原作からは圭介しか出ていませんので、先に『千歳~その後の千歳~』を読む事をお勧めします。
【千歳~その後の千歳~までのあらすじ】
主人公の堀圭介はヒロインの仁科千歳に恋をしていた。
高校二年になり同じクラス・同じ美術部に入るが、同じクラスで同じ美術部の林美香の弟が、ひょんなことから千歳と付き合う事になった。
そして姉の美香さんとはセフレの関係に……
高校三年になり新しい部員も入った。一度は千歳の事を諦めた圭介だが、新たに入った二人の部員がその間をかき乱していく。
大学受験も控え、新たな部員は離れていく中で圭介は同じ大学を目指して勉強を始めていた。
見事同じ大学へ入る事になった三人。
隆之との関係も終わった千歳と付き合う希望を寄せて入学するが、そこに待っていたのは、高三の時にキャンプで出会った桜小路桜花だった。
強引な押しに負けて付き合う圭介。そして友人となった俊介に千歳を取られてしまう。
同じ学部の睦月琥珀などとも付き合う中、友人だと思っていた俊介は圭介の女達を狙って落としていく。
千歳はバイト先でレイプの被害にあっていた。
圭介は仲間と一緒に周りで起こる数々の寝取られを乗り越え、協力しながら取られそうになっている俊介の本命だった桜花を取り戻す。
だが俊介は、元恋人で騙して使われていた結衣から殺され、結衣も自殺してしまった。
大学内で混乱の中にいた圭介、桜花、琥珀、心愛は連帯責任を取られ、無期限の謹慎処分を受ける。
事実上の退学処分になってしまったが、桜花の親が経営している桜グループの経営している大学へと編入する事になった。
俊介と桜花は永遠の愛を誓い、学生結婚をし、新たな学生生活を送る事となった。
『新しい春が来る。新しい風を連れて』
幼稚舎から小中高、そして大学と広大な敷地の中にある一貫したマンモス学園。
桜が咲き誇る中、新しい入学制を迎える日がやってきた。
混乱を避ける為、それぞれの描く学校は入学式の日にちをずらしているが、今日は大学の入学式であった。
一応決められた生徒以外は徒歩か自転車、又はバイク通学を行っているが、一部の学生は車通学を許されていた。
高額な寄付金を収めている生徒、基準よりも学力が高い生徒、そして……この学園のグループである桜グループコンツェルンの関係者のみ。
お金持ちや桜グループへの就職を希望している人はこの大学を選ぶ傾向が今日では高い傾向が高まり、ますます学園は発展を続けているが、それはこの朝の通学風景にも表れていた。
車で通学出来ない生徒達でお金持ちの生徒を送る車列の渋滞が朝の名物となっていた。
大学側は、徒歩用の通学門、自転車バイクの通学門、そして車両の通学門を分けて対応するのが精一杯であった。
その自転車、バイクの通学門を一台の真っ赤なイタリア製バイクが派手な音を立てて構内に入ってきた。
ヘルメットは特徴のあるカーボン仕様のシンプソンであるが、服装はイタリア製の生地で仕立てた濃紺のスーツを着ており、ネクタイを締めていないワイシャツは、胸元を少し開けてキザな様相を見せていた。
バイク専用の駐輪所へとバイクを止めると、穿いていた革靴でスタンドを立てて降りる男。
ヘルメットの金具をバイクに留めていると、もう一台の大型バイクが隣に停まって来た。
(ブッといリアタイヤのカスタムしたハーレーか)
イタリア製バイクに乗った男は隣のバイクと男を横目で観察していた。
かなりカスタムしたバイクに似合う大きな男。
キザな服装をした男も背は178はあったが、隣にいる男はそれを上回る180後半はあるだろう。
そしてその身体の厚みは倍はありそうなクマかゴリラの様な大きさに見えた。
「おおッドカか?カッコイイよな。俺には似合わないけど」
「そうか?ありがと。でもそのカスタムしたハーレーも似合ってるよ」
「だろ、俺のお気に入りなんだわ」
黒い皮パンに白いシャツ、皮のジャケットの男は嬉しそうにキャップ型のヘルメットをバイクに固定していた。
その時、車専用の通学門から歓喜の声が上がりだした!
