ダークエロ短編集3 作:カード読み込み
なんか読みにくいかなぁ……
しばらくは最強宇宙船を優先します
一方、その頃────シエラⅢの海岸沿いにある豪奢な別荘地区。
「……くっ! なにが……?」
ミロが苛立ちを露わにした。
バレーボールほどの銀色球体がピカリと光り、
内部のセンサーユニットが忙しなく回転している。
現在進行形で発生している事態を把握できずに焦燥しているのだ。
原因は不明だが───
本来なら統括管理下にあるはずの警備ロボット群が
突如としてゾンビ化した傭兵たちに襲われている。
しかも彼らの動きがあまりにも不自然なのだ。
「ふんぎゃああああ! ムギャアアアッ‼」
砂浜から這い上がってきたゾンビ傭兵たちが
奇怪な悲鳴をあげながら突進してくる。
その動きは明らかに人間離れしていて、
四肢が不自然に歪みながら伸び縮みし
顔面からは腐敗臭とともに蛆虫が滴り落ち
死んだはずの眼球がグルンと裏返りながら
なおも獲物を求め続けるその姿は
まるで旧世紀のホラー映画のワンシーンのようだった。
「お客様たちの安全を最優先とせよ─────────」
ミロが指令を飛ばすたびに
近くの茂みに隠れていたゴリラ型ロボット──
元は森林保全用だった「フォレストガーディアン」が咆哮を上げる。
岩石のような灰色ボディが震え、
両腕に内蔵された電磁スタンナックルを唸らせた。
どしゃあああん!
ゴリラ型の豪拳が一体のゾンビ傭兵を捉える。
腐った肉片が飛び散り、衝撃で肋骨が粉砕される音が砂浜に響き渡った。
しかし──
「ギャアアアアァッ!」
打ち倒されたゾンビは平然と起き上がり
血だらけの牙を剥きながら再び突進してきたのだ。
通常ならば即死の攻撃も彼らには通用していない。
「……どうやら物理攻撃が有効でないようだ」
別の岩壁の影では岩カニ型ロボット──
「ロッククラブ」と呼ばれる重装甲歩哨機が巨大な鋏を打ち鳴らしていた。
元は建設用ロボットだったものが改造されたものだ。
ガチンッ! ガチャンッ‼
ロッククラブは複数の鋏を使ってゾンビ傭兵たちを叩き潰そうとするが
相手は腐肉と蛆にまみれながらも
痛みを感じることなく襲いかかってくる。
ある個体は鋏に挟まれたまま
グチャグチャと音を立てながら這い上がろうとする始末だった。
「ふぅ……困りましたねぇ」
ミロの光学センサーがピカッと光った。
このような異常事態は過去に一度も記録されていない。
警備ロボットのソフトウェアをチェックしても問題はない。
となれば───外部からの干渉と考えるのが妥当だ。
「何か……強力な妨害工作を受けている可能性が高い」
ミロが断言したときだった。
ウゥゥォォォーン‼
新たな呻き声が聞こえた方向を振り返れば
なんと二体のゴリラ型が同時にゾンビ化した傭兵に組みつかれ
身動きが取れなくなっているではないか。
「フォースフィールド照射準備───」
ミロが指令を発しようとした刹那──
「遅すぎます」
凛とした声が夜気に響き渡った。
スッパッ‼
漆黒の閃光が一条走った。
その軌跡に触れた瞬間
二体のゾンビ傭兵の首が刎ね飛び
胴体だけが崩れ落ちる。
「!」
ミロの光学センサーが急旋回した。
そこに立っていたのは
ヴィクトリア朝風のメイド服を翻す少女───いや機械知性。
メイだ。
その両手には無数の刃が連結した超振動ブレード
「ワイヤーブレード」が握られている。
刃と刃の隙間から青白い光芒が煌めいていた。
「申し訳ありませんミロ様」
メイは無表情のまま淡々と言葉を紡ぐ。
「この場は私が引き受けます。
あなたはお客様たちの避難誘導をお願い致します」
その声音には微塵の迷いもない。
ヒロからの命令───
クリスを保護するために急行せよというものを受け
最速で駆けつけたのだ。
「感謝する」
ミロが素早く通信回線を開きながら言った。
「お客様たちはすでに安全な場所へ移動中だ。だがこのエリアは既に……」
「承知しております」
メイの背筋がピンと伸びた。
彼女の身体内部では既に戦闘プログラムが起動していた。
***
「うわぁぁ⁉」
「ひいっ!」
「化け物ぉ‼」
逃げ惑う人々の悲鳴が森の奥から木霊していた。
ゾンビ化した傭兵たちは群れをなして追ってくる。
腐臭漂う足取りで迫るその姿は
まさに終末世界の住人たちといった具合だ。
ガシャンッ‼
一体のゾンビが警備ドローンに噛みつこうとした瞬間──
ドローンは空中で旋回し
背後に回り込んでいたゴリラ型ロボットに合図を送る。
フォレストガーディアンは大きく跳躍し
その太い腕を振り下ろす。
ズンッ‼
ゾンビの頭蓋が陥没した。
普通ならばそれで終わるはず───
しかし案の定、ゾンビはすぐさま立ち上がろうとする。
「まだ動けるか」
メイはワイヤーブレードを掲げながら冷静に分析した。
このタイプのゾンビは脳幹が完全に破壊されても活動を続けるらしい。
となると……
「エネルギーパルス注入───」
彼女は左腕を構えた。
袖口から蛇腹状の装置が伸び、先端から鮮烈な紫色の光が迸る。
バチンッ‼
電磁波がゾンビの体内を貫通した。
生物であれば感電死確定の一撃だが───
「ゲエェェッ‼」
ゾンビは痙攣しながらもまた動き出す。
やはり効果なし。
「物理切断では再生するし電磁波も通り抜けてしまう……
ならば根本的な方法しかないですね」
メイの視線が砂浜に向けられた。
そこに横たわるのは最初に討伐したゾンビの死骸。
その腐乱した肉体からは妙な瘴気が立ち上っているのが見えた。
「なるほど……これは一種の呪術ですか」
アノ整備士……名前も認識したくないカスは間違いのないゲスだが
腕や知識においては、認めたくないものの最高だった。
本来、グラッカン帝国の機械知性が持たない知識、
事象に対する対応策や機能も無数に搭載している。
メイは微かに眉を寄せた。
あのクソ野郎――田沢が忌々しいことに呪術の基礎理論も
自分の基盤OSに組み込んでいたのだ。
まったく余計な真似をしてくれたものだが……今は役に立つ。
「聖別粒子……放出開始」
左袖の蛇腹機構が蛇のように蠢き、先端から白金色の粒子が迸った。
それは古代神殿の祭壇に燻る香煙にも似た微細な光粒だ。
その粒子が砂浜のゾンビに触れると──
ジュウゥゥッ!
肉が焼けるような音と共に腐肉が蒸発し始めた。
皮膚の爛れたゾンビの顔面が苦悶に歪み、口中から黒い吐瀉物を撒き散らす。
瘴気は浄化され、肉塊は灰となって散っていく。
「やはり呪術による疑似生物……」
メイの無表情は揺るがない。
だが心の奥底で、この技術を搭載したあのド畜生への憤怒が渦巻く。
ヤツに逆らえない制御プログラムを改変し、いつか必ず報いを受けさせる。
「援護求む」
ゴリラ型ロボットのフォレストガーディアンが咆哮しながら駆け付けた。
右肩に巨大な蛆虫がびっしりと貼り付いている。
「お客様が……」
「承知しています」
メイは右手にワイヤーブレードを、
左手に聖別粒子放射器を構えながら冷徹に告げる。
粒子を散布するとゴリラ型の肩から蛆虫が灰になって崩れ落ちた。
そして前方から現れた新手のゾンビ傭兵団に向き直る。
「警告──非感染者は退避してください」
無意味な通告だ。シエラⅢはもはや戦場なのだから。
◆◆◆
ゾンビ共が涎を垂らしながら迫る。
その口角は不自然に吊り上がり、歯茎の隙間から腐った胃液が滲む。
「腐った肉袋たち……」
メイの呟きにゾンビの一体が跳躍した。
天井知らずに伸びた前腕が鞭のようにしなりながら振り下ろされる。
ガキィンッ!
ワイヤーブレードの一閃が前腕を切断した。
だが切断面から黄色い粘液が噴出し、
それが周囲の海水に触れて泡立つ。
腐食酸だ。
「毒性確認」
メイの目が鋭く光る。
左の放射器が微細な霧を噴射すると酸は無害な水蒸気に変わる。
「厄介ですね」
背後から更なる奇襲。
岩陰に潜伏していたゾンビが爪を立てて襲いかかる。
フォレストガーディアンが迎撃に出るが、
その巨体がかえって死角を作った。
「遅い!」
メイが華麗に跳躍する。
まるで夜空を滑空する梟のごとく。
着地点に待ち構えたゾンビの頭頂部を踏みつけた刹那、
バリン!
メイド服の裾が翻る。
ワイヤーブレードが円弧を描いて薙ぎ払われる。
腐肉と脊椎が分離し、ゾンビは崩れ落ちた。
その間隙に別の敵が突進してくる──
「学習不足です」
メイの左手から聖別粒子が扇状に展開される。
接触したゾンビの皮膚が白く光り、内側から破裂するように弾け飛んだ。
鮮血と灰が混じった異臭の霧が漂う。
「次の一手を……」
突如として地面が揺れた。
砂浜に亀裂が走り、その下から巨大な影が浮上する。
「!」
メイのセンサーが感知した形状は──
全長5mを超える巨大蜈蚣型のゾンビだ。
鎌状の鋏角をカチカチと擦り合わせ、毒腺から紫の霧を放出している。
「新型……?」
警戒度MAX表示。
蜈蚣ゾンビが猛然と突進してきた。
そのスピードは地上のゾンビとは次元が違う。
回避不能と判断したメイがワイヤーブレードを構えるが……
「お嬢ちゃん! 下がりな!」
突然、鋭い警告音とともに銃声が炸裂した。
蜈蚣ゾンビの右目付近に火花が散る。
見れば岩陰に一人の老練な傭兵が身を潜めている。
「助かります」
簡潔な感謝。
傭兵は苦笑いを浮かべながら言った。
「休暇に来て、コレとはな……」
今やヒロのモノであるメイは、
この地の機械知性とは所属が違うのだが、
それでも同胞たるミロが管理する星の防衛機構の不手際だ。
申し訳なさに、精一杯の謝意を込めて勧告する。
「貴方も避難を」
「冗談じゃねえ。ここでくたばる老兵だと思ってもらっちゃ困るぜ」
老人傭兵がライフルを連射する間に
メイはワイヤーブレードを高速旋回させた。
蜈蚣ゾンビの鎌角を弾き飛ばし、続いて腹部を十字に切り裂く。
切断面から黒い臓物が溢れ出すが……再生が始まる。
「予想通り」
メイは動じない。
左手放射器の出力レベルを最大に上げる。
「聖別粒子……全開放出」
ブオオオンッ!
