幼い頃過ごしていた田舎の祖父母の家に帰ったら、結婚の約束をしていた双子の姉妹をお嫁さんにすることになった話〜姉編〜 作:紫苑院さざんか
「ッ……暑ィ……なァ……?何度だコレ……ゲッ、35ォ……!?」
夏。
志望大学に合格し、晴れて4月から憧れのキャンパスライフと一人暮らし。あっという間の3ヶ月が過ぎ、7月も後半に差し掛かったころ。
俺──一条顕秀は、祖父母の家がある徳実村(とくさねむら)に遊びに来ていた。
丁度よく、出席して試験を受けなければいけない単位は全て終わらせていたのもあり、気兼ねのない小旅行といった気分。
本来ならば父と母の待つ実家に帰省となる所、父が1ヶ月のロサンゼルス出張に出かけることになってしまった。それに母が着いていくというものだから、さあ俺はどうしたものかと悩む羽目になった。
そこで、親父が提案してきたのが祖父母の家への1ヶ月ほどお邪魔する、という事だった。
「お前もいい具合に成長したんだし、おじいちゃんとおばあちゃんに顔見せしに行きなさい。私から連絡しておくから」
「ああ……そういえば、最近ご無沙汰だもんな。分かった、そっちも出張気をつけてくれよ」
しばらく会っていない祖父母、小さい時は良く訪れては遊ばせてもらった記憶がある。
思い出深い土地である。
しかし、いかんせん遠いというのが結構な問題として立ちはだかる場所でもあった。
幼い頃は父と母が車で連れてきてくれたからよいものの、今の俺はそれに頼ることは出来ない。
現代の利器であるスマホ先生に頼ってみたところ、電車で乗り換え含め3時間、バスでさらに2時間(しかも最終が結構早い)という場所であることが判明。
都会の利便性に染まった俺からすれば、その地獄のような道程を何とか制覇し、地元に着いたのは昼前、11時過ぎだった。
始発で出たのにこの時間。さすがド田舎。
バスを降りた瞬間に襲い来る暑気。
むわりとした熱が顔面どころか全身を襲う。キャスターケースを引くのも億劫になるほどの外気温。
頼りになるスマホ先生に問えば、無慈悲に表示される35という文字。
やってられねえ、といった心持ちである。だいたい、30度を超えたあたりからもうやる気も体力も削れていくのだ。いくら若さ溢れる大学生にしたって、体力は有限だ。
いくらか手心を加えて貰えないものだろうか、と太陽を思わず睨みつける。
しかし、泣き言を言っても始まらない。
観念したように肩を下ろした俺は、ゴロゴロとキャスターケースを引っ張りながら道を歩んでいく。
記憶の中に残るあの頃とさほど変わらない光景。うだるような熱気を全身に浴びながら見渡しては、経過した年月に思いを馳せる。
自分が都会に行き、その気風に染まっていっている間にもこの土地は、何も変わらなかった。
移り変わるものと、変わらないもの。
「……………」
そういえば、幼い時に毎日のように遊んでいた幼なじみの姉妹……彼女たちは元気だろうか、とふと思い出す。
元気で活発な姉に、内気で大人しい妹という姉妹と言われればこれだろう、と想起されるもののテンプレートのような組み合わせ。
彼女たちと過ごした楽しかった日々に、外気の暑さから逃避するように浸る。
……しかし、この限界集落真っ只中のふるさとに居るかどうかもわからない。そのことにはたと気づく。
もしかしたら、自分のように都会に出てしまっているかもしれない。
もし出会えたら儲けもの、その程度に考えて───目的地である祖父母の家へと向かうスピードを上げるのであった。
◆◆◆
「よく帰ってきた、顕秀。怪我や病は……せんだか。それなら良かった」
「ああ、爺ちゃん。久しぶり、こっちはまったく変わらない景色で安心したよ」
「フハッ、この土地は良くも悪くも変わりにくい。安定しているが故よ……じゃが、米は美味い」
一条邸。
この地方に、かつて落ちぶれてきた公家の一族が住み着き……地元の豪族として身を立てたのが我が一条の一族であるという。
それは今でも変わらず、県下でも有数の資産家でもある祖父母の家は広大な土地に広々とした間取りをもつ平屋の屋敷とも言うべき風情である。
しかしながら近代化改修を幾度となく繰り返した結果、住みやすさも向上し、最新式のエアコンにバリアフリー構造を取り入れ、一部にはサッシやら引き戸やらを増築。
金にものを言わせたその家は、正しく住みやすい家という平易な文章で表すのが逆に相応しいという、そんな所に進化していた。
そんな部屋の廊下を、俺は出迎えてくれた祖父───一条第十四代当主、一条厳次と共に歩いていた。
「にしても、俺がいた頃よりも過ごしやすくなっていないか?なんか新しい建物も増えてるし」
「この家は儂らだけがおるわけではないからの。使用人も住み込みでおるし儂らも歳だ。相応に暮らしやすく家を改造してもバチは当たるまい」
「確かにそうか……そういえば婆ちゃんは?」
「村衆の会合に儂の代理で行っておるよ。帰ってきたら顔を見せてやりなさい。儂以上に喜んでおったから」
「ああ、そうするよ。ありがとう、暑い中出迎えてくれて」
他愛ない家族の会話。
祖父と祖母は俺にとても優しい、というか甘い。
初めての孫ということもあり、とてもとても大事にされたわけで。幼い頃にこの屋敷に住んでいたのも、父と母が世界中仕事で飛び回っていたことが関係している。
幼い孫をハードワークの父母に預けておくには不安が勝ったらしい。
そういうわけで、3歳の頃から10歳になるまでこの地域で暮らしていた、というわけだ。
「……そうじゃ、顕秀。この家だがの、時継も流明も外に出て行ってしまったじゃろう。後継者がおらん」
「ん、ああ……そういえば。父さんも流おじさんも村の外で仕事してるから……そうなるのか」
「うむ、そこでな。相続先をお前名義にしようと思うてな。あやつらは儂の財産なんぞいらんし家を継ぐ気もなかろう。であれば、可愛い孫にでもくれてやるのが良いかと思うてな」
「縁起でもないことを言うなよ……そんな身辺整理みたいな」
「カカカ、そう寂しい顔をするでないわ。いずれ将来というだけの話よ。儂も依子も20年はまだ生きるつもりじゃ」
「そっか……」
「話が急すぎたな。兎に角、ここにいる間は好きに楽しむと良い。ほれここがお前の部屋じゃ。クーラーもWiFiも入れてあるでな」
広々とした和室。
爺ちゃんが襖を開けると、丁寧に整理されたそこが目に入る。
まるで高級旅館のような間取り。くつろぐという目的を十分に満たすためのそれ。
「おお……」
「まあ、急ごしらえにしかなっとらんでな。あとは好きにすると良い」
「いや、有難いよ。こんな広い部屋を……」
「若干狭い方なんじゃがな。……おぉ、依子が帰ってきたかな?」
「婆ちゃんが?」
その声に耳を澄ませてみる。
か細い声で爺ちゃんを呼ぶ声がする。たしかにこの声は婆ちゃんだろう。
「すごいね、遠いのに」
「まあ、愛のなせる業じゃよ。さて、飯でも食うとしよう。それからは好きにするとよい」
照れくさそうに笑い、爺ちゃんが俺の背中を押す。
