※この作品はR-18です。

TS転生して最強美巨乳魔道士になりましたが、精液が無いと魔法が使えません   作:ウッディ勃興

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【注意】今回のエピソードにはモブキャラ相手ですが「人妻NTR」に該当する表現・描写があります。前述の要素が苦手な方はご注意ください。


第五話・魔道士と聖痕の騎士【前編】

 その日、いつもの裏路地は異様な雰囲気に包まれていた。

 

「ねえ、通りたいんだけど」

「不審な人物は通すなと言われている」

「この場で最も不審なのは貴方じゃないの?」

 

 この角を曲がらないと「腐り龍とあばずれ」に行けないというのに、そこに立ちはだかる全身鎧の騎士は退く気配がない。顔が写るほどに磨かれた銀色のその鎧には金の聖印が施されている。

 

聖堂騎士団(テンプルナイツ)が何でこんな所に来てるわけ?」

 

 ──通称“神の敵なら泣く子も殺す”聖堂騎士団。この王国で敵に回した時に最も厄介な組織だ。

 国教である神聖教会の武装組織である彼らはその全員が強力な神官戦士であり、敬虔な信徒でもある。そしてその善悪の判断は「神の導き」という名目の大司教の個人的判断で行われ、一度「神の敵」と見なされた者は彼らに徹底的に殲滅させられる。その影響力は王室すら上回ると噂される程だ。

 

「それは貴様に言うことでは……ウム?」

 

 俺の問いかけに無回答で返そうとしていた騎士がふと鼻をひくつかせた。面付きの兜の孔越しに俺をしげしげと見る。

 

「この臭い、そしてその銀髪と赤眼に無駄に大きな胸……貴様、『精液臭のリィリィ』だな?」

「……まさか聖堂騎士団にまで知られているとは思わなかったわ」

 

 色々と言いたいことはあったが、辛うじてそれで留める。

 しかし俺が何者か確認したことで、騎士は一歩下がると横に退いた。

 

「行け。団長殿がお待ちだ」

「団長?」

 

 どうも嫌な予感がするが、今更ここで戻る訳にもいかない。俺は背中に注がれる騎士の視線を受けつつ歩き、店の扉の前に辿り着いた。

 

「……何者だ」

 

 そしてそこにも剣を垂直に構えた騎士。俺は銀髪をかき上げつつ言った。

 

「リィリィ・ベルガノンよ。ここにおられる団長様が用があるんでしょ?」

「『精液臭のリィリィ』か……通れ」

「………」

 

 こいつらは揃いも揃って、俺に喧嘩を売るように言われているのだろうか。

 そんな事を思いながら店に入ると、まず出迎えたのはカウンターで苦虫を嚙み潰したような顔で立っているドゴだった。

 

「来たか、遅かったな」

「番兵さんが察しが悪くてね。何があったの?」

「分からねえ。いきなりドカドカ聖堂の連中が来たと思ったら、勝手に店ン中の客を追い出して居座りやがった。金は払うらしいが、今日の客には詫びの酒を奢らなきゃいけねえ」

 

 そう言って毒づくドゴの視線の先には、この店で最も大きなテーブルを前に座る黄金の甲冑の騎士が居る。

 

「分かったわ、早めに話を済ませる」

 

 ドゴにそう言い残し、俺はあえて堂々と歩き、当たり前のように黄金の騎士の前に座った。全身鎧に加えて頭部を完全に包む兜によって露出は全く無く、まるでこの場の空気に触れたくないかに見える。

 しかしちゃんと前は見えているのか、俺が腰かけたタイミングで僅かに兜が動き、掠れた、しかし強い意志を感じる声が聞こえてきた。

 

「……神聖教会・聖堂騎士団長『神愛(アガペー)のリュクス』である。貴様が『精液臭のリィリィ』か。下品な二つ名通り、見た目も下品なのだな」

「神の教えには『初対面の相手に暴言を吐け』とでもあるのかしら、騎士団長様?」

「近いな。『神の敵と会ったなら、相手が口を開く前に殺せ』という教えはある。つまり本来なら私はお前をもう斬らなければならないし、実際それを私は我慢している」

「………」

 

 コツ、コツと黄金の指が苛つきを示すようにテーブルを叩く。これはどうやら本格的に早めにお引き取りいただいた方が良さそうだ。俺はさっさと話を進める事にした。

 

「それで、私を名指しで何の用なの? 貴方たちと私に接点があるとは思えないんだけど」

「『精液臭のリィリィ』、貴様に依頼がある」

「人にものを頼むなら、その二つ名は二度と使わないで」

「……フン」

 

 鼻を鳴らしてうんざりした表情をしたのが兜越しからでも分かる。

 しかし俺の興味はリュクスの態度よりも「依頼」という言葉に引かれた。高い戦闘力と組織力を誇る聖堂騎士団なら、多少の事は自前で片付く筈だ。

 

