独自設定多めです。
ホロライブは言うまでもなくアイドルの集まりである。所属メンバーはそれぞれ歌やダンス、表現力に磨きをかけており、本人の記念ライブや全体ライブにおいてその成果を遺憾無く発揮している。その中で、ことダンスにおいて名前が挙がるのが誰かといえば、EN2期生に所属する『Hakos Baelz(ハコス・ベールズ)』だろう。
本人曰く『混沌』そのものであり、ぱっと見はネズミの獣人なのだが、実は純粋な人族ですらないかもしれない。好奇心旺盛で行動力も高く、ダンスを始めとする身体能力も非常に優れている。歌唱力も幅の広い音域を持ち歌枠も大人気である。常に明るく優しい性格をしており、メンバーに対して世話焼きな一面もあるとか。
語学力もずば抜けており、日本語のジョークも理解できる位に日本語が堪能。全て日本語の配信やJPENメンバー間の通訳もこなしており、日本に移住したこともあってかJP扱いされる海外勢の1人でもある。
さてそんな高性能で悪戯好きなネズミさんであるが、ふとした時に高火力な下ネタを(自爆を含む)ぶっ放すことに定評があり、リスナーにもからかいのネタにされることも多い。その際には『スケベールズ(ドスケベールズ)』なんて呼ばれることもあったりする。
「おかえり、今日はおつか……んっ!?」
「んっ……ふむぅ、ちゅ、んん……」
玄関の音が聞こえてから、すぐにドタドタと走る音が聞こえた彼が、椅子ごと振り返って迎えようとしたときには、懐に潜り込んできた赤い髪の女性に唇を奪われていた。
「……ぷはっ!ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「……むぅ。まだ全然くっつけてないのに」
頑張って引き剥がした彼がそう言って止めると、ハコスは不満そうにしながらも頷いた。
「とりあえず、おかえり」
「ただいま!」
挨拶を交わすと、ハコスは持っていたカバンを足元に置いて、椅子の上の彼に乗り上げて抱き着いた。
「今日は随分勢いよかったけど。お仕事はどうだった?」
「完璧!ミスもほぼなかったし、良いもの撮れた!」
ダンス動画の撮影とのことで朝から元気よく出かけていった彼女だったが、上々だったようで非常に機嫌が良さそうだった。
「体力有り余ってるみたいだけど。お出かけは?」
「楽しかったよ!カリとはじめと初めてフットマッサージ行ってきた!」
「ほう。足つぼみたいなもの?」
「そうそう!カリったら肝臓駄目だって言われてて笑っちゃった!」
「べーは?」
「あんまり?あ、でも腰は少し痛かったかも?」
そう言う割には乗り上げた腰をグリグリまわして彼に押し付けているので、彼は苦笑した。
「疲れてないの?」
「んー、楽しかったから気怠さはあるよ?でも、貴方とくっつくのは別だもん」
「なるほど?」
「貴方は?お仕事どうなの?」
「今日の分はもう終わってるから、この先の予定を考えてただけだよ。依頼もあるけど急ぎの用件はないし」
「なら、もういいよね?」
そう言うと、ハコスは再び顔を近づけた。
最近の配信であるが、ピンクなネタを中心に扱う心理テストの内容で1つ非常に興味深いものがあった。それは、『回答者が満足するまでにかかるキスの時間』というものである。そして、ハコスの回答は『300秒』であった。視聴者は大盛り上がりし、その時はあまりの長さに恥ずかしがっていた彼女だったが、配信を閉じた後に観ていた彼にその話を確認したところ、
「時間まで数えてはないけどキス自体は多いよね。ふとした時にされてる気がする。しかも、一つ一つが長いから好きなんだなって思ってた」
と、冷静に返されていた。
彼女もその時はテンパったらしいが、よくよく考えたら、一緒にいる時は常に彼のすぐそばにいるし、気づけばキスをしているような気がしたので、彼の言葉を否定できなかったという。
しばらくの間、部屋から水っぽい音と時折喘ぐ声が途切れる事なく続いた。
「はー……、幸せだ……」
「それはよかった」
やがて満足したのか、ふーっと息をついたハコスがようやく体を離した。2人の間をツーっと光るものが繋いでいた。ぺろりと唇を舐めて、ニッコリと笑う彼女。
「帰宅後いきなりはなかなか珍しいけど、何かあった?」
「んー?少しお互いの惚気話で盛り上がったから、それでかな。特別何かって訳じゃないよ」
彼から降りて、先程置いたカバンをゴソゴソと漁りながら答えるハコス。目的の物を見つけたのか、ズイッと彼に差し出した。
「はい、これおみやげ!カリのパートナーも好きだってカリが言ってたやつ!」
「へー、ありがとう。後で一緒に食べようか」
「OK!」
そのままカバンを持つと立ち上がる。
「シャワー浴びてくる!」
「お湯張ってもいいよ。僕もまだだったし」
「やった!なら先に張ってくるから、一緒に入ろう!まだイチャイチャし足りないし!」
「まだ足りてなかったんだね……」
一応言っておくと同居しているわけではなく、ここは彼の家である。ハコスは来日した際に自分の部屋をきちんと借りているが、ここ最近は彼の家に入り浸りが続いているだけである。あまりにも馴染んでいる上に、気づけば彼女の私物がどんどん増えているので、密かに彼が同居申請用の書類を彼女のマネージャーに相談していたりもするが。
「混沌に愛されるって凄いことなんだよ?貴方はもっと誇りに思ったほうが良いと思うけど?」
「混沌そのものに言われるのは光栄だね。字面だけ読んだら意味わからないけどね……」
「確かに!でも、僕は貴方を愛しているのだから、それだけは忘れちゃ駄目だよ?」
「それはもちろん。ありがとう、僕も好きだよ」
「えへへ、お風呂楽しみ〜!」
さらっと惚気るのも彼らの日常である。ハコス自身は割と照れ屋な性格なのだが、彼から愛を伝えられるのが好きなので、このように惚気ることを意識していたりするとか。
「じゃあ準備してくるね!」
「洗濯物は籠に入れてくれたらいいから」
「ありがとう!」
ウキウキとした様子で部屋を出るハコスを見送ると、彼もおみやげを持って立ち上がるのだった。