『であるからして、雄英に通うからには……』
俺の名前は心操人使……ヒーロー科の試験に落ちたが、普通科に受かった生徒である
ヒーロー科の1-Aの連中の席は空席だ
同じヒーロー科のB組は普通に入学式に出ているだけに異質さが目立つ
……しっかし校長の話なげーな、かれこれ20分は喋り続けてるぞ
すると後ろからバンっと扉が開く音がした
皆扉の方を向くと金髪でスタイル抜群の女子が入ってきた
カツカツと皆が注目するなか、A組の席に座った
「あー、お気になさらず」
(((いや、気になるが)))
俺は見たことがある
確か同じ入試試験で空を飛びながら仮想ヴィランを爆撃していた女子だ
A組の席に座ったということはヒーロー科に受かったということだろう
しかし他の連中は一向に来ないな
彼女だけが浮いたまま式は進み
『それじゃあ地母アメさん、新入生の挨拶をお願いするのさ!』
校長先生に言われて地母アメさんが立ち上がり壇上に上がる
あー、なるほどそういうことか
他のA組連中は知らないが地母って奴は入試の挨拶があるからここに来た感じか
マイクを握りまっすぐ前を向く姿は実にヒーローらしくて格好いい
何を言うのか皆ドキドキしていると
『えー、A組だった地母です。除籍処分を受けましてヒーロー科から落とされました。なので普通科に編入します……確かに入学式の挨拶主席だったらしいから考えてきましたよ! でも除籍処分で全部ぶっ飛んだ! ということで普通科の皆よろしくねー』
ざわざわとざわつき始める
え? 入学式前にヒーロー科の主席を除籍処分ってなにやらかしたんだ?
『ちなみにA組の皆はグラウンドに行きました。何をやるかは知りません。アハハ!』
オイオイオイどうなってやがるんだヒーロー科は?
というか普通科にはヒーロー科の試験に落ちて普通科に居る連中も多い、そういう奴らは体育祭にてヒーロー科への編入を目指して頑張るのだが……巨大仮想ヴィランを破壊した彼女が除籍されると聞いて顔を真っ青にしている
俺もそうだ
そしてB組の連中もドン引きしながら
「え? そんなに早くヒーローのレールから落とされるのか雄英って」
「先輩方に1クラス除籍処分された噂って本当だったのかよ」
「成績悪ければ落とされるのかヒーロー科!」
「やばい、やばい、やばいって」
と動揺を隠せずにいた
なお本人は壇上にてアハハと笑い続けて、一頻り笑うと
『まあでもリスタートだよ。1度除籍された? それがなんだ! 普通科もサポート科も経営科もヒーロー科上がれるチャンスはある! 宣言しよう! 覚えてろよヒーロー科! 地べたを這いつくばって泥水を啜ろうと戻ってやるからな……歴史に名を残してやるからな……』
そう締め括って入学式は終わった
クラスに戻ると地母アメが居た
「うーす! C組の皆よろしく!」
「「「いやいや、まてまてまてまて」」」
クラスの皆は突っ込み始める
「何やらかしたのさ! ヒーロー科の主席でしょうに」
「いやー、担任がいきなりグラウンドに体操服に着替えて早急に行けって言ったから雄英の女子更衣室遠いじゃん。だからその場で着替えたら除籍くらったわアハハ!」
「痴女じゃねーか!」
「いやー、なんか時間にめちゃくちゃ厳しそうな先生だったから一分一秒でも早い方が良いと思ったんだけどね」
「くそ、A組男子が羨ましい」
「地母のボディやばすぎるだろ、発育の暴力だろ」
「間近で見るとおっぱいでけー!」
「ブラのサイズ何カップよ」
「Hカップ!」
「「「うわぁぁぁ!」」」
「男子サイテー」
「答える地母も地母だわ」
「でもこんな明るくてムードメーカーみたいなのを初っぱなから除籍とかクレイジーでしょA組の担任」
「まー、何か先生の地雷踏んだのかもしれないね。まぁとりあえず体育祭で活躍して戻るつもりかんでね。よろしく」
「短い間ってか!」
「地母、お前の分ヒーロー科の枠が空いたってことだよな」
「繰り上がりで俺達にもチャンスがあるってことだぜ! なぁ皆!」
「そうだそうだ!」
「私がA組に上がるぞ」
「俺があがる!」
俺こと心操はクラスの様子を見ていて地母のクラスへの溶け込み方がスゲーと思った
本人はネタにしているが、いきなりヒーロー科を除籍されたら普通なら落ち込むし、場合によっては親を巻き込んで学校を訴えかねないのに、彼女は明るく、出汁に使ってクラスの皆の向上心を煽る煽る
「勉強にも自信があるから勉強教えるし、ヒーロー科じゃなくても雄英敷地内なら先生から許可を取れば個性訓練できるから体育祭で活躍してヒーローになろうぜ!」
「「「おぉ!!」」」
あっという間にクラスを掌握して体育祭に目標を決めやがった
こういう奴がヒーローになるタイプなのにA組の担任は見る目無いんじゃないかと俺は心底思うのだった……
一方A組は地母が除籍されたことで空気とテンションが最悪になっていた
個性把握テストも最下位は除籍なと言われ皆死に物狂いで頑張る
妨害等はヒーローのタマゴとしてやらないが、緑谷が個性を隠していたことに爆豪がブチギレて、相澤が止めに入ったりといったシーンがあったが、個性把握テストは進んでいく
原作では緑谷が個性に苦しみ最下位であったのに対して地母に鍛えられ、体液を摂取し続け、超人の細胞を取り込んだことでワン・フォー・オールの限界値を引き上げ、それに見合う体を作っていたことで全ての科目で超人的な記録を次々にだしていく
50メートル走で飯田に勝ち
握力で1tを出し
立ち幅跳びで10メートルを優に飛び越え
反復横飛びで峰田に匹敵し
ボール投げは爆豪に匹敵
持久走ではぶっちぎり、上体お越しと長座体前屈も葉隠に及ばないものの素晴らしい記録を出した
というか葉隠は体操服を脱いで反復横飛びで服を左右に振ることで回数をごまかしたり、長座体前屈も計測器を持ってテコテコと歩いて距離稼いだのは……アリなのか?