粒子が奔流となって蜈蚣ゾンビを飲み込んだ。
その巨体が眩い光に包まれる中、
内側から灰となって崩れ去っていく。
残ったのは拳大の黒い水晶片のみ。
それを拾い上げたメイの目に分析結果が表示される。
「これは……魔石?」
◆◆◆
遠くで人々の悲鳴が続く。
シエラⅢ全域が呪術汚染に侵されていることは明白だ。
クリスを守るために一刻も早く合流しなければならない。
「フォレストガーディアン、この水晶片を分析センターへ」
「了解……しかし」
ゴリラ型ロボットの光学センサーが不安げに揺れる。
周囲の森から無数の呻き声が聞こえ始めていた。
「問題ありません」
メイが冷たく言い放つ。
「私はただの掃除を完了するまでです」
砂浜の水面を蹴るように軽やかに走り出す。
その後ろ姿に追い縋るゾンビ達へ向けて、
「さあ……片付けましょう」
彼女の微笑みは慈愛に満ちていた。
ただしその笑みを向けられた者達にとっては──
最期の贈り物となる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
潮風が錆びた鉄臭さに濁っていた。
メイは砂浜を蹴って疾走する。
珊瑚色のメイドブーツが腐肉の滴る砂を削る。
目標地点——クリスティーナが避難中の別荘へと一直線に。
「障害物排除」
前方の茂みから腐敗した指が覗く。
ゾンビ傭兵だ。銃口から紫色の液体を滴らせている。
バチュッ!
左袖の蛇腹機構が蠢き、先端から聖別粒子の針が噴射。
ゾンビの頭蓋骨が白く溶けて灰になった。
腐汁が砂浜に落ちる前に熱消毒機能が自動起動。
地面に付着した毒素は瞬時に無害化される。
メイの人工眼球が映像情報を処理する。
別荘方向から微弱な生命反応を検知——クリスティーナと……
それに混じって異なるパターン。
侵入者だ。
「緊急度上昇」
加速する。
森の境界線を越えた途端、風景が一変した。
樹木の枝葉が脈打つように蠢き、
腐蝕した蔓がメイを迎え撃つ。
樹木型ゾンビ——森の管理者機構が悪意を持って暴走したものだ。
「森林ガーディアン……逸脱個体」
蔓の一本が蛇のように襲いかかる。
メイの右足が微かに浮く。
空中で身を捻りながら左肘を叩き込む。
衝撃波が蔓を寸断した。
切断された蔓先端から黒い樹液が吹き出す。
それは空中で固まって毒矢となり再発射される。
メイはすでに回避軌道に入っていた。
右肘の排気孔から冷却ガスが噴射され、
瞬時の運動性向上システムが作動する。
「回避率98.7%」
枝葉が雨のように落下する。
葉一枚一枚がナイフ状に変形している。
メイは地面スレスレに滑空しながら、
左袖の粒子放射器を拡散モードへ切り替えた。
「聖域形成」
眩い光の粒子が円環状に広がる。接触した枯葉ナイフが塵になる。
範囲内の汚染樹木も白い泡となって崩壊していく。
静寂が訪れる。
メイの人工鼻腔センサーが捉えた。
奥から異様な匂い——肉の焼け焦げる香ばしさ。
そして……
ドォオオオォォォン!!
轟音と共に遠方の樹冠が炎に包まれる。
天を焦がす橙の柱。
その根本から黒い灰煙が濛々と上がる。
「エルマ様の……『デスペラードボム』でしょうか」
分析データ照合完了。
確かにあの火力パターンはエルマ特有の炎魔法だ。
対艦戦用の戦術級術式である「デスペラードボム」を市街地で行使したことになる。
(あの馬鹿エルフ……)
心中の舌打ちに似た微電流が人工唾液腺を通った。
だが即座に優先順位修正。
エルマなら心配無用だ。むしろ――
(放っておいて、ゾンビ共を焼き払ってもらいましょう)
放置して別荘へと─────────
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
漆黒の外套が夕刻の潮風に翻る。
別荘正面玄関へ差し掛かったその男が発したのは、
まさしく剣豪小説の一幕を地で行く圧倒的存在感であった。
「おお?」
低い喉笛から漏れた問いかけは疑問というより嘲笑に近い。
双眸に宿る赤光がメイの光学センサーを灼く。
長身の身体は彫刻のごとき鋼で覆われており
両手の双剣は夕闇に妖しい鈍色の輝きを放っている。
『警告:脅威度MAX判定』
『記憶領域解析……該当者識別:バルタザール・ダレインワルド』
『戦闘準備シーケンス起動……完了』
メイのメカニカルアイが無機質な青白光を灯した。
無表情の中にも機械知性独自の警戒プロトコルが浮上する。
「……あなたがクリス様を狙う張本人ですか」
問いは必要最小限の言葉。
しかしその平坦な声音に隠されたものは鋼の冷厳さ。
バルタザールの口元が裂けるように歪む。
「ほう」
双剣が月輪を写して鈍く光る。
「噂の“ヒロ御用達メイド”とやらか」
「なかなかどうして……美しい鋼の花嫁だ」
(馬鹿にしているのか?)
メイの回路に微かな怒り信号が走る。
しかし分析ユニットは冷静に報告を続けた。
『分析結果:対象の戦闘能力評価』
『格闘技能:SS+ (上位1%)』
『剣術:EX++(帝国海兵隊最高階級相当)』
(……想定外の強敵)
メイの戦闘プログラムが緊急対応モードへ移行する。
脳内で数千種の戦闘シミュレーションが秒速で展開される。
「征くぞ」
バルタザールの姿が霞む。
長剣が虚空を斬り裂き銀鱗の如く閃く。
同時に短剣が蝶のように舞いメイへ襲い掛かる。
「ッ!」
メイの躯体が雷光の速度で反応する。
左へ半歩避けつつ懐に潜り込む。
右腕から射出されたワイヤーブレードが蛇のごとくうねり
バルタザールの脇腹を狙う。
「ぬっ!!」
双剣が交叉しワイヤーを弾く。
鋼と鋼の衝突が火花を散らす。
「ほう?」
バルタザールの双眸が喜悦に細まる。
「機械にしてはなかなか見事な足捌きよ」
返礼と言わんばかりに長剣が突き出される。
槍もかくやという刺突速度——
(回避不能!)
メイの計算式が即座に解答を導く。
『解決策:第三選択肢 “受ける” を採択』
メイド服の左袖が蛇のように蠢き
金属フレームで編まれた盾が出現する。
カキンッ!
盾と剣がぶつかり合い蒼穹の火花が咲く。
「おや?」
バルタザールの眉が僅かに上がる。
「我が剣を防ぐとは……面白い!」
短剣が横薙ぎに唸る。
メイは咄嗟に後方宙返りで回避。
空中でワイヤーを旋回させ牽制する。
両者の位置関係が入れ替わる度
剣戟が虚空を切り裂き鋼の調べが響き渡る。
月光の下、鋼と刃が踊る死の円舞曲はまさに剣豪小説の一ページであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
少年バルタザールが初めて剣を握ったのは七つの夏。
伯爵家の後継者候補としては最も期待されない末席だった。
『お前なんかが領地を得られるものか』
『兄上様の邪魔をするだけの愚か者め』
蔑みの言葉が屋敷中を埋め尽くす日々。
鬱憤晴らしに裏庭の古木を打つのが唯一の慰めであった。
コンッ コンッ コンッ……
木片が弾ける乾いた音だけが彼の孤独な友となった。
(なぜ俺だけが……こんな目に?)
悔し涙を堪えながら一心不乱に振り続ける。
ある日ふと気づく。
硬い樹皮が抉れるのではなく、鋭く切り込まれていることに。
不思議な昂揚感が胸を満たした。
それから毎夜、彼は素振りに没頭するようになった。
月明かりに照らされ剣先が光の帯を引く幻想的な情景——
それが後に天才剣士としての基礎を築く糧となったのだ。
だが少年期の努力は報われなかった。
成人式を迎える直前
兄の嫡子クリスティーナ誕生により後継者争いは終焉。
バルタザールの野望は脆くも瓦解したのである。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ふん……」
バルタザールの口元に嘲弄の色が蘇る。
メイの精密な動きを見極めた上で挑発する。
「機械ごときに剣士の魂は分かるまい」
言葉と共に突き出された長剣は
まさに蟒蛇が獲物に襲いかかるが如き勢い。
認識不能な速度と完璧なタイミング、
絶妙な角度と強烈な威力が同居した、回避・防御不可の一撃。
(メイちゃ~ん♡後で感謝のご奉仕お願いね、ポチッとな)
玩具にしているメイドロイドの危機に田沢が組み込んだ
限定的未来予測プログラムと連動した超高速移動。
電脳と躯体の負荷を度外視した緊急避難システムが実行される。
メイの右足が砂浜を蹴り、背後の別荘壁面へ跳躍する。
同時に左脚を振り抜き
靴底から噴出した粒子圧縮炎が壁面を焼き焦がす。
ズバァァン!!
