身体が勝手に跳ねる。
背中が弓なりに反る。
太腿の間から、とめどなく熱いものが溢れ出す。
(いっちゃった♡ んっ♡ おっぱいで♡ おっぱいだけでぃぃ♡♡)
呆気ないほどに、あっけなく。
私は、胸だけでイッてしまった。
しかも、授業中の教室で。
好きな男の目の前でもないのに、見えない何かに胸を揉まれただけで。
女としてのプライドも、優等生としての矜持も、
全部が白濁した液と一緒に噴き出して消えてしまった。
隣で雫が喘いでいる。
後ろで優花が泣いている。
教室中で、何人もの女子が同じように絶頂している。
私は汗で張り付いた髪をかき上げながら、虚ろな目で天井を見上げた。
(……まだ…… 動いてる♡)
見えない手は、まだ私の胸を揉んでいる。
絶頂の余韻などお構いなしに、次の快楽を搾り取ろうとするように。
執拗に。
執念深く。
そして、酷く愛おしげに。
この手は、私を離さない。
永遠に、私の胸を離さないのだ。
そう悟った瞬間、私の心の奥底で、甘い汁が染み出した。
それは絶望かもしれない。
あるいは、魂が魅入られたことによる恍惚かもしれない。
どちらにせよ、もう遅い。
私は知らぬ間に、女体を突き出し始めていた。
見えない手が揉みやすくなるように。
もっと、深く、私のFカップを刻み込んでもらえるように。
白崎香織は、終わったのだ。
そして、新たな「専用オナホ」として生まれ変わったのだ。
見えない神の手によって、形作られた「メスの器」として。
蝉の声が、まだ遠くで鳴いている。
教室の湿度は、さらに上がり続けていた。
[#※]
見えない手が、私の胸を──撫でる。
そう、「撫でる」という表現が最も近い。
最初は無造作に、乳肉全体を掌で包み込むようにして。
重みを確かめる研究者のような、
あるいは市場で瓜の熟れ具合を見極める主婦のような、無遠慮で実利的な撫で方。
Gカップの乳房がその掌に沿ってかたちを変え、てろりと指の間から溢れ出す。
(あ……♡ また……大きくなってる…… 私の……おっぱい……♡)
感覚は鮮明だ。
目に見えないくせに、手触りだけはひどく具体的。
指の腹はざらりとした皮膚の質感を持ち、掌は熱く湿っている。
汗ばんだ生身の男の手なのだ。
私のブラウスの上から、
その手は私の乳房を──私の意思などお構いなしに──私有物のように扱っている。
「んっ……♡ ふぅ……っ……♡」
声を殺す。
殺さなければならない。
教室に二十八人の生徒がいる。
前の席の男子は退屈そうに欠伸を噛み殺しているし、
窓際のグループは小声で映画の話をしている。
誰も気づいていない。
八重樫雫が、授業中に自分の席で胸を揉まれているなどと、誰が想像しようか。
でも、感じる。
ねっとりと、ゆっくりと、丹念に。
大きさを確かめるように手のひら全体で撫で回される。
外側から内側へ。
下から上へ。
指が食い込むたびに、引き攣れる乳肉が甘い悲鳴を上げる。
(くっ……♡ そんな…… そこ……♡)
左の乳房を下からすくい上げるように揉まれた瞬間、息が漏れた。
剣道で鍛えた大胸筋の上に乗った豊かな肉が、見えない手に捏ねられて波打つ。
柔らかい。
私のおっぱいはひどく柔らかいのだと、今更のように自覚させられる。
相手の手の熱さが、布地と下着越しにも、
肌の上に直接乗せられているかのように伝わってくる。
温かい掌だ。
温かすぎて怖い。
(……誰なの……♡)
問うたところで答えは返らない。
ただ見えない手は、今度は右の乳房へと移動し、同じように撫で回し始めた。
左右非対称の愛撫。
片方を揉みしだかれた余韻が残っているうちに、もう片方を攻められる。
不公平だと、そう思うのに、左右で異なる感触を比べられてしまい、
どちらがより敏感に反応しているかを確かめられているような気がして、羞恥が身を灼く。
右側を下からすくい上げるように揉し上げられた時だった。
指先が──動いた。
乳首だ。
見えない指先が、ブラウスとブラジャーの布地を挟んで、
硬く立ち上がった乳首の根本を摘んだのだ。
「────っっ♡♡♡♡」
背筋を白い閃光が走った。
脳髄を直接撫でられたような衝撃。
乳首は私の身体の中で最も无防備な突起だ。
剣道の防具でも守られていない。
日焼けした肌の上にピンク色でぽつんと在るだけの、小さな、小さく無力な蕾。
それを摘まれた。
根本から先端へ向かって、ころころころころと指の腹で転がされる。
「んっ♡ ふあっ……♡ だめ……そこっ……♡」
声が漏れる。
漏れてしまう。
八重樫雫が、剣道三段が、全国大会準優勝が、
おっぱいの先っちょを摘ままれて、クラスメイトの前で──
鼻声を漏らしている。
これ以上の屈辱があろうか。
これ以上の悦びがあろうか。
(……♡)
思考の袋を破って、禁断の果実が転がり落ちる。
否定しなければならない。
これは悦びではない。
屈辱だ。陵辱だ。許されざる暴力だ。
──なのに。
乳首を摘まれるたびに、子宮が疼く。
痛みではなく疼き。空腹ではなく渇望。
己の深淵が汲み上げられるような、愛おしくてたまらない波紋。
見えない指は、摘んだ乳首を引っ張った。
ぷにぷにとした乳肉がつられて引かれ、ブラウスの布地が乳首の形に 爪を立てる。
物理的にはあり得ない。
服の上から摘まれた感触が、直接肌に与えられているような鮮明さ。
魔法としか言いようがない。
それが──魔法のオナホールの力なのだと、私は知らない。
知らなくても、与えられる事実だけは死刑宣告のように確実だった。
私は摘ままれている。
おっぱいを、乳首を。
見知らぬ誰かに。
授業中の教室で。
誰にも見えない場所で。
そしてその事実が、羞恥を快楽の温湯へと変えてしまう。
これが「おっぱい開発」というものなのだろうか。
乳房性感というやつなのだろうか。
今まで視界の端にも入れていなかった、自分の胸。
鍛えるべき筋肉の上に乗った、有益ではない脂肪の塊。
しかしこの見えない手は、私の胸をただの脂肪の塊としてではなく、
一個の独立した快楽器官として扱い始めていた。
次第に、指の動きに呼応して、私の身体が快感を拾いやすくなっているのが分かる。
最初は鈍い痺れだったものが、いつの間にか鋭い雷光となり、背骨を走って脳を打つ。
感度が上がっている。
布地越しの刺激で声が出ていたのが、今は指の気配だけで胸が疼く。
馴染ませようとしているのだ。
私の乳首を。
この見えない手に。
この指の形に。
長いことそうされていれば、馴染んでしまうだろう。
私の乳首は、この見えない指の形だけを覚えて立つようになり、
他の何者の手にも反応しなくなる。
専用のスイッチとして作り変えられる。
自分専用の──
私のではなく、この見えない誰かの──
そんな妄想が脳内を走った瞬間、乳首を強く弾かれた。
「ぐっ♡♡」
弾かれた。
弾かれた弾かれた弾かれた。
乳首が硬いもので弾かれたような衝撃。
それはまるで起爆スイッチを押された爆弾だった。
子宮の奥で、カチリと音がした。
弾かれたのは乳首だ。
けれど弾けたのは子宮だ。
弾かれたのは右のおっぱいの先端だ。
けれど弾けたのは私の華奢な腰の奥だ。
「あ♡♡ あ♡♡ これ♡♡ 弾かれただけなのに♡♡ なのにぃぃ♡♡♡」
感覚が一点に集約される。
右の乳首。
そこから全身へ放射状に広がる白い快感。
見えない手はそれを待っていたかのように、
ただ撫でていただけだった乳房を一気に攻め始めた。
左の乳房を下から掬い上げるように、揉みしだく。