女子特有の甲高い声に混ざり、男子のオオ―という声も一部混ざっている。
その場所を見ると、巨大な黒いリムジンが構内へと入って来る所であった。
「遂に来たか。女帝の降臨だな」
「女帝?」
厳つい男が知らないのか?とでも言うようにキザな服を着ていた男に説明しだす。
「知らなかったのか?車で入って来るのはホンの一部の人間しかいない。そしてあんなリムジンで通学するのは幼稚舎から大学まで考えても一人だけ、桜グループの血縁者だけだ。何故か去年は旧帝大に行っていたが、今年から此処に復帰するって話は本当だったんだな」
前半はキザな服の男に、後半は自分に言い聞かせるように話をしていた。
「詳しいんだな」
「ああ、幼稚舎からこの学園に通っていればな。ここは初めてか? 武蔵《むさし》って名だ。宜しくな」
男は分厚い手を伸ばしてきた。
それに合わせるようにキザな服の男も手を伸ばして握手する。
「圭介って言うんだ。呼び捨てて構わない。宜しく!」
「圭介…………なんかカッコイイな。これからも宜しく!」
これが俺と武蔵の長い付き合いとなる初めての日だった。
力強い握手の後で校舎入口まで行くと、人並みを掻き分けて入ってきた車の中から桜花が出て来るのが見えていた。
少しの男子と大勢の女子からキャアキャア言われて入って来る和服姿の桜花。
いつも可愛い顔立ちだが、和服のせいか、いつもより凛々しく感じていた。
「我が儘な女帝が大人しいなんて…………クククッ、似合わねえ」
「そんなに酷かったのか?」
俺は突いて来た武蔵に聞いてみた。
「そりゃあ、退け、カスッ、ブサイクッ、邪魔だ、女に興味はねえ!の悪口オンパレードだな。 それでもあの顔と身体だろ。ファンは幾らでもいるわな」
「マジか。モテてたんだな」
「そもそも桜小路家の跡取り娘。入り婿になるなら悪口の百や千は我慢するさ。次期CEOって事だからな」
「詳しいな」
「あ、ああ。マニアなんだマニア」
へー桜小路のマニアってのが居るんだ。
まあデッカイ会社だからな。そんなもんか?
それに初めて会った時は男を何人も連れてたし、罵詈雑言も酷かったからな。
静々と歩いていく桜花。
モーゼの様に人並みが別れて行き、皆が後ろへと着いていく。
目指すは入学式典の行われる大講堂だった。
「馬子にも衣装っては言うが、黙ってりゃメッチャ可愛いんだがな……」
ぽつりと零す武蔵。
俺たちも入学式へ在校生と言う立場で呼ばれていた。
流石に在校生全員と言う訳にはいかず、選ばれた人のみのはずだが、武蔵も良い所の育ちか、お金持ちの人なんだろう。
ゆっくりと校舎に隣接した大講堂へと入って行く桜花。その後を一目見ようと付いていく人並み。
俺達も分けられた新入生の後ろにある座席へと並び出す。
だが、俺には予定が入っていた。
「わりい武蔵。俺呼ばれてるからまた後でな」
「おう、頑張ってな」
頑張って?
俺が何かするって知っている?
