「クワハハハハハッ! 『“バスターコール”を打ち破り、“金獅子”とも渡り合った“豊拳のフレイ”、“王下七武海”に就任! カイドウ、ビッグ・マム、海軍大将を相手に大立ち回り』――お前の目論見通りに事が進んだ場合に発行する号外の見出しはこんなところか!? 感謝するぜステューシー! 『大海賊時代』と言いながら、ここ最近はあまりデカい
「……それはどうも」
隣から発せられた興奮しきった謝辞に対して、フワフワとした短い金髪と青い瞳、そして抜群の美貌とプロポーションが特徴的な妙齢の美女であるステューシーは、冷たい声色でそのように応じた。例の『九蛇』の若き三姉妹、その救出に成功したという報告を、愛しのフレイより受けてから数十分後のことだった。
現在彼女はレイリー、シャッキー、そして自分以外のフレイの
ステューシーの視線の先では、女人国家『アマゾン・リリー』が誇る、2匹の巨大な毒海蛇(『
異常に男女比が偏った面子だが、ここには、レイリー以外にももうひとり男がいて――フレイの分体たちは、それぞれが抱えて運んできた三姉妹を地面に降ろすのとほぼ同時に、空気中に溶けるようにしてその姿を消してしまった――それが、冒頭の台詞の主である『モルガンズ』という記者だった。
『世界経済新聞社』のデスクでありながら、自身も積極的に現場に足を運んで記事の作成も行うという勤労家だが――その外見は紛れもなく、3メートル近い体躯を誇る2足歩行の鳥と言うべきそれだった(好奇心を大いに刺激されたらしいヤマトが、先ほどからチラチラと興奮気味に彼のことを見ていた)。
赤と白の縞模様の羽飾りがついたシルクハットを被り、黒い外套を羽織った彼もまた、『悪魔の実』の能力者であり――
理由は定かではないが、基本彼は
まあ、荒っぽい口調や、動作の端々に垣間見える所作から察するに、恐らくは男だとは思うが――そんなことをボンヤリと考えているステューシーに対して、モルガンズは続けて、
「急だったが、なんとか60番台
一気にそれだけのことを言って、クワッハッハッハッ! と再度哄笑するモルガンズ。そして、そんな彼の隣に立ちながら、相変わらずね、と冷めた感想を抱くステューシー。
だがまあ、好都合ではあった。よくも悪くも、彼は己の欲に忠実だ。方向性がどうであれ、とにかく自分が手掛けた記事で世間を沸かせたい、という強烈な承認欲求――あるいは自己顕示欲か――の持ち主で、要するに彼は、それを後押しするようなものでなければ、政府からの圧力には基本的には屈しない(絶対でないのが困ったところだ。彼は守銭奴も自称しており、実際のところ、金額次第では政府からの情報操作命令を実行することもしょっちゅうらしい)。
そんな男だからこそ、現在のステューシーたちからすれば実に好都合で――とにかくこれで、今回の一件が闇に葬られるようなことはないだろう。ステューシーはそう思った。なんとか「大将」を無力化できたとしても、「沽券」や「威信」というものを重視する政府の年寄りたちがもみ消そうとするのでは? と危惧したが故の手配だった。
まあ、『魚人島』や『マリージョア』と並ぶ『新世界』の出入り口として知られるこの
(――フレイ……)
結果、できるだけの
(どうか……無理だけはしないで……。一生、逃げ続けるだけの人生でもいい。オルビアも、ロビンも、シャーリーも、ヤマトも、しのぶも、日和もそう思っている筈――大事なのは何よりも、あなた自身の命だと。……あなたさえ生きていれば、後からどうとでも挽回できる。あなたさえいれば、私たちは他には何もいらない。逆に言えば、例え安寧の日々を手にできたとしても、そこにあなたがいなければなんの意味もない。だから、どうか……)
無事に帰って来て――と。
