2025年も拙作をよろしくお願いします。
1.コミュ力激高なホロの太陽の場合
(素直に甘えることを周りに聞いて実践したら……)
「スーにゃは甘え力(あまえぢから)が足りてない!」
「なにを言い出しとるんやお前は」
ホロメンがよく集まる待合室にて。
「あー、たしかに」
「フブニャですら最近は甘々オーラ全開だというのに、どうしてすーにゃはそうならない!」
「あのー、白上に飛び火してますよー……」
久しぶりに集まったフブキ、おかゆ、ころねの居るところに、別件の収録が終わった様子のスバルが入ってきた所だった。
「今めちゃくちゃ疲れてるんだから、くっだらない話なら流すぞー」
「下らなくないって!これは大事な話なんだよ!」
「めちゃくちゃ力説してて草」
「白上は帰りますよー……」
「ころさん、フブニャ捕まえておいて」
「アラヨー」
「なんで!?あっ、力強い!やめろー!私は帰るんじゃい!HA☆NA☆SE!!」
後ろでじたばたする2人から目を逸らしておかゆに向き合うスバル。
「あー……、で、なんだっけ?」
「だから、甘え力だよ!」
「なんだよそのあまナンチャラって……、あーめんどくせえ……」
脳内変換が怠すぎて聞き流す構えのスバルに対して、近年なかなかない迫力を出して迫るおかゆ。
「フブニャを見なよ!『ガード完璧です(キリッ』みたいな雰囲気してるのに、時々スマホみてへにゃってたり、首もとのキスマーク隠せてなかったりするのに!」
「フブちゃんが割とあの人関連で緩いのは前からじゃん。何を今さら……」
「おい!聞こえてんぞ!てか、えっ!?痕ついてる!?」
「うん。こことかこことか」
「しかも複数!?」
「ちなみに太ももにもあるでな。虫刺されかと思ったけど」
「んなーっ!?」
部屋の出入り口付近で爆発している狐を見つつ、スバルは言い返した。
「ここだけの話、スバルちゃんが一番ガードが固いとホロメン内でも有名です」
「そうなの!?」
「清楚度合いならAZKiちゃんとかいろは殿に並ぶとか言われてたりするよ?」
「あー、こよちゃんの体験談もまだ無いし、普段からそういうのに耐性ないからかスバちゃん話したりせんもんな」
「ぐぐぐ……、いつのまにそんなに固い女になったんや……。もう私から教えられることはないな……」
「なったとかじゃなくて、そもそも耐性とか関係なくそういうの人に話すことじゃないだろ。あと、そっちの2人も入ってくんなよ……」
「正論で黙らせようったってそうはいかんぞ!」
「なんでこんなに食い付きいいんだよ!」
呆れるスバル。
「うちらは新鮮な反応を求めてるんだよ!甘々なころさんとかもいいけど!実はデロデロなフブニャもいいけど!」
「あはー!こぉね甘々してたかー」
「デロデロってなんだよ!そんなに爛れてるみたいな言い方すんな!」
「つ『体験談』」
おかゆがすっと取り出したスマホのページを見せて綺麗にorzの姿勢になるフブキを尻目に、スバルに迫るおかゆ。
「すいの家でも言ったけど、こんなに育ちきってる身体を持っててなんで甘々にならんのやー!」
「ドサクサに紛れてどこ触ってんだ!?」
「フニャン!?グェー」
おしりを揉まれ、反射的に締め上げるスバル。
「まー、どうせスバルちゃんがそういう雰囲気に耐えられなくて逃げてるんだでな?」
「に、逃げてるとかじゃないけど。そもそもそういうのよくわかってないから……」
「いいかいよく聞きなさい我が妹フブニャよ。これが我々の忘れた清楚と純粋さだよ?」
「妹ではないのにうっ、なぜか心に刺さる……」
「いやいや……」
胸を押さえるフブキに何も言えないスバルだった。