同時に右の乳首を摘んだまま、ひねり上げるように回転させる。
左右同時。
双方向攻撃。
片方は重みと肉感を楽しみ、もう片方は先端を直撃する。
比重の違う二つの快感が私の中で合流し、奔流となって子宮を打つ。
「あっ♡ くっ♡ ふあっ♡ ああっ♡♡」
雫が蕩ける。
私が蕩ける。
武士の娘が、剣士の私が、おっぱいを揉まれて──
授業中に鼻声を上げている。
学業優秀、スポーツ万能、二大女神と称される私が、
見えない誰かに乳首を摘ままれて──
蕩ける。
字義通りに蕩ける。
蕩かされているのだ、この身は。
こういう「蕩け方」を世間ではどう呼ぶか。
感じる、という。
しかしそんな生温い言葉で括れるものではない。
全身の関節が外れて柔らかくなり、
ただのおっぱいだけの肉塊になり下がっていくような、
もう戻れない片道切符を握らされているような感覚。
私は──犯されている。
見えない手に。
おっぱいを、犯されている。
***
隣で、香織が漏らした。
失禁ではない。
まだそこまでは──いや、もうそこまで行っていたのかもしれない。
ただ身体の中のものが溢れ出した、ただそれだけのこと。
香織は机に突っ伏したまま、下唇を噛んでいる。
つややかな黒髪が汗で額に張り付いている。
豊かな胸が-理想的な半球が、激しい呼吸に合わせて上下している。
「……っ……♡ や……だ……♡」
小さく囁く声が聞こえた。
友人の声だ。
私と同じように、彼女の胸もまた見えない手に弄られている。
香織の乳房の柔らかさは知っている。
体育の着替えでちらりと見た、
乳輪は小さく淡いピンク色。
つやつやと輝く肌肤の地肌に、硬く色付く蕾。
あれが今、私と同じ運命を辿っているのだ。
共鳴だ。
私が感じる感度の波が彼女へ、彼女が感じる波が私へ。
FとG、異なる大きさの二つの乳房が、同じ周波数で震え始める。
Fカップの香織が乳首を抓まれたら、Gカップの私も乳首が痛い。
私の乳房が揉まれるたび、香織の乳房が熱くなる。
不思議な共鳴。
それは物理法則も心理学も何もかも無視した、純粋な感覚の盗聴だ。
互いの性感を盗み合い、増幅し合う。
FとGの足し算ではない。
掛け算だ。
F掛けるGは──Fカップの六十二倍。
計算する余裕などないが、そんな数値が出る気がして、妙に可笑しい。
笑っている場合ではない。
笑っている場合ではないのに、
私はこの状況が滑稽だ。
剣士が、優等生が、勝ち気なあの娘も、見えない手におっぱいを揉まれて悶えている。
教壇の教師ですら──御厨先生の太い眉が歪んでいるのが視界の端に見える。
あの先生も同じだ。
教師も生徒も関係ない。
年齢も属性も関係ない。
ただおっぱいを持っているというだけで、この見えない調教師の餌食になる。
遠い所で蝉が鳴いている。
外の世界では夏休み目前の高校生たちが端牛丼を啜っていることだろう。
この教室では、十六人の乙女が、それぞれの見えない熱に焼かれている。
男子どもは鈍い。
ほんの三メートル離れた席で、女たちがこんなにもボロボロにされているのに、
彼らはただ机をカリカリと引っ掻いているだけだ。
ああ、鈍感な平和ボケした小動物たちめ。
私も鈍い動物の仲間だったはずなのに、
この見えない手は、私をより鋭い肉へと変えようとしているのだ。
同時に、乳首はいっそう鋭敏に、空気の揺らぎ一つにも反応するようになる。
二重の不幸。
身体が敏感になるほど、与えられる快感は鮮明になる。
鮮明になるほど、羞恥は深くなる。
羞恥が深いほど、よがりたくなる。
よがれば敏感になる。
永遠のループ。
連鎖する悲哀。
悲哀でないと言えるだろうか。
(悲哀……じゃない……♡ かも……♡)
思考が泥化する。
乳首がまだ摘ままれている。
揉まれている。
引かれている。
弾かれている。
掴まれている。
こね回されている。
愛撫は止まない。
私の乳首は赤くなっているだろうか。
硬く、熱く、充血して、
いまにも液化しそうなほどの敏感さを湛えているだろうか。
見えない手は──愉しそうだ。
無言で、一方的に、私の胸を弄り倒しているその存在は、
愉悦の快哉を上げているに違いない。
私の無力な抵抗を。
私の口から漏れる鼻声を。
私の尚も震える乳首を。
ただの一瞥で持ち上げては転がし、頃合いを見て強く引いて──そして再び撫で回す。
容赦のない、そして熟練した──三角締め。
(……イってる…… 私……イってるの……♡)
自覚した瞬間にはもう遅かった。
子宮の底で、何かがドロリと融けた。
赤い中身の詰まった蝋人形を、暖炉の前に置いたような。
私の中身が、子宮の底からドロリと溶け出した。
(やだ……♡ 中で……とろけ……♡♡)
融解だ。
心なしか身体の芯が柔らかくなった。
剣道で鍛えた腹筋は今はただの保護膜に過ぎない。
その奥にある子宮という小さな袋が、
カップ一杯に満たされて、更に溢れ出そうとしている。
──溢れる液体は何だろう。
すぐに自覚した。答えは明白だ。
愛液だ。
あまい汁。
私は今、授業中の教室で──枯れるほど──
乳首を弄られただけで──
股を濡らしている。
(あ♡ あ♡ やだやだやだやだ♡♡ 濡れてる♡ 濡れちゃってる♡♡ 私の……あな♡♡)
否定できない。
太腿の間は既に異様な熱を帯びている。
生温いと申すか、粘りつくと申すか。
パンツの布地が湿っている。
それはたぶん──
たぶん、染み出してきているのだ。
私の秘所から。
子宮に伴う分泌物が。
八重樫雫が、授業中にお漏らししている──
失禁などではない。
これは乙女の許しなき発情液なのだ。
それを自覚した瞬間──
見えない手は、余計に力を込めた。
揉む。強く揉む。
右の乳首を摘んだまま、左の乳首にも指をかけ、
両方を同時に、ぎりぎりとねじ上げた。
(いっ……♡♡♡)
無理だ。
もう無理だ。
剣士の矜持も武家の矜持も女の誇りも一遍に粉砕された。
私は骨組が解けたような姿勢で机に突っ伏す。
誰も見ていない。
誰も気づいていない。
ただそれだけが救いだ。
恥ずかしい。
恥ずかしいけれど──
恥ずかしいからこそ──
見えない手は見ているのだ。
この恥態を。
私の脱力した顔を。
私のとろんとした瞳を。
私の汗に濡れた髪を。
私の背けれた背中を。
私の──乳首を。
それが誰なのか知らない。
いないはずなのに、いる。
いるはずなのに、見えない。
不気味だ。
そして、恐ろしいほどに──
愛おしい。
(……あ♥…… わたし…… 嬉しい……の……♡)
八重樫雫は蕩けた。
もはや完全に。
武士の魂は微塵もない。
子宮の奥から染み出す愛液が、
私の誇りを溶解し、
自尊心を澱に沈め、
きれいな伏目に作り替えてしまった。
私は何者だろう。
剣士でも生徒でも女でもない。
今はただ──
一個の乳房だ。
おっぱいそのものとして存在している。
見えない手が、まだ私の胸を揉んでいる。
止まない。
止まない──
ねっとりと。
丹念に。
大きさを確かめるように、
手のひら全体で撫で回し、
たまに乳首を指先で摘んでやる。
そのくりかえし。
そのくりかえし。
その──たぶん一生続くくりかえし。
私は目を閉じる。
もう目を開けている必要がない。
前を見ていたって黒板の文字は浮かばない。
教師の声は耳に届かない。
ただ胸の鋭い感覚だけが、今の私の世界の全部なのだ。
雫が蕩ける。
私が蕩ける。
世界が──蕩ける。
その様は、まるで乳鉢の中の花弁を丁寧に擂り潰す薬師の手つきのようで、
そして花弁が振り返りに薬師に微笑むような、狂おしくも甘美な「入りかえり」だ。
