~幻想郷~
「アメちゃん達は上手くやってるかな~」
「どうだろうねー」
タイプCとかCシリーズとか言われている地母姉妹の中でも個性が【アイドル】しかない個体も居た
縁側で座って喋っている2人もそんな個体だった
彼女達は他の姉妹みたいに忙しく働くこと無くごくごく普通に、幻想郷内にて暮らしていた
「アメちゃんが静岡で鳳翔ちゃんと、日程ちゃんが東京で加賀さんと雄英目指して暮らしているんだよね」
「で、ドイちゃんがヴィランサイドだもんね。どこにいるのかわからないよねー」
「どこにいるんだろうね」
「イギちゃんは自転車で日本一周旅行するってどこかに行っちゃったし、フラちゃんはステインの思想に感化されて探しに出掛けたし、ロシちゃんは極道の下で働きたいとかでヤクザと盃を交わして住み込みで働いてるし……なんか凄いよね」
「行動力の塊だよね彼女達……私達はここから出る勇気が無いけどなぁ」
「おねぇちゃーん達!」
「お、ピカ様のお出ましだ」
とことことちっこい黄色い耳付きフードを被った女の子が走ってきた
「たぎー!」
「はいはい、ピカ様今日は私達に何かご用で?」
「右京姉ちゃんと左京姉ちゃんなら縁側で将棋やってると思って! ……ケチャップを所望する!」
「ピカー! 待ってよー」
「あ、トゲだ」
「トゲ様も来たか」
ピカ様、トゲ様と呼ばれたのは内藤綺麗の子供達であり、ピカチュウとトゲピーを擬人化したような姿の10歳くらいの少女達であった
Pプロ曰く
「個性が成長してロリアイドル作れるようになったから試してみたわ! どうよ」
とのこと
綺麗の子供ということもあり、様付けで皆から可愛がられていた
「今日はどうしたのですか?」
「ん、今日の個性訓練が終わったから遊びに来たの」
「私も~」
「そうだったのですね。ピカ様、トゲ様、はいケチャップたっぷりオムライスですよ」
「「おお! ありがとう右京左京姉ちゃん!」」
「雅緋さんの子供とはどうですか?」
「ん? 風魔ちゃんと加藤ちゃんとは仲良いよ? でも何でも2人は苗字が違うんだろう?」
「確か蛇島の苗字が雅緋様が嫌いだからだそうですね。子供には蛇島は継がせないって言っていたような?」
「そうなんだ」
「あぁ、ピカ様、ケチャップが口に付いてますよ」
「えへへ」
「出久君、勉強も頑張ろうね!」
「地母さん! わかってるよ」
「あー、また地母って言ってる。アメで良いのに」
「……アメさん」
「まあ良し」
今日は出久君の部屋でお勉強会をしていた
部屋の至る所にヒーローグッズ……特にオールマイト関連のグッズがところ狭しと並んでいた
ちなみにだが出久君のお母さんの緑谷引子さんは
「出久がガールフレンドを!? しかも超美人じゃない!」
と最初の頃は大層驚いていたが、数回も通うと慣れて、普通にお喋りする仲になっていた
「アメさんってめちゃくちゃ頭が良いよね。何かコツとかあるの?」
「うーん、一回見たり書いたりしたら覚えられるんだよね……個性関係無く」
「地頭が凄く良いんだね……でもアメさんが教えてくれることは凄くわかりやすいし」
「それなら良かった。私の姉妹とかも皆頭良くてこうやって教え合うってのがなかなか無かったからね」
「へぇ凄いね。あれ? アメさんって一人っ子じゃなかったんだ」
「姉妹は沢山いるよ。訳あって私は別で暮らしているけど……たまに連絡は取っているし……地母日程ていう妹も今東京に居るけど、一緒に雄英に合格しようって連絡してるんだ」
「へぇー……複雑な家庭なんだね」
「まーね、出久君も雄英に行くでしょ? 一緒に雄英合格しようぜ」
「う、うん! ……でも無個性でもヒーローになれるかな?」
「なれるさ! ヒーローは肩書きじゃない。心だよ! 誰だって誰かのヒーローになれる。それが多いか少ないかの違いでしかないし……ヒーローだけに頼る世界はあまり好きじゃないんどよね」