「ならば改めて言おう。リィリィ・ベルガノン、貴様に依頼がある」

「依頼内容は?」

「我が騎士団の、ある人物の護衛だ。その人物と共に隣国に向かい、そして帰還させるまでを任務とする。期間は状況によるが往復で一週間ほどを見て欲しい」

「……今の時点で疑問があるんだけど、いい?」

 

 一方的に話を進めようとするリュクスを手を挙げて制する。

 

「騎士団の身内の護衛なら、それこそ騎士団で送り迎えすれば良いんじゃないの? 自分で言うのも何だけど、わざわざ得体の知れない冒険者を雇う理由は?」

「……理由は二つある。ひとつはこの人物の抱える任務が非常に秘匿性が高く、騎士団として大々的な護衛が難しいこと」

「もうひとつは?」

「………」

 

 タン、と黄金の指がテーブルを強く叩いた。

 

「護衛対象本人が希望しているのだ。リィリィ・ベルガノン。お前に『精液臭のリィリィ』として同行して欲しいとな」

 

 

 

 ──結局、俺はその奇妙な依頼を受けることにした。聖堂騎士団に恩なりコネなりを作れるのは悪くないし、何よりあの金ピカの団長が俺が頷くまで帰らなさそうだったからだ。

 とはいえ護衛対象を含めた詳しい内容については「本人から聞け」の一点張りで、合流の日時と場所。相手が男の騎士である事しか教えてはくれなかった。建前でも博愛を語る組織ならば、もうちょっと親切にしてくれても良いだろうに。

 

「えっと……ここね」

 

 王都から歩いて数日ほどの距離にある、国境付近の町。国境ということもあって人の行き来は多く、なかなかの賑わいを見せている。

 

「いらっしゃいませ。ご注文は?」

「鶏の香草焼きをハーブ多めで、あとパンと香草茶を」

 

 その町の中のとある食堂、そこが護衛対象との待ち合わせの場所となっている。

 ウェイトレスに注文を頼み、俺は周囲を見回した。約束の時間までもう少しあるが既に来ていたりするだろうか。

 

「いっやー、じゅるっ、旨い! 美味いねー! ボクぁ王都の高級レストランは全て、もぐもぐ、食べ歩いたけど、この店の味は、ずずっ、それに負けてないよ!」

 

 俺が入店する前から入り口近くで食べていた客が賑やかに喋りつつパスタを啜る。何とも汚い食べ方で、口の周りどころか着ている甲冑までトマトソース塗れである。

 

「えーっと、げっぷ。これでこの店のパスタで食べてないのは……あと二皿か! それじゃキミ、これとこれ、一緒に持ってきて!」

 

 どうやらこの店のパスタ全種完食に挑戦しているようだが、ここで店の奥から店主らしき人物が出てきた。

 あれだけ傍から見れば不審な態度で食べまくっていれば、食い逃げを警戒されるのも当然だろう。

 

「お客さん、頼んでいただけるのは結構なんですけども……その、お代の方をお確かめしたいのですが」

「え!? あ! そうだよね、ちょっとボク食べ過ぎてるよね! 分かる分かる。代金だけど、()()()()()()()ツケておいてくれるかな?」

「………」

「お待たせしました。鶏の香草焼きとパン、香草茶です」

 

 ──嫌な予感に身体が強張る。ちょうど料理をウェイトレスが持ってくるが、手をつけるよりを耳を立てる事を優先する。

 いきなり出てきた聖堂の名前に、店主は戸惑っているようだ。

 

「せ、聖堂騎士団様……ですか?」

「そうそう。ボクこう見えて聖堂騎士団の騎士でねえ、あ、疑ってる? それなら、よっと、えーと、どこに入れておいたかな……あった! ほら、この聖印を持って『ハンス』って名前を出せば幾らでも出してくれるよ」

 

 男は甲冑の内側をゴソゴソと探し、トマトソース付きの聖印をひょいと店長に渡す。

 

「は、はあ……」

「さあ問題も解決したし、引き続き注文を頼むよ!」

 

 ──可能性は二つある。

 リュクスの語っていた「秘匿性」というのが俺を脅かすだけのフェイクだった可能性。もう一つは、この男が只のバカである可能性だ。

 任務開始前から頭痛を覚えつつ、俺は席を立つと男の席へ向かった。

 

「……ちょっと、いい?」

「ずずっ、ん? あーあー、久しぶり! 元気してた!? ずるずる、ゴメンね、最近忙しくってサ!」

 

 俺が声をかけると、男はパスタを食う手を止めずに大声でまるで再会したかのように言った。ペースに乗ると疲れるだけなのを確信し、俺は冷静に否定する。

 