釣られたようにして俺も笑顔になる。仲睦まじいとはこの事を言うんだろう。
そんなことを思いながら、2人して婆ちゃんの声のする方に歩いていくのだった。
◆◆◆
食事を済ませ、婆ちゃんに挨拶をした俺は、幼い頃によく遊びに来ていた川へ訪れていた。
森に囲まれたのどかな場所にあり、響く音といえば俺自身の心臓の音か、川のせせらぎの音というようなところだ。
「ここも変わってないな……」
さく、さく、と地面を踏む感触を足裏に受けながら歩く。
そうそう、この大きな岩が陰になるからここの下で休んでたんだよな、なんて思い出が蘇ってくる。
その思い出を噛み締めながら、川の方向に目を向ける。
しかし──そこには先客がいた。
水着……学校で支給されるようなスクール水着ではなく、もっとカジュアルな水着のようなものを着用して水遊びをしている女の子がそこに居た。
「ん……?先客、か?」
先に誰かが居るのならお邪魔しちゃいけない、よな……?といったような思考が持ち上がる。
あわよくばこの暑さを凌ぐために水遊びにでも興じようと画策していたのだが、宛が外れてしまった。
ましてや、相手は女の子だ。何処の馬の骨ともしれない男と一緒に……というのも辛いものがあるに違いない。
そう考え、踵を返して帰宅しようとした瞬間。
足元に落ちていた枯れ木を踏んでしまった。
ベタな展開にも程があるが、それなりに大きな炸裂音を響かせて枯れ木が割れる。
その音を耳にしたのか、女の子がこちらを振り向く。
……ああ、やってしまった。これではまるで、不審者だ。
なんと弁明したら良いものか、とあたふたしていると、その子はあろうことか川から上がり、こちらに向かってくる。
「ん、誰?……男の人?珍しいね、こんな田舎に来るなんて」
女の子はそんなことを言いながら俺に近づく。
「……女の子が、不審者にそんな無警戒で近づくものじゃないよ」
「お兄さんは帰ろうとしてたんでしょ。僕に怪しいことをしようとする怪しい人ならそんな姿勢になってないし、音も立てないはずだよ」
「それは、そう……なのか?」
「そうだよ。ところで、お兄さん旅行者?」
「いや、帰省……っていうのかな?昔この辺りに住んでて」
「帰省?」
「そう、俺は今大学生なんだけど……祖父母の家がここにあるから、小旅行って感じで」
「へえ……」
女の子が何かを考え込むような姿勢になる。
……それにしても、初対面のはずなのに俺もペラペラと事情を喋りすぎている。
おかしいな、こんなに饒舌だったか?
初めてのはずなのに、妙に口が軽くなる不思議な感覚に俺が困惑していると、彼女がおそるおそるといった風にこちらを見つめて口を開く。
「お兄さん、その。聞きたいことがあるんだけれど」
「あ、ああ。俺でよければ」
「お兄さん、昔……この辺りに住んでた時に、仲の良かった……子とか居なかった?」
仲の良かった子。
そういえば、昔このあたりで一緒によく遊んだ子達がいた事を思い出す。
この村に来る時にもふと頭をよぎったけれど、懐かしい思い出だ。
「えーと、そうだな。昔仲の良かった女の子ならいたよ」
「女の子。……もしかして、姉妹の?」
「お、そうそう!姉妹だった。元気なお姉ちゃんの方と、大人しめな妹の方。もしかして知り合いかい?」
姉妹、ということまで見透かされている。
もしかしたら、彼女たちと知り合いなのだろうか?
少子高齢化著しい日本だが、この村にさすがに子どもが姉妹だけということはなかった。
俺もいたし、村の夏祭りでは何十人も集まっていた記憶もある。
そう俺が当たりをつけていると───
「ふふ、ということはお兄さんの名前は一条顕秀さんってことでいいのかな」
「なんでバレたのかな?」
……驚いた。まさか名前がバレているとは思わなかった。
びっくりしすぎて目が点になる。
その様子がおかしかったのか、彼女は笑い声を上げる。
「なんだ、その事は覚えているくせに人の顔は忘れちゃったの?」
「えっと……君は……?」
「僕だよ、僕。”アキ兄ちゃん”、久しぶりだね。カッコよくなってて、僕も誰だか分からなかったよ」
その呼び方に、曖昧だった記憶が一気に蘇る。
俺の事をアキ兄ちゃんと呼ぶのは……そう。
「えっ、君……もしかして、祈ちゃん?」
「うん、そうだよ。思い出してくれたみたいだね、嬉しいよ」
酒入祈(さかいりいのり)……イノリちゃんと呼ばれていた、姉妹の片割れだった。
俺が思い出したことを告げると、とことこと歩いて来て、抱きついてくる。
「僕ずっと待ってたんだからね」
「いや、あの、えっ」
「これも忘れちゃったかな?さよならのときの約束」
そういえば。
俺が村を離れる頃───
〜〜〜
『いやだよぅ……アキにいちゃんとはなればなれになりたくないよ……』
『わたしも……やだぁ……』
『んー……あ、ふたりにこれあげる!』
『……わぁ、はなのかんむり!』
『かわいい……ありがとう……』
『ふたりにおよめさんのかんむりだよ!まっててね、いつかおれがふたりのことおよめさんにするためにかえってくるから!』
『………っ、うん!』
『わたしたち、ずっと、まってる……ね!』
〜〜〜
────ああ〜〜〜ッッッッッ………
そうね、そうだったね。
小さい頃の与太話とはいえ、なんてことを俺はやらかしているのだろうか。
仲のいい女の子にお嫁さんにすると言うならまだしも、2人まとめて引き取るとかいう法律に喧嘩を売るような内容のそれ。
「い、や……覚えてるよ、祈ちゃん。2人のことお嫁さんにするために迎えに来るって……約束、だったよな?」
「うん、そっか。覚えていてくれたんだ……えへへ 」
嬉しそうに頬に手を当てて笑う、成長した祈ちゃん。
……改めて見るととても美少女だな。
スレンダーな体にフィットする水着、絹のように艶めいた長い黒髪に、勝気そうな吊り目。
少し低めの声だけれど、それでも十分に女の子の柔らかさをその中に内包している。
そんな女の子にさっきまで抱きつかれてた上に、目の前でいやんいやんと俺に会えたことを嬉しそうに笑っている。
……その健康的な色気と───太陽の暑さに当てられたのか、鼻の奥がツンとする。
「……あっ、お兄ちゃん、鼻血出てるよ」
「えっ、わ、マジか。嘘だろ……?」
祈ちゃんが気づいたように言う。
慌てて指で鼻の下をさすると、ぬるりとした感触が伝わってくる。
うわ、マジだ。鼻血出てる。
ポケットからティッシュを取りだして鼻血を拭く俺を眺める祈ちゃん。
「もしかして、僕の水着で興奮しちゃった?」
「……さ、さあ?どうかな」
「ふぅん……」
にっこりと笑う彼女。これはバレてるなあ。
祈ちゃんは昔から勘が鋭かった。嘘をついてもバレるし、隠し事をしてもすぐバレる。
昔のあの頃と変わらない特徴。
本当に、祈ちゃんと会えたんだと思うと嬉しくなってくる。
鼻にティッシュを詰めながら、そう思う。
「鼻血……止まった?急に出てくるからびっくりしたよ……ん、止まったね。良かった」