授業中の教室で。
蝉の音が遠い。
雫は目を閉じたまま、乳首を摘ままれ続けている。
香織は机に突っ伏して、汗だくのまま小さく痙攣している。
優花は膝を閉じ、こらえにこらえた最後の抵抗をしているはずが、
その顔は既に白濁色に染まっている。
一方の手が三つの乳房を同時に揉んでいるはずはない。
それとも本当に──何者かの手が六本あるのだろうか。
あるいは三本の手があるのだろうか。
三組の乳房が、同じタイミングで、同じ強さで、同じ場所を揉まれている。
まるで彼女たちは一人の女性の三対の乳房であるかのように。
一対目は雫のGカップ。
二対目は香織のFカップ。
三対目は優花のDカップ。
それぞれが異なるかたちで熟れた果実だが、今は見えない手の中で一つに統合される。
調教の手が及ぶ。
愛液の川が、三本同時に流れる。
教壇の御厨先生の眼鏡が曇っている。
生徒に見えない涙が、彼女のタイトスカートの中でもこぼれているのだ。
彼女の手はチョークを握ったまま震えている。
意味のない年号が黒板に羅列されている。
何人の女王が放たれ、何人の征服者が干渉されているのだ。
答えは一つしかない。
この教室には「一人の支配者」がいる。
おっぱい一つ、触れることのできない蜃気楼の王だ。
薄い夏服を通して、女子たちの乳首が雨後の草のように一斉に立ち上がっている。
教室中の女子の胸。
一人残らず、だ。
雫は閉じた瞼の裏で笑った。
──世界の誰も知らない。
この教室だけが特別な湿地帯であることを。
日本史の時間などと呼ばれているけれど、
ここで行われているのは私のおっぱいの歴史を刻む作業なのだ。
蝉は鳴いている。
暑い夏の昼下がり。
誰も知らない。
──教室の中で「乳房晩餐」が続いている。
(あ♥ また…… 弾いた……♥)
指が、また、乳首を弾いた。
私は融けた蜂蜜のように微笑んだ。
誰に向けて微笑んでいるのか。
誰もいない虚空に。
(……いつか…… 会える……のかしら……♥)
馬鹿な女だ。
八重樫雫は心底馬鹿だ。
そんなことはない、と知っている。
この見えない手が誰のものか、私は知らないし、おそらく一生知ることはない。
ただ一方的に触れられ、一方的に開発される。
見返りはない。
愛もない。
抱きしめられることもない。
それでも──
この胸の乳首は、今日を境に、
誰かを待つようになるのだ。
見えない、けれど確かに在る「誰か」を。
繰り返し、繰り返し、足を組み、舌を吸い合いながら。
[#※]
カリカリ♥
まただ。
またあの音がする。
耳には聞こえないけれど、乳首を通して脳髄に直接響くあの乾いた音が。
(あ……♡ あぁ……♡)
御厨美沙子三十代半ば。
独身。
謹厳実直を絵に描いたような眼鏡の似合う女教師。
その私が今、教壇の上でチョークを握りしめたまま小さく悶えている。
目の前には二十八人の生徒。
黒板には意味のない年号の羅列。
私は今この瞬間、教師としての尊厳を粉々に砕かれようとしているのだ。
カリカリ♥
見えない爪が、私の乳首をまた引っ掻いた。
力は込められていない。
ほんの爪の先で触れる程度の刺激。
それなのに──
その細やかでしつこい愛撫は、
私の理性を削り取るのに十分すぎるほどの威力を持っていた。
(くぅ……♡ やめ…… て……♡)
ブラウスの下。
ホックでしっかりと固定された機能的なブラジャーの中で
私のEカップの乳房が形を変え始めている。
見えない手が私の胸をすくい上げたのだ。
たぷん♥ と
二つの大きな果実が同時に揺れる。
重みがある。
三十代半ばになり少しずつ下垂を気にし始めていた乳房が
今は見えない掌の上で赤ん坊のように甘えている。
(いや……♡ こんな…… 教壇で……♡)
羞恥だ。
これ以上の羞恥があろうか。
教師として生徒の前に立つ私が
見えない何かに胸を揉まれ乳首を引っ掻かれ
よがっているなどと──
もし生徒たちに知られたら?
もし同僚に知られたら?
もし親に知られたら?
想像するだけで顔が熱くなる。
いや顔だけではない。
全身が熱くなる。
恥ずかしさに火照り快楽に溶かされ私の体は教壇の上で微かに震えている。
カリカリ♥ カリカリ♥
休むことなく続く見えない爪の攻撃。
右の乳首を引っ掻きながら同時に左の乳房を下からすくい上げる。
二つの果実が同時に責められる。
二重の快感。
二重の屈辱。
(あ♡ あ♡ だめ♡ そこ♡ 優しく♡♡)
優しくなどしてほしくない。
心のどこかでそう叫んでいる自分がいる。
もっと乱暴に。
もっと执拗に。
もっと深く私のおっぱいを刻み込んでほしいと。
そんな淫らな願いが見えない手に伝わったかのように爪の動きが激しくなる。
カリカリカリカリカリ♥
細かい振動が乳首から子宮へと直結する。
まるで小動物が堅実な実を齧るような執拗さで私の蕾を責め立てる。
(んっ♡ ふあっ♡ いく♡ いっちゃう♡ おっぱいだけでぇぇ♡♡)
私は教壇にしがみついた。
チョークが粉々に砕け掌に食い込む。
白い粉が舞う。
それは私の理性の残骸だ。
見えない手はまだ私の胸を揉み続ける。
たぷたぷ♥ とすくい上げ
カリカリ♥ と引っ掻き
そして時折むにむにと乳肉を抓む。
(あぁ……♡ 御厨先生…… おっぱい…… 気持ちいいの……♡)
脳内で別人の声が囁く。
それは私自身の声なのか
それとも見えない支配者の声なのかもう区別がつかない。
ただ一つ確かなのは私が今、
教壇の上で胸を揉まれ絶頂しようとしているということだ。
(あ♡ あ♡ あぁぁぁ♡♡♡)
白濁した閃光が視界を走る。
背中が弓なりに反る。
乳房が見えない手の中で激しく波打つ。
私は──イッたのだ。
授業中に。
生徒たちの前で。
見えない誰かに乳首を引っ掻かれただけで。
(はぁ……♡ はぁ……♡)
余韻に身体が震える。
冷や汗が背中を伝う。
太腿の間には間違いなく愛液が滲んでいるだろう。
しかし見えない手はまだ止まない。
休むことなく私の胸を愛撫し続ける。
カリカリ♥
まただ。
また乳首を引っ掻かれた。
敏感になった蕾が悲鳴を上げる。
(まだ……♡ まだなの……♡)
問いかける。
見えない支配者に。
(もっと……♡ もっと私の…… おっぱいを……♡)
私は目を閉じた。
教師としての尊厳などもうどうでもいい。
ただこの見えない手に
私のおっぱいを永遠に揉まれていたいとさえ思ってしまったのだから。
蝉が鳴いている。
教室にはまだ午後の倦怠感が漂っている。
誰も知らない。
教壇の上で一人の女教師が見えない手に
おっぱいを開発され完全に雌へと堕ちてしまったことを。
(あ♡ また…… カリカリって…… ♡)
私は小さく笑った。
乾いた音がまた私の乳首を責め立てる。
止まない愛撫に私は身を委ねた。
永遠に続くこの羞恥と快楽の輪舞曲へと。
[#※]
教室という密室は、蒸されていた。
いや、正確には「蒸されている」のだ。
誰の目にも明らかな湯気など立ってはいない。
だが、肌にまとわりつく空気の粒子一つ一つが、湿り気を帯びている。
私の、いや私たちの、
肌から滲み出した女の汗と蜜の蒸発なのだと、本能が告げていた。
(……また、だわ)
私は息を呑んだ。
隣の席の山田さん——陸上部で鍛えた健康的なおっぱいの持ち主——の胸が、
今、明らかに「形を変えた」のだ。
ブラウスの布地が不自然に引っ張られ、
彼女の豊かなバストが見えない指に鷲掴みにされたように、ぐにゃりと歪む。
物理法則に則れば、ブラジャーと制服の枷の中で完結するはずの肉塊が、
