漫画家志望の俺に義理の母と妹が出来たんだが、妹から一緒に漫画を描きたいと持ち掛けられた件 作:チャンドラ=グプタ
「やべぇよ、やっちまった……」
自分のやらかしに底知れぬ虚しさと罪悪感を感じた。
まさか真美さんで夢精してしまうとはな。
そんなに真美さんとエッチしたかったのか、愚息よ。
ひとまず新しいパンツを取り換え、制服に着替えることにした。
着替えを済ませると一階に降り、結衣と真美さんにバレないよう洗面所でパンツを水洗いし、洗濯機へと放り込んだ。
何食わぬ顔でリビングに入ると、真美さんが「おはよう、和馬君」と挨拶をしてきた。
「おはようございます、真美さん」
昨日、あんなことがあったというのに、真美さんは普段通りに接してくれた。
だが、心なしか真美さんは俺と目を合わせてくれないように感じた。
「おはよー、和馬!」
通学途中、夏帆が俺達の元に駆け寄ってきた。
快活な夏帆に圧倒されたのか、結衣は俺の後ろに隠れてしまった。
「おはよう、夏帆」
「結衣ちゃんもおはよう! 今日も良い天気だね」
「お、おはよう……ございます。良い天気……ですね」
「だよね! そういえば、和馬。昨日、今週発売のジャ〇プ読んだんだけど、呪力感染めっちゃやばかったよね!?」
歩きながら、夏帆と漫画に関する雑談を始めた。
昨日は刺激的な出来事がたくさんあったが、夏帆と話しているといつもの日常が戻ってきたと感じる。
「ねぇ、和馬。今日も学校終わったら漫画描くの?」
「いや、今日はサッカーの練習するよ」
「え、サッカー!? なんで?」
夏帆にサッカーの練習を始めた経緯を説明した。
長谷川先生にスケッチのモデルになってもらうことも教えたが、水着姿になってもらうことはさすがに伏せておいた。
「そっか。和馬がまたサッカーをね……よし! なら、私も手伝うよ」
「え? いや、そんな悪いし……別に良いよ」
ただでさえ夏帆には漫画の手伝いをしてもらっているのに、サッカーの練習にまで付き合ってもらうのはさすがに申し訳ないと思った。
「なーに、迷惑だって言うの?」
「いや、そういう訳じゃないけどさ……」
「それじゃ、決まりね! ディフェンスがいた方が本番に近い練習が出来て、良いでしょ?」
「確かにそうだな……それじゃ、お願いするよ」
学校が終わった後、家で運動着に着替え、結衣と一緒に運動公園に向かった。
既に夏帆は公園に来ていたようで、ストレッチしている姿が見えた。
「お待たせ、夏帆。待ったか?」
「ううん。私もさっき来たところだよ」
「そうか。ちょっと準備運動がてら、ランニングしてくるよ」
「お、良いねぇ。私もやるよ。結衣ちゃんも一緒にどう?」
「わ、私は……遠慮します……制服ですし……」
「そっか。それじゃ、和馬。行こっか!」
夏帆と一緒にランニングを始めた。
結構ハイペースで走ったつもりであったが、夏帆は終始平然とした様子で俺に付いてきた。
「ふ~、結構走ったねぇ」
「夏帆、お前……体力凄いな」
「そうかな? 中学校の頃はこれくらい、練習で良く走ってたけど……」
「マジか……」
夏帆は中学時代、女子バスケ部に所属しており、エースとして大活躍していた。
最終的に女子バスケ部は夏帆の活躍により、全国ベスト4にまで勝ち上がった。
その為、高校では夏帆がバスケ部に入部しないことで当時はかなり学校中が話題となった。
バスケ部の顧問や先輩から直々に頼まれても、夏帆は結局バスケ部には入部せず、クッキング同好会に入部した。
そのことでバスケ部の先輩とひと悶着あったらしいが、今は平穏に学校を過ごしている。
「夏帆。ストレッチした後、一対一の練習しようと思うんだけど、ディフェンス頼んでも良いか?」
「待ってましたー! ビシバシ止めてやるんだから、本気で来てね!」
ストレッチを済ませた後、俺はボールを持ってフィールド内に入った。
結衣はフィールドの外から俺達の様子を見守る。
「さぁ、いつでも来て良いよ」
夏帆は腰を落としてディフェンスの体勢を取る。
