自身が『能力』で生み出した複数の氷の槍は、どれひとつとしてイングナル・フレイに届くことはなく、彼の片足より放たれた巨大な斬撃に阻まれたことで強烈な衝撃波が発生。つい先ほどクザンが凍らせた海面をも破壊し、いくつもの氷塊と巨大な水しぶきが舞い上がる結果となったが、それこそがクザンの思い通りだった。
元より、先ほどのような
それは恐らく時間にして数秒にも満たないだろうが――「仕掛けた側」の利点として、それを予測していたクザンは、そのチャンスをガッチリと掴み取った。
そして、
「――『
今回の戦闘で2度目となる、自身の代名詞と言っても良い大技。しかし、目的も規模も1回目とはまるで異なる。
先ほどは、フレイに吹き飛ばされた自分の身が、弱点である海に着水するのを防ぐことだけを目的に発動した。規模もそれ程ではなかった。
だが、今回は違う――明らかに攻撃、いや「殲滅」の為の『
無論、イングナル・フレイのような豪傑ともなれば、その目に映っていなくとも、『見聞色』によって攻撃を予見されている可能性はかなり高い。が、クザンはそれでも尚勝機があると思っていた。なんと言っても、
(ニコ・ロビンがいる以上、お前さんは絶対に避けられねえ。さっきのデケえ『
姿が見えなくなったフレイの近くにいる筈のひとりの少女。彼から「必ず護る」と告げられたそのか弱き存在に、クザンは勝機を見い出した。フレイとの間にある自身との実力差を考慮すれば、状況的に見て間違いなく最善の一手だという自信があった。
惜しむらくは、ほんの数分前までは逃がすつもりでいた少女の人生までもが、自身のこの攻撃によって終わってしまうということだが――やむを得ない、とクザンは非情な決断を下した。そうでもしなければ勝てないと、他ならぬクザンが判断して――元より殲滅対象とされていた命。恨むなら突然現れたソイツを恨んでくれと、そう思って――突如、幾筋もの細い黒雷が、クザンの身を貫いた。
「がっ……!?」
肉体的な損傷は――ない。にも関わらず、島全体を覆わせるつもりで作り出した氷塊は、中途半端な状態でその拡大を止め、その大元であるクザンはというと、それを再開させることはおろか、追加で新たな『能力』を発動させることさえできなくなってしまった。いや、それどころか、これは――
(覇王……色……っ! なん、つぅ……
まるで本物の雷に打たれたかのように、全身をガクガクと痙攣させることとなり、指の1本さえまともに動かすことができない。ともすればあっという間に闇に落ちそうになる意識を何とか保つので精一杯だ。そして――
「――
ゾッッッッッ! と。
『覇王色』とは全く別の理由で、クザンの全身に新たな
「お前……今、ロビンやオルビアも巻き込むつもりだったろ……?」
ひとつひとつの単語が、不可視の毒液となって、それを受けた鼓膜から身体の中へと染み込んでいくかのような恐ろしい感覚を、クザンは味わっていた――正直、今すぐUターンして逃げ出したい気持ちがかなりあったのだが、すんでのところで踏みとどまった。
舞い上がったいくつもの氷片が海、あるいは砂浜に落ち、水しぶきや砂塵も収まって、クザンとフレイは、互いの姿を見れるようになった――クザンとしてはあまり見たくはなかったが、そうもいくまい。
案の定、一見すると無表情に見えるフレイの顔には、しかしハッキリとした怒りのオーラが滲み出ていて――額には何本かの青筋が浮かび、その目は、「ヒエヒエ」の能力者たるクザンでも身を震わせてしまうような冷たさを湛えていた。
彼の予想通り、その近くには例の黄金の膜で守られたロビンの姿があって――当然のように無傷だった。フレイと同じように。やはりと言うべきか、先の千載一遇のチャンスを利用して放った自分の
……というよりは、中断するよう