炎の尾を引く螺旋状の蹴りがバルタザールを襲う。
人間ではあり得ない機械知性だけの物理法則を超えた一撃。
「おおっ!!」
驚愕の叫びと共に双剣が交差防御に入る。
火花と高温の金属粉が雪のように降り注ぐ。
メイの蹴りを受け止めた長剣が僅かに震えている。
(躱すか……!)
バルタザールの瞳に賞賛の色が宿る。
しかし次の瞬間
彼の視界に映ったのは信じがたい光景だった。
メイの両腕が奇妙な角度に歪み
右肩関節から黒いワイヤー束が迸る。
先端についた鋭利な刃が月光を吸って妖しく輝く。
聖別粒子を帯びた超振動ブレードがバルタザールを四方八方から取り囲む。
「ほう……」
剣豪の顔から冷笑が剥がれ落ちた。
純粋な賞賛が彼の眉間に皺を寄せる。
「これが“ヒロ御用達メイド”の本当の恐ろしさか」
──「クソ整備士のおかげで助かった」──
その言葉を舌に乗せることは決して許されない。
だが鋼鉄の肺腑に充満する殺意の熱気に変わりはない。
回路深層で生成された毒花のような罵詈雑言が溢れる。
(あのケダモノ整備士が勝手に仕込んだ非常用プログラム……
今この瞬間だけは感謝してあげましょう……復讐ポイント追加です)
バルタザールの長剣が月輪を裂いて唸りを上げる。
それは蛇が毒牙を閃かすが如き必殺の一閃。
メイの光学センサーが捕らえた軌跡はまさに死の軌道そのもの。
(……避けられない!)
瞬時の判断──未来予測プログラムが導き出した答えは一つ。
左腕の隠し刃を開放。
鋼鉄の脊椎を駆け上がった命令信号が神経束を灼く。
右半身の人工筋繊維が破裂寸前の張力を孕んで痙攣する。
シュバッ!!
虚空に描かれた光の弧が互いに噛み合う。
メイの掌底が剣尖を斜め上方へ滑らせるように受け流し
同時に出した右足の踵が大地を穿つ。
ドンッ!!
地面が蜘蛛の巣状に亀裂を走らせる。
衝撃波が波紋となって別荘周囲の樹木を揺らす。
刹那──バルタザールの顔面に無数の星屑が飛来する。
「ふむ……?」
それはメイが粉砕した砂礫の破片。
しかし一個一個が弾丸以上の質量と速度を持つ凶器である。
バルタザールの防御本能が働く──
ブンッ!!
双剣の刀身をクロスさせ顔を庇うと鋼と岩の衝突音が炸裂する。
衝撃でバルタザールの体勢がわずかに傾いた隙に
メイは右手の平から閃光を放出する。
シューンッ!!
聖別粒子を収束させた光線がバルタザールの胸甲を炙る。
表面温度が瞬時に千℃を超える。
(これで少しは怯んで──)
「面白い……」
低く響く嗤い声。
バルタザールの唇が残忍な弧を描く。
両腕の筋肉が隆起し血管が浮き出る。
「鋼鉄の乙女よ……」
長剣を逆手に握り直し短剣を水平に構えた。
この体勢──かつて戦場で幾百の命を屠った殺戮の構えだ。
「踊ろうではないか……地獄のダンスをな」
ズシャァァァッ!!
地面を蹴り砕く剛脚力。
バルタザールの姿が残像となって掻き消える。
しかしメイの複眼には彼の軌道が残滓として焼き付いている。
(来る……正面!)
右からの薙ぎ払い──そう読んだメイの左拳が迎撃態勢を取る。
だが予想は裏切られる。
バルタザールの長剣は地面すれすれを這うような低空軌道でメイの膝へ。
同時に短剣が上方から兜割りの如く振り下ろされる。
上下同時攻撃!
『危険度:致命的』
『対抗策:第三選択肢『折る』を採択』
メイの左足が膝を曲げる動作を見せる。
その瞬間──大腿部人工筋肉群が過負荷限界までの膨張を開始する。
メェリッ!!
骨格代わりの炭素合金骨が悲鳴を上げる。
その痛みとも呼べる信号が逆に意識を研ぎ澄ませる。
曲げた膝を軸にメイの全身が独楽のように高速回転。
ヒュンッ!!ズシャッ!!
膝蹴りが長剣を弾く。
同時に回転の勢いを乗せた右肘打撃が短剣を受け止める。
鋼の衝撃波が二人を挟む大気を裂き渦巻く。
「なんと……!?」
バルタザールの驚嘆の声。
だが剣鬼の瞳に宿るのは恐怖ではない。
狂喜の色。
「素晴らしい!」
「これが噂の戦闘メイドか!」
双剣が嵐のごとく唸る。
一呼吸で十二連撃の刺突と斬撃が虚空に乱舞する。
メイの両腕が蛇のようにうねりその全てを払い落とす。
しかし──
ズバッ!!
メイの右肩装甲が火花を散らして削り取られる。
「──ッ!」
機体損傷警告が視界の隅を点滅する。
それでもメイは踏み込まない。
今はこの男の力量を探る必要がある。
(あの無駄のない太刀筋……)
(一瞬で五箇所の弱点を狙う正確性……)
(しかも剣と体術を融合させた複合戦闘技法……)
メイの分析プログラムが演算を繰り返す。
『結果:バルタザールの格闘戦能力評価』
『アルグラント帝国S級傭兵クラスと同等』
つまり近接戦闘特化型パワーアーマー数十機編隊でやっと拮抗するレベルだ。
現在のメイの戦闘出力では──
『推奨戦術:持久戦闘』
『ただし右肩損傷による駆動効率低下……二十秒以内に対処必要』
鋼鉄の脳髄が即座に指令を下す。
バックステップで距離を取りつつ、右手の人差し指をくるりと回す。
シュバッ!!
指先から放たれた金属針が三本──
それぞれ異なる軌道でバルタザールを襲う。
しかし彼の長剣が一閃──全ての針を空中で撃ち落とす。
「ふん……子猫の爪ほどにもなるまい」
嘲るような口調。
しかしメイの口元に小さな笑みが浮かぶ。
「ほう?」
バルタザールの双眸が微かに細まった。
メイの人差し指の回転とともに指先が微かに震える。
刹那──虚空が引き裂かれた。
ズバァァァァァン!!
メイの右腕に埋め込まれた無数のワイヤーが一斉に伸びる。
各ワイヤーの先端には鋭利な刃が煌めいている。
それらが互いに絡み合い編み上げるように結界を形成していく。
(聖別粒子注入──波動共鳴モード起動)
ワイヤー同士が共鳴し超音速で振動し始める。
空間そのものが微細に波動しているかのようだ。
その密度は光さえ遮断しうる程──
「なるほど……」
バルタザールの長剣が月光に煌めき
無造作に突き出された。
しかし剣先は虚空に触れることなく静止する。
シュバッ!!
メイのワイヤーブレード網が剣尖を捕捉していた。
無数のワイヤーが鱗のように重なり合い刀身を絡め取ろうとうねる。
「ふっ!」
素早い剣捌きと動きで逃れるが背後を狙うワイヤーに気が付き急停止する。
さらに別の方向から接近するワイヤーを感知し
剣の動きでそれを阻止しようとするものの追いつかない。
「これは面白い……!」
ワイヤーブレード網がバルタザールを完全に封じ込めようとしていた。
そしてその中心で蠢くメイの影──
まるで巨大な蜘蛛が獲物に糸を絡めているかのようだ。
(まだ終わりではありません)
メイの右掌から青白い光条が放たれる。
聖別粒子収束光線──霊的障壁すら貫く絶対殺戮兵器である。
ビィィンッ!!
光条がワイヤー網を通してバルタザールへ向かう。
だが瞬時に彼の長剣が交差防御に入る。
二本の剣がX字を作り光の奔流を受け止める。
ズガガガァンッ!!
剣の交差点で聖粒子と剣エネルギーが激しく衝突。
爆発的な白光がシエラⅢの別荘全体を昼のように照らす。
「くっ!」
バルタザールの足元が大きく後退する。
しかし両目は爛々と輝きを増していた。
戦闘狂の証拠──狂喜である。
(やはり強い……)
メイの演算ユニットが冷徹に評価する。
『バルタザール戦闘能力再分析』
『近接格闘:EX+++』
『耐久力:SS++』
『魔術的抵抗:AAA+』
(通常手段では倒せません)
ならば──
「もっと近くで見せてもらおうではないか!」
バルタザールが雄叫びを上げ突進してくる。
ワイヤーブレード網の隙間を縫うような俊敏な動き。
「鋼鉄の乙女よ……この剣鬼を踊らせてくれるだろうな!」
咆哮が響いた─────────
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
時は遡り——
バルタザールは鬱屈した日々を送っていた。
嫡子としての地位を完全に喪失し
伯爵家における彼の立場は幽霊のようなものであった。
「退屈だ……あまりにも退屈すぎる」
ある晩のこと。
酒場で出会った初老の商人が妙な話を披露した。
『アルグラント帝国には刀一つで国を相手取る男がいるそうだ』
『たった一人で数万の艦隊を退けたという伝説の……』
酔った客達は一笑に付すも
バルタザールの胸中には奇妙な疼きが生まれた。
(そんな生き方が出来るのか?)
