どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!Another 作:とろねぎ
本編の最新ら辺を見ていただければ、スムーズに話が進むと思います。
『本編なんか読んでない』という人への説明としては、ギョクソウは死にました、とだけ。
今のこの人はただの燃えカスさんです。
ゆっくり死に向かうだけの尻尾四本ヴァルポです。
最近、リサの様子がおかしい。
私が意識しすぎなだけなのかもしれないけど、たぶんおかしい。
最近のリサは...
「...あっ!お姉ちゃん、おはようっ!」
「おはよう。リサ。」
「......」
「リ、リサ?私の顔になにか着いてる?」
「...ううん。きょ、今日も、き、キレイ、だねっ!朝から会えて、ツイてる?よっ!」
「...えっと...?あ、ありがとう...?」
こんな感じ。
なんの影響か、よく分からないセリフをしょっちゅう言うようになっていた。
まあ...とりあえず、頭を撫でてあげると喜ぶし、悪い子になった訳じゃなさそうで安心した。
でもそうなると、本当に意味がわからない。
「あー...リサ?今の時間ならまだ混んでいないでしょうし、食堂に行ってきたら?可愛いお腹がきゅるきゅる鳴ってるわよ?」
リサのノリに合わせてこの場を逃れることにした私と、なにやら俯いてしまったリサ。
何かを考えたあと、そのまま、いつものように笑ってくれた。
「...うんっ。じゃあ、また後でね、お姉ちゃんっ。ち、んちっ...!」
え?今舌打ちされた?
「え、えぇ...行ってらっしゃい。」
舌打ちされた...リサに舌打ちされた...
どういうことかしら...別に私を嫌う分には構わないけどさ...
ベッタリくっついて離れないより良いんだろうけどさ...
でもそれにしたって、もうちょっと段階を踏んで嫌って欲しいわ...
リサの様子が変なのは、何も朝だけの話じゃない。
執務室でドクターを手伝っている時、控え目なノックが聞こえた。
「いいよ、入ってきて。」
ドクターが許可してすぐ小さく、ふわふわの耳が目に入った。
「リサ?今日は訓練室にいるんじゃないの?何かあったの?」
「え、えっとね...」
お腹の前で指を絡ませて、もじもじと勿体ぶるリサ。
「お手洗いなら別に、誰の許可も取らなくていいのよ?」
「ち、違うっ!おトイレじゃないっ!えっと、えっと......な、なんだと思う?」
「...はあ?自分から声をかけてきてその返事はおかしくない?」
「そ、そんなに焦ったらダメだよお姉ちゃんっ。もっと、落ち着こ?」
本当にどうしちゃったのかしらこの子...
「ふふん、実はね......お...お姉ちゃんに...」
「私が...どうかしたの?」
「......お姉ちゃんの、お顔を見たかっただけっ!わ、私はもう戻るからっ!頑張ってね、お姉ちゃんっ!」
「はっ?」
私が疑問符を浮かべる間もなく、すぐに出て行ってしまった...
今からでも連れ戻して、ドクターに診てもらうべきかしら...?
「相変わらず仲がいいね。」
「な、仲がいいって言えるのかしらこれ?なんか、ただからかわれてるだけな気がするんだけど...?」
「まあ大人しくからかわれてたらどうかな。それか、最近スズランに構っていなかったとか...まあとにかく、負い目はあるんでしょ。」
「......まあ、ねぇ...」
そう言われるとそうなんだけど、これはなんていうか...うぅーん...
私の気を引きたい、かまって欲しい...というのとはまた、違う気がして...
朝昼と立て続けに奇妙な行動をしたんだもの。
そりゃ、夜にだって来るものでしょう?
薄暗い部屋、小さな灯り。
私はその下で開いた活字へ目を落としていたけど、ふと時計を見て立ち上がった。
そして部屋の扉を開けて...
「わっ...!?」
「...やっぱり、今日も来たのね。」
手の甲を扉に向けたまま固まったリサに声をかけた。
「今日も寝れない?」
「うん...ごっ、ごめんなさい...」
「いいのよ別に。最初来た時こそ少しは驚いたけど、もう慣れたから。」
寝巻きに身を包んで、使っている枕を抱えているリサを部屋に入れて、ベッドに寝かせる。
それから布団を掛けて、頭を軽く撫でて...