透明な巨人の手でもって捏ね回されているかのように。
山田さんは顔を真っ赤にし、口をへの字に結んで必死に机にしがみついている。
声を出さないように。
この異常な事態を、誰にも気づかれないように。
(あなただけじゃないわよ、山田さん)
私は心の中で呟く。
だって、私の胸も同じだから。
ふにゃり♥
私のDカップの乳房が、見えない掌に包まれた。
下からすくい上げられるように。
まるでスイカの収穫でも祝うかのような無造作さで、
私の「女」の部分が掌の上で跳ねる。
重みを量られているのがわかる。
品定めされているのがわかる。
「こいつは熟れているか?」
「果汁は十分か?」
そんな問いかけが、乳肉の歪みとして私に伝わってくる。
(ひっ……♡)
指が、食い込む。
深く、容赦なく。
乳肉の柔らかさを楽しむかのように、
見えない指がブラウスの上からぐりぐりと押し込まれる。
爪が立っているのかもしれない。
痛いのか痒いのかわからない感覚が、背骨を伝って子宮の奥へと突き抜ける。
私は机の端を白くなるまで握りしめた。
ダメ、声が出ちゃう。
授業中なのに。日本史の時間なのに。
御厨先生が、なぜか震える手でチョークを走らせている黒板の文字が、ゲシュタルト崩壊していく。
見えない手は、飽くことなく私のおっぱいを弄ぶ。
握っては離し、握っては離し。
弾力を確かめるような動き。
時折、乱暴に持ち上げられる。
重力に逆らって、乳房が持ち上がる。
ブラジャーのワイヤーが肉に食い込む鋭い痛み。
そして——放される♡
どさっ♥ という音が聞こえた気がした。
肉が弾ける音。
脂肪の波が打ち寄せる音。
揺れる。
揺れる。
揺れるぅぅ♡
私のDカップが、人心収攬のポンポン像のようにぷるるん♥と波打つ。
持ち上げられて放される、その単純な作業の繰り返し。
それだけなのだ。
それだけなのに——
(あつっ……♡ 下のお腹が……♡)
熱い。
下腹部がじくじくと熱を帯びている。
ただ胸を揉まれ、持ち上げられ、放されているだけなのに、
パンツのクロッチ部分が湿り気を帯び始めているのがわかる。
摩擦だ。
乳首と布地の摩擦。
それと、見えない指のぬるりとした感触が作り出す、甘やかな摩擦。
それが子宮に火を点けている。
視線を巡らせる。
教室中の女子が、同じように「何か」と戦っていた。
前の席の田中さんは、机に突っ伏して肩を震わせている。
彼女の貧乳すらも無事ではないらしい。
後ろの席の佐藤さんは、太腿をきつく閉じて何かを耐えている。
教室の空気は、女子たちの発するフェロモンで飽和状態だった。
男子どもは鈍感だ。
居眠りをしたり、小声で雑談したり。
自分たちのすぐ近くで、女生徒たちが見えない男におっぱいを玩具にされ、
発情させられているなどとは夢にも思うまい。
(私のおっぱい……♥ また、持ってかれた……♥)
また、見えない手が私の胸をすくい上げた。
今度は、左右同時だ。
二つの果実が同時に収穫される。
指が食い込む。
肉が指の間から溢れ出す。
私の意思とは無関係に、私の乳房はその手に馴染んでいく。
握られるたびに、形が変わっていく。
最初は不慣れな圧力だったはずなのに、
今はその圧力がないと不安になるほどに、私の乳肉は雄の手形を求めているのだ。
持ち上げられる。
離される。
揺れる。
波打つ。
玉乗りのピエロのように、私のおっぱいは見えない手の上で踊らされる。
そして、そのピエロの舞台袖である私の股間は、
愛液という名の完成されたケチャップで濡れそぼっているのだ。
(あぁ……♡ これ、気持ちいいの……? 私……♥)
疑問が浮かぶが、答えは下腹部の熱が教えてくれる。
気持ちいいのだ。
おっぱいを揉まれるのが。
見えない誰かに、一方的に玩具にされるのが。
授業中の教室で、皆に隠れて乳首をいじられる背徳感が、
牛奶のように白く濁った快楽となって脳髄に流し込まれる。
(だめ……♡ また、弾かれた……♡ 持ち上げられた……♡ 放された……♡ ぷるんって……♥)
揺れるたびに、甘い汁が溢れる。
見えない手は、まだ終わらない。
教室の時計の針が進む音すら、私の乳首を弾くリズムに聞こえてくる。
終わらないおっぱい開発の時間。
まだまだ続く湿った悪夢。
いや、これは——
(天国……なのかしら……♥)
女子たちの顔が一斉に蕩けていく。
教壇の先生の顔も。
教室は巨大な肉壺へと作り変えられていた。
見えない童貞に奉仕するための、専用の卵巣として。
蝉の声が、遠くで慶びのファンファーレのように鳴き続けていた。
[#※]
教室の空気は、もう完全に腐っていた。
いや、腐敗などという生半可な言葉じゃ足りない。
缶詰めにして百年経った桃のような、ドロドロに糖分が分解された果肉の海に、
私たちは沈んでいるのだ。
黒板の文字はイカの墨汁のように滲み、
御厨先生の声は水底から聞こえるボソボソとした唸り声——
いや、あれは先生の声なんかじゃない。
先生もまた、水槽の中で口をパクパクさせているだけの、
一匹の雌魚なのだから。
(あ……♡ また、その指……♡)
私のDカップが、また「作業」に入られた。
さっきまでの無遠慮な収穫祭のような鷲掴みとは違う。
もっと粘着質で、もっと事務的な——そう、まるで生産現場のパートおばさんが
出荷前の果実に艶出しワックスを塗り込んでいるかのような、
実に効率的で無駄のない指の動き。
ふっくらと膨らんだ乳輪の縁を、なぞり回された。
(くっ……♡ うぅっ……♡)
円を描く。
慎重に、正確に。
コンパスで描いたかのような綾目を、見えない指の腹がトレースしていく。
乳輪のギリギリを周回するあの気持ち悪いほど丁寧な軌道。
直接触れられているわけでもないのに、
ブラウスとブラジャーという二重の防壁越しに、
その指紋の溝の形までが熱として脳裏に焼き付いてくるようだ。
(焦れる……♡ 焦れるわぁ……♡)
乳輪の周りをぐるぐると回る景色。
遊園地の回転木馬のように、私の意識もその円周上を回らされる。
中心にある乳首——淡いピンク色の私の的可愛い突起——には、決して触れない。
触れてくれない。
指はいつだって、その手前で曲折し、周回コースに戻ってくる。
焦れったい。
切ない。
もどかしい。
(……なんで、そこを通らないのよぉ……♡)
私は無意識に太腿を擦り合わせた。
ニーハイブーツの摩耗を防ぐ革の擦れ合うような、
湿った「しゅっ、しゅっ」という音が机の下から漏れる。
太腿の内側の柔らかな肉同士が擦れ合うその感触が、
乳輪をなぞられる焦れったさと共鳴して、
下腹部の奥底——子宮という名の空腹な胃袋にシュワシュワとした痺れを送り込む。
見えない指は、変わらず冷静だ。
ふっくらとした乳輪のクレーターを一周し、
今度はその内側へと少しだけ侵入する。
山を下り、また登る。
同心円状に、ジリジリと標高を上げていく指の動き。
まるで標高〇〇〇メートル地点まで登山した計測隊のように、
私の乳首という頂上までの距離を、あくまで事務的に縮めている。
(あぁんっ……♡ そこ、びくびくしてる……♡)
乳輪の狭間を縫う指先。
ふっくらとしたその丘陵地帯は、
恐怖と期待で微かに震えているはずだ。
それを宥めるように、あるいは治験データを取るように、
見えない指は私の乳輪を撫でる。
撫でる。
撫でる。
撫でる。
量産された安心感のような、
かえって不気味な優しさで。
そして——次の段階へ。
(えっ……♡ 今度は、揉むの……?)