数十分前に本人に対して言った台詞を、ステューシーは今一度心中で反芻した。
愛する男への隷属の証であるハート形の紋様――それが刻まれた下腹部を、無意識に右手で
◆ ◆
『海軍本部』の駐屯地および、彼らと政府の港が存在する66番
そこで、各々の技を打ちつけ合った4人の豪傑たち。その余波によって大気が震えると同時に大地に亀裂が走り――黒雷を迸らせながらも、各々の技が拮抗することわずか数秒。
ややあって爆音が響き渡り、今一度大気が震え、周囲の建物の窓ガラスが漏れなく粉々になった。次には、下から攻撃を繰り出していたフレイとガープの身体が、猛烈な勢いで地面へと叩きつけられたことで――そこに、ふたつの巨大なクレーターが地面に作り出された。が、決して押し負けたという訳ではない。
弾き飛ばされたという点では、上空から飛来すると同時に技を繰り出していたカイドウとビッグ・マムも同様で――要するに、結果は相打ちだった。
8メートル前後はあろうというふたつの巨体が、先のふたりと同等の勢いを伴って天へと吹き飛ばされ――程なくして体勢を整えたふたりは、それぞれの能力を駆使することによって滞空することに成功。
丸々とした体つきと、海賊帽を被った桃色の長髪に、胸元が大きく開いた同色のキャミソールと黄色いマントが目を引く巨女――『ビッグ・マム』ことシャーロット・リンリンは、「
筋骨隆々の体に生やした青い鱗が目立つ「人獣型」の姿を取っていた『百獣のカイドウ』は、その身を真なる『青龍』の姿へと変えた上で『
手段は異なりつつも、それぞれが結果として宙での移動を可能とする能力を備えていて――それこそが、『魚人島』を経由せずとも、『新世界』から「
そのようにして、ふたりの大海賊が遥か上空で体勢を整えた頃には、相当な勢いで地面に激突しつつも、特に大したダメージを負わずに済んだフレイとガープが、それぞれクレーターの中心から飛び出した上でその外側に着地。
その数秒後には、任意で能力を解除したカイドウとビッグ・マムが、凄まじい振動を伴って大地に降り立つことで激しい粉塵を巻き上げて――それと殆ど同時だった。
先の大技の衝突の直前に、フレイの「能力」によって生み出された黄金樹の奔流。それとぶつかり合った氷の波の余波によって
……2年近く前に、『オハラ』においてフレイが直々に打倒したふたりの「中将」の内のひとり、『クザン』に違いなかった。黒ずくめと言っても差し支えなかった前回のスタイルから一転し、今回は同色のサングラスをかけずバンダナも巻いていなくて――白のベストに白のズボン、そして海軍将校おなじみの、「正義」の2文字を背中部分にこしらえた白いロングコートを肩にかけた彼は、悠然とした立ち姿を披露しつつも、鋭い眼差しを身体についた土埃を払っているフレイへと向けた。身に宿している能力とは違い、一見気怠そうに細められたその瞳の奥には、
結果、等間隔の円状に並び立って睨み合うに至った5人の「超人」たち。その一帯に立ち込める空気ときたら、誰もまだ本格的に『覇王色』を発動していないにも関わらず、気の弱い者ではほんの数秒も意識を保つことは叶わないだろうと断じれる程で――いつ激闘の火蓋が切って落とされてもおかしくはないそんな状況下で、真っ先に口を開いたのはフレイだった。
戦うのは全然構わないしむしろそうなってくれなければ困るのだが――「作戦」の都合上、その前にどうしても交わさなければいけない言葉があった。故に彼は、
「――カイドウ! ビッグ・マム!」
できる限りの大音声で名を叫び、ふたりの注意を向けた。その後で、フレイは更に、
「言質を取っておきたい!」
「言質だぁ?」
そんな言葉は今まで聞いたことがない、とでも言いたげな反応を示すカイドウと、何やら気味の悪いニヤニヤ笑いを浮かべているビッグ・マムに対して、フレイは以下のように続けた。
