期待されていた方は、申し訳ありません。
耳にした話では、数か月ほど後に全国チェーンの安売り店が入るらしい……昨年、閉店したスーパーが入っていた空き物件。
そこが、今回の組織からの呼び出しに使われた場所だった。
言葉を交わす相手は、最早お馴染みとなった異形の怪人の立体映像《ホログラフ》。
「随分と愉しんでいるようだが……その様子では二人目も気に入ったようだな」
「……恐縮です」
目の前の怪人の皮肉に、とりあえず頭を下げておく。
肉欲に溺れすぎているのは否定できない所だが、もう少し言葉を選んでくれても罰は当たらないのではないだろうか。
「別に責めてるわけじゃない。もうあいつらはお前の
節度を持ってやる分には好きにしてくれていいんだよ、別にな。
で、今回呼び出した要件だが……
上の方からお前に新しい
成程、と答えて……少しばかり、緊張で顔面が強張るのを感じる。
どうも――ついに、来るものが来たようだ。
「ああ別に取って喰おうってわけじゃあないんだ。
そんなに心配しなくてもいい。
さっきああ言っておいてなんだが――お前、もっと新しい
ただ、今回は既に完成した
「は、あ?それは……」
……どういう、意味だ?
目立った手柄も上げていないのに、流石に三人目はないだろうとは思っていたが。
いや、そもそも二人目は……砂村は新しい
だとすれば
「――薄々、察しはついたようだな」
と、俺の心の内でも読んだかのように、怪人が頷く。
「ま、一応段階を踏んで説明しておくか。
実の所、
はあ、と生返事で応じつつ、確信は強まる。
「例えばお前が今通っている学校。
……実の所、あそこにるうちの戦闘員、ってのはお前にやったあの二基……いや、二人ぐらいでな。
あそこに限った話じゃないが、どうにも手数が足りない。
もう少しくらい増やす方向に動いてみてもいいんじゃないか、って話は前からもあったんだ」
怪人の話の方向性は、戦闘員の不足に言及するもの。
となればそれは、やはり―――?
「要は、新しい
その為に素体を
最近、個人単位で使用できる、
ああ。成程。予想通り――いや、ある意味では予想以上の物が出てきた。
俺が直接……戦闘員を調達する。
それに個人で扱える……洗脳改造道具?
そんなものが、もう出来上がっていたというのか。
やはり、恐ろしい技術力だ。
「で、その調達の過程で気に入った女が居たらそいつをお前の専属にしてもいい、ってお達しでな。
中々の大盤振る舞いだぞ、これは」
明るい声でこちらを鼓舞するように語る怪人だが……
言い換えれば、それだけ
気に入った女を俺の専属にしていい、というのは、分かり易い飴のようなものだ。
「前にも言ったが、これに関してはノルマとか期限を設けてるわけじゃない。
成果を挙げる事ができたなら、上層部からの覚えが良くなるのは――まあ、間違いがないだろうが」
ある意味で、大した立ち位置ではない人間に任せるには、最適の仕事だ。
何なら、洗脳改造道具とやらには口封じと、証拠隠滅も兼ねた、自爆装置くらい仕込まれていても不思議ではない。
いざとなれば、俺ごと切り捨ててる事を前提としての仕事という事か。
。
……それこそ。いつぞやの馬鹿を仕出かしたという先輩の様に。
「それと――言うまでもないが、
分かっているだろうが」
そんな事を考えるこちらの内心を知ってか知らずか。
釘をさすように一転して硬い声で続けてくる怪人。
その声だけは……いつもとは調子が違った。
組織が
何か、よろしくないニュースがあったらしい。
「連中、と言いますと……奴らが、何か?」
「……ああ。例の
一週間前だったか――連中、他所の組織のかなり大規模の改造プラントを潰したらしい。
そこにいた上位クラスの幹部ごと、って話だが……いよいよ洒落にならなくなってきた」
お前も気を付けろよ、とこの時ばかりは真剣な声音で、こちらに忠告してくる怪人。
くぐもった声が、僅かに震えていたのは多分、俺の気のせいではないだろう。
「……わかりました」
答える俺に、意識してだろうが、また気安い調子に戻して怪人は補足する。
「とりあえず新しい
使い方は二人目のお前の部下に
何にせよ――じっくり、焦らず慎重にやるんだな」
ま、頑張れよ、と怪人は言い残して――いつもの様に
心なしか体が重い。疲労を感じているのは……気分だけの問題ではないだろう。
慣れてきたつもりだったのだが、話が話だけに……いつも以上に緊張していたようだ。
――さて。
いよいよ