そんなこんなで皆の記録が発表された後
「今回のテストでの除籍は嘘な」
「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「え? じゃあ地母さんも」
「あ、あっちは本当な」
「「「本当なのかよ!」」」
「地母の奴の悪かった点は自分を疎かにしたこと。公然猥褻もあるが、ヒーローはどこで誰が見ているかわからない職業だ。それが変なことをしてみろ、一生ネットの晒し者になるぞ」
「しかし、いきなり除籍だなんておかしいと思われます! 叱るや注意が正しいのではないのでしょうか」
「飯田、よく覚えておけ、合理的な行動を心がけるのはヒーローとして大切だが、常軌を逸した物は合理的じゃない。狂気だ。同じ中学の緑谷、爆豪、地母の奴はいつもそうだったか?」
「しらねぇ」
「昔は酷かったので注意したことはありました。最近は直っていたのですが……」
「だろうな。あれは初犯って感じゃねえからな。強いショックを与える必要があった。これも俺なりの教育だ。まぁチャンスは与えるつもりだ。チャンスを掴めば戻ってくるはずだよ」
放課後職員室に行くと相澤先生が私に編入届けを渡してきた
「ほら地母、これにサインしろ」
「いやぁ酷い先生も居たものですよ。初っぱなから除籍だなんて……で、A組の面々は引き締まりましたか?」
「なんだ? お前反省してないのか?」
「いえ、反省はしていますよ。確かにヒーローを目指す者として自身の裸体を他人に晒すのは人として終わってましたね。反省、反省……でもノーチャンスって訳でも無いでしょ? 相澤先生」
「……お前を除籍にした理由は2つ、1つに俺は自らを軽んじるヒーローは好きじゃねぇ。どんなに泥臭くても生きているヒーローこそ本物だ。世間じゃ殉職したヒーローを持ち上げる風潮があるが、俺は大嫌いだ。お前はその気質を感じた。自分がどうなっても良い様な……感じがする。それが行動として出たと思ってる」
「もう1つ……お前はどこを見ている? 言いにくいがお前の目はヴィランの目だ。狂気を孕んでる」
「狂気ですか?」
「笑顔の仮面の下にお前は何を隠してやがる? なぁ地母……恨みか? 憎しみか? ヒーローをやる奴の目じゃねーんだよ。教師とヒーローをやっているといろんな人を見てきたからな。何か腹に一物抱えているのはわかる」
「恨み? 憎しみ? そんなものありませんよ。私はただヒーローの居ない世界にしたいのです。皆がヒーローのように助け合うそんな世の中にしたいのです。そうするためには私が実践する必要がある。まぁ結局ヒーローに今はなるのが最短だと思ったわけですが」
「嘘つき……いや、全部が全部嘘じゃねぇがその黄色い星の中にあるどす黒い感情が隠しきれてねーぞ……雄英体育祭で実力を示せ、そうすれば職場体験までには復学させてやる。本物のヒーローを見てヒーローとは何か学び直せるよう一回お前を落とす。良いな」
「優しいですね。相澤先生は」
「スパルタだよ俺は」
「合ってるよ……相澤先生……私は……私達はどう頑張っても本質はヴィランだよ。生まれからして違う……人じゃないもの……化物だもの」
学校の最上階からノートに地図を描いていく
「ふぅ、できた」
ノートを個性で複製し、家に帰りながら電話をする
「黒霧さん、学校の地図を渡したいから○○駅で待ち合わせで」
私は私達の目的の為に動く