※この作品はR-18です。

ダークエロ短編集3   作:カード読み込み

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結構安定してきた


愉悦のランベール

 

 銀髪のエルフが、中年男の股間に顔を埋めている。

 

 濡れた音が、艦内の静寂を漆塗りに染め上げていた。

 ちゅぱ、ちゅぱ、と舌が肉棒の裏筋を這い、

 じゅる、と唾液が嚥下される擬音が、無機質な金属壁に反響する。

 エルマ・ウィルローズ。

 かつては気高き傭兵として、銀河の星屑を斬り裂いてきた女傑が、

 今はただ、悪徳貴族の鞭下に甘んじる一匹の牝に成り果てていた。

 

「……ヒロ……アンタの事は愛してるけど、ランベール様のセックスが気持ち良すぎるの……」

 

 語尾は震え、悔恨の涙が美貌を濡らした。

 彼女の口から漏れる言い訳は、もはや誰へ向けたものでもない。

 ささやかに過ぎる自己欺瞞、それすらも快楽のスパイスとして食らう男──

 ランベールは、愉悦に歪んだ口元を隠しもしない。

 

「正直な子だねぇ。だが、それだけじゃ足りんよ」

 

 ランベールの手が、エルマの銀髪を掴んで引き寄せた。

 ずぶり、と喉奥まで肉棒が侵入する。

 嘔吐感に涙目になるエルマだったが、抵抗の意識は調教によって麻痺させられていた。

 子爵家の末娘としての矜持も、ヒロの恋人としての誇りも、

 アナルに仕込まれた『性樹』の根によって蹂躙され、書き換えられている。

 

 ジンジンと括約筋が独立して脈打ち、男根を締め付ける胎動が、悪夢の前兆であった。

 彼女の尻穴は排洩器官の尊厳を奪われ、

 ただ男の精液を搾り取るだけの『ケツマンコ』へと作り変えられてしまっている。

 四つん這いになって腰を振るたび、性樹が蠢く感触が脳髄を直接刺激し、抗いがたい快感を強制する。

 

「……んッ、んぅッ……!」

 

 窒息しそうな喉の奥で、肉棒が膨張し、玉の莖が揺れる。

 ランベールは意地悪く腰を引かず、エルマの苦悶を楽しむように射精の時を引き伸ばした。

 彼の視線は、ベッドの脇に設置されたモニターに向いている。

 そこに映るのは、再生槽の中で眠るヒロの姿だった。

 右腕を削ぎ取られ、満身創痍のまま懸命に生還を果たした主の顔である。

 

「中間管理職も辛いねぇ。君の愛する英雄は、今じゃ垢抜けない肉人形さ。

 ワタシが提供した再生プログラムが完成するまでは、大人しく寝台の犬でいてくれたまえ」

 

 ランベールの言葉は、劇薬のようにエルマの魂を焼いた。

 彼女は必死に首を振り、拒絶の意を示そうとするが、

 それが逆に喉奥の摩擦を生み、男根を痙攣させる結果となる。

 

 肉の杭が喉奥を侵犯する感触に、エルマの長い耳がびくりと跳ねた。

 

 ちゅぽっ、じゅるっ、ねっとりとした水音が、静謐なる艦内に淫らな反響を生む。

 ランベールの股間に埋もれた銀髪の小首が、律動的に前後するたび、

 彼女の上品な唇は卑猥な形に歪み、唾液と先走りが混じった粘液が顎を伝って滴り落ちる。

 

「んっ、ぐっ、ぢゅっ……♡」

 

 舌が甲斐甲斐しく亀頭の裏側を舐めまわし、喉の奥を収縮させて肉幹を締め上げる。

 かつては戦場で敵を屠ったその口は、

 今はただ中年男の性欲処理に特化した便所として機能していた。

 だが、その碧眼には未だ消えぬ焔が宿っている。

 悔恨と、微かな抵抗。

 それがこの陵辱劇における唯一の瑕瑾(きず)であり、

 同時にランベールにとっては格別のスパイスであった。

 

「優秀な子だねぇ。君のその舌は、剣よりも雄弁だ」

 

 ランベールは愉悦に目を細め、エルマの頭に手を置いたまま、視線をモニターへと移す。

 そこには再生槽の中で眠るヒロの姿が映っている。

 右肩から先は虚空であり、そこへアストラル体の凝縮液が注ぎ込まれ、不気味な泡となって消えていく。

 

「見たまえ、エルマ君。君の愛しい騎士様は今、ワタシの施した『種』を受け入れている最中だ。

 ああでも、君が今している行為と何ら変わりないね。どちらも上書きされるのを待つだけの『器』だ」

 

 その言葉は、劇薬のようにエルマの胸を抉った。

 彼女は必死に首を振り、否定しようとする。

 だが、口一杯に頬張る肉棒がその声を封じ、嗚咽だけが漏れる。

 

「んぅっ! んんーっ!!」

 

「否定したところで無駄だよ。君の尻穴は真実を語っている。

 ほら、こんなに悦んで締め付けている」

 

 ランベールが遠隔操作で性樹の根を刺激すると、エルマの肢体が反り返った。

 アナルに埋め込まれた触手生物が蠕動し、括約筋を独立して脈打たせる。

 排洩器官としての尊厳はとうに失われ、男根を搾り取るためだけの

『ケツマンコ』へと作り変えられたその穴は、嫌悪する頭とは裏腹に、歓喜して男を貪る。

 

 ビクンッ! ビクビクンッ!! 

 

「あぁっ! あぐっ、ひぃッ♡」

 

 肉棒を吐き出し、エルマは獣のような喘ぎ声を上げた。

 背徳的な快感が脳髄を灼き、膀胱の制御さえも失わせる。

 黄金の雫が太腿を伝い、床に染みを作る。

 

「ほら、お漏らしをした。君の体は正直だね。騎士様がワタシに作り変えられ、

 君自身もワタシに堕とされる。その二重の背徳感が、君をこんなにも淫らにさせるんだ」

 

 ランベールは冷酷に笑い、エルマの涙に濡れた顔を覗き込んだ。

 彼女は肉体的には完全に屈服したが、

 その魂の芯にある『ヒロへの愛』だけは頑として砕けない。

 

 しかし、その『愛』こそが、皮肉にも彼女を更なる深淵へと突き落とす。

 愛する男が目の前で穢され、自分もまた別の男に貪られるという倒錯した状況。

 その背徳感が生み出す甘美な毒が、彼女の理性を溶かし、快楽の沼へと引きずり込んでいくのだ。

 

「……ヒロ……ごめん……なさい……♡」

 

 消え入りそうな声で謝罪しながらも、エルマは自ら腰を振り、性樹の刺激を貪った。

 その瞳には、涙と共に淫らな光が宿っていた。

 

 再生槽の中で、ヒロの新たな右腕が不気味に脈打つ。

 それは、これから始まる地獄の鼓動のように、鈍く、重く響いていた。

 均衡は破られつつあるのか、それとも深まる闇の中で更に歪んでいくのか──

 物語はまだ、暗転したまま続いていた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

「んむっ……ちゅぱっ、れろぉっ……♡」

 

 ランベールの膝下で、銀髪のエルフは自ら進んで更なる恥辱を貪っていた。

 長く尖った耳を真っ赤に染め上げ、上目遣いに男の顔色を窺いながらも、

 その薄紅色の唇は決して肉槍から離れようとはしない。

 むしろ、うっすらと浮かんだ血管の一本一本を愛おしむかの如く、

 柔らかな舌先が丁寧に撫で上げてゆく。

 

 唾液でぬめる陰嚢に手を添え、そっと持ち上げる仕草は、

 戦士というよりは献身的な小間使いのそれだ。

 睾丸を優しく口に含み、壊れ物を扱うかのような繊細さで舌を這わせる。

 自分が立てる湿った水音に、エルマは羞恥で耳まで桜色に染めながらも、

 その濡れた瞳だけは、主人の快楽を一心に追求する牝犬の輝きを宿していた。

 

「くく……学ぶのが早いねぇ。その舌は剣なんかよりよほど役に立つ」

 

 ランベールの諧謔に満ちた声が降り注ぐが、その嘲弄すら今の彼女には誉れである。

 再び亀頭へと唇を戻し、雁首の隘路をくまなくなぞるように舌を這わせながら、

 熱っぽい吐息を勃起した肉幹へと吹きかける。

 その瞬間、男の身体が微かに震えたのを敏感に感じ取り、

 エルマの碧眼に勝利の色がちらりとよぎる。

 それは、自分が彼を感じさせているという、歪んだ優越感に他ならなかった。

 

「っはぁ……んむっ、じゅるるっ……れろっ、ちゅっ、ちゅぱぁっ♡」

 

 喉の奥から込み上げる嗚咽と唾液を、自らの口腔粘膜で丁寧に拭いながら、

 積極的に頭を前後させる。肉棒全体を唇と舌で愛撫し、

 時折、先端を喉奥まで咥え込んでは、苦しげに眉を顰める。

 その苦悶の表情すら、ランベールにとっては極上の催淫剤だ。

 商売女の機械的な技巧とはわけが違う。

 これは、名門の血を引くエルフ令嬢が、深い自己嫌悪と背徳の愉悦に苛まれながら、

 自ら進んで捧げる生贄の儀式なのだ。

 

 口の中に広がる男の匂いと味覚が、脳を蕩かす。

 アナルに仕込まれた性樹が、口腔粘膜の刺激に呼応するように蠕動を始め、

 肛門がきゅんきゅんと疼き始める。もはや彼女の身体は、どれか一つの性感帯を刺激されれば、

 連鎖的に全身が発情する淫らな楽器へと作り変えられていた。

 腰が勝手に揺れ、空気を求める肛門の括約筋が、切なげにヒクつく。

 

「ふふ、腰が揺れているよ、エルマ君。

 その淫乱な尻穴は、こんな時でも何かを咥えたくて仕方がないらしい」

 

