『ぐおっ……! ハァッ……ハァッ……! ……おれが斬りてえのは、あくまでもテメエの首ひとつ!』
――それは、忘れたくとも忘れられぬ、1年近く前の記憶。
今や、『海賊王』として語り継がれている同世代の出世頭――ゴール・D・ロジャーは、実に
「死」こそ、全ての人間にとっての終着点にして、「完成形」。
常日頃からそう思っているが故に。
かつて、自らが所属していた海賊団を、後の『海軍の英雄』と共に打ち破って見せた男を、『百獣のカイドウ』はそのように評していて。
……だからだろう。
あの日――自分とオロチの「嘘」に気づき、9人の『
無論、勝つつもりで戦った。負けてやるつもりなど、毛頭なかった。
しかし。
『ハァッ……ハァッ……! いくぞ……! 「おでん二刀流」――』
……今は亡き英傑、元『ロジャー海賊団』の「主力」でもあったおでんの強さは、こちらの予想を遥かに超えていて、
『――「
……故に。
心の奥深い部分で、思わず「期待」してしまったのだ。
淡い――本当に、淡い期待。
『……っ! そ、そんな馬鹿な!?』
『無敵のカイドウ様が……「傷」をっ!?』
『ぐっ……!? おぉっ……!』
かつて自分を従えた
……だが、
『いくぞ、トドメだ……!』
だが――この男は。
『もう二度と来るな! 「ワノ国」へ!!』
そう思って。
『――待て! 動くなおでんっ!!』
『父上――どうか! どうか助けて!!』
『何っ……!?』
そう思って――
『……モモ!? 馬鹿な――がっ!?』
……叶わなかった。
『キョキョ……!』
下らぬ横槍。『マネマネ』の能力によっておでんの息子に化けた、
『キョキョキョキョキョキョキョっ!!』
カイドウの心の奥で燻っていた本懐が遂げられることはなかった。
「完成」――できなかった。
そして。
それから数ヶ月後の――現在。
「マ~ハハハハハァっ!! こりゃあどういうこったい? セオリー通り『
『
「…………っ」
「……? カイドウ……?」
「……また……」
かつては同じ釜の飯を食った姉貴分とも言える存在、ビッグ・マムから怪訝そうに名を呼ばれた彼は――今再び、おでんを制した時と同じような、非常に後味の悪い勝利を噛み締めていた。
視線の先で仰向けに倒れている細身の美丈夫――イングナル・フレイ。
彼の強さが、かつてのおでんと同等か、下手をすればそれ以上だと――そう認めていたが故に、余計に。
「また……こんな……!」
無論、言い訳をしようと思えば、いくらでもできる。
自分が、
すべては、自分のほうから『
しかし、それらを重々承知した上でも尚。
誇ろうにも、誇れない。
下らない――実に下らない勝利の味を、噛み締めることになって。
……だからだろう。
必然――後悔と焦燥に満たされていた胸中を上塗りするのは、形容しがたい程の怒り。
望まぬ形での決着をもたらされたことに対する憤怒。
それによって震える身体。
より強く握り締められる金棒。
限界まで寄せられた眉根の下にある血走った両目は、こんな後味の悪い感情を抱かせるきっかけとなった、ひとりの男に向けられることになって――長い付き合いであるが故か、そんな彼の心情を察したらしいビッグ・マムは、やれやれとでも言いたげにひとつため息をついて見せると、
「相変わらず、難儀な性格だねぇ? 素直に手間が省けたって喜べねえのかい?」
「…………」
答えず――視線も向けず、あくまでも、いまだ状況が理解できていないのか、呆然とした様子で気絶しているフレイに虚ろな目を向けているクザンへと、怒りの視線を注ぎ続けるカイドウ。
そんな彼に対して再び吐息をついたビッグ・マムは、
「……鬱憤を晴らしたいなら、サッサとしな。ガープもすぐに復帰してくる――それまでにおれも、
ニマ~っとだらしない笑みを浮かべた口の端から一筋の涎を垂らしながら、脱落したフレイへと歩を進め始めるビッグ・マム。