いや、桜花との結婚も入籍をしただけだし、パーティーみたいな披露宴も無かった。
そう、俺達は前に通っていた旧帝大を無期限謹慎処分された後、桜花の都合が良いわとの一言でバレンタインの日に入籍した。
それと入籍の後で桜花からは俺があの日の俊介の事件が終わって直ぐに渡したクリスマスプレゼントのリングのお返しに貰った結婚指輪を渡された。
別に結婚指輪のつもりで渡していなかったのだが、プラチナのリングに小さいダイヤの入ったリング。シンプルだからいつも付けてもらえるだろうと相談の末に買った物だった。
いつかは結婚とは思っていたが、桜花のパパさんとママさんである愛花さんの勧め、そして桜花が結婚を希望しているって事であっさり決まった結婚指指輪の代わりになってしまった。
そのお返しと貰った結婚指輪が俺の左手薬指に嵌められている。それも二本。
一つは桜花から、そしてもう一つは琥珀から。
俺の愛人として愛の奴隷になりますと言う意思表示の為に送られた物だった。
慌てて俊介と結衣の親からむしり取った迷惑代と言う賠償金で買った桜花と殆ど同じようなリングを琥珀へも送った。
二人からはリングの周りに幾つも嵌められたダイヤが妙に怖い。
尻の毛も毟られそうだ。
その琥珀は今回はお休みで、ついでに心愛もお休みとなっていた。
ああ、心愛は俺のセフレと言う立場で同じ大学へと来ていた。
リングを送ったのは送っていたので、心愛には事故でダメになったヘルメットを一緒に見繕い、迷惑代で買った新しいバイクに合う、今時のヘルメットを買ってあげ、喜んでいた。
俺は壇上に向かって右にある貴賓席へと向かう。
新しい住居が間に合わなかったと言う事で暫く住んでいたホテルで別れた俺の妻、桜花の隣に座った。
「何かマニアが居たぞ、女帝マニアが。幼稚舎からいるって言ってたから同級生じゃないのか?」
「カスの男を覚えているとでも?だからこの大学は嫌だったのよ」
色々やってきたんだろうな。
こっそりアイツに教えてもらおう。話しやすかったし。
「だけど和服も似合ってて綺麗だよ桜花」
にまあと笑い俺の顔を見て笑うと、一部在校生から悲鳴のような声が聞こえた。
おい、どんだけだよ。
「貴方もカッコ良いわよ俳優みたい」
「まあ、今日だけだけどな」
コソコソしながら話をする俺と桜花。
エスカレーター式だからか、新入生と在校生の間からアノ男は誰だと話が聞こえる。
待ってな。パパさんに言われた通り、後で教えてやるから。
俺は謹慎処分中、パパさんに色々教えてもらった。
一時的な退避場所であるホテルから、桜花の宮殿のような実家へと移った俺達は、この前までその実家で過ごしていた。
パパさんの仕事に付いて本社まで行き、本社金融部門で仕事をしながら、時間の空いている時や、移動が多い日はパパさんと一緒に付いて回る。
そんな時に同じ養子と言う事で色んな事を教えてもらっていた。
仕事、部下の使い方、お金の使い方、そして初めからリスクを減らす方法として入学式でみんなの前でガツンッという方法まで。
「良いか圭君。初めに俺の女だと言っていれば、余計な男はある程シャットダウン出来るんだ。どうせいつかはバレるんだ。グループ挨拶で呼ばれるからその時に俺が圭君を紹介する。その時にガツンッと言ってやれ! キザな映画俳優になったつもりで肩を抱きながらでも良いな。ああ、昔を思い出すよ」
「順一さん。あの時カッコ良かったです」
秘書である爆乳マリア シェフチェンコさんが同意していた。
その開け放たれたブラウスから覗く深い谷間は目の毒です。
いつもゆっさゆっさと揺れるそのお胸は、デカい琥珀よりも一回りデカかった。
ママさんである可愛い愛花さんと言い、秘書として外回りで付いてくる美人なマリアさんと言い、まだ二号三号さんも居るらしいが、うらやまです。
そんな指示を出されていた俺は、キザなイタリア男になり切る為、オーダーで採寸したスーツを作り、ワイシャツも全て―オーダーし、靴も老舗ハイブランドで新品を買った。
全てで100万程度にはなったが、桜花に言うと『そお?』の一言で気にしていない。
まだ10万を超える金額は今の俺には敷居が高いです。
コンビニ弁当をいつも買っていたらパパさんに怒られてしまった。
昼は仕事、定時で上がらせてもらい、それから勉強。
そして3月には仮の編入テストを受けた。
まったりと新婚生活を送る余裕は一切無かった。
大学を卒業する時に新婚旅行へ行けば良いと思っていた。
だから同棲のような淡い新婚生活だった。
それでも毎日やる事はやっている。
桜花に琥珀に心愛。
ヘロヘロになりながらもオッ勃つ俺のチンコ。
出さないと返って具合が悪くなる程であった。
そう思っていると、入学式典が始まっており、色々言われている学部長の挨拶から、新入生の主席入学者の挨拶、在校生の挨拶へと続いていく。
横から見ていて良く分かるのだが、お金持ちの子息子女はイケメン美女が揃っている。
要はお金を持っていると美人妻を持てれる。結果、子供はイケメン、可愛い美人が生まれる結果となってののか?
