プネウマと一緒に旅をするようになり、俺達はとある場所へと向かっていた。
「それで、今から、どこに行くの?」
「エアデール、私達にとっては仕事がしやすい町です」
エアデールは貿易が盛んになっている町だ。依頼も舞い込んでくるだろう。
「それにしても、眠っている間に、色々と変わっているんですねぇ」
「アンタがどれだけ寝ているか分からないけど、結構変わっているんじゃないの?」
そう、ニアが言うように、プネウマが寝ていたのが、どれぐらい時間が経ったのかは、俺は知らない。
「まぁ、とりあえずは、エアデールを案内するよ、今後の仕事でも来るし、迷子になったら困るからな」
「本当ですか! 実は、街に来た時からずっと気になっていたので!」
俺の言葉に対して、プネウマは目を輝かせながら言う。
戦いの時に見た冷静な態度とは違い、今は、本当に街での探索を楽しみにしているようだ。
そんなプネウマの様子を見て、少しだけ安心していると、後ろの方から声をかけられた。
「ニアもどうだ?」
「……アタシは別に良いよ、一人で勝手に楽しんできなよ」
俺の言葉を聞いたニアは、そっぽを向いてしまう。
(うーん、やっぱり何か怒ってるか?)
正直、ここまで露骨だと、流石に気にしてしまう。しかし、怒られるような事をした覚えは無いのだが?
「それじゃ、アタシは依頼を片付けて帰るとするよ」
ニアはそれだけ言って、ギルドから出て行ってしまう。
その様子を見送った後、俺はプネウマを連れて、街の中へと歩き出した。
街の中には、様々な露店が広がっており、公益が盛んな場所という事で、珍しい料理も沢山売っていた。
そんな中でも、一際目を引いたのは、この街でしか手に入らないというフルーツを使ったデザートだった。
「美味しそうですね!」
「ああ、そうだな」
思わずプネウマと一緒に食べていく。
「レッドっレッド! これとかどうですか!!」
そう言いながらプネウマは、俺の方へと露店に売っていた食べ物を俺に差し出していく。
「いや、これはって」
そう、俺が断ろうとしたが、プネウマはそのまま俺の口の中に入れた。
「苦手ですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど、んっ?」
食べた瞬間、今まで感じたことの無い味覚が広がる。
「うわぁ~美味しいです!! レッドも食べてみてください!!」
「あ、ああ……確かに美味いな」
プネウマから渡されたものを食べてみると、確かに美味しかった。
そんな風にして、色々なものを二人で楽しんでいると、いつの間にか日が落ちていた。
「あれ、あの騒ぎはなんでしょうか?」
「はぁ、また、厄介な奴らが来たか」
そこには、何やら集団が集まっていた。
それは、騒いでいる様子であり、それが何か、俺は知っている。
「レッド、あれは?」
「転移者だよ」
「転移者?」
その言葉に対して、プネウマは首を傾げる。
「この世界とは違う別の世界から来た者達だよ。そのほとんどが何か特殊な力を持っている」
その説明を聞きながらプネウマは改めてその集団を見る。
現地の人間とは、どこか雰囲気の違い彼らからは異質さを感じ取ることができた。
しかし、そんなプネウマの思考とは裏腹に、彼らは、まるで支配者を思わせる振る舞いで街の人々を支配していた。
「……行こう、プネウマ」
「えっ、はっはい」
その光景を見た俺はそう言うと、そのままプネウマの手を引き歩き出そうとした。
だけど。
「おい、なんだよ、お前ら!」
「っ」
俺の耳に聞こえたのはニアの声だった。
見ると、その転移者達に構っている。
「良いじゃないかよ、一緒に遊ぼうぜ?」
「そーそー、せっかくなんだし仲良くしようってばさぁ」
「いや、あの……えっと」
どう見てもナンパされてた。
