『あら?久しぶり!』
『ワオ!珍しいところで会うわね!』
ある日のこと。
休みの日ではあったものの、パートナーが外せない仕事の日であるため、たまにはウィンドウショッピングでもしようかと街を歩いていたムーナ。すると、通りかかった本屋から見知った顔が出てきたので、驚いて挨拶をしたら相手も吃驚したように返してきた。
『貴女も1人なの?アーニャ』
『うん。彼が予定あったからね。貴女もってことはムーナもかしら?』
『折角の休みなのに、彼が外せないお仕事なんだってさー』
その相手であるアーニャも同じような理由だったらしく、2人はそのまま近くの喫茶店へ。
『まさか私達の行動範囲が被るなんてね』
『まあ来日したら大体この辺り彷徨くこと多いんじゃない?あんまり遠くに行けるわけでもないし』
見た目からして日本人ではない上に、各々が美貌の持ち主である彼女らが集まって動けば、嫌でも視線を集めてしまう。それを出来るだけ避けようとすれば行動範囲は慣れた近場に限られてしまうだろう。
『それにしても、ムーナは前よりも積極的になったってホントだったんだねぇ。前はこんなに露骨に寂しがったりしてなかったような気がするけど』
『それを言うならアーニャもでしょ?この間、IRySが貴女に目の前で盛大に惚気られたって愚痴ってたわよ?』
『あ、それ他の人に言うなって言ったのに!』
頼んだケーキを食べながら憤慨するアーニャに笑うムーナ。
『最近はどうなの?』
『んー、特に変わったりはしないよ。でも、ようやく彼が私に対して緊張しなくなってきたのはいい調子ね』
『それは……』
嬉しそうに笑うムーナにじとっとした目を向けるアーニャ。何を見ているかは言わずもがなだ。
『あら、貴女はそんなに羨んでた感じはなかったと思ったけど』
『そうね。でもたまには良いなって思うこともあるよ。IRySや貴女を見てればなおさらね』
『そんなものかしらね。知らない男にジロジロ見られるのは嫌だけど、愛する人ならそれも良いかなって思ってるわ。頑張って見ないようにしてるのもまた可愛いんだけどね!』
『はいはい、ごちそうさま』
いつもより饒舌なムーナを聞き流すアーニャだったが、後にお互いのパートナーについてアレコレ惚気合う事になるのだった。
『日本の男性というのは、どうして彼女になかなか手を出してくれないのでしょうか!』
『『そうだそうだー!』』
『アンタたち酔い過ぎよ……、個室とはいえ、もう少し落ち着きなってば』
ファウナの叫びに同意するベーとムメイ、それを見て呆れるIRyS。
『これが落ち着いていられるものか!我々はもっと愛されたい!』
『なんでべーはちょっと演説風なのよ』
『日本語でくんずほぐれつって言うんでしょ?私勉強したわよ?』
『ムメイもよりにもよってなんの勉強してるのよ!』
ヒートアップする2人にツッコミが激化する。
『おうちで半裸の彼女がいたら、彼氏はどうするのが自然ですか?』
『『ルパ◯ダイブです!!バッチコイ!!』』
『今すぐ水飲んで落ち着け!!!』
1番声が出てるのはIRySだった。
『……なんで誘われた私よりアンタたちのほうが酔うのが早いのよ』
『楽しくてつい飲み過ぎちゃいましたね〜』
『というか、IRySのペースが遅いんじゃない?』
『そうよ。もっと飲みなさいよ、そしてあんたも不満をぶちまけなさいよ!』
『もうヤダこの鼠と梟……。そんなに言うなら今すぐパートナー誘って食べられてきなさいよ』
『誘っても忙しそうなんだもん!』
『疲れてるところ無理させたくないじゃん!』
『分かってるなら我慢しろや!』
『我慢してるからこうなってるんでしょ!』
『開き直るな!』
やいのやいの言い合う3人。焚き付けたファウナはいつの間に素知らぬ顔でお酒を飲んでいる。