その姿を視界の端で捕らえながらもカイドウは、脇に提げた巨大な金棒から、バチバチと黒雷を走らせ始めていて、
「……おい! クザン――クザンっ! お前、何をボケっとしてやがる!?」
「…………っ」
海岸の地面に片手を着けて今まさに海から上がろうとしつつも、必死で
自分が捕らえようとしていた男に救われたという事実。そのことをまだ理解できていないのか、あるいは単純に受け入れ難いのか――どちらであろうとも、当然、それを待っている義理はこちらにはない。
「青……雉……」
だからこそ、カイドウは、
「……青雉いいいいいぃぃぃっ!!」
咆哮。からの突貫。
単なる八つ当たりだ。わかっている。クザンがフレイに助けてくれと頼んだ訳ではないし、かの海兵に怒りの矛先を向けるのはとんだお門違いの筋違いで酷い逆恨みだと、カイドウは十分に理解していて――それでも尚、抑えきれぬ激情に突き動かされた結果、クザンへと肉迫するカイドウ。
その巨体からは想像もできない速度で、能力によって凍らせた海面の上で膝と両手を着いて、呆然とフレイを見ていたクザンとの距離を詰めると、そのまま――
「――『
ただでさえ半端ではない「重さ」を兼ね備えた巨大な金棒。
尋常ならざる『覇気』を纏った「それ」が、カイドウの埒外の「剛力」と「速さ」を伴って横向きに振るわれ――そして、
「……今度は、テメエか……!」
鈍い音。
迸る
舞い上がる鮮血。
されど、その金棒がクザンの体を捉えた訳ではなくて。
金棒を振り切った状態のカイドウが、忌々しそうに、右手側に数メートルほど離れた場所に視線を遣れば――そこには、たった今、殆ど横からタックルするような形でクザンを抱えながら、カイドウの攻撃を横っ飛びに回避
そして――非情に痛々しい、かなりの量の鮮血を滴らせている大きな傷が、その額に刻まれていた。クザンを庇うこと自体は成功したが、それにすべてのリソースを割いたせいで、完全にかわすことができなかったのだろう。
カイドウは、一度金棒を振り上げたかと思うと無造作に下に振るい、付着していたかの『英雄』の血を払った。当の本人は、クザンに覆い被さるような形で地面に四つん這いになり、致命傷――とまではいかずとも、その一歩手前には違いない額の傷を左手で押さえながら、何とかヨロヨロと立ち上がろうとしていて、一方、一度ならず二度までも他者に命を救われたクザンはと言うと、
「ガ――ガープさん……!?」
「……ぐっ……はぁっ……! 馬鹿が――真剣勝負の最中に、目を切りやがって……!」
ガープが言った。彼は、ギロリとクザンを睨むのもそこそこに、やがては、わずかによろめきつつも何とか立ち上がると、油断なくカイドウのほうを見据えながら――次のように続けた。
「ハァッ……ハァッ……だが……なぁに、問題ねぇ……! ……いいか、自惚れるなよ? クザン……! おれが狙われただけだ……!」
「が、ガープさん、おれは――「わかる!」――っ」
クザンの言葉を遮る形で、ガープが吠えた。額に青筋を浮かべたカイドウは、それを黙って見ていた。
折角の追撃のチャンスをフイにしている? いや、そうは思わない。なんなら、もう既に戦いはこちらの勝利で決着がついている、と言っても過言ではない。たった今ガープの額につけた、決して浅くはない傷だけが原因ではない。何となれば――
「『豊拳』にこだわるお前の気持ちも! よりにもよってそいつに窮地を救われたお前の複雑な気持ちも! どっちも理解できる! 今この場で整理して納得できるほど単純なものじゃねえってこともな! だから――」
ズシン……! ズシン……! と。
いまだに『豊拳』から受けた『
「――とにかく今は! おれの言う通りにしろ! 『
「……っ!」
「おれがカイドウと
