彼女に振られたので元相棒の原型クーデレシャワーズちゃんに性的に慰めてもらう話 作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)
「…ふす。」
「おお、どうした」
…唐突に自分の腹へ水色のつるぷにがずっしりとしなだれかかるのを感じる。
普段クールな彼女にしては珍しく、主人に甘えたい気分にでもなったのか、壁に背中をつけてベッドに腰掛けている俺の体の上に、ドシーンと乗っかってきたのだ。
それも、ちょっと苦しいほどがっつりと体重をかけて。
俺はどこか満足気な鼻息を零す彼女の突然のファンサに内心喜びつつ、急いで携帯を放り出しながら少し体を起こし、壁と背中の間に枕を挟んで彼女を構いやすいように姿勢を変え、そのすべらかな背中に両手を回す。
すると、座椅子に座るような姿勢で壁にもたれかかる俺の腰を、両前足で挟み込むようにきゅっと抱いた彼女と向かい合いながら、1人と1匹でやんわりと抱き合うという、なんだかよく分からない状況になった。
「…」
ひしと抱き合う妙な体勢のまま、いつものぶすっとした真顔で、こちらの目をド直球に真っ直ぐに見つめてくる彼女。
なんだかガンを飛ばされているようでちょっと怖いが、彼女はいつもこんな感じなので、別に不機嫌ということでもないだろうし、そもそも見つめられたからなんだという話なのだが、やはりこうも凝視されるといたたまれなくなってしまう。
謎の視線の鍔迫り合いから逃れるように、手持ち無沙汰だった両手を使って、その少々だらしないお尻や太もも、ぶっとい尻尾などに手を伸ばし、すりすりと撫でてみる。
相変わらずサラサラしているのにひんやりしっとり、でもつるつるでモチモチもしているというよく分からない質感で、みっちりと肉が詰まった肢体である。叩いたら良い音がなりそうだ。
もちろん、俺は古代の変態オヤジではないし、そもそも叩いたら殺されそうなのでやらないが、今度彼女とぐちゃぐちゃに交尾した時にでも尻を引っぱたいてみたくなる。
中途半端なセクハラで変に興が乗ってしまった俺は、そのままイヤらしい手つきで彼女の内腿をすりすりとさすったり、ムチムチの尻尾と腰の付け根、Yラインの辺りをけがらわしい指使いでなぞったり、単純にお股を両手で割り開いてみたりと、正真正銘のセクハラを繰り返すが、やはり彼女はこちらをガン見し続けるままだ。
「…なあ、俺の顔なんか見ても何にもならないぞ」
流石にちょっとなんか、こう……咎められたような気さえしてくるので、気まずさに肩を竦めた俺は、セクハラする両手をほぼ眼前にある彼女のご尊顔の頬に移動させ、もちもちとほっぺを揉んでムニムニしながら語りかけてみるが、やはりガチ恋距離で俺を見続ける彼女。
何か伝えたいことでもあるのかなと思案するが、ご飯はさっき一緒に食べたし、それどころかおやつまであげたし、特に何も思いつかない。
多分本当に暇で構ってきただけなのだろう。
「…い〜〜〜……」
彼女同様手持ち無沙汰な俺は、むにょーん…と、彼女のほっぺをチルットの羽のように伸ばして、また戻し、今度は意味もなくイーっと彼女の口唇の端を吊り上げてみる。
すると、いつもはほとんど見る機会の無い、奥歯からぎらりと並んだ真っ白で割と鋭い犬歯が現れ、少しだけドキッとしてしまった。
まあ、普段全くイメージの無い彼女の野性味溢れる一面に少々に動揺してしまったというのも、もちろんある。
しかしそれとは別に、そういえばこいつももう立派な成体だったな、と。
随分前から知っていたはずの事実をことさらに再確認してしまったことによる動揺の方が、俺にとっては遥かに大きかった。
有り体に表すと、頭の中では分かっていたはずの時間の流れが、急に可視化されたことに驚いたのだ。
…思えば、彼女とももう古い付き合いである。
初めて会った時からイーブイだったために正確な年齢は分からないが、俺がまだ子供だった頃の長きに渡る旅路や、その後の人間の恋人との出会いと別れ、破局後の堕落した生活の期間、それら全てを鑑みると、恐らく今では人間で言うところのアラサーぐらいにはなっているのでは無いだろうか。
今とは違い、まだ出会ったばかりの頃の進化前の彼女は、当時1桁歳の俺と同様にかなりの暴れん坊で、俺は喧嘩した時などによく手足に歯型を付けられていた。
それは小さな金平糖の突起を押し当てたような、非常に可愛らしい歯型だったのを強く覚えている。
だがまあ、今の彼女に同じことをやられたら、きっと病院送りだろう。
この隠された白い牙に噛み付かれてしまっては、あの頃の点のような歯型が付くだけで済むとは到底思えない。
そんな過去と現在のギャップと思い出のせいか、ああ、柄でも無い。
おセンチな感情がノスタルジックに押し出され、口からぽろぽろと溢れ出してしまう。
「…なあ、どうしてお前はずうっと一緒に居てくれるんだ?」
「…」
当たり前ながら、彼女が俺の問いかけに応えることはついぞなく、やはり真っ直ぐに目の前の主人の目を見つめ続けていた。
…一部の例外を除いて人語を解さず、もちろん話す事も無いポケットモンスターという生物にとっては至極当然のこと。
しかし気のせいか、その時の俺には、彼女の目が何か優しい言葉をゆっくりと紡いでくれているようにしか見えなかった。