そう言いながら柔らかく、小さな手で俺の頬をぺたぺたと触ってくる。
さっきの笑顔と一転、心配そうな顔をする祈ちゃん。勝ち気なつり目が垂れ下がってしまっている。
「ああ、ごめんな。心配かけちゃったよな。もう問題ないよ」
「そっか。……あ、そうだ。僕はそろそろ家に戻らなくちゃいけないんだけれど……良かったら、明日僕のお家にでも来てよ」
「祈ちゃんのお家……懐かしいな。昔よく遊びに行った……ん?てことは、あの子も?」
「ううん、日和は学校に行くはずだから……お家には僕だけ。色々話したいこともあるし、お茶でも出すから」
「お、おう……分かった」
そう返すと、彼女は大岩の方に向かい……その陰に置いてあった荷物を取って、俺に向かって大きめの声で叫ぶ。
「また明日ね!約束、忘れちゃダメだよ!」
ちょっと忘れようとしていた約束のことを念入りに思い出させられて、俺は苦笑いしながら手を振る。
彼女はそのまま手を振り返すと、家の方に駆けていった。
「……約束、なぁ……」
過去の俺のやらかしたことに頭を抱えながら、鼻血も出てしまっているので、俺も家に帰ることにした。
……それにしても、柔らかかったなあ。抱きつかれた時の、体……。
◆◆◆
「いらっしゃい、アキ兄ちゃん。ううん、お兄さん」
「お邪魔します、祈ちゃん」
翌日、俺は祈ちゃんの家に来ていた。
正直久しぶりに会ったとはいえ秒で男を家に連れ込むのはどうかと思う。
「それにしても、お兄さんがこっちに帰ってきてるなんて知らなかったな」
「まあ、急に決まった話だったし。着いたのも昨日……正直言えば、会えたのも偶然に近いと思うよ」
カラン、とコップに入った氷が融ける音が響く。
彼女の部屋に案内され、よく冷えた麦茶が出される。
夏といえば、麦茶というイメージ。クーラーの効いた部屋で飲む麦茶は最高の一言に尽きる。
クピッ、と音を立てて喉を通り抜ける流体が、太陽の光に照らされ、火照った体を優しく癒す。
「じゃあ、僕たちが会えたのはきっと運命なんだねぇ」
くすくすと笑う祈ちゃん。
嬉しそうに、笑う。
「ま、まあそうかもしれないね。うん……ところで、こっちではどんな感じだったんだ?俺がほら……あっちに行ってから」
「ああ、うん。そうだね、僕たちはお兄さんがあっちに行ってからは……まあ、最初は泣いてたよ」
「泣いてた……」
「うん、でもねぇ。お兄さん言ったでしょ、僕たちをお嫁さんにしてくれるって」
「……まあ、言ったな」
子どもの時の戯言のようなものだけれどな。
それでも、その言葉を否定する気にはなれない。その言葉を否定してしまうと、なにか彼女と……彼女たちと繋がった縁が切れてしまう気がしたから。
「だからね、日和ちゃんと話したんだ。お兄さんがいつか迎えに来るまで、お嫁さんとしてしっかりとお兄さんの役に立てるようにしようね、って」
じわり、と背中に汗が滲む。
にこにこと嬉しそうに語る彼女の顔は、いっそ小気味よいまでに輝いているのにも関わらず。
それがどうしても、獲物を絡め取る前の蜘蛛のように見えてならなかった。
「だからね、僕たち頑張ったんだ」
「まずお料理を覚えたよ。なんでも作れるように、頑張ったよ」
「それから、容姿も磨いたね。元からそれなりに良かった方だと自負しているけれど、お兄さんのお嫁さんになるために、スキンケアからダイエット、筋トレ……色々努力した」
「ね、お兄さん。昨日興奮してたでしょ。僕の水着を見て、興奮してくれたんだよね。あれ、とても嬉しかったんだからね。おっぱいはないけど、それ以外は全部完璧以上に仕上げている自信があったから」
「あ、あとお勉強も頑張った。実は僕たち今高校3年生なんだけれど、お兄さんを探すために都会の方に行こうって話をしててね。そのためにいい大学行かなきゃ行けないねってことでとても勉強頑張ったんだ。お兄さんの大学、どこ?教えて欲しいな。入るから」
「あ、そうだ。お兄さんの好みのタイプの女の子ってどんな感じかな?僕、そのタイプの女の子になれるから。なってみせるから教えて欲しいんだ。あ、でもおっぱい大きな女の子って言われたら困っちゃうね。そっちは日和ちゃんに任せて僕はお尻で責めたほうがいいかな。いいこと教えてあげる。僕のお尻ね、とても柔らかくてむちむちしてるんだよ。お兄さんの手でぎゅ〜っと揉んでもらうために育てたんだ。あ、ここで触ってみる?僕は大歓迎だよ」
「そうだ、忘れてた。えっちなことも旦那様に尽くすお嫁さんとしては大事だよね。これもちゃんと勉強したんだ。三指ついて土下座して、おねだりするのが作法?なんだよね。あれ、違ったかな?あっ、それとも別のやり方の方が良かった?うぅん、お兄さんどんなやり方が好き?」
矢継ぎ早のマシンガントーク。
言葉を差し込む暇もないほどに放たれる重い情念の籠った言葉。
それに圧倒され、唖然とする俺。
誰だ、こんなに手遅れに煮詰めたのは。俺だ、ちくしょう。過去の自分が苦しめてくる。
道理で美人だなー、可愛いなー、俺好みだなーと思っていたら、それは当然だ。
だって、俺のためだけに容姿を磨いてきたのだから。
スレンダーで綺麗な体型も、まつ毛バチバチの切れ長の瞳も。濡羽鴉色の、艶めいた長髪も。
全部、俺のための捧げ物───。
「どうしたのお兄さん。怖い顔してるよ?なにか、嫌なこと言っちゃった?ごめんね?僕たち、ずっとお兄さんのことしか考えてこなかったから……」
「祈ちゃん」
「っ、うん。なあに?」
俺がそんなことを考えているうちに、彼女は不安そうに目を瞬かせる。
……そうだ、そうだよな。小さい頃の俺が呪いをかけちゃったんだもんな。それを解かないといけない。
だから、まあ、まずは。
「L○NE、やってる?交換しよう。ずっと連絡も取れなかったんだし、十何年分寂しがらせちゃったお詫びだ。これからずっとお話できるように、連絡先交換しよう」
「……うん!ありがとう、お兄さん」
えーと、連絡先交換はどうやるの……?
えっ、使ったことないの?
うん、日和の連絡先しか入ってなくて……それもやってもらったから……
そっかぁ……
などという一幕を挟みつつ。連絡先を交換することに集中させることで、なんとかお嫁さんがどうのこうのという話を逸らすことができた。
……こんな可愛い子をほっておいて何年もボケーっと過ごしていた男がいるらしい。
嬉しそうにスマホを胸に抱きながらニコニコしている彼女を見つつ、俺はいつの間にか……安心と疲れとが重なったのか……
寝落ちてしまっていた。
◆◆◆
「お兄さん……?ね、起きてる?おーい……?」
困った。
お兄さんが寝てしまった。
初恋の相手とようやく会えたというのに、その相手が寝てしまったのではどうしようもない。
僕、酒入祈の初恋の相手。
妹と一緒にお嫁さんにしてくれると言った、強欲な人。愛しい人。
「む……良いのかい、勝手にちゅーしちゃうよ。ちゅー。お兄さん……」
ダメだ、起きない。
起きないと言うことは……あれ、何をしてもバレないんじゃないか?