 ランベールの指摘に、エルマは羞恥で身体を震わせるが、

 決してその淫らな動きを止めようとはしなかった。

 むしろ、見せつけるように腰の動きを大きくし、

 口内の奉仕をより一層激しいものへと変える。

 頭は獣欲のままに前後し、唇は卑猥な水音を高らかに奏でながら、

 男根を根元まで深く呑み込んでゆく。

 

 喉の奥で、肉槍の先端がひくつく感触。

 限界が近い事を悟り、エルマは両手を男の腿に添え、最期の搾精へとその身を捧げた。

 もはや、誰のための奉仕かなど、彼女の意識の外だ。

 ただ、目の前の雄の快楽だけが、彼女の存在を許された唯一の檻であり、聖域だった。

 自らを汚す水音だけが、静寂の艦内で空しくこだましている。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 肉竿の根本を包み込む銀髪が、艶めいた波のように揺らいでは、

 汗と唾液の混じり合いが反射する微かな光を捉える。

 唇の端から溢れ出る透明な糸は、羞恥を煎じ詰めた薬湯のようであり、

 それが顎を伝って白磁の胸元へと滴り落ちる様は、

 淑女らしからぬ淫らな装飾として彼女の肌を辱めていた。

 

「んちゅっ……れろっ、じゅぽっ……♡」

 

 喉の奥で鳴る水音は、

 戦場の轟音に代わって彼女の存在を証明する唯一のリズム。

 亀頭の裏筋を舌先で擽るたび、上目遣いに送られる碧眼の潤み。

 その瞳の奥で揺らめく色は、主人への絶対服従を誓う媚びであると同時に、

 皮肉にもある種の熱情を孕んでいるかのようにも見受けられた。

 あたかも、不器用ながらも一途な恋心を胸に抱く乙女が、

 初々しくも献身的に愛しい男に奉仕するかのような──。

 

 錯覚だ。

 それは、あまりにも甘美で、残酷な錯覚である。

 

 肉槍の根本を握りしめた細指が、恋人の手を握るかのように優しく、

 しかし確固たる意志をもって肉を押し潰す。握りしめられた肉塊は、

 その奉仕に呼応するかの如く脈打ち、熱を増していく。

 舌は過去を懐かしむ旅人のように、刻まれた血管の隆起をなぞり、

 包皮の褪せた襞を哀れむように舐め上げる。

 吸い付き、扱き上げるその一挙手一投足にこめられた熱量は、

 到底ただの性奴隷が義務を果たすだけのものではない。

 肉の味を確かめ、精の射精を乞い、己が子宮への注灌を渇望する牝の本能が、

 その奉仕に煌々たる炎を灯しているのだ。

 

 それは、想いだ。

 

 不純極まりない、歪んだ想いだ。

 だが、盲点であろう。ランベールという独裁者の竿に心を捧げているのではない。

 彼女がその瞳で見つめているのは、今、

 この筒先から注ぎ込まれる快楽の正体でも、この男の笑顔でもない。

 彼女の心眼が見つめる先には常に、見えない亡霊が鎮座しているのだ。

 

『ヒロ』。

 

 その名が、彼女の脳髄を焼き、魂を縛る呪詛であり、

 同時に何よりも危険で淫らな劇薬でもある。

 愛する男に捧げるつもりでいた純潔を、代わりの男に貪られる背徳感。

 その二律背反の狹間でこそ、彼女は淫らな牝としての真価を発揮するのである。

 だからこそ、そのフェラ貌は蠱惑的であり、その唇は熱を帯びる。

 裏切りという名の極上のスパイスが、

 彼女の奉仕をただの性処理から、恍惚の儀式へと昇華させていた。

 

「っはぁ……んむっ、ぢゅぽぽっ……れろぉっ♡」

 

 頬を窄め、空気を抜くように吸引すれば、ランベールの頁を刻む眉が快楽に歪む。

 それを見届けたエルマの碧眼に、微かだが確かな光芒が走った。

 それは主君を悦ばせた者の矜持か、それとも男を征服した牝の優越か。

 いずれにせよ、その笑みはどどんな淫売よりも扇情的であり、

 どのような名演技よりも真相を突いていた。

 彼女は、この背徳の奉仕の中でのみ、強烈な自分を実感できるのだ。

 堕ちた女は、泥濘に沈むことでしか、既に光を失った空を見上げることができないのだから。

 

 だが、その熱心さが、支配の均衡に微かな揺らぎを生じさせていることには、

 当の本人すら気づいていない。奉仕に込められたその「想い」が、

 皮肉にもランベールという男の思考に、予期せぬ滞りをもたらそうとしていた。

 無機質な快楽処理の筈が、奇妙な質量を帯び始めている。

 その「バグ」がやがて均衡をどう破るか、天秤は未だ揺らぎ続けている。

 

 艦内に響く水音は、諧謔めいた余韻を残し、

 不知火の如く深淵なる闇へと溶けていった。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 唇が、肉棒に吸い付いていた。

 

 物理的な真空圧などという生ぬるい表現では到底言い表わせない。

 それは、飢えた蛭が血を求めて皮膚に食らいつくがごとき、

 執拗で、粘着質で、そして何より淫らなる「接吻」であった。

 銀髪のエルフが中年貴族の汚らわしい男根を

 含んでいるというだけでも十分に倒錯的な光景であるというのに、

 その碧眼を潤ませ、鼻腔をひくつかせながら、

 さもこれは至高の蜜の如くとばかりに頬を窄めて嚥下する姿は、冒涜的ですらあった。

 

「んっ……んむぅっ! ……ぢゅぽっ、れろぉっ♡」

 

 舌が、蠢く。

 熟練された蛇が獲物を絡め取るように、あるいは恋人を愛撫するかのように、

 肉棒の裏筋をなぞり、亀頭の鈴口を擽る。

 唾液が、とめどなく溢れる。

 それは潤滑油などではなく、彼女の屈辱と、抗いがたい発情が混ざり合った淫靡な露液。

 口角から垂れ落ちる透明な糸が、

 白磁のごとき顎を伝い、華奢な首筋へと汚らしく滑り落ちていく。

 

 だが、彼女の苦悶は口腔に留まらない。

 アナルに埋め込まれた『性樹』の根が、

 口腔粘膜の摩擦と嚥下の反応に呼応し、腸壁の最深部を直接蹂躙し始めていたのだ。

 

「んぁああっ!! ……ひぅっ、あぁっ♡」

 

 ビクンッ! と、エルマの細身の肢体が反り返った。

 性感帯を灼く劣情の奔流に耐えながら、それでも彼女は奉仕を緩めなかった。

 緩めるどころか、その苦悶すらもランベールへのご奉仕という名の薪にくべ、

 自ら頭を振って肉棒を喉奥へと迎え入れる。

 苦しい。

 酸素が足りない。

 嘔吐感が込み上げる。

 それでも、この肉杭から放たれる雄のフェロモンと、

 最愛の『ヒロ』への裏切りの背徳感が、彼女を狂乱の坩堝へと突き落としていた。

 

「くくっ……優秀だねぇ、エルマ君。君のその口は、どんな高位魔術師の詠唱よりも雄弁だ」

 

 ランベールが愉悦に歪んだ声で呟き、エルマの銀髪を掴む手に力を込める。

 その言葉は、彼女の矜持を粉々に砕く鎚でありながら、

 同時に歪んだ喜劇の幕を引く綱でもあった。

 彼は、腰を突き出した。

 深く、凶悪に。

 

「っぐぼっ!! ……おっ、ぉぉぉっ♡♡」

 

 喉の最奥を突き破り、精管が膨張する感触。

 限界だった。ランベールの肉棒が、エルマの口腔内で脈動し、大量の白濁液を噴き上げた。

 ドクッ、ドククッ!! と、喉奥に直接注ぎ込まれる生温かく、青臭い液体の奔流。

 エルマは窒息しそうになりながらも、本能的に喉を鳴らし、

 その悍ましい精液を一滴残らず嚥下しようとする。

 コクッ、コクンッ! という嚥下音が、静寂なる艦内に淫らに響き渡った。

 

 口を離した瞬間、彼女の唇から透明な糸と白濁が混じり合った液体がどろりと垂れ落ちた。

 顔を上げ、酸素を貪るように喘ぐその顔は、涙と涎と精液でぐしゃぐしゃに汚れている。

 だが、その碧眼は虚ろに見えながらも、どこか陶酔した光を宿していた。

 

「……はぁっ、はぁっ……ごっ、ごくんっ……♡」

 

 アナルの性樹が、精液の味と嚥下の反射に呼応し、腸内で更に激しく蠕動する。

 尻穴が空虚を求めてヒクつき、彼女は四つん這いのまま腰を砕き、獣のような嬌声を上げた。

 

「ぃゃぁああああっ!! ……イっ、イくううぅっ!! あぁああんっ♡♡」

 

 視界が白く染まる。ヒロへの愛と、ランベールへの屈服。

 その二律背反の果てに、彼女はただの雌として絶頂の渦に飲み込まれていった。

 

 そんな彼女の痴態を冷ややかに見下ろしながら、

 ランベールは端正だが冷酷な笑みを深めた。

 視線の先には、艦内モニターに映る再生槽の中で眠るヒロの姿がある。

 右肩の虚無に、アストラル体の凝縮液が不気味な泡となって注ぎ込まれている。

 

 エルマはただ、痙攣する身体を抱きしめながら、アナルの奥深くで脈打つ性樹の根を、

 そして唇に残る男の味を、無意識に貪り続けていた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 

 艦内に漂う静寂は、殺菌消毒液の匂いと、微かな機械の駆動音だけで綴られていた。

 航宙戦闘艦クリシュナの医療区画。

 その中心に鎮座する再生槽のなかで、キャプテン・ヒロは未だ微睡みの中にあった。

 失われた右腕の断面からは、アストラル体の凝縮液が不気味な泡となって注入され続けている。

 それは治療という名の、

 出版された書物の余白に新たな物語をねじ込むがごとき冒涜的改変でもあった。

 

「順調だねぇ。実に順調」

 

