多忙により不定期になってますが、楽しんでいただけたら幸いです。
「ねぇねぇ?構ってよ~」
ゆるっとした甘い声に男がPCから目線を上げると、ソファに寝転がった女性が手をぷらぷらと振っていた。夕方から始めて先程まで彼も聞いていた配信が終わった後に、タクシーで直ぐに家に来たため、勝手知ったる様子でシャワーを浴びにいったのだが、出てきたと思ったらなぜか彼のシャツを着ていた。ボタンがだいぶ開いており、うつ伏せて肘を立てた体勢の隙間から下着を着けていない柔らかそうな胸元が大胆に見えている。本能的にそこに吸い込まれそうな意識をなんとか抑えた。
「おかゆさんごめん、まだ仕事が終わらなくて」
「え~?ボク、ずーっと待ってるのに~」
申し訳なさそうな男に対して、頬をぷくっと膨らませて不満を訴える『猫又おかゆ』。尤も、元々彼が仕事をしていることを知っていて部屋に押し掛けたのは彼女なので、こうなることは分かっていたのだが。
「あとどれくらい?」
「順調にいけば2時間もかからない……かな?」
答えながらも既に視線はPCに戻っている。よほど忙しいのだろう。
「む~」
自分が如何に男を誘った格好をしているか、自覚した上で甘えていたのに乗ってこなかった男に対して、さらに不満げなおかゆ。普段なら仕事をしている彼に対してこういうことはしない彼女が、あからさまになっている時はつまりそういう気分な時である。極上というべき彼女の肉体を味わってしまったら止まれるはずがない。というか、彼女も受け入れてますます盛りあがること請け合いである。彼もそれが分かっているから自制したのだ。
「……まあ、こういうドキドキも嫌いじゃないけどさ~」
おにぎりゃー達とのやり取りももちろん面白いが、自分が独り占めし、そして自分を独り占め出来る存在とのヤキモキするやりとりはもっと面白い。おかゆが男と付き合い始めてから知ったこの気持ちは、いつになっても収まることはない。とはいえ、今日に限っては少々タイミングが悪すぎた。
「久しぶりに会うと、思ったよりくるね……」
おかゆが休みの時に彼が仕事に追われていることが多く、男が休みの時にはおかゆが忙しかったり、つい最近だと実家に帰ったりもしていたので、しばらく会うことも儘ならなかったのだ。もちろん連絡自体はとっており、何ならおかゆは彼に対して少々過激な写真なんかも送ったりもした。無論、彼がおかゆ以外に目を向ける様なことがないようにという独占欲から来たものだ。
そして今、無理を言った自覚はあるものの、ようやく彼の元に押し掛けることが出来たわけで、部屋中から彼の気配や匂いを感じた彼女は自分でも予想外に興奮していた。
「いやー、我慢しなきゃとは思うんだけどさ~」
自身でもMだと言うくらいには被虐気質は強いとおかゆは思っていたが、その彼女が想像していたよりも、空いていた期間が彼女に与えた影響が大きかったらしい。普段よりもお預けされている感覚が強く、興奮が止まらなくなってしまっていた。来る前の意思は何処へやら。
「ムズムズする……」
自室で1人なら迷わず自慰に耽っていたかもしれない。いっそ彼に見せつけて彼を誘っても良かったかもしれない。そのくらいには発情していることをおかゆは自覚していた。それでも、彼の邪魔をして嫌われたくないという思いからなんとか堪えていた。
「こういうとき、ころさんなら突撃しちゃうんだろうなあ……」
自分の胸をつつきながら同期の犬娘を思い出して1人苦笑するおかゆ。その勇気が少し羨ましかった。
「……ん?」
1人悶々としていたところ、ふと視線を感じておかゆは彼を見た。
「……」
「……ふふ~」
どうやら、彼の方もかなりキているらしい。
いつも仕事しているときはかなりの集中力を保っている彼が、時折自分を見ていると気付いたおかゆは、口角が上がることを抑えられなかった。
「ん~、そうだ」
にんまりと笑うおかゆを見て、気付かれたことを悟った彼が慌てて視線をPCへ戻した事を確認した彼女は、音を立てないようにそっと寝返りをうった。その際、こっそりシャツのボタンを全て外してお腹まで完全に見えるようにするのも忘れない。胸に引っ掛かるだけになったシャツの裾に今まで隠れていた臍と紫のショーツが見えるようになり、白い肌とのコントラストが美しい。
「……」
そのまま目を瞑り、待ちくたびれて寝たフリを始めた。暫くキーボードを叩く音とクリック音だけが聞こえていた。
「あれ、おかゆさん?……っ!?」
彼がおかゆを呼ぶ声が途中で止まった。どうやらあまりに音がしないので彼が様子を見たらしい。反応の良さにおかゆは思わず笑いそうになるのを堪えた。
「……」