「悪いけど、私と貴方は初対面よ」

「あ、やっぱりそう? そうだよね! キミみたいな美しい銀色の、ずずっ、髪と赤眼、そして、もぐもぐ、素敵な胸を持つ可愛いコをボクが忘れる筈がない……ごっくん、それじゃ何? ひょっとしてボクを誘おうとしてるとか? 残念だけど、これからボク秘密の任務が……」

「その任務の相手よ、えっと、ハンス?」

「……!?」

 

 パスタを呑み込み、男は驚きと共に椅子から腰を上げるといきなり俺の手を握った。

 

「うわー! それじゃ、キミがあの『精液臭のリィリィ(スペルマ・スメル・リィリィ)』!? 夜な夜な道行く男を襲っては精液を搾り取り、その精液を魔力に変えて強力な魔法を行使する、精液入りの袋を無数に持ち歩いていて、そのため常に全身から精液の臭いを発してることから『精液臭のリィリィ』として恐れられているあの精液魔導士!? ホントに依頼を受けてくれたんだ、感激だなあ!」

「………」

 

 もう、こいつを殴り倒して帰って良いんじゃなかろうか。

 俺に向けられる他の客の視線を感じつつ、八割くらい本気で俺はそう考えた。

 

 

 

「いやいや、ごめんねー、全然気付かなくって! 」

 

 結局、俺は注文した鶏の香草焼に手をつけることなく店を出た。代金はハンスのパスタ代と合わせて騎士団へのツケとなったので損はしてないが、複雑な気分ではある。

 俺に続いて店を出たハンスは、申し訳なさが全く籠っていない謝罪の言葉と共に頭を下げた。

 

「さて、改めて自己紹介といこうか。ボクの名はハンス。聖堂騎士団のハンス・ドミナスだ。キミの自己紹介は……いらないか! 良く知ってるしね、『精液臭の……」

「もう一度その二つ名で呼んだら、例えお尋ね者になろうと任務終了後に貴方が死ぬまで攻撃魔法を叩き込むわ」

「嫌いなのかい? 良い語感の二つ名だと思うんだけど」

 

 九割、本気で帰りたくなってきた。

 何と言うか「軽薄そうな男選手権」というのがあるとするなら、チャンピオンに微妙に届かず三位くらいで終わりそうな男だった。

 年の程は見たところ二十歳前後、パスタを食ってる最中は猫背だったので気付かなかったが身長も180㎝ほどで体格も割と良い。短く切った金髪に澄んだ碧眼、鼻筋の通った顔立ちは美形と言って良いだろう。ただ、やや垂れ気味の眼と常に口元に浮かんでいる笑みが拭い難い軽さと薄さを感じさせる。おそらくは甲冑よりアロハシャツが似合う。

 

「とりあえず、ひとつ聞いていい? 貴方のところの団長からは『秘匿性の高い任務』と聞いてきたんだけど」

「あ、やっぱあの人、キミの所に直接行ったんだ。うん、まあ、秘匿性が高い任務なのは間違いないよ」

「なのにさっきまで『ボクはこれから任務に向かう聖堂騎士団の騎士です』って大声で宣伝していたの?」

「肝心なのは任務の中身だからねー。聖堂騎士団の単独任務なんて珍しくもないし、アレだけでボクらが何処へ行って何をするかとかは分からないよ……おっと、忘れてた!」

 

 ──なるほど、何も考えてなかった訳ではないという事か。

 皮肉を込めた俺の言葉にハンスは飄々と答えると、ふと何かを思い出したように自分の背負い袋──やはりトマトソースが付いている──を探り始めた。

 

「君に会った時に渡そうと思ってたんだ! あれ、えっと、確かこの辺に……あった! はいこれ」

 

 暫く袋と格闘していたハンスは目当ての物が見つかったのか、手にしたそれを俺に強引に握らせてくる。

 固い感触に手を広げてみると、それはコルク栓をされた小さな硝子瓶だった。中にはドロリとした白濁液が詰まっている。

 それが見慣れたアレである事をほぼ確信しつつ、俺は嫌な予感と共にハンスに聞いた。

 

「……これは?」

「ボクの精液。いやー、騎士になってから女の子に困る事とか無かったから、オナニーなんて久しぶりで困っちゃったよね! でもまあ、結構濃いのが出たとは思うよ」

 

 俺はこの日、初めて「自分で男性に出させた精液に比べて、他人があらかじめ用意した精液は思った以上に気持ち悪い」という事を知った。やはりこの男はただのバカなのだろうか。いやまあ、急な依頼って事もあってストックの持前が少なかったから助かると言えば助かるのだが。

 そして、俺に自分の精液を渡したことでこの場での用事を終えたつもりなのかハンスは俺を促した。

 

「さ、借りる馬も予約しているし行くとしようか」

「ちょっと待って、まだ正確な行き先も、そこで何をするのかも聞いてないわ」

「ああ、それは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 俺の問いかけにハンスはさらっと答え、明後日の方を見た。

 

「っ!?」

 