「アメさんどういうこと?」
「私はヒーローを目指しているけど、本当なら全員がヒーローのように助け合いをする世の中こそが正しいって思うんだよね。まぁ無理な理想だけど」
「……でも素敵だと思うよ」
「わかってくれる出久君」
「でも僕はそれでもヒーローになりたい。困っている人を助けられるような……オールマイトみたいなカッコいいヒーローに」
「それなら頑張らないとね」
「うん」
東北のとある農村
そこで今まさに私刑が行われていた
「痛いよー! 痛いよぉー!」
「悪魔め! お前のがやって来てから疫病やら天災で村がガタガタだ! おまけに親まで殺すとは悪魔としか言えないね!」
「そうだそうだ!」
「余所者には死を!」
私刑にされていたのは数年前に都会から引っ越してきた女性だった
最初は村人も受け入れようとしていたが、彼女の一家に関わった者が次々に不審な出来事に巻き込まれるようになり、更に一家が引っ越してから天災が続き、日に日に村人達は引っ越してきた一家を差別するようになっていた
そしてつい先日女性の両親が不審死したことにより不満が爆発し、今まさに集団にてリンチが行われていた
「ぐふ、い、いだぃよ。や、やめで」
「まだ生きてやがる……気味が悪い」
「もういい! 燃やしちまえ!」
女性は油をかけられ、今まさに松明が投げ込まれようとした時
パン
ドチャ
乾いた破裂音が響きわたった
「いやぁ間に合った。ここに悪魔の女が居ると聞いたんだけど彼女で合っているかな」
「ひ、ヒィィ人殺し」
「いやいや、君達も今この子を殺そうとしていたじゃん」
「あの子は呪われた子だ! 我々とは違う」
「違わないだろ? 何? だから殺していいと?」
「ひ、ヒーローを呼ばないと……きゃぁ」
「おっとっと電話は勘弁な」
黒い布地に赤い逆卍の絵柄が入った覆面を付けた……地母ドイが喋る
「いやいや、私は殺しに来たんじゃなくて彼女をスカウトしに来たんだ……波旬マキマ君をスカウトしに来た」
「え?」
「良い個性だよ。【悪魔】だっけ? 個性のコントロールができていないからこうなる。君は未熟だから両親は死んだし、村人に殺されかけている……君は2つの選択肢がある」
「ここで村人に殺されるか私の手を取るか……5秒で決めて」
カウントダウンを始める
彼女は迷わずドイの手を掴んだ
「契約する。代わりにこの場に居る者を殺せ」
「契約成立だ」
村人達の体が弾け飛ぶ
ガガガガガと連続した銃の発射音ドイから響き渡る
「くそ! 行きなり現れてなんだあの女は!」
一部の体を硬化させたりする個性の人が生き残ったが、死屍累々である
「おっと、じゃあ君たちはこれだ」
ぼぉっと炎が吹き出される
「「「ぎやぁぁぉぁ」」」
個性の鍛練をしていない一般人であれば銃か火炎放射のどちらかで死ぬ
「まぁトドメもするけどね。黒霧」
「なんでしょう地母ドイ」
「この村消すからマキマを基地に運んで」
いそいそとガスマスクを着用し始めるドイに察した黒霧はマキマを転送して自身も逃げる
ドイの全身から高濃度のガスが溢れだし、家にいた住民達達も窪地ということで空気が溜まり、バタバタと死んでいく
「あーあ、もったいねぇ。あ、でも脳無の素材になるか? 黒霧に後で回収してもらおうっと」
「ねぇ地母さんってなんで緑谷君と付き合ってるの?」
「謎だよね~、緑谷君ってなよっとしたオタク君なのにどこに引かれたのかな?」
学校にて出久君と付き合っていることが広まり、色々な噂が流れていた
地母アメは高身長のスタイル抜群Gカップの爆乳美人系女子であり、地味顔で勉強だけできるオタッキーの緑谷とは釣り合わないと皆思っていた
なので
「緑谷よりも俺と付き合わね?」