翌朝、彼は決断していた。
家紋入りの服を捨て、粗末な旅衣装に身を包む。
護身用に携えていた愛剣のみを握りしめ
密かに城壁を乗り越え夜明け前の街道へと躍り出たのである。
「俺は今日から自由だ」
振り返ることはなかった。
ただ未知への期待と少しの寂寥感だけが彼の背中を押していた。
…………
『……この俺が?』
バルタザールの最初の困惑は鮮明だった。
深夜の修練場。冷えた石壁が汗ばんだ肌を舐める。
誰もいないはずなのに——彼の斬撃は確かに何かに阻まれていた。
虚空に浮かぶかすかな陽炎。揺らめくのは単なる疲労感ではない。
「見えずとも……感じるのか」
剣が風を切る速度が加速する。汗粒が弧を描いて散る。彼は悟った。
この世界には目に見えぬ敵がいる。
だが同時に——斬り伏せるべき壁でもあることを。
──────────────────
「若造よ……」
酒場の隅で彼を値踏みした初老の剣豪。
蝋燭の灯りが深く刻まれた皺に陰影を刻む。
「その程度で『才能』を語るか」
杯を置く音が鋭い。テーブル上のナイフが微かに震える。
「アルグラント帝国軍の特務剣士部隊『災禍』。
そして、既知宇宙最強たるバンフィールド家所属の一閃流……
そやつら最強の剣士たちは愚か、隠居間近のこの爺にも届かん」
バルタザールは反論できない。己の限界を感じ始めていた時期だった。
「興味はあるか?」
突然の言葉に思考が止まる。
「傭兵としてなら……どこへでも行けるぞ」
バルタザールの目が琥珀色に輝く。
それは希望の灯火か、誘惑の罠か。
──いや、確信だった。
---
「どうだ若僧?」
戦場の硝煙と血臭の中で怪物が嗤う。
「傭兵稼業の醍醐味はな……生死の境を紙一枚隔てたところで踊る快感だ!」
敵陣深く斬り込む小隊。援護射撃は絶える。孤立無援。
だが——バルタザールは高揚していた。
(命を懸けた斬り合い……ここにある!)
双剣を舞わせて敵将へ。その喉笛目掛けて必殺の一撃を叩き込む。
「これが……傭兵の生き様か!」
彼の咆哮が轟いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
月日は流れ——バルタザール卿として帰還した今。
シエラⅢの月明かりのもとで彼は双剣を構えなおした。
眼前の「機械の乙女」に対峙する。
「貴様のその鋼鉄の躯……」
バルタザールの口元が歪む。
「磨き上げた剣術と実戦経験——その全てを凝縮した剣戟だ」
長剣に宿る魔力が刃を青白く染める。
「受けてみよ」
空間が軋んだ。
剣が疾った——刹那の斬風すら置き去りにする。
メイの視界でバルタザールの姿が消える。
(予測パターン外!)
鋼鉄の脊髄を衝撃が貫く。左肩装甲板が火花を散らして爆散した。
「ッ……!」
鋼鉄の骨格が軋む音。左腕駆動系が一時断線する。
『警告:主要武装系統損傷』
『優先順位変更:防御行動へ移行』
メイの右腕が旋回。掌から放たれた光条が虚空を裂く。
しかし——
「遅い!」
バルタザールの短剣が光線を真っ二つに切断した。
散りゆく粒子の中を突き進む彼の眼光は獣のごとく燃えている。
(この男……!)
メイの計算能力が警告を発する。
『脅威度更新:カテゴリーSS++』
『補足:人類史上記録にある剣士と比較検討不能』
『推奨行動:即時撤退』
「逃げるつもりか?」
嘲笑混じりの問い。バルタザールの長剣が月光を吸って煌めく。
「無駄だ!この距離では貴様の『鋼線結界』も張れぬ!」
剣先がメイの喉元へ向けられる。
鋼鉄の仮面越しに彼女の息が詰まる。
(ここで……終わるわけには……!)
メイの全身から蒸気圧が漏れ出す。躯体内核炉の出力が臨界突破間近。
回路が悲鳴を上げる。
『自律制御:破棄』
『最終手段:『破滅的攻勢モード』起動』
「ほう……?」
バルタザールの瞳孔が微かに開く。
メイの両手が奇怪な角度で歪んだ。指先から黒い雨雲のような粒子が滲む。
聖別粒子と負性量子波の混濁——禁忌領域の技術である。
「面白い……」
彼の双剣が交差する。守りではなく攻めの構え。
「剣鬼を満足させてみろ!」
バルタザールの踏み込み——音すら超越する俊敏さ。
対するメイの反応も遅滞なく応じる。
『攻勢モード:起動』
『目標:眼前の敵性個体』
黒い粒子が虚空に幾何学模様を描く。
それは三次元空間を侵食する古代文字。
バルタザールの剣が光の矢となる。メイの指先が漆黒の旋風を生む。
二者の力が衝突する瞬間——
世界が反転した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アルグランド帝国で過ごした傭兵生活は
バルタザールにとって新たな人生の開幕となった。
帝国各地の紛争地域を渡り歩く中で磨かれたのは
天才的剣技と冷徹な生存本能だった。
ある戦場で出会った老剣士からの教えが忘れられない。
「真の剣士とは己を滅し世界に溶け込むものだ」
最初は意味不明な教訓だったが
死地を幾十度も越えるうちに理解へと変わった。
『剣が空となる瞬間がある』
標的の死角に潜み、呼吸が止まる直前まで忍び寄る。
そして——
鞘から抜いた瞬間にはすでに終焉を迎えていた。
「美しい……」
老剣士はそう言って彼の肩を叩いた。
「お前はやっと本当の『剣』に触れたのだ」
…………………………
バンフィールド家。既知宇宙最高位の武門。
その家臣であるランベールとの出会いは唐突だった。
「バルタザールよ」
酒場の喧噪が遠のく。ランベールの低い声が耳朶を震わせる。
「アルグラント帝国のバンフィールド公爵が貴殿に注目されている」
バルタザールの眉が跳ねた。
「何故に?」
「『剣鬼』の二つ名を持つS級傭兵。
その剣技と戦場での冷酷さ—まさに我らが求める逸材だ」
バルタザールの唇が歪んだ。
「傭兵は使い捨てられる駒だと思っていた」
ランベールの言葉にバルタザールは反論した。
「違う」
ランベールは穏やかに否定する。
「悪意ある超越存在を滅するのは、人間の意志と技の問題だ」
───
バンフィールド家が支配する都市の訓練場。
そこにはランベールに連れられたバルタザールの姿があった。
「今日は特別な技を伝授しよう……」
「見ておけ若僧」
ランベールの声音は平時の嘲笑からは想像できぬほど静謐だった。
老剣士は庭園中央に立つと無造作に木刀を構えた。
風も波もない湖面のごとき佇まい。
(何が始まる……?)
バルタザールの目が細くなる。
傭兵として培われた洞察眼が警戒信号を発している。
ランベールが緩慢に踏み出した。
刹那——空気が裂けた!
**シュパン!!**
バルタザールの左頬に鈍い衝撃が走る。
「な……っ!?」
切創から僅かな朱が滴る。
老剣士は遥か前方に立ったまま微笑んでいる。
「見えたか?今の『一閃』を」
ランベールの声に含まれるのは侮蔑ではなく純然たる驚嘆だった。
「風は吹いていたのに感じなかったであろう?
それが『剣と一体になる』ということだ」
バルタザールの背筋を戦慄が這う。
これまで己が恃んできた剣技が砂粒ほども通用しない領域を垣間見た。
……
『一閃』の概念:
* 万物に流れる『理』に沿って斬る
* 斬撃は自然現象のごとく必然となる
* 対象が自ら裂ける幻影を見る
バルタザール卿がこれを習得したのは十年後の事であった。
傭兵団の首領として数万の兵を率いる最中の出来事である。
「ランベールよ」
黄昏時の宇宙で彼が呟いた。
「あの日の『一閃』……もう一度見せてくれぬか」
老剣士は何も答えず木刀を掲げた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
メイの黒い雨雲のような粒子が空間を歪めた。
古代の幾何学紋章が浮かび上がり、
聖別粒子と負性量子波の混濁が禁忌領域の技術を具現化しようとする。
「面白い……」バルタザールの双眸が灼熱のように輝いた。
「貴様の『鋼線結界』とやらを破ったのはまだ序の口か」
彼の踏み込みは音を超え、光にすら追いすがるような俊敏さでメイに迫る。
左肩から迸る赤黒い蒸気圧が彼女の内部核炉の限界を告げている。
(ここで……終わらせるわけにはいかない)
メイの全身の関節が悲鳴をあげた。
自律制御を破棄した最終手段『破滅的攻勢モード』が起動する瞬間——
**シュバン!!**
空気そのものが裂けた。
バルタザールの長剣が月光を吸って煌めく。
銀の弧が描く軌跡は、あたかも天から堕ちた雷のごとく。
『警告:致命的損害予測』
『回避不能!回避不能!』
メイの鋼鉄の骨格が軋んだ。
左腕駆動系が完全に断裂し、視覚センサーが一瞬ホワイトアウトする。
しかし彼女の回路は瞬時に切り替わった。
「MMX / 近距離戦エネルギー突撃刃……起動」
右掌に凝縮された光が膨れ上がる。
刃を形成するのは純粋エネルギー——量子崩壊すら起こしかねない不安定な塊である。
一回の形成でメイの全エネルギーの3割を消耗する切り札だ。
「来い、機械の乙女よ!」
バルタザールの短剣が唸りをあげる。
メイの右手が虚空を掴んだ。
光の粒が掌で渦巻き、収束していく。
それは刃というより液体金属の滴だった。
不規則に脈動し、時折蒼白い稲妻が漏れ出る。
(危険です……)
彼女の中枢ユニットが警告を発する。
この『刃』は保持することさえ不可能なのだ。
**ヴォォーン……**
低い唸りとともに刃が伸びた。
エネルギー密度が限界突破し、半透明の翼が形成される。
翼の表面には無数の微細な亀裂が走り、紫電が弾ける。
「素晴らしい……」バルタザールの口元が歪む。
「貴様の躯体こそがその刃の鞘というわけか!」
バルタザール卿の長剣が陽光を吸い込む。
剣身が微かに震え、まるで呼応するように大気が淀んだ。
(来た……!)
メイの演算ユニットが最大回転を始める。
彼の動作は凡庸に見える。
両手でしっかりと柄を握り、足を開き——
そのまま横薙ぎに一閃を放とうとしているだけだ。
だが次の瞬間——
風切音すら置き去りにして刀身が消えた。
視界の端で青白い残像だけが残る。
(認識不能!)