「……っ! 『アイス
怒髪天のフレイが何かをするよりも前に、「ある物」を目にしたクザンは、今も尚『覇王色』に蝕まれている自身の身体を奮い立たせて、更なる能力を発動。
フレイの身長よりも少し大きい程度の球状の氷塊が生み出され、それが彼へ向かって飛んでいった。ちょうど、彼の背後の上空より飛来してきた、「溶岩によって形成された巨大な拳」と挟撃する形で――しかし、
「――
一切慌てた様子が窺えない、静かな声だった。と同時に、フレイはそれぞれの攻撃に対して己の開いた両手を向けて――それとほぼ同時に、何もなかった筈の虚空から、黄金のオーラで形成された巨大な掌がふたつ、現れた。丁度、迫りくる氷塊と溶岩から身を守る、盾となるような形で。
「――『
フレイの声はあくまでも静かなもので、同時に、それぞれの巨大な黄金の掌に掴み取られてしまった氷と溶岩の塊は、さながら林檎のようにグシャッと握り潰されて――粉々になったそれぞれの捕獲物がペイッと無造作に海に捨てられるのを、クザンは苦虫を噛み潰したような面持ちで眺めた。迎撃に集中する為か、全身を蝕んでいた『覇王色』が中断されたのが唯一の救いだった。
「元より、今島を覆っているドームは、艦隊の砲撃を防ぐ目的で作った物じゃなく――それなら、さっきの『覇王色』で十分だからな――アンタが、
そのように述べたフレイの後方10メートル程の位置に、クザンとは違ってちゃんと『正義』の2文字が入った白コートを着た大男、『サカズキ』の姿があった。
自身と同じように「中将」の肩書きを持ち、次期大将候補筆頭とも言われる豪傑――でありながら、その『正義』の方向性から、これまで幾度となく彼と衝突してきたクザンではあったが、今回ばかりは流石に違った。クザンは生まれて初めて、サカズキの姿を見て感謝の念を覚えた(そう認めるのは極めて癪ではあったが)。
「『処理』……じゃと……?」
心底忌々しいとばかりにフレイを睨みつけながら、サカズキが言った。そんな視線を向けるだけでも、並の海賊なら身体を震え上がらせるところだが――相変わらず、フレイの表情からは一切そういった「怯え」が見られなかった。
まるで、恐れる物など何もないかのように。
自身の「道」を阻む者など、どこにも存在しないと確信しているかのように。
それが、当然のように気に入らなかったのだろう。サカズキのほうから、ギリィッ……! と、奥歯を強く噛み締めたような音が、離れた場所で息を整えていたクザンの耳にも届いた。長い付き合いから次の展開を用意した彼は、慌てて両脚に力を込めて、そして――
「社会のゴミが、いっちょ前な口を叩きおって――
「オメェがなっ!」
険悪なやり取りをしつつも、言われた通りベストだと思うタイミングで、溶岩そのものとなったサカズキの拳とほぼ同時に被弾させられるよう、氷を纏った右拳を撃ち出すクザン(怒りのせいで目に入らなかったのか、あるいは黄金のバリアの主であるフレイを先に始末したほうが楽だと判断したのか、サカズキはロビンに対して目もくれなかった)。
その技の名は、
「『
サカズキの紅蓮の拳と合わせた、前後からの挟撃(二度目)だ。どちらも、演出的には地味だが、武装色も纏った強力な一撃。億越えの猛者であろうとも、その大半の人生をそれだけで終わらせてしまう程の威力。
少なくとも、どちらの拳も、片手間でどうにかできるような容易い攻撃ではなくて――必ずどちらかは被弾する! 被弾し、有効なダメージを与えられずとも、これで多少なりとも隙ができれば、それを突く形でチャンスを広げられるだろう。
ふたりになった自分たちに対して、フレイは変わらずひとり――唯一こちらが有利を取れる「数」のアドバンテージを活かした、現状、考え得る限りの最善手。だからこそ、それなりの勝機を見い出した上でクザンは氷拳を繰り出した。繰り出したのだが――
