今回は少し難産でした。リクエスト内容がうまく叶っていればいいですが……。
1.秘密結社の総帥の場合
(あいつにどうあがいても勝てないから聞いて!)
「……要するに惚気ね?」
「いやまあ内容的に否定は出来ないかもだが、それでも割と深刻なんだってば!」
ルイの家でそう叫ぶラプラス。
「人の惚気って胸焼けするからあんまり聞きたくないんだけど」
「まあまあ……。折角のお客なんだし聞いてあげたら?相談なんですよね?」
「ルイの彼氏は流石だな!幹部も少しは見習え!というか、今まさに目の前で惚気られてるみたいなもんだろ!」
「付き合い長いんだから、どうせくだらないって分かりきってるのに。貴方もあんまりラプラスを甘やかさないでよ?」
2人にコーヒーを差し出しながら宥めるルイの彼氏に喜ぶラプラスとため息をつくルイ。彼はそのままごゆっくりと言いながら部屋から出ていった。
「それで?勝てないってどういうことよ」
「あいつ、どうあがいても吾輩の行動を先読みして動くせいで、何をするにしても全部終わったあとなんだよ」
「具体的には?」
コーヒーを啜りながら促すルイ。
「買い物行けば買うものはすでに見つけてあってルートは完璧、家事も基本的に予定立ててるせいで手伝おうにも仕事がない」
「あら、私も案外似たようなものだけど」
「言ってもお前は元々出来てただろ。彼がトンデモ優秀なのは知ってるけど」
ラプラスは続けた。
「おまけに、どこで学んだんだか女心まで理解してるからおだてるのも上手いし、こっちがからかってもなまじ怯むどころかむしろ乗ってくるんだぞ!」
「まああの人も確かに出来る男って感じだったわねえ。見た目でかなり苦労されてたみたいだし、その分人をよく見てそうだったし。というか、返されるの分かっててからかってる所あるでしょ」
「いやまあそれは……、そうかもだけど」
ジト目で見られて顔を少しだけ赤らめるラプラスに、ため息をつくルイだった。
「結局惚気じゃないのよ」
「だけど、ルイだったらわかるだろ!たまには勝ちたいとかドキッとさせたいとかさあ!」
「……まあ、ねぇ」
ルイは彼が出ていったドアの方をチラッと見た。
「確かに、彼も完璧過ぎて私もされっぱなしな感じはあるわね」
「だろ!?吾輩が言ってることもわかるだろ!」
「けど、私はもう諦めたわ。その方が楽だし」
「なに!?」
肩を竦めるルイ。
「彼の方がどうあがいてもスペック高いんだもの。それに、そういうところも含めて好きになった訳だし、甘やかされてるのも良いかなって」
「おい、さらっと惚気られた気がするんだが?」
逆に視線が冷たくなる総帥に目線を逸らす幹部の姿があった。
「ま、まあ色々私も試したりしたのよ?でもさっきのラプと一緒で、尽く返されるか便乗されて私の方が攻められたから……」
「あー、はいはい、ごちそうさまです」
「元々あんたから話題振ったのに、なんで冷たく返されなきゃいけないのよ……」
ヒラヒラと手を振るラプラスに呆れるルイ。
「それで、結局どうしたいのよ。私を見たら出来ることないってわかるでしょ?」
「ぐぬぬ、うちで一番女らしいのがルイなのにこれでは……」
「あら、他には頼らないの?」
「こよりは絶対ピンクなアドバイスしかないだろうし、仮にその面でもあいつには勝てないから駄目、クロヱは論外、いろははワンチャンあるかもだけど、聞いた感じ彼に押され気味っぽいからあんまりな」
「……あー、そうかもね」
列挙された同僚の様子を頭に浮かべたのか、ルイも苦笑するしか無かった。
「先輩方は?」
「押してる側の面子は基本的に肉食すぎるから吾輩には合わんだろう、いろんな意味で」
「……心当たりがわかりやすいわね」
ルイも何人か考えてみたが、浮かんだ者の大体がこよりのお得意様になっていることを思い出して納得した。
「一応いけそうなので考えたのは居るんだが」
「誰よ?」
「わためさんとルーナさん」
「……あぁ、たしかに」
挙げられた名前を聞いてハッとした。
「まあやる事はやってるが、そこまでグイグイしてるわけではない。でも、割と主導権は握ってる気がするし」
「そうね」
「ただなあ、姫の方はちょっと特殊みたいだし」
「彼が引いてて彼女が押してるんだったかしら」
「ああ。わためさんの方は一応聞いてみたんだが、基本的にのんびりしてるらしい。2人の距離は近いみたいだがな」
「……熟年夫婦かしらね」
「吾輩も同じこと思った。本人には言わなかった」
なんとも微妙な回答だった。
「だから結局解決策が浮かばなかったんだよ」
「なるほどねぇ……。まあ、諦めるのが早いわよ?慣れたらそういうものって受け入れられるし」
「なんで悟った顔してるんだよ……」
微笑むルイに何も言えなくなるラプラス。
「何を言ったところで、後は貴女が自分で納得するしかないもの。まあやれることやってみるのがいいんじゃないかしら」