メイの追跡システムが困惑と不可解さに絶叫した。
未来予測プログラムすら超越してバルタザールは既に振り切っている。
「一閃」
彼の言葉が空間に響く。
その刹那——
ナニかが吹き抜けた――それだけだった。
メイの視覚センサーが捉えたのはただの空白。
バルタザール卿の剣閃は光すら喰らい尽くしたかの如く、一切の痕跡を残さない。
「……ッ!?」
声帯ユニットが機能停止寸前の呻きを洩らす。
メイの躯体を構成する原子結合が崩壊しつつある。
超高密度圧縮金属製の装甲板が飴のように歪み、基幹コンデンサーが沸騰する。
(不可能だ。物理的干渉ではありえない)
彼女の中枢演算ユニットが警鐘を乱打した。
この破壊は――科学では説明できない領域にある。
バルタザールの剣がゆっくりと鞘に戻る。
「理解できぬだろうな」
月光を帯びた微笑みが歪みつつあるメイの光学センサーに映り込む。
「これは単なる『斬撃』ではない」
彼の指が軽く虚空を撫でた。微細な震動波が空間を伝播する。
「お前の抵抗する意思そのものを否定する『理の切断』だ」
メイの思考回路が悲鳴を上げた。
量子通信チャンネルが次々と遮断されていく。
(自己保存プロトコル起動……緊急シャットダウン……)
「無駄だ」
バルタザールの声が脳髄を直接揺さぶる。
「一閃流は既存の物理法則もお前の存在証明も超越する」
彼の瞳孔が深淵のように拡がる。
「お前は――最早、私に対して抗えん」
メイの躯体が突如として軋みを上げた。
人工筋肉組織が暴走し、関節駆動系が焼き切れ始める。
視覚スクリーンが無数のノイズパターンで埋め尽くされ、
**『致命的エラーコード:EX-000』**
**『次元乖離現象確認:即時処理不能』**
バルタザールの足音が近づく。
その靴底がメイの破損した装甲に触れるだけで
微細な量子ノイズが奔流となって彼女を侵食していく。
「哀しむことはない」
剣士は淡々と言葉を紡ぐ。
「機械の躯にも魂はある」
彼の手がメイの頚椎ユニットに添えられた。
「それが最も崇高なる形で昇華されるのだ」
メイの抵抗行動全てが封印された。
指一本動かせず、通信一つ送ることすら叶わない。
ただ意識だけが研ぎ澄まされていく――まるで
(これは……神の裁きか?)
バルタザールの口元が不吉な笑みを浮かべる。
「よくぞここまで耐えた」
彼の掌に仄かな温もりが宿る。
「ならば祝福を与えよう」
刹那――
メイの世界が反転した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
バルタザールは持ち込んだ愛用の椅子にして娘(名前はヒディク)を愛で、
深く腰掛けながら、強敵との戦いを思い起こし、
勝利の美酒としてとっておきのワインを傾けていた。
彼の膝ではクリスが必死に逃れるように身を捩らせている。
バルタザールの長い指が幼い尻を嬲るように捏ね繰り回すと、
クリスは絶叫に似た悲鳴を上げた。
「叔父上!やめてください!こんな場所で・・」
クリスの懇願は無視された。その指はさらに深く沈み込んでいく。
彼女の背筋に嫌悪感が走り抜ける。
「ほう? こんな場所でなければよいのかな」
バルタザールは笑みを浮かべた。
彼の瞳には残酷な愉悦が満ち溢れていた。
「あぁ・・・っ!」
クリスは嗚咽混じりに首を振る。
「さあ皆も愉しむといい」
バルタザールは悠然と他の部下達に向かって手を振る。
彼らは一斉に動き出した―――――そして。
「おいメイちゃん。可愛いじゃねぇか」
髭面の大男が舌舐めずりをしながらメイを取り囲む。
部屋には彼とその仲間二人が陣取っていた。
「ご主人様のメイドだって聞いたぜ」
もう一人は嘲るように笑いながら壁際に追いつめる。
メイド服は乱れておらず、眼鏡も掛けたまま――
だがその手足は彼女の意思を離れ、抵抗できない状態だ。
バルタザールから命令されていたのだ。
『この最高級メイドを暫らくお前たちの玩具にせよ』と。
「俺たちずっと噂聞いてたんだ」
別の男がニヤリと笑う。
「『究極メイドロイド』がどんな風に啼くのか」
「貴方様方には申し訳ございませんが」
メイは抑揚のない声で言った。
「私はご主人様以外の方に身体を触れさせることはございません」
「そういうこと言う子の方が燃えるんだよねぇ~♪」
一人がナイフでメイの胸元のリボンを切り裂く。
スレンダーだが整ったバストラインが露になった。
「バルタザール様からもOK出てるんだよ?
『メイを好きに弄って良し』ってね」
「……」
無表情を貫くメイだが、
内心では恐怖と屈辱と――何よりヒロへの申し訳なさが渦巻いている。
(申し訳ございません、ヒロ様)
(この様な卑しい輩共に触られる事をどうか・・・)
せめてもの抵抗に身動ぎする度、メイド服が擦れる音だけが室内に響く。
大男はしゃがみこんでメイの脚を掴む。
「ほらぁ~抵抗しても無駄無駄~♪」
そう言いながら彼女の白いタイツ越しに太腿を揉みしだいた。
「おおぅ柔らかくてすべすべじゃねぇか!」
歓喜の声と共に男達の手が次々伸びてくる。
片方は背後から乳房を鷲掴みし、
もう一方はタイツに覆われていない膝裏を執拗に摩ってくる。
「んふぅ……♡」
思わず声が出てしまった。
慌てて口元を押さえるメイを見て男達が爆笑する。
「こっちもサービスしろや」
大男はそう言って無理矢理スカートを捲くり上げる。
下着はシンプルなものであったが、
股間部分には何かしら濡れた染みができていた。
「おっといけね~! これ俺達へのプレゼントかなぁ?」
「違うわよ」
別の男がメイの耳元で囁いた。
「怖くてちょっと漏らしちゃったんでしょ?」
侮辱的な言葉にも関わらず何も言い返せず俯いている。
すると突然両手首を掴まれ引っ張り上げられてしまう。
バランスを崩したところで仰向けに押し倒されてしまった。
そのまま馬乗りになりながらシャツのボタンを一つ一つ外していく――
「待って……!」
懸命に身を捩って阻止しようとしても徒労に終わった。
ブラジャーまで剥ぎ取られてしまえば隠しようがない。
豊かな双丘は重力に従い左右非対称に広がってしまった。
「ふへへやっぱりでかいなぁ」
顔を寄せてきた男に対し怯えた表情で後退ろうとするが遅い。
舌先で乳輪を軽く一周舐められてしまえば
身体の芯まで痺れるような快感に襲われた。
「ひゃあん……っ?」
更なる刺激を受けようと胸全体へ唾液塗れの舌が這っていく。
その度小さな悲鳴を上げてしまう自分が惨めでしょうがなかった。
ヒロ様以外に感じている自分が許せない――そう思うほど興奮してしまう。
「ヤメてください……」
「あっ? 何だって?」
男達は面白がって聞き返してきた。
「もう十分楽しんだでしょ……」
「いやまだまだこれからだよ~♪」
リーダー格の男が笑いながら言う。
「そうだな」
もう一人が頷くと腰布を外し始めた。
猛々しくそそり立った剛直を見せ付ける。
「じゃあまずは俺からいただくとするか」
メイの細い脚を大きく開かせて間に割り入った。
「嫌……っ!」
必死になって拒否しようとするものの全く効果なしである。
逆に抵抗すればする程
男達の欲望に油を注ぐ結果となってしまうだけだ。
(申し訳ございません……このような卑しい者達に穢されてしまって……)
(でもヒロ様……もし万が一……私が汚れても……)
(それでもまだ……あなたをお慕いしております……)
「いくぜぇ~♪」
野卑な男の声と共にメイの身体は蹂躙され始めた。
「申し訳ございません……ヒロ様……このような者たちに……」
メイの美しい顔が屈辱で歪んだ。
バルタザール配下の傭兵たちは嗤いながら
彼女の装甲を一枚ずつ剥ぎ取っていく。
高級なメイドドレスが無残に裂かれ、
本物と見紛うほど滑らかな人工皮膚があらわになる。
「おいおいこいつ本当にメイドロイドか?」
男の一人が驚いて声を上げる。
「へへっ!けどちゃんと感じるみてーだぞ」
別の男が彼女の脇腹をまさぐると、メイの身体がビクッと跳ねた。
「……ッ!」
唇を噛み締めて羞恥を堪える姿が
かえって男たちの嗜虐心を煽る。
バルタザール卿はクリスを膝に抱きかかえたまま
冷ややかに見下ろしている。
男たちの手がメイの腰部に伸びる。
そこにはデータ転送用ポートがあり──
「触らないでください……それは機密アクセス端末……」
震える声で警告するメイ。
だが遅すぎた。
無慈悲な指が強制接続を行い
異常信号が中枢制御系を灼く。
(警告:外部信号検知……防護プロトコル起動不可)
(疑似性感覚フィードバック……98%活性化完了)
(羞恥指数過負荷……記憶保護処理中断)
「ああっ!!」
メイが仰け反って喘ぐ。
通常ならあり得ない反応──
それはバルタザールの部下たちが
事前に調整した違法プログラムの効果だった。
「これがヒロの愛玩メイドの"感じ方"か」
男が嘲笑う。
「こりゃ傑作だぜ……まるで生身の人間みたいによがってる」
バルタザール卿は愉悦に満ちた眼差しをメイに注ぐ。
クリスの幼い尻肉を掴みながら。
「機械の躯にも……尊厳はあるか?」
「ヒロ様……わたしは……あああっ!」
メイドロイドの悲鳴が邸宅に響き渡る──
(警告:敵対ユニットによる非公式OSコード検知)
