拙作ではありますが、読んでくれると嬉しいです。
今回、ご都合設定多めです。
『白上フブキ』と1日といえば、昼頃にのっそり起きて、昼食、ゲーム、夕食、ゲーム、時には夜食、ゲーム、そして気絶するように寝るのが当たり前であった。
ホロライブに加入して配信者として仕事を始めてからはそこに高頻度で配信が入り、アイドルとして活躍し始めた時にはさらにレッスンであったり、収録であったりが入った。
やるゲームも多種多様、何時間も集中してなおテンションの落ちない他のホロメンからも怪物といわれる配信中の体力や知識量、公式配信に彼女がいたときの安心感はずば抜けていると言えるだろう。
また、重度のオタクであることも知られており、たまの休みの日になると出掛けては衝動的に収集物を買い漁り、後日雑談配信でホクホク顔でその報告をしてくるのも一種の恒例行事と化していた。
自らのリスナーであるすこん部に対しては時折サービスしながらも、きちんと一線を引いているのは彼等も理解しており、それでもなお彼女を推して回る者は大勢いた。
しかし最近、すこん部の中から彼女の雑談配信から収集物報告が減ったのではないかと噂が経った。
配信頻度も常とは変わらず、彼女自身にも変化はない。けれど、休みをとった後の配信での話題が変わったというのだ。
『ひょっとして、男か?』
『いや、まさか』
『見た目は最高、オタクにも優しいどころか本人がオタクやぞ』
『あの理想のスーパーアイドルが誰かに独占されるなんて……』
『『『くっ……』』』
『……でも、彼女が幸せなら?』
『『『OKです!!!』』』
すこん部達は実に寛容だった。
自分達に今も娯楽を提供してくれる彼女が自分の幸せを掴んだとしたら、それは祝うべき事だと。
むしろ、彼女の(いろんな意味で)かなり重症な面を見てきた古参達なんかは、
『フブキちゃんについていけるのか……?』
と不安げに後方腕組をしていたとか。
白上フブキは狐の獣人である。
放送では猫みたいとからかわれ、狐じゃい!と返すのがリスナーとのやり取りで有名だが、実際のところ耳や尻尾なんかは綺麗な狐の特徴を備えており、疑いようは無い。
近年、彼女らの存在によって純粋な人族以外にも様々な『人類』として認められてきている中で、『獣』と『獣人』の違いが明らかになってきている。その中で、生命として切っては切れない『生殖』の存在があった。
例えば通常の狐の場合、寒さの厳しい冬になると発情期を迎え、その間メスの狐はほぼ絶食状態になるのだという。その間にオスを見つけると体力の限りを尽くして行為を行い、ようやく子を宿すとそれまでの反動で一気に食欲が増し、それを満たすために本来夜行性のはずの狐が昼間にも姿を表す頻度が激増するのだとか。
しかし、『獣人』の場合は違う。もちろん元となる獣の性質に加えて、『人間』としての性質も組み合わせることで差が生まれる。人間には厳密には発情期はないが、性的興奮を伴えば何時でも可能というのが特徴である。
では、そうして生まれた狐の獣人はどうなるかというと、『パートナーとの物理的、心理的距離感によって寒暖を感じ、何かのきっかけを得ると、歯止めが掛からなくなる』ようになるのだそうだ。
「さむい……」
目覚めて開口一番、フブキは呟いた。
ふと隣を見ると人1人分の空間が空いており、それでかと彼女は得心した。
「どこいったんですかー……」
今日は彼も私も休みのはず……、と予定を思い返しながら布団に潜りモゾモゾと蠢いていると、部屋のドアが開く音がした。
「おはよう、起きたんだね」
布団から顔を出してみれば、湯気の立つ湯呑みを2つ載せたお盆を持った青年が微笑みながらそばに立っていた。
「おはようございます……」