 その視線の先を追い──俺は、咄嗟に周辺を見渡した。

 通りを行きかう人々、その中に、確かに緩やかな歩調で俺たちに距離を詰めてくる男がいる。それも一人ではない。

 

「……随分とファンが多いのね」

「こういうのは早めに焙り出して、早めに片づける方がいいからね。場所を移そう」

 

 そう言ってハンスは軽い歩調で歩き出した。俺としてもこういう修羅場は初めてではない。周辺への警戒を行いつつ、彼のやや後ろを歩く。通りから横道へ、横道から路地へ、路地から人気のない広場へ。

 その行動に、相手側もこちらが「やる気」なのを察したのだろう。振り返ってみれば五人の男たちが殺気を隠すことなく追ってくる。

 

「うーん、この辺り……か」

 

 貧民の集会場だろうか。中央に焚火跡がある広場まで来るとハンスは足を止めた。

 

「精液臭の……あ、いや、リィリィ。ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」

「この状況でお願い?」

「頼むよ。ここでの魔法だけど、早速ボクのを使ってみてくれないか?」

「……分かったわよ、依頼主さん」

 

 自分の精液が眼前で飲まれるのに興奮する性癖でも持っているのだろうか。色々と振り幅が酷く、何だかこの男が分からなくなってきた。

 だが、コルクを開けてひと飲みしようとした俺にハンスは言った。

 

「あ、言い忘れてた! 多分それ……『ひと舐め』でいいと思う」

「あのね、ハンス……貴方がどれだけ私の事を調べたか知らないけど、ひと舐め程度じゃ火球のひとつも」

「大丈夫、それで駄目だったら後でボクが責任を取るよ」

 

 ここで刺客に殺されては、責任も何も無いと思うのだが。

 まあ後方の五人とは多少の距離がある。不発だとしてもストック一個分を飲む程度の余裕はあるだろう。そう思い、仕方なく俺はコルクを抜いて中の液体をひと舐めした。

 

 

 ───!?

 

 

 思わず赤い瞳を見開き、俺は自分の身体に満たされてゆく魔力を確かめた。その様子を見てハンスの笑みが安堵のそれに変わる。

 

「良かった……思った通りだ」

「……貴方、何者なの?」

「その話は後にしよう、来るよ」

 

 ハンスの言葉の通り、次第に速度を上げて迫る刺客たち。

 動揺を隠せないまま俺は奴らに向けて手を翳した。

 

「今から十秒、息を止めて……『麻痺の雲(スタン・クラウド)』」

 

 ハンスに小声で伝え、自身も詠唱直後に息を止める。

 俺の手から前方に向けて空気が黄色がかってゆき、刺客たちを包む。

 

「グッ……!」

 

 がくん、と五人の刺客の足が急に止まった。奴らはそのままの姿勢で転び、動かなくなる。名の通り一定の範囲の空気を麻痺毒にする魔法だ。

 

「……息をしていいわ。これで暫くは動けない」

「ぷはっ……意外だね、殺さないんだ。聖堂騎士が狙われたと言えば何人やってもお咎めなしなのに」

「憲兵隊にその辺の事情を説明して出発を遅らせたいの? それに、殺さなくてもこの辺の貧民たちが身ぐるみを剥ぐから、当分は追ってこれないわ」

 

 ハイエナのように物陰からこちらを伺う視線を感じる。おそらくは俺たちが去ってから「取り分」を得ようとしているのだろう。

 

「それより、これ。本当にこれ、貴方の精液なの?」

 

 先ほどの精液の小瓶を摘み、彼の前で揺らす。もしこの精液が本当にハンスのものだとしたら──()()()()()()()()()()

 彼の「ひと舐めで十分」という言葉は嘘ではなかった。そのひと舐め分で俺の魔力は、普段の「ストック」──ゴム袋ひとつ分以上の魔力を得ていたのだ。これは通常の人間男性の精液を口で飲んだ場合の数十倍の魔力量になる。

 だが、真剣な俺の問いかけにハンスは笑って答え、歩き始めた。

 

「ゆくゆく分かるよ。さあ、改めて行くとしよう! 行き先は……隣国の豪商の、若きご夫妻の屋敷だ」

 

 

 

 ──そこからの旅は呆れるほどに順調だった。

 町で借りた二頭の馬に乗り、他の旅人や商人の流れと共に街道を進む。警戒していた再度の襲撃も無く馬を進め、村や町に止まりつつ隣国の首都を目指す。

 むしろ頭が痛かったのはハンスの予測不能の行動だ。村の少年たちといきなり川遊びを始めたかと思えば次の町では宿屋の娘を口説き、その次の村では「宿屋ではなく納屋で野宿しよう」と言い出す。護衛というより、むしろ彼のお()りをしている気分だ。

 そして──その間、ハンスはこの旅の目的も、最初に渡した精液についても一切口にしなかった。

 