「それ以外……? 大体、目を覚ますまでって、アイツはもう、おれのせいで――」
「ロジャーと散々やり合ってきたおれにはわかる! アイツは――必ず立つ! 何より……おれの弟子であるお前が終生のライバルと認めた男だ! そうだろ!?」
「…………っ」
「動けっ!!」
「~~あああぁぁ畜生! 『アイスタイムカプセル』!」
尻もちをついた状態のクザンが、地面に置いていた右手から青い
まるで大量の小麦粉でもまぶしたかのように真っ白に染まる超新星の肉体。その身から
厳密には、つい先ほどまでクザンが座り込んでいたその場所を――その頃には既に立ち上がり、全身に冷気を纏わせたクザンが、ビッグ・マムに向かって突貫していくところだった。
「人の恋路を邪魔すんじゃねえっ! 若造――『
「こんな屋外でとんでもねえことしようとすんじゃねえよっ! いち海兵として見逃せるか――
鉄をも溶かしかねないビッグ・マムの炎塊と――たった今、フレイに対してそうして見せたように――死への歩みさえ阻む程の冷気を纏ったクザンの氷塊が衝突し、爆音。からの尋常ではない衝撃波の発生。
カイドウの髪を揺らし、目の前で揺れるそれを、金棒を持っていない手で鬱陶しそうに払いながら、カイドウは、
「あんな大将になったばかりの『青二才』に、あのババアを止められるとでも?」
「人のことよりも
胸の前でポキポキと拳の関節を鳴らしながら、ガープが言った。
これによって、ただでさえ複数の青筋が浮かんでいたカイドウの額に、また1本、新たなそれが追加されて――
「こっちの台詞だ、『老害』――とっくに気づいてんだろう? それとも、『見聞色』がまともに働かねえぐらい傷は深いのか? ……おれと
カイドウがそう言うのと、ふたりの体に巨大な影が落とされたのは殆ど同時だった。
船――『百獣海賊団』の船だ。しかも1隻だけではない。10……下手したらそれ以上。また、ビッグ・マムの海賊旗を掲げた巨船も、同じぐらいの数が散見されていて、
「『
「ム~ハハハハハァッ! 遅れて済まなかったな~カイドウさんっ! 途中で、同じように
「『
「ハァッ――ハァッ――見りゃわかんだろぉ、カタクリぃ……! 後一歩のところで、『老害』と『若造』に邪魔されてんだよぉ……! 『豊拳』はもう脱落したから、野郎との『約束』の為に
ウオオオオオッ! という何百、何千もの人間の咆哮が響き渡り、一帯の空気をビリビリと揺らした。カイドウがニヤリと笑った。
「ウォロロロロロっ……! どうだ――気が変わったか? 元々、おれとリンリンの狙いは『豊拳』と、その仲間たちだけだ……。お前らだって、本来は『天竜人』に手を上げたあのガキに落とし前をつけにきたんだろう? おれたちが代わりに
カイドウの口上を、ガープがバッサリと切り捨てた。カイドウの顔から笑みが消えた。
「お前らが生まれた頃には、おれもセンゴクたちも、もう海兵として
言って――多くの海賊たちが地に降り立ち、咆哮を上げながら突っ込んでくる状況下で、あくまでも正面のカイドウを見据えながら、黒雷を纏わせた右拳を振りかぶるガープ。カイドウもまた、それに応じるかのように両手で握った金棒を振りかぶっていて――そして、
「
「ほざけっ! ジジイっ!!」
世界でも極わずかな人間にしか扱えない、「触れない攻撃」――しかも、相当な威力を持ったそれが、両者の中間で衝突。炸裂し。
それによって周囲に響き渡った衝撃波および爆音が、フレイが脱落する代わりに、その穴を埋めて大いに余りある大量の乱入者たちも入り乱れることとなった、シャボンディ諸島の戦い――その第2ラウンドを告げるゴングの代わりとなった。
……そして。
映像電伝虫を通してそれらの経過を見ていた、フレイの
◆ ◆
「レイリー! お願いだからそこをどいて!!」
「そうだよ――レイさん! 早く! 早くフレイの所へ行かないと……!」