「スバルちゃんはさ、おうちで2人の時とか何してるの?」
「一緒にゲームしたり、映画観たりかなあ。たまに買い物に付き合ってもらうこともあるよ」
「……それだけ?」
「それだけ?ってなんだよ。別に普通だろ」
「えっちしたいとかならんの?」
「べ、別にいつもしたいとかないし」
「ほほう、つまりたまにはシたくなることもあると(クイクイ」
「フブちゃん、どっから出したんやその眼鏡……」
ころねの鋭い質問に引きつつ、フブキにツッコむスバル。
「こーんなにえっちな身体になっちゃってるのにもったいない!スバルちゃんが甘えたりしたら、彼氏さんきっとイチコロだよ?」
「別に倒したいとか思ったことないんだが?」
「シャラップ!正論はいらん!」
「なんなんだよもう……」
目をギンギンに光らせるおかゆにドン引くスバルだった。
「まあおかゆんの勢いはともかくとして。実際彼氏さんに甘えたりとかしてないの?」
「えー……、うーん、あんまりしてない、かも」
「そうなんか?お家で二人でいても?」
「うん。なんとなく一緒にいて居心地がいいし。そういうことするのも、なんというか雰囲気?とかに流されてる気がする。べ、別にそれが嫌だって思ったことはないけど」
少し落ち着いた様子のフブキところねに聞かれて、やや恥ずかしがりつつも素直に答えるスバル。
「ってことは、いつも彼氏さんが先に手を出してる感じ?」
「……言われてみれば、そうかも。ノッちゃえばスバルも色々することもあるけど」
「ほうほう、具体的に何を」
「こぉね」
「アイアイ」
「こ、ころさん!そっちに腰は曲がらな……、ぎゃあああ!」
食いついてきたおかゆをころねに任せて、フブキがスバルに向き合った。
「まあ、難しく考えることはないよ。なんとなく彼に触れてみるとか、思ってることを素直に口に出してみるとか。スバちゃんからアクションを起こしてみればいいんじゃないかな」
「アクションねぇ……。そう言われてもよく分からんのよなあ」
天を仰ぐスバル。
「おかゆんのアレはやりすぎだけど、服装で彼の目線を引くのもありだよ?」
「アレは着れないけど、まあ言いたいことはわかる」
北半球が丸見えになっているおかゆの私服を見ながら納得する2人。
「ころねもフブちゃんもそういうことするの?」
「こぉねは割となんでも直ぐに言うでな。普段もそうだし、シたい時もすっと伝えちゃうし。あの人が察し良すぎて先回りされることも多いけど」
「白上もまあそうだね。最近は割と素直に伝えるようにしてるかな。色々あったにはあったんだけど」
「ちなみに、ボクも普段から伝えてるよ!」
「おかゆんはわかるよ」
「おがゆは黙って?」
「……すまん、何も言えん」
「フォローがない!?」
フブキところねの答えにうーんと悩むスバル。
「ほら、映画観る時とかにいつもより近づいてみるとかでもいいんだよ。手を握るとかさ?」
「スバルちゃんからボディタッチするのはいいと思うな」
「当たって砕けろだでな!」
「……わかった。今度やってみるわ。あと、砕けたらマズイだろ」
とりあえず、3人の後押しを受けて行動することに決めたのだった。
「……なるほど、それで今日はなんか近かったのか。服もちょいセクシーだし」
「うん。服に関しては、どこから聞いたんか知らんがちょこ先が飛んできて、『これを着ろ!』ってバババッと渡されたんだよな」
そして実行に移した当日の話。
谷間が少し深めに見えるセーターや太もも丸出しでセーターの裾から見えないほどのショートパンツといった、いつもの感じからはだいぶ遠い服を着たスバルから映画を観ようと誘われた彼。
「ホラー選んだのは?」