体勢が完全にバスケのディフェンスのそれなのだが、特に気にせず俺はセンターラインからドリブルを始めた。
ペナルティエリアを目指してドリブルするのだが、夏帆のディフェンスに阻まれて中々辿り着けない。
「ほらほら! どうしたの? そんなドリブルじゃ、私は抜けないよ!」
「ぐ……!」
おっと冷静にならねば。
危うく夏帆の安い挑発に思わず頭に血が昇りそうになった。
サッカー初心者の夏帆くらい、ドリブルで抜けないと勇大には到底敵わない。
俺はシザース――ボールの上に跨ぎ、左右どちらかの方向にドリブルで抜くように見せかけるフェイントを繰り出した。
「お、お、お?」
狙い通り、夏帆が戸惑っている。
右……と見せかけて、左にターンをして夏帆を抜き去った。
「そんじゃあな!」
前方に大きくドリブルし、ペナルティエリア内に入る。
右脚を振り切り、シュートを放つ。
完全に決まったと思った。
「あまーい!」
「な……!」
後ろから夏帆がスライディングしてきた。
ボールが俺の足元から離れる直前、僅かに夏帆の足にボールが触れる。
シュートの軌道は僅かにゴールから逸れてしまい、クロスバーに当たって失敗となった。
「よし、ディフェンス成功っと。和馬、油断大敵だよ」
「や、やるな……もう一回、ディフェンスお願いしても良いか?」
「オーケー。何度でも来て良いよ!」
再びセンターラインからドリブルを始める。
夏帆は適切な間合いを取って、俺をペナルティエリアに近づけないようディフェンスしてきた。
先ほどと同じくシザースを仕掛けるも、夏帆は中々フェイントには引っ掛からない。
「残念、和馬。私に同じ技は通用しないんだから!」
夏帆はバトル漫画のキャラみたいなセリフを吐いた。
確かにドリブルで抜くのは少々厳しそうだ。
なら――
「へ?」
夏帆が驚くのも無理はない。
俺は前方にパスを出したのだ。
しかし、今は一対一の練習なので、俺のパスを受け取る選手など誰もいない。
「よーい……ドン!」
俺は全速力で走った。
自分で出したパスに追いついてシュートを決める。
この戦法は某青い監獄の漫画で見たものだ。
「ダッシュで私に勝てるつもりなら、甘いよ!」
夏帆も俺に合わせるようにダッシュする。
言うだけあって、かなりのスピードである。
「それはどうかな?」
夏帆の身体能力は確かに高い。
だが、それはあくまで『女子』という括りの中でだ。
ブランクがあるとはいえ、仮にも俺は中学時代、この脚で戦い抜いてきた。
夏帆よりも少しだけ早くボールに辿り着く。
自分のシュート範囲内であるが、このまま撃っても夏帆が追いついて阻止するだろう。
だが、それでも構わずすぐさまシュートを撃つ……
「よし、止めた……って、え?」
と見せかけて、つま先でボールを蹴り上げ、軽く宙に浮かせた。
スライディングでシュートを止めに来た夏帆は唖然としている。
ボールが地面に落下するタイミングに合わせてシュートを放つ。
何者にも阻まれることが無かったボールは吸い込まれるようにゴールに収まり、ネットを揺らす。
「よっしゃぁ! はい、俺の勝ち~!」
「くぅ~! ムカつく……もう一回、もう一回!」
「ああ。またディフェンス頼むよ」
その後も夏帆と一対一を繰り返した。
夏帆のディフェンスは手強く、二回に一回はシュートを止められた。
「よし、一対一の練習はこれくらいで良いかな。夏帆、次はキーパーしてくれないか?」
「オーケー! キーパーね」
「結衣。悪いんだけど、俺が走り出したら適当にボールを投げてくれないか?」
「う、うん……分かった……」
俺は結衣の方にボールを蹴り、それを結衣がしゃがみんで手で受け取った。
「さぁ、いつでも来て良いよ!」
夏帆はゴールの前に立ち、シュートが来るのを待ち構えていた。
「ぼちぼち行くか……」
結衣に視線を送り、ペナルティエリアに向かって走り込む。
ボールは俺の少し前、ペナルティエリア内に飛んでいった。