『なんであんたは知らんぷりしてんのよ。元はと言えばアンタがネタ振ったんでしょうが』
『えへへ。楽しそうにしてるからそっとしておいたほうが良いかと』
『さっさと止めなさいよ……』
アルコールにより顔を赤らめているファウナは、IRySの言葉にニコニコと笑う。
『IRySだって前は私らと同じ事言ってたくせに!』
『そうよ!いつの間にか同棲始めたと思ったら会うたびにドンドン艶々しやがって!ずるいわよ!』
『ま、まあ確かにそうだけど、ずるいって何よ……。というか、ムメイはともかく、ベーはこっちに住んでるんだから』
『手続きに時間かかってるの!』
『それは我慢しなさいよ!』
ようは八つ当たりである。
『でも、私も一緒に住み始めてからますます回数増えましたし〜、べーもいずれは同じになるのは自然でしょう?』
『こいつが1番エロいまであるからな。身体はそんななのに』
『あー!!身体のこと言ったな!?表に出ろ!』
『あんたも散々アタシのことグダグタ言ったんだから我慢しろよ!』
『私はちょうど真ん中位だから何もないわねー。彼が育ててくれるのが一番!』
ヒートアップするベーとIRySの横で、ムメイはなぜかドヤ顔だった。
『もう駄目だコイツら……、収拾がつかない』
『ウフフ〜』
『何気にアンタもかなりテンション高いわね、ファウナ?』
『そりゃあもう。皆とお話することは楽しいでしょう?楽しいことは精一杯楽しまなきゃ損ですもの〜』
『酔っ払ってテンションおかしくなってなきゃ素直に頷けるのにな……』
笑いながらも手元のお酒をクピクピ飲む速度が落ちていないファウナに、この先の苦労が予見出来たIRySは笑うしかなかったのだった。
『迎えに来たよ』
『早かったね!お仕事は?』
『まだ残ってるけど、キリが良かったから。ムーナさんもお久しぶりです』
『お久しぶりです。アーニャがいつもお世話になってるみたいで』
『どういう意味よ』
『ムーナ!遅くなってごめん!』
『ワオ!貴方も来たの?』
『少し前にばったり会ったので、一緒に来たんです』
『今日の分は終わったから、大体この辺かなって向かってみたら彼がいたので。予想が当たってたみたいで良かった』
『私の行き先がわかるなんて……!これが日本語でいう以心伝心ってやつかしら?』
『はいはい、イチャイチャは』
『聞いてたよりも大惨事ですね……』
『あれー?居るはずのない人が見える……。幻覚ですかぁ?』
『私が頼んで彼に連れてきて来てもらったのよ……。収拾つかないから回収してもらおうってね』
「ハハハ……、お久しぶりですねIRySさん。ほら、ファウナさん、帰りますよー?」
『あーれー……』
「ベーがここまで酔ってるのは久しぶりかな?お水飲める?」
「おー、愛しの貴方……、このまま私をどこへ連れて行こうというのかね……?」
「家以外ないかな……?」
「ムメイは……、完全にダウンしてますね……。背負うしかないかな」
『私はまだ呑める……!お酒持ってこーい!』
『それならおうちで付き合いますから。お店にご迷惑かけないようにお願いしますね』
「お疲れ様、なのかな?楽しかったかい?」
「楽しかったけど、今日は全員ペースが早かったわね……」
「毎度のこととはいえ、今日は連絡が早かったのはそういうことか。……あ、店員さんすみません。もう出ますので」
『なんか、私が艶々してるのが羨ましかったんだってさ』
『……皆さんもお綺麗だと思うけどね』
『意味分かってるくせに』
『わざわざ英語で誤魔化してる時点で恥ずかしがってるのバレバレだからね?』
『もー!家に帰ったら覚悟してよね!』
『八つ当たりがひどい……』
実際こんな美人が歩き回っていたら衆目集めるどころではないと思いますね。
次回はFLOW GLOWの予定です。
誰からかはまだ決めていませんが気長にお待ちいただけたら嬉しいです。