「……とりあえずそれしかないか」
ひとまず帰宅してから考えることにするのだった。
「……それで今か?」
「と、とりあえずたまには押し倒してみた」
その日の夜。
「いきなり『吾輩ならお前を押し倒すくらい簡単なんだからな!』ってすまし顔で言い出したから、何事かと思ったけど」
「お、お前が普段から余裕そうなのがずるい!たまには慌てるところがみたいんだよ!」
いつも通り彼に抱えられて夜を過ごしていた所、先程の発言と共に彼に乗り上げて今に至る。
「なるほど?」
「……実際どうなんだ?こうされてみて」
彼は上に乗るラプラスを抱え直すとうーんと唸った。
「まあびっくりはしたな。力を抑えてるとはいえ、流石に押し切られるんだなと」
「まあ吾輩悪魔だしな」
見た目通りの力ではないということを再確認した。
「ただまあ、押し倒してる側のラプが顔赤いから、なんだこの状況って感じ」
「い、言うな!馬鹿!」
さらに顔を赤くするラプラスに彼はそっと顔を寄せ、
「別にこの後、俺は何されたって構わないぞ?」
「なっ……!?」
驚いて身を竦ませた彼女にそっと口づけた。
「…………」
「あら、固まったか」
「ぐっ……、くそー!なんで結局言いくるめられるんだー!」
彼の胸をポカポカと叩いて悔しがるラプラスだった。
本人感想
「結局何も出来なかった……。次こそやっつけてやるからな!」
2.ぎりぎりわるくないゆるふわ羊の場合
(特に変わらない日常の話だよ?)
「今日のラーメン美味しかったねぇ?」
「そうですね。随分おかわりされてましたし」
「お腹ポンポコリンだよぉ」
あまりに寒かったために、買い物帰りに2人で近くのラーメン屋さんへご飯を食べてきた後である。
「触る?」
「遠慮しておきますね」
「なんでよー!」
丁寧な断りに憤慨するわためだが、口調が緩いので恰好なのは明らかだった。
「ねぇねぇ、こっちきてー」
「どうされました?」
「ん?甘えたいだけー」
腕を伸ばして呼ぶわため。
「あと、いつもわため達のために頑張ってくれる貴方を労いたいなって」
「仕事ですからね」
「それでもだよ。ほーらー、早く!」
そのまま催促してくる彼女に折れて、彼はそっと彼女の腕の中に収まった。
「うおお、やっぱり大きいねぇ」
「重くないです?」
「……ちょっと重いかも」
「でしょうね」
抱きつかれるというより、彼に覆いかぶさられているように見える2人の状況である。
「降りましょうか?」
「ううん、これはこれで包まれてる感凄いから、もう少しこのままー」
「はい」
わためは器用に顔を動かしつつ、彼の背中に回した腕をポンポンと叩いた。
「いつもありがとうねぇ」
「いえいえ」
「ホントに感謝してるんだよ?」
グリグリとそのまま彼の胸に頭を押し付けるわため。
「えへへー、特等席ー」
「今日は随分と甘えん坊ですね」
「たまにはいいかなぁって。いや?」
「まさか」
「しってるー」
思う存分に甘え倒す彼女。
「最近ねー?皆に肌が綺麗って言われるようになったんだよ?」
「そうなんですか?」
「うん!衣装でデコルテとか出すこと多いけど、めっちゃ綺麗って!」
「ず、随分局所的な」
少しだけ顔を離して話題の箇所を見せつけるわために彼は苦笑した。
「まつりちゃんとかフブちゃんが、貴方のマッサージのおかげじゃないかって。ずるいって言われた!」
「……ああ、フットリフレクソロジーですか?」
「足つぼのことかな?たぶんそれ!」
「確かに身体の老廃物を流す効果もありますから、結果として肌が綺麗になることは多々ありますね」
「それそれ!えへへ、ずるいんだってさー」
ニコニコと嬉しそうに笑う。
「ねえねえ、嬉しい?貴方がわためを綺麗にしてくれてるんだよ?褒められて嬉しい?」
「そんな烏滸がましい事は言えないですけど。でも、わためさんが嬉しそうなら私も嬉しいですよ」
「これ以上わためを育ててどうしたいのー?」
上目遣いで見上げるわため。
「どうしたいもないですよ」
「ほんとー?なんか、『綺麗になった女を己の物にするのが男の夢なのよ!』ってアキちゃんとかちょこ先生とかが言ってたよー?」
「随分極端なイメージですね……」
「あの2人はまあそうかも?でも皆うんうんって頷いてたしなあ……」
わためはそのまま再び抱きつくと、
「でーもー……、わためはもう貴方の物だから、関係ないよねぇ?」
と耳元で囁いた。
「……そうかもですね?」
「かも?じゃないの!散々わためのこと啼かせたのにー」
「それは流石に人聞き悪すぎませんか?」
「2人しか居ないからいいんだもーん」
そうして再び甘え始めるわためを、彼は受け止めるのだった。
本人感想
「えへへ、いつもこんなんだよ?これからもどんどん綺麗にしてもらうからねー!」
まだリクエストは残っていますが必ず作るので、気長にお待ち下さい。