※この作品はR-18です。

幼馴染洗脳改造済戦闘員物   作:べっこう飴02

31 / 31
とりあえず、今回の話で一区切りとなります。


エピローグ きっといくらかはマシな未来へ

 ――そして、数か月が経過。

 

 つい一週間ほど前に、正式に付き合い始めた恋人である■■と別れの挨拶を交わしての下校。

 ……後ろめたさもあるが、今が幸福だと感じている自分も、間違いなく存在している。

 結局の所、これが一番良い選択だったのだろうと……改めて思う。

 

 そして帰路へと急ぐ道中、人気のない裏道に入った直後、ばったりと出くわした人物はあの(・・)女。

 中性的な美貌にも、滲み出る様な胡散臭さも変わりがない。

 以前会った時と同じように、気安い調子で片手を上げてこちらに話しかけて来る。

 

「や、少年。久しぶり」

 

「……どうも」

 

 しかも、なんの冗談か知らないが、俺が通っている高校の制服(ブレザー)を身に着けた姿で現れた。

 そんなこちらの心境が表情に出ていたのだろうか。

 彼女は、その場でくるりと回って笑う。

 

「……ん?ああ、この格好かい。

 君に会う為に用意してきたんだけどね。似合うかな?」

 

「……どうだろうな」

 

「はは、そう邪険に扱わなくてもいいじゃないか少年。

 結局、全部私の言った通りになったろう?」

 

 まあな、と目の前の女――に生返事を返しつつ、頭をガリガリと掻きむしる。

 

 そう。結局俺は――目の前の女の言葉の通り、組織を裏切る選択肢を取った。

 あの後すぐ指定された場所に急いで向かった結果、ある一人の少女と出くわし、その出来事(イベント)から紆余曲折を経て話が進んでいったのだ。

 

 まあ、詳細を語ればいくら時間があっても足りないが、結果だけ述べてしまえば。

 件の英雄(ヒーロー)達によって、鈴音や幸奈も元に戻ったし、バイト先の組織も壊滅した。

 その過程で、星霊選士(エレメディア)銀装騎(シルバーブレイバー)とも直接顔を合わせる事にもなったりもしたし……

 やらかした事が事だけに、俺もそうとうきつい(きゅう)を据えられる羽目にもなったのだが。

 

 なんとか、こうして元の生活に戻る事も出来ている。

 

「基本的に彼らは善良だからねえ。

 ちゃんと禊を済ませた後なら、そう悪い結果にはならないだろうさ。

 それと、例の彼女とちゃんとした形で正式に恋人になったんだろう?

 おめでとう、って言ったらいいかな」

 

「……こうなる事も、あの時点で分かってたのか?」

 

 素の状態の■■から、正面から告白されたその時に――それを受けるべきか否か、正直戸惑った。

 彼女達には――戦闘員に改造されていた時の記憶はない。

 人格を元に戻すと同時に、生活に支障が出ないよう、辻褄を合わせる程度に記憶に手を加えざるを得なかった――と、件の英雄(ヒーロー)達は言っていたが。

 

 ――俺は……何も知らない■■の傍に居て、いいのか?

 

 俺にそんな資格などあるのかと葛藤したのが少し前の事。

 あの肉欲に溺れた、諦観の混じった退廃的な悦楽を貪り続けるだけの時間は……振り返ってみれば、己の醜さを思い知られるには十分なものだった。

 有り得たかもしれない未来での、俺の醜態もそうだ。

 

 ただの一般人だった俺が組織に抗う術などなかったかもしれない。

 それでも何かやれたことはあったのではないかと、今更ながら思う事はある。

 

「いいや、可能性の一つとしてそういった分岐(ルート)もあるかな、って事くらいさ。

 他の誰が決めた訳でもない。君と彼女の選択の結果だ。

 そこは胸を張りたまえよ」

 

「そう……か」

 

 自然と、ため息が出てくる。

 

 ――償う術が見つからない等と嘯いて腐るくらいなら、逃げるな。

 