 

 

「着いたー! さーて、まずはとっとと役目を済ませて、それから遊ぼうか!」

 

 隣国の王都に着き、馬を宿に預けたハンスは大きく伸びをしつつ言った。

 

「その商人の屋敷へ行くの?」

「ああ。悪いけど、説明はもう少し待っててね。まあ、リィリィなら言わなくても自然に分かると思うけど」

「……?」

 

 それ以上のことはハンスは喋らず、大通りを俺に先導して歩く。やがて俺たちは通りに面した大きな門の前に来た。豪商との話だったが、確かに門の向こうに見える建物はそこらの貴族の屋敷に勝るとも劣らない。商品の貯蔵庫と思われる箱めいた建造物も幾つも見える。

 

「聖堂騎士団のハンス・ドミナスと申します。この度、商人様のご依頼により参りました」

「お待ちしておりました。こちらへ」

 

 流石にへらへらした笑みを消し、ハンスは聖印を翳しつつ門番に言った。話は通っていたのか、門番は深々と頭を下げて門を開ける。

 鉄格子の門を抜けると、屋敷の扉が開き一組の男女が出てきた。裕福そうな服装に反してその表情は重い。

 豪華な服の青年がその豪商だろう。年の程は三十の手前くらいか。今は険しい顔をしているが、確かに商才を感じる精悍な顔立ちの人物だ。

 

「騎士様……本当にありがとうございます。このような所まで……!」

「労いの言葉は要りません。これは我ら神聖騎士団にしか叶わぬ務めですので……今は一刻が惜しい、容体は如何ですか?」

 

 土下座しそうな勢いで礼をする商人に手を翳して微笑み、すぐに表情を引き締めるとその横のドレス姿の女性に言った。こちらも青年と同じくらいの年だろうか。長い黒髪が似合う落ち着いた顔立ちの美女で、その身体も均整のとれた美しいラインを描いている。彼女が商人の妻か。

 

「は……はい。苦しさや痛みはありませんが、確かに()()()()()()

「なるほど……奥様、失礼致します」

 

 重い表情で言う商人の妻。ハンスは彼女の姿を顔から足元にかけて視線を動かし、臍下の辺りで止めるとそこに手を伸ばした。

 

「あっ……」

「ふむ、これは……急がなければなりませんね。すぐに始めましょう。ご主人、準備の程は?」

 

 突然の行動に夫人が驚くが、ハンスは彼女が身体を引く前に手を戻して商人に尋ねた。

 

「は、はい! 言われたものは用意できております」

「では、これに書かれた通りに配置をお願いします」

「わ、分かりました! 騎士様とお連れの方は中でお待ちください!」

「ありがとうございます。では、奥様も準備を」

「は……はい」

 

 ハンスの言葉に跳ねるように商人は動き、俺たちを中へと促した。続けて声をかけられた夫人は顔を伏せ、静かに頷く。

 

「すぐに支度して参ります、それでは……!」

 

 豪奢な彫像や絵画が飾られた屋敷の玄関に俺たちを残し、夫婦はそれぞれ別の場所へと向かう。

 そこで初めてハンスは俺の方に向き、聞いてきた。

 

「……と、いう訳だよ。今ので大体は分かったんじゃないかな?」

 

 流石にあの二人の様子を見て察せれないほど初心(うぶ)ではない。俺はハンスに言った。

 

「……孕ませられたのね、魔物に」

「ゴブリンだ。ほんの半月ほど前、ここのご夫妻は大口の取引のため海洋都市に向かい……帰り道で襲撃を受けた」

「ここからのルートだと山を越える必要がある。そこで襲われたのね」

 

 俺の推測をハンスは無言で肯定し、話を続ける。

 

「幸いにして護衛の尽力でゴブリンは撃退して、夫妻は軽い怪我で済んだ……という事になっている」

「実際は?」

「旦那さんは逃げのびたが、奥さんと別れ別れになってしまった。その後、軍隊が山に派遣され……数日後に奥さんが発見された。ゴブリンの巣の中でね。どんな状態だったかと言うと……」

「それは言わなくていいわ」

 

 他種族間と繁殖可能な魔物の中でもゴブリンは最もエグい犯し方をする。ひとりの女性を集団で犯し、尊厳を破壊してゴブリンの仔を孕み、産むだけの道具にする。あの夫人がまだ正気を保っているだけでも奇跡的だ。

 

「……ん?」

 

 だが、ここで俺は違和感を覚えた。

 ここの夫妻が不幸に遭ったのは分かる。しかしそこで何故医者でなく騎士を、それも隣国から呼ぶ必要があるのか。

 表情の変化から俺の疑問を察したのだろう。ハンスは静かに言った。

 

「すぐ、分かるよ」

「準備できました、騎士様」

 

 その言葉が合図だったかのように商人が戻ってきた。再び聖堂騎士としての居住まいを正し、ハンスが頷く。

 