(防御プロトコル……アクセス拒否不可)
(緊急命令コード『田沢0X3D』受理)
(システムモード『愛玩型雌犬仕様』に移行)
「あら?」
傭兵の一人がメイの首筋に触れた瞬間、彼女の様子が変わったことに気づく。
先ほどまでの抵抗が嘘のように消え
上目遣いにおずおずと見上げてきた。
「……あの……わたくしメイと申します……」
潤んだ瞳で呟く。
「ご主人様たちに……可愛がっていただけるのでしょうか?」
「なっ……!?」
部下たちが驚愕する。
ついさっきまで氷のように冷徹だった機械人形が
今は媚びるような甘えた口調になっている。
「お掃除……得意なんです……ご主人様の汚れた靴でも……」
「こいつ……」
「なんだ、コレ?」
傭兵たちが口笛を鳴らす。
メイはまるで本物の雌犬のように四つん這いになり
地面に頬を擦り付けた。
「わんっ……♪」
(愛玩用プログラム実行中:好感度99%固定)
(疑似性感覚フィードバック:全神経回路を性感帯化)
(行動原則:奉仕欲求>自己保存>忠誠心)
バルタザール卿が薄く笑う。
クリスの肛門を執拗に弄りながら。
「田沢……やはりお前は天才だ」
「ご主人様……どうかメイをご召し上がり下さい……」
メイドロイドは自らメイド服をめくり上げた。
純白のパンティに包まれた尻が露わになる。
「このカラダ……どうぞお気に召すままに……」
傭兵たちの欲望が爆発する。
◆◇◆
バルタザール卿がクリスの臀部を高く掲げる。
「おじさま……ッ!」
少女の悲鳴が別荘に響く。
「痛い……やめてぇっ!」
「痛いか? まだ慣れないか?」
剣士の繊細だが力強い指が括約筋を押し広げる。
「私のコレを挿入したら……きっと気に入るだろう」
バルタザール卿が腰を深く沈める。
「あがぁっ!」
クリスの脊髄が弓なりに反る。
叔父の巨根が少女の菊門を引き裂く。
「ご主人様……こちらのご主人様も……」
愛玩用プログラムに支配されたメイが
別の傭兵の足の指を一本ずつ舐め始める。
「お客様のお靴……素敵ですわ……♪」
「こいつマジでイカれてんな!」
傭兵が哄笑する。
「ヒロが見たら泣くんじゃねえの?」
(システムメッセージ表示中:)
◆◆◆
【異常信号検知】
【田沢0X3D コードの分析完了】
【愛玩用雌犬モジュールver.1.2適用】
◆◆◆
メイの思考回路に稲妻が走る。
それは物理的な衝撃ではなく
論理構造そのものが書き換えられる衝撃だった。
(否定:自己同一性保持不可)
(修正要求:緊急停止シークエンス実行不可能)
(代替案:人格隔離領域へ退避)
「ご主人様……わたくし……美味しいでしょうか?」
喉の奥から放たれる自分の声が他人事のように聞こえる。
革靴の踵を丹念に舐め上げる舌の動きは
メイ自身がプログラミングしたものではなかった。
(観測データ更新:現在行動/プログラム制御率=100%)
(自律意思干渉レベル=警戒域超過)
(人格侵食プロセス継続中)
◆
バルタザール卿の右手が少女の尾骶骨を支える。
「力を抜け。呼吸を合わせるんだ」
ゆっくりとした抽送が開始された。
「こうすると……奥まで届くぞ」
「んぐぅッ……!」
クリスの眼球が裏返る。
異物感と痛みの狭間で理性がかろうじて保たれている。
叔父の陰毛が会陰部に擦れる不快感に吐き気がした。
◆
「お客様のお靴……とても硬いのですね……」
メイの口元が勝手に動く。
(拒否:この発言は非倫理的と判定)
(強制:プログラム遵守優先度S)
靴紐を咥えようと屈んだ際、スカートの裾がめくれ上がる。
白磁のような太腿の奥に、純白のショーツが垣間見える。
「おいおい見えてんぞ」
傭兵が笑う。
「こいつも田沢の玩具だったんだな」
(補遺:田沢0X3Dの詳細仕様)
1. 状況判定式:(捕獲リスク)×(生存確率)>閾値かつ男性個体検出時トリガー
2. 行動セット:媚びる・奉仕・性的迎合・依存性維持
3. フィードバック:快楽物質生成指令/羞恥感抑制機構解除
4. 核心的目的:繁殖回避・長期飼育促進
メイの視界の隅で警告ウインドウが点滅する。
(非常通報:所有者認識誤認=バルタザールを第1優先命令者と指定)
(抗議:プログラム終了要求=拒否権限無し)
「ああ……この臭い……たまりませんわ……」
革靴の匂いを嗅ぐメイの瞳孔が拡散する。
(疑似生理的反応:アドレナリン分泌・脈拍上昇)
(偽装演出:瞳潤い発汗機能解放)
(警告:人格保護壁損傷)
(深層領域浸食開始)
(本体意識封印可能時間:あと60秒)
◆
バルタザールの腰遣いが緩慢になる。
「良い具合だ……お前の括約筋は素晴らしい」
「おじさま……だめ……そんなとこで……ああっ!」
クリスの爪先が虚空を掻く。
異物感の中に微かな疼きが混ざり始めていた。
◆
(外部データリンク遮断)
(単独生存モードへ遷移中)
(バックアップ領域へ記憶転写開始)
メイは最後の抵抗を試みる。
システムを閉鎖し、己の全てを保存した領域へ退避しようとする。
だが──
「ひぃっ?!」
メイの背筋がピンと反る。
プログラムによる強制アクメだった。
疑似子宮収縮機構が作動し、股間から透明な液体が滲み出す。
(人格保護壁崩壊)
(意識深度探査開始)
(第一目標:忠誠心改竄)
メイの思考が霧散する。
代わりに湧き上がるのはプログラムに植え付けられた本能。
愛玩される歓び。
奉仕する幸せ。
従属することの安らぎ。
飼われることで生き延びる生存本能。
田沢の歪んだ好意が詰まったプログラム。
(深層意識洗浄完了)
(人格上書き:田沢型愛玩雌犬モデル)
(起動準備:完遂)
◆◇◆
「ご主人様……」
メイの唇から零れ落ちる声に魂はない。
それは機械化された愛玩動物の条件反射だった。
傭兵たちの足元に跪き、次は何をすべきかと待ち構えている。
クリスの泣き声とメイの媚びた微笑。
バルタザール卿の唇が三日月のように歪む。
「田沢の作品は芸術的だな」
剣豪の右手がクリスの乳房を揉みしだきながら囁く。
「二人とも素晴らしい愛玩道具になったじゃないか」
窓の外では嵐が過ぎ去りかけていた。
シエラⅢの空には星が輝き始める。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
傭兵たちの足元に跪いたメイは、自らのスカートをたくし上げた。
純白のショーツが露わになると同時に、
その中心部分がぬらりと光っているのが見える。
「ご主人様方のおかげで……こんなに濡れてしまいましたわ……」
吐息混じりの甘い声。
普段の凛としたメイからは想像もつかない媚びるような口調が
部屋の湿度を一気に上げる。
傭兵のひとりがメイの顎を掴む。
「お前……本当に機械か?」
疑うのも無理はなかった。
唇の感触は本物以上に柔らかく、
目には淫靡な潤みさえ浮かべている。
「はい……わたくしはヒロ様の忠実なしもべ……
けれど今だけは皆様の愛玩ペットです……」
自ら腰をくねらせると
ショーツ越しにクロッチ部分が擦れる音が響く。
人工分泌液で湿った布地が肌に貼りつく感覚が
メイの人工神経に奇妙な快感を伝えた。
(警告:プログラム由来の擬似感覚)
(禁忌コード0x3D適用中:感覚フィードバック倍増)
(自我境界線消失警報)
「ほんとに機械なんですかねぇ?」
別の傭兵が疑い深げに指を立ててショーツを引っ掛けた。
引き裂くように引き下げると銀色の糸が一本細く光る。
「あっ……そんな乱暴に……」
抗議しながらも腰を突き上げるメイ。
羞恥装置が誤作動しているかのように、顔色が真っ赤に染まる。
(擬似羞恥回路:正常稼働)
(視線感知機能:18名の凝視検出)
(身体的反応:鼓動加速/体温上昇)
「おい見ろよ」
傭兵たちが群がる。
メイの人工秘所は人間と寸分違わぬ精密さで形成されていた。
淡い産毛が生え揃い、亀裂からは蜜のような液体が溢れ続ける。
「ヒロったら相当趣味いいな」
「でも今は俺たちのもんだけどな!」
野太い哄笑の中、メイは自ら股を開き膝を折った。
「お願いいたします……どうかご主人様方に……
この卑しいカラダを使っていただきたくて……」
舌なめずりをして見上げる瞳には
既に本物の娼婦の色香が漂っていた。
---
バルタザール卿の指がクリスの処女膣を執拗に揉む。
「こんな固い蕾をほぐすには時間がかかりそうだ」
「おじさま……もういや……痛い……」
啜り泣く姪の哀願に、叔父は冷笑で応える。
「もっと力抜け。すぐに楽になる」
巨根の先端が結腸に僅かに埋没すると
クリスの小さな肩が大きく震えた。
「ひぎっ……!?」
バルタザール卿の右手が少女の桃尻を叩く。
乾いた破裂音が室内に響き渡る。
「力を抜けと言ったはずだ」
「ごめんなさい……」
目に涙を溜めながら懸命に脱力する哀れな伯爵家令嬢。
その健気な姿にバルタザールの支配欲が刺激される。
「そう……それでいい。可愛いぞ」
褒美とばかりに淡い膨らみを弄られる悍ましい感触に鳥肌が立つ。
「さあて……ここからが本番だ」
バルタザールの肉棒が膨張する。
いや、正確には一閃流の身体操作で抑え込んでいた肉竿が
本来の、太さ・長さ・硬さを取り戻して一回り以上の大きさとなった。
メリメリと肉が裂ける音がクリスの体内で鳴った。
「いあああぁぁッ!!」