「……ちゅ、ちゅー、しちゃうから、ね。……ん、ちゅっ……わ、しちゃった……」
ほっぺにキス、してしまった。顔が熱い。
久しぶりに会ったお兄さんは、とてもかっこよくなっていた。綺麗に整えられた髪に、引き締まった端正な顔立ち。僕よりも高い身長に、がっしりした体格。
全部、僕たちを堕とすためにあるんじゃないのか?と錯覚するくらいにカッコよくなってしまっている。
先程は、つい早口でお兄さんにまくしたててしまって後悔しているけれど、あれは偽らざる僕の本音。
だいたい、いつも一緒にいて、ずっと遊んでくれて、危ない時は手を引いて助けてくれて、事ある毎に「かわいいねえ祈ちゃんは」なんて褒めてくれるような男の子にお嫁さんにしてあげるなんて言われたら舞い上がってしまうのも、当然のことに違いない。
だから、妹と一緒に10年くらい頑張ってお嫁さん修行してしまうのも。仕方の無いことなのだ。
というか、お兄さんと初めて会った時にお兄さんが僕の身体で多分、興奮してくれたのがとても嬉しい。
女性らしい起伏には富んでいないけれど、それでも綺麗な身体をしているのではないか、と自己評価していた。していたのが証明されてしまった。
えっちな目で見られている、と思った時にきゅぅっとお腹が熱くなって、戸惑って。
何も予定が無いのに急いで家に帰ってしまったのは失敗だったかな。
もっと話したかったのにな、と思った。その後に、家に誘ったんだったと思い返して……夜が、捗った。
だから、今日は準備万端にしたのに。
抱かれてもいいようにしたのに。
「お兄さんの、馬鹿。僕の気持ち分かってくれてる?あの頃にもらったら暖かな気持ち、まだ忘れてないんだよ?」
つんつん、とお兄さんのほっぺをつつきながら気持ちよさそうに寝ている顔を見る。
……いたずらごころが湧いてきてしまう。
もし、お兄さんが寝てる間にえっちなことをしちゃったら、僕……どうなるんだろう?……
「……お兄さんが、悪いんだからね……?女の子をずっとほったらかしにしてたんだから……」
ぞくり、と背中に走った感覚に身を震わせる。お仕置きとか、されちゃうのかな?と想像してみると、下腹部に甘い痺れが走る。
その衝動に身を任せて、まずはお兄さんの首筋に顔を近づけて、汗ばんでいるその香りを嗅いでみる。
「すん……すん……ん……♥……ちょっと、臭い……かな……?でも、なんか……好き……♥」
噂に聞いた話によると、相性の良い男女の体臭は互いにとって良い香りになるらしい。
もしかして、お兄さんの体臭が好きだと感じるのは……僕とお兄さんの、相性がいいからなのかな?
もしそうだとしたら、嬉しいなと感じながらどんどん欲求が加速していく。
今の部屋はちょっと涼しいから、クーラーの勢いを弱めちゃう。もっと、汗……嗅ぎたいから。
すん、すん、と嗅いでいく。ああ、臭い……臭いけど……抗えない……♥
本能が、この匂いをもっと嗅ぐことを求めている。まだ足りないぞ、と要求してきている。
そして、もうちょっと冒険をしてみたくなってしまってきている。
少し暑くなってきたので、服を脱ぐ。以前買ったえっちなデザインのブラジャーとショーツは外さない。最後の一線を越えない様に、という言い訳だから。
そのままお兄さんの体に体を擦り付けるようにして匂いを嗅ぐ。
僕の体臭を、お兄さんの体にマーキングするように。
すりすりと、飼い主に猫が体を擦り付けるような感じで、僕もお兄さんの体に手足と……体を擦り付けていく。
そうして、無意識にお兄さんの耳元で囁いてしまっていた。
「お兄さん……♥僕、お兄さんのこと大好きだよ……僕、ずっと、お兄さんのこと待ってたよ……♥好き……♥大好き……♥お兄さん、僕の事食べて……♥食べていいのに……♥なんで寝ちゃってるの……♥」
もちろん、寝ているから出来ることであって……素の僕ではこんな大胆なことは多分出来ない。
好きな人が隣にいて、寝てしまっていて。
それで、誰にも見られることの無い空間だから、こんなことをしているんだ。
でも、もしかしたら、寝たフリをしていて……僕のことを、からかっているのかもしれないと……そうだったらいいのにな、という思いも捨てきれない。
頭が沸騰しそうな、理性と本能の板挟み状態で、お兄さんの匂いを嗅ぎながらのマーキング。はたから見たら僕はきっと、痴女なんだろうなぁ……。
「あっ……」
そんなことをしていると、お兄さんが身動ぎして、そのまま床に大の字に仰向けになる。
僕が嗅いでいたり、刺激していたから、反応したのかもしれない。
ちょっと眠りの邪魔をしてしまったかな、と
思って、ちらりと寝転がったお兄さんを見て……
「えっ……わっ、わぁ……♥お兄さんの……膨らんでる……?♥」
下半身の、……男性器……えっと、おちんちん……でいいのかな?が大きく膨らんでいる。
思わず手のひらで顔を覆い、そしてそのまま指の間からちらちら見るという、使い古され過ぎてもはや古典芸の域に入ってしまった反応をする。
「……ん、ここの、匂いは……どんなかんじ、なのかな……?♥」
理性的な判断がおおよそできない中、僕はお兄さんのおちんちんに目が向いてしまっていた。
その中身の匂い、男性の……生殖器の、匂い……体臭ですらこれなのだから、きっとそんなものを嗅いでしまったら……♥
「ご、ごめんなさいお兄さん……僕、我慢出来なくて……♥」
そっと触って、ベルトに手をかける。なるべく起こさないように、ゆっくりと外す。
えっ、とボタンがあって……ジッパーがここにあって……ともたもたと、たどたどしい手つきでその桃源郷を求めて外していく。
そうして、ジッパーを外しきり、お兄さんのパンツが外気に触れる。そしてそのままズボンをほんの少しだけずり下げて……パンツが丸見えになる状態になる。
「わ、わぁ……♥」
お兄さんのパンツの上からでもわかる、浮き出た大きなそれ。
明らかにメスを殺すことに特化したそれ。
熱に浮かされたように、それに鼻を近づけて嗅いでみる。
「ッッッッッッ♥ッい”っ……♥オ”ッ♥」
理性が飛ぶ。
臭いとか、そういう次元ではない。
直接鼻に「孕め」と命令をぶち込まれたような感覚。
明らかに女の子に……メスに嗅がせたらいけない劇薬を僕は急激に吸ってしまった。
その結果、僕の脳みそは大混乱。
全身の感度がおかしくなり、まともな思考は出来なくなる。痙攣しながら股から汁を垂れ流しにしかけている。
「すんっ♥すんっ♥オ”ッ”♥い”っ♥っぎゅ♥に”ゃあっ♥だめっ♥ごれぇっ♥」
嗅いじゃだめなのに、嗅いでしまう。
脳を壊しながら、バカにしながら狂ったようにトリップしていく。
鼻が止まらない。直接嗅ぎたい。バカになってもいい。
震える手でパンツに手をかけて、下ろす。もうお兄さんが起きても知ったことじゃない。
怒られても、嫌われても……♥
その覚悟で、うそ、ちょっとズキンと胸が痛んだけど。
その瞬間、ボロンとまろびでるおちんちん。生のそれから発せられる蒸れた臭気に僕は……終わった。
「………♥……♥………ッ♥」
声すら発せなくなるほど、濃厚なオスの体臭。大好きな人のおちんちんから発せられる、絶対にメスを堕として自分のものにしてやるぞ、という本能の込められた香り。