 そんな事を真正面から星霊選士(ヒロイン)の一人からぶつけられたことを思い出す。

 伊達に正義の味方などやっているわけではないという事だろうか。

 実際に接してみると……正直、彼女を俺が如何こうできた未来がありえた、というのは信じがたい。

 

「なあ……幾つか、聞いていいか」

 

「何なりと。私に答えられることなら答えるよ」

 

「あんた……一体、何者なんだ。

 他の組織の人間でもないが……あの英雄(ヒーロー)達の仲間って訳でもないんだろう」

 

 少なくとも……件の彼女、彼ら達は、この女の事を誰も知らなかった。

 いや、一人だけ心当たりがあるような事を口にしていた奴はいたのだ。

 

 ただ、『放置しておいても害はないだろう』とも言ってもいたが……?

 

「……強いて言うなら、色んなアクのソシキの、シュリョウさまとやらの同類、同郷――ではあるけどねえ。

 彼らがやってたような事には……単純に面倒で興味が湧かないんだよ。

 この能力(ちから)を使えば賭け事やら投資やらでいくらでも儲けられるし、別に生活にも困ってないからね」 

 

「その……未来予知?の事を言ってるのか」

 

「いーや、ちょっとばかし時間軸の進みの早い並行世界を観測してるだけさ。

 この間君に見せたのもそれだよ。

 だからまあ、これ(・・)も、外れるときは外れるよ」

 

 本当の事を言っているとも限らないが――あっさりと能力の種をばらした女に、呆れ半分で返す。

 

「俺に……言っていいのか、それ」

 

「ま、私から君への信頼の証だと思ってくれたまえよ。

 後はまあ――それなりに喧嘩も強いつもりだよ。

 正義の味方の皆さんと戦ったら、普通に負ける程度だけどねえ」

 

 比較対象として、あの連中が出てくるあたり……暗に並の人間をはるかに上回る力を持っている、と示しているのだろうか。

 ……多分だが、他に何かしらの隠し玉くらいは持っているんだろうな、とも思うが。

 それがどんな類の物なのかは、流石に見当もつかない。

 

「じゃあ今日のところはこれでお暇するよ。

 忙しいところ呼び止めて悪かったね、しょうね――」

 

「いや、待ってくれ、最後にもう一つだけ!」

 

 大声で言葉を遮られて、ん-、と唸ってから、なんだい、と聞き返した彼女へ、かねてからの疑問をぶつけた。

 

「あんた……何で、俺に助け舟なんて出したんだ」

 

 目の前の彼女が……あの黒装騎の誕生する分岐(ルート)を防ぎたがっているのは、なんとなく理解(わか)る。

 だが、それだけが目的ならもっと簡単な、手っ取り早い手段だってあった筈だ。

 

「強いて言うなら、何も死ぬことはねえだろう――って思っただけ、って奴さ。

 要はただの気紛れだよ」

 

 女は、どこかで聞いたような台詞を笑って冗談めかした調子で投げかけつつ、

 

「他にも理由(したごころ)がないわけじゃあないし……

 あそこで忠告を聞けないくらい頭が(ゆだ)ってたなら、そのまま見捨てるつもりだったけどね。

 正直、その程度にはどっちでもよかったんだよ」

 

 そう言葉を切り、じゃ今度こそ、と片手を上げて目の前の女はくるりと背を向けて、こちらに告げる。

 

「縁があったら――また会おうじゃないか」

 

 去っていく女の足取りは軽やか。

 それに既視感を感じたのは、多分気のせいだろう。

 あの女と■■に共通点など、殆どないはずだ。

 強いて言えば外見上は同世代に見える程度……くらいか。

 

 そう言えば、名前をまだ聞いていなかったな、と気付いた時には既に彼女の背中は見えなくなっていた。

 それに礼も言い忘れた。失敗したかな、とも思わないでもない。

 ただそれこそ、彼女自身が言ったように――

 

「縁があったら……また会う事もあるか」

 

 袖擦り合うのも多生の縁。

 なんとなくそんな慣用句が頭に過る。

 ……きっと、そのうちまた、言いそびれた感謝の言葉を伝える機会も巡ってくるだろう。

 