「俺と付き合おうぜ地母~」
という男がわらわら湧いてくる
「うーん、なんで緑谷君か? ……彼と居ると居心地が良いしなんかやってくれる大物感がない?」
「ねーよ! 無個性の緑谷だぞ! ヴィランでもヒーローでも大物になるのは強い個性を持った奴だよ」
「緑谷はヴィランになることは絶対に無いけどヒーローも無理だろ」
「勝己とかどうよ」
「え? 誰?」
「ああ、爆豪だよ! 爆豪勝己」
「爆豪君? ないないない。私とたぶん相性最悪だよ」
「え? マジか? アイツも本気でヒーロー目指してるが?」
「ヒーロー目指していても精神がダメすぎだもん」
「精神?」
「おい、誰の精神がダメだって」
「うわ、爆豪聞いてたのかよ」
「ああん! おい、デカ女、俺を怒らせるとはいい度胸だなてめぇ」
「そういうところでしょ。戦闘能力の高い個性だし、要領も良さそうだから挫折知らずで今まで来てたでしょ。俺はなんでもできるって天狗になってるって話だよ。見ものだねぇ挫折を経験した時が」
「あぁん! 喧嘩うってるのか!」
「でも正しい挫折を乗り越えたら良いヒーローにはなれるかな? うーん、そうだねぇ。決めた。私は君の壁になろうじゃないか」
「壁だぁ?」
「そう壁。出久君は鍛える、爆豪君には壁になる」
「はん! デカ女、俺にテストで挑もうってか?」
「お、おい、無茶だって地母、爆豪は小学校の頃から神童って言われてるくらいの才能マンだぞ」
「へぇ、良いじゃん。じゃあ今度の期末テスト勝負ね」
「望むところだカス! コテンパンにしてやるよ」
期末テスト後
「おいおいマジか」
「地母やベー」
「爆豪もスゲーけど地母おかしいだろ」
「全教科満点とかマジかよ」
「というか緑谷もやっぱり勉強はできるんだな学年3位だし」
「うわぁ、爆豪の奴殺気だっててやべぇ」
「くそがぁぁぁぁ!!」
出久の家にて
「「乾杯!」」
「出久君良かったじゃん平均95点でしょ?」
「アメさんのおかげだよ。まさか2教科でかっちゃんに勝てるなんて」
「偉いぞ出久君、この調子で雄英ヒーロー科に合格できる学力を身に付けるぞー!」
「お、おー!」
すると扉が開き、引子さんが入ってくる
「いや、良く頑張ったね地母さんも出久も。地母さんうちの子を見てくれてありがとうね」
「いえいえ引子さん、こっちも教え合うことで勉強になりますし」
「本当に出久と付き合ってくれてありがとうね。出久も地母さんに愛想を尽かされることはするんじゃないよ」
「そ、そんなことしないよ母さん」
「夏休みにそろそろ入るけど2人はどこか行ったりはするの?」
「プール行ったりとか映画見たいのあるのでデートしたり、修行したりですかね。任せてください出久君を個性が無くても一緒の高校でヒーロー目指しますから!」
「……そうね。ありがとうね地母さん」
「あ、母さん、何日かアメさんの家に泊まることもあると思うんだ。先に言っておくわ」
「あら、じゃあ鳳翔さんにも連絡しておかないと。地母さんうちの子をよろしくね」
「はい! ビシバシ鍛えますからね!」
「地母の奴に負けたぁぁぁ! それどころかデクにも2教科負けたぁぁぁ」
「勝己うるさい! 近所迷惑だから叫ぶんじゃないよ!」
「うっせえ! ババア!」
「あんた女の子に勝負挑んで負けたんだって? ダッサ」
「ああん! 喧嘩うってるのかババア!」
「叫んでも結果は覆らないだろ! バカか。負けたんだったら次は勝つ努力をしやがれ!」
「うっせぇ! 言われなくてもするわ!」
地母は爆豪勝己の壁として3年間立ち塞がり、爆豪は反骨精神と勝利への欲望から努力を更に積むようになる
個性の強化トレーニングも裏山でこっそり行い、毎日ボロボロになって帰ってきては勉強をすると言う言動に反して優等生的な行動と努力を積み重ねるのだった