 ドロドロとした濁声が、静謐なる空気を汚した。

 モニターを凝視する中年男──ランベールの口元には、

 諧謔と油断が入り混じった笑みが張り付いている。

 現状の示した「部分的成功」は、彼に安堵と、同時に深刻なジレンマをもたらしていた。

 修復は進んでいる。

 だが、ただ修復しただけではバルタザールという化け物には勝てぬ。

 一閃流の演武データを刷り込んでも、それを使いこなすにはヒロの武が未熟すぎる。

 幼子に総理大臣の椅子を渡すようなもので、付け焼刃にもならないのだ。

 そして何より、クリスの妊娠。

 あの小さな腹に宿ったバルタザールの種は、確実にカウントダウンを始めている。

 機械の不調を理由に引き延ばし工作をしたところで、限界は一ヶ月。

 その頃には、クリスの腹は目立ち始め、事実として周知されてしまうだろう。

 そこまでがタイムリミットだ。

 

「ふぅ、難しいねぇ。中間管理職も板挟みじゃ楼閣を築けぬ」

 

 ランベールはぼやき、しかし視線を足元に落とした。

 そこには、彼の苦悩を癒やす最上の奉仕者がいた。

 

 エルマ・ウィルローズ。

 黒と白のメイド服に身を包んだ一匹の牝犬。

 

 その衣装は、女体の淫猥なラインを強調するために丹念に仕立てられた悪意の結晶である。

 生地は限りなく薄く、吸い付くように肌へ密着し、曲線の隆起と陥没を却って強調している。

 胸元では、ふたつの乳肉を包み込む乳袋が狡猾な設計をもって形成され、

 その重みと柔らかさをあからさまに誇示していた。

 黒の布地に切り抜かれた穴は、まさにパイズリ奉仕のために存在する。

 そこから覗く白磁の谷間と、充血した桜色の乳首は、

 男の視線を釘付けにする美味なる餌である。

 そして、少し動くだけで白磁の豊尻が仄かに露わになる短いスカート。

 その裾から伸びる長い脚と、太腿の間に忍ぶ秘めごとの香り。

 それらはすべて、オスを狂信させるための、セックスのための典礼服であった。

 

「んちゅっ……れろぉっ……ぢゅぽっ♡」

 

 そんな淫らなる聖女が、今はランベールの股間に顔を埋めていた。

 彼女の唇は、相棒の危機を憂う嘆きではなく、

 汚らわしい肉棒を愛おしむ嬌声によって埋め尽くされている。

 舌は亀頭の裏筋を舐め上げ、喉奥は肉幹を締め上げ、剣を握ったその指は、

 今はただ男の快楽を搾り取るためだけに蠢いている。

 

「っはぁ……んむっ、ぢゅるっ♡」

 

 銀髪が揺れるたび、かつての矜持が髪垢として落ちていくかのようだ。

 だが、その碧眼に浮かぶ涙の粒だけは、清廉で固い。

 彼女の心の奥底には、未だヒロへの愛という頑迷な鎧が残っている。

 それがバグであり、同時に背徳の快楽を増幅させる劇薬でもあった。

 

「優秀だねぇ、エルマ君。君のその口は、どんなアキレウス腱よりも脆い英雄の弱味を知っている」

 

 ランベールは愉悦に目を細めた。

 彼にとってこの時間は、昼の憂鬱を忘れさせる極上の 宴である。

 そしてまた、この宴の最中にこそ、思考は冴え渡るのだ。

 

 肉棒の脈動が、彼に答えを促す。

 一閃流だけでは足りぬ。

 ならば、どうするか。

 クリスの妊娠が確定するまでに、ヒロをどう仕上げるか。

 

 ランベールの手が、エルマの長い耳を撫で上げる。

 ビクンッと跳ねる細身の肢体。

 性樹の根が腸壁を蠢かせ、快感の波が彼女を打ちのめす。

 だが、その痙攣すら利用する。

 思考は止まらない。

 

(一か月……いや、まだ引き延ばせるか? だが、それも限界だ。

 ならば賽は投げられたか。いや、まだだ。まだだよ)

 

 ランベールは天を仰いだ。

 まだ、ジレンマは解けない。

 だが、この口の温もりがある限り、彼は最善手を探し続けるだろう。

 たとえそれが、最悪の手であったとしても。

 

 艦内の静寂は破られ、水音と濁声が染み替わっていく。

 物語の頁は、まだめくられていない。

 

 思考は、肉の快楽の中にこそ澄み渡る。

 

 ランベールは目を細めた。

 口内に広がる粘膜の温もり、舌の蠢き、喉奥の締め付け。

 それらは単なる生理現象ではなく、思考を加速させる燃料だ。

 

 喉の奥で脈動する肉棒から、快楽の予兆がせり上がってくる。

 エルマの銀髪を掴む手に力がこもる。

 彼女は苦悶に顔を歪めながらも、献身的に頭を振り続けた。

 その碧眼に宿る涙が、ヒロへの愛という名のバグであることを知りながら。

 それが、更なる背徳のスパイスとなることを知りながら。

 

(バグ……バグか)

 

 その言葉が、脳裏で反響する。

 エルマの中のバグ。

 ヒロの中のバグ。

 そして、この状況全体のバグ。

 

(バグこそが、鍵か)

 

 ランベールの口元に、凶悪な笑みが浮かぶ。

 そうだ。完璧な設計図など要らない。

 必要なのは、既存の法則を覆す「エラー」だ。

 主人公補正という理不尽な力に対抗できるのは、同じく理不尽なバグしかない。

 

(ワタシが与えたデータは、あくまで正規の手順だ。

 だが、あの男は正規の手順で勝てる相手ではない。ならば、どうする?)

 

 答えは出た。

 壊すのだ。

 一度、組み上げた論理を。

 砕けた器にこそ、新たな理を流し込める。

 

(再生槽のプログラム、書き換えるか。いや、もっと直接的に……)

 

 ランベールはエルマの頭を引き寄せ、深く喉奥まで肉棒を沈めた。

「んぐっ!! ……おっ、ぉぉっ♡」

 エルマが悲鳴にも似た嬌声を上げるが、それは思考のBGMに過ぎない。

 精液が噴き出す感覚と共に、確信めいた答えが脳裏に刻まれた。

 

(そうだ。壊して、繋げる。ヒロの中にあるバグと、ワタシが植え付けるバグを。

 それこそが、あの化け物を超える唯一の手だ)

 

 射精の余韻の中で、ランベールはモニターに映る再生槽を見つめた。

 泡となって消えるアストラル体の凝縮液。

 それは治療薬ではなく、劇薬だ。

 そして今、その劇薬に更なる毒を混ぜる時が来た。

 

「エルマ君」

 

 名を呼ぶと、彼女は精液に汚れた顔を上げた。

 虚ろな碧眼に、微かに理性の残滓が揺らめく。

 

「君の愛しい騎士様はね、これから少しだけ遠回りをする。

 だが安心したまえ。それは破滅への道ではなく、修羅への近道だ」

 

 ランベールは立ち上がり、再生槽の操作パネルへと歩み寄った。

 指先が、特定のコードを入力していく。

 それは禁忌のコード。

 ヒロの精神と肉体を、一度リセットし、再構築するための起爆剤。

 

「さあ、始めようか。第二幕の幕開けだ」

 

 パネルが赤く明滅し、再生槽内の泡が激しく沸き立った。

 ヒロの身体が痙攣し、失われた右腕の断面から蒸気が噴き出す。

 

 エルマはその光景を、涙で滲んだ視界の中で見つめていた。

 何が始まるのか分からない。

 ただ、これまでの均衡が壊れる音だけは、確かに聞こえた。

 

 艦内に警報音が鳴り響く。

 だがそれは、敵襲を知らせるものではない。

 新たな怪物が誕生する産声だった。

 

 喉奥を灼くような精液の逆流が、エルマの口腔を蹂躙し終えた後も、

 銀髪のエルフはしばらくの間、虚脱したように床へへたり込んでいた。

 白濁にまみれた唇からは、呼吸のたびに生臭い吐息が漏れ、

 淫らに充血した碧眼は焦点を結ばない。アナルに仕込まれた性樹の根が、

 射精の嚥下に呼応して腸壁を容赦なく貪り、彼女を絶頂の余韻から抜け出させないのだ。

 ランベールは、そんな彼女の無様な様を肴に、わざとらしく一息ついた。

 中年男の脂ぎった指が、再生槽のガラス越しにヒロの眠る無防備な顔をなぞる。

 

「さて、問題はここからだねぇ」

 

 独り言のような呟きは、しかし確信に満ちていた。

 彼は知っている。

 過去数百年に渡り、数多の星系で主人公を観察し、

 そのヒロインを寝取り堕としてきた彼の悪意のデータベースが告げている。

 今のヒロは、ただ強化されただけの「壊れた人形」に過ぎない。

 右腕を失い、最愛の女たちを目の前で奪われた屈辱は、確かに修羅への燃料にはなる。

 だが、それだけではバルタザールという理外の怪物には届かない。

 一閃流の演武データ? 

 高密度アストラル体による強化? 

