朝食を済ませ、鈴音と共に家を出て路地裏を歩く。
人気のない裏道を通るルートが、高校までの距離は一番近いのだ。
こうして隣り合って歩きながら、近くで横顔を眺めていると、
中学の頃までは、あまり気にしていなかったが……
高校に入った辺りから、なんというか、本当に女らしくなったものだ。
「結局みーくん、おっぱい揉まなかったよね。
時間なかったからかな……それとも私のだと嫌?」
「……うるせ。
まだその話題引っ張るのかよお前」
こうして普通に言葉を交わしていると、忘れそうになるが……もう、
俺の知らない所で……バイト先の悪の組織に、洗脳改造され、愛玩用の
そのバイトの
紫のボディスーツに包まれた、昨日の
制服に押し込められた
記憶に新しい光沢のある紫の強化スーツに包まれた
思わず、口の中に唾が湧き出て来たことに気付き、それをごくりと飲み下す。
さっき一回抜いた筈なんだが、と胸中でぼやきつつ――昨日の光景が頭から消えてくれない。
……正直に言えば、自分を抑える自信がなかったのだ。
昨日はそこまでの余裕はなかったが、あれを自由にできるとなれば、猿の様に盛ってしまっていただろう。
そんな心境を読まれた――と言うわけでもないだろうが、申し訳なさそうな表情を作り、鈴音が言葉を続ける。
「あ……確かに、
絶対遅刻しちゃうし。
ごめんね、気が利かなくて」
「いや……別に悪いとか言ってないだろ」
元の
当たり前の様に、自分の身体を差し出すような言動を取る
「でもこれからは、いくらでも機会はあるからね。
放課後とか、休みの日とか。
もっと早く仲直りできれば良かったんだけど……」
「……仲直り、ねえ」
そういえば、
この一年……俺から
実際の所が、
「そうだよ。私だってずっと謝らなきゃ、って思ってたんだから」
今の
その後、ほころばせ向けて来た笑顔も、結局の所、紛い物で。
元より女を痛めつけて喜ぶ趣味などないし、わざわざ他人に抱かせるような馬鹿な真似等、微塵もしたいとは思わない。
そう言った意味では、あの怪人から受けた禁止事項などあって無い様なものだ。
昨日の様に、
或いは、
もう、いくらだって―――できるのだ。
それを躊躇う理由などない筈だ。だってもう取り返しなどつかないのだから。
今の生活を壊さない程度に、
ただ――もし少しでも、
「……それ、俺が
まあ、恐らくは……組織からすれば、鈴音の扱い自体、まあ使えなくもない、思春期の餓鬼への飴にくれてやった、程度の物。
偶に、顔を合わせる怪人が漏らす事のある
俺への監視の意味もある、と言っても……
裏切らなければ別にそれでいい、くらいのもので、きっとそこまで重要視もされていない。
結局の所、
そんなぞんざいな扱いで、
「んー。そういう訳じゃないけど……
まあ、私は
だから……これからはずっと一緒に居られるんだよ」
「……ああ、そうかい」
ふう、と息を吐く。
結局の所、現状を非難する資格など、俺には多分ないんだろうな、と思う一方で……
ふと、本来の
この感傷の正体が、ただの
今の俺には分からない。考えたくもない。
「あ、みーくん、大通りに出るよ。
……
鈴音は、戯れじみた表情で、唇へ縦にした人差し指を当てた
彼女の言葉の通り、いつのまにか大きな通りに出る所までたどり着いていたらしい。
静まり返った裏道からの落差で、車の排気音や人の喧騒が多少やかましく感じる。
歩道を歩く人の中には――俺達と同じ制服の高校生がまばらに見かけられた。
その中で、偶に近寄ってくる、あるいは離れたところから声をかけて来る、見覚えのある顔と軽く挨拶を交わしながら学校へと向かう。
「おはよー!あれ、鈴音。
今日は
その中の一人……確か、同じクラスの女生徒だったか――に、二人で並んで歩いている事に、若干奇異の目を向けられた、が。
「うん、色々あってさ。
久しぶりに一緒に学校行こうって……ね、みーくん?」
とまあ、元々の
幸か不幸か……今は、
実際声をかけてきた女も、へえ、と納得したようで深くは突っ込んでは来なかった。
そんな投げやり気味な思考で――足を止めることなく、俺達は進んでいった。