「…………」
やはり、フレイの表情には一切の動揺も焦燥も見られなくて――彼は、クザンに正対していた身体の向きをわずかに変えると、被弾まで後ほんの数センチというところで、クザンとサカズキ、その両者の拳を難なく
「「っ!?」」
サカズキが瞠目したのを見て、クザンは、自分も同じような表情をしているに違いないと思った。もっとも、フレイの肩越しに見える同僚とは違って、自分は、目前の青年の、常軌を逸した実力の片鱗を何度か体験している。
だから、こうした展開もまったく予想していなかったという訳ではないのだが、それにしたって、こうもアッサリ――って、いや、待て。
「
思わず、クザンはそう漏らした。言葉通りの意味だった。一見、突き出されたクザンとサカズキの拳を直接掴んでいるように見えるフレイの両掌は――しかし、よく見てみると、間に数センチの隙間が空いており、そこから、規模は相応に小さいものの、例の『覇王色』による黒い稲光が迸っていた。
実際に掴み取られている訳ではないのに、現実としてクザンとサカズキのふたりの拳は、それ以上突き出すことも引くことも何なら手を開くこともできなくて――目に見えない極厚のグローブでも嵌めているのか? とクザンは思った。
実際に接触している訳でもないから、クザンの冷気、サカズキの熱気による影響も殆どなく――いや、それでも普通は凍傷か火傷のどちらかを負ってもまったく不思議ではない筈だが、いずれにせよ、フレイはまったくの無傷で――見えない手袋というよりは、籠手のようだった。攻防一体の不可視の武装。
稲光から察するに、間違いなく『覇王色』の
(『あの人』と……同じ……!?)
「氷結と溶岩の『
自身の手で止めて見せたクザンとサカズキの拳を、どことなく退屈そうな様子で交互に見やりながら、フレイがそう言った。そして――
「……烏合だな」
グシャアッ! と。
無造作に、本当に無造作に、フレイは隙間を空けてふたつの拳撃を止めていた両掌を勢いよく閉じて――それに合わせて、クザンとサカズキの拳が、文字通り
そこから全身を駆け巡る激痛。それに伴う声にならない呻き声を上げながら、その場で膝を落とすクザン。歪んだ視界の上側で、サカズキが同じように蹲るのが見えた。今まで殆ど見たことがないような大量の脂汗を浮かべている。自分もきっと似たようなものだろうと、クザンは心のどこかでぼんやりと思った。
「前言撤回だ、『中将』」
最後の2文字に盛大な皮肉を込めながら、フレイが冷たく言った。
「やっぱり、アンタには――アンタらには、その肩書きは荷が重い。それ程の実力があるとは思えない」
「……っ」
歯嚙みしながら、クザンはフレイの顔を見上げた。ルビーのような深い赤色をしたその瞳には、混じり気なしの「失望」が浮かんでいた。
「おれにとって、『中将』って称号は特別なんだよ。……それは、不可能を可能にする人間が背負うべき肩書きで、誰よりも『自由』を体現する海兵だけが至れる境地だ。……少なくとも、おれが知る『中将』はそうだった。あの『ゴッドバレー事件』で、おれを救ってくれたあの人は……」
ふと、何かを思い出しているらしいフレイの顔に、わずかな誇らしさと敬愛の色が浮かんだ。それを見たクザンは、もしやと思った。この青年が言う『中将』とは、まさか――と、ある可能性に思い至ったところで、サカズキの
「……何を、訳のわからんことをゴチャゴチャと……!」
その身から作り出す溶岩よりも、さらに激しい炎を伴う憎悪の念をその瞳に浮かべながら、サカズキは続けて、
「もう勝った気でいるなら――舐めるのも、大概にせえっ! 『
