主人公問わず、モブサブからも出したい。
増えすぎると処理が面倒くさくなるって分かってるけど、ピグマリオンみたいな力があったらアレコレ仲間にするよね?
ドリームパーティ作るとか夢あるよね?
「よし、決めた」
俺がそう言って宣言したのは画面に移るフィギュア。
「シルフィード、このフィギュアを天眼で生み出せないか?」
「可能にございます。今行いますか?」
「たのむ」
「かしこまりました」
シルフィードは画面に写ったフィギュアの画面を開く。3D映像で再現されたモデルを凝視すると、手のひらが光り始めた。
そこに現れたのは銀髪で球体関節を持つ人工知能を搭載した……という設定の戦術AIロボキャラ。
「ピグマリオン!」
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作品:電脳戦姫アロンダイト
キャラ名:メジュリーヌ
所属:超時空宇宙船団アスカロン第8電脳部隊
マスター:緒方一心斉
備考:宇宙世紀858年、外宇宙から現れた機械生命体を倒すために作り出された超時空宇宙船団アスカロンの虎の子「第8電脳部隊」所属の少女。
機械生命体による襲撃で肉体を失い生死をさ迷っていた所を所有者に助けられ、精神インストールが終わっていない空き機体に彼女の魂がインストールされた事で一命を取り留めた。
機体には最高峰のAIプログラムが搭載されており、それを操りありとあらゆる電子機器にハッキングを行い、電脳世界での戦いを得意とする。
身体として使われている機体の名は「アロンダイト」
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「という設定の彼女を味方にすれば、このインターネット社会では無類の力を発揮すると思うんだ」
「なるほど、素晴らしい案かと思います」
「わふ」
「では早速……」
画面端に出ていた【YES or NO】のYESを選択。
するとメジュリーヌフィギュアは等身大にまで大きくなり、120センチほどの小柄な女の子になった。
もちろん体はアンドロイドのままで関節部分は球体関節。しかしそれ以外の部分は人間に非常に酷似していて、服などで隠してしまえば普通の女の子に見える程だ。
目を閉じたままの彼女から「キィィン」と小さな機械の駆動音が聞こえたかと思うと、目が開かれ瞳孔の奥が一瞬光る。
「再起動を確認ーー……記録データに一部損傷あり。修復中ーー完了。状況を確認中……おはようございますマスター」
凛とした声の少女が背筋を伸ばし、敬礼の姿勢で俺に声をかけた。
「やあメジュリーヌ」
「はっ、大変申し訳ございませんが最後の記録にある宙域とは異なる場所であることしか把握出来ておりません。エネミーは、船団はどうなったのでしょうか」
どうやら彼女はまだ原作の世界に意識が残されているみたいだ。もしかすると個体によってスキル発動後に混乱する子がいるかもしれない。
今後はその当たりを気をつけよう。
せっかくなので、彼女の前で彼女の設定に沿った指揮官らしい態度で接してやろう。
「まず落ち着いて聞いてくれ、この世界には外宇宙生命体は存在しない。いや、今のところ確認されていないと言った方が正しいか」
「……言葉の意味がわかりません。いえ、言葉としては理解していますが……確認されていない? この世界とは……?」
終始無表情と思われた彼女の顔に困惑が生まれる。
よかった、やはり彼女にもしっかり感情があるみたいだ。
「ここは地球、これは良いかな?」
「はっ……たしかに地球です。ですが記憶にあるそれとは大きく異なります。具体的に言えば文明レベルが著しく後退しているように感じられます」
彼女目線だとそう感じるのか。まあ、人間の魂を機械のボディにインストール出来るほどの技術力だししょうがないか。
「うむ、君の感じることは間違いではない。現時点の西暦は2023年、我々がいた時代よりはるか過去の世界だ」
「……過去? それは、つまり……エネミーが襲うよりも前の世界だと言うことですか?」
「その通りだ。俺も気がついたらこの時間軸にいて、その世界の住人として生きていた過去を持つらしい。だが俺一人ではやれることに制限があるため、君を何とか呼び寄せることに成功した。その理由はわかるかね?」
「……未来に訪れるエネミーに対する抵抗手段を確立するため、でしょうか。しかしそれは……」
「君の懸念するとおり、未来を大きく変える行為だ。時空間の歪みは大罪、しかしその罪を背負ってこそ価値のある未来だと俺は思っている。君には犯罪の片棒を担がせてしまうことを心苦しく思うが、どうか手を貸してくれないだろうか」
頭を下げると彼女は目に見えて狼狽。
「指揮官、頭をあげてください。私も同じ立場であれば同じ行動をとったと思います。……了解しました、現刻を持って機体名アロンダイトは部隊を離脱し指揮官の直属の配下となり活動いたします。ご命令を指揮官」