落下地点を予想し、シュートモーションに入る。
サッカーにおいて、パスが来ると大抵は『トラップ』というボールを足元に止める行為をするのだが、このトラップという手順を省き、そのままシュートを撃つことでディフェンスされにくくなる。
しかし、その分シュートの難易度も跳ね上がる。
俺が放った
「和馬、すごいね。今のシュート。確か、ボレーシュートって言うんだっけ」
「まぁ、うん。そうとも言うな……」
夏帆が言うように正式な名前はボレーシュートと呼ぶが、某漫画の影響で俺はダイレクトシュートと呼ぶことが多い。
ダイレクトシュートは中学時代からの得意技ということもあってか、反復練習するうちに思っていたよりも早く勘を取り戻すことが出来た。
時間を忘れるほど練習に打ち込んでいたが、気づけばすっかり日が暮れていた。
「暗くなってきたな。今日はこれくらいで止めようか」
「そうだね……もう、脚がパンパンだよ」
キーパーとして、何度もブロックに飛んだ夏帆は大分息が上がっていた。
俺に何度もボールを投げてくれた結衣もかなり疲れている。
「夏帆。練習、付き合ってくれてありがとうな」
「どういたしまして。それにしても、和馬のボレーシュート、本当凄かったね。これなら大会優勝できちゃうんじゃない?」
「いや……そんな甘くないだろ。一対一だと結構、止められたしな」
ダイレクトシュートを撃てる状況にまで持ち込めれば、点は取れるだろうがそこまでに至る状況を作るのが難しい。
中学時代には勇大という優秀なパサーがいたが、今は違う。
「あー、まぁ確かにね。けど、サッカー部にもかなり上手い選手いるから大丈夫だと思うよ」
「それって本田っていうサッカー部のエースだろ? 怪我して出れないんじゃ……」
「ううん。私と同じクラスで
「へぇ……そうなのか」
伊藤英正か。
少なくとも中学時代は名の知れた選手では無かったな。
有名な選手なら名前を聞いて、ピンと来るはずだ。
うちのサッカー部にも何人かは上手い選手がいるらしい。
「一人で練習するのも良いかもしれないけどさ、やっぱり一回くらいはチーム練習した方が良いんじゃないかな? サッカーはチーム競技なんだし」
「まぁ……そうだな」
夏帆の言うことも一理ある。
どうせ助っ人だし、自分一人で練習するだけで十分だと思っていたが、うちのサッカー部にも優秀な選手がいるなら早いところコンビネーションを磨いておきたい。
次の日のお昼休み、俺は職員室にいる長谷川先生に会いに行った。
「長谷川先生。今日からチーム練習に参加させてもらえないでしょうか」
突然、俺が心変わりしたことを不思議に思っているのか、長谷川先生は脚を組みながら神妙な面持ちで俺のことを見据えている。
「それは構わないが……どうしてまた急に?」
「二日間、自主練習して思ったんです。俺にドリブルでディフェンスを抜き去るのは厳しいと。初戦はともかく、八馬田高校となると俺の力じゃ太刀打ちできません」
「なるほどな……つまり、お前にパスが出せる優秀なミッドフィルダーがいれば良い訳だな?」
「まぁ、はい。そうですね」
長谷川先生は脚を組み替えた。
くそ、ダメだ……やはり見えない。
「ならば、適任者がいる。伊藤という選手なんだが、本来うちは伊藤と本田のツートップのチームだったんだ」
「伊藤君ですね。彼と話しことはありませんが、噂は聞いてます」
「なら話は早いな。だが、練習に参加する以上はみんなと一緒に基礎練習もやってもらうことになるが……良いんだな?」
「はい。構いません」
「そうか。それじゃ放課後、グラウンドに来るように。あと、お前の視線……物凄く分かりやすいから気を付けろよ。そう簡単に見えると思ったら、大間違いだからな」
「は、はい……」
バレていたのか……
職員室を後にすると、夏帆が廊下に立っている姿が見えた。
俺に気づいた夏帆は軽く手を振って、こちらに駆け寄ってきた。
「おーい、和馬―! 教室にいないから探したよ。もしかして長谷川先生のところに行ってきたの?」
