2024年最初の投稿になります。
今年も拙作をよろしくお願いします。
「明けましておめでとうございまーす」
「おめでとうございます」
初詣ににぎわう神社の入口で、頭を下げあう一組の男女。
男の方は普通の私服なのに対して、少し独特な発音で挨拶をした女の方は天女のような格好である。羽衣のような布が背後でふわふわと浮いているが、どういう仕組みなのか。
「おうちから遠いのに来てくれてありがとね?」
「イベントとはいえ、ころねさんが巫女さんしてる神社なんてご利益ありそうですから」
ホロライブゲーマーズに所属する『戌神ころね』は、ホロライブがとある神社とコラボした初詣イベントの巫女役として、0期の電脳神社の巫女と一緒に受付をしていたのだった。
「お仕事の方は大変ですか?」
「そうだね~。慣れない事ばかりだし、やっぱ対面するってなると大勢来るよねぇ。みこみこはババッて動けてて凄いよ、こぉねは疲れたもん」
「おうち帰ったら身体ケアしましょうか?」
「うれしー!なら、もう少し頑張ってくるなー!」
おそらく本職の方が迎えに来たのだろう、少し視線を彼から外すと、彼の手をきゅっと握った。
「もう少し、待っててね?」
「……はい、いってらっしゃい」
耳元に顔を寄せて呟いた言葉に彼が頷くと、ころねは嬉しそうに笑って神社へと戻っていった。
「おまたせー!」
「お疲れ様でした」
神社から少し離れた駐車場。
運良く止められた場所で待っていたら、助手席にころねがやってきた。
「その格好のまま、朝も来たんですか?」
「そうだよー?配信でも使ってるの観たことあるでしょ?」
「寒かったでしょう?大丈夫でしたか?」
「事務所から車だったからそうでもないよ?流石に降りたときはヤバかったけど。あ、帰りは貴方がいるってマネちゃんには言ってあるから平気だでな」
天女装備のまま乗ってきた彼女に、買っておいた温かいほうじ茶を出しながら、車を発進させる彼。
「おせち?」
「縁起物として少し用意しましたけど、本命はころねさんの好きなしゃぶしゃぶです。年始からお仕事と聞いていたので、精をつけていただこうかと思って、少し良いお肉を用意しました」
「わーお!ありがとね?」
手を叩いて喜ぶころねを見て、彼は微笑むと安全運転で家へと向かった。
「あー!美味しかった!ごちそうさまでした!」
「お粗末様でした」
お腹をポンポンと叩いて伸びているころね。
彼女が想像していた物よりもはるかにグレードの高いお肉が出てきた時には、ホントに良いのか?と少し引いていたが、食べだしたら止まらない。気づけばきっちり食べきっていた。
「かなり良い物だったよねえ?いつ買ったの?」
「実家からの貰い物ですよ。ころねさんにもよろしくとの事で」
「あー!なるほどねー」
彼の実家が精肉店であること。そして、彼の母親と店を継ぐ予定の姉がかなり初期からのころねすきー故に彼女に非常に甘いことを思い出して、ころねは頷いた。
「なら、今度また挨拶にいかないとねー」
「ありがとうございます。母も姉も喜びます」
「むしろ、こっちが感謝だよ」
片付けも二人で協力すればあっという間。満腹でご満悦な様子のころねは、彼の膝を枕にソファに寝転んでいた。すでに着替えており、部屋着衣装として配信でも使われている黒い服装になっている。
「しばらく配信が出来ないんよなー」
「イベントが続くと言ってましたね」
「そうなんよー。でも、明日は休みだでな!3日はスタジオで収録だから、朝からまた動かないといけないんだけど」
彼の腰に抱きついて顔を埋めるころね。犬の獣人故に匂いに敏感な彼女だが、彼の匂いは大変気に入っており、甘えるときには大抵この行為を行っている。
「貴方もごめんね?全然年末年始に休めてないよね?」
「ころねさんほどではないですよ」
そう言いながらも、彼女の肩を優しく揉んでいる彼。
やはり疲労が溜まっていたのだろう、彼女の口から思わず声が漏れた。