しかも一人じゃなくて三人か。
瞬間、俺はそのまま走り出して、その内の一人に向かって、蹴り上げる。
「俺のニアに、何をしていやがるんだぁ!」
「がぁっ」
「あぁ!!」
俺はその転移者に対して、思いっきり蹴飛ばすと、地面に叩きつけられるように倒れ込んだ。
そしてそのまま他の奴らは俺の方へと目を向ける。
「てめぇ、俺達に一体何をする」
「そっちこそ、ニアが嫌がっているのに、何をやっているんだぁ、てめぇ」
こちらを睨みつけてくる男達に向かって、俺はそう言い返した。
すると、その言葉を聞いた途端、一人の男がニヤリと笑う。
どうもこいつはリーダー格らしい。
男は俺を見下ろしながら口を開いた。
「俺はその嬢ちゃんと遊びたいだけなんだよ、てめぇのような野郎には用はないんだ。邪魔するんじゃねぇよ」
「だったら、どうする?」
そうしながら、俺に対して言う。
「てめぇのような奴は、あれだ。俺達の敵だな」
「敵だよなぁ」
「敵かッ! 敵かッ!」
その言葉と共に、各々が武器を手に取った。
転移者というのは、その力は強大だ。
「レッド」
「悪いな、ニア。面倒な事にして」
「別に良いよ、それに」
それと共にニアは、こちらを見る。
「レッドのそういう所、嫌いじゃないしね」
そう言って微笑む。
すると、ニアが何かを操作していた。
「それに、こっちは既に呼んでいるからね」
「んっ、おぉ!!」
それと共に見つめた先に見えたのは、俺の愛機であるダハーカだった。
ダハーカがこちらに来た。
そのまま、俺とニア、それにプネウマが乗り込む。
「さっさと逃げるよ!」
「あぁ、勿論!」
「逃がすか!」
それと共に、転移者達はこちらに攻撃を仕掛けようとした。
だが、俺はダハーカの操作の方が上である。
転移者達は、各々の能力を発動しても、その攻撃は俺達まで届かない。
「あぁ、あぁ、もぅこうなったら、もぅこの街には来れないなぁ」
「えぇ、そうなんですか?」
こちらに襲い掛かってくる能力だが、ダハーカは簡単に掴み、跳ね返す。
そんな戦いの最中、ニアとプネウマは、そう会話をする。
「当たり前だろ、転移者は王族が呼んだ世界の救世主様だからな、そんな奴らに喧嘩を売れば、当然、目の敵にされるだろう」
そう、ニアは言う。
「まぁ、確かにそうだね」
その言葉を聞きながら、プネウマも納得する。
そして、二人は再び視線を合わせる。
ニアが口を開く。
「まぁ、別の場所でまた依頼を受ければ良いしな。
幸い、転移者に対して、不満を言っている奴らは多いからな。
そいつらから依頼を受ければ良いしな」
その言葉と共に、俺達はそのまま飛行艇に向かって、入っていく。
「それじゃ、出発するぞ!」
そう言って、俺は操縦桿を握ると、飛行艇はゆっくりと上昇していく。
そして、一気に速度を上げて、空へと舞い上がり、そのまま出発する。
先程の騒ぎもあって、エアデールはかなり大きな騒ぎが起きている。
「にしても、良いのかよ、レッド」
「何が?」
「あいつら、お前と一緒に来た人間じゃないのか?」
「……」
それと共に、俺に尋ねたニア。
「あいつらは、俺の存在自体、気づくはずないよ。それはニアが一番知っているだろ」
あの時の、俺の姿を見たニアだからこそ、分かるはずだ。
「まぁ、そうかもしれないけどよぉ」
「それに、今はプネウマやニアもいるんだ。こっちの方が気楽だからな」
「……はぁ、まったく」
そう言いながら、ニアは呆れたように言う。
それと共に少しだけ、頬を赤くしていた。
「レッド、夜、アタシの部屋に来てくれないか」
「んっ、急にどうしたんだ?」
俺が聞き返すと、ニアはさらに顔を真っ赤にして言った。
「そ、その……レッドに伝えたい事があるんだ」
俺はそれを聞いて、首を傾げる。
「それは別に構わないけど」
俺の言葉を聞いたニアは小さく頷く。