まだまだ書いていくつもりですが、節目を迎えられたのは読者の皆さんのお陰です。
いつもありがとうございます。
今回も例によってキャラ崩壊、独自設定注意です。
とある会社が『ホロライブ』として世に名乗りをあげた時、その名を背負ってデビューしたのは親友と肩を組んだたった1人の少女であった。その後、紆余曲折を経て次々と後輩がデビューし、徐々に大きくなっていくグループにおいて、いつまでも変わらずに原点である偉大な先輩として、その名は語り継がれていくのは間違いないことだ。尤も、本人はそんな事を気にもせず、いつも朗らかに笑っているのだろうが。
「えーちゃん!」
「ん?どうしたのそら?」
事務所のオフィスで作業をしていた『友人A』は、声をかけてきた『ときのそら』に顔を向けた。
「えへへ、これから帰るところだから声かけたの」
「収録終わり?」
「うん!」
「よかったじゃない。私はこれから会議よ、会議」
手に持ったタブレットをポンポンと叩いてため息をつく友人A。
「邪魔しちゃった?」
「大丈夫、今は休憩だもの」
「ならよかった」
ほっとした様子のそらに笑う。
「その様子だと、これからデートかしら」
「わかる?」
「なんでもない日なのにしっかり予定空けてたの、マネちゃんも知ってたわよ。彼の休みかなって」
「あちゃー、バレてたかー」
「白々しいわね」
視線をわざとらしく逸らすそらの頭をポンと叩いた友人A。
「ま、問題にならない程度にね。リフレッシュしてきて頂戴」
「うん!えーちゃんも頑張って!」
そう言うと、そらは手を振って外へ出ていった。
「羨ましいわね……。私も、たまには思いっきり甘えようかしら」
それを見送って呟くと、友人Aも踵を返すのだった。
「えへへ、どう?」
「お似合いですよ、すっごく」
「ちょっと気合い入れすぎじゃないかなって」
「いえいえ、そんなこと言われたら、僕の方が釣り合い取れてるか不安なんですが」
「貴方は何着てても様になってるからいいの!」
そんなこんなで、デートである。
会社から待ち合わせ場所まで直行したそらは、予想通り先に着いていた彼に後ろから抱きつき、そのまま引っ張るようにして歩き出した。彼も、何だかんだ長い付き合いになる彼女の行動が読めていたのか、特に何を言うこともなくついていく。
「うーん」
「そんなに迷うなら、両方買いますか?」
「そうしちゃおっかな!店員さーん」
彼が比較的何でも着こなすタイプなため、そらはデートの度に彼を着せ替え人形にしてしまう。そして、その日のお気に入りを買うと、次のデートで着てくれるのを楽しみにしているのである。
「今日は豊作だった!」
「それはいいですけど、そろそろ入りきるか不安になってきましたよ」
「えっ!?そんなに?」
「ええ、古着に出したものも幾つかありますが、それでも買うペースの方が……」
「あちゃー、なら暫くは控えないと」
ちなみに、このやり取りも何度目かわからない。大体数回のデートを挟むと、そらの我慢が限界を迎えるので、それまでに彼は荷物の整理をしていたりする。
「……ちなみに、今日は私に何を買ったの?」
すでに夜も遅くである。人の気配が無くなった帰り道で、彼の腕に抱きついたそらは少し雰囲気の違う様子であった。
「えっと、赤の……」
「わっ、えっちだなあ……」
彼がスマホで何かの画像を見せると、そらは思わず呟いた。
「これを着て欲しいの?」
「……はい、そらさんの白い肌に似合うかなと」
「ふーん……。あれ、今日は私が責める番?」
「順番的にはそうだったはずですね」
「ふふふ、なら気合入れなくちゃ!」
目を輝かせて笑うそら。しかし、その雰囲気はアイドルのそれとはまた違った色気を纏っていた。
彼の家について、買ってきた衣服をしまうそら。
「うわ、ホントにパンパンだ」
「ええ、収納スペース無くなってますよね」
彼の言っていたことが本当だと分かり、アチャーという顔で詰め込んでいく。
「次のライブの招待チケット、渡しておくね?えーちゃんにも言ってあるから」
「今度、また差し入れ持っていきますとお伝えください」
「あ、それ私達にも頂戴!毎回評判いいんだよ?」
「分かりました。多めに仕込んでおきますね」
身内認定されていることには触れない2人。最早恒例なのだろう。
「そらともさん達には相変わらず応援されてるよね、私達」
「あれだけ惚気話を幸せそうにしている人をとやかくは言えないと思いますよ?当事者なので恥ずかしさが勝ちますが」
「素直に隠さないことは大事だよ。それも含めての私なんだから」
堂々と言い切るそら。
「さて、今日はどうしよっかなー」
「毎度思うんですけど、そらさんって思いきりが良いというか」
「えー?だって、新鮮で楽しいもん。それに、貴方の反応が可愛いから、ついしたくなっちゃうんだよ?」
ガチャガチャと引き出しを探るそらだが、中に入っているのは所謂大人の玩具と呼ばれる類いの物だ。
「みこちとかたくさん知ってるから、色々聞いてるけど、この世界って奥が深いんだねぇ」
「いやまあ、欲望という意味ではそうでしょうけど……」
「あと、前にちょっと見せた他の人の実例」
「あれは、その、だいぶやってませんでした?」
「でも気になって後でちょっと試したりしたよね」
「そらさんがあそこまで乱れてるのなかなか無かったと思います」
「ねー、後で撮ったの確認してビックリしちゃった」
自分でも思っていた以上に寛容だったそらは、それはもう様々な事を彼と試してきた。配信でのホロメンとの関わりからSっ気を指摘されていたこともあるが、実際そらも、どちらかと言えば彼を責める方が得意だったりする。彼からの反撃も勿論楽しんで受け入れる辺り、案外Mの気質と持ち合わせているのだろう。
なお、そらの勉強のためにたくさん聞き出された同僚の巫女は、そのあまりの貪欲さに少し恐ろしげな視線を向けたという。
「ふふっ、楽しみだね」
「そんな満面の笑みで……、いや、楽しみですけど、少し怖いです」
「だーいじょーぶ。愛してる貴方にだけしかしないもの。私の愛だよ?」
「それは疑ってないです。ただ、最近特に雰囲気とかが」
「経験豊富な人達に聞いて勉強したもん。上手くなってる?」
「だから怖いんですってば」
楽しげに笑うそらを見て、背筋に震えが走る彼。そんな様子を見てますます笑みが深くなる。
「明日はお休みだし、たくさん出来るね!」
「その、出来ればお手柔らかに……」
「だめだよ。だって、私が頑張ったら次の貴方も頑張ってくれるの知ってるんだから。でしょ?」
「……はい」
お目当てのものを見つけたのか、引き出しから色々出して立ち上がるそらは、彼に再び抱きついた。
「えへへ、お風呂どうする?一緒に入る?」
「そうですね、たまにはそうしますか」
「二人で過ごす日は毎回な気もするけどなあ」
「それは、私が入っているところに突撃してくる方がいるからでは?」
完全に甘えた体勢で、ゆるゆると彼についていくそら。
「お風呂は甘々でいいよね?まずは貴方成分を補給しないと!」
「ええ、そうですね」
すでに目元も蕩けさせながら、2人でゆっくり浴室へと向かうのだった。