「まぁな。練習に参加させてくださいってお願いしてきたんだ。夏帆は何か用があったのか?」
「うん! 別の高校にいる友達にお願いして、八馬田高校との試合のDVDを貰って来たんだ。和馬の役に立つんじゃないかって思ってさ」
「それはありがたいけど……わざわざそこまでしてくれたのか?」
「そりゃあ、和馬の助けになるならね! あと、これから長谷川先生にマネージャーやらせてくださいってお願いしに行くんだ」
「え、夏帆がサッカー部のマネージャー?」
聞いてないぞ。そんなこと。
そもそも、クッキング同好会の活動はどうするのだろうか。
「もうクッキング同好会には退部届を出してきたんだよね。和馬の役に立つならサッカー部のマネージャーが一番かなって思ったんだ!」
夏帆の話を聞いていて、少し怖くなってきた。
友達からDVDを貰うのはまだ分かるとして、俺の為にサッカー部のマネージャーまでするとは……普通ではない。
「ち、ちなみにさ……大会が終わって、俺がまた漫画に専念したらどうするつもりなんだ?」
「え? 勿論、退部するけど」
夏帆は何食わぬ顔で言い切った。
ダメだ……こいつ、イカれている。
ちゃんと言い聞かせなければいけないと思った。
「いや、ダメだろ。そんなの……サッカー部のみんなにも失礼すぎるって」
夏帆は不思議そうに首を傾げた。
表情こそいつも通りだが、瞳が淀んでいるように見えて不気味に感じた。
「失礼って、なぁに? 長谷川先生だって、半分脅しみたいに和馬に助っ人を頼んでるじゃん」
「それは、まぁ……けど、助っ人したら漫画の為に協力してくれるわけだし」
「私も和馬の為に協力したい……それじゃ、和馬は不満なの?」
「不満ってわけじゃないけどさ……その、そこまでしてもらうってのは申し訳ないというか、少し重いっていうか……」
「重い……」
夏帆はがくりと項垂れてしまった。
さすがに良い過ぎただろうか。
謝ろうと思ったその時、夏帆が顔を上げる。
夏帆は能面のような表情でツカツカと俺に詰め寄り、腕を掴んでどこかに連れて行こうとした。
「お、おい……夏帆。どこに行くんだ?」
「誰もいないところ。良いから付いて来て」
夏帆が連れて来たのは、体育館にある倉庫だった。
倉庫の中はかび臭く、マットや跳び箱といった備品が置かれている。
「あの……夏帆」
「和馬。正直に答えて……結衣ちゃんや真美さんと、エッチなこととか……したの?」
「へ?」
夏帆からの突然の質問に俺は動揺を隠せなかった。
エッチなことをしたかと訊かれると……ズバリしたからである。
「い、いや……してないよ」
夏帆に悟られないよう何とか平静を装った。
「嘘だ!!!」
聞いたこともないような大声を夏帆が出す。
某ひぐらしが鳴いている村に住む少女並みの豹変ぶりに俺は戦慄した。
「これを見て、そんなことが言えるの?」
夏帆はスマホを取り出すと素早く指で操作し、『ある動画』を俺に見せてきた。
「こ、これは……!」
『はぁ……しゅごい……めっちゃ良い匂い……!』
そこには俺が真美さんのパンツを嗅いでいる様子がバッチリと映っていた。
改めて自分の痴態を見ると、恥ずかしさのあまり悶え死にたくなる。
『ほら……お兄さん……イって……! お母さんの……
『結衣……! イく……んあぁ……!!』
真美さんのパンツに射精するところまでしっかりと動画内に収まっている。
どうして夏帆がこの動画を持っているのだろうか。
「おい……夏帆。その動画をどこで手に入れた? もしかして、結衣か?」
真美さんのパンツを嗅いでいた時、結衣が俺のことをスマホで撮っていたのを思い出した。
しかし、その後は特に撮影していなかったはずだ。
「ううん。違うよ。前に和馬の部屋に来た時にさ、小型カメラ……仕掛けたんだよね」
全く悪びれずに話す夏帆に対して、怒りを通り越して恐怖心を抱いた。
描き溜めておいたストックが尽きた為、更新頻度が落ちますが気長に更新待っていただければ幸いです。