「おれはもう、これ以上逃げも隠れない! ……だから、代わりに約束して欲しい。もしもこの戦いで、おれが勝てたら――」
「――これ以上、自分たちを追い回すのはやめろ、ってか? それが、お前なりに考えた私たちの『攻略』ってヤツかい?」
ビッグ・マムがフレイの口上を奪い、銀髪紅眼の美丈夫は目を剥いた。何故知っているのか――問わずとも、ビッグ・マムは答えを示してくれた。彼女が指に嵌めた指輪のひとつに、黒い小さな生き物が乗って――というよりは、固定されていた。盗聴用の黒電伝虫に違いなかった。
「こう言っちゃなんだが、『
特徴的な笑い声を虚空に響かせた後で、彼女は一転、世にも恐ろしい形相でフレイを睨みつけると、
「……おれらを『攻略』することで手にした『知名度』を手土産に、『七武海』の一席を手に入れるって? ええっ? 随分と舐めてくれるじゃねえか――おれぁ一体、どこから突っ込めばいいんだい? お前が言うところの『言質』を、おれたちが提供する筋合いがどこにあるんだってところかい? おれたちに勝つ前提で話を進めてるところかい? それとも――仮にもおれが夫として認めた男が、『政府の
「もしも逆にお前らの内のどちらかがおれを打ち負かしたら、金輪際、これ以上は逃げないと――倒したほうの言いなりになると誓うよ。約束する」
後半ふたつのツッコミを都合よく右から左へ聞き流しながら、フレイがケロリと言った。しかし、それでもビッグ・マムは――「マ~ハハハハハァ~ッ!」――我が意を得たりと言わんばかりの、特徴的な笑い声を再度響かせると、
「とはいえ、まあ、まったくの論外ではないね――オメェが連れてるやたらデケェ人魚族の遊泳能力も相まって、逃げに徹されると中々厳しいからなぁ? ……それでいて、オメェはオメェで徹底してこっちの
「オイ――おれらが『自前』で来ることになったのは、オメェの妙な『発作』が原因だろうが」
ギロリ、とビッグ・マムを横目で睨みつけながら、カイドウが言った。
「何が『食いわずらい』だ、馬鹿馬鹿しい――結局、テメエが連れて来たコックたちがなんとか
睨みつける対象をフレイに変えながら、カイドウが吠えた。フレイは目を伏せた。別に、かの巨漢の怒声に気圧された訳ではない――単に、千切れそうな程に耳が痛かったからだ。
しのぶの『ジュクジュク』によって、カイドウの娘――ヤマトが、超短期間で大人の肉体を手に入れた件についてはともかくとして、その後、彼女の処女を奪い、ここに至るまでにも散々ハメ倒してきたのは、紛れもなくフレイ自身の意思だったからだ。
そして、数回にわたるこれまでの襲撃によって、当然そんなフレイと、随分と彼との距離が(色々な意味で)近く、身体もやたらと大きくなった娘の姿をカイドウは見ていて。
故に、それについては何を言われても反論できないし、してはいけないのだろうな、とフレイはそう思った。そう思って――だからこそ彼は、先ほどと同様に、カイドウの台詞を右から左へ華麗に(?)受け流すと、
「もしもこれが受け入れられないなら、おれは――おれたちは、これから先どうなろうとお前たちには従わない。拷問されようが何されようが……絶対にだ」
「いつもみたいに逃げの一手に終始しないなら、どの道お前が勝てる道理はねえ。だから別に構いはしねえが――」
メラメラとした決意の炎を灯すフレイの視線を真っ向から受け止めながら、カイドウが言った。
「万が一、億が一、兆が一、お前が勝利を収めたとしても――おれたちが素直に、お前との約束を守るとでも思ってるのか? 『海賊』だぞ?」
「ああ、思ってる」
即答するフレイに対し、カイドウとビッグ・マムが揃って眉をひそめた。
「