いつの間にか地に着けていたサカズキの片手が、小さな溶岩溜まりを形成。内側からの高熱で膨張したソレはそのまま弾けて、その勢いを利用する形で、マグマそのものに変質させた凶手が、フレイの顔目掛けて撃ち出された。が――
「――
まあ流石に、そんな気の抜けた音が実際にした訳ではないが――そんな幻聴が聞こえてしまいそうな程の気軽さ、何気なさで、相変わらず『覇王色』を纏わせたままの自らの片手で、フレイは、迫りくる掌を無造作に弾いて見せた。
それこそ、目の前を飛んでいる鬱陶しい蠅を追い払うような調子で。弾かれた溶岩の手が海に落ち、ジュワアッ! と激しい水蒸気が上がった。それを目の当たりにしたサカズキの顔が再度驚愕に染められ――そんな彼に向けて、フレイは次のように続けた。
「
舌足らずの幼児に1+1の答えを教えようとしているかのような口調で、フレイが言った。
「アンタにはまだ言ってないけど、こっちは、場合によっては見逃してやってもいい気持ちでいるんだ。海軍には、借りがあるからな――
「じゃかあ……しい……!」
サカズキが凄んだ。歯を噛み締める力がとんでもないのか、唇の端からひと筋の鮮血が伝っていた。
「おどれの実力も、事情も問題じゃないんじゃい――こっちは、『絶対的な正義』をモットーにやっとるんじゃっ! 貴様が何と言おうと――ワシは、ワシらはただ、それに殉ずるのみ! 社会のゴミが、いっちょ前に意見するな! 貴様らのような連中をワシらが『駆除』することで、この世界は成り立っとるんじゃ! だからこ「ああ、もういい、もういい」――っ……!」
心底ウンザリした様子で、フレイがサカズキの言葉を遮った。眼前にいる青年の全身から、再度、不可視の怒りのエネルギーが放たれ始めたのを感じ取って、クザンは距離を空けようとしたが、叶わなかった。ダメージか、或いは恐怖か――足が動かなかったのだ。
「わかりやすく面倒くさいな、アンタ。……まあ、何というか、アレだ――
無慈悲な宣告。と同時に放たれる無音の雷轟。幾筋かの漆黒の稲光がサカズキの身体を貫いたかと思うと、彼の両目がグルンと裏返り、口の端からゴボゴボと白い泡を溢れさせた彼の巨躯が、糸が切れた人形のようにパタリと倒れた。
クザンの知る限りでは、『覇王色』だけで相手を無力化できる実力差の目安は、基本的には「手が出す必要がないぐらい弱い相手」の筈であり――要するに、
敵わない。敵う訳がない――『バスターコール』をかけた側であるこっちの方が、こんな感情を覚えることになるなんて……。心底情けない、とクザンは思った。そんな彼の心情を察したのか、フレイは、「それでいい」、と聞き分けの良い子供に語り掛けるような口調でそう言うと、次のように続けた。
「そろそろ、ステューシーが軍艦を
言って、
当然、本部の
(……いや……)
いつものように飄々と、
(……待て……)
やる気のない態度で、
(……それで……)
なあなあで済ませてしまえば――
「――いい訳ねえだろっ!!」
吠えつつ、フレイの背に鋭い視線を向けながら、勢いよく立ち上がるクザン。グチャグチャになった右拳からは、相変わらずとんでもない激痛が生じていて、今なお全身を巡っていたが――それが気にならない程の「熱」が、彼の胸中を満たしていた。
『ヒエヒエ』の力を持つ彼自身でも決して抑えることは叶わない、崩壊を免れた心の「芯」の部分が、『英雄』と呼ばれる師の顔を思い浮かべたのをきっかけとして異常なまでの「熱」を持ち、それがクザンの身体を突き動かしたのだ。
無論、実際にはそうはならないだろうと、心のどこかでわかっている――何だかんだで「あの人」は、笑って流してくれるだろう。いつものように『海軍おかき』をバリボリやりながら、「相変わらずの『青二才』め! まだまだじゃな! ぶわっはっはっはっ!」なんて言うに違いない。数秒後には、そんな自身の発言すら忘れている可能性すらある。一番弟子であるクザンからすれば、かなりの確信を持って言える予想だったが――それでも、