指が、乳房の付け根へと移動した。
そして、両手で——私の右の乳房だけを——包み込んだ。
手のひらの温度が、布地越しにじんわりと沁みてくる。
心地よい。
吸い付くような手のひらの吸盤感。
そして、動き出す。
揉む。
揉みほぐす。
マッサージする。
(んっ……♡ ふぅっ……♡ お、大きい手……♡)
見えない手の大きな掌が、私の乳房を歪ませる。
下から上へ、外から内へ。
重たい果実の血液循環を良くするかのように、
根元から丁寧に、絞り出すように揉み上げてくる。
愛撫なんかじゃない。
愛なんてこれっぽっちもない。
ただの「あん摩」だ。
滞ったリンパの流れを改善するための、物理療法。
病院の待合室で聞くような「では、肩甲骨をほぐしますね」という
あの無機質な善意の塊のような手つき。
それなのに。
(効いてる……♡ 物理的に、効いちゃってる……♡)
びっくりするほど気持ちいい。
母乳が出るんじゃないかと思うくらい、胸の奥がジュクジュクと熱を帯びてくる。
凝り固まっていた血管が開通していくような、
耳抜きができた時のような、スッとする感覚。
鬱血していた私のDカップが、見えないマッサージ師によって
蘇生させられている。
私の意思など関係なく、私の乳房は「健康的な」雌のおっぱいへと
機能回復してしまっているのだ。
揉まれる。
揉みしだかれる。
左右の手が交互に、私の乳房を押し上げては放す。
絶妙なリズム。
カポエイラの足技のような、流麗かつ暴力的な連続技。
(あぁっ♡ 溶ける……♡ おっぱいが、溶けちゃう……♡)
硬かったしこりが消えていく。
脂肪の塊だった私の胸が、
もっと柔らく、もっと従順な、
男の手に馴染むためだけの器官へと再構成されていく。
見えない手は、私の胸を「解きほぐしている」のだ。
私の抵抗を、
プライドを、
処女の強張りを、
もみほぐし、
揉み消し、
按摩している。
(だめ……♡ そんな風に整えないで……♡ 私のおっぱいを、あなたの形に……♡)
抗おうとする思考すらも、その手つきのあまりの自然さに溶かされていく。
拒絶の努力は「凝り」として診断され、
ためらいは「コリ」として強制的にほぐされた。
私の胸はもう、私の胸ではない。
見えない誰かの管理下に置かれた、
メンテナンス済みの「利用可能物件」だ。
教室中で、同じことが行われている気配がする。
山田さんの豊かなバストも。
田中さんの華奢な胸も。
御厨先生の熟れたおっぱいも。
すべてが、同じ手つきで「あん摩」されている。
整えられている。
品出しされている。
(あ♡ あ♡ 良くなってる♡ 私のおっぱい、良くなっちゃってるぅぅ♡♡)
太腿を擦り合わせるスピードが速くなる。
乳輪をなぞられた焦れったさは、
胸全体を揉みほぐされる開放感へと変わり、
そして今、開放感は確かな堕落の兆候となって
私の下腹部にジンジンと血を集めている。
見えない指はまだ、終わらない。
マッサージを終えたその手は、再び乳輪へと戻り——
今度は、その中央にある、一番大事なところを、
優しく、摘んだ。
(いっ……♡♡♡)
キャンディを包むセロハンを剥がすように、繊細に。
調教は、第2段階へと移行したのだ。
湿った空気の中で、女子たちの背中が一斉に弓なりに反った。
それは降参のポーズであり、同時に、
新しい飼い主への不器用なお披露目でもあった。
[#※]
コリッ♥
摘ままれた。
乳輪ごと。
私の——八重樫雫の——人生において最も重要な瞬間が、
たったその一音で始まった。
(あ♡ あぁ……♡)
見えない指が、私のGカップの頂点に灯った淡い薔薇色の突起を、
その周りのふっくらとした乳輪ごと、つまみ上げたのだ。
布地越しとはいえない。
物理法則を無視した直接接触。
ブラウスとブラジャーという二重の防壁など、
存在しないかのように指の腹の温度が乳首に焼き付いている。
そして——親指が、押し当てられた。
勃起乳首に。
コリッコリに硬化した、私の蕾に。
親指の指紋の溝一つ一つが、
乳首の敏感な表皮に刻み込まれるかのように押し付けられる。
同時にもう一本——人差し指が——反対側から乳首を挟み込んだ。
(なっ♡ なにこれ♡ はさみ込んでる♡ 乳首を指で挟んでるぅぅ♡♡)
挟んだ。
摘んだ。
そして——
シコシコ♥
擦り回された。
liberalismの侵害である。
いや、そんな程度の言葉では追いつかない。
私の乳首が、見えない指二本に挟まれて、
左右にころころころころと転がされているのだ。
左右に。
上下に。
斜めに。
四面八方へ。
私の人生で誰にも触れられたことのなかった、
女性としての私の最も核となる部分が、
見えない童貞の指先で、まるでビー玉遊びのように弄ばれている。
(あ♡ くっ♡ あぁっ♡♡)
唇を噛む。
血の味がする。
でもその鉄の味さえも今は甘い。
だって——だって——
(気持ちいいの♡ コリコリされて♡ 気持ちいいのよぉぉ♡♡)
気持ちいい。
あまりにも気持ちいい。
今まで生きて十八年、自分の胸がこんな機能を持っていたことすら知らなかった。
剣道の稽古で鍛えた大胸筋の上に乗った、
単なる脂肪の塊だと思っていた。
しかし今この瞬間、私の乳首は、
私の身体の中で最も聡明で最も貪欲な器官として目を覚ましている。
シコシコ♥ シコシコ♥
見えない指は、飽きない。
執拗に、丹念に、そして何より楽しげに——
本当は楽しんでいるのかどうかなんて分からない、
ただ機械的に、淡々と、乳首を擦り回しているだけなのかもしれない——
それが逆に、愛撫というより「検品作業」のような冷徹さを孕み、
私の羞恥心を煽る最高のスパイスとなっている。
あなたの乳首は正常です、と。
出荷基準を満たしております、と。
適切な硬度と弾力があります、と。
そんな報告書を書きながら役人がハンコを押すような事務的な手つき。
いや——そんな冷たさすらない。
もっと無邪気で、もっと残酷な手つきだ。
摘ままれた乳首を、親指の腹で根元から先端へ向かってグリッと押し上げる。
まるで、チューブから絵の具を出すかのように。
私の乳首から何かが絞り出されるような——
母乳までもが溢れ出しそうな——
そんな錯覚を覚える搾り取るような動き。
(でる♡ なにか♡ でちゃう♡ おっぱいから♡ なにか♡♡)
出るわけがない。
私は妊娠していない。
授乳期でもない。
処女だ。
なのに——身体が、そんな言葉を信じない。
子宮の奥から、ぴくんぴくんと信号が送られてくる。
搾れ、と。
出せ、と。
この指の形に合わせて、
乳腺を開け、と。
身体が勝手に準備を始めている。
シコシコ♥ シコシコシコ♥
頻度が上がる。
見えない指の動きが、明らかに「愛撫」へとシフトしたのだ。
先ほどまでの検品作業のような事務的な動きは消え、
今は明らかに、乳首を「可愛がる」ための手つきに切り替わっている。
人差し指の腹で、乳首の先っぽをスリスリ♥ と撫で回す。
赤ん坊の頬に触れるような——いや、もっと卑猥な——
飴玉を舌で転がすような——いや、もっと繊細な——
琴の弦を爪弾くような——いや、もっと淫らな指の動き。
スリスリ♥ スリスリ♥
乳首の先端だけを執拗に撫で回される。
そこは、乳首の中で最も神経が集中しているポイントだ。
この十八年間、誰にも——私自身の手にすら——
まともに触れられたことのない、処女の乳首の処女地帯。
それが今、見えない指によって開墾されている。
(あ♡ あ♡ あ♡♡♡)
声が漏れる。
漏れてしまう。
隣の香織も同じだ。
彼女のFカップの胸が荒い呼吸に合わせて上下している。
その頂点の淡いピンク色の蕾が、
私と同じように見えない指に弄ばれているのが、
体温の上昇という形で伝わってくる。
共鳴だ。
私の乳首がシコシコ♥ されれば、香織の乳首も熱くなり、
香織の乳首がスリスリ♥ されれば、私の乳首も疼く。
F掛けるG。
その共鳴方程式の答えは、もはや計算不可能な天文学的快楽だ。
「……くっ……♡」
隣で香織が小さく呻いた。
眉根を寄せ、瞳に涙を浮かべて、
それでも——口元が微かに緩んでいる。
快感に負けた表情。
処女のまま胸を開発される屈辱と、
その屈辱がもたらす背徳の甘味に、彼女も気づいている。
(香織♡ あなたも♡ 同じなの♡♡)
問いかけるまでもない。
彼女の太腿の間からも、
私と同じように、粘りつく熱が滲み出しているはずだ。
シコシコシコ♥ シコシコ♥
見えない指は、さらに巧妙になった。
親指で根元から搾り取るように圧迫しながら、
同時に人差し指で先端をスリスリ♥ と撫で回す。
二つの異なる刺激が、一つの乳首の上で合流する。
根本からせり上がってくる鋭い快感の波と、
先端で渦巻く細やかな快感の旋風。
その二つが、乳首の途中で衝突し、増幅し、
背骨を通って子宮へと流し込まれる。
(だめ♡ だめぇ♡ そんな♡ 二つ同時に♡♡)
この世に「乳首だけでイク」という現象が存在することを、
私は十八年生まれて初めて知った。
いや、知らされた。
見えない指に、身体の隅々まで教え込まれた。
子宮が疼く。
疼くというより、哭いている。
何かを求めて泣いている。
乳首からの信号が、子宮という名の真空管を叩き、
増幅されて全身に流れる。
腰が揺れる。
机がガタガタと鳴る。
前の席の男子が怪訝な顔で振り返る。
私は必死に姿勢を正す。
なんでもない。
なんでもないのです。
ただ少し、体調が——
なんでもないわけがない。
私は今、授業中の教室で、
見えない指に乳首をシコシコ♥ されて、
イキかけているのだから。
スリスリ♥ スリスリスリ♥
見えない指が、最後の追い込みに入った。
乳首の先端を、異常なほどの執拗さで撫で回す。
指紋の溝が乳首の表皮を擦り、