「おやすみ。」
その後すぐに椅子に腰掛けて、もう一度本を読み始める私を、リサは不思議そうな顔で見ていた。
「まだ...寝ないの...?」
「そうね、これを読んだら寝ようかしら。気にせずおやすみなさい。眩しいなら、灯りも消すから。」
「...夜更かしは、ダメだよ...?」
「大人はいいのよ。私なら尚更。やることが無いから寝てるだけで、今はほら...面白いのがあるから。」
それでも何か言いたげなリサから目を逸らすように背中を向ける。
視線が深々と背中に突き刺さるけど気にしない気にしない。
「...やだ...お姉ちゃんが寝ないなら、私も、起きてる...」
それなのにリサは、目を擦りながら体を起こした。
「何を言ってるの。」そう言いそうになった時にちょうど、ドクターの言葉を思い出した。
.確かに、最近はあまり構ってあげられなかったのかもしれない。
それなら今の私の態度は、まるで突き飛ばしているようなものなのかもしれない。
...私から離れるのは、少しずつでも良いか。
「わかったわかった。降参よ。だから早く寝ましょう?」
本を閉じ、灯りを消してから、リサの隣に入り込む。
それから宥めるようにまた頭を撫でると、リサも嬉しそうに目を細めて、私に軽く抱きついてきた。
「いくらお姉ちゃんが大人でも、ちゃんと寝ないとダメなんだからね。もうっ!」
「...覚えておくわ。」
「...ね、ねえ。お姉ちゃん...?」
「今度は何?」
「......わ、私のこと...好き?」
「...うん?」
何その質問。
なんで顔赤いの?
えっいや...怖い怖い怖い!
そりゃ言うまでもなく好きだけどなんで今そんなこと聞くの...!?
「...えぇ、好きよ。大事な妹だもの。」
「...えへっ、良かったぁ...じゃ、じゃあさっ...一個だけ、お願いしてもいい?」
「...?」
こんなことをしている間に早く寝ればいいのになんて冷たい感想を抱いていた私に、「んっ」なんて小さな呻き声を上げて、顔を突き出してきた。
目を閉じて、口を小さくすぼませて...
「...何やってるの?」
「え?え、えっと...おやすみの、ちゅーしてっ...?」
「あぁ、そういう事。それぐらい、別に大層なお願いじゃないわよ。」
...額とか頬で良いのよね?
この...明らかに期待してすぼませている箇所は無視していいのよね?
「......ちゅっ。」
大人しく、前髪を掻き分けて顕になった額へ口付けしておいた。
「ふえ...?」
「はい、おやすみ。」
「え、えっ......えっ?」
「どうかしたの?」
「...いや...なんでも、ないっ...おやすみ、お姉ちゃん...」
心無しか暗い声色で告げたリサは、おずおずと目を閉じた。
「...はあ...昨日も、上手くいきませんでした...」
ロドスの宿舎にあるソファに体を沈ませて、今日もまたため息を着く。
「おっ?どうしたどうした?そんな湿気たツラしちまってよ。」
そんな私の肩を叩きながら、隣に座ったのはニェンお姉さんです。
きっと、どうしてため息をついているか分かるはずなのに聞いてくるなんて意地悪です。
「昨日も、出来ませんでした...ちゅ...ちゅーはお願いできたんですけど、おでこにしてくれたんです。」
「あー...そりゃ、そうだろうな...?あいつ昔の人間だし、ただでさえ極東のやつはそういうの厳しいってんだ、そりゃ無理もねぇよ。」
大して驚いた様子もなく私の頭を撫でながら慰めてくれました。
「うぅ...ニェンお姉さんの提案してくれた、『お姉ちゃんにずっと一緒にいてもらう方法』...まだまだ、遠そうです...」
その方法を知ったのは、ほんの一週間ほど前...
「へえ?ご大層なこと考えるじゃねぇか。」
私から、ニェンお姉さんに相談したのが始まりでした。
「ニェンお姉さんは長生きですし、お姉ちゃんとも仲良しだから...何か、何か分かりませんか...?私、お姉ちゃんとお別れなんて嫌です...!」
「寿命以外であいつがリサのとこから離れるなんざ想像も出来ねぇけどなぁ...」
「で、でも...絶対じゃ、ないですよねっ...!?それが私、不安で不安で...!」
「はあ...?ったく、そんなに心配なら既成事実の一つや二つでも作って責任取らせときゃいいんじゃねぇか?」
「...きせい、じじつ...?って、なんですか?」
なんにも知らない私は、たどたどしいオウム返しをしてしまいました。
ですが、ニェンお姉さんは気にしていないようでした。
「本来なら婚姻モノだけど...」
「えっ!?」
こ、婚姻っ!?それってつまり、結婚っ...!?
「あいつ、おもしれーぐらい自己肯定感低くて、代わりにお前を防護ガラスに閉じ込めたいぐらい大事にしてんだ。そこを利用してやりゃ十分だろうな。」
「?......???」
「あ〜...そうだなぁ...」
まだイマイチ理解が出来ていない私にも分かりやすい言い換えを考えてくれているみたいで、唸っています。
「キスの一つでもすりゃいいんじゃねぇか?リサはまだしたことねぇだろ?」
「キっ...!?」
「あ、答えなくてもいいわ。うん。じゃあほい、あいつとキスしてこい。軽いやつでも大層なやつでもいいぞ〜。」
こうして私の目標は、お姉ちゃんとちゅ...ちゅーをすることになった。
「んで?良い子のリサちゃんは、一昨日教えてやったテクは使えたか?」
「は、はいっ!投げキッス?と、思わせぶりな行動ですよね?ちゃんとやりました!」
「...ちょっと、今投げキッスしてみ。」
は、恥ずかしいですが、もっといいアドバイスが貰えるかもしれないので頑張ります...!