正直、内心ではまだ言うほどふたりの人間性を信用してはいなかったが、ここまできたら、レイリーとシャッキーが言ってくれたことを信じるしかないと、フレイはそう思って――故に、昨日のふたりの言葉を思い出しながら、彼は、
「『勝者は敗者に絶対服従』――昔からあるこの不文律を、『一流の海賊』であるお前らは絶対に敗れないさ。だから……」
そこまで言ったところで、フレイは一旦わずかな間を設けると、
「……だから、戦う前にハッキリと約束して欲しい。もしもおれが勝ったら、向こう20年はおれと、おれの
「…………」
昔からある(らしい)海賊の世界の数少ない
「……20年だ?」
――と、その一部分だけが気になったらしく、
「そうか――おでんの妻の遺言だな? こっちも報告は受けてる。お前のほうは……あの『しのぶ』っていうくの一か、日和っつうガキのどっちかから聞きやがったか……。20年後に再び、おれとオロチを討つ為に集まるとされている『赤鞘』の侍たち。お前は……お前たちは、それを信じてると? その時に助太刀するのかまではわからねえが――いずれにせよ、
哄笑するカイドウではあったが、その血走った両目を見る限り、別に面白くて笑っている訳でないことは明らかだった。事実、ややあって彼は、肩に担いでいた金棒を勢いよく振り下ろし、轟音と共に新たな巨大な亀裂を足元の地面に生じさせると、
「……どこまでも舐めやがって……! テメエ一体どの立場から――「受けるのか? 受けないのか?」……っ!」
被せるようにして放たれたフレイの催促を受けて、カイドウがギリリと歯ぎしりした。そして――
「――おれは構わねえよ」
そう言ったのはビッグ・マムだった。彼女は、怒りに肩を震わせるカイドウを横目に、先ほどとは一転してケタケタと笑いながら、
「また長ったらしい追いかけっこをするよりは全然マシさ。いずれにせよ、オメエはここでおれの夫になるんだからよ――今までの
言いつつ、心底恐ろしい笑みを浮かべるビッグ・マムに対してキュッと眉を吊り上げて見せた後で、カイドウのほうに視線を向け直すフレイ。だからという訳ではないだろうが、『百獣』の異名を持つかの巨漢は、次のように言った。
「……いいだろう」
それまでの怒りが嘘のような、静かな口調だった。
「おれにしても、しょうもねえ鬼ごっこにはウンザリしてたとこだ……! もしもテメェが勝てたら、向こう20年は手を出さねえと約束してやる。……もっとも、そんなことは――「オイ、お前らぁっ!!」――……」
突如、別の
作戦の要である戦闘前の言質を取ることに全神経を集中させていたせいで、不覚にも『
「さっきから、何を勝手なことを言ってやがる――ソイツは、おれの部下として海兵になるに決まってるだろうが!」
「「「はぁっ?」」」
カイドウとビッグ・マム、更にはフレイの3人が揃って呆けた声を上げ、それぞれの頭上でいくつものクエスチョンマークがブレイキングダンスを踊り始めた。急に何言ってるんだこの人――と、大いに混乱するフレイ。
すると、まるでそんな彼の心情を代弁するかのように、クザンが、
「オイ――何言ってんだガープさん! そんなことはできる訳ねえって言っただろう!?」
「大体、そいつはついさっき『天竜人』をぶん殴ったばかりだぜ!? そんな奴を放免にした上、海兵として受け入れたりしたら、連中から何て言われるか……!」
「安心しろ! あんなゴミクズ共が何と言おうと、おれは気にしねえ!」
輝かしい笑顔と共に、グッと見事なサムズアップを決めながらそんな言葉を返したガープは、しかしその直後にハッ……! とうっかりしたような表情を浮かべると、
「……そういや、今みたいなこと言ったら駄目なんだったな――スマン、今のナシ」
「「「…………」」」
えぇっ……?