その微細な摩擦熱が神経末端を焼き尽くす。
硬くコリコリに尖った蕾が、
指の腹に吸い付くように蠢く。
(あ♡ あ♡ いく♡ いく♡ いっちゃう♡♡ 八重樫雫♡
剣道三段♡ 真面目で凛とした女子が♡ おっぱいだけ☠♡♡)
最後の文字が脳内で弾けた。
その瞬間、
見えない指は乳首の根元を強く挟み込み、
一気に——搾り上げた。
(────っっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡)
弾けた。
乳首が弾けた。
いや——子宮が弾けた。
乳首を通じて子宮が直接打撃された。
膣内の奥で、嵐が吹き荒れる。
愛液が奔流となって溢れ出す。
太腿の内側を、熱い液体が伝い落ちる。
ショーツのクロッチが saturation 点に達し、
泥のように湿った布地が肌に張り付く。
「────」
声が出ない。
叫ぼうとしても声が出ない。
口が開いて、喉が震えても、
肺の空気はすべて絶頂に変換されてしまったかのように、
ただ无音の痙攣だけが私の身体を支配する。
背中が弓なりに反る。
机がガタンと大きく揺れる。
前の席の男子がまた振り返る。
今度は眉をひそめて「大丈夫?」という顔をしている。
大丈夫じゃない。
大丈夫なわけがない。
私は今、胸だけでイッてしまったのだから。
しかも——
(まだ♡ 動いてる♡ 指が♡ まだ動いてるぅぅ♡♡)
見えない指は止まない。
私が絶頂したことなどお構いなしに、
乳首を——
硬く尖った 性感帯 の塊を——
シコシコ♥ シコシコ♥ と擦り続けている。
絶頂の余韻など、
この指にとっては次のプレイの導入に過ぎないのだ。
乳首が痛い。
イッた直後の超敏感になった蕾を、
容赦なく撫で回される。
痛いのに——
痛いのに——
(気持ちいい♡♡)
速い。
嫌になるほど早い。
私の倒産まであとわずか——
いや、私は「再生」してしまったのか。
死んだはずの自我が、
乳首を通じて注入される快楽の電流によって、
物理的・一方的に蘇生されている。
見えない指は、まさに「使い込むほどに相手を自分専用に作り変える」という
魔法のオナホールの仕様を実行しているのだ。
私の乳首を、
この指の形に、
この指の動きに、
この指の好みの感度に——
作り変えている。
クラスの女子たちも同じだ。
隣で香織が机に突っ伏して小さく痙攣している。
後ろで優花が脂汗を流して必死に声を押し殺している。
教壇で御厨先生の眼鏡が曇り、チョークがまた一本粉々に砕かれた。
十六人の乙女の乳首が、同時に、
見えない童貞の指の形に合わせて——
再構成されていく。
カリカリ♥
まただ。
あの乾いた音が——私の乳首を通して脳髄に直接響く——
あの爪の音が、再び始まった。
私の乳首は、もう「私の」ではない。
あの見えない指の形に合わせて、
専用のスイッチへと作り変えられた。
今後この乳首は、あの指に触れられることだけを渇望し、
他の何者——たとえ南雲ハジメの手——にも反応しなくなるだろう。
シコシコ♥
カリカリ♥
スリスリ♥
三つのリズムが、私の乳首の上で重なり合い、
複雑な和音を奏で始めた。
その和音は私の子宮に直接響き、
深い、深い、底のない快楽の井戸へと私を突き落とす。
(あ♡ あ♡ 落ちてる♡ 落ちていくぅぅ♡♡)
落ちる。
どこまでも落ちる。
武家の誇りも剣士の矜持も女子としての自負も、
すべての傘を手放して、私は落下する。
残るのは乳首だけ。
硬く尖った、淡い薔薇色の蕾だけ。
それがこの見えない指に触れられている限り、
私は——きっと永遠に——
(落っこちない♡♡)
蝉の声が遠い。
教室の空気は甘く腐り始めている。
私は目を閉じて、乳首から流れ込む
甘美な電流に身を委ねた。
シコシコ♥ という音は止まない。
止まない——
永遠に——
[#※]
歴史は繰り返す、と誰かが言った。
黒板にチョークで走る年号などという無機質な数字の羅列ではなく、
もっと粘度の高い、肉の記憶としての歴史が、今、この教室で繰り返されている。
循环、
輪廻、
あるいは螺旋と呼ぶにはあまりにも垂直に落下していく、
一方的な堕落の歴史が。
(あ♡ また、……♡)
見えない指が、私の乳首データをまたひとつ書き換えた。
カリカリ♥ という乾いた音が鼓膜ではなく乳腺を震わせ、
シコシコ♥ という湿った音が神経鞘を粘液でコーティングしていく。
私の乳房は、今や単なる脂肪の備蓄庫ではない。
見えない童貞の左折した欲望を受け止めるための、
生きた変復調器(トランスデューサー)へと改装されつつあるのだ。
女子生徒たちは皆、机に突っ伏しながらも、その背中を微かに反らせていた。
背筋をゾクゾク♥ と震わせて悦びながら。
無意識のうちにおっぱいを突き出しているのだ。
より深く、より鋭利な快感の楔を打ち込んでもらうために。
制服のブラウスという信用状を剥ぎ取られ、
素の肉として見えない担保権者に差し出さんばかりに、胸を、おっぱいを、突き出している。
(いや♡ 見ないで♡ 南雲くん♡ 私たちこんな……♡)
……いや、違う。
見てほしいのか?
この背徳の醸造過程を。
見えない蔵人に、私の乳房という名の醸造槽をかき回され、
搾られ、白濁した快楽という酒精が滴り落ちる様を。
隣の席の白崎香織も同じだった。彼女の美麗な曲線が、
ブラウスの布地を窮屈そうに押し上げている。
彼女もまた、乳首を尖らせ、無意識に胸を前に出して、見えない愛撫者を迎え入れている。
後ろの園部優花も、あの勝ち気な目を潤ませて、
Dカップの鋭敏な果実を差し出している。
みんな、みんな、雌だ。
指先で乳首を撫でられる。
スリスリ♥ と、指紋の溝をなぞるように。
それはまるで、マトモな温室育ちの蕾に、
遍歴の風術師が厄介な呪文を刻み込んでいるかのようだ。
そのたびに背筋をゾクゾク♥ と震わせて悦びを表する。
背骨は琴の弦となり、乳首を弾かれるたびに、
子宮という名の共鳴箱で甘い余韻を湛える。
(こっ……♡ こんな♡ あたたかい指♥)
次に、指で根本から先端に向かって搾られた。
親指と人差し指で乳首の根元をガッチリと掴み、
そこから徐々に圧力をかけながら先端へと絞り上げる。
牧童が乳牛の乳房を搾る如く、
あるいは技術者が管の中の粘性流体を押し出す如く、
極めて機能的かつ合理的な搾乳動作。
(ぴっ♡ ぴゅっ♡ でる♡ なにか♡ でちゃううう♡♡)
その圧力に抗うべく、あるいはその圧力に奉仕すべく、乳首がピンッ♥ と健気に勃起する。
淡い薔薇色の蕾が、充血し、硬化し、布地越しにも分かるほどに鋭角に尖る。
「頼むから、もっと触ってくれ」と言わんばかりに、乳首自身が意思を持って主張する。
かつて「八重樫雫」という一名の剣士が背負っていたプライドは、
この硬く尖ったちっぽけな突起の前では、蟻の思考ほどの重さも持たない。
ただ搾られ、ただ勃ち、
ただ快楽の登録コードを書き換えられるだけの「センサー」として、私の乳首はそこにある。
(あ♡ あぁ♡ また♡ また…… 搾ってる♡ 私のおっぱいを♡♡)
教室中に、微かな衣擦れの音が満ちる。
十六人の乙女が、それぞれの見えない支配者に胸を差し出し、
乳首を搾られ、ピンッ♥ と尖らせている音だ。
御厨先生も教壇で背筋を反らせている。
Eカップの熟れた乳房が、机能的なブラウスの下で揺れているのが分かる。
歴史の授業?
なにそれ美味しいの?
ここで行われているのは、女子という名の家畜たちの「搾乳履歴」の講義だ。
(私の……♡ おっぱいの歴史♡ 書き換えられてる♡♡)
見えない指は、ピンッ♥ と尖った乳首を、今度は指の腹で弾いた。
ポーン♥ と。
メトロノームのように正確なリズムで。
そのたびに子宮が震える。
乳首が勃起すればするほど、次の弾撃はより鋭く、より深く突き刺さる。
飼い慣らされる過程。
家畜化のプロセス。
健気に勃起する私の乳首は、もはや私の意志とは無関係に、
見えない童貞の指紋という所有印を喜んで受け入れている。
私たちはただ、おっぱいを突き出し、背筋を震わせ、
乳首をピンッ♥ と尖らせて、その指が来るのを待つだけの……
(あ♡ 来た♡ また♡ 弾かれるぅぅぅ♡♡♡♡)
歴史は繰り返す。
私の乳首が弾かれるたびに、子宮が痙攣し、愛液が溢れる。
その無限循環こそが、私の……いえ、私たちの新しい歴史なのでしょうね。
白濁した、湿度100%の、愛しき牝牛たちの歴史が。
[#※]
歴史は繰り返す、と誰かが言ったけれど、こんな歴史の教科書、
世界のどこの国会図書館を探したって見つかりっこないわね。
だって、今この日本史の授業で行われているのは、
大化の改新でも関ヶ原の戦いでもない。
八重樫雫、白崎香織、園部優花──学園が誇る三人の乙女の、
乳首という極小領土に対する植民地化政策なのですもの。
(あ♡ あぁ……♡ また、変わった……♡)
見えない指先が消えた。
あの執拗なカリカリ♥ やシコシコ♥ が忽然と消滅し、
代わりに訪れたのは、ひんやりとした湿り気を帯びた「空洞」だった。
まるで洞穴の入り口に立たされたような、吸い込まれそうな隙間。
そして、その隙間が私のGカップの頂点にカプッ♥ と被さった。
(くっ……♡ なに……? これ……♡ 暖かい…… 湿ってる……♡)
物理法則が完全にトーマス・エジソンあたりと握手したらしい。
ブラウスも、ブラジャーも、その下の肌も、すべてを透過して、
見えない「口」が私の乳首を咥え込んだのだ。
砂糖漬けの果実をふやけた舌で転がすような、耳の中に水が入った時のような、
ぬめる生暖かさが乳首のシルエットを包み込む。
(唇……♡ 口なの……? 見えない誰かの口に…… 私の乳首を…… 含まれてる……♡)
背筋がゾクゾク♥ と波打つ。
恐怖?