ふと足音がしたと思ったら、そのまま近づいてきた。そのまま影がかかったのを感じておかゆが薄く目を開くと、彼が自分の上着を彼女に掛けようとしていた所だった。
「ごめんね、もう少しだから。それと……」
そこで少しだけ迷った様子だったが、彼は彼女の頭を優しく撫でて、
「いつもありがとう。愛してます」
と、呟いた。それを聞いた瞬間、
「ボクもだよ!」
と飛び起きておかゆは彼に抱き付いた。
「おかゆさん!?」
「んふふ~、やっと来てくれた~」
咄嗟に受け止めたはいいものの、そのままよろけて何とかソファに座り込んだ彼に股がる形で乗り上げたおかゆは、そのまま彼に深く口付けをした。
「……ふぅ。もう、遅すぎるよ」
「えっと……、起きてたのかい?」
「うん、チラチラ見られてたみたいだから、寝たフリしたらこっち来てくれないかなって思って」
「あ、やっぱり気付かれた……」
「可愛かったよ?」
おかゆにそう言われた彼は顔を赤くして俯いてしまったが、おかゆはそのまま笑うと彼の服を脱がしにかかった。
「ちょ、ちょっと!?まだ仕事終わってないんだけど!?」
「え~?こんな格好してる彼女がここまでしてるのに~?」
「いや、風邪引いたら困るから上着を掛けようとして……」
「ホントに~?普段ならそもそも集中切れたりしないのに、実はムラムラしてるんじゃないの~?」
「いやまあ、それはそうかもだけど……」
やはり、おかゆの思った通りだった。彼も否定しきれない様子にますます笑みを深くした。
「キリが良いところ?」
「ええ、まあ……。一旦止めても良いところまでは終わったんで、細部を詰めるだけ」
「なら、息抜きしよ?」
そう言うと、そのまま彼の胸元に強く吸い付いた。
「ボク、もう我慢できないもん」
「でも、その」
言い淀む彼を見上げるおかゆの視線は既に興奮で潤んでいる。
「なーに?」
「……僕も、止まらなくなりそうだから」
「そうなの~?」
「さっきからずっと煽られてたから……っ」
わざとらしく確認しながら、ズボンも脱がせた腰をグリグリと押し付けるおかゆ。押し当てられている彼自身を刺激されて、呻く様子でさらに動きが激しくなる。
「ねぇ?」
「……なに?」
「ボク、お仕事中の貴方を邪魔しちゃったよね?」
「別にそこまで邪魔というわけでは」
「……しちゃったよね?」
意味深に聞き返されたその意図を、彼は理解した。
「……そう、だね」
「お仕事、大事だよね?……んっ」
「……そうですね」
押し付けて動かし続けたことでずれた下着をそのままに、彼を自分に挿れてしまった。
「はぁ……、ふぅ……。なら、僕は悪いことしちゃってるよね……」
彼を受け入れたことで身体を震えさせながら、尚も言葉を続けるおかゆ。彼も快感に顔を歪ませながらそれを聞く。
「……だとしたら、どうします?」
「悪いこと、しちゃったら……っ」
おかゆは、腰を揺らしながら彼をまっすぐ見つめた。
「オシオキ、必要だよね?」
その言葉に自分で興奮してしまったのだろう、腰の動きが俄に激しくなった。既に言葉の端々から漏れる喘ぎが抑えきれていない。
「なら、どうしてほしいの?」
「……言わなきゃ、だめ?」
「うん、……オシオキ、なんだよね?」
彼も既に彼女が最も欲している事をわかっていた。だから、『自分で言わされている』この状況を楽しんでいるおかゆをさらに煽るように唆した。同時に、彼女の腰を押さえ込んで動けなくした。
「……っ!?……ボクが、誰の彼女、いや、ペットなのか」
「……ええ」
「……忘れないようにしっかりと、身体に躾けて下さい!」
「……!」
そう叫んだおかゆに対して、彼は一瞬で彼女を抱えると体勢を入れ替えてソファに寝かせると、彼女の豊かな乳房とその先端を強く掴んで律動を開始した。
「キタ……!もっと……!ああっ!!」
上と下から漸く与えられた快感に乱れながら、さらに求めるおかゆ。そのまま、2人はどんどんエスカレートしていった。
そのまま夜も更け、さらに汗だくになった身体を流すためにシャワーを再度浴びる間も片時も離れず、至るところでお互いを求めあった2人。本当に疲れ果てるまで止まることはなく、翌日の2人の身体には行為の痕が所構わず付いていたのだが、それを見てさらに興奮してしまい、朝から再び矯声が響くことになることとなった。
そして、あまり我慢すると不味いので、もう少し発散する頻度を上げるようにしようと、終わった後にお互い決めることになるのだが、それはそれとしておかゆが彼のオシオキにハマってしまい、度々わざとらしく彼を煽るようになってしまったことに頭を抱えることになるのは、恐らく誰も予想してなかったことだろう。