「その方がその、自然にくっつきやすいかなって。実際結構怖かったから」
これまた珍しいチョイスのホラー映画を彼女の部屋で観始めたはいいものの、暫くしたらそっと腕に掴まってきたり、そのまま抱きついてきたりなど、だいぶ様子が違っていた。なお、映画が終わって不思議に思った彼が理由を聞いている今もそのままである。
「で、頑張ってみた感想は?」
「めっちゃ恥ずい。え、こんなん皆やってるってマジ!?ってすげー考えてた」
「その割には離れないんだな」
「……まあその、お前と居るのは悪くないから……」
顔真っ赤で俯くスバルだが、抱きついている腕の力は強くなっている。彼の腕に、押し付けられた柔らかさがよく伝わっていた。
「そ、それで!?感想は?」
「いや、正直結構ドキドキしてるぞ。スバルは普通に自分が可愛いことをもう少し自覚してほしい」
「お前が散々言うからそれは少し理解してるよ」
「てことは、そんな美少女が自分に抱きついて甘えてきてるってことだぞ?そりゃドキドキもするさ」
「そ、そっか……」
彼から直球で伝えられて照れるスバルを見て、彼は抱きつかれた腕をそのまま引き寄せた。
「わっ!?」
「どうせならもう少しくっつこうぜ」
「強引だなあ……。まあいいけど」
スバルも驚きはしたが、そのまま彼に乗り上げる形になった。
「おとなしいな」
「素直に甘えるって言ったじゃん。嬉しくないの?」
「んなわけあるか」
そのまま優しく口付けると、スバルも目を閉じて受け入れた。
「……いつもよりドキドキする」
「あんまりベッド以外でしないからじゃないか?」
「……そうかも。ね、もっとしたい」
「喜んで」
スバルが再度キスを強請ると、彼との距離が再び0になった。
「……今日は、このままスバルがするから」
「わかった。無理はするなよ?」
「無理じゃないから。というか、色々教えてよ。スバルだって少しは出来るようになりたいし」
スバルは顔を赤らめながらもそう伝えるのだった。
本人感想
「甘えるって難しすぎるだろ……。いやまあ、あいつは喜んでくれたからいいけど」
2.ゆるふわ脳筋女騎士の場合
(ダイエットのご褒美に、まあ色々と……)
「ぐっ、まさかの体重が……」
手元に持った紙を見つめて顔をしかめるノエル。
「そんなにやばいのかい?」
「別に病気とかはないんだけど、想定より増えてたと言いますか……」
そう言いながら紙を差し出すノエル。視線で伺ってからのぞき込んだ彼。
「……推移が少し上向きですね」
「筋肉つけなきゃってしてるから、増える事自体はええんよ?ただね、その……」
指差した先には腹囲の数字が。
「……大体ここについた、と」
「うっ……」
がっくり項垂れるノエル。
「ねぇなんでよー!しっかり運動してたのに……」
「あの、言ってもいいかな?」
「ん?わかるん?」
「いやまあ、正解かは分からないけど、心当たりはあるなって」
そう言うと彼は台所を指差した。
「たぶん、牛丼の食べ過ぎなんじゃないかなって」
「うっ!?」
ノエルは目を逸らしたが、洗い場に積み上がった丼は消えることはない。
「厳密には炭水化物、脂質の取りすぎじゃないかなって思うけど。ノエルはほら、牛丼好きだから」
「だって、貴方の作る牛丼美味いんじゃもん……」
「でも、明らかに食べる量増えてたし」
「ぐむっ……」
心当たりがあったのだろう、ノエルは言い淀んだ。
「少しの間抑えて、その間にレッスンとかで身体を動かせば直ぐに痩せそうだけど」
「えー!貴方の牛丼食べれんの!?」
「そりゃダイエットってそういうものですし」
「うぐぐ……。なら、せめてご褒美ちょうだい!そしたら頑張れるから!」
「ご褒美?」