「よろしい。奥様の方も大丈夫ですか?」

「……はい」

 

 何故か苦しげに商人は答える。ハンスは目線で「行こうか」と伝え、商人の後に続く。

 二階に上がり、着いた場所に俺は声を漏らした。

 

「ここは……」

 

 部屋の中央に置かれた天蓋付きのダブルベッド、四方には聖堂騎士団のシンボルが置かれていて、枕元の香炉からは神秘的な香りの煙が立ち上っている。明らかにここは商人たち夫婦の寝室だ。

 また、室内には夫人も先に来ていた。しかしその服装は先ほどのドレスとは異なり、ワンピース型の寝間着となっている。

 それらの様子を一通り確認したハンスは満足そうに頷き、商人に向き直った。

 

「よし……よし。ではご主人、今から始めますが……事前に送った書簡に書いた通り、ご主人には今からの儀式を見届けるか、別室でお待ちいただくかを選ぶ権利があります」

「……はい」

「率直に言いますが、ご主人に辛いものをお見せする事になります。厳しければ下の階でお待ちいただいても結構です」

 

 そう語るハンスは本当に主人のことを心配しているように見える。彼の言葉に対し、商人は顔を上げて言った。

 

「いえ、ここで見届けます」

「宜しいのですか?」

「おそらく下で待っていたら待っていたで、私はあらぬ妄想や疑心に駆られるかもしれません。それならば最初から、事実を全て見届けます」

「そのお心は素晴らしいものです。ならば、そこで見届けてください。ただし、奥様のことを本当に大事に思うならば最中に決して声をかけたり、妨害などをされませんよう。過去にそれが起こり、不幸にも腹を内側から破られた女性もいますので」

「わ……分かりました」

 

 ハンスの言葉に多少のたじろぎを見せながらも、商人はそれでも頷く。

 どうにも物騒な話だ。果たして何をするというのか。

 そんな他人事めいた風情で話を聞いていた俺だったが、ハンスはこちらにも顔を向けて言った。

 

「リィリィ、君にも手伝ってもらう事になる。私が指示したら奥様に防御魔法を放ってくれ」

 

 そしてハンスは最後に夫人に短く言った。

 

「……宜しいですか、奥様」

「はい……騎士様、お願いします」

 

 表情こそ重いままだが夫人は頷き──自らの着ていた寝間着を脱ぎ始めた。一方、ハンスも自らの鎧の留め具を外して床に置き、服を脱ぎ始める。

 

「え?」

 

 思わず声が漏れたが、横の商人はこれを把握していたのか静かに二人を見ている。

 鎧がある分、ハンスより先に夫人が服を脱ぎ終えた。下着はつけておらず、恥じらうように胸と股間を手で隠す。

 俺から見ても魅力的な肢体だった。豊かな胸と尻回りに比べて腰のくびれはきゅっと締まっており、食べるものに困らないような生活の中でもしっかりと摂生しているのが分かる。

 

「……お待たせしました」

 

 その間にハンスも服を脱ぎきった。ここまで軽薄な言動が目立つ彼だったが、一応は聖堂騎士という事なのだろう。その肉体はしっかりと鍛えられており──

 だが、そこで俺の視線は彼の股間へと吸い寄せられた。

 

「何……あれ?」

「あれが……」

 

 商人の口から驚きの声が漏れる。

 ハンスの両の睾丸には、まるで何かに刺されたような傷跡があった。その傷跡は大きく、本来そんな傷が残るようなら睾丸自体が破壊されていると確信できるレベルのものだ。

 そしてその睾丸の傷跡はうっすらと血を滲ませていた。それを見て夫人がハンスに声をかける。

 

「騎士様、血が……!」

「お気になさらず、これは奥様の胎内の魔物に反応しているものです。やはり、一刻の猶予もありませんね。急ぎましょう」

 

 痛みを感じさせない声でハンスは答え、視線で夫人をベッドに促した。夫人は恥じらいつつもそれに従い、彼に続きベッドに上がる。

 

「嘘でしょ、まさか、あれ……聖痕?」

 

 聖痕。神の起こす奇跡のひとつとされ、何も無いところに突然傷が生まれる現象だ。聖者の証とも言われ、それを持つ者は神の祝福を得るという。

 段々と話が分かってきた。つまり、これからハンスがやろうとしている事は──

 

「それでは奥様、改めてのお願いですが……最終的には奥様の胎内に私の精液を注ぎ込む事で、胎内の魔物の仔を死滅させます。ただその前段階として互いの負担を軽減させるための手順が必要で、その為には奥様の協力が不可欠です。宜しいですね」

「は……はい」

 

 ──畜生、やっぱりか。

 あくまで「魔物を孕まされた不幸な夫妻を心から助けようとしている騎士」としての姿勢を崩さないハンス。まあ実際それは事実なのだろうが、だとしても、今から始まるのはこの夫妻にとって最悪なショーだ。