「は、はい。...ちっ。」
恥ずかしいっ...!
「...舌打ち?」
「えっ!?ち、違いますよ!?」
「お前たぶん誤解されてんぞ。たぶんあいつ、舌打ちされたって思ってんぞ。」
「そ、そうなんですか...?」
「だいぶ難航してるみてぇだな...一回イけちまえばもう簡単だろうけどよ、それまでが難しいんだよなぁあの貞操観念ガチガチ女。」
なんだかお姉ちゃんを悪く言ってるような気がして、ちょっとだけムッとしてきちゃいます。
「...あ?あぁ、わりぃわりぃ。別に悪口じゃねぇんだぞ?良くも悪くもしっかりし過ぎてるってだけだ。にしても...そうだなぁ...んじゃどうしてやっかなぁ...」
「そういえば...どうしてニェンお姉さんは、私の相談に付き合ってくれるんですか?」
ここで少し、気になっていたことを聞いてみました。
ニェンお姉さんは、私のお話に付き合ってくれる理由は無いはずです。
もしかしたら、私には分からない、秘密の理由があるのかも...
「え?だってムカつくじゃん。あいつの自分勝手に少しは灸を添えてやらねぇとな。」
...思ったより、子供らしい理由でした。
「んで...だな。もしもお前が、一刻も早く終わらせたいってんならよ、今度は少しばかり体を張って貰うけど、どうする?」
悩んでばかりだったニェンお姉さんが、また新しくアドバイス?提案?をしてくれました。
「...体を、張る...?な、なんですか?私、今度は何をすればいいんですか?」
「まあちょっとばかり、おもしれーもんが二つあんだよ。もしこの方法に同意するってんなら...明日...いや一日開けっか、明後日まで待て。」
「それって...上手く、いきますか...?」
自分でも分かるぐらい、自分がなりふり構わなくなってきているのが分かりました。
「少なくとも、リサがあいつを誘惑するより断然楽勝だと思うぞ。」
「...く...詳しく、教えていただいてもいいでしょうかっ...」
それから二日後...私は、度肝を抜かすことになりました。
最近、おかしな事ばかりしていたリサが元に戻ってきた。
最近と言っても、昨日は大人しかったってだけなんだけど。
やっぱり、何かに影響されてただけなのかしら。
そう安心しながら、定期検査のために医療部の扉を開けた。
「おっ!やーっと来やがったな?」
「...何してんの...?」
いっちょ前に白衣とメガネをかけて、適当に落書きのしてあるカルテを抱えたニェンちゃん。
本当になにやってんの?
「今日は人が居ねーからよ、私が手伝ってんだ。ほれ、腕出せ。血取るぞ。」
「今度は何の影響?医療系の映画でも見たの?」
「だから手伝いつってんだろ?」
「だから手伝いがおかしいって言ってるでしょ?工房ならともかく、こんな検査の手伝いなんてケルシーが許可するわけ...」
「許可した、と言ったら?」
「なん...ですって...!?」
なら本当に手伝いなのかしら...
手伝いなのね...
「チョロ...」
「ん?なんか言った?」
「何でもねーって!さぁさ、重症患者サンの血液取るぞ〜。」
空の注射針をやけに手馴れた様子で消毒して、構えた。
「ちょっとチクッとしますよ〜。なんてな。」
鋭い針が皮膚を突き破って、そこから赤い液体を吸い上げていく。
...こんな体でも、まだ赤い血が採れるのね。
「はい終わりましたよー頑張りしたね〜!」
「子供扱いしないでちょうだい。やることやったし、私はかえ...」
そう言いかけた時だった。
「ワーテガスベッター」
「い゙っ...!?」
ドスリ、もう一回針を突き刺された。
しかも今度は、取るんじゃなくて流し込む感覚。
「ナンテコトダー、ツイウッカリヤッチマッター」
「あなた...何やって...」
何を打たれた?
頭が痛い。
体が熱い。
体を真っ直ぐに保つのも厳しい。
「...おい?大丈夫か?」
視界がぼやけて...
「マジか...こんな効くもんだったか?...分量ミスったかな...」
実行犯のやけに他人事な声を聞きながら、意識を手放した。
あとがき
半年以上ぶりの投稿がこんなので恥ずかしくないの?
本編で区切りが着いたのでこっちもちょっとやっとこかなぁと思っただけなんです。
次はスケベあるけどスケベじゃないです。
何を言ってるのかわからねーと思うが俺も(詠唱破棄)