ホロライブ食物連鎖において最下層といえば、4期生の『角巻わため』をあげる人は多い。
そもそも肉食の獣人が多い中での羊の獣人の時点で察するが、本人のゆるふわな空気感も相まってわりと雑に扱われてこらーっとツッコミを放つシーンも多い。
本人は割と悪戯好きで、親しい相手には遠慮無く本人曰く『ギリギリわるくない』ラインでぶっこんではツッコまれて喜んでいたりもするが。
「あー、気持ちいいなあ……」
「ここ痛くないのは凄いですね」
そんな彼女は現在、秘密裏にお付き合いしているお相手のおうちにて足ツボマッサージの真っ最中だった。
「そうなの?」
「大抵の人はここが痛いと言いますから。内臓は生きていれば自然と酷使するものですし」
「ふーん」
足ツボの原理や効能については詳しく分かってないわためだが、彼が行うそれは受けると確かに身体が軽くなる気がしており、何より気持ちが良いので気に入っているのだった。
「あとは……、ここ、とか?」
「あっ、痛い!いたーい!」
彼が押す場所を変えた時、殊更反応する場所があった。
「え、なんで?どこそれ?イタタタタッ」
「目ですね。配信者やPCとにらめっこする仕事の方はどうしても……」
逃げはしないもののもがいているわためだが、自覚はあった。目は仕事上どうしたって使うので仕方のないことでもあった。
「後で目元のケアしますね」
「ううっ、お願いします……」
そう言いながら、彼が一通り足裏を行って一息ついた。
「前回と同じ感じでしたね。目、腰、肩も少し反応してました。それ以外に増えてないのは流石ですね」
「うんうん」
頷くわため。
「次は側面と甲側ですね。あと、そのまま足首と足先の柔軟も取っておきます」
「確か喉とかあるんだよねぇ。こっち側いつも痛いからなんとなく覚えちゃったよ……」
「毎回嘆いてますからね。身体が強いのは知ってますが、大分負荷はかかってますし、今日も覚悟してくださいね」
「頑張りまーす……」
実は毎回足裏よりも痛むところが多いので、耐える覚悟を決めるしかないわためだった。
「…………(チーン」
「あー、のびてらっしゃいますね……」
無理だった。あまりの痛みに失神寸前だった。
「喉もですけど、胸や股関節なんかもだいぶ反応してました。レッスン後にケアもう少し意識した方が良いかもしれませんね」
「ぐぐぐ……、痛かった……」
「……あと、少し言いづらいのですが」
少しだけ言い澱む彼。顔が少し赤くなっている。
「んー?どうしたの?」
「足裏でもそうでしたが、その、生殖器の辺りにも反応があったので。あまり、酷使しない方が……」
「あー……、えへへ」
言われた内容で、わためも照れたように笑った。
「そんなにわため酷使してるかなあ?トワちとかかなたん程じゃないと思うんだけど。ルーナたんはそうでもないか」
「いやまあ、一般的にはその、やりすぎに入るかと……」
わためが名を挙げたのは全員同期だが、話を聞けば天使と悪魔の2人は割とイチャイチャしてるのを聞いてるし、会う=そういうことになってるのも知っている。散々惚気られたし。姫はそもそもなかなか会える訳ではないし、あっても必ずしているわけではないと聞いた。する時はしっかりしているとも聞いたが。
「そう?」
「2日毎に会って、その度に毎回は……」
「……えへへ?」
実は一番の可能性がある羊だった。
一応、足裏と側面の反射区における生殖器の反応というのは何も性行為だけが原因とは限らない。女性に限定しても月経不順や性病などに起因することもある。が、健康と身体の丈夫さに定評のあるわためには無縁の話であるため、何が原因かというのは割と明らかだった。
「あんなに気持ちよくしてくれるんだもん。わためがまたしたくなっちゃうのは、わるくないよねぇ?」
「いやまあ、誉め言葉として受けとりますけど」
「誉めてるよぉ」
イヤンイヤンと身体を振るわため。
「と、とりあえずケア続けますね。一応痛みが強そうだった肩と腰、あと股関節の方は柔軟ですかね」
「はーい」
「目の方は先程ホットタオル用意したんで、その上から軽いマッサージで」
「それ好きー。眠くなっちゃう」
この後の予定を告げられて嬉しそうに笑う。
「いつもありがとねぇ」
「いえ、私の仕事ですから」
「こんなのお金取られても良いくらいなのに」
「それは本業の方でいただいてますので」
彼の仕事は元々スポーツマッサージ師だった。たまたまホロライブのグループライブにケア担当として関わる機会があり、そのまま今も何人かメンバーが通うようになったのだった。もちろんわためとのお付き合いは知られており、時折お互いの情報が他メンバーからバラされたりしているが、悪いことではないのだろう。
「むむむ、これは、あとでわためにしか出来ない払い方をするしかないねぇ」
「あの、先程言ったこと、覚えてます?」
上目遣いで甘えたようにいうわために、彼は確認した。
「えー?なんのことかなあ?」
しらばっくれるわため。
「貴方が育てた食べ頃の羊が目の前にいるんだけどなあ?ほら、おかげで脇ぺぇもこんなに」
「いや、そんな見せびらかさなくても」
どーんと見せつける彼女に思わず目をそらす彼。仕事の時は全く気にならなくても、プライベートでは別だった。
「ふふふ、恥ずかしがらなくてもいいのに」
「いや、わためさんはもう少し恥じらいましょうよ」
「貴方以外にしないもん。だからいいの!」
そういって笑うわため。
「……んん!とりあえず、ケア続けますよ」
「はーい!……楽しみだねぇ?」
「……はいはい」
何を楽しみにしてるかはあえて言わないわためだった。