彼に気付いた瞬間、垂れていた耳がピンと立ち、小声ながらも嬉しそうな様子で応えるフブキ。
「お茶……?」
「ええ、起きたら飲むかと思って」
そう言いながらベッド側のテーブルに湯呑みを置く彼。
気遣い完璧なその様子を見て、今日も朝から格好いいなあとしみじみ頷く彼女は彼にしか見せない姿だろう。
「むー、でも一言も声かけずに居なくなったからビックリしました」
「ごめんね、ちょっと前に喉渇いて目が覚めてさ」
程よく温かいお茶を飲みつつ、すこーしわざとらしくむくれるフブキだが、彼が苦笑しながら頭をポンポンと撫でてあげると、直ぐにニヘーっと緩んだ顔になるのは2人の間でのいつも通りだ。
「んっ」
隣の空いていた布団の空間をペシペシと叩くと、彼はスッとそこに入ってくれた。と同時にぎゅっと抱きつくフブキ。
「はー……、あったかい」
満足げに頷く彼女。
「今日はそんなに冷え込んではないと思うけど」
「むっ、分かってて言ってますね?」
その様子を見て、わざとらしく聞いてくる彼に抱きつく力を強めながら、
「隣に貴方が居なくて寂しかったんですー」
とフブキは言った。同期の清楚担当が見たら砂糖を吐きそうな甘いやり取りである。
「……」
しばらく静かな時間が流れた。
「……ハァ」
「……?」
抱きつかれたまま固まっていた彼が、何かに気付いて掛布団を捲ると、
「……サワサワ、テシテシ」
いつの間にか脚にフブキの足が絡み付き、さらに尻尾が小刻みに彼の太ももを叩いていた。
「どうしたの……?」
「……」
彼の問い掛けにも応えないフブキ。息は荒くなっているものの尻尾の動きが俄に激しくなったので、聞いていない訳ではないようだ。
「身体痛い……?」
ただならぬ様子に彼がフブキの肩を揺すると、バッと顔を上げた。
「あっ」
一切逸らされない目が爛々と輝き、頬は上気した様子で、腕に抱きつく力がはっきり言って痛いほどに強くなっている。その目を見た彼は、彼女の様子を悟った。
「今日は休みですね?」
「ハイ」
何かを念押しするかのように確認してくるフブキ。
「予定はなにもありませんでしたね?」
「ハイ」
彼が肯定するほど、尻尾の振り方が激しくなる。
「では、今日1日私が貴方を独り占めしてもいいんですよね?」
「……そのつもりです」
最後の問い掛けには穏やかな表情で答えた。
次の瞬間、彼女が彼を押し倒してそのままくぐもった音が部屋に響いた。
「うー……」
短くない時間が流れ、既に太陽はてっぺんを過ぎていた。
換気のために開け放たれた部屋を眺めつつ、耳をペタンと閉じてリビングのテーブルに突っ伏して唸るフブキ。その格好は黒のダボっとしたシャツと裾で隠れてはいるが黒の下着のみで、透き通るような白さの足が投げ出されていた。良く見ればいつもは毛並みを整えている髪や尻尾が乱れており、腕や足には赤い跡が複数残っている。時折身じろぎしては、その跡をそっと撫でて微笑むものの、しばらくするとまた唸り声をあげて突っ伏すことを続けていた。
すると突然耳がピクリと起き、それと同時に彼女が玄関の方へ目を向けた。
「ただいま」
ドアの音と共に、袋を複数持った彼が部屋に帰ってきた。
「おかえりなさい、ごめんね1人で行かせてしまって……」
「大丈夫、そんなに買う予定もなかったし」
申し訳なさそうにする彼女とは裏腹に、彼はすこぶる元気そうである。
「あの~」
「ん?」
遠慮がちなフブキの問い掛けに買ってきた荷物を片付けながら振り返る彼。
「かなり、搾り取ってしまった気がするんですけど、ホントに大丈夫なの……?」
「……まあ、流石に直後はふらついたけど、貴方の後輩さんのお薬飲んだらシャキッと」
「いつも思うんですけど、何が入ってるんですかね~?」