「それでも……『あの人』だったら
一番弟子のおれだって、このままおめおめとお前さんを行かせる訳にはいかねえじゃねえか――と、そう言いながら、無事なほうの左手で拳を作って、そこに武装色を伴った氷の籠手を纏うクザン。
その頃には既に、フレイは、クザンのほうへと向き直っていて――その表情には紛れもない呆れの表情が浮かんでいたが、どことなく嬉しそうでもあった。気のせいかもしれないが……。
「……確か、クザンって言ったな? アンタは――アンタも、とんでもない命知らずの大馬鹿野郎だ」
そう言ったフレイは、続けて、
「――けど、そういうのは嫌いじゃない」
キュンッ! という音を立てて、フレイの姿が唐突に搔き消えた。『
そこに、フレイの姿があった。と同時に、それを認めたクザンの表情が驚愕一色に染まった。バリバリと空気を震わせる黒雷――『覇王色』を纏いながら、右拳を大きく振りかぶるフレイのその姿が、クザンにとっては嫌というほど見慣れた師の得意技、その予備動作に酷似していたからだ。
それでも、何とかすぐに心を持ち直したクザンは、自身の全身をひと筋の冷気に変えて上空まで飛翔すると、そこで身体を復元。その時には、フレイと同じように、拳を振りかぶった体勢を取っていて――
「――アンタが言う『あの人』が誰なのか、おれにはわかるような気がするよ!」
互いの距離がグングン縮まっていく中で、フレイが叫んだ。
「だから、アンタにはチャンスをやる! さっきの面倒そうな奴とは違って、おれと、
「戦うチャンスだけなら、ありがたく受け取ってやらあ――もう片方については、のしを付けて突っ返させて貰うがよおっ! 『
クザンも叫んだ。そして、
「「――『
覇気
轟音が響き渡り、同時に発生した途方もない衝撃によって、黒煙を上げているオハラ全体の木々がバサバサと揺れた。
やはりと言うべきか、押し負けたのはクザンのほうだった。まるで壁に向かって投げつけたゴムボールのように、彼の針金のような細長い身体が、地面に向かって勢いよく弾き返された。
拳を合わせた瞬間から――フレイの
打ち合わせた拳から全身を駆け巡る激痛と、フレイの『覇王色』。このふたつによって、砂浜に衝突するよりも先に彼の意識は途切れることとなるが――その間際に、クザンは確かに聞いた。地に頭を向けて落ちていく自身の遥か『高み』からもたらされる、
「……誇れよ、クザン。アンタは間違いなく、ガープさんの弟子だ」
ちょっと羨ましいぜ、とコソッとつけ加えられたフレイの言葉を受けて、クザンはフッと笑った。心のどこかで、コイツが相手なら負けてもいいか、と認めてしまっている自分がいることに、気づかない訳にはいかなくて――それを含めての、完全な敗北だった。だが……。
(……いつか……必ず……)
そこまで考えたところで、遂にクザンの意識が闇に落ちた。大量の砂塵が舞い上がり、それが収まった頃には、どことなく満足そうな笑みを浮かべた彼の身体が、仰向けで大の字になった状態で横たわっていた。
後に、数々の偉業を成すことになる、イングナル・フレイの英雄譚――その「序章」として後世に語り継がれることになる『オハラのバスターコール』は、こうして幕を閉じることとなり、それから数分後には、気を失ったクザンとサカズキの姿だけが海岸に残された。あまりにも一方的な決着だった。
◆ ◆
軍艦10隻に中将5人という、国家間戦争並みの戦力は――しかし、たったふたりの人間を前に、手も足も出ない、圧倒的なまでの敗北を喫することとなり。
これを機に、そのふたり――特に、『
この世を滅ぼしうる大勢の