放課後を迎えて、まばらに下校する生徒がちらほらと見える校門を出て、真っすぐに歩く。
程なくして大通りの分かれ道にたどり着くと俺と鈴音は並んで砂村に向き直り、別れを告げる。
「じゃあ私とみーくんはこっちだから……またね、ユキちゃん」
「……ん。また明日。三村君、日村さん」
「ああ。また明日な、砂村」
昼飯の時に聞いたが、砂村は砂村で、外せない家の用事があるらしく……今日はこれでお開きという事だ。
時間があるようであれば、
「三村君、もう苗字じゃなくて……名前で、呼んでもらっても、いいけど。
私は、二号さんでも……いいから」
「……いろんな意味でそりゃ拙いだろ」
一応鈴音と付き合ってる事になってるんだし、とぼやくと、砂村の表情は動かなかったが、少しだけ……声が笑っているような気がした。
「……分かってる、冗談、だから。
三村君の、一番は……日村さん、だって」
こちらのツッコミを前提とした、
鈴音もそうだったが、これも
「でも……今日ぐらいの事なら、学校でも、出来ると、思うから。
じゃあ……また、ね」
くるり、と
ふわりとショートへアとスカートがたなびいた姿に、何故か引き付けられた。
その小さな背中を見つめていると、鈴音が茶化すように尋ねてきた。
「みーくんさ、本当ならユキちゃんといろいろしたかったんじゃない?」
「家の用事だって言ってるんだし……しょうがねえだろ」
ぱきり、と首の骨を鳴らしつつ、それに答える。
確かに色々な意味で新鮮な体験ではあったし、
俺にせよ、鈴音にせよ、砂村にせよ――良くも悪くも、なるべく普段通りの生活リズムを崩すべきではない。
ある程度、落ち着いた今だから言える事だが……綻びが出るとするのなら、まず其処からだろうからだ。
「そうだねぇ。ちょっと急ごっか。
い・ち・お・う、……みーくんのぉ、恋人、なんだし?
今日はさ、気持ち濃いめにがっつりやってみたいからさ」
「いやさっきのは、言葉の綾っていうか……」
頬を膨らませて、先程の俺の言葉を咎めてくる鈴音へ……
悪かったよ、と返すと、鈴音はきゅ、とつないだ手に力を込めて返してくれた。
朗らかに、仕方がないなあ、と笑う彼女の笑顔に、また縛られる。
茶番なのは分かっていても、
「うん――それじゃ帰ろうよ。
今日もお父さんとお母さん、遅いし。
みーくん家もだよね?」
「まあ……な。じゃあ、そろそろ行くか」
偽りに塗れた
紛い物の
爛れた
背徳に塗れたと裏切り引き換えに得られた、それにどっぷりと漬かりながら、少しずつ狂った日常に適応していく。
いつかはきっと、これに染まり切ってしまった時に……俺は、新たな罪を重ねるのだろう。
指を絡めて握りしめられた暖かな鈴音の手の感触を感じ、ぴったりと寄り添って隣を歩く彼女と歩きながら、今はこの感傷に少しだけ、浸る事にした。