いいえ違うわ。
これはもっと情けなくて、
もっと甘い、
飼い犬が初めて飼い主の手に撫でられた時のような無力な歓喜だ。
舌が動いた。
見えない口腔内で、生き物のように柔らかな筋肉が蠢く。
私のコリコリに硬化した淡い薔薇色の突起を、その濡れた断面でチロチロ♥ と弄ぶ。
飴玉の表面を舐めて味を確かめる子供のように、
あるいは酒の席で肴のイカの墨袋を好物のおじさんが爪楊枝で突くように、
無邪気で残酷な探索。
(あっ♡ ふぁっ♡ そこ♡ 舌先が♡ 入り込んでくるぅぅ♡♡)
乳首の先端にある微細な亀裂。
授乳期でもないのに硬度だけはあるそのシワの一本一本までを、
ねっとりと這い回る舌の腹。
唾液が絡みつく音が、骨伝導で脳髄に響く。
ぐちゅっ♥ ぬちゅっ♥ という水音が、
教科書のページをめくる音より遥かに大きく聞こえる。
隣の香織が鼻声を上げた。
「んっ……♡ ひゃぅ……♡ お口で…… されてる……♡ 香織のも……♡」
そうね、わかっているわ。
彼女のFカップも同じ運命なのね。
共鳴してる。
私の乳首が舐められるたび、香織の乳首も熱くなる。
FカップとGカップのダブル被いの口唇。
交互に、あるいは同時に味わう見えない美食家の暴挙。
そして、歯が当たった。
(───っっ♡♡♡)
前歯だ。
象牙のように硬く、溺れる者に突き出されたロープではなく、
屠殺場へ誘う案内板のような冷ややかな硬さ。
それが私の乳首の根本をガッチリと挟み込んだ。
甘噛み。
製本された百科事典のページを留めるクリップのような正確さで、
乳首の根元を圧迫する。
痛みではない。
あまりにも的確すぎる圧迫。
その拘束の中で、舌だけが自由に先端をチロチロ♥ と責め立てる。
固定されて嬲られる。
実験台のカエルの脳味噌をピンセットでつままれているような無力感。
(あ♡ あぁ♡ 噛まれてる♡ 私のおっぱい♡ 食べられてるぅぅ♡♡)
そして、吸われた。
真空だ。
ストローで底に沈んだタピオカを救出する時のような、
ありったけの肺活量を凝縮した暴力的な陰圧。
ヂュ~ッ♥ という水が下水管に吸い込まれるような音と共に、
私の乳房全体がその口の中へ引きずり込まれそうになる。
(ひっ♡ ひぐっ♡♡ でるっ♡ なにかっ♡ でちゃうぅぅ♡♡)
乳腺が開く音がした気がした。
地殻変動のように、あるいは新高麗万里の長城が崩落するように、
私の胸の奥で何かが決定的に崩れた。
子宮の奥から胸の中央へと続く見えないパイプラインが一瞬で接続され、
そこを通じてドロドロとした白濁した何かがせり上がってくる。
母乳だ。
決して出るはずのない、
出したこともない、
けれど今まさに噴き出そうとしている、疑似妊娠の蜜。
(あ♡ ああ♡ ママに♡ されちゃってる♡♡)
私、十八歳。処女。剣道三段。
そんな肩書きが一瞬で瓦解する。
見えない口に乳首を吸われ、母乳を搾り取られる「ママ」にされちゃっているのだ。
男子どもが黒板を写しているすぐ近くで、私は見えない赤ん坊に授乳している。
いや、赤ん坊なんて可愛いものじゃない。
これは搾乳機だ。
人間の形をしていない貪欲な釜に、
私の乳腺を直接ホースで繋がれて、中身を空にされる。
ヂュ~ッ♥ ヂュ~~~ッ♥♥
吸われるたびに、乳首の先端から白い霧が噴き出すのが見える気がした。
噴水のように、あるいは圧力のかかった消防栓のように、
私の母乳が見えない口の中へと放出される。
飲まれている。
干からびるまで飲み干される。
(いい♡ 気持ちいいの♡ 搾られて♡ 飲まれて♡ ママになっちゃってるぅぅ♡♡)
ああ、なんてこと。
子供の頃にあこがれた「お母さん」の姿は、もっとこう、
慈愛に満ちた微笑みの象徴と思っていたのだけれど。
私の「ママ」デビューは、
授業中の教室で見えないナニかに搾乳される痴態だったなんて。
背中が弓なりに反る。
机がガタンと鳴る。口からは涎が垂れ、目からは生理的な涙が溢れる。
香織も、優花も、きっと同じだ。
私たちの胸は今、見えない3つの口によって同時に吸い上げられ、
擬似的な母乳の奔流が3本のパイプとなって交差している。
歴史は繰り返す。
搾られ、飲まれ、空っぽにされるこの循環だけが、私たちの新しい歴史。
私は目を閉じて、見えない口にすべてを委ねた。
ヂュ~ッ♥ という音だけが、私の世界を満たしていた。
ヂュ~ッ♥ ヂュ~~ッ♥♥
吸われている。左の乳首が、見えない口の中へと引きずり込まれていく。
まるで強力な掃除機のノズルを当てられたかのような暴力的な陰圧。
乳腺の中身が空っぽになるまで吸い尽くされるという恐怖と、
それと同時に全身の毒素が抜けていくような甘美な解放感が混ざり合い、
私の背骨をゾクゾク♥と震わせ続けている。
だが、見えない支配者はそれだけでは飽き足らないようだった。
(あ♡ なに♡ 右のほうも♡♡)
左の乳首を咥え込んだまま、もう一つの見えない手が
私の右の乳房へと伸びてきたのだ。
ブラウスの布地越しに、見えない五本指が食い込む。
もにゅッ♥
(あぐっ♡♡)
力強い。
無遠慮で横暴で、それでいて妙に的確な握力。
豊かな乳肉がその掌の中で無残に形を変える。
指が食い込むたびに溢れ出す脂肪の波。
重みを楽しむかのように何度も握りしめられ
手放されを繰り返すたびにふにふにと弾力が指に吸い付いていく。
(もにゅっ♡ もにゅっ♡ なんて♡ 乱暴な手つき♡♡)
揉まれている。
品定めされいる。
出荷前の果実を品定めする卸売市場の仲買人のように
無遠慮で事務的な手つきで私のおっぱいは扱われている。
一方で左側はヂュ~ッ♥ と容赦なく吸い上げられ続けている。
左右でまるで違う質感の快感。
左は吸引による持続的な痺れ。
右は圧迫と解放による波状的な衝撃。
その二つが私の中で合流し奔流となって子宮を打つ。
そして決定打。
ピンッ♥
(────っっ♡♡♡)
右の乳房を鷲掴みにしたまま
見えない人差し指が勃起しきった乳首を弾いたのだ。
まるでギターの弦を爪弾くように正確で鋭い一撃。
ピンッ♥ ピンッ♥
(あ♡ あぁ♡ いい♡ それいいのぉぉ♡♡)
たまらない。
乱暴におっぱいを揉まれながら勃起した乳首を弾いてもらうのが
こんなにもたまらない快感だなんて知らなかった。
もにゅッ♥ と握られた衝撃が乳肉を揺らし
その波が乳首へと到達した瞬間にピンッ♥ と弾かれる。
二つの振動が重なり合って乳首というセンサーを過負荷にさせる。
教室中で同じことが行われているのがわかる。
山田さんの健康的なバストも。
田中さんの華奢な胸も。
佐藤さんの慎ましいおっぱいも。
みんな等しく同じく見えない口に乳首を啜られ
見えない手にもにゅッ♥ と揉まれ
ピンッ♥ ピンッ♥ と弾かれている。
女子たちから漏れる吐息が教室の湿度をさらに押し上げる。
男子どもはまだ気づいていない。
自分たちのすぐ横で女たちが見えない支配者によって
搾乳機械として扱われていることに。
(あ♡ あ♡ 私たち♡ みんな♡)
(同じ♡ おんなじに♡ されてるぅぅ♡♡)
共鳴だ。
十六人の乙女の乳房が一つの巨大な器官として繋がっている。
誰かがピンッ♥ と弾かれれば全員の乳首が震え