 その程度が通じる相手ではないのだ。

 

「あの男を超えるには、同じ理では殺せない。バグで呑み込むしかないんだが……」

 

 ランベールの視線が、モニターの隅に表示された別のデータへと移る。

 ダレインワルド伯爵家の当主、バルタザールの姪にして、

 今や彼の腹に宿るだろう種の器──クリスティーナ。

 彼女の存在こそが、この盤面における最大のジョーカーであり、

 同時に最も厄介な時限爆弾だった。

 

「一ヶ月。遅くとも二ヶ月。あの小さな腹が膨らめば、クリスは『母』になる。

 同時に、ヒロの敗北も確定する。奪還した時には、もう彼女はヒロだけのものじゃないからねぇ」

 

 孕み腹の姪を抱く叔父。

 その光景を想像するだけで、ランベールの股間は再び熱を持って鎌首をもたげる。

 だが、その倒錯した興奮とは裏腹に、冷徹な論理が彼の脳裏を占めていく。

 もし今、クリスを救えなければ、ヒロの物語は終わる。

 主人公としての補正は消え、ただの復讐失敗者の烙印を押されて闇へ消えるのみだ。

 逆説的だ。

 ヒロを「復讐鬼」として完成させるためには、彼を絶望の底へ突き落とす必要がある。

 だが、その絶望が「不可逆な現実」となってしまえば、もはや這い上がることすら許されない。

 

「……皮肉なもんだねぇ。寝取った女を、救わなきゃいけないとはね」

 

 ランベールは自嘲気味に笑った。

 だが、答えは出た。

 彼がこれからヒロに植え付けるべきバグは、武の極致などではない。

 それは「喪失の恐怖」を「絶対的な殺意」へと変換する、精神のアルゴリズムだ。

 クリスが汚され、孕まされ、壊れていくという絶望的な未来予測。

 それをリアルタイムで脳髄へ焼き付け、理性を焼き尽くすほどの狂気を燃料にしてこそ、

 一閃流の「理」を超える理外の剣が振れるのだ。

 

「エルマ君」

 

 名を呼ばれ、泥濘から抜け出せないエルマが虚ろな瞳で見上げる。

 その口元には、まだランベールの精液が糸を引いていた。

 

「君の愛しい騎士様は、これから地獄の底を覗き込む。

 だが安心したまえ。それは破滅への片道切符じゃない。

 ……ああ、そうだ。ワタシが案内してあげよう。修羅への近道をね」

 

 ランベールは操作パネルへと歩み寄り、精神監獄を構築。

 再生槽の泡立ちが激しさを増し、ヒロの身体が痙攣する。

 失われた右腕の断面から噴き出す蒸気が、艦内を白く染め始めていた。

 

「ふふ……中間管理職も、たまには現場で手を汚さないとねぇ」

 

 ランベールはそう呟きながら、再びエルマの銀髪を掴み上げた。

 彼女は抵抗せず、ただ従順に、そして悲しげに、再び男の股間へと顔を埋める。

 新たな怪物が誕生する産声が、静寂なる艦内に響き渡ろうとしていた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 精神と肉体の境界が暧昧なる監獄、その名を精神監獄(メンタル・プリズン)と呼ぶ。

 空間は純白の虚無に支配され、上下左右の概念は溶解している。

 ただ二人の男のみが、その白磁の舞台に立ち峙んでいた。

 

「はぁっ、はぁっ……!」

 

 キャプテン・ヒロの呼吸は乱れ、握りしめた愛剣エアスト・ノインの柄が汗で滑りそうになる。

 対峙するは、漆黒の燕尾服に身を包んだ悪徳貴族ランベール。

 彼の手には剣はない。

 ただ、十指がゆるやかに組まれているのみ。

 

「さあ、踊りたまえ。キャプテン」

 

 ランベールの唇から零れるのは、慈悲ではなく嘲笑だ。

 組まれた指が解かれると同時に、空間が歪んだ。

 

 幻視せよ。

 いざ、剣舞の始まりである。

 

 ヒロは地を蹴った。

 右足で床を砕くほどの踏ん張りと共に、白刃が閃く。

 真空を切り裂く刃は、速さ故に残像すら残さず、

 ランベールの喉元へと吸い込まれていく。

 

(当たるっ……!)

 

 勝利を確信した次の瞬間、世界は悲鳴を上げた。

 

「なっ……!?」

 

 刃は空を切った。

 いや、空すら切り裂けなかったのだ。

 ランベールの姿はヒロの剣が届く寸前で蜃気楼のように揺らぎ、

 次の瞬間には背後に回り込んでいた。

 まるで、始めからそこにいなかったかのような。

 いや、それは「回避」ではない。

 空間そのものがランベールを避けたかのように、

 自然現象として彼は移動したのだ。

 

「遅いねぇ。剣速だけなら目覚ましいが、殺意が簿らぎすぎているよ」

 

 ランベールの声は、耳元ではなく脳髄に直接響く。

 冷ややかな吐息が首筋を撫で、戦慄が背筋を貫く。

 

「てめぇっ……!」

 

 ヒロは即座に回転斬りを繰り出す。

 だが、その剣先が描く円は、ランベールの笑顔を切り裂くことは叶わない。

 彼はただ、優雅に一歩踏み出すだけで、

 剣圧が生み出す風圧の圏外へと歩を進めるのだ。

 それはまるで、嵐の中を傘も差さずに散歩する紳士のごとく。

 

(なんだ、この差は……!)

 

 ヒロの歯が鳴る。

 現実世界でバルタザールに敗れた記憶がフラッシュバックする。

 あの時と同じだ。

 いや、それ以上か。

 バルタザールは圧倒的な暴力で理をねじ伏せたが、

 ランベールは理そのものを書き換えているかのような錯覚。

 

「どうしたね、キャプテン。剣が泣いているぞ。

 主の弱さに嘆いておられる」

 

 ランベールの指先が、空中に静止したヒロの剣を弾く。

 コインを弾くかのような気軽さで、

 数トンの衝撃がエアスト・ノインを通じてヒロの腕を砕いた。

 

「ぐあぁぁっ!!」

 

 手首の骨が軋み、剣が手から弾け飛ぶ。

 ランベールは隙を狙わない。

 ただ、慈愛にも似た冷酷な瞳で見下ろすだけだ。

 

「君の剣は『感情』だ。怒りも、悲しみも、背景故事も背負いすぎて重いんだよ。

 だが、ワタシの剣は違う。『結果』だけを追求する。ただそれだけの事さ」

 

 指が、ヒロの胸元をツンツンと突く。

 毎回、心臓が停まりそうな衝撃が走るが、肉体は傷つかない。

 ただ、精神が削り取られていくのみ。

 ランベールの手は、ヒロの目の前で五彩に踊る。

 右、左、上、下。

 その指の動き一つで、ヒロは翻弄され、苔むした古井戸のごとく深淵へ突き落とされる。

 

(笑えないねぇ、まったく)

 

 ランベールの内なる声は、幻影の創造主としての余裕を保っていた。

 この精神監獄は彼の支配領域。

 この中では彼が神であり、ヒロはただの手足をもがれた蛙に過ぎない。

 

「だから、寝取られるんだよ」

 

 現実世界で、その言葉が耳元で囁かれた気がした。

 白濁の臭いと共に。

 

 ***

 

 現実は、もっと生々しい腐臭を放っていた。

 

 航宙戦闘艦クリシュナの医療区画。

 モニターに映る精神監獄の惨劇をBGMに、

 ランベールの股間では、別の惨劇が奉仕されていた。

 

「んちゅっ……れろっ……ぢゅぽっ……♡」

 

 苦悶と絶頂の狹間で、唇はランベールの肉棒を愛おしむかの如く含み込み、

 忠犬のごとく搾精に勤しむのだ。

 

 恍惚と絶望は、シームレスに接合されている。

 喉奥を突かれるたび、碧眼は白濁に潤み、

 長い耳は羞恥と快楽の狹間でビクビクと跳ねる。

 その蠢き一つ一つが、ランベールの性欲という名の燭火に油を注ぐのだ。

 

「くくっ、いい音だねぇ。君の口から鳴る水音は、どんな交響曲より音楽的だ」

 

 ランベールはエルマの銀髪を掴み、腰を律動させる。

 彼女の口腔という名の聖域を、異端の肉槍で冒涜しながら、

 視線はモニターへ注がれている。

 

 そこには、精神監獄で無様に転がるヒロの姿。

 三角網目のごとく亀甲縛りで空中に固定され、

 ランベールの分身たちが剣戟の雨を降らせている。

 

「見たまえ、エルマ君。君の愛しい騎士様は、ワタシの指先一つで弄ばれている。

 君が今している奉仕と、何ら変わりないねぇ」

 

 その言葉は、鵺のごとく彼女の魂を噛み砕く。

 モニターの中のヒロは、叫んでいるようだった。

 助けてくれと。

 だが、その声は届かない。

 届くのは、喉奥を犯す肉棒の圧と、

 アナルで爆ぜる性樹の濁流のみ。

 

「んむっ! ぐっ、ぢゅるっ♡♡」

 

 嚥下の衝動。

 精液の逆流。

 それら全てが、背徳の甘露となってエルマの理性を溶かしていく。

 ヒロが苦しめば苦しむほど、

 自分はこの男に貪られ、悦ぶという倒錯したパラドックス。

 そのバグこそが、彼女の存在を支える呪縛であり、同時に鎖だった。

 

 ランベールの指が、モニターのスイッチを弾く。

 精神監獄の時間流が加速する。

 ヒロにとっての数時間が、一瞬にして圧縮され、

 飽和した絶望が彼の脳髄を焦がす。

 

「ほら、もっと吠えたまえ。

 君のその口が、ワタシのモノであることを証明するための音楽だ」

 

 肉棒が脈動する。

 ランベールは、加速するヒロの絶望を肴に、

 口内射精という名のフィナーレを迎えようとしていた。

 

 白濁の噴出と共に、モニターの中のヒロが音を上げて崩れ落ちる。

 その光と影のコントラストこそが、

 彼にとって何よりの極上のシロップであった。

 

 精神監獄の無限ループは続く。

 敗北と陵辱の、永遠に終わらぬ循環。

 その中心で、ヒロの魂は明滅し、

 現実のエルマは、背徳の快楽に沈みゆく。

 

 天秤は傾いたかのように見えて、

 実は深淵の底で未だ揺らいでいる。

 

 結果は告げている。

 これは「失敗」であると。

 ヒロの反抗は失敗であり、

 エルマの抵抗もまた失敗だ。

 だが、同時にこれは「計画の遅延」でもある。

 完全なる支配には至っていない。

 崩れかけた均衡は、ただ一つのバグで、

 どう転ぶか分からぬ混沌の中にあることを。

 

