学校が終わり、組織からの呼び出しを喰らって訪れたのがここ、学校の近くにある寂れた神社に据え付けられた、古ぼけた公衆便所。
申し訳程度に清掃中の看板がかかっているが、半ば管理が放棄され、廃れ切ったここに訪れる人間など、まあまずいないだろう。
眼前に居るのはよく見知った、異形の怪人――の、
「
結構な事だ」
「……どうも。
そういうのの記録とかって、やっぱり全部伝わってるんですか?」
つい昨日の
これくらいは読まれているだろうが、それでもあからさまにそれを言葉に出して、
「いや、
俺程度では
単純に、監視している別の
「はあ……成程」
前半の異形の怪人が語った内容の真偽はさておき――
俺の行動を……監視している他の戦闘員?そんな奴がいたのか。
「そう警戒するな、別に咎めてる訳じゃない。
むしろよく自制出来ているほうだと思うぞ?
少なくとも、変に万能感に酔って暴走したバカよりはな」
「どうも、ありがとうございます。
え……暴走?」
不穏な単語を聞き返した俺の言葉に、怪人は、ああ、とげんなりとしたような口調で、答えてくる。
「まあ、以前な。一応お前の先輩ってことになるのか……
色々とやりすぎて、与えた
こうまでボロクソに言われている辺り、よほどの事をやらかしたのだろうか。
「そりゃ何をさせても構わないとは言ったがな……
素体の元彼だか何だかを相手に、
少し考えれば、そんな事をすればどうなるかぐらいは想像がつきそうなものだが」
「―――何考えてたんですかソイツ。
え、いや……マジで?」
そっち方面の
あれは主人公に何もかもが都合よく進むだけの、お約束の茶番劇だからこそできる事だ。
まさかあいつらの事までどうにかできる、とでも思っていたのだろうか。
というか、最後の辺りは思わず素で突っ込んでしまった。
ただ、それを無礼と咎められる事は無く、むしろ我が意を得たりとばかりに、怪人は愚痴を重ねる。
ひょっとして――相当に鬱憤が溜まっていたのだろうか?
「……さあな。
最後のあたりで脳破壊がどうとか喚いていたようだが……馬鹿の考える事は分からんよ。
で、まあ案の定、
「……お疲れ様でした」
案の定、件の先輩とやらはやらかすだけやらかして、
とりあえず、社交辞令として、ねぎらいの言葉をかけておく。
まあ、怪人の語った最後の下りが、心底うんざりとしたものであったことを感じさせるほど、苦々しいものだったのに同情してしまった事もある。
「……ああ、というか話が逸れたな。本題に入るか。
お前を今日呼び出した理由だが……また新しく
「……え、いや……もう、ですか?」
「ま、今回はつける人員は決まっているがね。
さっき話した、お前達を監視していた
素体はお前の通っている学校の女生徒だった奴だが――そいつをくれてやる。
好みに合うか知らないが、使うならそれなりに楽しめる筈だ。
……何か質問は有るか?」
「あの……何度も同じこと聞くようでですが、この間、部下に一人貰ったばかりですよね。
一週間とちょっとくらいしか経ってないのに、早すぎませんか?」
俺のぶつけた疑問に、怪人はそんな事か、と笑った。
触腕に包まれた
「お前に今後新しく任せるかもしれない
別に前線に出す訳じゃないから、その辺は心配するな。
まあお前にも十分に旨味のある
報酬にも色はつけるし、今まで通り
受けるかどうかは、二人目を味見してから決めていい」
どちらでも構わない、というような調子で答えた怪人だが―――まず、断る選択権はないだろう。
二人も
最悪、先の話題に出たような『先輩』よろしく、土壇場で切り捨てられる可能性もあるのだから。
「わかりました。じゃあその……
新しい
「珍しくやる気があるのはいい事だが……まだ先の話でな。
新しい
今日のところはもう帰るんだな。
それに、外で
まあほどほどにな、と付け加えて――怪人の姿を映した、
最後に言いたい事だけ言って消えたな、とも思ったが、まあいつもの事か。
それに鈴音の奴を待たせているというのも、事実ではある。
俺は臭気の籠もった便所から出るべく、出口へ向かって一歩踏み出した。