「……他の
ガープからフレイへと視線を移した上で、何事もなかったかのようにクザンが言った(メンタル
「……まあ、
飄々とした雰囲気に似つかわしくない、凄まじい闘気を秘めた視線をフレイに注ぎながら、クザンは更に、
「……例え『大将』に昇進しようと、お前さんを取っ捕まえねえ限りは、おれの海兵としての人生は始まらねえんだ――いい加減、
「ああ……。それなら、安心しろ」
さりげなく全身から黄金のオーラを顕現させ、両の足に力を込めながら、フレイが言った。既にすぐそこまで「その時」が迫っていることを、彼は敏感に察していた。
「これから先、あの
クザンの額に、ビキリと青筋が浮かんだ。
「よろしくする訳ねえだろ……! お前さんの――お前さんたちの逃避行も、ここで終わりだ……! インペルダウンでは同部屋になるよう頼んどいてやるから、残りの人生は一生そこで、女たちと静かに過ごしてろ……!」
「おい――勝手なこと言ってんじゃねえよ『若造』! ソイツも、ソイツの仲間たちも、全員漏れなくおれの
「……その『仲間たち』ってヤツにはまさか、
クザンの台詞にビッグ・マムが異を唱え――それに対して更に、険しい表情を浮かべたカイドウが反論。それに受けたビッグ・マムの額にも――「ああ……? 誰が誰を殺すって……?」――幾本もの青筋が浮かび上がることになって、
「随分と偉そうな口を利くようになったじゃねえか? あの『見習い小僧』がよ。それにお前――おれに、どデカイ『借り』があるよね? んん? カイドウ……?」
「……っ! 昔の話だ……!」
「マ~ハハハハハァッ……! いいや、一生の恩さ……!」
「テメェ……!」
剣呑――などという言葉では済まない、ビリビリとした凶悪な空気を形成し始めるふたりの大海賊。しかし、そんな雰囲気もものともしない『海軍の英雄』が、今度はフレイに対して気炎を上げ始めていて、
「オイ『豊拳』! 今の台詞――まさか、『七武海』への加盟は
「オイ――ガープさん! 頼むから、少しは言葉を慎んでくれ! どこで誰が聞いてるかわからねえ――あんまり度が過ぎると、アンタでも『処理』されちまうぞ!」
「知るか! 前にも言っただろうがよ――おれの『自由』を奪うな!」
「いや、別にそういうんじゃなくてよ……!」
ウンザリしたような表情を浮かべながらガシガシと片手で頭を掻くクザンを他所に、ガープは続けて、
「……とにかく『豊拳』!
「え……あ、いや、『七武海』になろうっていうのは、むしろおれの発案で、別に
「――だから、そんなことはできねえしありえねえって言ってるだろうがよ!? ガープさんっ!!」
どことなく嬉しそうなフレイの返答を掻き消す形で、ついにクザンが吠えた。
「ロジャーにこだわってたアンタならわかる筈だ――『
「あー……まあ気にするな! 手柄は全部お前にやるから」
「そういう問題じゃねえっ!?」
ウガァッ! と両手で頭を掻きむしりながら天を仰ぐクザンに対して、流石にフレイが――そんな場合ではないと知りつつも――同情の念を抱いていると、
「オイ……2回目だぞ……?」
カイドウとの間でバチバチと火花が散る程に睨み合っていたビッグ・マムが、恐ろしく凄みの利いた声を発しながら、横目でギロリとクザンを見やった――途端に、これ以上はあり得ないと思っていた空気のヒリつき具合が一段と増し、視線の対象であるクザンが即座に臨戦態勢を取った。そして、
「……『七武海』になるのも、海兵にするのも、捕らえるのも、どれひとつとして認めやしねえよ……! 欲しい物を妥協しねえからこその――」
言いつつ、片手に持った大振りの剣を、こちらに背中が見える程に大きく振りかぶると、
「――海賊だろうがぁっ! 『
「「「っ!」」」