再びキレの良い敬礼を見せるメジュリーヌ。
「まずは共に働く仲間を紹介しよう。彼女はシルフィード・ライエル」
「初めましてメジュリーヌ様、私シルフィードと申します。旦那様の身の回りのお世話を仰せつかっているメイドにございます」
「メイド……たしかかなり昔にいた使用人の呼称だったか、こちらこそよろしく頼む。この時代について情報が全く足りていないのでご教授願いたい」
「それに関しては問題ございません」
「ん? それはどういうーー!? これは!」
会話の途中で驚いた様子で固まるメジュリーヌ。何をしたのかとシルフィードに聞くと「知識の共有」を行ったらしい。
ピグマリオンで生み出された個体同士はこうやって得た知識を後に生まれたものに転送することで、また学び直す手間を省くそうだ。
「貴殿も電脳戦姫なのか? いや、明らかに生身だ……これは一体」
「旦那様の覚醒した能力の1つです」
「なんと」
「その過程で、配下同士は知識の共有などが行えるようになった」
「素晴らしい力です! エネミーが現れた際に非常に役立つと思います!」
物理的に目を輝かせるメジュリーヌ。軍人気質なのか、こういった話題が好きみたいだ。
「それと一つ注意がある」
「はっ」
「この世界はどうやら我々の存在した時間軸とは異なり、1種のパラレルワールドに近い存在らしいことが発覚した」
「パラレル……?」
「物は試しだ、そこのパソコンと呼ばれる端末にアクセスし、自分の名前や所属について検索かけてみろ。驚くぞ」
「はっ、それでは失礼します。……随分と古いタイプですね」
そう言うと、彼女は右目からスキャナーのような光を一瞬出したかと思うと、空中を見つめるようにキョロキョロと見回す。
恐らく彼女の視点だけがネット世界にダイブしているのだろう。
原作では意識を完全に取り込ませ、肉体は眠るように横たわるのだが今は情報収集だけに集中するようだ。
「セキュリティも甘く、容量も小さい……ああ、外部への接続数に関しては少々少ないですが及第点ですね。ーーな、なんですかこれは!?」
どうやら見つけたらしい。
「我々の作戦の一部が漏洩しています! これは危険です、奴らはエネミーのスパイでしょうか!? いち早く殲滅ーー」
「まちなさい」
「指揮官、なぜ!?」
「落ち着きなさい、旦那様が言ったでしょうここはパラレルワールドであると」
「……」
接続を切ったのか、視線をこちらに合わせて聞く姿勢に入るメジュリーヌ。
「どうやら我々の存在は架空の物語としてこの世界に語り継がれているらしいのだ。しかもその物語の主人公は俺と君だ。初めて見た時は君と同じ反応をしてしまったよ」
「で、ではこれは創作物だと? これ程作戦内容が詳細に漏れているのに?」
「ああ、もしかすると我々がこの時間軸に転移したことが原因かもしれないが、今のところは不明だ。しかし、将来来るかもしれない外宇宙生命体の可能性を捨ておく訳には行かない。わかるな?」
俺の問に無言で頷く。
「なので我々は極秘裏かつ、迅速に行動を起こさねばならない。その過程で君は外部に接触する際、物語のメジュリーヌと混同されることもあるだろう。その時は私に話を合わせるように、いいね?」
「了解しました指揮官」
「うむ、我々の関係はそうだな……シルフィードと同様に恋人としよう」
「こ、恋人ですか? ……というよりそちらの彼女も恋人なのですか?」
途端に顔を赤くして目を泳がせるメジュリーヌ。かわいい。
おっといかんいかん、IQが一気に溶けてしまった。今の俺は有能な指揮官、メジュリーヌの上司なのだ。
いずれはバレるにしても最初くらいは立派な姿を見せたい。第一印象って大事だし。
「シルフィードや君みたいな可愛い女性と一緒に暮らすのに何の関係もない、と言った方がむしろ怪しいだろう? であるならば、私を外的に『女にだらしない男』として公表し、君たちはその毒牙にかかった哀れな美少女とした方がまだ納得出来る。
もちろん進んで公表するつもりは無いが、方針は決めておいた方がいいだろう。
なによりこれについて外部から文句を言われる可能性が有るが、当人同士が認めあってる以上何ら法律に触れている訳でもなし、逆に過剰な接触をしてくる者に対して抵抗する口実としても使える」
というのは建前で、彼女も俺の恋人にしたいだけだ。
「で、ですがそれでは指揮官の名誉が」
「その程度の問題は捨ておけ。我々の目的の前に名誉など不要なのだ」
その言葉に感銘を受けたかのように、メジュリーヌは再び背筋を伸ばし最敬礼を見せた。
「このアロンダイトを駆るメジュリーヌ! 指揮官の志に従う所存! なんでも命令を!」
そう宣言した途端、シルフィードがちょっといたずらっぽい笑みを浮かべた。
「ならメジュリーヌさん、服……脱ぎましょうか?」
「え?」
「え?」
「わふ?」
時が止まった。