「駄目だ――落ち着け! まだだ……まだ決着は着いていない!」
気絶。下手をしたらそれ以上――否、
全員が焦燥に満ちた表情を浮かべていた。先の3人と、どうすればいいかわからずにオロオロしているフレイの他の
もっとも、モルガンズだけは「なんてこった! 『豊拳』が勝つ前提で記事の構成を考えてたってのに! ……いや、『超新星の野望、シャボンディにて
勿論、かの『冥王』が刀の柄に手をかけているという状況だけでも落ち着きを失うには十分過ぎるだろうが、やはり、それよりも前に見た、カイドウとビッグ・マムの合わせ技を受けたフレイが倒れ伏す映像のほうが衝撃的過ぎた。
作戦は失敗だ。事前にヤマトと軽く打ち合わせていたステューシーは、顔を青くし、心臓をバクバクと鳴らしながらも、早速彼女と共に問題の場所である66番
別に決定的な物理的阻害を受けた訳ではないのに、ただ正面に立たれるだけで足が止まってしまう程の威圧感……! 流石は元『ロジャー海賊団』の副船長――『海賊王』の右腕である『冥王』の異名は伊達ではないということか。
しかし当然、一刻も早く愛する男の下へ馳せ参じたいと願うステューシーたちが、それだけで止まる筈がなくて、
「落ち着ける訳ないでしょ――大体、決着がついてないって何!? もうフレイは……!」
ステューシーが叫んだ。それを受けて、間髪入れずにレイリーは、
「目で見たものだけで判断するな――『見聞色』の心得はある筈だろう!? 彼の『声』は、まだ完全には消えていない!」
「でも、時間の問題だよ!」
金棒を持ったヤマトが吠えた。どういう訳か、露出した肌は白い体毛に覆われ、口から覗く犬歯以外の歯も漏れなく鋭くなり、さながら、狼と人間を掛け合わせたような姿となっていて――いつの間にか霜に覆われた足元の雑草が、パキパキと乾いた音を立てていた。
一方、彼女らよりも少し離れた場所では、同じようにフレイの下へ向かおうとした九蛇の少女、ボア・ハンコックを、現皇帝代理のグロリオーサが組み伏せていて、
「ええい離せ! 離さんか! 我らが豊王様の窮地じゃぞ! ここで大人しく見ておることなぞ――」
「今、お前や私たちが行ったところでどうにもできん! とにかく耐えろ! クザンとやらについてはともかく――
「――我々の軽挙で、彼の作戦を頓挫させる訳にはいかない! まだ『計画』は生きている――あのふたりを『説得』することで得た知名度によって、『七武海』に加盟し、君たちをあらゆる脅威から守るという計画は……!」
意図した訳ではないだろうが――離れた場所で叫ぶグロリオーサの台詞を引き継ぐ形で、レイリーが言った。
そのまま、彼は続けて、
「戦闘前の会話を聞いていただろう!? 正直、私にとっても
「もうとっくに潰れてるわ――あんなに部下を引き連れて! それなら、こっちだって遠慮する必要はないじゃない!」
「これについては、こっちが妥協するしかない!」
カイドウとビッグ・マム及び、両者が抱える大勢の部下を相手に大立ち回りを見せる『青雉』と『海軍の英雄』――その奮闘振りを映している遠方の超大型スクリーンを指差しながら反論するステューシーに対して、レイリーが叫んだ。
「むしろ、ここからフレイが逆転するようなことがあれば、
ここで一旦言葉を途切らせた後で、レイリーは更に、
「さっきも言ったが、フレイからの提案を、あのふたりがああも簡単に飲んでくれたのは幸運以外の何物でもない……! そして幸運というものは、そう何度も都合よく起きるものではない……! ここで我々のほうから横槍を入れれば、もう今後2度と、あのふたりがフレイからの提案を受け入れることはないだろう――だからこそ、今はまだ耐える時だ! 何より……!」
再びレイリーがひと呼吸の間を置いた。
そして、
「……何より!