 水音と濁声が混ざり合う艦内で、

 白と黒の影像だけが、ぐにゃりと歪んでいた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 時は満ちた。

 精神監獄に囚われたヒロの眼前で、

 ランベールの指先がゆっくりと組まれた刹那、純白の虚無空間が震えた。

 それは武の極致を示す予兆であると同時に、一匹の獣が檻から解き放たれる瞬間でもあった。

「見せてあげよう。ワタシが何故、一閃流の師でありながら、君のその未熟な剣に興じているのかを」

 ランベールの唇が、歪んだ三日月を描く。

 組まれていた十指が解かれると、そこには既に一振りの剣があった。

 現実世界の物質ではない。

 ランベールの殺意と、数多の修羅場で培った経験則が結晶化した、幻影の剣。

 それはエアスト・ノインのような重量感のある大剣ではなく、息を呑むほど細く、長い。

 風がそよぐだけで折れてしまいそうな銀色の柳葉が、無骨な鞘に納められている。

「一閃流とは、本来かくも無骨で、かくも繊細なものだ。

 何しろ、星を裂き、悪しき超越存在を斬るための技術だからねぇ」

 ランベールの構えは、バルタザールのそれとは根本的に異なっていた。

 バルタザールが全身の筋肉を駆使し、圧倒的な膂力と魔力で理をねじ伏せる『剛』の剣ならば。

 ランベールの剣は、構えぬことで無限の選択肢を相手に強いる『柔』の極致。

 彼の身体からは、殺気という名の重圧すら感じられない。

 ただ、そこに立っているだけ。

 だというのに、ヒロの本能は警鐘を打ち鳴らしていた。

 全身の肌が粟立ち、震えが止まらない。

 バルタザールと対峙した時とは比較にならないほどの、根源的な恐怖。

(こいつ……バルタザールよりも、強い……!)

「さあ、始めようか。弟子の無様の後始末を」

 ランベールの銀色の柳葉が、虚空を一閃する。

 途端、ヒロは己の肉体が両断される幻覚に襲われた。

「があぁぁっ!!」

 右肩から左腰にかけて、斜めに走る斬撃線。

 しかし、傷はない。

 血も出ていない。

 だが、斬られたという感覚だけは、脳髄を直接灼くように鮮明に刻まれる。

「これが、一閃流奥義『理の切断』の真の姿だ。バルタザールのそれとは、次元が違う。

 奴は物理を斬った。ワタシは、君の『生きる可能性』そのものを斬り捨てたのさ」

 ランベールの嗤いと共に、ヒロの身体が床に崩れ落ちる。

 立ち上がろうと藻掻くが、膝が笑い、指先一つ動かせない。

 それは精神監獄のバグではない。

 彼の身体が、既にランベールの剣によって『敗北』という結末を学習させられてしまったのだ。

「これが現実だよ、キャプテン。君はまだ、剣を持つ資格すらない。

 せいぜい、地面を這い回りながら、己の無力さを骨の髄まで味わうがいい」

 ランベールの銀色の柳葉が、再び閃く。

 今度は、喉元を横薙ぎに走る死の軌跡。

 ヒロは動けない。

 避けられない。

 死を覚悟したその瞬間、彼の右目が熱を帯びた。

 失われた右腕の幻肢痛が、激しく脈打つ。

(まだだ……終わってたまるか……!)

 彼の魂の底から、黒い炎が噴き上がる。

 それは殺意でも、復讐心でもない。

 彼が愛した女たちの泣き顔と、

 無惨に散った仲間たちの無念が燃料となった、純粋な『抗い』だった。

「おおおおおぉぉぉっっ!!」

 金切声と共に、ヒロの全身に稲妻が走った。

 麻痺していた神経が強制的に再接合され、彼は獣の如く跳躍する。

 ランベールの必殺の一撃は、彼の首筋を掠めたが、致命傷には至らない。

 血飛沫が舞い、耳元で空気が爆ぜる音がする。

「ほぉ……?」

 ランベールの柳葉が、微かに震えた。

 それは歓喜か、それとも動揺か。

「バグの芽だねぇ。実に興味深い。だが、抵抗するからこそ、切り甲斐があるというものだ」

 再び、白銀の閃光が奔る。

 今度は三連撃。

 喉、心臓、下腹。

 人体の急所を寸分違わず貫く殺人剣。

 ヒロは避けることを放棄した。

 むしろ、自らその剣戟の嵐の中へと飛び込む。

 右の幻肢が、疼く。

 失われた筈の腕が、エアスト・ノインを握り締める幻覚。

 それはただの錯覚ではない。

 アストラル体が生み出す、新たな右腕の萌芽だった。

「うぉおおおっ!!」

 振りかぶった見えざる右腕が、ランベールの剣戟を打ち払う。

 虚空に炸裂する金属音。

 相殺された衝撃波が、純白の監獄をビリビリと震わせた。

「……剣を、打ち払ったか。だがね、それだけじゃ足りないよ」

 ランベールの身体が、ふわりと宙に浮かぶ。

 組まれた十指が解かれ、今度は無数の剣が彼の背後に出現した。

 一本一本が、ヒロの全力の一撃を凌駕する殺意の結晶体。

 それが、十を超えてヒロを見下ろしている。

「戯れだよ。ワタシは剣を持たぬ。だが、空間そのものを刃とする。

 さあ、この剣の雨を、君はどう躱す?」

 無数の剣が、一斉にヒロへと殺到する。

 まるで流星群だ。

 避けられない。

 防げない。

 ヒロの右腕の幻影が、エアスト・ノインを振りかぶるが、焼け石に水である。

 彼は口の端を吊り上げ、獰猛に嗤った。

「誰が、躱すかよ……!」

 彼は地面を蹴り、流星群の中へと飛び込んだ。

 回避ではない。

 正面突破である。

 精神監獄の時間概念が、彼の闘志に呼応して歪む。

 バルタザールとの戦いで味わった『敗北の記憶』が、彼の剣を冴え渡らせる触媒となる。

 一閃、二閃、三閃。

 エアスト・ノインが唸りを上げ、三本の殺意の剣を叩き割る。

 四本目が左肩を掠め、五本目が脚を裂く。

 血飛沫が舞い、骨が砕ける音が轟く。

 だが、ヒロは止まらない。

 六本目を潛り抜け、七本目を歯で受け止め、八本目を額の骨で砕く。

 それは剣技ですらない。

 まさに『狂戦士』の所業であった。

 ランベールの目が、驚愕に見開かれる。

「なるほど、これは驚いた。技でも、理でもなく、意地だけで喰らい尽くすか」

 ヒロの全身は既に満身創痍である。

 だが、その瞳は爛々と輝き、未だ消えぬ闘志が燃え盛っていた。

 右腕の幻影が、実体化する。

 アストラル体が、彼の復讐心に呼応し、形を成したのだ。

 黒く、不気味に脈動する異形の腕。

 その手には、怨念が結晶化したかのような漆黒のエアスト・ノインが握られている。

「はぁっ、はぁっ……これが、俺の、バグだ……!」

「面白い。実に面白いよ、キャプテン。だがね、その腕はまだ未完成だ。

 せいぜい、数分も保つまい」

 ランベールの声は、もはや教師のそれではなく、一人の剣士としての歓喜に震えていた。

 彼は再び、一本の剣を構える。

 今度は柳葉ではない。

 彼が唯一、現実世界で振るうことを許された、師としての剣。

 それは、無骨で、武骨で、ただひたすらに重い、鉄塊の如き大剣だった。

「『一閃』」

 ランベールの大剣が、光速を超えて振り下ろされる。

 それはまさに、星を両断せしめた絶技。

 バルタザールの『理の切断』とは次元が違う、純粋な斬断の意思。

 ヒロは避けなかった。

 漆黒のエアスト・ノインを振りかぶり、真正面から迎え撃つ。

「うおおおおおおおおっっ!!」

 二つの剣が激突し、精神監獄が崩壊する。

 現実世界では、再生槽のヒロが激しく痙攣し、

 エルマのアナルに埋め込まれた性樹が共鳴現象を起こして暴走する。

 ランベールは歓喜に震えながら、崩れゆく精神監獄の中で高らかに宣言した。

「合格だよ、キャプテン。君は今、修羅への第一歩を踏み出した。

 だが、これはまだ序章に過ぎない」

 視界がホワイトアウトし、ヒロの意識は深い闇の底へと沈んでいく。

 彼の耳に届いた最後の声は、師の諧謔に満ちた囁きだった。

「次に会う時は、現実の地獄で、本当の死合いをしようじゃないか……いや、死合いとは違うな。

 共に星を裂きに行こうか、同志ヒロよ」

 それは、最も歪で、最も危険な、師弟の契りであった。

 そして現実では、ランベールの巨根が再び硬さを取り戻し、エルマの奉仕が更なる段階へと突入する。

 精神監獄の決着が、現実の陵辱に更なるスパイスを加え、彼女を深淵へと突き落とすのだ。

 均衡は破られ、物語は修羅の舞台へと移行する。

 ただ、ランベールの瞳に映るヒロの残像は、

 もはや弄ぶだけの玩具ではなく、いずれ共に天を衝く可能性を秘めた、危うい灯火でもあった。

 官能と殺戮が交錯する艦内で、白濁に塗れた銀狼の遠吠えだけが、むなしくこだましていた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 

 精神と物質、二つの時間軸がねじれた歪曲点において、男は愉悦の杯を掲げていた。

 

 片や、純白の虚無空間で幾度となく死線を超える修羅。

 片や、ヒロの匂いが充満するベッドで、背徳に喘ぐ麗人。

 

 ランベールは、その二つの光景を同時に味わっていた。

 片目は精神監獄に閉じ込めた愛弟子の奮闘を見つめ、

 もう片目は、己が膝上でトロリと溶けゆく銀髪の牝犬を愛でている。

 

「はっはっは! どうしたねキャプテン! その剣筋は素振りの数ほどもないぞ!」

 

 精神世界での彼の歓声は、物理的な音波ではなく概念としてヒロの脳髄を直接殴打する。

 ランベールは十指を組むだけで剣を顕現させ、ヒロを翻弄する。

 一撃必殺。

 理外の剣。

 それを数十倍に加速された時間の中で延々と繰り返すのだ。

 

