「お前など、知らんっ」
その言葉と共に、王様とその家臣だと思われる奴は、そのまま俺に対して、堂々とした態度で言う。
だが、そんな事は関係ない。
「別にお前達が覚えていなくても関係ない。俺が今、欲しいのは、お前達が言う魔王の居場所だ」
「し、知らん! ワシも、魔王様の行方など知らぬ!」
王様はそう言って目を逸らした。 その態度に俺は眉を寄せた。
王様と俺の間に立つ家臣も同じように顔をしかめる。
そんな様子に王様は少しだけ慌てながら言葉を続けた。
「魔王がいた城など、ワシも知らん!」
「あぁ?! ふざけんなよ!!」
異世界から呼び出した奴ら全員に魔王の討伐を命令しているのは目の前にいる王様だ。
なのに、この巫山戯た奴に対して、俺は怒りを覚える。
「何よりもっ、なぜ、この儂に恨みを抱いているんだっ」
「だから言っただろ、俺は、お前によって、召還された一匹だと」
「まっまさかっ、貴様っ」
その言葉と共に、俺を見つめる目が変わる。
「あの時っ、召還された汚い一匹の犬なのかっ」
「あぁ、だとしたら、どうなんだ」
あの時の俺は、どこにでもいる一匹の雑種の犬であった。
だが、どういう偶然なのか、俺は異世界に召喚された。
周囲の奴らは、犬である俺には気づかず、そのまま城の外に捨てられた。
子犬でしかなかった俺は、ニアに拾われなかったら、確実な死が待ち受けていた。
その後は、俺は、この世界に転移した際の影響なのか、身体が徐々に成長していった。
それと共に、俺の身体は人間と似た二足歩行が行えるようになった。
それがおそらくはこの世界に転移した際に手に入れた能力だと思われる。
そして、今の人間を思わせる姿は、プネウマと契約した事によって、俺の身体は人間に近い物になった。
その事に関しては、まるで違和感はなかった。
「まさかっ、あの雑種犬がっ、ここまでのっ」
俺の姿を目にした王は驚きを隠せない様子だった。 まぁ、それもそうだろう。
普通の犬としか思っていなかった相手が、いきなり人間の容姿に変わったのだ。 驚くなって方が無理がある話だ。
「さて、どうする? このままじゃ、アンタの命運も尽きる事になるぞ」
俺は王に対し威圧的に言葉を投げかけた。 すると、王は一歩後ろに下がりながら言った。
「くぐっ、儂は本当に知らんがっ、書庫にならば「そうか、ならば気絶しておけ」がはぁ」
そのまま、俺は積年の恨みを籠めて、そのまま気絶させる。
先程までのやり取りは一応は録画している。
これで、これからの先の異世界転移は起きないだろう。
「とにかく、書庫でさっさと手掛かりを見つけるか。まぁ、どれか分からないから、とりあえず、そうなりそうなのを片っ端から取るか」
そのまま、俺は書庫へと侵入し、おそらくは手掛かりになると思われる本を片っ端からダハーカに乗せて、そのまま城から無事に脱出する事が出来た。
そのまま、俺は飛行艇へと戻ると、リインフォースとセルベリアが驚きを隠せない表情だった。
「……どうしたんだ?」
「「レッド、犬だったのか」」
「「「今更?」」」