見た目は赤ん坊のような可愛さ、中身は極めて高性能なお姫様といえば、4期生の『姫森ルーナ』である。
非常に特徴的な声質と語尾を持ち、デビュー当初は独特な空気感を持ったボケ寄りの赤ちゃんキャラかと思われたが、ピアノやエレクトーンの高い技術、PCの言語にも詳しい、鋭い考察から繰り出される切れ味鋭いツッコミなど、段々と中身の高性能っぷりが露呈。また、体力の無い虚弱体質であったが、本人の長期的なトレーニングと努力によって徐々に改善、今では激しいダンスもこなせる程の体幹を身につけた。
また、彼女のリスナーである『ルーナイト』と呼ばれる者達は、他ホロメンのリスナーと比べても高い統率力を持っていることで知られており、ルーナのSOSに素早く応じるために日々鍛練を積んでいるとかいないとか……。ただし、ホラーゲームに関してはその限りではなく、ルーナの圧にも屈すること無く愉悦して見せるあたり、これもまた本人達の信頼関係なのだろう。
さて、そんな彼女が密かにお付き合いをしている相手が居たとすれば、どのような関係を築いているのか……?
「遊びに来たのらよー。いつもので」
「いらっしゃいませ。お席についてお待ち下さい」
まるで常連のように声をかけるルーナだが、別に店でもなんでもなく、ただ彼の部屋に来ただけである。彼も空気を読んでノってみただけで、やることといえば彼女の好きな紅茶を淹れてもってくるだけであった。
「はい、どうぞ」
「んむ、くるしゅうないぞー」
言葉こそなんとも棒読みだが、満面の笑み。ルーナは元々紅茶好きだが、彼が淹れてくれる紅茶が特に大好きだった。別に特別に何かをしているわけではないのだが、『なんとなく気持ちが籠っているのら』とは彼女の弁。
「いつも通り美味しいのら」
「良かったです。ところで、今日はホロメンの皆さんとお出掛けと配信で仰っていたような……?」
聞いていた予定と違うことに彼は首を傾げた。
「そうなのらよ?でも、実際は皆大切な人とお出掛けするために予定を開けていただけなのら。たまたまその日が被ってた人が何人かいたから、それっぽく予定を言っただけなのら~」
「あっ、なるほど……」
「貴方が今日は休みって知ってたからね。久しぶりでいきなり訪ねてもたぶん引きこもりしてて居るだろうなって思ったのら」
「まあ、出掛ける予定は無かったですね」
「フフン、予想通り過ぎるのら」
ドヤ顔で胸を張るルーナ。今日の格好は『セクシーアダルト衣装』と呼んでいるものであったため、実はそれなりどころではなく育っているお胸がふるんと揺れるのがしっかりと見えた。
「えと、私の側はそんなわけで何もおもてなしできないんですけど」
「構わないのら。貴方とお喋りして一緒に居れるだけで楽しいのらよ?」
いそいそと彼の隣に移動し、肩にこてりと頭を乗せるルーナ。
「ホロライブに直接関わっていない貴方だからこそ、言えることもあるのら。んなたんがこんなに頼る人は異性ではパパと、貴方しか居ないのら。胸を張るのら」
「は、はぁ……。それは嬉しいですが……」
彼はいたって普通の社会人。毎日の楽しみにルーナを含めたホロライブの配信を見ることが含まれている程度の人間である。まさか、姫様とまで呼ばれる彼女もこんな深い関係になれるだなんて、当時の自分に言っても信じたりはしないだろう。
「むむ、信じてないのらね?」
「いやあ、何の取り柄もないですし、凄い幸運なことは分かるんですけどね」
「自信無さすぎなのらね……。あっ、こうすればいいのら?」
苦笑いする彼を見たルーナは何事か考えると、突然彼の手を取り、自身の胸に被せた。
「ル、ルーナさん!?」
「おお、良い反応なのら。そのまま揉んでも良いのらよ?」
「いいい、いやいや!何を言ってるんですか!」
「アン、そんなこと言って、手に力入ってるのら~」
ルーナからこういうことをするのは珍しく、よく見れば顔はかなり赤くなっているが、彼はそれどころではなかった。
「強情なのらね~。男はおっぱい触らせたら素直になるってちょこてんてーから聞いたのに」