 

「では奥様、恐れ入りますが……私のものを、奥様の口で舐めていただけますか?」

 

 ハンスはベッドの上で足を広げ、夫人を促す。しかし夫人はまるで難問を出された子供のように困惑を浮かべた。

 

「その……どのようにすれば、良いのでしょうか?」

「分からないのですか?」

「はい、その……主人は、私にそういう事をあまり求めませんので」

「なるほど、それでは不肖ながら私がお教えします。まずは顔を近づけ、奥様の思うように舐めてみてください」

 

 夫人はハンスの穏やかな声に誘導され、その股間へと顔を埋める。

 俺は横に立つ商人に視線を向けた。自らが希望したことでもあり表情こそ努めて平静を装っているが、固く握りしめられた拳はその心情を物語る。

 

「んはっ、ん、こ、こうで、しょうか……」

「お、お上手ですよ、奥様……申し訳ありません、最大まで滾らせなければ、魔物を屠る濃さに至らないため……続けて、お願いします」

「はい、わ、分かりました。ちゅ、ン、ぺろっ……」

 

 固く屹立し始めたハンスの肉棒を不慣れに舐め回す人妻の舌。その行動は実に真摯で懸命だ。自分の命が関わっている事な訳だし、それは当然とも言える。

 一方のハンスもただ奉仕を受けるだけでなく、自らも夫人の背中越しに秘所に指を伸ばした。ビクンと彼女の体が反応を示す。

 

「んあぁっ! き、騎士様、いけません、そこはっ!」

「奥様の側も私のものを受け入れられる状態でなければなりません、そのまま……」

「ンンッ! あっ、あぁ……ちゅ、れろっ……」

 

喘ぎつつ、再びハンスの肉棒を舌で愛撫する夫人。半勃起状態だった肉棒はムクムクと怒張し、彼女の眼前で反り返った。

 

「こ、こんな、大きい……あぁ、ンッ……!」

「奥様のも、濡れてきました……もうすぐです」

 

 大きな喘ぎが漏れそうになり、咄嗟に夫人は自らの指を噛んでそれを抑えた。瞳は潤み、艶やかな黒髪は汗に濡れ始めている。何も知らない第三者がこの光景を見て、魔物を堕胎させるための儀式とは誰も思わないだろう。

 ベッド上で絡み合う二人は更に暫く互いを昂らせていたが、やがてハンスが夫人の黒髪を優しく撫でた。

 

「ううっ……も、もう大丈夫です、奥様。このままでは奥様の口に出してしまいます」

「はむっ、ちゅ、じゅるっ……あっ……しっ、失礼しました、騎士様。私ったら、つい夢中に……」

「可愛らしい方ですね、奥様は。旦那様が貴女を選ばれたのも、わかる気がします」

「っ!?」

 

『女』になりかけていた夫人の表情が一瞬で『妻』に戻る。ハンスの言葉で彼女は、ベッド横の夫の存在を改めて意識したのだ。

 

「……エグいことをするわ」

 

 周りに聞こえない声で呟く。ハンス、今のは不用意な発言ではない。あいつは分かってやっている。このシチュエーションを──楽しんでいる。

 屹立するハンスの肉棒に顔を寄せたまま、夫人は俺の横の夫を見た。

 

「……!」

 

 夫人の視線を受けた商人は咄嗟に顔を伏せ、唇を噛み、強引に笑顔を作り、顔を上げた。

 

「……そのまま続けるんだ。騎士様が、お前を助けてくれる」

 

 そして、彼らはこの行為を止めることはできない。

 ハンスを制止すれば、彼はあっさりと引き下がるだろう。しかしそれは、夫人がゴブリンの仔を産むということだ。

 自分の妻がゴブリンを産むか、他の男性に腟内射精されるか──どちらがまだマシか、考えるまでもない。

 

「あなた……んあっ!?」

 

 彼に答えようとした夫人の声は急に手淫を再開したハンスによって遮られた。グチュグチュと彼女の秘唇に水音を立てつつハンスは言う。

 

「失礼しました。私の言葉で奥様に迷いを……ですが、今は儀式に集中してください。魔物は、胎児であろうともその隙を狙います」

「んあっあっあぁんっ! も、申し訳、ありません、騎士様っ! もっと、専念、致し、ますっ!」

 

 愛液に塗れた指が抜かれ、夫人の腰がくたりと崩れる。その横でハンスは仰向けにゴロリと横になった。

 

「奥様、あと少しです……それでは、私の上に乗ってください」

「えっ……!?」

 

 騎乗位で行うとは思っていなかったのだろう。驚く夫人にハンスは言葉を重ねた。

 

「魔物の仔は聖化された私の精液を避けようと、母胎の奥へ逃げます。それを防ぐためです」

「わ……分かり、ました……」

 