それに僕はしっかりとヤられてしまっていて。
このおちんちんで、孕みたいなあ……とか、孕ませて欲しいなあ……赤ちゃん沢山産ませて貰えないかなあ……なんて、機能停止寸前の、バカになっちゃった脳みそで考えて。
そんなこんなで、ビクビクと震えているとお兄さんのおちんちんがぴくりと動く。
あれぇ……?どうしたんだろう……とどこか他人事のように虚ろな目から入るそれを見つめている僕。
そうしていると、みるみるうちにお兄さんのおちんちんがむくむく♥と大きくなってきてしまっていて、最終的にバキバキにそそり立つおちんちん……いや、お、おちんぽ様……♥になった。
あっ、そっかぁ……僕がおちんちんの匂い嗅ぎながらメスのフェロモンぷんぷん垂れ流しちゃったら……そうなるよね……♥♥
健康的で、孕ませやすそうなちょろいメスがいたら……♥孕ませたくなっちゃうもんね……♥
ごめんね、お兄さんのおちんぽ様……♥
責任もって僕がお鎮めするから……♥♥
だから、そんなに怒らないでイライラしないでね……♥
そうして、お兄さんのおちんぽ様にちゅっ♥とキスを落とす。そして、1度、2度、3度……と連続して、ちゅっ♥ちゅっ♥と媚びていく。
これはお嫁さんになるための、大事なことだから……♥旦那様のおちんぽ様がイライラしてたら、お嫁さんがちゃんと媚びないといけないよね……♥
「あっ……♥ごめ、ごめんなさい……そんな怒らないで……♥なんで、そんなもっと大きくなっちゃうの……?♥」
誠心誠意媚びキスしたはずなのに、おちんぽ様は鎮まるどころかかえって大きくそそり立ってしまった。血管が大きく浮き出て、ビクビクと震えながら怒っている。
まるで、キスだけで済ませようとするなと怒っているみたい。
僕はその様子を見て、咄嗟に謝ってしまう。
「ごっ、ごめんなさい♥♥ゆるしてっ♥あのっ♥ご、ご奉仕しますからっ♥」
やったことないけれど、これはお口で奉仕しないと……許して貰えないよね……?♥
ごくり、と喉が鳴る。あのおちんぽ様を、お口に……♥
背徳感が体を駆け巡る。普段ご飯を食べたり、飲み物を飲んだりすることにしか使わないお口で、おちんぽ様の……あ、味を……確かめちゃって……口の中……おちんぽ様の匂いに、なっちゃうんだ……♥
そう思うと、ゾクゾクする。お兄さんのものになると昔から決めていたけど、僕自身の一つ一つの要素を潰されて、お兄さん色に染められてしまうと考えると、率先してそうなりたくなってしまう。まさに、”調教”だよね……なんて思ってしまう。
「ごめんなさい……♥僕の、お口で奉仕しますから……♥楽しんで、くださいね……♥はぁ……ちゅ……♥」
口におちんぽ様を含む。
しょっぱくて、変な味がして、ちょっと苦くて……絶対に食べ物じゃないなってわかる味。
でも、たくさんしゃぶっていたくなっちゃう味……♥
僕を女の子にしてくれる味。お前はメスだと躾けてくれる味。
そのまま口を動かして、いきり立ち、イライラとしているおちんぽ様を舐めしゃぶる。
「んっ♥ぶっ♥ちゅっ♥はぁ……ん♥ちゅぷ♥おいひ……♥れろぉ……♥ちゅーっ……♥」
吸う、舐る、キスをする。
ありとあらゆる刺激を、おちんぽ様に捧げていく。
気持ちよくなってください、どうかイライラをお鎮めください、僕のお口ならいくらでも捧げますから。どうか、どうか、このはしたないメスに対するお怒りをお鎮めくださいませ……♥と、懇切丁寧におねだりをする。
「ずるるるるるっ♥じゅっ♥じゅるっ♥んぶっ♥ずるるるっ♥ぷはぁっ♥ちゅっ♥じゅるぅっ♥ちゅむっ♥ぷちゅっ♥」
やったことは無いくせに、本能が奉仕の仕方を理解している。
こうしたら、気持ちよくなるんだろうなぁと体が反応してしまう。
喉奥まで長い長いおちんぽ様を受け入れての……ディープスロート、だったっけ。
えっちなことのおべんきょうをしている時に覚えたやつ。
舌先でおちんぽ様の先の膨らんだところの溝を擦り、口をすぼめて吸い上げ、そうして、さらに喉奥にまで匂いを染み込ませてほしいと、よだれをローション代わりに使っていただく。
もう、言い訳できないよね。こんなところを誰かに見られたら、言い訳できないほどに……僕は、お兄さんのための口便器になってしまっていた。
(ああ……ダメだなあ……♥お兄さんのおちんぽ様強すぎ……♥女の子らしさがあまりない僕でも……こんなに立派に女の子に、ううん。メスにしちゃうんだもん……♥お腹が寂しがってる……♥お兄さんのおちんぽ様で膣と子宮ほじくり返してもらって……♥種付け……されたいなあ……♥ダメかなあ……寝込みを勝手に襲ったら……怒られちゃうよね……♥)
舐めしゃぶりながら、ご奉仕しながらそんなことを考える。
絶対にダメなのに、体が疼いて我慢できなくなってしまう。
もう、勝手にズボンとパンツを下ろしてしゃぶってしまっているだけでも、お兄さんからしたら嫌いになってしまう要素だらけなのに……それでも、と思ってしまう。
そうして、余計なことを考えていたことへのお仕置きなのか。
お兄さんのたまたまがふっくらと持ち上がっていたことに気づかなかった。そうして、それが指し示すことに意識を向けられなかった。
ほんの僅かに、お兄さんの腰がブルリと震えて……
ぶわりと、お兄さんのおちんぽ様の先っぽが開いたかと思うと、口の中に大量の液体が流し込まれた。
「ぶっ♥んっ♥……っん♥ごく……♥ごく……ん……♥ぷはぁ……♥げぷ……♥うぷっ……♥」
濃厚こってり精液……♥
お兄さんは、優しい。ちゃんとお仕置きをしてくれる。ちゃんとおちんぽ様への奉仕に集中しろと叱ってくれる。
それだけじゃなくて、わざわざ奉仕したらどうなるのかを……重たい射精をしてわからせてくれる。そして、キュンキュンして孕みたがってる女の子に、どうやって種付けされてしまうのかを……教えてくれる……♥
普通の人はこんなに精液が出ない、ということは事前に知っていた。
多くても10mlくらいだと。でも、お兄さんのは違う。なんか、口の中いっぱいに出してくれた。
こんなに沢山出してくれるとは思わなかったから、零しそうになったけれど。なんとかちゃんと飲み干すことが出来た。
だから、感謝の意味を込めて……お兄さんの耳元に口を近付ける。
「あのね……♥お兄さん……ごめんなさい……♥勝手に、僕、お兄さんのおちんぽ様にご奉仕しちゃって……♥でも、気持ちよかったかな……♥はしたないけど、沢山飲んだ証拠……聞いてね……♥」
そう言うと、押さえつけていたお腹から出てこようとする空気を遠慮なく出していく。
つまり、どういうことかというと。
「げぇぇえぇっっぷ♥……っぷ♥げっっぇっっっぷ♥……はぁっ♥……ごめんなさい……お兄さん……嫌いに、ならないでね……♥」
耳元で、……ほんとは起きないようにちょっと離して……精液げっぷを聞いてもらってしまった。
ちゃんと、お兄さんの精液全部飲んだよ……♥という、証拠。僕は今頭がバカになっちゃってるので、仕方ない。
だって、ちゃんとご奉仕したか示さないと、怒られちゃうもんね……?