では俺を選んだ桜花はどうなんだと思うが、ビビット来たからとしか教えてもらっていない。
不細工だとは思わないが、それほどのイケメンでも無い。この大学で言うと平均よりも下になりそうな所が憎たらしい。
世の中金か?!金なのか?!と言いたくなるが、今の俺はブラックカード持ち。カッコ家族カードカッコとじるだが、金持ちグループの庇護下に入り、世界的にも有数のビリオネアに名前が入る事になってしまった。
根は貧乏人の癖が抜けないので許して下さい。
そんな事を思っていると、学園代表として桜花が壇上へと呼ばれた。
可愛い顔と豪華賢覧な振袖の着物を着た桜花が挨拶を始める。
「大学へと入学された子息子女の皆さま、まことにおめでとうございます。これから社会へと旅立つ準備をこの桜大学で行ってゆくのですが、社会の波はいつも平穏なだけではありません。時には荒々しく、時には後ろを押してくれる時もあるかもしれなせん。私が言えるのは一つだけです。最後の最後まで諦めてはいけません。諦めた時が負けであり、敗者となるのです。遊びも大事ですが、勉学も同じく頑張ってください。本日はおめでとうございます」
全校生徒の拍車が鳴り響く。
罵詈雑言を言う女帝には似合わないのか、一部の生徒は口をポカンと開けて眺めていた。
そして桜グループ最高経営責任者である順一さんが呼ばれ、呼ばれていない俺を連れて壇上へと上がって行く。
壇上で挨拶をした桜花はそのままその場へと残り俺はその隣へと起立したままパパさんは挨拶へ。
現在の世界市場の動向から環境問題、そしてグループの簡単な説明を行ったパパさんは、遂に俺らの話に入った。
「それでは、娘である桜花の夫となる者を紹介しよう! 次の世代のCEOであり、桜小路家の次期当主!桜小路家圭介だ!」
その時大講堂が振動するかの様などよめきが鳴り響いた!
そのどよめきが終わらない内に俺は話始める!
「ご紹介に預かりました桜小路圭介です。次の世代のCEOと呼ばれて大変恐縮ですが、今はまだ勉学の途中であり、仲間を探している所であります。 そしてこの横にいる桜花は俺の妻!……分かりやすく言おう……………………こいつは俺の女だ!てめえら手を出すんじゃねえぞ!」
俳優になったつもりで横にいる桜花を抱き寄せ、段下から覗いている全生徒に視線を移しながら桜花の待つ唇に自分の唇を合わせる。
静まり返った大講堂がコンサート会場の様などよめき、声援、文句が入り乱れる!
そこへ桜花が追い打ちを掛けて来た!
「お前ら、私の男に手を出すなよ。分かってんだろうな」
一部の男からウオオオオオオと言う声援が鳴り響く。
横のパパさんはウンウン、素晴らしいと一人で拍手をしていた。
声援とも感じる罵声とも怒声とも取れる声援を聞きながら壇上を降りた。
入学式も無事?に終わり自己満足していた俺らは、学園長から三人とも引っ張られ、裏の方へと連れて行かれるのであった。