それっぽさを出す小道具的な何かだと思ってください。
『あー、もう!なんなのよこの相手!○がっ!』
『あ、あの、一旦休憩しないか……?』
可愛い声とは裏腹な罵詈雑言が聞こえてきたので、思わず止めに入る男。
『だって、こんなのハメでしょ!うちのシマじゃ今のノーカンだから!』
『ずいぶんコアなネタ知ってるね……』
彼に抱き付いて駄々をこねる女性。ホロライブインドネシアの3期生『Vestia Zeta(ベスティア・ゼータ)』である。来日後、数日かけてこなすべき仕事を終えた彼女は、真っ直ぐ彼のもとへ訪れていた。
『ま、まあさっきから見てたけど、流石に強い相手だったね』
『強いんじゃないわ!卑怯よ!』
『いや、あそこまで持っていくのが上手かったんだよ。リソース吐かせてあの状況に持ち込んだらもう逃げられないわけだしね。ゼータもそうだったでしょ?』
『ぐぬぬ』
彼の説明に不服そうなゼータだが、一応頷いた。
『……ただのハメではなかったのね』
『たぶんね。逃げ道一つずつ潰してる感じがあったよ』
『くそっ、次は絶対負けないんだから!』
姿や声は非常に可愛らしいものだが、そこから時折吐き出される毒舌はその手の癖を持つファンによく刺さるらしい。
『とりあえず飲み物を所望するわ!』
『そういうと思って、牛乳用意したよ』
『流石ね』
好物のミルクを出されたゼータはニコニコだ。
『貴方もこのゲームやってたわよね?』
『ゼータが一緒にやりたいって言ってたから、たまにだけどね』
『なら、後で一緒にやりましょ。ついでにサンドバッグになってくれると嬉しいわ』
『少しは手加減してほしいけど……』
『貴方のスキルアップを兼ねてるのだから、当然よ!さあ、やるわ!』
彼の手を引っ張るように立ち上がると、そのままゲームの準備を始める彼女。彼も苦笑しながらそれを手伝うのだった。
『……ねぇ、1つ聞きたいのだけど』
『……な、何かな?』
ゲームを起動しつつ、お互いのデータを読み込ませて出てきた画面の表示を見て、ゼータが無表情に聞いてきた。
『あなた、さっきたまに起動してるって言ってたわね?』
『そ、そうだね』
『たまに、の人が見間違えでないなら、なんで私よりランク高いのかしら?』
彼の顔がひきつっていた。
『ほ、ほらでも見て?起動時間は全然少ないよ?』
『……それって、根本的に私より上手いってことよね?』
『あっ……』
ぐりんと首をひねって彼を直視するゼータ。軽いホラーである。
『……貴方のやり方、調べてもいいかしら。組織に聞けば一発よね?』
『そ、そこまで大掛かりにしなくても、僕でよければいくらでも教えるよ。難しいことしてないから!』
ゼータがホロライブに加入する前から所属する組織は、バーチャル世界のあらゆるデータにアクセスできる。普段は任務以外で組織の持つアーカイブには近寄ろうとしない彼女だが、今回は目がかなり本気だった。
『……なら、教わる前に一度、本気で戦って頂戴。手加減なんてしないでよ?』
『……いいの?』
『元々サンドバッグになってもらうつもりだったのよ?人を殴るというならば、殴られる覚悟だってしてるわ』
『本気すぎない?』
『それだけこのゲームは楽しいの。貴方の出来ること、しっかり見ておきたいわ』
『……わかった。なら、始めよっか』
『ええ!』
『もうこんな時間だ。そろそろ終わろう』
『そうね、でもまだまだやれることが多いとわかったから、今日はとても楽しかった!』
気づけば夕日が沈もうとする時間だった。本気の殴りあい、そして彼とのマンツーマンでの訓練は、ゼータにとって得るものの多い有意義な時間だった。
『これで、もうあの戦法には負けないわ!』
『そうだね。やっぱり強いって分かってるから皆使うものだし、対策は必須だね』
『私のスキルアップに時間を使ってくれたのだから、それに見合った報酬を与えなければならないわ』
『そういうところはエージェントって感じだね』
んー、と口元に手を当てて考えるゼータ。
『……貴方、よく考えたら全然欲が無いわね』
『……そうかも。せいぜい美味しいもの食べたいって位かな』
『欲しい物とかないの?』
『あんまり……?必要な物は大体揃ってるから、たまに買い換えたり、ストックしてある物で十分だし』
『でも、夕飯はもう準備してたわよね?』
『昨日の残り物だけどね。ゼータが好きっていってたから、こっちに来るときに多めに作るしね』
『それはとても嬉しいことだけど。うーん、だとしたら私から出せるものが無いわ……』
むむむと悩んでいたゼータだが、ふと思い付いたような顔をした後、彼の方へ振り返ってにやっと笑った。
『こういう時、日本のカップルだと身体を差し出すのが常識って聞いたわ』
『んぐっ!?』
思わず飲んでいたコーヒーを吹き出しかけた彼。
『ゴホッ!……だ、だれから?』
『イオフィとアーニャ』
『それ、絶対分かってて言ってるから!そんな訳無いからね?』
『まあそうよね、流石にこんな爛れた事がお約束なんてどうかと思うし』
ゼータはむしろ分かっていたと頷いたが、同時に彼にそっとにじり寄った。
『でもまあ、貴方相手ならいいんじゃないかしら』
『あの、僕もそこまでがっついたりする方じゃないんだけど……』
『でも、御礼って言っている以上私に拒否権はないわ。そんな私にナニしたって、させたっていいのよ?それは嬉しいんじゃないの?』
目を輝かせるゼータ。
『むしろ、いつも控えめな貴方がこうなった私をどうしてくれるのか、気になるくらいね』
『それが本音じゃないの……?』
彼の苦笑いに笑顔をむけて何も言わないゼータ。しかし、そのまま顔を寄せると彼に優しく口づけた。
『とりあえず、今はこれで。ごはん食べたら始めましょ?』
『ず、随分乗り気だね』
『海外勢は皆そうらしいわよ?日本に来る楽しみなんだから、楽しまないと損じゃない!』
『あ、そうなんだね……』
『うふふ、貴方の欲望、しっかり私だけの記録として残さないとね、アーカイブになんか登録してあげないんだから!』
ニコニコと笑うゼータ。彼女と過ごす1日はまだまだ終わりそうもなかった。
全年齢版で新作を投稿しました。
こっち以上に不定期になりますが、よろしければ読んでいただけると嬉しいです。
そろそろ特別編を書こうと思うのですが、書きやすさと皆様からの人気を鑑みると、特別編に一度だしてたりする人になったりと人選が偏りそうです。(例:0期生、2期生など) どうすればよいでしょうか?
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被ってもいい
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出してない人を優先して欲しい
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それより新作を出してほしい
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その他(活動報告のコメントへ)