――様子を見てくれ、というレイリーの台詞を、しかし、ステューシーの鼓膜は捉えることができなかった。それよりも一瞬早いタイミングで、
――カラァー……ン! と。
突如、謎の音が鳴り響いたからだ。
謎――というよりは、鐘の音だ。荘厳、と言っても過言ではない程に立派で、美しい
しかし発生源がわからず、ステューシーは困惑した。間違いなく島中に響く程の音量だが、ここまで大きな音色を響かせているとなれば、鐘楼自体のサイズも相当な物の筈――なのだが、政府の諜報員時代に何度も訪れた経験から、この諸島にそういった物が備わっていないことをステューシーは知っていた。
では一体? と、そんなことを深く考える暇もなかった。何故か? 鐘の音に追従する形で、謎の耳鳴りが発生したからだ。
反射的に顔をしかめた上で、額に手を当てるステューシー。ヤマトおよびレイリーの怪訝な表情と、周囲の人間の戸惑ったような声から察するに、自分の身にだけ起きた現象という訳ではないらしい。
これは一体……!? と、ステューシーが怪訝な表情を浮かべた、その直後。
――カラァー……ン!
『その男の言う通りだ、待て』
声が、聞こえた。
美しい鐘の音に重なる形で。
頭の中に直接響くような、謎の男の声が。
『私としても、800年の月日を経てようやく巡り合えた「後継者」なのだ。ここで失いたくはないが……』
「誰なの……!?」
相変わらず額を手で押さえながらそのように疑問を口にするステューシーではあったが、それを聞いているのかいないのか、謎の声は続けて、
――カラァー……ン!
『――今はだけは、何もせずに見守っていてやれ。心配するな、というのは流石に無理だろうが……。とにかく……』
声の出所はどこかと、『見聞色』を展開しながら周囲を見渡すステューシーではあったが、やはり、声の主と思われる男の姿は見当たらなかった。今この辺りにいる男はレイリーとモルガンズのふたりだけだが、どちらもが、こちらの様子を鏡映しにしたかのような、戸惑った表情を浮かべていて、
『ここが、全ての分岐点だ。14年前……あの男を
――カラァー……ン!
『更には、「この男」にまだ戦う気があるのかどうかの。……そして、もしもまだその気があるのなら……』
謎の声が言った。
『あの大女と大男のふたりを打ち倒し、愛する女たち……お前たちの未来を勝ち取るだけではない。新たな「王」が生まれるだろう。……あらゆる「
――『豊穣の王』が、と。
そう言って。
それっきり、謎の声は聞こえなくなった。耳鳴りのほうも収まったが、しかし、出所不明の荘厳な鐘の音色は相変わらず定期的に響いていて、後には、狐につままれたような顔を晒すステューシーたちだけが残ったが――殆どすぐに、彼女は気付いた。隣にいるヤマトを含めた、他の者もだ。
――カラァー……ン!
遥か遠方にある超大型のスクリーン。そこに投影された、映像電伝虫の視界。
現在、この世で最も多くの人間の注目を集めている場所――66番
そこにはビッグ・マムとカイドウ。そして、彼らに従う猛者たちと相対するガープと青雉および、彼がバリアのように作り出した氷壁の内側で横たわった上で凍らされている、
そんな彼の体に、明確な変化が起こっていた。
――カラァー……ン!
奇妙な波動が、迸っていた。
円状に拡散する、黄金の波動が――フレイの全身から。
先ほどからずっと定期的に鳴り響いている、鐘の音色と連動する形で。
やがて、何度目かの鐘の音、および黄金の波動と共に、「それ」は起きた。
バキンッ!! と。
フレイの体を覆っている白い氷膜に――ひと筋の亀裂が走ったのだ。
ステューシーを含めた、それを見ていた全員が目を剥いた――フレイの能力由来の物と思われる、下腹部に施されたハート型の紋様。その奥にある
――カラァー……ン!
そして、
イングナル・フレイは――
次の更新でようやく久々のエロに突入します。中々に唐突ですし、色々我慢できなくなったというのも否定しませんが、一応前々から予定していた展開です。よければお付き合い下さいませ~。