「んっ……」
「随分お疲れみたいですね」
「同じ姿勢で、あっ、いたた……。固まってたから、凝ったかもしれん、いっ……!」
剥き出しの腕にも優しく圧をかけると、痛みと快感が同時に襲いかかってくる。
「配信者は元々体勢が同じになりがちですからね……。こまめに解してないと」
「本職に言われると、怖いねぇ……っ!」
彼は民間資格をきちんと持った整体師であり、それ故に肉体に関する言葉には重みがある。
「明日、お休みって言ってましたよね。なら、今日は少し本格的にやりましょうか。いざ、身体を動かす仕事になったらこのままだと怪我しそうですし……」
「んんっ!お、お願いします……ううう!!?」
時折奇声を漏らしつつ、ころねは彼に身を任せるのだった。
「……はい、お疲れ様でした」
「……ぐぇぇ」
ソファを横に倒してベッドに変えた上に寝転んだころねは、いろんな意味でグロッキーだった。
「随分、凝り固まってましたね……」
「やられて初めて気付いたのも多かった……」
頭のてっぺんから爪先に至るまで、文字通り全身を解されたころね。彼が本格的にと言った時は、それこそ普段のきちんとお金をとって行う施術並かそれ以上になる。自覚していなかった疲れや凝り固まりまで全部解された。
「さっきシャワー浴びたのに……」
「途中途中で差し出したお水も飲みきってましたからね」
全身から吹き出た汗でシャツもべたついていた。
「もう一度浴びてくる」
「洗濯機にそのまま投げておいてください」
「はーい」
脱力した身体を何とか起こし、よろよろと歩くころね。それを見送った彼は、ソファ周りの掃除を始めるのだった。
「ねーねー」
すると、お風呂と繋がる給湯器の制御パネルからころねの声がした。
「どうしました?」
「力入らん……、一緒にきて?」
「あー、少し待てますか?」
「うん、大丈夫」
彼は急いで掃除を終えると、脱衣所へ。
「ごめんねぇ?」
「いえ、折角癒したのに怪我されたらそれこそ大変ですから」
湯船に入る前にペタンと座り込む彼女。
「頑張ってくれたし、背中流してあげるよ。一緒に入ろ?」
「大丈夫ですか?むしろ、僕の方がしてあげるべきかと」
「ならお互いに洗いっこしよ?」
ということで、彼もお風呂へ。
「痒いところはありませんかー?」
「ええ、問題ないですよ」
先にころねをさっぱりさせてから、彼女がごしごしと彼を洗う。背中とは言ったが、頭もきっちり洗っていた。
「んしょ、んしょ……」
身体を使う仕事柄、彼の肉体はかなりがっしりとしている。
「こぉねもボクシングとかレッスンで身体鍛えてるけど、こんなに筋肉つかないなあ」
「かなり体幹はしっかりしてらっしゃるので、そこは流石だと思いますよ?」
「でもでも!やっぱり男の筋肉!って感じで憧れるよ……、はい!おしまい!」
身体をザバーッと流して、男を先に湯船へ入れると、その上にすっと座るころね。
「ぎゅっとして?」
「はい、こうですか?」
彼の腕が自身を包むように閉じると、ころねは嬉しそうに頷いた。
「ふぅ~……。あったかいねぇ」
「えぇ」
彼が見ようとすれば、白くほっそりとした首元、そこから更に盛り上がる豊かな胸元まで見えるのだが、ころねがリラックスしている所を邪魔しまいと、目を閉じていた。
「今日は、ありがとうね?」
「何がです?」
ころねが突然お礼を言ったので、彼は首をかしげた。
「こぉねのイベントに付き合って、美味しいごはんも作ってくれて、マッサージまでしてくれて、幸せだなって思って」
「ころねさんが楽しそうにしてるお手伝いが出来るなら御安いご用ですよ。僕は、それを見られて幸せですから」
「ほんと?」
「もちろんです」
男の返事にころねはにっこりと笑った。
「でもね、こぉねはちゃんとお礼したいなって」
「お礼?」
「うん。だから、みこみこに相談したの。彼にしてあげられることないかなーって」
ころねは器用に湯船の中で身体を入れ替えると、彼に向き合った。