誰かがヂュ~ッ♥ と吸われれば全員の乳腺が疼く。
八重樫雫という個人はもういない。
ここにあるのはただ「搾られ弾かれるおっぱい」という機能だけ。
ピンッ♥ ピンッ♥
もにゅッ♥
ヂュ~ッ♥
三重奏のリズムが加速していく。
私の意志などもうどこにもない。
ただ快楽の波に翻弄されるだけの舟だ。
(いく♡ いく♡♡)
(私たち♡ みんな♡ イっちゃうぅぅ♡♡♡)
限界だった。
右の乳首を弾かれた瞬間
左から母乳が噴き出したような錯覚と共に
子宮の奥で何かが決定的に弾けた。
「────っっっっっっっっっっっっっっ♡♡♡♡♡♡」
無音の絶叫。
背中が弓なりに反り机がガタンと悲鳴を上げる。
太腿の間から溢れ出した愛液が椅子を汚す。
教室中で十六人の乙女が同時に絶頂した。
十六組のおっぱいが一斉に波打ち
十六の子宮が同時に痙攣する。
蝉の声だけが遠くで聞こえる。
教室の中は白濁した蜜の匂いと女たちの甘い汗の蒸気で満たされていた。
[#※]
ピンッ♥ と、また弾かれた。
乳首のすぐ横ほんの数ミリの肉を残した場所に、見えない指の腹が当たる。
まるで爪弾くような、あるいは産毛を抜くような
鋭利でありながらどこか愛嬌のある一撃。
その瞬間、左の乳首が「ちゅ~っ♥」と音を立てて吸い上げられた。
「あひっ♡♡」
ダメ。
声が出てしまう。
口を両手で塞いでも、喉の奥からせり上がってくる啼き声は止められない。
私は八重樫雫。剣道三段。学年でも五指に入る成績。
そんな私が、日本史の授業中に机に突っ伏しながら乳首を吸われて鳴いている。
(あ♡ また♡ 今度は右♡)
見えない舌が、左の蕾から離れた。
唾液の糸が乳首と舌を繋いでいるのが分かる。
そして今度は右。
硬度を増した樱桃色の突起を、ぬめる口内がカプッ♥と包み込んだ。
ちゅ~っ♥ ちゅ~っ♥
じゅるるるる♥ という水音が鼓膜ではなく、胸骨を伝わって脳髄に響く。
吸引されるたびに、乳腺という名の細い管が震える。
根元から先端へ向かって、何かがせり上がってくる感覚。
(また出る♡ 射乳してるぅ♡)
私の身体はもう、正常な判断力を放棄していた。
膣でもない、子宮でもないただの胸の先端から
とろりとした白濁液が湧き出ている。
見えない口がそれを貪るように啜る。
そして、空いた方──今は左の乳首に──指が来る。
コリッ……♥
人差し指の腹が、射乳した直後の湿った蕾に垂直に押し当てられた。
カリカリ♥ と引っ掻くのとは違う。
シコシコ♥ と擦るのでもない。
「弾く」のだ。
上から下へ。
下から上へ。
素早く。
正確に。
残酷なほどリズミカルに。
ビンッ♥ ビンッ♥ ビンッ♥
「あ゛っ♡ あ゛あ゛ぁっ♡ だめ、だめ、だめぇ♡♡」
弾かれるたびに、左の乳首がビクンと跳ね射乳管から新たな蜜が噴き出す。
視線の端で、隣の香織が、後ろで優花が教壇では御厨先生までもが
同じリズムで背中をしならせている。
香織が、見えない愛撫に耐えながら唇を噛んでいる。
彼女の胸が荒い呼吸で上下しカーディガンのボタンの隙間から
汗に濡れた鎖骨が覗いている。
見えない乳搾り棒が、彼女の両胸に同時にくわえ込まれているのが分かる。
ちゅ~っ♥ と吸われるたびに彼女の太腿が机の下で擦れ合い
真冬の白い息のように、甘い吐息が洩れる。
「んっ♡ ひゃぅ……♡ や、やめてぇ……♡ 吸わないでぇ♡」
優花に至っては、もう半狂乱だ。
泣き腫らした目を押さえ、机にうつ伏せたまま腰を浮かせている。
スカートの裾がはだけ、太腿が白く浮かぶ。
彼女は後ろから見えない男の腕に抱え上げられるようにして
左右の乳房を同時に攻められている。
指で弾かれるたびにペニスで奥を突かれた雌のような、だらしのない声を上げる。
(あぁ……♡ 私も、同じ……♡)
私の右乳を吸い上げる口が、下品な咀嚼音を立てた。
ちゅぱっ♥ ちゅぱっ♥ じゅるるるるる♥♥
何度も、何度も、唇で挟み込み舌で転がし、歯で甘噛みする。
そのすべてが「乳搾り」というよりは「味わい尽くす」に近い。
そして、再び人差し指が私の左乳首に触れた。
今度は指の背で、カリカリッ♥
引っ掻くのでもなく、弾くのでもなく
まるで甘える子犬の肉球をあやすように、絶妙な力加減だ。
「んぅ……♡ ふあっ……♡ そこ、弱い……♡」
弱いと自ら告白してしまった。
いや、告白などではない。白状という方が正しい。
私は今、教室という牢獄の中で見えない拷問官に乳首の弱点を自供している。
だとすれば、彼は容赦しない。
弱点を自供した途端、攻撃はそこへ集中した。
左乳首への弾きと右乳首への吸引が、完全に同期した。
ビンッ♥
じゅる♥
ビンッ♥
ちゅぷ♥
ビンッ♥
れろれろっ♥
一拍ごとに、左右で違う快楽が打ち寄せる。
まるで私の身体を二つの楽器に見立て、左手でピアノを右手で三味線を弾いているようだ。
全身を、見えない快楽の旋律が駆け巡る。
子宮が震える。
腹の奥で、熱を持った蜜がどろりと溢れる。
太腿を擦り合わせると、湿った布が肌に張り付く音がした。
制服のスカートが、もう水を含んだ雑巾のようだ。
「あ、ぁ……♡ もう……♡ お願い……♡ お願いします……♡」
何を懇願しているのかも分からない。
やめてほしいのか、もっとしてほしいのか。
私の口から漏れるのは、雌の弱音だけ。
周囲の女子たちも限界だった。
最初は小声で耐えていた山田さんがとうとう机に突っ伏したまま
「ひっ♡ ひっ♡」と泣き始めた。
田中さんは、自分の口をハンカチで塞ぎその上から唾液を啜る音を漏らしている。
佐藤さんに至っては気を失ったように青ざめた顔で、ピクピクと痙攣していた。
ダメだ。
この教室はもう、教室ではない。
見えない手に搾られ、吸われ、弾かれるためだけの「おっぱい処理工場」だ。
(でも……♡)
否定できない。
こんな地獄の真っ只中なのに、身体は正直に反応してしまう。
右乳首を吸われると、子宮がきゅんっと騒ぐ。
左乳首を弾かれると尾骶骨から頭蓋のてっぺんまで、シビレが走る。
もう私の一部は、この見えない愛撫を待ちわびているのだ。
ビンッ♥ ビンッ♥ ビンッ♥
あぁ、来た。来る。
両方の乳首に同時に与えられる凶悪な快楽。
母乳と呼ばれるにはあまりにも甘く、白い濁流が、乳頭を抜けて空へと放たれる。
「あ──────ッ♡♡♡♡♡」
教室中が、同時に達した。
十六人分の絶頂が、湿度という見えない膜となって教室を覆う。
御厨先生が、教壇に手をついて腰をくの字に曲げた。
眼鏡がずれ、涙が一筋、頬を伝い落ちる。
「あ……♡ み、みんな……♡ ああ……♡」
先生の口から漏れたのは、もはや教師の言葉ではなかった。
私も、香織も、優花も全員が一斉に「果てた」。
射乳と潮と涙と涎と汗が教室という密室を、ゆっくりと沈黙の沼に変えていく。
蝉の声が、どこか遠くでした。
きっと、この夏の午後は誰にも知られないまま終わっていく。
いや、終わらせてもらえないのだ。
見えない指はまだ、私の乳首から離れない。
離れないのだ。
次の快楽を、ゆっくりと、ねちっこく私の乳首に仕込みながら。
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