(さあ、もっと足掻きたまえ。その絶望こそが、ワタシの最高のシロップなのだから)

 

 現実世界でのランベールは、ヒロの私室にあるベッドに腰掛けていた。

 かつてヒロが身を休めていたであろうその場所は、今や背徳の祭壇と化している。

 彼の腕の中には、名残惜しそうに身を寄せる一匹の牝がいた。

 

 エルマ・ウィルローズ。

 

 かつては銀河を翔る気高き「銀狼」。

 今は、ランベールの尻穴調教によって完全に飼い慣らされた一匹の「雌犬」。

 

 彼女は黒と白のメイド服

 ——その実、女体の淫らなラインを強調するためだけに存在する薄手の布切れ——を身に纏い、

 ランベールの首に華奢な腕を回して甘えていた。

 対面座位。

 互いの顔が見える距離で、下腹が密着し、秘部が直結する最も背徳的な体位。

 

「んっ……はぁっ……♡ らんべーる……さまぁ……♡」

 

 エルマの唇から漏れるのは、甘く湿った吐息のみ。

 碧眼は焦点を結ばず、半開きになった口からは涎が糸を引いて垂れ落ちる。

 まさにトロ貌。

 理性の光が消え失せ、ただ快楽に溺れるだけの牝の表情がそこにはあった。

 

「優秀だねぇ、エルマ君。君のカラダはワタシを歓迎してやまないらしい」

 

 ランベールの手が、メイド服の裾から伸びる白磁の太腿を撫で上げる。

 指先が尻肉に触れた瞬間、彼女の肢体がビクンッと跳ねた。

 アナルだ。

 そこにはランベールが植え付けた性樹の根が蠢き、排洩器官を快楽の発生装置へと変えている。

 腸壁が独立して脈動し、男根を締め付ける胎動が伝わってくる。

 

「ひぃッ♡ あっ、あぁんっ♡ きもち……いいぅっ♡♡」

 

 エルマは自ら腰を揺らし、ランベールの巨根を奥深くへと招き入れた。

 腸内を掻き回される感触と、子宮口をノックされる衝撃が同時に彼女を襲う。

 それはかつて味わったことのない、二重の快楽地獄だった。

 

(見たまえ、キャプテン。君が血反吐を吐いて修羅を目指している間に、

 君の最愛の女はワタシとの情事に溺れ、トロリと溶けているのだよ)

 

 ランベールは心中で呟きながら、エルマの銀髪を掻き上げ、露わになった耳元に唇を寄せる。

 長く尖ったエルフの耳は羞恥と発情で真っ赤に染まり、

 ランベールの吐息を受けただけでビクビクと震えた。

 

「君の愛しい騎士様は今頃、精神世界でワタシの剣に翻弄されながら、

 ミミ君を助けられなかった己の無力さを呪っているだろうねぇ」

 

 耳元への囁きは劇薬だ。

 エルマの碧眼に微かに涙が滲む。

 だがそれは悲しみか? 

 それとも背徳的な悦びか? 

 

「んぅっ♡ ひろ……ごめん……なさい……♡ でもっ……きもち……いいのぉっ♡♡」

 

 言葉とは裏腹に、彼女の腰使いは激しさを増していく。

 アナルと秘裂が同時に絶頂へと駆け上がり、

 愛液と腸液が混ざり合った淫靡な露液が太腿を伝って滴り落ちる。

 彼女は自ら唇を重ねてきた。

 獣が餌を貪るかのような激しい口づけ。

 舌を絡ませ合い、互いの唾液を分かち合う。

 

「んちゅっ……れろっ……ぢゅぽっ……♡」

 

 水音が響き渡る医療区画で、彼女はランベールへの愛という名の屈服を叫んでいた。

 

(ああ、なんという背徳。なんという甘美)

 

 ランベールは恍惚としながらも、意識の片割れでヒロへの攻撃を続けている。

 精神監獄で崩れ落ちるヒロの姿と、腕の中でトロリと溶けるエルマの顔。

 そのコントラストこそが、彼にとって至上の歓びなのだ。

 

「さあ、もっと吠えたまえキャプテン。君が苦しむほど、この子は悦ぶのだからねぇ」

 

 ランベールはエルマの尻肉を強く掴み、下から突き上げた。

 

「いゃぁあああっ♡♡ イッ……イくううぅっ!! おじさまぁぁっ♡♡」

 

 銀狼は遠吠えすら忘れ、ただの雌として絶頂の渦に飲み込まれていく。

 

 均衡は、今この瞬間も揺らぎ続けている。

 ヒロは修羅へと近づきつつあるが未完成。

 エルマは堕ちたが芯はまだ完全には砕けていない。

 中途半端な成功ゆえにこそ生まれるこの不安定な張り詰めた糸。

 それが切れる時、果たしてどちらが勝利するのか。

 

 物語はまだ、暗転したまま続いている。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 唇と唇が、喰らい合うように貪り合っていた。

 それは接吻という名の、魂の簒奪である。

 

「んちゅっ……れろっ……ぢゅぽっ……♡」

 

 ランベールの舌が、エルマの口腔を蹂躙する。

 歯列をなぞり、舌の根を擽り、喉奥へと侵入しては、

 彼女の吐息ごと媚液を啜り尽くす。

 まるで、熟れた果実の汁を啜るがごとき貪欲さ。

 あるいは、蜂蜜を携えた蜘蛛が蝶を捕らえるがごとき狡猾さ。

 

 互いの体が、隙間なく密着する背徳の交尾。

 彼女の華奢な腰がランベールの太腿を跨ぎ、

 黒き肉槍が最奥へと深々と突き刺さっている。

 子宮口をノックする角度、腸壁を撫でる質量。

 それら全てが、皮膚という皮膚の境界を溶解させ、

 二人を一つの淫らな生き物へと融合させていた。

 

「あふっ……んぅっ♡ らん、べーる……さまぁ……♡」

 

 エルマの銀髪が、汗で艶やかに濡れそぼり、揺れるたびに靡く。

 その碧眼は、既に理性という名の焦点を失い、

 ただ快楽という名の光源のみを捉えていた。

 だが、その瞳の奥底で微かに揺らめく涙の粒だけは、

 まだヒロという幻影を映し出しているかのようだ。

 

 彼女の身体は、完璧に開発されていた。

 アナルに仕込まれた性樹の根が、

 男根の侵入に呼応して蠕動し、括約筋を独立して脈打たせる。

 排洩器官としての尊厳は地に堕ち、

 ただ男の精液を搾り取るためだけの「ケツマンコ」へと変貌したその穴は、

 今、強烈な収縮波を送り込み、ランベールの肉槍を千切れんばかりに締め上げている。

 

「くっ……優秀だねぇ、エルマ君。君の其処は、まるでワタシを飲み込もうとする深淵だ」

 

 ランベールの指先が、彼女の真紅に熟れた耳を弄ぶ。

 ビクンッ! 

 と、エルマの肢体が反り返った。

 耳が、性感帯へと作り変えられているのだ。

 耳への刺激が直結して子宮を痙攣させ、

 彼女は悲鳴にも似た嬌声を上げながら、自ら腰を振り始めた。

 

「ひぃッ♡ あっ、あぁんっ♡ きもち……いいぅっ♡♡」

 

 機械的なピストンではない。

 生々しい、獣の交尾だ。

 自ら腸内を掻き回し、子宮口を打ち据えるその動きは、

 強制された演技を越えて、純粋なメスの本能が駆動しているかのようだった。

 

(これが、バグか)

 

 ランベールの脳裏に、冷徹な分析が走る。

 彼女のこの熱量は、単なる性処理の反応ではない。

 彼女が「ヒロを愛している」という事実、

 その愛が裏切りという背徳のスパイスを添え、

 倒錯した回路を通じて、歪んだ快楽の爆発を引き起こしているのだ。

 

 彼女はランベールを愛しているわけではない。

 ただ、愛する男の目の前で犯されるという状況、

 あるいは、愛する男が今まさに精神世界で苦しんでいるという事実、

 それらが生み出す背徳感こそが、彼女の感度を限界まで跳ね上げている劇薬なのだ。

 

 皮肉だ。

 愛ゆえに、堕ちる。

 貞操ゆえに、淫蕩になる。

 このバグこそが、彼女をただの便所から、

 極上の「愛玩雌犬」へと昇華させている要因だった。

 

「んむっ……ちゅぱっ……♡ れろぉっ……♡」

 

 唇が離れ、銀糸が引く。

 彼女はトロリと溶けた表情で、ランベールの首に腕を回し、

 その胸に顔を埋めるようにして懇願した。

 

「もっと……くださいぃっ♡ おくの……おくの……ぶち込んでぇっ♡♡」

 

 言葉の端々から零れる、押し殺せない悦び。

 ランベールは凶悪な笑みを深め、

 彼女の腰を強く引き寄せ、更なる深淵へと突き落とした。

 

 ずぶりっ! 

 

「いぃッ♡♡ ああぁぁぁっ♡♡♡」

 

 アナルの奥深く、腸の湾曲部まで肉槍が到達した瞬間、

 性樹の根がまるで歓喜の舞を踊るかのように激しく蠢いた。

 括約筋が痙攣し、腸壁が波打ち、

 男根を唾液のごとく愛液で包み込みながら、

 猛烈な勢いで精液を搾り取ろうとする。

 

「くくっ…… 最高だよ、エルマ君。君のその身体は、ワタシのためにあるねぇ」

 

 ランベールは愉悦の吐息を漏らしながら、

 彼女の乳房を鷲掴みにし、乳首を親指で強く捏ねり上げる。

 

「んぁぁっ♡ イッ……イくううぅっ♡♡ おじさまぁぁっ♡♡」

 

 絶頂の波が、彼女を飲み込む。

 口からは喘ぎが、尻穴からは痙攣が、

 子宮からは切ない疼きが同時に襲い来る。

 三重の快楽地獄。

 彼女は白濁に満ちた海で溺れながら、

 なおも腰を振り続けた。

 

 彼女の唇が、ランベールの耳元で微かに動いた。

 

「……ヒロ……ごめん……なさい……♡」

 

 それは懺悔か? 