 頬を紅潮させて夫人はハンスの腰を跨いだ。その顔の赤さが恥じらいだけでないのは、黒の陰毛を照り光る程に濡らした彼女の秘所が物語っている。

 

「あ、ン、ンンッ……!」

「ふうっ……!」

 

 ハンスの胸板に手を置き、夫人が豊かな尻を振りながら肉棒を呑み込んでゆく。ハンスもその快感に呻きつつ、彼女の腰に手を回す。

 

「いきますよ、奥様っ!」

「えっ……あぁっ! きっ、騎士様っ! あふっはっあぁっ!」

 

 ハンスは夫人の腰を支えつつ、下から突き上げ始めた。不意打ちの抽送に夫人が悶える。

 

「こ、こんなっ! んひっ、騎士様、のがっ、こんな、奥、にぃっ!」

「堪えて、ください、奥様っ! もう少しですっ!」

「だっ、だってっ、こんな、とこっ! 擦られたの、初めて、で、あぁんっ!」

 

 長い黒髪を振り乱しながら大声で夫人が喘ぐ。初対面時の大人しさが嘘のような乱れ方だ。

 

「あひ、ひっ、んぐ、ぐうっ!?」

 

 その時、夫人の腹が不自然に動いた。急に膨れた腹の中で、何かが蠢く。

 

「来たか! リィリィ、彼女に『防護』と『痛覚遮断』を!」

「……分かったわ」

 

 腰の動きを止めぬままハンスが俺に叫ぶ。俺は小瓶の精液をひと舐めして、彼女に二つの魔法を飛ばした。苦悶の声が弱まり、再び快楽の嬌声に変わってゆく。

 

「あっあぁっ! き、騎士様っ、騎士様ぁ! すごい、こんな、すごい、ですっ!」

「ぐうっ……そろ、そろです、出しますよ、奥様っ! く、お、おぉぉっ!」

「はっはいっ! ンンッ、わ、わたしっ、ああぁぁっ!」

 

 ハンスの腰が震え──

 

ギイイィィッ!

 

 夫人の腹から断末魔めいた絶叫が響いた。

 

「あ、は、あぁ……」

「……完了です、奥様」

 

 幾度かの脈動を終え、ハンスが肉棒を引き抜く。すると夫人の秘所からは彼の精液に混じって赤黒い液体が溢れてきた。

 

「あぁ……きし、さまぁ……」

 

 恍惚の吐息を漏らす夫人。彼女をちらりと見てから、ハンスは途中から顔を伏せていた商人に言った。

 

「ご主人のご協力、心から感謝いたします。これで奥様の胎内の魔物は死滅しました。あとは数日ほど養生すれば、元の体調に戻るでしょう」

「……ありがとうございました、騎士様」

 

 血を吐くような、感謝の言葉。

 それがこの儀式の終了を告げた。

 

 

 

「さて、これで任務も終わったし、あとは帰るだけだね! 二日くらい余裕があるから、どうせならこの国の観光地にでも……」

 

 夕陽差す商人の屋敷を出て、十分な距離までは離れてからハンスはようやく「騎士らしい態度」を崩して身体を伸ばす。俺はその背中に声をかけた。

 

「……あれが、貴方の任務?」

「ん? ああ……『堕胎騎士(アボルション・ナイト)』、それが僕の本当の称号だ。キミも見た通り、ボクの金玉は祝福されていてね。そこで作られた精液は聖水以上の力を持ってるってワケさ」

 

 俺の質問にハンスは軽く答える。

 これで、こいつの精液が常人の数十倍の魔力を秘めてるのかも納得ができた。言ってみれば「神の精液を持つ男」と言ったところか。

 

「それで、あの悪趣味な儀式とやらを各地でしているのね」

「リィリィ、キミはボクが自分の意思でやってるって勘違いしてないかい? 方法を提案したのは騎士団だし、その方法を知った上で頼んできたのはあの夫婦だ。それで夫婦は魔物の仔を産む悲劇を回避できた、騎士団は多額の寄付金を得た。ボクはその間で少しの役得をしただけだよ。それにいつも美人相手ってワケでもなくて、前なんてドレス着たオークみたいのを……」

「私にアレを見せて、何をさせようとしているの?」

 

 露骨な横道に話題をズラそうとするハンスを制する。わざわざ内部を頼らずに俺を隣国に連れ出してまで自身の秘密を見せた理由、それが必ずある筈だ。

 

「………」

 

 俺の言葉にハンスは浮付いた笑みを消し、正面に向き直った。

 

「僕のパートナーになってくれ、『精液臭のリィリィ』。ボクと共にいれば、キミは間違いなく世界最強の魔導士になれる」




「濡れ場まで書こう」と思って執筆したところ前振りがやたら長くなってしまいました。申し訳ありません。
次回の後編はもっとコンパクトにしたいと思います。
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