「そしたらね、『男女の仲には、絶対にヤらないといけないことがあるにぇ!』って言うから聞いたの。そしたら、『姫始め』って教えてくれてね?」
「ブッ!」
彼は吹き出す直前に顔を逸らした。
「ころねさん?それ、意味わかってます?」
「その時初めて聞いたから、ちゃんと聞いたよ?そしたら、新年迎えて初めてヤることだって」
「分かってるんですね……」
「みこみこも、『帰ったらするんだー!』って気合いれてたよ?」
「ま、まあ……」
以前から話には聞いていたので、巫女の性事情に関しては聞き流すことにした。
「明日お休みでしょ?」
「え、えぇ……」
にじり寄るころねから離れようとしたが、湯船はそんなに広くない。そもそも彼女の肢体を正面から見てしまったために、彼の方も大変なことになっているので、迂闊には動けなかった。その間にも彼女は彼に跨がる形で密着してきた。
「こぉねも明後日スタジオで収録とイベント後の配信するけど、この後から明日まで休みだよ?」
「そ、そうでしたね」
元々そういう話題に強い方ではないからか、彼女の方も顔が赤くなっている。
「だからって、別に無理することないですよ?」
「む、無理じゃないもん。貴方とするのは、その、気持ちいいし……」
自分の身体の下で、彼がどうなっているのか分かってしまったのだろう。ころねは、乗り上げた身体をある位置でゆっくり動かし始めた。
「ぁん……。こんなに、しちゃってるのに、シたくないの?」
「そ、それは……」
時折、彼女の配信で色っぽい声が出ると、後にその部分が切り抜かれる事が多々あるが、それはつまり、それだけリスナーのそういうところを刺激しているということでもある。それをたった一人で受け止めた男がどうなるかなんて、言うまでもないだろう。
「せ、せめて、お風呂出ませんか?このままだとのぼせちゃう……」
「んぅ……、んっ!」
彼の制止も虚しく、ころねは彼を受け入れてしまった。
「お、おっきぃ……」
すっかり興奮して涙目になりながら彼を見上げるころね。
「こ、ころねさん……!落ち着いて……!」
「……うんっ、でも、きもちよくて、こし、とまんなぃ……!」
呂律も若干怪しいままに、そのまま彼を求め始めてしまった。
彼も制止が無理と悟ったのか、ころねを抱き締めると彼女に合わせて動くようになり、それ以降、最早ころねの口からは意味のある言葉は出てこなかった。
「ご、ごめんね……?」
「い、いえ。大丈夫ですから……」
そのまま一戦こなしたあと、彼がのぼせかけたので、慌ててお風呂を出た2人。
なんとか身体を拭き、そのまま彼がベッドへダイブしたところで、タオルだけ身体に巻いてしょんぼりしたころねが彼に謝罪した。
「お水、ありがとうございます」
ころねが持ってきた水を飲んでいる間も、彼女は俯いたまま。
「ころねさん」
「…………」
「……ころねさんは、僕が満足したと思ってますか?」
「……えっ?」
彼の言葉に、ビックリしたように顔をあげるころね。
「たしかに、さっきはいきなりだったし、場所が場所でしたが……」
言いながら彼は立ち上がると、
「ころねさんが積極的に来てくれるなら、もっとシたいに決まってますよね?」
すっかり起き上がっている自らを彼女に見せつけた。
「……おぉ」
言葉もなく、それを凝視するころね。
「ほら、ね?」
「……いいの?」
恐る恐る近寄るころねだが、無意識にタオルを既に外そうとしている。
「ここなら、思う存分出来ますから。明日休みって確認したのは、そのつもりだったからですよね?」
「……うん。いっぱいシたかったの。……ぁむ」
そのまま彼の足元に座り込むと、彼を頬張り始めるころね。彼はそれを見て彼女の頭を撫でた。
「なら、今からが『姫始め』本番ってことで。頑張りましょうね?」
「……(コクリ」
先ほど自分を貫いた快感を思い出して身体を震わせながら、まずは彼を味わうことに集中するころねだった。