大砲――否、それ以上の破壊力を伴う斬撃が撃ち放たれ、3人の男を纏めて仕留めんと襲い掛かった。鳴り響く爆音。空気を震わせる衝撃。削り飛ぶ大地――というよりは、ヤルキマン・マングローブの根の一部。
しかしながらそれを、当然のように『見聞色』による先読みと、『
「……こうなったら、早い者勝ちだな――元々、『お宝は争奪戦』ってのが、海賊の流儀だ! ……『
再度『人獣型』――上半身の前面以外に青い鱗を纏い、頭頂部から更に2本の角を生やした、龍と人を掛け合わせたような姿――になったカイドウが、灼熱の業火をフレイに向かって口内から撃ち放ってきて、しかし、当然のようにこれも『予見』していたフレイはというと、
「『
その脳裏に、名も知らぬ――しかしながら、
「――『
「っ!? そりゃ、あの大名の――ぐぅっ……!?」
「へへっ……! 盗んだ……!」
その隙を突く形で、業火を切り裂くだけでは飽き足らず、その勢いを保ったまま、『
「やってくれる……!」
「……っ! 切り傷すらつかねえか……!」
自惚れではなく、間違いなく鉄でも切り裂けるぐらいの切れ味はある筈なのだが? ……と、そんなことを考えているフレイの真横から、彼に向けて、青い
「――『アイス
「ちっ……クザン――いや……」
『青雉』――と、その
「ぬぅうぇいっ!」
そんなフレイよりも先に、漆黒に染めた右拳で
軌道を変えられた氷塊は真っすぐビッグ・マムへと向かっていき、それを彼女は面倒くさそうに、殆ど蠅でも追い払うかのように剣を振るうことで横に弾いた。
一方、攻撃主であるクザンは瞠目し、次いでギリリと奥歯を噛み締めると、
「おい……いい加減にしろよガープさん! 言うことを聞けないなら、せめて――」
「――こっちの台詞じゃ馬鹿モン! あんなゴミクズ共の言いなりになる前に、
ズダダダダンッ! と。
ビッグ・マム以外の宙に跳び上がった4人が地面に着地し――再度円状に並び、自分以外の者たちを睨みつける5人の傑物たち。そこから最初に行動を起こしたのはカイドウだった。彼は殆ど間を置かずに今一度宙に跳び上がったかと思うと、
「ウォロロロロロッ! 要は『ゴッドバレー』の時と同じだな!? なぁガープ!? 邪魔をしてくる
改めて――「人獣型」どころか、ハッキリとした「龍」そのものの姿になったカイドウが、宙でその身をくねらせながら眼下のフレイを睨みつければ、
「
ゴゥッ! 全身から勢いよく黄金のオーラを立ち上らせたフレイが、両の拳を胸の前でゴチンッ! と打ちつけ、
「だから、『
巨大化させた目と口のある雷雲――『ゼウス』に乗ったビッグ・マムが、凶悪な笑みを湛えながら、再度炎を纏わせた大剣を掲げており、
「
「できる訳ねえだろ!? 相変わらず、言いてェこと全部口に出しやがって――前半はともかく、後半のほうは絶対叶えられねぇよ! ガープさん!! おれァ『大将』としてもここに来てんだぜ!? ……おれの海兵としてのプライドの為にも――マリージョアの
そして――
◆ ◆
5人の超人。
5人の思惑。
5人の人知を超えた絶技が、程なくして66番
後に歴史の1ページに刻まれることになる怪物たちの
エロ書きたい欲が抑えきれなかったことと、以前から気になっていたこともあって、以下支援サイトにて本作の後日譚を連載し始めました。
いずれはハーメルン等でも掲載する予定の話なので、正直支援する意味合いは薄いです。殆ど投げ銭のようなものだと思って下さい。
当然、まだ投稿していない本作の今後のかなりのネタバレを含むことと、どちらのサイトも内容が同じ点もどうかご注意をば。
・Ci-en
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