「ね♥お兄さんの……お射精……♥かっこよかったよ……♥寝てるけど、とっても男らしくてね……♥お腹の中いっぱいになっちゃった……♥」
ぽしょぽしょと、小声で囁く。
ここまでやってもまだ起きないお兄さんにちょっとだけ呆れながら、これでおちんぽ様も落ち着いてくれたかな、早く証拠隠滅しないと……って考える。
そして、そのままおちんぽ様の方を見ると、僕の考えが甘かったことを思い知らされてしまった。
(うそ……♥全然落ち着いてないよ……?♥えっ、ちょっと……さっきよりエグくなってない……かな?♥お口でダメなの……?♥そ、それじゃあ……もう……♥僕、差し出せる所なんて……♥)
いや、ある。
あるには、あるのだ。
でも、それは。僕があと差し出せる所。
それは……。
「僕の、お腹……♥だよね……?♥お兄さんのためにずっと守ってきた、処女と……空っぽの、一度も赤ちゃん作ったことの無い……子宮……♥だ、ダメだよ……♥お兄さんが寝てるのに……♥お兄さんが起きてる時に……破ってくださいって……♥お願いしないといけないのに……♥」
僅かな拒否の言葉が口をついて出る。
しかし、それはお兄さんのおちんぽ様を受け入れたくないということでは無い。
むしろ、早く犯して欲しいくらいだ。だけど、今お兄さんが寝てる間に捧げてしまったら……僕の処女を破る楽しみをお兄さんにあげられない。
それだけは、ダメだよ……?と自分のお腹とおちんぽ様に言い聞かせる。
でも、おちんぽ様はそれを聞いて怒ったのか射精したあとなのにも関わらず、透明な汁を垂れ流しにして、匂いを強める。
お前の子宮は起きていても寝ていても俺のものなんだからさっさと使わせろ、と命令してくる。僕の子宮も、膣も、おちんぽ様が命令しているんだから受け入れろとわがままを云う。
じくじくと疼く下腹部がつらい。
僕の体なのに、生意気にも僕に反抗してくる。
でも、でも。お兄さんのおちんぽ様からの命令も、あるから……
(もう、いいかなあ……?僕、頑張ったよね……?お兄さんに謝って、あとでお尻の初めてを捧げるので許してもらえるかな……?それで、いいんじゃないかな……?)
小さな僕の胸がドキドキと激しく脈打つ。
おちんぽ様にちゅっ♥とキスを落とす。
その仕草を受けて、イライラしたようにビキビキとさらにいきり立つおちんぽ様に怯えながら、ゆっくりとした動作で、お兄さんのおちんぽ様の上に跨っていく。
あーあ……我慢できなかったなあ……♥
ごめんなさい、お兄さん……僕、お兄さんのおちんぽ様に、負けちゃったや……♥
心の中で謝罪しながら、腰を落としてショーツをずらす。そして、そのままズプズプ……と受け入れていく。
瞬間、背筋に走る電流。
今まで欠けていたものが埋まっていくような、そんな多幸感。
先っぽが埋まっただけなのに、それだけの幸福感が僕のお腹と頭を満たしていく。
ダメだよ、お兄さん……こんな幸せなこと覚えちゃったら辞められなくなっちゃう……♥
そっかぁ……だから、世の中のカップルってセックスばっかしてるんだね……♥
ちょっと世の中の真理を見てしまった気がする。
「あっ……♥はっ……ふぅ……♥ちょっと……もう、ちょっとぉ……♥」
ゆっくり、ゆっくり。
腰を快楽でガクガク震わせながら、どんどん沈めていく。1mmおちんぽ様が深く入るごとに、僕の幸せホルモンが1L分泌される。
馬鹿なこと言ってるかもしれないけれど、実感としてはそんな感じ。
やっと、処女膜までおちんぽ様が辿り着いた頃には息も絶え絶えで、土下座のような姿勢になってしまっていて。
少しでも力を緩めたらぷつんと処女喪失してしまうモードになっている。
……あれ?これ、力、抜いたら僕……いよいよ……お兄さんに……処女を破ってもらうことに……?
あれ、どっちが正しいんだっけ……?ダメなんだっけ?良いんだっけ……?