彼の問いにノエルは頷いた。
「団長も痩せたいとは思うけど、ただ続けるよりやっぱり目標とかあると頑張れるって言うじゃん?だからお願い!」
「うーん、それなら痩せた暁には好きな事、とかでいいのかい?」
「うん!なら今日から団長頑張るから、手伝ってな?」
「ええ、頑張りましょう」
手をグッと握って気合を入れるノエルだった。
「いやー!頑張った!」
「おめでとう。これで目標達成だね」
約2週間程度が経過した日。ガッツポーズを決めるノエルの姿があった。
「貴方のおかげだよー。ホントにありがとね?」
「ノエルの努力のお手伝いをしただけだよ。一生懸命頑張ってたから」
この2週間、基本的に彼が工夫を凝らした低カロリーかつ野菜中心の生活を送りつつ、ダンスレッスンやボイスレッスン等で身体を動かし続け、計画的に減量する事に成功していた。
「いやー、何よりお腹から落ちたのがね!おっぱい落ちなかったから良かったし、心なしか肌艶良くなってるんよ」
「いや、そんなに見せつけなくても……」
北半球がだいぶ露出した服を着ていたノエルがフフンと胸を張るので、彼は苦笑するしか無かった。
「ご褒美の牛丼だけど、今タレと肉と玉ねぎ仕込んでるから、夕飯まで少し待ってね。というか、ご褒美これでよかったのかい?」
「うん!いやー、ホントに楽しみだ!」
よだれの垂れそうな顔で喜ぶノエルを見ながら、彼はキッチンに戻り準備を進めるのだった。
「ご飯も多めにしたからね」
「うん!」
「おかわりもあるから慌てなくていいよ」
少し濃い目のタレに漬け込み、脂がいい感じに溶けるように煮たタネとご飯が非常によく合い、ノエルの箸は止まらなかった。
「美味しい!」
「ありがとね」
ニコニコと満面の笑みで食べるノエルを彼は嬉しそうに眺めながら、自身用に取り分けた肉を肴にビールを飲んでいた。
「おかわり!」
「はい、待っててね」
ノエルの差し出す丼を受け取り、慣れた手つきでご飯とタネをよそうとスッと差し出す。
「明日からはまた減らさないとかな?」
「かもしれんけど、今は考えない!」
みるみるうちに鍋が空になっていった。
「ごちそうさま!」
「お粗末様でした」
満足げにお腹を叩くノエル。
「ホントに美味しかった!お店の牛丼もいいけど、貴方のは格別だね!」
「色々参考にはしたんだけどね。そう言ってくれたら嬉しいよ」
お酒が入っていてもひょいひょいと作業を終わらせてノエルにお酌をする彼。
「こう言ったらなんだけど、食べてる時のノエルは少し子供みたいに見えたよ」
「そう?」
「大好物に齧り付く感じとか。勢い良すぎて少し飛び散ってたし」
「タレが肌につくのはちょっと熱かったけどねw」
露出している白い肌に時折茶色い跡がついてるのを見てノエルも苦笑した。
「あ、舐める?」
「遠慮しておきます」
「残念」
ペロッと舌を出して笑いつつ、彼からもらったウェットタオルで拭くノエル。
「このあとお風呂入るから、お礼に背中流してあげるよ」
「ご褒美なのにお礼?」
「一緒に頑張ってくれたから、団長も何か返さないとさ!っていう体でイチャイチャしたいもん。この期間そういうの少なかったし」
「あー、なぜか禁欲みたいになってたね。なら、お言葉に甘えようかな」
「えへへ、楽しみだね?これもご褒美って事でいいよね?」
ニコニコと笑うノエルの目に少しだけ情欲の火が灯った。
「そういう事にしましょうか。じゃあお風呂準備してくるから」
「あ、なら団長が着替えだしておくね」
「うん。よろしく」
「アイアイ!任されました!」
2人ともそれぞれ動き出すのだった。
本人感想
「いやー、美味しかった!ナニがとは言わんけどねw」