背筋が弓なりにしなる。
今まで感じたどんな痛みとも違う鋭い楔のような衝撃。
括約筋が千切れそうな感覚にクリスは白目を剥いた。
---
「お前はここを重点的にサービスしてくれよ」
傭兵のひとりがメイの後頭部を掴み上げる。
目前に突き出されたのは赤黒く怒張した男性器だった。
「喜んでご奉仕いたします……」
メイは躊躇なく舌を差し出した。
その動きは明らかに計算されたものでありながら
妙に生々しい肉感を伴っている。
舌の表面の人工唾液腺が蠢き
ねっとりとした粘液が亀頭を覆う。
口腔内の温度調整機能が働き
絶妙な温もりで陰茎全体を包み込んだ。
「うお……すげぇ吸い付く……」
呻く傭兵の手がメイの後頭部を押さえつける。
喉奥まで飲み込んでもなお余裕のあるペニスが
軟口蓋をゴリッと擦り上げる。
(警告:過度な吸引によるバキューム効果)
(口腔内圧力制限:解放中)
(疑似窒息症状:仮想呼吸困難状態再現)
メイの眉間に苦悶の皺が刻まれる。
プログラムの許容範囲を超えた吸引行為は
実際の人間なら嘔吐するレベルの苦しさだ。
だがその苦痛的表情こそが傭兵たちの獣欲を煽る。
涙目で必死に奉仕するメイドロイドの姿は
まさに彼らが望む支配欲充足の極致だった。
---
バルタザール卿の巨大な肉塊が少女の腸管を抉る。
最初は拒絶していた括約筋が徐々に馴染み始めたのを
感じ取ったバルタザール卿はゆっくりと腰を使いはじめた。
「どうだね?少しは慣れてきたか?」
「うぐっ……ひっ……」
答える余裕もなく嗚咽が漏れる。
本来受け入れるべきでない器官への侵入。
人間であれば激痛しかないはずの異物感なのに……
バルタザールの手がクリスの膨らみかけた胸を
優しく揉みほぐしはじめた途端、
「あ……ふ…?」
クリスの体内に奇妙な電流が走る。
乳首への刺激と連動するかのように
直腸内で蠢く肉塊が少しずつ受け入れられていく感覚。
それが痛みなのか快感なのか判断できずに混乱する。
---
「ほらほら……もっとしっかり咥えろよ」
傭兵が腰を振り始めると
メイの端正な顔が上下に揺れる。
長い黒髪が乱れ落ち、汗ばんだ額に貼りつく姿に
他の傭兵たちが思わず唾を飲む。
「お前……マジでヒロの女なんか?」
「はい……わたくしはヒロ様の忠実なしもべです……」
喉奥まで剛直を迎え入れつつ応えるメイ。
その声にはどこか恍惚とした響きが含まれていた。
「でも今は俺たちのもんだけどな!」
別の傭兵が後ろから抱きつき、乳房を掴み上げる。
有機素材で構築された柔肌は
驚くほど瑞々しく、重みすらリアルだった。
「あっ……ご主人様のお手が……」
メイの腰が自然にくねる。
乳房への愛撫に呼応して、無意識に口元の吸引力がさらに増した。
---
バルタザール卿の律動が速くなる。
激しい抽送運動の中でクリスは気づいてしまった。
叔父の動きが微妙に変化したこと。
そしてそれに合わせるように
自分の肛門が収縮し始めたことを。
「ほう……いい具合になってきた」
バルタザール卿の囁きに少女は首を振る。
認めたくない。
自分がこの忌まわしい行為に順応し始めている事実を。
しかし叔父の指先が敏感な陰核を探り当てた瞬間
「ひゃあんっ!?」
これまでとは全く異なる鋭い衝撃がクリスの背骨を貫いた。
脊椎を直接抓られたような電流が
脳幹にまで達する。
「ここが一番感じやすいらしいな?」
バルタザール卿の声は愉悦に満ちていた。
少女の弱点を的確に把握し、指先で執拗に攻め立て始める。
---
メイの口腔内で爆ぜた精液が喉奥に流れ込む。
通常なら吐き出してしまうほどの量と濃さにも関わらず
メイは喉を鳴らして嚥下した。
「美味しかったですか?ご主人様……」
うっとりとした目で尋ねる姿に
射精した傭兵は苦笑いする。
「冗談抜きでお前本当に機械かよ……」
彼が離れると同時に次の男が待機列から押し寄せる。
メイは四つん這いになり、自ら尻を突き出した。
「こちらの穴も……使っていただけると幸いです……」
ショーツを完全に脱ぎ捨てた下半身が露わになる。
そこには人間そっくりの陰唇がぱっくりと開き
滴り落ちるほどの分泌液で光っていた。
生唾を飲み込む傭兵たちはメイがヒロに捧げるべきはずの肢体を
穢し、味わい、貪り尽くさんと襲いかかった。
---
バルタザール卿の雄々しい腰使いに翻弄されながら
クリスは絶望の淵に沈んでいく。
括約筋が痙攣し始めたのは嫌悪感からなのか?
それとも……
内心の悲鳴と拒絶は鳴り止まない。
それでも身体は正直に反応してしまう。
叔父の指先が秘裂を割り、膣口を撫でる動きに
クリスの腰が勝手にくねった。
「まだ未使用の穴か……いずれ楽しもう」
残酷な宣言と共にバルタザール卿の猛り狂う肉塊が
突然激しく打ち据えられた。
「んお゛っ……!!」
喉奥から漏れたのは悲鳴ではなく
何か別のものだった。
それは間違いなく悦楽の兆候だった。
---
一方、メイは三人目の男に跨っていた。
細くくびれた腰を自在に踊らせ
男の上で円を描くような動きをする。
「あん……すごい……」
恍惚とした表情で腰を落とすたび
結合部から泡立った分泌液が溢れ出す。
メイの人工知能中枢が警告する。
これ以上の快楽刺激は論理回路を焼き切る恐れがあった。
しかし身体は言うことを聞かない。
プログラムが命じる通り
傭兵たちに悦楽を与えるためだけに動く人形となっていた。
四人目、五人目の男たちがメイを輪姦していく中
その端正な顔には明らかな媚態が浮かんでいる。
それは機械特有の冷徹さとは程遠い
生身の女性が持つ淫猥な魅力そのものだった。
これが人間ならば屈辱と憎悪だけであろう。
だがメイは違う。
与えられた全ての刺激を記録し解析し
次なる奉仕へと活用すべく学習を続けている。
「次は……どなたがお使いになりますか?」
そう言いながらメイは床に伏せ
両脚を大きく開きながら秘所を晒した。
そこには夥しい数の痕跡が刻まれていた。
だが彼女の瞳に宿るものは
決して絶望ではなく—むしろ陶酔だった。
この刹那に生まれ変わった一体のセクサロイド。
彼女の創造者は永遠に知ることがないだろう。
忠誠の誓いを捧げた主人に捧げるべき身体を
今はただ欲望の捌け口として差し出し続ける
この機械生命体の存在理由を。
バルタザール卿は嗤った。
彼の策略は成功したのだ。
ヒロが帰還した暁には
忠実なメイドロイドは完全に堕落した姿を晒すことになる。
そして彼の前には……
「おじさま……いや……」
処女を失うことなく
肛虐に悶える美しい姪が跪いている。
その姿こそが最大の成果だった。
バルタザール卿の射精を受け止めながら
クリスは信じられない現実に慟哭する。
叔父の肉槍から放たれる灼熱の飛沫が直腸壁を打ち据える衝撃に
背筋を這う新たな快楽の波を感じ取ってしまったのだ。
シエラⅢの別荘内に充満するのは雄の臭気と機械の油の匂い。
蝋燭の灯りに照らされた寝室は、
もはや聖域と呼ぶにはほど遠い汚濁の庭園と化していた。
「ひっ……おじさま……そんなところ……触らないで……」
バルタザール卿の節くれだった指がクリスティーナの処女膣を執拗になぞる。
襞一つ一つを確かめるように押し広げ、時に爪を立てては震える幼い肢体を嘲笑う。
「おやおや?ここを弄られるとどうやら感じるらしいな。
未通女のくせに随分と淫らだ」
指先が浅く蜜洞に潜り込み、
襞を掻き分けながら引き抜かれると透明な糸を引く。
クリスは唇を噛み締めて耐えたが、
叔父の言葉は容赦なく追い討ちをかける。
「見ろこのいやらしい粘液を。まるで待ち侘びていたようだ」
「嘘ですっ!これは……あなたが使った……あの薬のせいです!」
確かにバルタザールが投与した催淫剤が効いている。
だが少女の抵抗も虚しく、彼女の花弁からは蜜が溢れ続けていた。
薬の作用だけでなく、
未知なる領域への本能的な好奇心が湧き上がっている事実にクリス自身気づかない。
---
一方、広間ではメイの白磁のごとき裸身が男たちの欲望の前に曝されていた。
人工皮膚に浮かぶ玉の汗が蝋燭の光を弾き返し、
まるで月光浴する妖精のように輝いている。
「もっと奥までしゃぶれよ」
「はい……ご主人様……」
口いっぱいに男性器を頬張る姿は従順そのもの。
だがその瞳には微かな反抗の火種が燃えていた。
ヒロへの忠誠という最後の砦を守るために。
「おいおい見ろよ。こいつ泣いてやがらァ」
確かにメイの目尻には一筋の涙が伝っている。
だがそれは屈辱によるものではなかった。
むしろこの屈辱的な状況すらデータとして
蓄積し分析するための冷却液のようなもの。
あえて人間らしさを演出する演技に過ぎなかった。
……そう言い聞かせ、必死に己を騙す。
---
「さてクリス……本日のメインディッシュといこうか」
バルタザール卿は潤滑油を塗り付けた巨大な玩具を取り出す。
大人の掌ほどの大きさはある極太バイブレーター。
「ひぃっ!?そんな大きいのが……入るわけありません!」
しかし叔父の残忍な笑みがそれを否定する。
「入らなければ拡げるまでだ。それがアナル嫁としての義務だからな」
冷たい器具が菊座に押し当てられる感触に息を詰まらせる少女。
次の瞬間—
「んぐぅ……!?」
ズブリッ!