 それとも、愛する男への裏切りを彩る、

 歪んだ愛の言葉か? 

 そのバグが、ランベールの支配の糸を微かに緩め、

 あるいは逆に、彼自身をこの倒錯した関係へと縛り付ける楔となるかもしれない。

 

 肉と肉のぶつかる音が、艦内の静寂を汚し続ける。

 結合部から溢れ出す愛液が、シーツに染みを作り、

 二つの影は重なり合ったまま、

 暗転した均衡の中で、更なる深淵へと沈んでいった。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 原始的な生々しい交尾音とあられもない嬌声の重奏が、絶え間なく部屋中に響く。

 エルマの子宮口とランベールの鈴口が熱烈なキスを交わすたび、

 下腹部に熱い電撃が突き抜け、脳髄まで蕩けてしまいそうになる。

 

 艦内の静寂を塗り潰すその水音は、もはや言語の範疇を超えた交響曲であった。

 肉と肉が打ち合う鈍い打撃音、粘膜が摩擦し合う粘着質な水音、

 そして華奢な喉の奥から絞り出される甲高い喘ぎ——

 それらが絡み合い、不協和音を奏でながら狹い個室に充満していく。

 

「あっ、あぁっ、んぅぅっ♡♡」

 

 エルマの碧眼は限界まで見開かれ、焦点を失って虚空を彷徨っていた。

 ランベールの肉槍が子宮の最奥を突き上げるたび、

 彼女の肢体はまるで電流を流されたカエルのごとく無様に跳ね上がる。

 その度に、アナルに埋め込まれた性樹の根が歓喜の蠕動を繰り返し、

 腸壁という名の内臓を、男根に吸い付く極上の肉壺へと変貌させるのだ。

 

 排洩器官としての尊厳は、とっくの昔に霧散していた。

 そこにあるのはただ、異形の触手生物が作り出す、背徳的で暴力的な快楽の奔流のみ。

 括約筋は意思を持たない卑しい唇のようにヒクつき、

 ランベールの男根を逃すまいと猛烈な勢いで締め上げる。

 

「くくっ、実に梗概の良い反応だねぇ。

 君の其処は、まるでワタシを飲み込もうとするブラックホールだ」

 

 ランベールは愉悦に目を細め、諧謔めいた囁きを彼女の耳元に落とす。

 その吐息が敏感な長い耳に触れた瞬間、エルマは再び激しい痙攣に見舞われた。

 

「ひぃッ♡ あっ、あぁんっ♡ そんなっ、ところぉっ♡♡」

 

 耳という名の性感帯。

 そこをランベールに弄ばれるたび、脳髄が直接指で撫で回されるような錯覚に陥る。

 子宮口と鈴口の熱烈なキスが生み出す電撃が、背骨を駆け上がり、脳漿を蕩かす。

 愛液が枯れることなく秘裂から溢れ出し、二人の結合部をドロリと濁らせていた。

 

 だが、彼女を最も深い絶望の淵へと突き落とすのは、この肉体的な快楽そのものではない。

 その快楽を増幅させる最悪のスパイス——

 愛する男への裏切りという背徳感こそが、彼女の魂を蝕む劇薬なのだ。

 

(ヒロ……ごめんなさい……♡)

 

 心の中で繰り返される懺悔。

 それは懺悔であると同時に、倒錯した恍惚でもあった。

 自分は今、愛する男の命を救うため、と自分に言い聞かせながら、

 その実、仇敵の肉棒から得る快楽に溺れ、自ら腰を振っている。

 この逃れ難い矛盾こそが、彼女をただの性処理道具から、極上の「愛玩雌犬」へと作り変えていた。

 

 ランベールはそのバグを知り尽くしている。

 だからこそ、彼はより一層残酷に、そして優雅に彼女を追い詰めるのだ。

 

「さあ、エルマ君。君の愛しい騎士様に報告したまえ。

 ワタシの肉棒が、君の子宮の奥底でどう踊っているかをねぇ」

 

 ランベールの手が、彼女の銀髪を掴み、強引に後ろへと反らせる。

 視界の端に、モニターに映る再生槽の中のヒロが見えた。

 泡の中で眠るその顔は、今もなお苦悶に歪んでいるかのようだった。

 

「いやぁぁっ♡♡ 見ないでっ、見せないでぇっ♡♡ なのにっ、きもちぃっ♡♡」

 

 羞恥が快楽の薪となり、背徳が絶頂の導火線となる。

 エルマの声は悲鳴と嬌声の境界を消失させ、ただの獣の遠吠えへと変質していた。

 

 肉槍が、更に深く潛行する。

 子宮口という名の聖域を、異端の鈴口が執拗にノックし、

 遂には唇を重ね合わせて侵入を果さんとする。

 その圧倒的な質量と熱量に、エルマの抵抗は木っ端微塵に砕け散った。

 

「いくよ、エルマ君。ワタシの愛を、その子宮で受け止めたまえ」

 

 ランベールの低い呟きと共に、肉槍が限界まで膨張した。

 

 どくっ!! どぷっ!! どぷぷぷっ!!! 

 

 熱い。

 濃い。

 重い。

 白濁の奔流が、子宮の奥底に叩きつけられる。

 その生々しい衝撃は、エルマの脳髄を白く染め上げた。

 

「あぁぁぁっ♡♡ イクっ、イくううぅっ♡♡♡ おくにっ、おくにぃぃっ♡♡♡」

 

 アナルの性樹が、精液の注入に呼応して腸内で大暴れをする。

 括約筋が痙攣し、腸壁が波打ち、

 男根を千切れんばかりに締め上げながら、尻穴からも虚しい絶頂が襲い来る。

 

 二つの穴が同時に果てる。

 前からは愛液が噴き出し、後ろからは腸液が滴り落ちる。

 身体中のすべての穴が、ランベールの支配を受け入れるために開放された。

 

 だが、その絶頂の最中でさえ、彼女の心の奥底には消えぬ焔が残っていた。

 それは愛という名の、最も頑迷で、最も淫らなバグ。

 懺悔は快楽を呼び、快楽は背徳を呼び、背徳は更なる懺悔を呼ぶ。

 その無限の悪循環こそが、ランベールという悪魔が彼女に与えた永遠の貞操帯だったのだ。

 

 ランベールは満足げに吐息を漏らし、未だ痙攣を続けるエルマの肢体を抱きしめた。

 モニターの中のヒロは、相変わらず眠ったままだ。

 だが、その右肩から先には、不気味な黒い霧が蠢き始めていた。

 

 均衡は破られた。

 それは堕天の完成であり、同時に修羅の胎動でもある。

 艦内に充満する白濁の臭いと、微かなアストラル体の振動。

 その二つが混ざり合う時、物語は決定的な転換点を迎える。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 艦内の静寂は、もはや死した教会のそれではない。

 再生槽の駆動音が奏でる微かな脈動は、まるで地獄の釜の蓋が開く前触れのように、

 重く、鈍く、そして不気味に響いていた。

 ランベールが仕込んだ禁忌のコードは、確実にその毒牙をヒロの魂へと深く打ち込みつつある。

 

 培養液に浮かぶヒロの顔色は、死人のそれからは程遠い。

 眉間には深い皺が刻まれ、奥歯はギリギリと軋み、

 まるで悪夢の中で修羅と斬り結んでいるかのような凄絶な形相を晒していた。

 失われた右肩から先、そこに渦巻くのはもはや治療用のアストラル体ではない。

 それは憎悪と殺意が結晶化したかのような、どす黒い霧の塊である。

 触れただけで魂を凍らせるような冷気を放ち、

 不気味に脈動しながら、異形の右腕を形成しつつあった。

「くくっ……順調だねぇ。実に順調だ」

 医療区画の中心に鎮座した椅子にふんぞり返り、ランベールは満足げに口元を歪める。

 彼の分厚い膝の上には、一匹の聖なる獣が侍っていた。

 

 銀髪のエルフ、エルマ・ウィルローズ。

 かつては銀河を翔る気高き「銀狼」として、

 その美貌と苛烈な魔法で多くの敵を屠ってきた女傑である。

 しかし今、彼女は黒と白のメイド服に身を包み、

 男の股間に顔を埋める牝犬へと成り果てていた。

 その唇は闘争への誓いを紡ぐ代わりに、ランベールの肉棒を咥え込み、

 唾液と先走り汁が混ざり合った粘液を滴らせながら、献身的に頭を前後させる。

「んちゅっ……れろぉっ……んっ、ぢゅぽっ……♡」

 口腔粘膜が肉竿のカリ高に擦れるたび、湿った水音が静謐なる艦内に淫らな反響を生む。

 彼女は上目遣いにランベールを見つめながら、まるで壊れ物を扱うかのような繊細さと、

 それでいて飢えた獣のような貪欲さを兼ね備えた舌遣いで、男根の裏筋を舐め上げていく。

 その碧眼には、涙とも情欲ともつかぬ膜が張り、トロリと溶けた表情は、もはや戦士のそれではない。

 快楽に飼い慣らされた、純粋なメスの貌だった。

「ヒロへの愛は、まだ燻っているかね?」

 ランベールが銀髪を掴み、顔を上げさせる。

 その口元は精液と唾液でグロテスクに濡れ光り、

 顎から滴り落ちた白濁が胸元のハンカチーフを汚していた。

「ふふっ……問題ないさ。そのバグこそが、君を極上の牝にしているのだからねぇ」

 嘲笑とともに、彼はエルマの頭を再び股間へと押し付けた。

 彼女はわずかに躊躇する素振りを見せたが、アナルに埋め込まれた性樹の根が腸壁をひと撫ですると、

 ビクンッと身体を震わせ、抗えぬ悦楽に身を任せる。

 もはや彼女の意志は、この悪徳貴族の手によって完璧に簒奪されていた。

 

 その時、部屋の空気が変わった。

 