 少しばかり道草を食ってしまったが、俺も帰ろう。

 ……現在(いま)はきっと、幸せな筈なのだ。

 ようやく俺は、何の変哲もない平穏な日常という奴に、戻る事が出来たのだから――




とりあえず第一部完、みたいな感じで。
第二部というか、主人公が欲望に負けた選択肢を選んでしまった、破滅/堕落ルート(仮)みたいなものもぼんやりと考えてはいますが、予定は未定です。

では第二部なり、もしくはまた別の話なり。
また次に何か書いた時に、時間があったら見てやってください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【R18】俺が催眠術にかかるわけないだろ?ほらっはやくチンポ出せよ♡(作者:ハッピーうれピー)(オリジナル現代/恋愛)

幼馴染みの催眠術特訓に付き合わされることになったTS娘の主人公、ハル。▼「催眠術なんて絶対にかかるわけない」と高を括っていたのに、気づいたときには既に術中にハマって幼馴染み専用の性処理係にされちゃった!?▼自覚のないまま、幼馴染みの専属性処理係から、恋人へ、そしてお嫁さんへ……!?▼TS娘ちゃんがオホ声あげながら幼馴染みのお嫁さんとして幸せに堕ちていくなんて…


総合評価:1846/評価:8.66/短編:1話/更新日時:2026年05月17日(日) 20:03 小説情報

【R18】性処理係になった先輩を誰にも抱かせないために常時独占告白ゴム無し性処理する話(作者:ぽぶきち)(オリジナルファンタジー/恋愛)

性処理係になった先輩を誰にも抱かせないために、隠していた精力で常時独占えっちからの告白ゴム無し性処理セックスで妊娠させて嫁にもらう話。


総合評価:2575/評価:8.67/短編:1話/更新日時:2026年06月05日(金) 23:51 小説情報

【R18】未亡人と勝ち気女子高生の爆乳母娘が金持ちイケメン大学生に揃って美味しくいただかれる話(作者:れみ)(原作:雨のバケモノ)

亡き夫と共に始めた居酒屋を守る未亡人、新藤渚とその娘の葵▼その美貌と爆乳で様々な男から狙われる母娘であるが、そこに一人の男が加わった▼遠野章一朗、女遊びの激しい大学生である▼一目見て彼女たちを手に入れようと決意した遠野はあの手この手で画策していく▼果たして新藤母娘は無事でいられるのか…▼肉助様の同人ゲーム▼雨のバケモノ▼を原作としています▼NTRはいいぞ。上…


総合評価:2170/評価:9/連載:13話/更新日時:2026年07月05日(日) 18:00 小説情報

【R18】滅亡世界の生存者(作者:トイタトタタン)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

大魔女という存在が現れて、世界の人類を滅ぼした。▼そんな中、ただの偶然で生き残ってしまった小学校教師が、かつての教え子である桜羽エマと再会する。▼自分以外の唯一の生存者。年下の少女に対して、何があろうとこの子を絶対に守ろうと誓った。▼人類を滅ぼしたのはいったい誰なのか。その正体も知らないままに。▼■▼かなり独自解釈のダークヤンデレ桜羽エマになります。ご了承く…


総合評価:2826/評価:9.14/連載:60話/更新日時:2026年09月22日(火) 19:26 小説情報

【書籍化】 ま! よ! け! の! 塩! (120年分)(作者:哀森賢人/哀しみを背負ったゴリラ)(オリジナル現代/ホラー)

【書籍化決定!】2026年08月24日 GCノベルズ(GCN文庫)様より発売中!▼  自分の部屋の天井の四隅を同時に見てみよう。▼  大丈夫。何も起きないから。絶対なにも起きないから、大丈夫だから。ね?ね?▼夜の山をじっと見続けると、何か光るモノが見えるよ。▼それが動いていたら、スマホで動画を撮ってみよう。▼きっとバズるよ。ほら撮って。▼    寝る前に布団…


総合評価:27667/評価:9.09/連載:50話/更新日時:2026年09月05日(土) 23:27 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>