ギリギリの脳みそで考えている僕。
しかしながら、天は中途半端を好まないようで。
白は白、黒は黒。
ちゃんとやるならやるべきだと思っているのだろう。
だから、足がつるりと滑ってとちゅん、と一気に奥まで刺さってしまったのも。
当然のことだったのかもしれない。
「……え?あ、ぇ……?僕……入って……?」
現実を認識できない。
遅れてやってくる痛みと、それを塗りつぶすくらいの快感。
狂奔じみた濁流にも似ている快楽が僕を襲うまで、あと3秒。
1秒経過。
子宮をおちんぽ様で殴られたことを認識する。
やっと、ずっと足りなかったものが”ハマった”感覚がする。
これが欲しくて僕はさっきから泣いていたんだね。
2秒経過。
あーあ、壊れちゃうんだろうな僕の頭。と現実逃避のように体の力が抜ける。
お兄さんのおちんぽ様を受け入れた痛みがやってくるけれど、その痛みも愛おしいよ。
お兄さん……大好きだよ……♥僕のこと、お嫁さんにしてね……♥寝てる間にこんなことして、ごめんね……♥
3秒経過。
僕の脳みそが、襲い来る快感を認識する。
僕はもう、”堕とされ”ちゃった。
「────ッッッッッ♥♥♥ォオッ♥♥♥あーー、ーーーーーッ、♥いっ♥……っきゅ……♥っぴ……♥♥♥ぁ……ーーーーーッ♥♥」
声にならない声。
叫び声を上げたくても上げられない。
無理だもん、こんな、女の子を幸せにする暴力をされちゃったら声なんて出ないよ。
初めてだもん、僕。優しくしてくれないと喘ぎ声も出せないくらいのざこだもん。
ゆるしてくれないよね。だめだもんね。
大好き、だいすき、あいしてる。ずっと……あえて、良かった……なあ……♥
………。
─────────あ。
意識が、飛んでいた。
…………どれだけ経ったか、分からないくらい。
あたまのなかに気持ちいいのをぶち込まれて、気絶してたのかも。
お兄さんが起きてない(まだ起きてないの?)から、多分ちょっとだけかもしれない。
はっはっ、と荒い息を吐きながら、完全にお腹の中に埋まっているおちんぽ様に意識を向ける。
まだ元気、というか……挿入しただけで気絶してしまってる僕が雑魚すぎただけで。
ほんとはここからパンパン♥って、しないといけないんだよね。
できるかな……?と思いながら、腰を浮かす。
膣がお兄さんのおちんぽ様に吸い付いているのを叱りながら、ずる、ずる……とゆっくり抜いていく。
それだけでも段差になっている溝のあるところが膣をぞりぞりと引っ掻いて刺激してくるものだから、いちいち腰砕けになりそうで仕方ない。というか、何回もイッてる……♥
お兄さんのおちんぽ様……えげつない凶器すぎる……♥膣はらぶらぶちゅっちゅ♥って吸い付くし、子宮は孕ませて♥って懇願しっぱなし。女の子におねだりさせるのがとても上手すぎて、土下座して許してもらわないと気持ちよすぎて死んじゃうかもしれない。
ギリギリのところまで引き抜いて、またゆっくりと入れていく……いくっ♥……あっ♥……が、我慢しようね僕……♥
可能ならもっと早く腰を振った方がいいんだろうけれど……無理だ……そんなことをしたら、また気絶しちゃうし、そんな体力はもうない。
だから僕にできることは、情けなくぺち……ぺち……とゆっくり抜き差ししておちんぽ様に僕の雑魚メス膣感触を堪能してもらうことだけなんだ。我ながら不甲斐なさすぎて涙が出てくるね。
お嫁さんにしてくれるって舞い上がってきたけど、いざお嫁さんになれたとしても満足して貰えるかな。ご奉仕がろくに出来ないこの体たらくに涙が出てくる。
それでも、体は勝手に反応するし、声も出る。
「あっ……♥きもち……♥うゅ……♥にゃあ……♥ぞりぞりしにゃいれ……♥おっ……♥好き……♥」
僕のお腹はお兄さんが大好き。僕もお兄さんが大好き。でも、おちんぽ様に躾られちゃってるの、浮気にならないかなと心配になるくらい、多分今の僕は甘い声を出している。
そうしてそのままとん、とん……ぺち……ぺち……と情けないピストンを続けていたが、そんなので気持ちよくなれるわけがないだろ、雑魚が……と僕は自分をなじっていた。
けれど、お兄さんはオスとしての才能に満ち溢れている以前に……とても優しい男の人だったことを忘れていた。
おちんぽ様の先っぽが急に大きく膨らみ、僕の膣を引っ掻いて子宮を叩いた瞬間にロックする。その変化に、僕は察する。
あっ、種付け……しちゃうんだね……?♥
お兄さん、優しいね……♥僕みたいな雑魚メスの、よわよわな腰振りでも、ちゃんとしゃせー……してくれるんだ……♥
率直に言って惚れ直したし、もっと好きになっちゃった。
自分にメスの才能がないんだ、といじけていたら、ちゃんと膣を捕まえて「これから種付けしてやるからな」って、優しくなだめてくれる。
僕のことをちゃんと女だよ、って。立派な孕み頃のメスだよって。認めてくれるんだ、お兄さんは。
ん……ダメだなあ。小さい頃からずぅーっと……♥僕、お兄さんに迷惑かけてばっかりだなあ……♥ごめんね……子宮、あげるから……♥許してね……♥
心の中でお兄さんに謝った瞬間に出されたびゅるっ、びゅるるっびゅるるーーーっ……と重たくて熱い射精を子宮でごく、ごく、と飲みながら……受精しないかなー……ってのんきに、僕は考えていたのだった……♥
「う……え……?あれ……?祈、ちゃん……?」
あっ、起きた。遅いよ、お兄さん。
◆◆
「びっくりしたんだが……起きたら祈ちゃんが下着姿になってて、しかも俺のこと犯してる……」
「ごめんなさい、お兄さん……僕、お兄さんの匂い嗅いでたら我慢出来なくなっちゃって……」
起きた後。お兄さんに僕は謝った。
やってる事はれっきとした犯罪だから、それはほんとうに誠心誠意。
でもお兄さんは許してくれて、仕方ないな。なんて僕の頭を昔みたいに撫でてくれた。
お兄さんは「あー、思い出した……こういうふうに昔も撫でてたよな……」と思い返しているみたい。それに僕、やられちゃったんだけどなあ。忘れてたのかな。酷いお兄さんだよ、まったく。
そうして、ちゃんと向かい合っての今。
ちゃんとお話をしようというところ。
「で、祈ちゃん。こうやってヤっちゃったわけだけど」
「う……その、いざとなったら僕1人ででも育てていくから……その……」
「違う違う、そうじゃないだろ」
「……え?」
ん?そういう話じゃない、のかな?
もう嫌われちゃったものだと、思ってたんだけれど……?
「ちゃんと思い出したから。大丈夫、祈ちゃん。聞いてくれ」
「う、うん」
「俺の───お嫁さんに、なってほしい。良いかな?」
「……っ、良いの?こんなこと、僕しちゃったのに?」
「俺だけかもしれないけれど、男からしたら、少しだけ誇らしいかな。女の子に求められたってことだからな」
「そ、そっかぁ……僕、お兄さんのお嫁さんに、なれるんだ……」
よ、良かったぁ……。お兄さんに嫌われなくて、良かったあ……。
少しだけ、涙ぐんでしまう。
そうして、お兄さんに抱きついて。えへへ、と笑う。
幸せだなあ。
「で、だ」
「?うん、どうかしたの?」
お兄さんがちょいちょい、と指差す。
どこを指しているのか見ると、お兄さんの……お、おちんちん……で。
わぁ……まだ、全然大きい……♥えっ、つまり……その……?♥
「まだ治まらないから、続きというか……もう1回”初めて”を、しよう」
「う、うん!僕もしたい!お兄さんに、初めてをあげたい!」
そういうことになった。