「い、いや間違ってるけど間違ってないような……。と、とにかく手を離して下さい!」
「ああ~、離れちゃったのら……」
なんとかルーナの手を振りほどいて、胸から手をどけると、ルーナは残念そうな声をだした。
「貴方が育てたと言っても過言ではない、んなたんのお胸、柔らかかった?」
「そ、それは柔らかかったですけど……。ってそうではなくて!なんでいきなり……」
「ん?んなたんにこんなこと出来る人他におりゅ?って思ったら自信つくかなって」
ルーナの目は真剣だった。
「貴方がどう思おうが勝手だけど、貴方はルーナが選んだ、ルーナイトの中の一番なのらよ?」
「は、はい」
「控えめなのも嫌いじゃないけど、もっと堂々としてもいいと思うのら。ルーナの目が節穴だったと言われたいなら別だけど」
「そ、それは嫌ですね……」
「でしょ?だから、貴方はルーナをいっぱい愛して、自信を持つと良いのらよ。わかった?」
「はい、ありがとうございます」
「んむ、分かればよろしいのら」
彼が頭を下げると、ルーナは大きく頷いた。
「やれやれなのらねー、こういう彼を支えるのもてーしゅくな女の務めってやつなのら?」
「ど、どうなんですかね……、あと、その……」
「ん~?どうかしたのら~?」
彼がオロオロと視線を彷徨わせながら、そっと指差したのは、
「なんで、先程から私の、その……」
自身の息子を指先でなぞり続けているルーナの手だった。
「え~?ぺぇを触らせたあたりからなーんか、こんなところにかたーい山が出来てるから、なんなのか気になってしまったのら~」
「そ、そんな笑って言うような事じゃ……っ、そもそも分かってますよね?」
「エヘヘ、んー、分かるような分からないような、そんな感じがするのら~」
エレクトーンを華麗に演奏する彼女の指が、彼を刺激し続けるその様子は、淫靡な中でもルーナの可憐さが際立つものだった。刺激を受けている彼からすれば、視覚情報と受けている刺激の差が激しすぎて、脳が混乱を来していたが。
「ルーナ、いつもはあまーいお菓子が好きなのらけど……」
ルーナの特徴的なオッドアイが心なしか光って見えた。
「なんとなーく、ルーナのための飲み物が出されたりしないかなって思ってるのら~。甘くなくても良いんだけど~」
「あの、それって」
「ん~?貴方は知ってるのら?ルーナが何を欲しいと思ってるのか、もしかして、持ってたりするのら~?」
目を真ん丸に開いて意味深に笑う彼女。でも、指の動きがにわかに激しくなったことで、彼は正解を確信した。
「……世界でも、私だけが、貴女に提供出来るものだと思います」
「ほんとぉ?」
「はい。……自信があります」
彼の言葉に、ルーナは嬉しそうに笑った。
「貴方が『自信あり』って言うってことは、よっぽどルーナを満足させることが出来るって事なのらね?」
「……はい。精一杯、努めさせていただきます」
ルーナは彼の手を引いた。
「なら、それにふさわしい場所へエスコートしてもらおっかな。たぶん貴方の部屋にあると思うのらね」
「……分かりました。狭いですが、宜しいですか?」
「問題ないのら。……たーくさん、満足できるまで、もてなしてね?」
「……頑張ります」
彼は立ち上がると、ルーナの手をそっと握り返して、先導していくのだった。向かった先には恐らく、1人で使うにはやや広い寝具のある部屋しかないと思われるが、2人の思惑通りならそれは間違っていないのだろう。その先で振る舞われる物が、彼女のお眼鏡に叶うかは、彼の努力次第といったところか。
ちなみに、ルーナは彼との営みについて満足しなかった試しはなく、常に満足度は星5を記録し続けているのは、彼女だけの秘密である。
Aちゃんが退職なさるということで、たまたまこの作品でも扱わせていただきましたが、非常に寂しく思います。
けれど、これからの彼女の道が幸せであることを祈っております。
本当にお疲れさまでした。
折角なので、この作品においては今後も出てくるかもしれませんが、そういう世界線だということでご理解頂きますよう、よろしくお願いします。