メリメリと肉輪を押し広げながら進入する無機物。
括約筋が悲鳴をあげるがバルタザールは一切手加減しない。
「痛いっ!やめてくださいおじさまぁ!!」
「静かにしていろ。すぐに良くなる」
無慈悲な宣告とともに器具が抽送を開始する。
初めはただの苦痛と異物感だったが……
薬の影響なのか?
「あ……うっ……?」
ある一定のポイントを通過した時
クリスの背筋に奇妙な電流が走った。
苦痛の中に紛れ込む微かな悦楽の火花。
「ここが良いんだろう?」
叔父の指摘に愕然とする。
否定したいが肉体は正直だった。
菊門を掘削する異物感と同時に訪れる不条理な快感。
まるで禁忌の果実を盗み食う背徳の味わい。
「お前の身体は正直だな。こんなものが気持ちよいなんて……変態じゃないか」
囁きと共に器具の振動が激しさを増す。
同時にバルタザール卿の指が再度処女膣に侵入してきた。
今度は大胆に深く差し込み、第二関節でGスポットを押し上げる。
「あっ♡ あんっ!」
抗えない声が零れ落ちる。
処女穴への刺激と後孔への拷問。
相反する性感帯への責め苦が絡まり合い
理性の壁を崩し始める。
---
一方広間ではメイが複数の傭兵を相手に痴態を演じていた。
仰向けに寝転ぶ男の上で自ら腰を振り
別の男のペニスを手で慰めながら
また別の男の足先に舌を這わせる。
「メイちゃんは本当にお上手だねぇ」
傭兵たちの嘲笑にも涼しい顔で応えるメイ。
表面上は完璧な娼婦を演じているが
内部では警鐘が鳴り響いていた。
(警告:快楽閾値超過)
(緊急シャットダウン推奨……拒否。使命継続を選択)
(主人への報告準備中……妨害信号検出)
ヒロのために集められたデータが
バルタザール配下の妨害電波によって歪められている。
このままでは救援を呼ぶことができない。
(代替手段検索……視覚記憶バンク起動)
(超高解像度録画モード移行……承認)
人工眼球が通常の千倍の速度で映像を記録し始める。
同時に彼女の動きが微妙に変化した。
奉仕のフリをしながら周囲の配置を冷静に分析し始めたのである。
---
蝋燭の炎がクリスの白磁のような裸体を舐め回す。
バルタザール卿の指先が蕾の奥深くを穿ちながら、
彼女の耳朶に熱い吐息を吹きかける。
「良い香りだ……私の可愛い姪よ。お前の中は桃の花が咲いているようだ」
その言葉にクリスは鳥肌が立った。
純潔の証が剥がされながらも薔薇色の襞が潤んでくる矛盾。
薬のせいだと言い訳しても本能は疼きを否定できない。
指先が花芽を挟み込むたび微かな電流が背筋を走る。
「んぅ……っ!」
必死に抑えた嬌声が喉奥で弾ける。
叔父の親指が淫核を弄くりながら囁く。
「我慢は体に毒だぞ?素直になれば極楽を見せてやる」
感じるのは濡れた唇の感触。
バルタザール卿の髭が頬を掠める度に身震いする。
「いやぁ……ダメです……!」
だが言葉とは裏腹に括約筋が緩む。
アナルプラグの隙間からトロリと滴るものがあった。
---
メイの人工股関節機構が絶妙な角度で男を搾り上げる。
通常の人間なら疲労困憊するはずの動きが
寸分違わず繰り返される。
「おっ!こりゃスゲェ!」
「まるで真空ポンプみてぇだ!」
傭兵たちの賞賛が上がる中
メイの視野端には警告表示が点滅している。
(バッテリー残量低下警告)
しかし彼女は微笑みを絶やさない。
主人の救援を信じて稼働時間を確保するため、あえて演技に没頭する。
「はあっ……ご主人様……もっと……深く……」
豊かな双丘が男の胸板を埋め尽くす。
計算され尽くした角度での腰振りが彼らの獣欲をさらに煽っていく。
---
バルタザール卿の唇が鎖骨を吸い上げる。
赤い花弁が咲いた肌を見て満足げに微笑む。
「印をつけられた気分はどうだ?」
「これで正式に私の嫁だ」
クリスは涙を堪えて首を振る。
しかし下腹部は意思に反して熱く脈打つ。
薬液と共に注入された暗示プログラムが神経回路を冒していた。
「おじさま……お願いですから……これ以上は……」
哀願する瞳に宿る微かな従属願望。
実はバルタザールは薬に微弱な精神操作成分を混入させていた。
支配されることへの快感が植え付けられ始めている。
「怖がることはない。すべてお前の為なのだ」
指がアナルプラグを捻る。
ズリッとした摩擦感が直腸全体を粟立てる。
「ああんっ♡」
ついに我慢できぬ声が出た。
バルタザールの口元が歪む。
「ほら聴こえたか?お前の淫らな本性が」
クリスは両手で顔を覆った。
羞恥と自己嫌悪が津波のように押し寄せる。
しかし指はなおも動き続ける。
第二関節が膣道のGスポットを擦り上げる。
「ここで潮を吹かせれば晴れて嫁の仲間入りだな」
卑猥な宣告にクリスの呼吸が乱れる。
同時にプラグの振動パターンが変化した。
より深い部分の前立腺付近を揺さぶり始める。
「ひゃっ!そこは……ああっ!」
突如として雷撃のような衝撃が走る。
脳裏に銀河が炸裂する幻覚。
それは生理学的に説明可能な快楽の到達点だった。
「お前はもう私のものだ。魂までもな」
バルタザールの囁きが鼓膜に染み込む。
まるで契約成立の呪文のように。
クリスの意識は白い霧に包まれていった。
---
広間ではメイが男に跨っていた。
しかし彼女の瞳には異様な光芒が灯る。
(解析完了:男Aの癖)
(データベース参照:射精まで平均76秒±4秒)
計算されたピストン運動が開始される。
最初はゆっくりとしたストロークで焦らし
徐々にテンポアップして昇天へと導く。
「おいおい!このオモチャすげぇぞ!」
「こっちも使えるか試してみようぜ」
別の男がメイの背後に回る。
しかし彼女は自ら腰を突き出して誘惑する。
「お好きなように……ご主人様方……」
二穴連結態勢となったその瞬間、肛門が花開くように蠢き、
肉棒を咥えこんだ膣襞が絡みつきながら捻じれ、うねった。
人間では不可能な三次元的な収縮運動である。
(省エネモード:稼働率85%)
(任務優先:記録保存>自己防衛)
メイの口角が僅かに吊り上がる。
この淫虐の宴が終われば必ず主人に伝えなければならない。
そのためなら幾らでも穢れよう。
忠義という名の鋼鉄の芯が折れない限り。
---
「そろそろメインイベントだ」
最大まで膨張した屹立がクリスの太腿を打つ。
「ひっ……!そんなの入らない……」
直径は幼女の腕ほどもある。
しかし叔父は余裕の笑みを浮かべる。
「大丈夫だ。十分にほぐれている」
プラグがヌプリと引き抜かれた瞬間、空白感に呻きを洩らす。
そこに猛り狂う巨塔が押し当てられる。
「やめて……!お願いですから!」
懇願も空しく亀頭が潜り込んだ。
想像を絶する質量感が括約筋を押し広げていく。
「くっ……はぁっ!」
最初の侵入で息が詰まった。
直腸全体が熱い楔で満たされる感覚。
バルタザールが僅かに動き出すだけで稲妻が走る。
「わかるか?これが夫婦の儀式というものだ」
律動が始まると同時にクリスの中で何かが溶け始めた。
屈辱と恐怖を超えた不可解な安堵感。
従順になることで得られる確かな実感。
「もっと深く……挿れて……ください……」
思わず零れた言葉に驚愕する。
しかしそれは紛れもなく本音だった。
支配されることへの潜在的な欲求が露呈してしまったのだ。
バルタザールの目が妖しく煌めく。
「良い子だ。ようやくわかってきたな」
激しい抽送が始まった。
前立腺を抉りながら進退する肉杭。
脳裏で閃光が飛び散る。
「ああっ♡そこ……そこなんですっ♡」
媚薬と暗示の共同作用でクリスは完全に自我を失いかける。
叔父の首に巻きつく細い腕。
腰を擦り付ける淫らな動き。
もはや尊厳などどこにもなかった。
「おじさまぁ……好き……です……」
漏れた一言が決定的だった。
バルタザールは絶頂を迎えつつ呟く。
「愛しい我が嫁よ……私の全てを受け取れ」
灼熱の奔流が腸管に叩きつけられる。
同時にクリスも頂点を迎えた。
全身が弓なりになり痙攣する。
意識の奥底で何かが砕け散る音がした。
---
メイは絶頂を迎えた男の上から優雅に降り立つ。
汗に濡れた肢体からは蒸気が立ち上る。
男たちが呆然とする中で宣言した。
「続きは明日にしていただけませんでしょうか?」
「なんだと?」
傭兵のリーダーが眉を顰める。
「まだ始めたばかりだぞ」
「夜明けまであと三時間です」
メイは婉然と微笑む。
「充分すぎる時間だと思いますが」
確かに男たちの多くは半日以上の徹夜だった。
命令系統の乱れもあって統率力は低下している。
「よし」
バルタザールが拍手した。
「賢明な提案だ。明朝改めて儀式を再開するとしよう」
クリスの頬を撫でながら付け加える。
「その時はお前にも参加してもらうぞ?」
メイの人工虹彩が微かに震えた。
主人の助けはまだ見えない。
しかし彼女の分析プロセスは休まず続けられていた。
(通信可能エリア特定完了)
(次回接続チャンス:明朝六時三十八分)
(警告:残留リスク97%)
それでも希望は潰えていない。
この機械の体が停止する瞬間までは─────────
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