「さあ?以前お会いしたときに聞いたら、笑ってはぐらかされてからは諦めたよ」
恐るべし、ずのー。
「それにしても、今日はまた一段と凄かったね」
彼のふとした発言に顔を赤らめるフブキ。
「あ、あのですね?これには事情が……」
「事情?」
首をかしげる彼を見ながら続ける。
「その前事務所に行った時に、すいちゃんに会いまして」
「うん」
「その時はまあ何時ものように惚気を色々と聞かされたんですけど、その中で1つ気になることを聞きまして」
「うん」
「なんでも、人間同士でも相性がよいとお互いの匂いが、その凄く良いと」
「何かの科学番組で観たことあるね」
「それで、街中だと色々と混ざってしまってキツいので狐の方で匂いを嗅いだりはしないんですけど」
「うん」
「さっき、お部屋で貴方に抱きついたときにこっそり興味本意で貴方の匂いを嗅いだら、その……」
「良かったの?」
「良かったなんて物じゃないです。良すぎたと言いますか、こう物凄い衝撃がドンと来まして、気付けばこんなことに」
「なるほど、瞳孔開きっぱなしだったのはそういうことだったのか」
「元々、貴方との相性が素晴らしいなんて事は知ってたんですけど、まさか狐の方を刺激されるとは思ってなくてですね、ホントに申し訳ない」
テーブルに頭をゴンとぶつけつつ謝るフブキを彼はそっと後ろから抱き締めた。
「わひゃ!?」
「僕も嬉しかったし、言いっこなしで、ね?」
「は、はぃ……」
さらっと美胸を撫でられて再び走る快感にビックリしたまま、耳元で囁かれると力が抜けたように返事をしてまたも突っ伏すフブキだった。
「でも、良かったのかな?」
「何が~?」
「最近休みに出掛けてなくて話のネタが失くなりそうって言ってたから、今日こそ出掛けるって昨日寝る前に気合い入れてた気がして」
「……あっ」
思い出したように声をあげて顔が若干青ざめるフブキ。
「ど、どうしよう!最近その事すこん部達にも突っ込まれてたのに!だから昨日シないで寝ようってしたのに!」
「たぶん、それも原因だったんじゃないかな……」
「なんで予定無いって言ったんですか!」
「いや、あの顔見たらさすがに止められないでしょ、それに止めたとして、止まった?」
「……」
彼の的確な指摘にズーンと落ち込んで首を横に振った。
「……決めました」
「ん?」
顔をあげて何かを決意した様子のフブキに、少し嫌な予感がした。
「今日は貴方を独占すると言いましたね?」
「言ってたね」
「なので、このあとご飯食べたらまた貴方を食べます」
「えっ」
突拍子も無いことを言い出した彼女は本気の顔をしていた。
「やってしまったものは仕方ない!ならいっそどこまでも、足掻いてやる!」
「あの、フブキさん?それ、僕の負担は……?」
彼の質問にサムズアップして、
「私が本気を出せば、限界を越えられます!さあ、貴方も人を越えましょう!」
「……」
これ以上無い笑顔で言い切るフブキに、彼はそっと脳内で薬の在庫確認と再度注文することを決意した。
余談ではあるが、この日の彼女の1日は最初に書いた『ゲーム』が『セックス』に変わっていただけだったそうだ。さらに、後日の雑談での様子があまりにハイテンションだったことから、まるで希少品を見つけたときのようだったとすこん部達は感じた。
そして、次の日に彼から入った薬品の注文の多さで色々と察したずのーは、先輩の性欲の強さにひきつった顔で値引きをしたという。
EN、ID勢を読んでみたいですか?(英語、インドネシア語は明るくないので、どうしても日本語になります。仮に書くとしてもホロメンが全て揃うとは限りません)
-
JPだけでいい
-
ENも読みたい
-
IDも読みたい
-
両方読みたい
-
その他意見(出来ればコメントで)