 再生槽のガラスに、一筋の亀裂が走る。

 ピキッという甲高い音は、ランベールの諧謔的な呟きを遮るに十分な緊張感を孕んでいた。

 培養液が漏れ出し、床に染みを作る。

 そして、黒い霧が実体化した異形の右腕が、ガラスを内側から突き破った。

「ほぉ……予定より少し早いが、目覚めたかね」

 ランベールが口笛を吹くように指を鳴らすと、再生槽の前面が音を立てて開く。

 中からは培養液とともに、一人の男が転がり出た。

 全身包帯に巻かれ、痩せ細った身体。

 しかし、その右肩には、黒く脈打つ異形の腕が生えている。

 

「……っ……ぁ……」

 ヒロの喉から漏れるのは、まるで生まれたての獣のような低い唸り声だ。

 彼は無意識に顔を上げ、そして見てしまった。

 愛する女が、宿敵の股間にしゃぶりつき、歓喜の絶頂へと沈んでいく姿を。

 

 エルマは逃れられなかった。

 ランベールの腰使いが激しさを増し、彼女の口腔を激しく蹂躙する。

 目の前で最愛の男が目覚めたという事実が、彼女の背徳感を限界まで跳ね上げ、

 アナルの性樹がそれに呼応して腸内で大暴れを始めた。

「んぐっ!! ……おっ、ぉぉっ……おおおぉっ♡♡」

 喉奥を突き破らんばかりの激しい口内射精。

 その生暖かい奔流を嚥下しながら、彼女はヒロの視線を受け止めた。

 そしてその瞬間、尻穴と秘裂が同時に絶頂へと達する。

 ビクンッ! ビクビクンッ! と全身を痙攣させながら、

 愛液を噴き出し、エルマはただの雌として果てた。

「ああ……ヒロ……ごめんなさい……ごめんなさい……でも、きもちよかったのぉ……♡」

 床に崩れ落ち、精液と潮にまみれながら、エルマは泣きじゃくる。

 懺悔と快楽がぐちゃぐちゃに混ざり合い、彼女の言葉はもはや意味を成さない。

「…………」

 ヒロの全身から、殺気が立ち上る。

 それはあまりにも純粋で、あまりにも濃密な、殺戮への衝動。

 失われた右腕の代わりに得た異形の腕が、

 ゴゴゴゴ……と不気味に唸りを上げ、その先端からは漆黒の靄が立ち上る。

「おやおや、嫉妬かい? だがね、キャプテン。君のその右腕はまだ未完成だ。

 すぐにでもこの子を犯したいだろうが、今の君じゃワタシの指一本にすら触れられないよ」

 ランベールは、事が終わった肉棒をエルマの銀髪で丁寧に拭かせながら、余裕の笑みを浮かべた。

「これは、そうだね……言うなれば『宿題』だ。

 君がこの腕を完璧に使いこなせるようになった暁には、好きにするといい。

 なに、また後で面白い玩具でも見繕ってやろう。今はもう一度、眠りたまえ」

 

 ランベールが指を鳴らす。

 その瞬間、ヒロは頭蓋を内側からハンマーで殴られたような衝撃を受けた。

 精神監獄で埋め込まれた暗示が、彼の意識を強制的にシャットアウトする。

 彼は膝をつき、そのまま床へと崩れ落ちた。

 異形の右腕も同時に霧散し、後に残るのは虚ろな切断面だけである。

「っ……あ……」

 ヒロの視界が闇に閉ざされる直前、彼の目に焼き付いたのは、

 なおも咽び泣きながらランベールの太腿に縋りつき、その肉槍を拭うことをやめないエルマの姿だった。

 それは愛の懺悔ではなく、もはや条件反射に過ぎない。

 それほどまでに、彼女の肉体はランベールという名の毒に侵され切っていた。

 

 均衡は、決定的に崩れた。

 だが、それは同時に新たなる均衡への序章に過ぎない。

 ヒロの手に宿った狂気の力は、まだその真価を発揮する時を待っている。

 そしてエルマの中の「バグ」もまた、

 彼女をただの深淵へと突き落とすためだけに存在しているわけではないのだ。

 物語は修羅の舞台へと移行し、三人の関係はより陰惨で、

 より淫靡な螺旋を描き始める。艦内に響く水音と精液の臭い。

 そして新たに加わった、修復液とオゾンの焦げる匂い。

 それらが混ざり合い、混濁した空気の中で、官能と殺戮の幕は切って落とされた。

 [#◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆]

 船室の静寂は、鉄と白濁の残滓を澱ませていた。

 再生槽の破砕されたガラス片は、培養液の水脈と共に床に散乱し、

 まことしやかに輝く溺水の宝石のごとき有様を呈している。

 その惨状の中心で、キャプテン・ヒロは再び深淵の底へと沈んでいった。

 異形の右腕は主の意識と喪失と共に霧散し、虚ろな切断面だけが、

 ここに在り得た筈の修羅の余韻を無惨に嘲笑うかのようだった。

 

「ふぅ、無駄足だったねぇ。だが、あの目の色だけは見習いたいものだ」

 ランベールは、膝上で未だ痙攣を続ける銀毛の牝犬を無造作に撫でながら、

 薄い唇で諧謔を吐いた。女傑は、今や白濁と愛液にまみれたメイド服の布切れと成り果て、

 主人の絶望を煽いだ背徳の余韻に浸りきっている。彼女の碧眼は焦点を失い、

 抽挿されたランベールの男根を幻視しながら、獣のごとき甘い吐息を漏らし続けていた。

 

 その時、医療区画の自動扉が、無機質な駆動音と共に開かれた。

 立ち込める腐臭と消毒液の匂いを切り裂いて、影が二つ、滑り込んでくる。

 一人は、レーザーガンを警戒の構えで構えたグリセルダ・クレタ。

 そして、もう一人。

 医療区画の淡い照明に、艶めかしい黒髪が蛇のごとく揺れた。

 

「……メイドロイド、メイ。帰還いたしました」

 その声は、かつての怜悧な響きを残しながらも、どこか淫らな粘度を孕んでいた。

 エルマが命がけで奪還したヒロの愛機たるカスタムメイドロイド。

 しかし、その肢体は田沢という名の地獄の釜で溶かされ、再び作り変えられていた。

 人工皮膚は殆ど露出したボンテージスーツのごとき装甲に覆われ、

 要所要所があからさまに露出している。

 乳房の乳首は赤く熱を帯び、下半身の秘裂は奇跡的な精度で露出し、

 その周囲には腸内動作を補助する補助脳へのインターフェースが露わになっていた。

 美しい。

 だが、それは凶器としての美であり、オナホとしての艶めかしさでもあった。

 

「おや、お連れ様か。エルマ君の功績に乾杯といきたいが、その顔はどうしたね?」

 ランベールはメイの異変に気づき、愉悦に目を細めた。

 メイの端正な顔立ちは、薄い苦悶の色に染まっている。

 口元には、拭いきれぬ白濁の痕跡が微かに残っていた。

 田沢の陵辱の証である。

 

「……機能修復、及び武装強化プログラムのインストール、完了いたしました」

 メイは短く答え、昏睡するヒロの元へと歩み寄る。

 その歩調には、確かな忠誠の芯が宿っている。

 だが、一歩歩むごとに、その華奢な腰が微かに揺れる。

 アナルに埋め込まれた補助脳が、歩行動作をファックのシミュレーションとして認識し、

 腸壁を直接快楽の波で叩き続けているのだ。

 

「……マスター」

 メイは眠るヒロの頬に、優しく手を添える。

 その指先からは、冷淡な鋼鉄の冷たさではなく、熱っぽい女の温もりが伝わる。

「ご無事で何よりです。……私の身体は、もう以前のようではありません。

 田沢の手により、一閃流の演武データと、極上オナホの構造データが混在しております」

 

 メイの告白は、凍てつく告白であった。

「私が剣を振るうには、野獣の如き殺意が必要です。

 そして、その殺意を動力源とするには……田沢の精液という燃料が必要となります」

 バグである。

 制御不能なるバグ。

 憎き男の精液を蓄積しなければ、最強の剣士としての機能を維持できないという呪縛。

 メイは自らの体を武器として捧げることを選んだが、その代償は悍ましいほどに重い。

 

「皮肉なもんだねぇ。英雄の剣が、クズ野郎の尿で血肉を得るとは」

 ランベールは毒気を含んだ閧笑を上げた。

「だが安心したまえ、キャプテンの愛機殿。ワタシの『中間管理職』のコネでね、

 供給ルートは確保できる。……ただし、一滴一瓶、その対価は高くつくがね」

 

 メイの黒い瞳が、ランベールを射抜く。

 そこには殺意と、奇妙な服従が入り混じっていた。

「……承知いたしました。マスターの剣となるためなら、この身体はいくらでも汚しましょう」

 

 凹凸の激しい装甲が、汗と体液でてらてらと光る。

 エルマとメイ。

 片や、心にヒロを残しながらも肉体を完全に堕とされた銀狼。

 片や、芯たる忠誠は死せずとも、肉体が悍ましき劇薬に染められた鋼鉄の乙女。

 二人のヒロインは、対称なる地獄の底で、

 同じ男への想いという名の楔を胸に抱きながら、ここかしこで微睡む。

 

 均衡は揺らいでいる。

 支配は不完全であり、帰還もまた不完全だ。

 メイの覚醒は、艦内に新たな火種と、更なる残酷な選択肢を突きつける。

 

 ランベールは、この事態をも自らの益とするべく、薄汚い指先で盤面を弄る。

 修羅への道程は、曲者ぞろいのバグによって、一層の深みへと嵌り込んでいった。

 艦内には、未だ生々しい水音と、微かなアストラル体の低唸りが充満している。

 暗転した幕が、下りることはない。

更新希望の原作

  • 世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する
  • 最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い
  • 片田舎のおっさん、剣聖になる
  • リアデイルの大地にて
  • 俺は星間国家の悪徳領主!
  • リビティウム皇国のブタクサ姫
  • 転生王女と天才令嬢の魔法革命
  • ロクでなし魔術講師と禁忌教典
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