改めてベッドの上に寝転がって、足を開く。
お兄さんが僕の体の上に覆いかぶさってくる。
わ、わ……お兄さんの体大きい……♥
否応なく感じさせられる『雄』の力強さに、胸がキュンキュンしてしまう。
僕が胸元で手を組んでもじもじしていると、お兄さんが問いかけてくる。
優しく片手で頭を撫でながら……あっ、これダメだよお兄さん、女の子堕ちちゃうからね……?♥
「今度こそ、初めて……しような。入れるぞ」
その問いかけに、僕は応える。
「うん……♥お兄さん、来て……♥」
ずぷり、と改めて挿入される。
自分で入れたときよりは、快楽に慣れたからか大丈夫になったけれど、伝わってくる愛情と幸せは何倍も上だった。
「痛くないか……?大丈夫か?」
「もう大丈夫だよ、お兄さんの好きに動いて……♥僕をお兄さんのお嫁さんにして……?勝手にお兄さんのおちんぽ様に浮気したおしおき、して……?♥」
「……っ、悪い子だ!手加減出来ないからな!!!」
どッッ、と奥まで一気にぶっ刺さる。
子宮がいじめられている。しかも、僕がやってたへなちょこピストンとは違う……本物の、雄のピストン。
「お”っ♥♥あ”っ♥だっめっ♥ぼぐっ♥ばかにっ♥な”っち”ゃうっ♥おにっさっ♥ごめっ❤️なさっ♥い”っ♥あ”〜〜〜〜っ♥♥」
「ごめんなさいじゃねえだろ!!!そんなちんぽに悪い甘い声出しやがって……!悪い子にはお仕置きしてやるッ!!!孕め!!!5つ子孕むまで許してやらねえからなッ!!!」
「はらむっ♥はらみまずっ♥おにいさんのあがぢゃんっ♥たくさんうむっ♥からっ♥」
「言ったな!!!ゆびきりげんまんだ!!嘘ついたら100リットル精液飲ませるからな!!!」
「う”んっ♥わかりまひたぁ♥のむっ♥のむぅ♥」
なにを言ってるのかもうわかんない。
ぼーりょくでお腹の中全部、壊されながらの合意れいぷ。
これ以上なく乱暴されてるけれど、これ以上なくあいされてる。
どちゅん、どちゅん、パンッパンッと響く音を耳にしながらお兄さんの必死な腰振りから送られてくる快感を受け止める。
(お兄さんの必死な顔……♥かっこいいな……♥かわいいな……♥僕のこと、孕ませようとしてる……好き……♥大好き……♥)
もうらぶらぶだった。
そこら辺のバカップルをもう笑えないくらいにお兄さんが大好きだった。
まあもう昔から大好きだったけど。
この顔を見ちゃったらもうダメだよね。
お腹の中がキュンキュンしちゃって止められないや。
お兄さんのこってり精液欲しいよ〜♥っておねだりしちゃう。恥知らず、お兄さんを逆レしたくせにね。
それでも許してくれて、その上こうやって犯してくれるお兄さんには頭が上がらない。
責任もって一生赤ちゃん産むしオナホにならないきゃいけないよ、僕は。わかってるかな?僕のお腹は。嬉しそうにしてるけどさ。
そんなことを考えながら喘いでいると、お兄さんの腰振りが早くなる。
ねえ♥待って……?♥もっと気持ちよくなっちゃうの……っ?♥
「祈ちゃん」
「いぎゅっ♥あっ♥はっ♥はぁい♥なぁ、にっ?♥お兄さぁっ♥あっ♥お”っ♥」
「そろそろ、出るよ」
「……♥うん……♥……きっ……♥てぇ……♥ぼくっ♥こと♥ままに、して……?♥」
パンパンと響く音が加速する。
その度に、おちんぽが凶悪な硬さになっていく。射精直前の、意地悪なやつ。
あー……もう出るよね……♥わかってるよ……♥
女の子、気持ちよく孕ませちゃお♥
そして、一際大きなピストンを子宮に叩きつけられた瞬間。
お兄さんが覆い被さるように体を倒れ込ませ、僕を強く抱き締めて耳元で囁く。
「孕め」
「ッ……♥あっ………♥はっ……♥……♥……………………♥」
お兄さんさぁ……それはさぁ……ダメだよぉ……♥
何度僕はお兄さんにキュンキュンすれば、いいのかな……♥子宮が絶対孕むからねって、返事しちゃってるよ……安全日なのに……♥そんなこと関係ないって……♥
重たくて、愛しくて、最高の射精をお腹に受けながら……意趣返しとばかりにお兄さんに向けて呟く。
「……えへへ……♥大好き……♥」
……あ、また固く……♥
◆◆◆
「あ”ーーーっ♥♥いぎゅっ♥らめっ♥うしろかりゃっ♥ぱんぱんっ♥しちゃっ♥だめなのぉ♥いじわりゅっ♥しんじゃっ♥お”っ♥にょおおおお♥むりぃっ♥ばかっ♥」
◆◆◆
「はっ……はっ……♥ねぇ……持ち上げて……どうするの……♥僕、串刺しになっちゃうよ……?♥やめよ……?♥おちんぽしゃぶるから……♥えっ、顔……こわいよ……?♥ぉっ”♥」
◆◆◆
「あっ………♥あ”ーー………♥♥うゅ……♥むりぃ……♥かべに……♥おしつけにゃいれ……♥たてない……♥からぁ……♥まーきんぐ……だめなのぉ……♥っあ”ーーーーっ♥」
◆◆◆
ボロボロ。
僕の有様はそんな感じ。
れいぷ被害者の写真を見たら多分こんな感じじゃないか。いや、こんな酷くないか。
股間からドロドロの精液を垂れ流し、身体中に精液を付着させながら、お兄さんのおちんぽ様をちっちゃなお口でしゃぶってるんだから。
あの後寝バックで押しつぶされたり、無理やり駅弁?ってやり方でいじめられたり、さらには立ちバックで奥をごりごりされたり。
しかも精力が尽きないものだから、僕は今へとへとの体でお兄さんのおちんぽ様にちゅっちゅ♥っとキスをする羽目になってる。
まだ硬いのこわい……♥
「……にぇ……♥おにぃしゃ……♥」
「ん、何だ?どうした?」
あ、呂律も回ってない……僕、ダメだこりゃ。
頭の中ではどこか冷静なんだけど、お兄さんのおちんぽ様しゃぶるのに夢中だからねえ。
「おふろ……はいろ……?♥」
「そうか、さすがにこんな有様じゃなあ……お風呂、入ろうか」
そんなこんなで。
お風呂を沸かして(昔お兄さんも使ってたからやり方はわかってるのでやってもらったよ)、そのまま沸いたら2人で入る。
もちろんというか、残念というか、アレなことに沸かしてる間も入念にマーキングされたし犯されたんだけれど。
よく、大きくできるね……?
◆◆◆
「はぁ、暖かいなぁ」
「ん……きもちいいね」
かぽーんと。
お兄さんに抱かれながらお風呂に浸かる。
疲れた体に染み渡る。
「少しやりすぎちゃったな。ごめんな、祈ちゃん」
「んーん、いいよ。ぼくがわるかったんだし」
疲労が抜けないので若干舌足らず。
気持ちよかったけど、明日膣が痛くなりそうでこわい。
「部屋の掃除もしなきゃな……手伝うよ」
「べとべとだもんね……」
ゴムしてなかったから全部中。
だから移動したらそれなりにボトボトと落ちてくるので……洗わないといけない。
ちゃんと落ちるかな……?
「そういえば……日和ちゃんは……」
「あっ、そろそろかえってくるころだったような」
僕の妹。
日和ちゃん。
彼女の話題が出た瞬間に、風呂のドアが開かれる。
「お姉ちゃん、抜け駆けしたのね」
「あっ……ごめ」
「おかえりなさいお兄様。昨日お姉ちゃんに聞いたから全部知ってるよ。まさか抜け駆けされるとは思わなかったけど」
冷たい目をして僕の方を見る、大きな胸に腰まで届く長い髪をした女の子がそこに居た。
「た、ただいま日和ちゃん……」
「お兄様」
「はい」
「私とも、よろしくお願いいたしますね?」
「はい」
有無を言わさないその迫力に、お兄さんもはいと言うだけのオウムになってしまっている。
酒入日和は、怖い。
▶To be continued
読了ありがとうございました。
Twitterもやってますのでご贔屓によろしくお願いいたします。